2010年08月26日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される



Microbes taken from Devon village survive in space for 553 days
英国オープン大学ウェブサイト 2010.08.24

宇宙空間で553日生きのびた細菌


_48810358_beercliffs_oupssri_304.jpg

・BBCニュースより、細菌が採取された英国ビア村。


惑星宇宙科学調査研究所 ( PSSRI ) のチャールズ・コッケル教授は、英国の海沿いの村で採取された細菌の研究について言及した。

「極限環境ではないように見えるかもしれない英国デボンの漁村ビア村だが、その崖の表面は乾燥しており、太陽輻射がある。また、塩と淡水域に常にさらされているという非常に生態環境条件が厳しい場所で、その環境に適合した極限環境微生物が生きている」と、教授は言う。

その地域の岩をスペースシャトル「アトランティス」に乗せ、宇宙へと運び、国際宇宙ステーションの外側の宇宙空間に配置した。

この岩は、スペースシャトル「ディスカバリー」に乗って2009年の後半に地球に戻るまで、1年半の間、宇宙空間に残された。

そして、宇宙から地球に戻ってきたこの岩から、シアノバクテリアの一種であるグロエオカプサ ( Gloeocapsa ) が生きた状態で分離されたのだ。

この生物が示すものは、極限環境での生命に関しての新しい洞察であり、また、宇宙探査に対しての考察、たとえば、酸素の生産や岩の生成過程などについての新しい洞察となるものかもしれない。

ニュースの続きと、コッケル教授のビデオは、英国BBCのウェブサイトで紹介されている。
続きを読む



  

2010年08月14日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





IRAQ: Wheat rust infection fears
IRIN 2010.08.10

イラク:小麦さび菌の感染拡大のおそれ

20035154.jpg

・バスラでのパン作り。イラクでの小麦消費量は今年、450万トンから500万トンを見込む。


イラク当局によると、イラクでは、2009年から2010年の小麦収穫量のうちの10分の1以上が、殺人真菌の影響を受けたという。

当初は、小麦さび病による損傷は Ug99 の変異体ほど強烈ではなかったが、温暖な天候と高い気温が続いたために、昨年から感染率が急激に上昇したと、イラク農業省の収穫保護局の局長であるハミード・モハメッド・ジャワッド氏は語る。

「昨年、さび菌によって損傷した作物の最終的な率を我々はまだ知りません。しかし、予備の情報から推測すると、イラクの小麦収穫量の少なくとも10分の1に達していたと思われます」と、付け加えた。

小麦さび病、あるいは小麦黒さび病と呼ばれるこの感染菌は、農業地帯にある作物を完全に全滅させることができるほどのものだ。

病原体は、植物の茎に入って、維管束組織を破壊する。

小麦にダメージを与えることのできる小麦さび病には3種類あるが、その中でも、Ug99 の変異体である黒さび病は手がつけられないものだけに、もっとも恐れられている。

Ug99 は、1999年にウガンダで発見され、その後、すぐにケニヤとエチオピアに広まった。そして、紅海を渡り、イエメンに広まった時には Ug99 はさらに致命的な形態の菌となって姿を現した。

2007年にはイランに入り込んだ。

そして、もうひとつの変異体が2009年に南アフリカで発見された。そして、4つ目のさらに違う形態が、2010年7月に科学者によって発見された。

国連の食糧農業機関(FAO)では、現在、26カ国が Ug99 の危険に晒されている国としてリストされている。これによって、世界の小麦生産の約3分の1に脅威を与える可能性がある。

また、最近飛び込んできた関連する悪いニュースとして、ロシアと東ヨーロッパの不作のために、2010年の世界の小麦収穫予測が大きく下方修正された。

イラク農務省のジャワッド氏は、「今のところは、イラクが Ug99 に襲われるのかどうかはよくわかりません」と言う。

「Ug99 は現在、シリア、サウジアラビア、そして、イラクと国境を接しているイランにまで到達しています。しかし、イランからイラクに入ってきたかどうかはまだ確認していないのです」

