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2012年07月31日



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赤の意味: 再び現れた赤い海と赤い雨



今日、ご紹介するニュースは、アゾフ海という黒海北部にある湖(内海)の水が「突然赤くなった」というものです。アゾフ海というのは下の地図の位置にある場所です。

azo.png


このアゾフ海の海域の一部が現在下のようになっています。

red-azov-1.jpg

English Russia の7月25日の報道より。






 



そして地球上で唯一の「 DNA を持たない生命組織」のひとつである「赤血球」という存在

この出来事単体としては、「なんらかの藻類か、あるいは化学物質のため」という一言で終わらせることができるのかもしれないですが、この「水が赤く変化する」という出来事を今年になってから何度記事にしたことかということを思い起こします。

過去記事としては、



などがあります。

またつい最近、「世界中で血を流す聖母マリア像」のことを記事にもしました。

世界中に出現する「血を流す聖母マリア」:インドでは血の涙。米国ではこめかみから流血
 2012年07月23日




実は最近、この「血」と「赤」という意味から、「パンスペルミア説」や「宇宙の物質」、そして「彗星の意味」といったあたりなどをぼんやりと考えていましたところ、ふと、「自分でも異常な考えとしか思えないような考え」に向かおうしている部分があります。

これらは、とても一気に書けることではないですし、今回1度で書こうとすると、ものすごい長いものとなってしまうことになってしまうと思いますので、続けて書けるかどうかはともかく、何度かにわけます。

そして、この考え方は、経路を書かずに結論だけ書くと、単なる狂人と思われかねないですので(別に狂人だと思われること自体はどうでもいいんですけど、それだとその後の記事を読んでもらえなくなるかと思いまして)、流れの中で書ければ、と思います。

ちなみに、その「異常な考え」というのは、この In Deep の2年くらい前のパンスペルミアの関係記事から、つい最近の「宇宙の匂い」の記事にいたるまでずっと繋がっている概念です(というか、今になって繋がってきた)。

ですので、仮に In Deep を少し以前から読んで下さっているような方がいらっしゃるとするらば、もしかすると、それほど違和感のない話である可能性もあるかもしれないです。

その漠然とした経路のようなことだけ少し書いておきたいと思います。







 


今回の記事のタイトルにもした「赤」に至るのでに繋がる、その考えの要素の「漠然とした」流れです。




私の頭の中に芽生えてきた生命の経路に関しての「異常な」考え方の途中まで


・パンスペルミア説(生命は宇宙がばらまいているという説)

・地球のすべての生命は DNA を持っている

・DNA を持たない生命や組織は、ほぼ存在しない

・ところが、地球上には DNA を含まない生物の組織がある

・それはヒトを含む哺乳類の赤血球

・動物が「赤」を作り出せるのは基本的に赤血球だけ

・この世に「生命の赤」が存在しているのは基本的に赤血球があるため

・ところが、その赤血球「だけ」がこの世で DNA を持っていない

・つまり、どうやら・・・「赤血球は生命とは言えない」

・ということは、もしかすると・・・(以下略)






という感じで、すごいところで「以下略」となっていますが、まあ、その先のあたりのところが上で書いた「狂気的ともいえる発想」であって、先に単に狂人と思われるよりは、もう少し時間をかけて考えてみたいと思ってもいます。

「ヒトの赤血球が DNA を持たない」ということのもっともわかりやすい説明は、こちらなどにありました。


真核生物のDNAは、細胞核とミトコンドリアと葉緑体に含まれています。

ヒトを含め哺乳類の赤血球は、成熟の途中で細胞核とミトコンドリア等の細胞器官を失っているので、正常ではない場合を除くと、DNAを持っていません。





私たちは鉄である


なお、「なぜ血は赤いのか」ということについては、血液に赤血球が含まれているからということは分かるのですが、では、その「赤血球が赤いのはどうしてなのか」ということを知りませんでしたので、それがわかりやすく書かれてあった説明ページから抜粋しておきます。

血はなぜ赤い?」というページより。抜粋です。「鉄錯体」という耳慣れない文字が出て来ますが、これは鉄の分子、要するに「鉄」ということでいいかと思います。


赤血球が赤い理由

血液が赤いのは赤血球のためですが、赤血球が赤いのは中にヘモグロビンが含まれているからです。

ヘモグロビン

ヘモグロビンは、ヘム鉄錯体とグロビンというタンパク質からできています。グロビンは透明ですが、ヘムは赤色であるので、ヘモグロビンは赤色です。血液が赤い理由は鉄錯体の色だったのです。

ヘム

ヘムはポルフィリンが配位した鉄錯体です。人間以外にも魚や蛙などの脊椎動物の血は赤く、ヘモグロビンが含まれています。しかし、エビやタコのような無脊椎動物の血は赤くなく、青色をしています。これは、鉄錯体ではなく銅錯体のヘモシアニンだからです。



ちょっと長く引用しましたが、どうしてかというと、結局、私たちの血が赤いのは「鉄」の分子から赤血球が構成されているからということを客観的に理解してちょっとしたショックを受けたからです。

つまり、私たちは「鉄の存在によって血を色を感じている」ということです。

私たちは「赤くないと血だと認識できない」です。

怪我や事故などで流れる血。

それは赤い。

だから、「血が流れている」とわかる。

それはつまり鉄がそう見せている。


もちろん、血液自体は赤血球だけではなく、様々なものから作られるとはいえ、私たちが「血だ」と認識するためには「赤」が必要なはずです。

仮に、人間の赤血球のその部分が鉄でなければ、人間の血は赤くなかった。
それが銅などなら青い血になっていたでしょうし、あるいは、まったく別のものなら、「人間の血が水のような透明な血であった可能性」もあったわけです。

でも、私たちはそんな液体を「血」だと認識しない。


血は赤です。

死を象徴する血であるけれど、情熱を象徴する血。

それは赤い。



そういえば、最近、インドで「再び赤い雨が降った」ことが話題となっていました。これに関して、過去記事で、2001年にインドに降った赤い雨の記事を書いたことがあります。

これは私がパンスペルミア説に興味を持つキッカケともなったものですが、この「空から降った赤い雨」から採取された微生物にも「DNAがなかった」のです。赤くて DNA がないというヒトの赤血球と同じ特性を持った「生物」がそこにいたのでした。

それについての過去記事は、

フレッド・ホイルさんの霊に捧げる:インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した
 2010年09月07日

にあります。

まるで「空から赤血球が降ってきた」ようなこれらの事件ですが、では、人間の赤血球はどこで作られているのかというと、一般的には「骨髄の中」で作られるとされています。

いや、実際、そこで作られているのですが、しかし、本当かどうかはわからないですが、こちらによりますと、


胎児および出産から数ヶ月などは肝臓などで造血される。

成人でも骨髄での造血に支障が生じた場合などには、同様に肝臓などで造血されることがある。



ということで、どうも、この「赤血球」というものは、「出所があやふや」という部分があるようです。

さてさて・・・赤と血と人間と宇宙とDNAと生命と宇宙の誕生は結びつくのでしょうか。

あー、まあ、そんなの結論に行くのは無理ですな。
ハハハ・・・(力なく笑うなよ)。


とりあえず、あまり長くなるとアレですので、今回の記事のご紹介をします。

ここからアゾフ海に関しての記事です。
写真中心で、文字は少ないです。




The Azov Sea Turned Bloody Red
English Russia (ロシア) 2012.07.25


アゾフ海が血の赤に変わった


azov-001.jpg


地元ではパニックも

ウクライナ南東部にあるベルジャンスク村付近で、アゾフ海の海の色が「血の色」に変わったという出来事で起きており、住民の人々と、そして科学者たちも困惑している。



azov-002.jpg


地元の住民の中には、「これは何かが起きる前兆なのではないのか」と言う人々が多くいる。地元の当局は、これはあくまで自然現象であり、通常のことであると説明することで住民たちに平静を求めているが、しかし、長年住んでいる住民たちにとっては、この現象が「普通のことではない」と感じているという。

現在、科学者たちによって分析が進められているが、今のところは原因はわかっていない。有毒な物質である可能性も排除できていないため、解明が待たれるところだ。



azov-003.jpg


これらの写真は、地元の住民の方々によって撮影された写真だ。



  

2012年07月29日



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そして、やはり「惑星や銀河は瞬間的にできるものなのかもしれない」と思った朝


Protoplanetary-disk.jpg

▲ 最近、「星の形成」について根本的な考えの見直しが求められる発見が相次いでいます。






 



上に「そして、やはり」と入れました通りに、以前、同じタイトルの記事を書いたことがあります。

惑星や銀河は「瞬間的にできるものなのかもしれない」と思った朝
 In Deep 2012年03月23日

という記事で、その中に、下のようなことを私は書いていました。


宇宙は、基本的に、磁力と宇宙線などの動き以外の物理的な動きはあまりない空間がえんえんと広がっているように思います。

でも、一方で、宇宙空間は、宇宙塵や各種の有機物などをはじめとした物質(あるいは放射線や宇宙線自体も物質)で満たされていることもまた事実で、それらが何かの物理的刺激によって化学的反応を起こすと、「瞬時にして」何かができるかもしれないと。

つまり、たとえば、地球なんかも「瞬間的にできる」。

もっといえば、銀河なんかも瞬時にできる。

今回ご紹介する「新たに観測された20万個の銀河」というニュースを読んで、観測技術の向上だけでは表せないすさまじさも感じ、あるいは、宇宙はどんどんと瞬時にできているのかもしれないと思ったりした次第です。




この時には、今年の3月に、欧州天文台が「 20万個の銀河」を新たに観測した際のニューリリースを見てそう思ったわけですが、今回は、 NASA が「太陽系にあるのと同じような天体が突然消えた」ことを確認したという極めて興味深いニュースが複数の米国メディアで報じられています。

これは、たとえば、私たちの太陽系の惑星などが「ある日突然消えてしまう」という可能性にも結びつくということ以上に、この衝撃的な発見は、従来の「惑星や恒星系や銀河系の形成への疑問」というものに結びついています。


私は「自分自身で」考えたことについては、そのまま自分の思想として簡単に染みついてしまう単純な人なので、上の「惑星は瞬間的にできるのかも」という記事を書いて以来、宇宙とは瞬間的に作られるものだと思っています。つまり、何億年とかかって作られるものではないのかもと。


まあ、「瞬間的に」とはいっても、物質の固体が伝播していく物理的な時間は必要かとも思われて、そのあたりは上の記事にも書きましたが、旧約聖書の「天地創造」のあたりを参考にするとわかりやすいのかなとも思っています。

すなわち、

1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
2日目 神は空(天)を作った。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、植物が出来た。
4日目 神は太陽と月と星を作った。
5日目 神は魚と鳥を作った。
6日目 神は獣と家畜と、神に似せた人を作った。
7日目 神は休んだ。


というものです。

7日間ですが、しかし7日間とはいっても、7日目は神様が休んでいるだけで、人ができるまで6日間。

そして、「空と大地」は3日目で完成しているので、まあ、大体、「3日で地球はできた」と感じらしいです。


上のを読んで改めて「おもしろい」と思ったのは、

 > 4日目 神は太陽と月と星を作った。

の部分です。

地球が先行して作られ、太陽と月は同時にあとから作られている」というあたりは、今年の日食あたりからずっと感じていた「月も太陽もどちらも地球の衛星としての役割を持っている」ということを後押ししてくれる概念っぽいです。

そのあたりのことは、過去記事の、

消えていく私の中の「宇宙人」と、消えていく「母なる太陽」
 In Deep 2012年03月23日


という記事の後半部分の「月と太陽を見ているうちに到達した疑問」という見だしのあたりから書かれています。

そこで書いたことは一言で書きますと、


太陽も、月と同じような地球の衛星なのでは?


