海洋地殻深部より「炭素を変換するバクテリアが発見された」という報道をご紹介したいと思います。
訳してみると思ったよりも長く、内容もやや難しい感じで、もしかしたら読むのが面倒なものになってしまった気もしたので、ものすごく簡単に要約しておきす。内容自体は個人的にもとても関心があるものですので、要約だけでもお読みいただければと思います。
話の大筋としては海洋地殻という地球の地下で微生物が発見されたというものです。
海洋地殻とは、海底の下にある岩盤のことで(下の図の1の部分)で、

今回の場所はアトランティスマシフという海嶺近くの海底の下です。
地殻に関しては、そこを掘っていくような地質学的な調査は今までも行われていたのですが、「生物学的に」調査されることはなかったのだそうです。最大の理由は、「温度が100度も200度もあって、酸素がまったくないようなそんなところに生物などいないだろう」という考え方が主流だったからのようです。
で、調査してみたら、微生物が大量にいたと。
そして、どうもこれらは「窒素や炭素を分解する遺伝子を持っているらしい」と。
要するに、大気成分の変換を行っているらしい。
その何が重要なのかというと、「地殻」というのは地球全域にわたっているわけで、もし、この「大気の保管と変換」をおこなっているバクテリアが地球全体にいるのなら、地球の環境の形成に非常に大きな影響を今でも与えているのではないかと。
ここで、記事には書いていない、訳者の私個人の言葉で言わせていただけば、「
地球環境は今も昔も微生物に牛耳られている」という想いを今回の発見でさらに強くしました。
地殻は何キロという比較的深い場所にあるので、地球の表面が災害で滅びようが、氷河期になったり、
スノーボールアースになったりしても、地上ほどには影響は受けないと思います。なので、地球表面の生き物が一掃されても、次の生命の萌芽まで脈々と調整していくのではないですかね。このバクテリアたちは。
ちなみに、ここのバクテリアの寿命はわからないですが、以前、記事にした今年の夏に海中で発見されたバクテリアの寿命は「
最低でも1億年」と推測されています。
記事はこれです。
・ 1億年の冬眠サイクルをもつとされるバクテリアがスヴァールバル島沖合の海底で発見される (2010年09月21日)
ちなみに、下の記事では火星にメタンが存在する理由を「地中に微生物がいるからでは」というレポートの内容も報告していますが、大気の存在が確認されている太陽系の惑星は全部同じではと思っています。
つまり、太陽系の惑星のほとんど全部に微生物はいるのでは、ということです。
大きな生物(いわゆる人間とか宇宙人とか)は、星の環境に対して無力なので、いてもいなくてもあまり関係ないですが、微生物は星にとって重要で、どこの星でも同じ活動を行っているのではないでしょうか。
微生物は強いですしね。
ひとつの惑星の微生物を全滅させるには、分子レベルで星まるごと砕くしかありません。
なお、 In Deep でこれまでご紹介させていただいた「極限環境微生物」関係の記事には以下のようなものがあります。
・地球の極限環境で生きる生命から太陽系の生命の存在を考える天文学会 (2010年10月01日)
・宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される (2010年08月26日)
・アルゼンチンで見つかった「極限環境微生物」から地球と宇宙の生命の由来を探る試みが始まる (2010年08月13日)
長くなってしまいましたが、ここから記事です。
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