ジャワッド氏は、イラクの小麦が Ug99 に感染していないかどうかを測定するために、ケニアの FAO の研究所に小麦のサンプルを送ったという。また、イラク農業省では、さび菌感染症の範囲を測定するため、この2年間でイラクのすべての小麦生産地帯に調査隊を送ったという。

その調査は今年5月に終了したが、調査結果が出るのは来年2011年だ。


増加している小麦の生産量

さび菌感染症にも関わらず、イラクの2009年から2010年の小麦収穫量(275万トン)は、2008年から2009年までの収穫量(170万トン)より、61.7パーセント増えたと、当局は言う。

小麦シーズンは、一般的に9月の遅く、または、10月前半に始まって、4月の遅く、あるいは、5月の前半に終わる。

この収穫の増加の背景には、農民たちへの機材の貸し出し、良質の種、肥料が準備できたこと。そして、政府による農民へのローンの発行と、井戸掘りを援助したことだったという。

イラク北部のニーナワー県は、イラク全土の25パーセントの収穫のあった、もっとも生産的な地域だった。

2番目に収穫量の多かったのは、Ta’amim の近くの県で、全体の13パーセントの収穫。3番目が、ワーシト県の11パーセントだったという。

今年始めに発表された農業省の数字によると、イラクの今年の年間小麦消費量は450万トン〜500万トンであると推定される(小麦収穫量は275万トン)。

このギャップを埋めるには小麦の輸入が必要となる。
続きを読む
タグ:Ug99



  

2010年08月11日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





(訳者注) 昨年の報道です。下の2つの報道を合わせて文章にしました。ちなみに、記事では「16人のうち3人しか治療は成功していない」とありますが、それまでワクチン接種なしで狂犬病の発症後に生き残った例は歴史上でゼロでした。

First Brazilian to be cured from rabies discharged from hospital
Xinhua 2009.09.20

2008年9月に狂犬病を発症しながら回復した16才のブラジルの少年について
厚生労働省検疫所 - 海外感染症情報 2009年09月20日
--

ブラジルでは初めての狂犬病から回復して退院した16歳のブラジルの少年

ブラジル人として初めて狂犬病から回復した患者が、2009年9月18日に、ブラジル北東部にあるペルナンブーコ州のレシフェ病院から退院した。

就寝中にコウモリに噛まれたこの16才の少年の患者は、2008年9月に狂犬病を発症し、10月に入院してから100日以上を集中治療室で過ごした。

治療にあたったオスワルド・クルース病院によると、この患者は、狂犬病のために歩行困難や言動障害が見られたという。今後も治療が続けられ、股関節の手術も受けることになっている。

この少年に対しては、いわゆるミルウォーキー・プロトコル ( Milwaukee protocol ) と呼ばれる、2004年にアメリカで開発された実験的な方法に沿った治療法が行われた。これは、患者を薬物により昏睡状態にし、抗ウイルス薬・鎮静薬・麻酔薬を使用する方法だ。

これまでに世界中で16人の患者にミルウォーキー・プロトコルが行われた。治療成功例はこの患者を含め3人だけで、後の2人は米国の10才と16才の少女だ。

狂犬病は非常に致死性が高い。イヌ、ネコ、コウモリ、キツネ、ウシなどの動物の咬傷により感染する。この疾患は神経系を侵し、麻痺、不安、幻覚などの症状を引き起こす。


--
参考資料:狂犬病 - Wikipedia - 「予後」より。

発症後の死亡率はほぼ100%で、確立した治療法はない。記録に残っている生存者はわずか6人のみで、そのうち5人は発症する前にワクチン接種を受けていた。

2004年10月、アメリカ合衆国ウィスコンシン州において15歳少女が狂犬病の発症後に回復した症例がある[8]。これは発症後に回復した6番目の症例であり、ワクチン接種無しで回復した最初の生存例でもある[9]。この際に行われた治療はミルウォーキー・プロトコル(Milwaukee protocol)と呼ばれており、治療法として期待されているが、回復に至らず死亡した事例もあり研究途上である。