という疑問です(というか、私自身は今は確信していますけれど)。


ただ、以前も書いていますけれど、私はこういうことを含めたすべての「私の書いていること」を他の方々に「そう考えてほしい」と思っているわけではないのです。

なぜかというと、「宇宙論は各自ひとりひとりが自分の内から出てくるものだけを信じるべき」だと私は強く思っているからです。

ちょっと前振りが長くなりますが、そのことについて書かせていただきます。



▲ 1900年くらい前(2世紀)の宇宙観。



誰でも「自分の宇宙観」を持つ日を願って


今の世の中の人たちは、わりと多くの人々が「同じような宇宙観、生命観」などを持っていると思います。その具体的なところはともかく、そう思っている根幹は「人から教わったもの」という自分で考えたこととはほど遠いこ考え方が基本となっています。

つまり、今のように、みんな同じように宇宙や生命のことを考えるようになってしまった背景には、多くの人々が「学校で言われたことをあまりにも素直に聞いて、それを疑うことなく信じていたから」に他なりません。


少年エジソンが、

「先生は、1+1=2って言いますけど、ふたつの粘土を合わせたらひとつになるじゃないですか。だから、1は何度足しても1じゃないっスか?」


というようことを先生に聞き続けて、結局、エジソン少年は「キミの頭の中は腐っている」と言われ、小学校を退学になりますが、しかし、私は今に至るまでずっと、このエジソンの「ふたつの粘土」の話はひっかかっていて、つまり、

「場合によって、1+1=1でもある」

というように「例外を認める」ということがあれば、別にそれで丸く済んだのではないかと。

しかし、教育はそれを許さないわけで、全員が「2」と書くことを要求されます。

私自身は子どもの頃(幼稚園の頃)から、教育なんてクソみたいなものだと自覚していました。いや、「クソはみたいな」ではなく「クソそのもの」だと自覚してしました。残念ながら、幼稚園の頃は fuck という単語をしらなかったですが、当時知っていたら、ずっとつぶやいていたと思います(今は、毎日ずっとつぶやいています←やめとけって)。


なので、結局、私は幼稚園の頃から大学を除籍になるまで、一度も先生の話は聞いたことがありませんでしたので、ずっとほとんどいわゆる「白痴」の状態でした。

しかし、だからこそわりと楽しく穏やかに人生を過ごすことができて、それに関してはとても感謝しています。


まあ、話が逸れましたが、人間が気持ちよく生きていく上で(少なくともこれからの時代では)もっとも大事なことは、

「自分は「自分で考えた宇宙」に住んでいる」

と確信して生きられることだと思います。

宇宙について、生命について、あるいは、他のいろいろなことについて、人から教わった宇宙ではなく、「自分が考えた宇宙」。

それはどんなものでもいいと思うのです。
「自分で考えたものなら」どんなものでもいいと思うのです。

人から教えられた宇宙に住んでいる限りは、独自の新しい宇宙は生まれない気がします。


なので、私の書いていることも「私の考えているひとつの宇宙」であるというだけであり、読まれている方がそれを信じる必要などまったくありません。それが正常だと思うのです。


少年エジソンのにように「1+1=2ではない」という人がいたり、「1+1=2で正しい」という人もいたり、あるいは「いや、1+1=梅干しのおにぎり」という変な人がいたり、というのがもっとも「多様性に富んだ人間社会」として楽しい世界ではないかと思っています。


では、ここから「突然、消滅した天体」についての記事です。

これはとても簡単にいうと、たとえば「土星の輪の巨大なもの」が突然消えたというような話です。現在、天文学者たちは大変に驚き、困惑しています。

米国ロサンゼルス・タイムスの記事からです。






 


Planet-forming dust disc surrounding distant star disappears
Los Angeles Times (米国) 2012.07.05


惑星を取り囲んでいた「塵のディスク(星の輪)」が突然消滅した

disappearing-disc.jpeg

▲ ジェミニ望遠鏡の観測結果から作成された惑星「TYC 8241 2652」を取り囲む塵のディスク。中心の光っている星が惑星「TYC 8241 2652」で、それを取り囲んでいる巨大な塵のディスクが「あっという間に」消えた。


遠距離の星を囲むように惑星の形成をしていた塵のディスク(円盤状の塵)が「消滅」するという予想外のできごとが観測された。

この現象は、天文学者たちを非常に困惑させている。そして、同時に今回の現象は、現在の宇宙論での惑星の形成についての理論に疑問を提起するものとなりうる可能性がある。

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の天文学者カール・メリス博士は、以下のように述べた。メリス博士は、今回の現象を発見したチームを率いた科学者だ。

「まるで、古典的なマジックを見ているみたいです。昔の手品師は、帽子に何か入れた後に 『ほーら、消えました』と言ったでしょう? あんな感じです」。

そして、博士はこう続けた。

「今回のケースで言えば、たとえば、私のいる太陽系に満ちている塵と同じほどだと言えるのです。・・・それが本当に消えた・・・のです。この現象について、いくつかの合理的な説明を試みましたが、今のところどれも十分ではありません」。


このディスクの中心にある惑星は「 TYC 8241 2652 」と名付けられていて、周囲を巨大な塵のディスクで囲まれている。

この TYC 8241 2652 の年齢は 1,100万歳とかなり若く、たとえば私たちの太陽系の年齢は 45億歳なので、比較すると、若い星だ。場所は、ケンタウルス座の中の、地球から4億5千万光年の位置にある。

この星が最初に観測されたのは、1983年のことで、NASA の赤外線天文人工衛星 IRAS によって発見された。

この塵のディスクは、その星から吸収する光から加熱され、赤外線でエネルギーほ再度発する。そのため、特徴的な外観となると考えられている。

IRAS は他にも同じような星を数多く発見している。


研究チームは、チリにあるジェミニ南望遠鏡で 2008年にこの惑星を観測した時には、1983年に最初に発見された時と同じ赤外線の徴候を観測することができた。


ジェミニ南望遠鏡

▲ ジェミニ南望遠鏡。アメリカ、イギリス、カナダ、チリ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルの国際共同プロジェクトで運営されている。


しかし、翌年の 2009年にNASA が広域赤外線探査衛星(WISE)を使って、それを観測した時には、その塵の約3分の2は「消えていた」のだ。さらに他の望遠鏡で観測したところ、2010年には実質的に「塵のすべて」が消えたことがわかった。

共同研究者のベン・ザッカーマン博士は以下のように言う。

「これは、たとえば、土星の輪が、2年後にはすべて消えてしまっていたというほどの意味なのですよ」。


科学者たちはこの衝撃的な現象についてのメカニズムを検討し、いくつかの説明が出された。

しかし、共同研究者の米国ジョージア大学のインソク・ソン博士は以下のように述べている。

「これらの現象には(宇宙論の中で)正統的とはいえない現象が含まれています。なので、多くの天文学者たちは、今回の塵の消失に対して出された推論には不快感を示しています」。


さらにソン博士は次のように続けた。

「しかし、私の望みは、惑星というものがどのように形成されるのか、ということについて本当の理解の近くまで、私たち科学者を導いてくれることなのです。今回の発見にそのような感じをおぼえます」。




  

2012年07月26日



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NASA が「4日間でグリーンランドの氷の97パーセントが消えた」と発表。そして、シベリアでは2ヶ月間続く異常な熱波による非常事態

このニュース、昨日ご紹介しようと思っているうちに、日本語などでも報道されましたので、「まあいいか」とアップせずにいたんですが、しかし、これは私のブログで「残したい記録」の筆頭にあげられる自然現象だと思いましたので、ご紹介します。






 


なんたって「あっという間にグリーンランドの氷がほとんど溶けてしまった」ということが起きたのですよ。

日本語の報道としては、ウォールストリート・ジャーナル 日本語版などで紹介されています。

今回は、最初にこれを報告した NASA のニュースリリースをご紹介させていただきます。
その NASA が発表した衛星写真のイラストに注釈を入れて先に載せておきます。

下の写真の左側が2012年7月8日。右側が2012年7月12日。つまり、4日後のものです。白い部分が氷の部分。つまり、「4日で白い部分が消えた」ことがおわかりでしょうか。

Greenland-meltdown.jpg


もう、この地図だけで、特に文章の説明は必要ない感じもします。

NASAの科学者の人によると、「暖かい空気がグリーンランドの氷床の上を通り、それを解かした」と説明されていますが全体の97パーセントがたった4日で?


