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2010年10月04日



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アメリカを侵略している南京虫は DDT にも耐えられるスーパー南京虫(後編)



前記事:アメリカを侵略している南京虫は DDT にも耐えられるスーパー南京虫(前編)

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Invasion of “Super Bed Bugs” in America
EARTHFILES 2010.10.02

インタビュー:ヴァージニア工科大学 ディニ・ミラー昆虫学博士
都市害虫コントロールの専門家。


「南京虫が拡大しており、また、激しくなっていっている理由のひとつが、殺虫剤に対して南京虫に耐性がついていることです。彼らの多くには殺虫剤をほとんど体内に通さない体の表面の外皮があり、残留物等を摂取することがないのです。害虫駆除の専門家である我々は、殺虫剤で殺せるものはすべて殺しているわけで、そこで生き残ったものは殺虫剤での影響は受けにくい。」


 Q:今回の問題はDDTを禁じたためではないかという人たちもいますが。

「思い起こしてほしいのですが、 DDT を1950年代に使用開始してから、たった8年で、南京虫は DDT に対しての耐性を高めたという歴史があります。 DDT の後には、マラチオン(有機リン・有機硫黄系殺虫剤の一種)を使い始めました。それからというものは、昆虫対策のために専門家が使おうと試みたすべての化学薬品に対して、南京虫たちは耐性をつけていったのです。その頃、米国では、南京虫だけではなく、ハエなど他の虫たちも DDT に対しての耐性をつけていました。」

「すでに耐性を持った虫たちに対して、私たち米国人がやったことというと、DDT の使用量を増やしたということでした。多くの人々が DDT の粉末を、家具だろうと、家族だろうと、どこにでも誰にでも散布し始めたのです。寝室では、枕にもマットレスにも DDT を散布しました。我々は、南京虫が DDT に耐性を進化させ続けていることを知らなかったのです。そして、さらなる耐性が発生しました。現在、私たちがコントロールしようとしている非常にタフな南京虫たちがそれらなのです。」


 Q:この南京虫の問題が特にこの10年で爆発的に拡大したのはどうしてだとお考えになりますか?

「それは・・・たとえば、生態系の中では、生物はエサが増えると増加します。そして、南京虫の場合はエサが人間となるわけで・・・エサが増えたということです。つまり、(米国に)人が増えたことが理由だと思います。」


 Q:これはいわゆる「スーパー南京虫」の話と理解してよろしいのですか?

「はい。」


 Q:彼らに食物を供給するのは人間だけですか?

「唯一ではありません。しかし、人間は長い間、南京虫の主要な食糧源でした。もともと、南京虫の祖先は洞穴などに住んでおり、コウモリをエサにしていました。そして、洞穴に人間がやって来た時以来、南京虫は人間を食料源として生き始めました。人間はいろいろな場所に移動することができます。そうして、人間は世界中に南京虫を運びました。南京虫は人間の他には、鳥をエサにできます。」
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タグ:南京虫



  

2010年10月03日



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アメリカを侵略している南京虫は DDT にも耐えられるスーパー南京虫(後編)
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[追記]2012.12.20 この翻訳記事を書いたのは 2010年10月ですが、この2年後の2012年の日本の NHK の番組で、「日本でもスーパー南京虫の被害が増えている」ことが放映されていたようですので、追記として、そのページの内容を下に記しておきます。


忍び寄る“スーパーナンキンムシ”
クローズアップ現代 (NHK) 2012.12.06

深夜、音もなくしのび寄り人の血を吸う害虫、ナンキンムシ。戦後、DDTの大量散布で一度は駆除されたかにみえたこの虫が今、再び海外から持ち込まれ、その被害が増加している。しかも押し寄せているのは遺伝子を変異させ、市販の殺虫剤にかつての1万2千倍の抵抗性を持つに至った「スーパーナンキンムシ」。

