毎朝、最初に天気予報というか、気温の予報を見ます。
そして、インドのグジャラート州かと見紛うような気温の予測に毎日、「うーむ」と唸ります。
私の住んでいるあたりの小中学校は今週から学校が始まりましたが、むしろ気温は上昇気味で、
「夏本番で夏休み終わりかよ」
と思わざるを得ない気候変動の秋でありました。
今後、気候変動があまりに激しくなった場合には、「6月から11月まで夏休み」で、「12月から4月まで冬休み」とかになっても別にいいような(投げやり)。
あー毎日暑い。
昨年の夏はどんな夏だったっけと1年前の 8月31日の記事を見てみましたら、
・消滅したエレニン彗星:そして、彗星の存在の意味
In Deep 2011年08月31日
でした。
下がその消えていく様子の写真です。
エレニン彗星が消えたのは昨年の今頃だったか・・・。
ちなみに、完全に消滅したのは、昨年の 9月11日頃でした。
・エレニン彗星は 9月11日に太陽フレアの中でほぼ完全に消滅
In Deep 2011年09月17日
このエレニン彗星は当時、ずいぶんと人間たちから嫌われていて、彗星好きな私は不憫に思ったものでしたが、上の記事に記したように、エレニン彗星は、「嫌われたことに悲しんで自殺するかのように」太陽フレアに突っ込んでから消滅しました。
それから1年。
何かが変わったのか変わらないのか。
よくわかりません。
しかし、今回は別の話題です。
解析が進む「地球の他の月」のこと
今年の4月に記した記事に、
・地球の「隠された複数の月」の実態がスーパーコンピュータでのシミュレーションにより解明される
In Deep 2012年04月02日
というものがありました。
もともとは、アメリカのマサチューセッツ工科大学が 2011年に、「地球は常時、複数の衛星(他の月という意味)を持っている」という発表をおこない、その後、他の研究チームなどがそれに関してさらに調査した結果に関してのものです。
下の図は、ハワイ大学の研究チームが、スーパーコンピュータを使用して計算した、「ミニムーン」の軌道のシミュレーション。
いわゆる「円形の軌道」ではなく、かなりムチャクチャな軌道を描いているように見え、それに個人的に興味を持っており、「続報はないのかな」と待っていましたら、このことに関しての新しい研究について、昨日の米国の科学系サイトで記事になっていました。
上の「ムチャクチャに見える軌道」についての話ですが、実際にクレージーな軌跡を描いているようで、しかも、こういうものが常に地球の周囲を(しかも、複数)「地球の衛星」として回っているらしいのです。
地球とその「直近宇宙にあるもの」との関係性だけでも、私たちが小さな頃から思い描いていた姿とはずいぶんと違うような感じで、太陽系の他の惑星のことも含めて、私たちの「頭の中の宇宙の姿」は変わろうとしているように思います。
もちろん、これは科学者の方々の地道な研究と、開発機器やコンピュータ解析が進んことによるものであることは確かで、テクノロジーというものにも私たちはちゃんと感謝しないとなあ、と思う次第です。
今回はそれをご紹介しようと思うのですが、その前に、最近の記事、
・国際宇宙ステーションで行われている「宇宙空間での生物移送実験シミュレーション」
In Deep 2012年08月21日
などとも関係するタイムリーなニュースをご紹介しておきます。
「宇宙の匂い」を体験している JAXA の日本人宇宙飛行士
過去記事の、
・宇宙空間に「強烈な匂い」が漂っていることを知った日: 「それは焼けたステーキと金属の匂い」と語る NASA の宇宙飛行士たち
In Deep 2012年07月24日
というものを知って以来、私個人は「宇宙の匂い」に非常に興味を持っているのですが、今まさに、その宇宙の匂いを、日本人が体験しています。
国際宇宙ステーションの長期滞在クルーである日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんが、昨日 2012年8月30日から「船外活動」、つまり宇宙遊泳を行っているのです(8月31日現在、ミッションは終了しています)。
上記の記事では、ロシア人宇宙飛行士の宇宙でのミッションを書きましたが、今回は米国側のミッションで、アメリカ人の女性宇宙飛行士であるサニータ・ウィリアムズさんと共に、星出さんは、電力切替え装置(MBSU)の交換、ロシアのモジュールへのケーブルの接続、ロボットアームカメラと照明の交換などの作業を行っています。
▲ 現在の国際宇宙ステーションに長期滞在クルーとして搭乗している3名の宇宙飛行士。左から、星出彰彦(日本)、ユーリ・マレンチェンコ(ロシア)、サニータ・ウィリアムズ(米国)の各宇宙飛行士。
このあたりの詳しいところは、 JAXA の「宇宙ステーション・きぼう 広報情報センター」のサイトに随時アップされています。
» JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在 - 星出宇宙飛行士最新情報
また、現在(8月31日)の NASA のトップページもこのニュースです。
▲ NASA ウェブサイトより。見出しは「ふたりの宇宙飛行士は宇宙遊泳でステーションの宇宙空間に包まれた」。写真は多分、サニータ・ウィリアムズさん。
ちなみに、サニータ・ウィリアムズさんは、これが「5度目」の宇宙遊泳だそうで、宇宙遊泳の総時間 29時間17分という記録を持っている宇宙遊泳のプロ。
星出さんは今回が初めての宇宙遊泳のはずです。