私は北海道生まれですし、あるいは北国の方ならおわかりかと思いますが、雪ならともかく、「氷」はなかなか解けません。

大雪の冬の後には、春の前から積もった雪が氷の状態となりますが、1度、氷となってしまうと、暖かい日が続いてもそう簡単には解けないです。まして、グリーンランドの氷は「氷床」にまで発達したもので、毎年解けるものではないはずです。

なので、「暖かい風」というだけではどうも釈然としないですし、 実際に NASA の科学者たちも、「どうしてこういうことが起きたのかは、今後何年もかけて解明されることになるだろう」と言っています。

現時点では何が起きているのかよくわからないみたいです。


ただ、グリーンランドではとにかく暖かい日が続いていることは確かなようです。

この、本来は寒い、あるいは涼しい土地が「暑い」という現象は、現在、シベリアでも顕著に起きていて、ほとんど非常事態となっています。
このシベリアの記事もご紹介しておきます。




シベリアで続く猛暑で過去最大の森林火災


現在のロシアの報道では決してマイナーなニュースではなく、各メディアで報じられています。ロシアの NTV というニュースサイトからです。


シベリアの熱波
Novosti 2012.07.24

シベリアの異常な熱波が森林火災を引き起こし、未曾有の干ばつが進んでいる

sibir.jpg

5月から続いているシベリアの熱波は7月に入り拡大している。

この熱波により森林火災が拡がり、川が干上がり、作物はほぼ枯れた。
熱波に襲われているシベリアのクラスノヤルスク地方では、川の水位も過去最大に下がっており、エニセイ川では 1967年以来の出来事となっていることをイタルタス通信が伝えている。

このため、干ばつが広がっており、農地での収穫はほぼ全滅した。

現在も気温は最高で 34度を越える日が続いており、シベリアの気象局によると、現在の 26度から 34度程度の熱波は9月まで続くと予測されている。

また、降水も9月まではほとんど期待できないという。

山火事も1930年以来、最悪のペースで発生している。すでに 20万ヘクタールの森が火災で焼失した。



ということです。

日本も今暑いですけど、同じ35度でも場所により意味はまったく違います。


では、 NASA のニュースリリースより。






Satellites See Unprecedented Greenland Ice Sheet Surface Melt
NASA ニュースリリース 2012.07.24

NASA の衛星が捕らえた予測もしなかったグリーンランドの氷床の急速な融解


NASA の3機の観測衛星からの観測によって、グリーンランドの氷床が 7月8日から 7月12日までの間に推定 97パーセントが融解していたことがわかった。


グリーンランドの氷床の衛星観測は過去 30年続けられているが、その30年間での衛星による観測で、最も広範囲で、また「突然」の氷床の融解が起きていた。

7月のたった数日間のうちに、グリーンランドの氷床全体の 97パーセントが溶けてしまったことを衛星データは示す。

NASA の研究者たちはこのデータを受け、この大規模な融解のイベントがこの夏に(他の地域も含む)世界の氷の消失に影響を与えるかどうかについての検討に入るが、しかし、このことが海面上昇に影響するかどうかということを含めて、まだ、その結論は出ていない。

NASAの「氷雪観測プログラム」の責任者であトム・ワグナー博士は、「このような出来事は、他の広範囲は気候イベントと関係する場合があると理解しています」と述べた。

この件に関して、 NASA の主任科学者は、

「今回の出来事の意味するところは今後何年もかけて解明するということになるでしょう」

と述べている。





(訳者注) 記事の中に「海面上昇に影響するかどうか」という表現が出ていますが、確かに、こんなに「突然」大規模な氷の融解の発生が相次げば、「海面の突然の上昇」というキーワードも、何となく思い出したりいたします。

この夏は何が起きるのでしょうねえ。

正直いって、この2週間くらいでこの In Deep でご紹介している内容だけでも、私は、事件、地球、宇宙、どれに関しても「ビックリ (@_@) 状態」なんですが、でも慣れていくのかもしれないですね。

そういえば、6月に「氷が溶けた北極海」の話をご紹介したことがあります。その関係の記事をリンクしておきます。

でも、その北極海の氷にしても、「何ヶ月か」ですからね。
今回の「4日で全部消滅」なんて、それこそミステリーの世界。

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[海面]の関連記事:

強烈な気候変動の衝撃:氷が溶けた北極海で藻と植物プランクトンが大発生している
2012年06月09日



▲ 米国沿岸警備隊による 2011年7月の北極海の調査の様子。北極で氷が溶けて「池」となっている。この「池」が植物プランクトンの繁殖に絶好な場所となっている。

海面上昇: 太平洋上のキリバスで「国民全員をフィジーに移住させる計画」が議会に提出される
2012年03月10日

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[1年前の In Deep ]
2011年07月27日の記事

「人の心の中にはもともと神と来世がある」:オックスフォード大学の研究結果

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[2年前の In Deep ]
2010年07月28日の記事

熱波が深刻な中国で広がる干ばつ、虫害、そして発電能力の限界



  

2012年07月24日



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Astronaut-EVA.jpg

▲ 宇宙遊泳をして宇宙ステーションなどに戻った時、宇宙服、ヘルメット、機材のすべてに強烈な匂いが染みついていることはよく知られていることだそう。 NASA ではその「匂い」のための研究と訓練もあることを今回知りました。






 



宇宙はどんな匂い?

昨日、米国メディア「クリスチャン・サイエンスモニター」に極めて興味深い記事が載っていました。

それは、「宇宙の匂い」に関してのものです。

宇宙については光などの視覚のことしか気にしていなかったわけで、「宇宙の匂い」というものを考えたことはまったくありませんでした。何となく「宇宙に匂いなど存在しないような気がする」と勝手に思いこんでいたところがあります。

しかし、「宇宙には匂い」があるのだそうです。しかも、それは強烈な匂いで、地上にはない、例えようのない匂いなのだそうで、それがタイトルに書いた「焼けたステーキや、金属などの匂い」に例えられています。

なお、お気づきかと思いますが、この「匂い」の話はあまり深く入り込むと、「ほぼ真空であるはずの宇宙空間」という問題にまで発展するので、適度に止めておいたほうが無難な話なのかもしれません。真空に近い空間が広がる(とされている)宇宙に「服に付着するほどの量の匂いの粒子が広がっている」ということには「強い矛盾」が生じる可能性があります。

また、それは「宇宙は真空ではない」という概念にもつながってくことになりかねないですので、そのあたりは今回はふれないで、事実だけをご紹介します。


そのクリスチャン・サイエンスモニターの記事では、過去の宇宙飛行士のインタビューや、あるいは動画などのリンクも交えてそのことを紹介しています。

ところで、この「クリスチャン・サイエンスモニター」は米国の一般紙なんですが、「クリスチャン」という名前がついているせいで、宗教的な感じを受けることが多いようです。

どう読んでも一般紙なのに、どうしてこんな新聞のタイトルなのか調べてみましたら、この新聞はもともとが、「クリスチャン・サイエンス」というキリスト教系の新宗教の創始者が創刊(1908年)したためにこのタイトルとなっているようです。

Wikipedia にこうありました。


クリスチャン・サイエンス・モニターはアメリカ・ボストンを本拠とする国際的なオンライン新聞。日刊紙であり、月曜日から金曜日まで発行されている。(中略)

クリスチャン・サイエンス・モニターという紙名にもかかわらず、この新聞は宗教紙として創刊されたものではなく、またクリスチャン・サイエンスの教義を直接宣伝しようとしているわけでもないが、創始者の要請により、日常的な宗教関係の記事を毎号載せる。



とのこと。

クリスチャン・サイエンスモニターは、他のメディアにはないようないい記事が多いんですが、なんだか紙名で損している気がする。


さて、それはともかく、記事のご紹介をいたしますが、記事中などで紹介されているインタビュービデオは長いですので、その中のひとつの該当部分をピックアップして字幕をつけて先に置いておきます。オリジナルのリンクも併記しておきます。

これは ISS (国際宇宙ステーション)での6ヶ月のミッションから最近、地球に帰還した NASA のドン・ペティット( Don Pettit )宇宙飛行士のインタビューより。

pettit.jpg

▲ ドン・ペティット宇宙飛行士。NASA のプロフィールページより。


宇宙ステーションの匂い/ 宇宙飛行士ドン・ペティット



▲ オリジナルは What Does Space Station Smell Like? - Astronaut Explains(宇宙ステーションはどんな匂い? 宇宙飛行士が説明した) にあります。


上の動画では、インタビュアーの女性はこの答えに笑っていて、ジョークだと思ったようですが、ドン・ペティット宇宙飛行士は NASA のブログにも同じことを書いています。

しかし、最初、私はこれは宇宙ステーションの「内部」に限った話だと思っていました。宇宙ステーションの内部には空気もありますし、それがどんな匂いであれ、匂いの粒子が存在することは可能です。

しかし、その外の、つまり完全な宇宙空間には匂いはないはずです。

・・・ところが。

どうやら、「宇宙空間そのものにも匂いがある」ようなのです。

それは「NASA の記録」の中にも記載があります。



匂いが存在する宇宙空間


nasa-smell.jpg

上の「ディスカバリー・スペースの記事」に、NASA が「宇宙空間の匂いを再現した」際の記録が掲載されています。

いろいろ書かれてありますが、ここに出てくる言葉としては、

アジア料理の香辛料、
ガソリン、
汗をかいた足の匂い
(苦笑)、
体臭、
マニキュア取りの薬剤


などの名前が出ています。

どうも・・・宇宙はそんなにいい匂いじゃないみたいですね(笑)。

汗をかいた足の匂いとパクチーとステーキとシチューとガソリンの匂いが同時に。


また、今回紹介するクリスチャン・サイエンス・モニターの記事にもありますが、「宇宙空間に宇宙遊泳に行き戻ってきた場合、宇宙服と機材にはそれらの匂いが染みついている」のだそうです。

なので、宇宙空間の匂い(あるいは匂いの元となる粒子)はかなり強烈なものだと推測できます。地上でも歩いているだけで服に染み付くほどの匂いは強烈なものだけですので、そういう意味でも、宇宙の匂いは「強い匂い」だと感じます。

まあ、「匂いの源は何か」などの問題もあるんですが、それは別としてと、「なんとなく無味無臭のイメージだった宇宙空間に匂いの概念が導入された」という、私にとっては、印象的な日であります。

それでは、ここからクリスチャン・サイエンス・モニターの記事です。






 

Space smells like seared steak, hot metal, astronauts report
Christian Science Monitor 2012.07.23

宇宙は焼けたステーキと熱い鉄の匂いがするという宇宙飛行士たちの報告

space-smell_380.jpg

▲ 宇宙遊泳から戻った宇宙飛行士の宇宙服には匂いがつく。


宇宙遊泳から戻ってきた時に宇宙服と機材に強い匂いが染みつくことは、宇宙ステーションで任務についている飛行士たちからよく報告されていた。

そして、宇宙空間を宇宙遊泳した宇宙飛行士たちは、一貫してその「宇宙の独特な匂い」について語る。


宇宙服を着ている間は、宇宙服内のプラスティックの匂いにより外部の匂いを感じることはないが、宇宙ステーションに戻った後に宇宙服を脱ぎ、ヘルメットを取ると、彼らは強烈な匂いを嗅ぐことになる。