近年ではこの治療法により10歳のアメリカ人少女、また2008年10 月、ブラジル・ペルナンブーコ州の16歳の少年が歩行困難と発語困難により依然として治療を続けているものの回復に至る。これまでミルウォーキー・プロトコル治療は全世界で16名に対して行われたが、現在の成功症例はこの3人のみである。

「最も致死率が高い病気」として後天性免疫不全症候群(エイズ)とならんでギネス・ワールド・レコーズにも記録されている。
続きを読む



  


In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





Russia wheat ban may slash food aid to millions, says WFP
Dow Jones Newswires 2010.08.10

ロシアの小麦輸出禁止は食糧援助にむち打つものだ - 世界食糧計画

img_4c6157785f566_8080.jpgロシアの小麦輸出禁止措置により、発展途上国に届けられる食糧援助の量が削減されることになり、世界のもっとも貧しい何百万人の人々は飢えていくことになるかもしれないと世界食糧計画( WFP )は警告した。

WFP のスポークスマンがダウ・ジョーンズ・ニュースワイヤーに語ったところによると、ロシアの輸出禁止によって小麦価格が急騰しており、このままでは小麦の入手が滞る恐れがあり、現在、ロシア側に人道支援用に関しての小麦輸出禁止の免除の方策を探しているという。 WFP は国連の機関で、人道的な食糧援助機関としては世界でもっとも大きい。

「この高い小麦価格がさらに多くの人々を飢えさせていくのは明白だ。現在、私たちは、人道援助のための輸出禁止の免除を求めている」と、 WFP のスポークスマン、キャロライン・ハーフォード氏は述べた。

WFP は2009年、人道危機や紛争地帯を含む73の国に食糧を供給した。 WFP が2009年に購入した食糧260万トンのうちの3分の1以上は小麦で、小麦の不足は、非常に多くの人道援助に影響する。

WFP の小麦の約95パーセントは、ロシアの黒海周辺で生産されたもので、この地域は、世界の小麦の約4分の1を生産している。しかし、この地域一帯は今年、猛烈な干ばつによって、多くの収穫を失った。そして、ロシア政府は、8月15日からロシアからのすべての穀物の輸出を禁止すると発表した。

2010年の最初の7ヶ月間に WFP が購入した55万トンの小麦のうちの68パーセントがロシア産で、残りはウクライナとカザフスタンからのものだ。

WFP のハーフォード氏は、ロシアの輸出禁止が WFP には免除されることを期待しているとしながらも、あまりにも WFP がロシアからの食糧供給に傾いていたことに関しては再考しなければならないかもしれないと語った。

「ロシアに過度に依存している現在の状態は警戒を要するのかもしれない」と付け加えた。

現在、小麦価格は急騰している。
生活必需品の安価な小麦の供給が不足するのではないかというおそれで、小麦価格は50パーセント以上急騰し、先週、過去2年間で最高の価格に達した。
続きを読む
タグ:食糧危機



  

2010年08月07日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





Planes diverted and offices close as smoke chokes Moscow
ロイター 2010.08.06

モスクワではスモッグにより飛行機は迂回し、オフィスは閉鎖された

泥炭での火災と山火事からの鼻をつく濃いスモッグが首都モスクワの人々を苦しめている。煙は家やオフィスにまで侵入し、飛行機は迂回して飛行している。人々は汚染された空気を避けるために外科手術用のマスクをつけて生活しており、疲れ果ててしまっている。