アメリカではすでに被害が拡大し、ニューヨークの大型衣料品店が一時、閉店に追い込まれる事態となった。スーパーナンキンムシはいつどこで、なぜ発生したのか。そして殺虫剤の効かない相手をどうやって駆除していけばいいのか。



(訳者注) 以前、南京虫の異常増殖に対しニューヨークで南京虫対策の特別キャンペーンという翻訳記事を紹介したことがありますが、ニューヨークではすでに南京虫対策に数千万円規模の特別予算を計上しています。わりと深刻な問題のようです。




Invasion of “Super Bed Bugs” in America
EARTH FILES 2010.10.02

アメリカへの「スーパー南京虫」(スーパー・ベッド・バグ)の侵略

「全米害虫管理協会 ( NPMA ) の最新の調査で、世界中に約 1,000社ある害虫コントロール会社の 95%がほぼ毎日、南京虫の駆除に対処していることが明らかとなっています。」
- ヴァージニア工科大学昆虫学博士、ディニ・ミラー氏。


bedbug-1.jpg

成虫の南京虫(トコジラミ)の大きさはリンゴのタネ程度(16分の3インチ=約 4.7ミリメートル)で、足は6本あり、羽はない。色は明るい褐色(右)だが、エサを食べた後は色は赤暗くなる(左)。彼らの大好物は人間の血液で、5〜7日ごとにエサをとり、5分から10分で相手の血で満腹になることができる。卵は針の先ほどの大きさで、5段階の幼虫期間を経た後、10週目に成虫になる。

南京虫の寿命は半年から1年で、彼らは主に寝室の周辺で、マットレスの縫い目やスプリングの隙間、板の割れ目や壁紙の裏などに隠れて生活する。そして、ヒトの血液を食べる時をうかがっている。南京虫は、華氏約118度(摂氏45度)の温度で死ぬ。
写真は CDC (米国疾病予防管理センター)より提供を受けた。



2010年 9月18日、ナイキスポーツ社は、マンハッタンにある巨大な敷地面積のナイキタウンを閉鎖した。その後、1週間以上の期間の閉鎖に追い込まれた。

何のための閉鎖か?

それはなんと、そのビルの至る所にはびこっていた南京虫を絶滅させるための閉鎖だった。

ニューヨークは現在、全米で南京虫のもっとも多い都市とされている。しかし、他の米国の州にも南京虫は拡大している。

「これはこの何十年かの間で、我々が遭遇した最大の害虫問題だ」と、ワシントンポスト紙に、政府の全米害虫管理協会の副代表であるボブ・ローゼンバーグ氏が述べた。

たとえば、ニューヨーク以外で現在もっとも南京虫の被害に悩まされている都市のうちのひとつのオハイオのテッド・ストリックランド知事は、6月30日に米国の環境保護局に手紙を書いた。その内容は、「南京虫の問題は、肉体的だけではなく、感情的にもとても大きな問題を発生させている。オハイオの南京虫による経済的な損失はあまりにもひどい」というものだった。

オハイオの大規模マンション「ワン・デイトン」のオーナーは、南京虫駆除に 180,000ドル(約1500万円)を使ったが、南京虫は結局戻ってきた。


BedBugsNiketownManhattan.jpg

・2010年 9月18日に閉鎖されたナイキタウン。理由は南京虫。
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2010年10月02日



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(訳者注) 微生物を使って太陽光をエネルギーに直接変換する方法は基盤が揃ってしまえば、あとは基本的にフリーエネルギーですし、個人的にいつかは始まると思っていたのですけど、「日本で始まるといいなあ」と考えていたりしましたが、今回、日本は関係ないですね。ドイツ、フィンランド、英国、米国、デンマーク、イタリア、チェコの7ヶ国合同ブロジェクトでした。残念。

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DirectFuel Project: Sunlight + Engineered Cyanobacteria + CO2 = Hydrocarbon Fuels
Nano Patents and Innovations 2010.10.01