その宇宙の匂いは、宇宙服のスーツ、ヘルメット、手袋、そして機材すべてに染みつく。

これらの匂いは、真空の近い宇宙空間の中の原子酸素であると考えられる。原子酸素は粘着性の粒子で、それは、焼いたステーキや、あるいは熱せられた金属や、溶接の際に出る煙のような強烈な香りを持つ。

NASA での宇宙飛行士の訓練のために、地球上で「宇宙の匂いを再現する」という作業をおこなっているスティーブン・ピアース氏によると、宇宙の強烈な匂いのうちの金属的な匂いに関しては、イオンの高エネルギーの振動から出るものかもしれないと述べる。



地球では嗅いだことはなく、また、忘れることもできない宇宙の匂い

NASA の宇宙飛行士であるケビン・フォード氏は、2009年に宇宙ステーションから以下のように述べた。

「この匂いは今まで嗅いだことのない匂いです。しかし、この匂いを忘れることは決してないと思える匂いです」。


しかし、この宇宙の匂いはとても強烈なものだが、必ずしも宇宙飛行士たちは、それを嫌っているわけではない。

2003年に宇宙ステーションでの任務をおこなった宇宙飛行士のドン・ペティット氏は、 NASA のブログ上で以下ように書いている。(訳者注:上のインタビューの動画の人です)


「宇宙空間の匂いを説明することは難しい。これと同じ匂いを持つものの比喩ができないのです。強いていえば、『チキンの料理の味がする金属の匂い』というような感じでしょうか。甘い金属のような感覚の匂い。溶接とデザートの甘さが混じったような匂い。それが宇宙の匂いです」。


また、ペティット飛行士は、任務から帰還した後、メディアの取材に対して、宇宙ステーション内部の匂いを次のように説明している。


「宇宙ステーションの中は、宇宙空間よりも日常的な匂いがします。半分は、機械工場のエンジンの研究所のような匂いで、もう半分は料理の際のシチューやローストビーフのような匂いを感じることができます」。






(訳者注) 私は、むかし、「地球も宇宙も大量の微生物(宇宙塵)の死骸から成り立っているのでは?」というようなことを、以前のブログの記事に書いたことがあるんですが、上の宇宙の匂いの記事を読むと、金属の匂いのほうは NASA の人が言っているイオンの原理で理解できるものなのかもしれないですが、料理にたとえられる「動物性の匂い」は、結局、「カラカラに乾燥した生き物の死体の匂い」ではないですかね。

バクテリアなどは真空中では細胞内の水分はすべてなくなるはずですが、組織そのものが消えるわけではないので、死骸としては残る。

宇宙空間が真空に近いのならそこでは死骸の匂いは出ないでしょうが、空気のある宇宙ステーション内に戻ると、突然、「微生物の死体の匂い」が漂うということのように感じたりします。

カンカン照りの海岸の「なんとなく漂う海洋生物の死臭」とかスルメ(苦笑)とか、そういうものを想像していただくといいのではないかと思ったりいたします。

宇宙塵が微生物であって、そして、宇宙空間が大量の微生物の死骸で成り立っているとしたら、それはあり得るかも。


スルメの匂いで満ちた宇宙かあ・・・。ロマンないなあ(苦笑)。




  

2012年07月23日



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▲ インドのカトリック司教協議会が伝えた 7月14日に目から赤い液体を流し始めたマリア像。記事は下にあります。






 




世界各地で「マリア像」に関して様々なことが起きています。

今回紹介するのは次の4つのニュースです。


・教会のマリア像が目から血を流す(インド / 2012年7月14日)

・マリア像の額から血が流れ出す(アメリカ / 2012年7月17日)

・マリア像の首が何者かによって切断される(カナダ / 2012年7月14日)

・樹木にマリア像のような形が浮かび上がる(アメリカ / 2012年7月10日)


すべて要約してご紹介します。
上の順番でご紹介します。

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まずは、インドで「目から血を流し始めたマリア像」のニュースです。インドカトリック司教協議会(CATHOLIC BISHOPS' CONFERENCE OF INDIA)のサイトにあるニュースリリースです。






 


Blood Oozes from the Eyes of Mother Mary’s Statue
インド・カトリック司教協議会 2012.07.15

聖母マリア像の目から血がにじみ出す

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インドのウッタル・プラデーシュ州にある聖母マリア像の目から血の涙が流れ出すという現象が起きており、地元では多くの信仰者たちがマリア像のもとに集っている。

この聖なるイベントが起きたのは、カルメル修道会(ローマカトリック教の一派)のチャペルに置かれる聖母マリア像で、最初にこのことに気づいたのは7月11日のことだった。

発見したのはチャペルを清掃にきた女性だった。

「布でマリア様の像を拭いていた時に、私はマリア様の目から血が流れているのを見たのです。それを見て私は声を上げて泣きました。私は自分が見ている光景が信じられませんでした。しかし、見ていると、マリア様の目からは次から次へと血が流れ出てくるのです」

と彼女は言った。

その後にチャペルに入ったのは、修道士のジョイ・キザカイルさんだった。ジョイさんは、マリア像の前で体を震わせて泣いている彼女の姿を見た。

このニュースはまたたく間に地域に広がり、周辺に住む65世帯のカトリックの家族たちが訪れた。夕方までにはマリア像を見に 3,000人が集まった。

翌日の日曜日にもマリア像は目から血を流した。
ジョイさんによると、日曜の血の流れ方は前日よりも激しかったという。

「聖母マリア様から流れた血は、像の置かれている台の下にまでつたって落ちるほどの量だったのです」。

修道士はその血を採取し、地元のセント・ジョセフ病院に検査を依頼した。その結果、血液は B+ve 型であることが判明した。

今も続く訪問者たちと信仰者たちは、マリア像の前で祈りを続けている。






次は、米国ルイジアナ州で「額から血を流す聖母マリア像」のニュースです。
最初に報じたのは米国の ABC ニュースでした。





Faithful flock to witness 'bleeding' Mother Mary statue in Louisiana front garden
Daily Mail 2012.07.17

信仰者たちが目撃した「聖母マリア像の流血」

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米国ルイジアナ州の信仰者たちは、現在、聖母マリア像の前で祈りを続けている。そのマリア像は、バトン・ルージュ地区にある一般家庭にあるもので、その聖母マリアが「こめかみから出血」をはじめたのだ。

最初に気づいたのは家の持ち主のハイ・グエンさんだった。それを見たグエンさんの娘は、「神様が聖母マリア像を通じて、私たちに何かメッセージを伝えてくださっているのだわ」と思ったとABCニュースに語った。

ニュースが流れた後、このマリア像を見るために多くの信仰者たちが訪れ、現在も、マリア像の前での祈りが続いている。グエンさんは、お祈りをする人たちのために像が見えるよう庭を開放している。



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▲ マリア像に祈り続ける住民たち。



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▲ このマリア像は子どもを抱いている。

地元のキリスト教会の聖職者は、マリア像から出たこの物質が何かということを確認するために、像の額からその液体を採取した。


ルイジアナ大学の宗教学教授は、「このマリア像を見つめることが信仰の意志を示すものとなるだろう」と CNN に述べた。






あとの2つはリンクと概略だけをご紹介しておきます。


Vandals decapitate Virgin Mary statue at convent
Vancouver 24hrs (カナダ) 2012.07.14

カナダ: 心ない破壊者により修道院の聖母マリア像の首が切り落とされる

mary248.jpg

カナダ南東部にあるカルガリー修道院にある神聖な聖母マリア像の首が何者かにより切り落とされ、修道女たちは打ちひしがれている。ルルド像と呼ばれるその聖母マリア像は、7月19日の深夜に何者かにより首が切り取られ、そして、像の腕の部分が折られていた。

警察が現在、捜査を進めているが、修道女たちは「どうして私たちのマリア様にこんなことをするのでしょう」と嘆き悲しんでいるという。


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Faithful see image of Virgin Mary in tree
AP 通信 2012.07.17

米国: ニュージャージー州の街路樹に聖母マリア像が浮かび上がる

mary-tree.jpg

ニュージャージー州で、街路樹に聖母マリア像のような模様が浮かび上がり、信心深い人々がその街路樹に集まっている。

この模様が世界的に有名なメキシコの「グアダルーペの聖母」と似ているという人もいて、柵で保護されて花に囲まれた街路樹には多くの人々が訪れ、十字を切り、祈り、そして泣いている人たちの姿もあった。






以上です。ちなみに、こういう事例は(人為的に行われるものも含めて)連続する傾向にあります。

最後の報道にある グアダルーペの聖母 というのは下のような聖母像だそうです。

200px-Matka_Boza_z_Guadalupe.jpg

この聖母は、Wikipedia によりますと、


グアダルーペの聖母はカトリック教会が公認している聖母の出現潭の一つであり、メキシコで最も敬愛されている宗教的シンボルである。


とのこと。
1531年にメキシコに現れたとされているものだそうです。

やはり、過去記事でも取り上げたような「キリストの象徴としてのペリカンの大量死」というものが起きていたりする現状では、マリア様が血の涙を流し始めることも、あるいはまだまだ続くような気もします。

個人的にも、若い時から二度くらいだったか、マリア様「みたいな形」を見たことがあって、キリスト教徒でも何でもない私がマリア像のニュースに興味を持つのは、その意味もあります。



  

2012年07月15日



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今日、海外で「光」についてのニュースをふたつ見ました。






 


ひとつは、英国のデイリーメールで報道された「カリフォルニアの海の上の青い光」。

こちらです。

blue-01.jpg

これは、報道の説明では「プランクトンが光っている」のだそうです。

要するに「生物の放つ自然現象」ということなんですが、生き物から出る光という範疇を越えている感じがして、見入っていました。ちなみに昼間は「赤く見える」のだそう。

さて、もうひとつのほうが本題なのですが、NASA の観測衛星が、地球上空で捕らえた「光」の話題です。

下の写真です。

sprite-light.jpg


この写真の中央右よりに明るい光があり、その横に「赤い光」が写っているのがおわかりでしょうか。

拡大したものがこちらです。

sprite-02.jpg


この赤い光は In Deep の過去記事に出てきた「スプライト」(「空の妖精」の意味)と呼ばれる高層大気の珍しい光の現象なんです。

空の赤い妖精「スプライト」
 In Deep 2011年08月29日



▲ 2011年8月27日にチェコで撮影されたスプライト。光る時間が0コンマ数秒以下なので、このようにきれいに撮影されることは大変に珍しいものだそう。高さは 20キロから 30キロくらいある巨大な光の現象です。