そして、このお二人が遊泳している宇宙空間の「匂い」は、過去記事「宇宙空間に強烈な匂いが漂っていることを知った日」でご紹介した NASA のドン・ペティット宇宙飛行士によると、下のように予想外の匂いがするようです。
▲ YouTube より。
いつか、星出さんご本人の口から日本語でその「匂いの話」を聞いてみたいです。
どうしてかというと、星出さんは日本の料理や食べ物も多く知っているはずで、アメリカ人たちより、具体的な匂いの記述になりそうで。
日本には納豆もクサヤもタクワンもあり、また、ナンプラーやパクチーや各種チーズなど海外の匂いのある食べ物も多く日常化しているという、日本は世界1の「匂いの多彩な食べ物」が多く存在する国のひとつであるので、そのあたりの比喩で聞いてみたいです。
それでは、ここから「地球のもうひとつの月」の話です。ハワイ大学と、フィンランド最古で最大の大学であるフィンランド大学、そして、パリ天文台の研究者との合同での研究のようです。
なお、関係する前記事の「地球の「隠された複数の月」の実態がスーパーコンピュータでのシミュレーションにより解明される」でご紹介した、現時点で判明している「ミニムーン」と呼ばれる複数の地球の「小さいな衛星」の特徴としては、
・地球のその小さな月(ミニ・ムーン)の数はひとつではない。
・ひとつの月が1年間、地球の周囲を旋回する。
・そして、その後はその月は太陽の軌道に移動して「太陽の衛星」となる。
というもので、一般的に驚くようなことかどうかはよくわからないですが、私個人としては、
「地球の月になったり、太陽の月になったりする」
というこれらの存在に驚きを覚えたものです。
それではここからです。
Earth’s Other Moons: The Crazy Paths Of Minimoons
Nano Patents and Innovations 2012.08.30
地球のもうひとつの月「ミニムーン」が示すクレイジーな軌道
ヘルシンキ大学(フィンランド)とパリ天文台、そしてハワイ大学の研究チームによると、地球は常に複数の月を持っているという。
私たちが通常「月」と呼んでいる約 3,500キロメートルの直径の月は、人類史の中で、詩人や芸術家にも愛され、また人々がロマンを持って眺める存在であり、そして、この月は 40億年以上のあいだ、地球の軌道に乗って回っている。
その月の「小さな親戚」と考えられる衛星は、「ミニムーン」と呼ばれていて、その直径は 50センチ〜1メートルほどの大きさしかない。ミニムーンは複数あり、彼らは、太陽の軌道で太陽の衛星として周回する前に、1年未満ほどの期間を地球の軌道上を回っていると考えられている。
ヘルシンキ大学のミカエル・グランヴィク教授と、パリ天文台のジェレミー・ヴォーバリオン氏、そして、ハワイ大学のロバート・ジェディック博士は、地球はいつでも複数の月を持っているという可能性についての計算をおこなった。
研究チームは、地球を通り過ぎた 1000万個単位の膨大な数の小惑星の通過に関して、スーパーコンピュータを用いて、その通過をシミュレートした。それから、チームは、地球の重力によって捕獲された 18,000個の物体の軌道を辿った。
その結果、地球の軌道には常に最低でも1個のミニムーンが回っていると結論づけた。
その直径は1メートル程度だ。もちろん、それよりもさらに小さな直径の物体で、地球の軌道を回っている物体もあるかもしれない。
さらに、シミュレーションでは、地球の重力によって捕獲されている小惑星の大部分は、「円の形」を描いて地球の軌道を回っているわけではないことがわかった。
そのルートは、複雑でねじれている経路を辿る。
軌道が円を描かない理由は、ミニムーンが地球の重量だけにきつく制御されているわけではないことが考えられるという。地球の重力と月(いわゆる月のこと)の重力、そして、太陽の重力のそれぞれの重力による複雑な力の関係より、無軌道にも見える軌道を描くと考えられる。
そして、地球に捕らえられている重力の力が弱った後、「ミニムーン」は、太陽の重力によって支配され、ミニムーンは地球に引き続いて、太陽の軌道を回る。
典型的なミニムーンは、約9ヶ月間、地球の軌道に乗って回る。
しかし、ミニムーンの一部は、何十年も地球の軌道上を回っている。
ミニムーンは、地球の近くを通過する巨大な小惑星の重力にも捕獲される。
たとえば、 1999年に、米国の「リンカーン地球近傍小惑星探査」によって発見された 1999 JM8 という直径 3.5キロメートルの巨大な小惑星がある。これはミニムーンの1000倍以上の大きさがあるが、表面はミニムーンのように不規則な形をしており、凹凸が激しい。
▲ アレシボ天文台によってレーダー観測された1999 JM8の画像。直径は約3.5kmで、地球の脅威となる可能性を持つ小惑星の中では二番目に大きい。
この巨大小惑星とミニムーンの動きの関係の計算は、スーパーコンピュータでも、長くかかったという。
パリ天文台のヴォーバリオン氏が、「家庭のパソコンでこの計算をおこなうとすると、計算に6年ほどかかると思われます」というほど複雑な計算だったという。
ハワイ大学のジェディック博士はミニムーンについて以下のように言う。
「ミニムーンは科学的にもとても興味深いものです。ミニムーンは、46億年前に私たちの太陽系が始まった時の宇宙の材料を簡単に調べることのできる素材を提供してくれる可能性があります。そのような物体が地球に再び戻り、地球の周りを回っているのです」