Researchers predict larger-than-average Gulf "dead zone" caused by oil spill新華社 2010年06月29日原油流出によるメキシコ湾の「デッドゾーン」が平均よりかなり大きくなると研究家たちが予測
・2010年5月30日に、ルイジアナ沿岸のメキシコ湾上のディープウォーター・ホライズン近くの油の漂う海域を航行する補給船。ミシガン大学の水生生態学の教授ドナルド・スカヴィア氏らの研究グループによると、今年のメキシコ湾の「デッドゾーン」(生物が棲息しない死の海域)は、通常年の平均よりかなり大きくなると予測され、また、6億5900万ドルにのぼる米国の漁業生産を今後数十年に渡って脅かす可能性があるという。
6月28日に米国立海洋大気局(NOAA)から発表された 2010年の予測によると、メキシコ湾の今年のデッドゾーンは 6,500 〜 7,800 平方マイル( 10,500 〜 12,500 平方キロメートル)の広さに及び、これはオンタリオ湖の面積と等しいほどとなる。
研究グループの描くもっとも可能性のあるシナリオは、メキシコ湾で酸素欠乏状態か、あるいは低酸素状態になるであろうデッドゾーンの広さは今年 6564 平方マイルとなるとされ、これはメキシコ湾でのデッドゾーンの規模の記録としては10番目になるという。過去5年間の平均サイズは約6000平方マイルだった。
数多くの要因が働いているので、ディープウォーター・ホライゾンからの原油流出が、今年のメキシコ湾でのデッドゾーンのサイズにどの程度影響するのかはっきりしないと、研究者たちは言う。
「今後どうなるのかよくわからない。しかし、ただひとつ明かな事実があり、それは、この夏の低酸素と有毒な原油の組み合わせは大量死を招き、魚類の産卵と魚類の健康回復に重大な影響を及ぼすだろうということだ。これにより、水産業とフィッシングなどの娯楽産業において大幅な経済の減少を招く可能性が高いと思われる」とスカヴィア氏は語る。
陸地の農地からの肥料や畜産廃棄物などの流出によって窒素やリンなどが海へと流れ込んでいて、メキシコ湾でも毎年これが低酸素の原因となっている。遠くはコーンベルトからもミシシッピ川を下りやって来る。毎年、春から夏にかけて、これらの栄養素がメキシコ湾に爆発的な藻類の大量発生を引き起こしている。
藻類が死んで海面に浮かぶと、海底近くに住むバクテリアは有機物を分解し、そのプロセスの中で酸素を消費する。 結果として海底や海底近くの水中酸素が不足してしまう。これがデッドゾーンと呼ばれる死の海域が発生する原因だ。
今年は、メキシコ湾での原油流出の不確実な状況が絡み、事態は複雑になると思われる。
通常のメキシコ湾の夏の低酸素状態のところに、さらに大量な原油が到達した場合、この夏のメキシコ湾のデッドゾーンが増える理由にはこの2つがあるとスカヴィア氏は言う。
1 石油が微生物によって分解され、酸素を消費してしまう。
2 通常、水の中の酸素レベルを一定に補給する役割を持っている「大気中から水中への酸素の拡散」が原油により減らされてしまう可能性。
一方、石油の存在は、低酸素をもたらす藻類の成長を抑制し、メキシコ湾のデッドゾーンの規模を抑える役割もある。
2001年以降に発生したメキシコ湾でのデッドゾーンの記録としては5つの大きなものがある。もっとも規模の大きかったものは、2002年に記録された 8484 平方マイル(13,500平方キロメートル)のものだ。
「デッドゾーンの範囲が拡大していくことは、生態的な時限爆弾ともいえる。我々は今後、深刻な漁業被害の脅威にさらされる可能性があるということを踏まえて、デッドゾーンの拡大を制御するために、地方、地域、国家の意志決定が不可欠だ」とスカヴィア氏は語った。
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