これは「1000分の1秒から0.1秒ほどの短い時間だけ赤く光る」現象で、上の過去記事に下のようにあります。


面白いのは、このスプライトは、1989年までは「存在自体が科学界では信じられていなかった」ものなのだそうで、それが信じられるようになったのはほんの 20年ほど前のことでした。そして、今では「存在する現象」ということになっています。



ということで、これは原因も発生理由も解明されておらず、「存在だけ確認されている光の現象」で、少し前までは「伝説」だと思われていたものです。

上空の 30キロか ら100キロくらいの高層大気には「まだ解明されていないけれど、見える光」の現象は数多くあり、下の表がその一部です。



▲ 東北大学・福西研究室によるスプライト、ジェット、エルブスの想像図。東北電力・電気と科学の広場より。


そして、私は今回の NASA が発表した動画を見て、初めて「地球の表面は光でフラッシュし続けている」ということを知りました。


光の多くは雷などなのかもしれないですが、多くの光が瞬間的に明るくなり、また消えていることの連続が存在していることがわかります。

その NASA が YouTube にアップした動画をぜひ見ていただきたいと思います。
時間も30秒ほどですので、それほど負担にならないと思います。


宇宙ステーションから撮影した東南アジア上空の光




上の動画も置かれている NASA のThe Gateway to Astronaut Photography of Earth (地球上空からの写真)というページには、他のいろいろな地域の動画があります。

そのうちの3枚を貼っておきます。

・中央アフリカ上空

africa.jpg



・カザフスタン上空

kaz.jpg



・日本海からフィリピンにかけて

japan.jpg


地球の上空は、いつでも「光だらけ」であることがわかります。

そして、私たちはこれらの光の下に生きています。


というわけで、その NASA の記事をご紹介します。






 


Elusive Sprite Captured from the International Space Station
NASA 地球観測ニュース 2012.07.10


撮影の難しい「スプライト」の光を国際宇宙ステーションから撮影


スプライト(妖精)という神秘的な名称を与えられた現象は、以前はその光景をとらえることが大変だった。この「赤い妖精」は、上空80キロメートル程度の場所で発生する赤い色のフラッシュ現象だ。

垂直の、長いひげのように見えるこの放電は、その地点からさらに 上空 20キロから 30キロ程度、上に広がっていると思われる。そして、この現象は雷雨と稲妻と関係している。

下の写真は、ミャンマー中央部からマレーシアに渡る上空を、国際宇宙ステーションから撮影した際に写ったスプライトだ。

2012年4月30日13時41秒から13時47秒までの間の静止画像に写った。


ISS.jpg


スプライトの存在が確認される以前は、パイロットたちからの口頭での報告だけがあり、科学者たちはその存在を認めなかった。科学者たちがスプライトの存在を正式に認めたのは 1990年代になってからのことだった。

スプライトが最初に写真に撮影されたのは 1989年のことで、飛行機から偶然に撮影された。その後 1990年に、スペースシャトルの搭乗員がスプライトの写真の撮影に成功した。

スプライトは地上からでも雷雨の際などに撮影できる可能性がある。




  

2012年07月14日



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▲ 古代の遺伝子を現代の遺伝子に混合させて「進化」させるという試みを生物学史上初めておこなった NASA の宇宙生物学者のベトゥール・ガージャール(Betül Kaçar )博士。女性です。博士が手にしているのがその大腸菌。






 

うちの子が小学生としてはじめての夏休みが近くなりました。7月中は子どもといろいろと行く予定になっているのですが、8月には奥さんと子どもは2週間ほど私の実家の北海道へ帰省することになっています。

で、私は・・・帰省しないのですが(笑)、実家にしてみれば「孫の帰省」こそがイベントであるようです。

どこの家でも、あるいは昔からそうでしたけど、この「孫バカ」というものにはスゴイものがあって、いつの時代でも「孫には無償で与える」という部分はあるようです。

「どうしてそんなに孫がかわいいのか」に関しては、私自身が孫を持つ可能性は年齢からもあり得ませんので、わからないまま死んでいくのでしょうけれど。

そういえば、「パンスペルミア説」を取り上げる時に、いつも名前を出させていただくフレッド・ホイル博士は、性格が非常に気むずかしいことで有名だったようで、インタビューなどでも、特に科学の素人には非常に不親切な人だったそうですが、インタビュアーや取材者たちの中では、フレッド・ホイル博士とスムーズに対談するための「ある秘訣」が知られていたそうです。

それは、

「ホイル卿の機嫌を良くするには孫の話から入れ」

だったそうです。

フレッド・ホイル博士は 2001年に 86歳で亡くなりましたが、博士には4人の孫がいて、特にその中の末孫であったニコラ・ホイルという女の子の話なら「いつまでも笑顔で続けた」ようです。

強固に現代宇宙論を批判し、パンスペルミア説の研究に生涯を捧げた英国科学界の最大の科学者であり、また、現代のジョルダーノ・ブルーノそのものでもあった異端児であるホイル博士も、家では相当な「孫バカのおじいちゃん」だったようです。


Fred-Hoyle.jpg

▲晩年の頃のフレッド・ホイル博士。


そのあたりに関しては、ホイル博士が1987年の著作『進化の数学』の中に次のようなくだりを書いているあたりにも垣間見られるような気がします。


孫を持つ身になると、直接の子供では両親の遺伝子の混合は起きていないように思えてならない。混合は、孫の代になってようやく起きる。それだから、孫と祖父母との関係は、直接の親子関係とかくも違ったものになるのだろう。

遺伝子の立場から見れば、男の女の直接的な結びつきでは、何とも達成されていないのだ。その次の世代、すなわち孫が生まれるまでは・・・。


『進化の数学』(1987年)より。


上の文章はまったく科学とは関係ないです(笑)。

これは結局、「孫ってのはなんてかわいいんだろう。この存在こそ私の遺伝子の現れなんだな。自分の子どもなんかとは比較にならないほど最高にヨイね」という気分を現したくだりだと思います。ホイル博士ほどの人を、このようにしてしまう「孫」というのは何なんでしょうかね。


上のフレッド・ホイル博士の写真を見て、孫と書いていたら、クッキーか何かの CM を思い出しました。

調べてみると、クッキーではなくて、ヴェルタース・オリジナルというドイツのキャンディーの模様。森永製菓のサイトに CM がありました。

mago.jpg

この CM のこの場面のナレーションは、「それはこの子もまた特別な存在だからです」というものです。


さて、ずいぶんと話が逸れましたが(本当だな)、上でフレッド・ホイル博士の名前が出て来ましたが、今回は、「進化」というものに関しての研究についての話でもあります。



太古の DNA への介入を始めた人類科学


記事のタイトルに「ジュラシックバーク」とありますが、考えれば、スティーブン・スピルバーグ監督の映画ジュラシックバークも公開されてから 20年近く経っていることに気づきます。

ジュラシックバークの内容は、その根幹をきわめて簡単に現すと、

 > 本物の恐竜がいるテーマパークを作る

という話です。

では、その「本物の恐竜をどのように作るのか」ということに関しては、Wikipedia の説明をそのまま掲載します。


琥珀に閉じ込められた蚊の腹部の血液から恐竜の DNA を採取し、これを解析・復元した上で欠損部位を現生のカエルの DNA で補完し、さらにこれを現生爬虫類(ワニ)の未受精卵に注入することで恐竜を再生する。



ということです。

これに関しては、映画の中でも「子どもたちのためへの説明映画」という形で、わかりやすく説明しているシーンがあります。


mr-dna.jpeg

▲ 映画内の映画に登場するアニメで、DNA の移植と再生について説明する「ミスター DNA」というキャラクター。この映画で説明を受けた後、テーマパーク「ジュラシックパーク」では、実際の受胎作業の光景なども見物できるということになっています。


現在、 NASA の科学者がおこなっているのは、このような「大型生物の再生」に関してではないですが、「古代の遺伝子を現代の生物の遺伝子に組み込む」という意味では、似た話にも思えます。


また、上のジュラシック・パークについての Wikipedia の説明には、続けてこのような記述があります。


琥珀中ではなく、剥製や永久凍土中に保存されている絶滅生物のDNAから情報を復元することは2009年現在の技術でも可能であると考えられており、絶滅生物のクローニングを目指す研究が行われている。マンモスなどはこの対象として良く取り上げられる。



とあります。

これは、今年2012年になり、何度も報道されていて、ひとつは「日本とロシアの共同研究によるマンモスの再生」の報道で、もうひとつは「韓国とロシアと共同研究によるマンモスの再生」です。

それぞれ、今も日本語のニュースが残っていますので、ご参照下さい。



日本のほうは、日本側の主軸区となるのは近畿大学の研究チームです。また、上の韓国のほうのニュースでは、2006年に胚性幹細胞(ES細胞)研究で論文を捏造したとして報道された黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大教授が主軸です。

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▲ ロシアの研究機関とマンモス再生の共同研究について調印する韓国のファン・ウソク元ソウル大教授(左)。テレグラフより。


というわけで、どうも人は「古代の生物の再生」にえらく興味があるようです。


私自身は、実はこれらのすべての行為に、かなり否定的で、その理由は、

「絶滅したものは絶滅する理由があったから絶滅した」

のであり、再生に何の意味があるのかよくわからないということがあります。
絶滅もまた「摂理」だと考えます。


とはいっても、実際に DNA レベルで生物に介入できるようになった生物科学では、これらと類似した様々な研究と実験が繰り返されるとは思います。もちろん、もしかしたらこれらの研究は、実際に世の中の役に立つことなのかもしれないし、それはわかりません。


というわけで、大型生物の再生とは違うながらも、 DNA に介入して、「生物の進化を眺める」という、科学史上初めての試みが米国の大学内にある NASA 研究所で進められています。


実験進化

なお、翻訳記事には「実験進化」という言葉が出て来ます。初めて目にしたのですが、調べると「人為的に進化を引き起こす研究」のことだそうです。

つまり、「人間の手による進化」ということのようです。
進化といえるのかどうかは微妙ですが。






 


Real Life Jurassic Park: Scientists Resurrect And Place 500-Million-Year-Old Gene In Modern Organism
Nano Patents and Innovations 2012.07.11

本当の「ジュラシックパーク」: 5億年前の遺伝子を現代の生物に移植して復活させようとする科学者たち


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ハリウッドの映画の制作プロジェクトの期間に比べると、このたび始まったプロジェクトの期間は非常に長いものとなるようだ。