1r.jpeg

・モスクワ近辺にある森林での泥炭火災によって引き起こされた激しいスモッグの中、赤の広場を歩く旅行者たち。2010年8月6日。モスクワ中心部。



2r.jpeg

・スモッグの煙と匂いを避けるために、人々は布で口や鼻を覆ったり、マスクをして生活している。2010年8月6日。モスクワ中心部。



3r.jpeg

・マスクをして歩く女性。2010年8月6日。モスクワ中心部。



4r.jpeg

・スモッグに包まれたクレムリン。2010年8月6日。モスクワ。



5r.jpeg

・新たな火災の発生を防ぐために森林の倒木を除去するボランティアの青年たち。2010年8月6日。モスクワ南東部の都市ルホヴィツィ。



6r.jpeg

・マスクをつけて赤の広場を歩く人々。2010年8月6日。モスクワ。



7r.jpeg

・スモッグで覆われたセントバジル大聖堂。2010年8月6日。モスクワ。
続きを読む



  

2010年08月06日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





Russia to ban grain exports because of drought, fire devastation to crop
ワシントンポスト 2010年08月05日

ロシアが干ばつと火災の作物の荒廃により小麦の輸出を禁止

ロシア政府は、激しい干ばつと火災のために国の作物の5分の1を失い、国の非常備蓄制度に従い、穀物輸出を禁止すると8月5日に発表した。

世界でもっとも小麦輸出量の多い国のひとつであるロシアの輸入禁止措置発表を受けて、シカゴ商品取引所では正午までに小麦価格は8.3パーセント上昇し、過去2年間の最高値を更新した。

モスクワでの閣僚会議での発表によれば、プーチン首相は、「ロシア国内の小麦価格の上昇を阻止する必要がある」と語った。輸出禁止措置を2011年まで延長するかどうかは、今年の収穫が終わってから決めると述べた。

穀物価格は世界の他の地域での異常気象の影響も受けている。

カナダでは大雨で作物の多くを失い、カナダ政府は小麦生産が35パーセント低下することを予測した。世界でもっとも人口の多い中国では、この10年間でもっともひどい洪水に見舞われ、コメの生産が5パーセントから7パーセント減少すると予測している。中国は世界に供給されるコメのおよそ3分の1を生産しており、シカゴ商品取引所では7月1日以来、コメ価格は15パーセント上昇した。

米国は小麦農家にとって明るい展望の見える唯一の国と言える。米国農務省は、約10億ブッシェルの小麦の余剰を予測している。そして、他の国の小麦不足は米国の小麦産業により大きな利幅を与えることを意味する。

ロシアでは、130年前に記録がとられて以来、もっとも暑い夏に苦しんでおり、ロシア西部では、現在、森林や穀倉地帯の19万6000ヘクタールの広範囲を燃やし続ける激しい火災に瀕している。

ロシア穀物協会は、小麦輸出が今年1500万トン減少すると予想している。AP通信によると、2009年度の輸出量の2140万トンから、 1200万トンになることを予測した。他のアナリストはさらに少ない見積もりを出している。

続きを読む



  

2010年08月05日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





Thousands of fish 'jump to death' for 30 minutes in Quanzhou
What's on Xiamen 2010.07.22

552144.jpg

・写真は中国紙「泉州網」より。記事の後にも写真。

泉州で何千匹もの魚が30分の間、死のジャンプを続ける

福建州の港湾都市である泉州では、いつもなら、漁師たちはトロール船を使って小魚を捕っているのだが、7月18日の午後6時から約30分の間に起きた出来事に、漁師たちはただ驚いてその光景を見ている他はなかった。

何千匹もの小魚が彼ら漁師の船に自らジャンプして突っ込んできたのだ。

魚の種類は中国のメディアの報道では明らかにされていない。中国メディアでは、高濃度の海水の汚染によって水中の酸素が不足していたかもしれないと報じている。

漁師たちによると、小魚たちは明らかにパニック状態に陥っていたということで、理由としては、地震か津波の兆候を感じたのではないかと言っていたが、地震や津波が起きたという事実はない。

「魚の雨」が降り続けた後、数千匹の魚の死骸が船の上に散乱し、また、海水の上にもたくさんの死んだ魚が浮いていたと漁師は語った。
続きを読む
タグ:海の異変