ダイレクト燃料プロジェクト:太陽光+エンジニアード・シアノバクテリア+二酸化炭素=炭化水素燃料

ドイツのアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクは、EUの資金による新しい FP7 (第7次研究・技術開発のための枠組み計画)での共同のプロジェクトである「エンジニアリングされたシアノバクテリアによる太陽エネルギーの揮発性の炭化水素燃料への生物学的直接転換」(略称:DirectFuel/直接燃料)計画に参加する。

主任研究員は、生物学部・遺伝子学科の教授ウルフガング・ヘス氏で、プロジェクトは10月1日から始められる。プロジェクトは、フィンランドのトゥルク大学との間で調整して行われ、4年間で最大 3,729,519ユーロ(約 4億 2000万円)の資金が用意される。

プロジェクトは7ヶ国とのパートナーシップを組んでおり、参加国はドイツ、フィンランド、英国、米国、デンマーク、イタリア、チェコ共和国となっている。

直接燃料 ( DirectFuel ) プロジェクトは、太陽光とCO2の直接転換するための光生物学的な方法を用いて、そのエネルギーを、たとえばプロパンのように、すぐに動力やインフラで使うことができる輸送燃料へ進歩させるためにシステム生物学と合成生物学の知識と方法を結合する。
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2010年10月01日



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Stuxnet 'cyber superweapon' moves to China
AFP 2010年10月01日

「スーパーサイバー兵器」 Stuxnet の照準が中国に向けられる

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▲ 専門家は中国の600万台のコンピュータに感染したと語った。


専門家が「世界初のサイバー超強力兵器(サイバースーパーウェポン)」と呼び、そして、イランの核施設を攻撃するために設計したと思われるコンピュータウイルスが新しいターゲットを見つけたようだ。

その新しいターゲットは中国だ。

その Stuxnet (スタクスネット)コンピュータワームが中国をメチャクチャに破壊し続けている。少なくとも中国の数百万台のコンピュータに感染したと、中国の国営メディアが今週、報じた。

スタクスネットは工業の中心に位置するような機械を制御するコンピュータに侵入することができるという点で世界中の専門家が恐れている。攻撃者はポンプやモーターや警報などの重要なシステムの制御を乗っ取ることができるのだ。

技術的には、工場のボイラーを爆発させたり、ガスのパイプラインを破壊したり、あるいは、原子力設備を故障させる原因を発生させることができる。このウイルスは、給水、石油採掘装置、発電所などで使用されているドイツのメジャー多国籍企業シーメンス社の特定のシステムを標的にする。

「これまでのように個人データを盗んだりするのではなく、この破壊工作ソフト(マルウェア)は、プラントを破壊して、産業のシステムに打撃を与えるために特別に設計されているのです」と、アンチウィルス・サービス・プロバイダのライジング・インターナショナル・ソフトウェア社のエンジニアがグローバル・タイムズに語った。


「もし、スタクスネットが中国で工場のコンピュータに入り込むことができたなら、それらの産業そのものが崩壊するかもしれません。それは中国の国家安全保証に損害を与えると思います」と、そのエンジニアは付け加えた。

今回の攻撃で、これまで中国の 600万台以上の個人のコンピュータと、ほぼ 1,000社の会社のコンピュータに感染したと、中国の新華社通信が報告したという。

自分自身をコピーして、ネットワークを通して自分の分身を他のコンピュータに回送する悪意のある破壊工作ソフトウェアであるスタクスネットが公的に特定されたのは6月だった。インドとインドネシア、そして、パキスタンなどのシーメンスのシステムの中に潜んでいるのが発見された。しかし、ソフトウェアのセキュリティ研究者によると、最も大きな浸入はイランに対してのように見えたという。

9月30日にAFP通信は、シーメンス北京のスポークスマンにコメントを求めたが、拒否された。

中国情報技術安全評価センターのアナリストであるユ・シャオキ氏は、この破壊工作ソフトの脅威を見くびっていた。

「こんなにひどいウイルスでの被害は見たことがない。」とユ氏はグローバル・タイムズに語った。続きを読む