その期間は「5億年」。

しかし、これは映画を作るプロジェクトではなく、米国ジョージア工科大学の NASA センターで実際に進められている。

ジョージア工科大学の研究者たちは、「古生物の実験進化」( paleo -experimental evolution )と呼ばれるプロセスを使用し、バクテリアから5億年前の遺伝子を抽出し、それを現代の大腸菌に着生(移植)した。

このバクテリアは、成長を続けており、今では 1,000以上の世代を経ている。そして、科学者たちは活動中の進化を観察し続けている。


ジョージア工科大学にある「 NASA リボソームの起源と進化の研究センター」( NASA Center for Ribosomal Origins and Evolution )」の宇宙生物学者であるベトゥール・ガージャール(Betül Kaçar )博士は、以下のように語る。

「私たちは、生命の分子のテープを巻き戻して、『リプレイ』できる時に非常に近いところまで来ています」。

「生命が、かつての進化と同じ軌跡を繰り返すかどうかということ。あるいは、生命がかつての進化とは異なった経路に沿って適応していくのかどうかを、現代の生物(大腸菌)に着生させた古代の遺伝子の進化から私たちは学んでいます」。


2008年に、ガージャール博士のアドバイザーである生物学者エリック・ゴーシェ博士( Eric Gaucher )が、大腸菌の中の EF-Tu (細菌細胞で最も豊富に見られる蛋白質)内に配列させる古代の遺伝子配列を決定した。


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EF は、バクテリアで最も多いタンパク質のひとつだ。そして、 EF はすべての既知の細胞内で見つかっている。


これらの試みは、現代の大腸菌の遺伝子のかわりに、正しい染色体命令と位置に古代の遺伝子を置くという難しい作業だが、ガージャール博士はそれを成し遂げた。そして、「古代の生物」を再度進化させようとしている。

現代の遺伝子と古代の遺伝子の両方から成るこの幻想的なバクテリアは、生き残ることには成功したが、しかし、当初、その成長率は通常より遅かった。

エリック・ゴーシェ博士は、「最初変化を加えられた生物は、現代の大腸菌ほど健康ではなかった、あるいは、あまりフィットしていなかったかもしれません。しかし、日が経つうちに、突然変異が積み重なり、変化を加えられた生物は次第に適応してきました」と言う。

そして、成長率も上がっていった。

最初の 50世代のあと、科学者たちはこのバクテリアがどのように適応していったかを確定するために、ゲノム配列を確かめた。

その結果、変化を加えられたものは、ほとんど現代の生物のレベルにまで適応しただけではなく、それらのうちのいくつかは現代のものより健康になった。

そして調べると、 EF - Tu 遺伝子が突然変異を蓄積させているわけではないことに気づいた。バクテリアの中で、古代の EF - Tu と相互作用する現代のタンパク質が突然変異をしたのだ。

要するに、古代の遺伝子は、その最新の形と類似しているようになるために突然変異したのではなく、バクテリアは新しい進化の経路で適応するとわかった。

これらの結果は、最新の NASA 国際宇宙生物会議で発表された。


ガージャール博士は、

「このプロセスの中で、私たちが分子生物学において長いあいだ疑問に思っていたいくつかの質問に答えられることになると思います。生物の歴史というものが、進化によりひとつの進化の結末しか持っていないのか、あるいは、進化が複数の解決方法を持つのかを知りたいのです」

と述べた。




  

2012年07月13日



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洪水被害の報道が「ない日がない」日々の中で







 


昨日の記事、

「太陽が消えたスウェーデン」を含む「経験したことがない」と人々が語る東欧と北欧の異常気象

の中で、「現在の九州などの大雨被害も海外では報道されていない」というようなことを書いたのですが、その後、被害が拡大するにつれて、海外でも取り上げられています。

海外の人たちが最初にこの洪水被害を知ることになった報道は、多分、米国の NBC の報道で、そこにヤマモト・アラタ(Arata Yamamoto / 漢字は不明)という記者の方がいるようで、この名前だと日本人の方だと思うのですが、その人が NBC でリポートした記事が数々のサイトやブログに引用されています。

下はそういうもののひとつですが、「想像もできないほどの大雨により地図から消えた日本の町」というようなタイトルがつけられています。

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下の映像は 米国 NBC の報道 に部分的に字幕を入れたものです。あまり時間がなく、ナレーションと字幕の内容は同期していませんが、大体の内容としていただければ幸いです。




数日前に書いた「「アメリカとイギリスで「対極の気候」を迎えた2012年の夏」」という記事の中で、世界各地で起きている洪水のことに少しふれたのですが、正直な思いを書けば、今後も、この「洪水」というものとは向き合い続けなければならないことのように感じています。

その理由は、たとえば、九州の「前例のない雨量の雨」というものを見てもそうですが、「もはや天候は過去とは違う」ということがあるからです。

また、上の記事では、先日発生したロシアの洪水についてふれたのですが、そのロシアの洪水の状況も「異常」だったことが続報で明らかになっています。下は、ロシアのメディア「ロシアの声」の記事で引用されていた、モスクワ国立大学の気象学者の言葉です。


「今回洪水が起きたクバン地方ゲレンジク地域は乾燥した亜熱帯地方に属す。ところが今回ゲレンジクでは1昼夜に300ミリの降雨量を記録した。これは7月としては6ヶ月分の降雨量に相当する。300ミリがどれほど多いものであるかを理解するためには、1平方メートルあたりの面積に10リットルのバケツの水を30回注いでみれば想像がつくだろう」。



つまり、ロシアの洪水の被害があれほどひどいものとなったのは「それまで誰もそんな雨を経験したことがない乾燥した土地」だったからで、洪水に対しての対策や心構えといったものが存在しない土地だったようです。そのような乾燥した地域に「6ヶ月分の雨が一昼夜で降った」という異常中の異常といえる雨だったようなのです。


RIAN_01174584.jpg

▲ 豪雨で水没したロシアのクバン地方西部。本来は雨が少ない乾燥地帯だそうです。


最近の日本や世界各地の自然災害を見ていますと、「もはや今までと同じような気候や天候が繰り返される時代ではない」ということが今年は特に明らかになってきている気がします。

「今まで」というのは、この 2000年とかそういう区切りですが、文化、生活、そして農作なども今までは違う形に変貌させていかなければならない時期の始まりということなのかもしません。もちろん、先のことはわからないですが、しかし今後、突然、穏やかな気候に戻るというような気はあまりしません


上のモスクワ国立大学の気象学者はこのようにも言っています。


「同地方で過去100年にこうした集中豪雨がなかったことから、近い将来に同じ事態が繰り返される危険性が全くないとは言い切れない。これは気候変動に端を発する異常気象が多くなったことと関連する。われわれはいかなる事態が起こってもおかしくないと準備を怠ってはならない」。



九州の大雨でも、雨に関しての表現を変えた気象庁は、

「かつて経験したことがないような雨」

という表現を使いましたが、これは上のロシアの気象学者と同じような表現ともいえます。


これから先、私たちはどのくらいこの「かつて経験したことがない」という現象と遭遇していくのかわからないですが、しかし、それも紛れもない今後の私たちの生活の現実であるわけです。



次の新しい十数万年に向けて


地球上に、通称ミトコンドリアイブなどと呼ばれる私たちの母「みたいな」人が現れたのは 20万年前くらいだと言われています。

その後の十数万年というのが、現代の私たちの人類文明のひとつのスパンだと考えることができると思うのですが、文献や記録といったもので残る私たちの生活は、せいぜい数千年です。日本に関しては 2000年前も正確にはわかりません。

そして、人類が本格的に「世界に広がった」のは、ほんの6万年くらい前のことであることも、遺伝子学でわかってきています。そこから現在の地球の人類文明は事実上スタートしたようです。

そして、その後に「記録としての文明」が生まれるまでの数万年の間、人類がどの程度の気候変動を経験してきていたのかも実は誰にもまったくわかりません。7万年前に人類は「 2000人程度まで減ったかもしれない」ということが、ミトコンドリアDNA の解析によって判明したという発表が 2008年に米国スタンフォード大学から発表されました。

下のニュースは要約ですが、それに関しての 2008年の報道です。


Study says near extinction threatened people 70,000 years ago
AP通信 2008.04.24

人類は7万年前に全世界でわずか2000人にまで減少し、絶滅しかけていたことが研究で判明

遺伝学研究によると、ミトコンドリアDNAの追跡により、現在の人類は約 20万年前にアフリカに住んでいたミトコンドリア・イブと呼ばれる単一の母親の子孫であることがわかっている。そして約6万年前から全世界へ人類の分散が始まった。しかし、この「人類の全世界への分散までの間に何が起きていたか」については今までほとんどわかっていなかった。

最近のスタンフォード大学の研究によると、南アフリカのコイ族とサン族が 9万年前と15万年前にほかの人々から分岐した形跡がミトコンドリアDNAの解析で判明した。

そして、今から7万年前には極端な気候変動によって人類の数は一時 2000人にまで減少し、絶滅の危機に瀕していた可能性があることがわかった。



この研究が完全に正しいかどうかはともかく、「極端な気候変動によって人類は絶滅の危機に瀕した」ということがある程度はわかりはじめています。

ちなみに、上のくだりで大事なのは「絶滅の危機に瀕した」という「瀕した」という部分です。

つまり、人類は絶滅しなかったということです。


もちろん、いつかまた人類は2000人になってしまうのかもしれないですが、それは懸念や心配するような話ではなく、単なる地球の循環でありサイクルです。


幸いなことに、人間は過去も未来も見えません。知ることもできません

このあたりは、震災後に何度も書いていたことと重なりますので、ふれないですが、とりあえず人間が体験できるのは「瞬間の現実」だけです。

なので、過去や未来を心配するより、目の前に起きることにとにかく対処しながら、そして、あとは普通に生活できれば、それでいいのだと思います。
できれば楽しく。


私たちが将来、化石や遺跡として発見される頃、それを見つけたその未来の人々が「この時代の文明は素晴らしい」と思えるようなものが残ればいいのだと思うし、少なくとも日本には多少そういう「素晴らしかった文明」が存在しているとも思います。

そして、私たちが遺跡になっていく時代がこの夏から始まるのかもしれません。
それは同時に次の新しい数万年の時代のはじまりかもしれないです。


上に書いた「人間は過去も未来も見えません。知ることもできません」ということに関しての関係記事をリンクしておきます。

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[予言から離脱した人類]の関連記事:

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2011年04月08日



  

2012年07月10日



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nasa-press-conference-today.jpg

▲ NASA が2010年12月に「新しい生命」として事前アナウンスした際のプレスリリース。写真下部が NASA が新しい生命とした GFAJ-1 というカリフォルニア州モノ湖で採取されたバクテリアの写真。このたび、これが新しい生物ではなく「普通の地球の生物」だったことが実験により判明。






 



2010年12月に NASA が「異例の大規模発表」をおこなったということがありました。その時には In Deep でも何度か取り上げました。

その記事は、

地球上で見つかった「炭素ベースではない」まったく新しい生命: NASA による発表が行われる予定
 In Deep 2010年12月03日

というもので、NASA が「発表に関する事前のアナウンス」までおこなって話題となったものでした。これは、つまり、

「×月×日×時に、重大な発表を行います」

というタイプの事前アナウンスで、しかし、それがどういう内容かを事前アナウンスで言わない。
そのせいもあり、ネット上などでも様々な噂が流れました。

海外の BBS などでは、主に次の二点のどちらかの発表が NASA から行われるのではないかとする意見が主流でした。

すなわち、

・エイリアンとの会見の発表ではないか
・他の惑星での生命に関しての発見のアナウンスではないか


というものでした。

何しろ NASA で過去にこのような事前アナウンスの例がなかったということもありますし、また、発表内容に関してのアナウンスが一切なかったもので、世界中のSFファンたちが心をときめかしました。
私も「何の発表だろうなあ」と考えていました。


結果としては、その発表は、「地球で見つかったリンを使わないタイプの新しい生命」に関しての発表で、生物学者たちは興奮しても、SFファンが喜ぶようなものではありませんでした。

それはモノ湖という米国の湖で見つかったバクテリアで、「生命に必要なリンを使わず、ヒ素を使う」というまったく新しい生命として GFAJ-1 と名付けられ、今では Wikipedia にも GFAJ-1 のページがあります。

GFAJ-1.jpg

▲ GFAJ-1 。


しかし、科学誌サイエンスの最新号に「新しい生命だということが否定された」という複数の論文が掲載されました。

つまり、新しい生命でも何でもなかったようなのです。


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成果が求められ続ける「現代科学界」の迷走


今回の報道のいくつかを読んでいて、ふと、先日の、ヒッグス粒子が「見つかったかもしれない」と大騒ぎになった時に書いた記事を思い出しました。

科学者たちの「神」の意味
 In Deep 2012年07月05日

上の記事に書いた下のくだりを思い出します。


普通の他のいろいろな科学の発見で、「〜と見られる」とか「発見か?」というような暫定段階での研究成果がこんなに大きく報道されることがあるでしょうか。普通だと、科学的発見というのは、「確定」ということになって、大発表になるはずだと思うのです。

それがどうして、こんなに大きく報道されるのか。
どうして暫定結果を世界的報道としなければならないのか。

(中略)

ここからは否定的な意味で書くのではなく、こういうことはすべての科学の研究には必要なことなんですが、「予算の確保」なんです。



から始まる部分です。

つまり、科学研究の予算確保のためには、とにもかくにも「話題」となり、「注目」を浴びる発表が必要だということが確かにあるようです。


ヒッグス粒子に関係する CERN は欧州が中心となって世界中から予算が拠出されていますが、 NASA は米国内の一種の政府機関です。なので、その予算は米国政府での予算編成の中で決められます。

その NASA に数年前から起きていることが、「米国政府による NASA の予算の削減」です。

過去記事の、

米国政府が NASA 火星計画の予算を停止。米国の火星ミッションが事実上終了へ
 In Deep 2012年02月29日

には、「米国政府が NASA の予算の削減を発表し、事実上、米国の火星計画は中止される」ことについて書かれていて、また、翻訳したのは米国のブログ記事なのですが、その作者は、下のように書いています。


The Oldest Human Skull より。
--

火星探査に対しての予算削減の理由は経済的な理由だけによるものではない。簡単にいうと、NASA は火星での生命の発見に事実上失敗しており、それが最大の原因だ。

科学者たちは長い間、火星で実際の生命を発見することのないまま、議論上だけで「生命が存在する可能性」を延々と語ってきた。そして、多大な資金が火星探査に費やされてきた。

それなのに、今でもなお、NASA は「火星探査のミッションは火星の生命を探すためではない」とアナウンスし続けている。

(中略)

しかし、それはとんでもない「浪費」であり、予算の無駄遣いだったのだ。



とあります。

実は、端的に言いますと、

米国政府は NASA に「高度な宇宙生物を発見してもらいたかった」

ということがあったことは書類上ハッキリしているようです。

ところが、NASA は多くの「推定証拠」があるにも関わらず、その発表に極度に神経質になり続けた結果、米国政府は、

「もう月や火星探査はやめよう。予算もないし」

という形で火星探査は今年8月に火星に到着する無人探査機キュリオシティを最後に打ち切りとなりました。そして、宇宙関係の予算そのものが大幅に削減されてしまっています。

宇宙開発は今後は民間に」などという言葉も出てくる始末。


NASA が「微生物ごときの発表」にそんなに慎重だったということを不思議に思われる方もいるかと思います。知的生命ならともかく、バクテリアくらいならどこで発見されたっていいだろうと。

この「どうしてそのことに科学者たちが慎重になるのか」に関しては、過去記事の、

現代のジョルダーノ・ブルーノを作り出さないために
 In Deep 2012年03月01日

をご参照していただきたいと思いますが、簡単に書くと、微生物やバクテリアであっても、うかつに宇宙生命の存在を認めてしまうと「現在の物理学と生命科学の根幹」に違反してしまうおそれがあるということからです。

その現在の物理学と生命科学の根幹は、


・ビッグバン理論(物理学)
・進化論(生命科学)



ですが、ここに違反すると科学者としての立場が「焼かれてしまう」可能性があります。そこで、たかがバクテリアの発表にもそんなに慎重になっていたのですが、しかし慎重すぎた

なぜなら、米国でもどこでも政府の人間は科学者ではありません。

政府や政権の人気、あるいは利権などが絡まない科学研究にいつまでもお金を出し続ける政府はどこにもないと思います。


でも、お金(予算)が提出されないと科学の研究はできないという事実もあります。

2010年の NASA の「新しい生命」の大々的な発表も、先日のヒッグス粒子の「暫定結果」の世界的な発表も、根底には以上のような理由が内在しているような気がいたします。



「新しい生命の存在」は夢物語なのか


確かに、発表を受ける私たちとしてはやや困惑しますが、科学の研究に予算がなければ続けられないのも事実ですので、まあ、批判的ではなく見ていきたいとは思いますけれど、研究者サイドも、もっと素直になってもいいのかなあとも思います。


そんな中、科学誌サイエンスに掲載された、その2010年の「 NASA の大々的な発表」が間違いだとする論文のが昨日、世界中で報道されました。

この報道の内容はわかりやすくはないですが、ポイントとしては、いちばん上の In Deep の過去記事で訳した「 NASA が新たに発見されたDNA ベースではない生命形態の発表を予定」から抜粋しますと、この部分です。



地球上で見つかった「炭素ベースではない」まったく新しい生命: NASA による発表が行われる予定より。
--

NASA の科学者が、現在、我々が知っているものとはまったく違う形態のバクテリアを発見したことを発表する。このバクテリアは、リンではなく、ヒ素を使う。

地球上のすべての生命は、6つの構成要素からなっている。
それは、炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄だ。

小さなアメーバから、大きなクジラまで、地球上で生命といわれるものはすべてこの構成要素を共有している。

しかし、今回発見されたバクテリアはそれが完全に違うと考えられるという。



です。

そして、この部分が実験により否定され、「これは新しい生命ではない」ということになったようです。今まで発見されていなかった極限環境生物の一種という分類に収まる「通常の地球上の生物」だったようです。


もちろん、今後、「炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄の生命に必須の6種の要素を使わない生命」、あるいは、「 DNA を持たない生命」などが地球で発見されれば、それはいつでも大きなニュースとなると思いますが・・・ふと「そういう生命は存在しないのでは・・・」と思ったりもする夏の日でした。

それでは、前振りが長くなってしまいましたが、ここから記事です。






 


ученые NASA ошиблись, найдя на Земле иную форму жизни
Biznes Portal 2012.07.09


NASA の科学者たちの地球上での生命についての発見は完全に間違っていた


mono-lake-01.jpg

▲ 米国カリフォルニア州にあるモノ湖(モノ・レイク)。


欧米のふたりの科学者が、米航空宇宙局(NASA)の研究チームが発表した仮説を否定する論文を米国の科学誌に発表した。

NASA の研究チームは、ヒ素を生存に利用する細菌を米国のモノ湖で発見し、これが地球外生命の探索に影響すると 2012年12月に発表したが、今回これを全面的に否定する複数の論文が発表され、NASA の発見した生命は新しい形態の生命ではなかったことがわかった。

発表は、スイス連邦工科大学チューリヒ校と、米国のプリンストン大学のそれぞれの研究チームにより発表された。

現代の生命科学では、地球上のすべての生物は、生きて増殖するために「炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄」の6つの要素がすべて必要で、これのない生物はいっさい存在しないとされていた。

しかし 2010年の NASA の研究チームの発表では、カリフォルニア州にあるモノ湖で見つかった細菌が、「リンを使用せずに、ヒ素を利用して生きている」と発表して、現代の生命科学理論に衝撃を与えた。

リンは生命の遺伝情報を担う DNA の成分となっているが、このモノ湖のバクテリアからはリンが見つからなかったのだ。

この細菌は、 NASA の宇宙生物学研究所のフェリッサ・ウルフ・サイモン博士によって発見され、 GFAJ-1 という名称がつけられた。

しかし、スイス連邦工科大学とプリンストン大学のそれぞれの研究者による実験では、モノ湖で見つかったこのバクテリアは、「リンのかわりにヒ素を使っている」のではなく、ヒ素濃度が高い環境でも生存できるというだけのことで、低濃度のリンを利用していることを実験で確認した。

2010年の NASA の発表の際には、論文発表前に、「地球外生命の証拠探索に影響を与える宇宙生物学上の発見について」という会見予告をおこなうなど、大げさな喧伝がなされたが、結果的にこの生物は、ヒ素を使っている生命ではなかった。

しかし、今後、仮に「炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄」の6つの要素を使わないような生命が見つかれば、それはやはり新しい生命の発見ということになり、その場合には、改めて、過酷な環境下での地球外生命についての生命形態についての論議がなされるはずだ。


[関連記事]
生命の種子: 分析により隕石の原子の地球起源が否定される
米国で「独自の遺伝子コードをもつ人工生物の作成」に成功



  

2012年07月06日



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昨日、一昨日と、ヒッグス粒子のことについて少し書いていました。






 


昨日の記事は、

科学者たちの「神」の意味
 In Deep 2012年07月05日

というタイトルのものだったんですが、今朝、ロシアの「プラウダ」に、今回のヒッグス粒子の発表に関して「神を演じる科学者たち」というタイトルの記事がありました。

それは、「Congratulations」(おめでとう)で始まったあと、

「科学界の皆さん、神の粒子を発見されたそうで、おめでとう! でも、あなたたちは実際には何も発見していない」


という出だしで始まる過激なもので、その内容をご紹介したいとも思ったのですが、内容が専門的すぎて訳せないのです。粒子を計測するための「ギガ電子ボルト」( GeV / c2 )という数値などの計算や、何だかわからない物質の名前などから構成される内容で、実証的な科学批判のようなののですが、書いてあることがひとつもわかりません。

その記事をリンクしておきますので、科学にお詳しい方等お読みくださればと思います。
プラウダはロシアメディアですが、これは英語の記事です。

Scientists play God

pravda-07-05.png

▲ その記事より。なぜか「焼け野原の写真」が添えられています(笑)。



さて、今回は「病気」の話なんですが、私が「パンデミックや感染症の流行」といったものに興味がある理由などについて少し書いておきたいと思います。


インドに再び降った「赤い雨」


私が感染症などのウイルスなどによる病気に興味がある理由としては、フレッド・ホイル博士などによるパンスペルミア説(生命は宇宙から運ばれている)の存在があります。

パンスペルミア説を支持する科学者たちの間では、1960年代くらいから、

彗星が病原菌を運んでいる可能性

について、わりと長い間、実証的な研究が進められていたということがあります。

フレッド・ホイル博士に関しての Wikipedia から抜粋します。


ホイルは晩年、生命の起源を自然主義的に説明する化学進化の理論を頑強に批判した。チャンドラ・ウィクラマシンゲと共にホイルは、生命は宇宙で進化し、胚種 ( パンスペルミア / panspermia ) によって宇宙全体に広がったというパンスペルミア仮説を唱えた。

また地球上での生命の進化は彗星によってウイルスが絶えず流入することによって起こると主張した。



というものです。

フレッド・ホイル博士が亡くなった後、その弟子的な立場のチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士が研究を続けていると思うのですが、新しいリリースの話をききませんので、どのようになっているのかよくわかりません。


それと関連して、最近、印象的な出来事がありました。

かなり前に In Deep の記事で、

インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した
 In Deep 2010年09月07日

というものを書いたことがあります。

2001年に、インドのケララ州というところで「2ヵ月間に渡って赤い雨が降り続けた」という奇妙な現象がありました。各国の科学者たちがそれについて調べている中で、

赤い雨は生命だった

というひとつの結論に達したというものです。




▲ 2001年のインドの雨の顕微鏡写真。これらの生命には「 DNA 」がありませんでした。


その雨には、上の写真のような「生命」が含まれていることはすぐにわかったのですが、奇妙だったのは、「これらの生命が DNA を持たなかった」という点でした。

仮に、地上に降った後に微生物などの生命が混入したのであれば(地球上の微生物ならば)、それは必ず DNA を持つのですが、上のものには「 DNA がなかった」のです。


地球上にある生命や、その素材の中で「 DNAを持たないもの 」というのは限られているようで、その中のひとつが「人間の赤血球」です。

それらは

ヒトを含め哺乳類の赤血球は、成熟の途中で細胞核とミトコンドリア等の細胞器官を失っているので、正常ではない場合を除くと、DNAを持っていません。 (Yahoo! 知恵袋より)

ということなのだそうです。


つまり、上の写真の赤いものが「赤血球」であれば問題はなかったのですが、上記 In Deep の記事でご紹介した米国マサチューセッツ工科大学の記事によると、これらは赤血球ではなかったようなのです。

そこには、

これらの細胞が 121度の温度下で繁殖した

という驚くべき結果について載せられています。

そして・・・最近またインドで降ったのです。赤い雨が


これに関しては、Sudden Red Rain Shower Causes Panic In Kannur (インドで突然の赤い雨に人々はパニックに)という記事などありますが、もう少し詳しい状況がわかりましたら、ご紹介したいと思います。


いずれにしても、「いろいろと空から降っている」というような現状はあって、これに関しては、実は 1980年代に NASA は高層大気圏を調査していたのですよ。でも、理由を明らかにしないまま、調査は中止となったことが、フレッド・ホイル博士の著作に載っていました。「あの実験が続けられていれば」とホイル博士は残念がっていました。

しかし、たとえば、 In Deep の過去記事ですが、

宇宙のバクテリアを用いての強力な発電実験に成功した英国の研究チーム
 In Deep 2012年02月29日

というように、現在では実際に高層大気にいる「宇宙の微生物」を使っての発電なども進められていたりと、時代は少し変わってきましたけれど。これに成功したのは、英国の名門、ニューカッスル大学の研究チームです。


前置きが長くなりましたが、「病原菌」というのは上に書いた例と並べられるものだと私は考えていて、それだけに「病気の意味」など考えるところは多いです。


それでは、ここから本文です。







 



増え続けている子どもだけの「謎」の感染症


先日、日本語の報道で、「カンボジアの病気」のことが報道されていました。
下のは時事通信の記事です。


謎の病気で子供60人死亡=WHOが調査−カンボジア
時事通信 2012.07.03

世界保健機関(WHO)カンボジア事務所は3日、同国で4月以降の3カ月の間、謎の病気により子供60人が死亡したことを明らかにした。WHOは同国保健省と共に原因究明を急いでいる。

同事務所の公衆衛生専門家によると、死亡したのは全員、7歳以下。
発症が報告された61人のうち、一命を取り留めたのは1人だけだった。「高熱と共に胸部に重い症状が出るほか、神経障害の兆候が見られるケースもあった」という。



というものです。

私の知る限りですが、2010年以降、「子どもだけ」が感染する病気で、結局、その病気の何かわからなかったという事例が医療専門機関から発表されていたのは、

・フィジー
・インド
・ベトナム
・ウガンダ
・トルコ

などとなっています。

しかし、他にも、たとえば、アフリカや中東の紛争地域などでこういうことが起きていても、それはわからないままになっている可能性もあります。報道というのは、常に「世界の一部」のことしか取り上げられていないというのもまた事実だと思われます。



ロシアのメディアでいっせいに報道された「子どもだけの謎の病気」


子どもの謎の感染症で最も最近のものが「トルコ」で発生したものです。

turkish-virus.png

▲ ロシアのメディアでの「謎の病気」の報道。7月4日のものです。この子のように、全身に赤い発疹が出た後に発熱が始まる症状のよう。

トルコのベレクという町はロシア人たちの避暑地となっているのだそうですが、そのリゾート地で発生したものです。なので、現在、患者はロシア人だけのようです。

以下、そのトルコの病気、そして、ウガンダ、インドなど手元にあるいくつかの「最近の謎の子どもの病気」の報道を要約します。ベトナムの謎の病気は大人も感染しているようですが、他はすべて症状が「子どもだけ」に出ています。


トルコ

rus-vir.png
extrafast 2012.07.04

トルコのリゾート地で謎のウイルスに苦しむロシアの子どもたち

トルコのリゾート地の町ベレクのホテルで、このホテルに泊まっているロシア人宿泊客たちの子供たちの間に正体不明のウイルスが猛威を振るっていることが、現地のロシア人宿泊者からの連絡で判明した。すでに半月もの間、感染は続いているという。

このウイルスには子どもたちだけが感染し、はじめに湿疹が出たあと、3日間ほど熱が上がり、そして扁桃腺炎のようにのどが痛くなる。しかし、これは大人にはうつらないという。

なお、今回の旅行を企画した旅行代理店は、ベレクのホテルで伝染病が発生しているという情報は受け取っていないとしており、現地の実態は不明なままだ。




ベトナム


ベトナム 正体不明の病気との闘いに国際援助要請
ロシアの声 2012.04.22

ベトナム政府は、世界保健機関(WHO)とアメリカ疾病対策予防センター(CDC)に対し、正体不明の病気と闘うため援助を要請する意向だ。ベトナムではこの病気ですでに 19人が死亡している。

この病気は、今のところ自然界では知られていないもので、ベトナム中部のクアンガイ省で広がり始めた。

BBC放送によれば、すでに 270人の感染者がいる。この病気にかかると、まず高い熱が出、身体に発疹が生じ、その後肝臓などの器官に障害が起こる。初期段階ならば治療し直すこともできるが、症状が進んでしまうと治療が極めて難しいという。





ウガンダ


MYSTERIOUS DISEASE HAUNTS UGANDA
UT 2012.06.09

謎の病気がウガンダで多くの子どもたちを苦しめる

ウガンダ北部で流行している謎の病気は、現地のヒーラーにも治すことができない。

この病気は、子どもたちが突然、てんかんのような症状に陥り、成長と精神の発育に影響を与えるものだが、原因はわかっていない。当初は、これはウガンダの奇病「うなずき病」(激しく首を振り始め、意識を失い死に至るウガンダに存在する病気)かと思われていたのだが、そうではない可能性が出ている。

現在、アメリカ疾病対策予防センター(CDC)がこの病気の解明のために、ウガンダに専門家チームを派遣している。






インド


Mysterious disease in India kills 73
RIA 2012.06.09

インドで謎の病気により 73人の子どもの命が奪われている

謎の病気が、この2週間の間に、インド北部のビハール州で 73人の幼い子どもの命を奪った。

州の保健当局や治療にあたった医師によると、子どもたちは脳炎と似た症状を示していたという。しかし、保健当局は、死亡原因はいまだにつかめていないと述べる。



などです。


極めて正直に言えば、これが「大人ばかりが感染して死亡する病気」なら、それほど気にしなかったと思いますが、「子どもばかり」というのが気になります。

未来の世の中を作っていくのは、基本的に子どもであり、大人がいくら消滅しようとも未来は消えませんが、子どもが消滅すると「未来そのもの」が消えてしまう可能性があります。

今後もこれらに関しての報道がありましたら、ご紹介したいと思います。