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2012年08月31日



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地球のもうひとつの月が描く「無軌道な軌道」



毎朝、最初に天気予報というか、気温の予報を見ます。

そして、インドのグジャラート州かと見紛うような気温の予測に毎日、「うーむ」と唸ります。

toko-0831.png


私の住んでいるあたりの小中学校は今週から学校が始まりましたが、むしろ気温は上昇気味で、

「夏本番で夏休み終わりかよ」

と思わざるを得ない気候変動の秋でありました。

今後、気候変動があまりに激しくなった場合には、「6月から11月まで夏休み」で、「12月から4月まで冬休み」とかになっても別にいいような(投げやり)。

あー毎日暑い。

昨年の夏はどんな夏だったっけと1年前の 8月31日の記事を見てみましたら、

消滅したエレニン彗星:そして、彗星の存在の意味
 In Deep 2011年08月31日

でした。
下がその消えていく様子の写真です。

elenin_2011-08.jpg


エレニン彗星が消えたのは昨年の今頃だったか・・・。

ちなみに、完全に消滅したのは、昨年の 9月11日頃でした。

エレニン彗星は 9月11日に太陽フレアの中でほぼ完全に消滅
 In Deep 2011年09月17日

このエレニン彗星は当時、ずいぶんと人間たちから嫌われていて、彗星好きな私は不憫に思ったものでしたが、上の記事に記したように、エレニン彗星は、「嫌われたことに悲しんで自殺するかのように」太陽フレアに突っ込んでから消滅しました。

それから1年。

何かが変わったのか変わらないのか。
よくわかりません。

しかし、今回は別の話題です。






 



解析が進む「地球の他の月」のこと

今年の4月に記した記事に、

地球の「隠された複数の月」の実態がスーパーコンピュータでのシミュレーションにより解明される
 In Deep 2012年04月02日

というものがありました。

もともとは、アメリカのマサチューセッツ工科大学が 2011年に、「地球は常時、複数の衛星(他の月という意味)を持っている」という発表をおこない、その後、他の研究チームなどがそれに関してさらに調査した結果に関してのものです。

下の図は、ハワイ大学の研究チームが、スーパーコンピュータを使用して計算した、「ミニムーン」の軌道のシミュレーション。




いわゆる「円形の軌道」ではなく、かなりムチャクチャな軌道を描いているように見え、それに個人的に興味を持っており、「続報はないのかな」と待っていましたら、このことに関しての新しい研究について、昨日の米国の科学系サイトで記事になっていました。

上の「ムチャクチャに見える軌道」についての話ですが、実際にクレージーな軌跡を描いているようで、しかも、こういうものが常に地球の周囲を(しかも、複数)「地球の衛星」として回っているらしいのです。

地球とその「直近宇宙にあるもの」との関係性だけでも、私たちが小さな頃から思い描いていた姿とはずいぶんと違うような感じで、太陽系の他の惑星のことも含めて、私たちの「頭の中の宇宙の姿」は変わろうとしているように思います。

もちろん、これは科学者の方々の地道な研究と、開発機器やコンピュータ解析が進んことによるものであることは確かで、テクノロジーというものにも私たちはちゃんと感謝しないとなあ、と思う次第です。


今回はそれをご紹介しようと思うのですが、その前に、最近の記事、

国際宇宙ステーションで行われている「宇宙空間での生物移送実験シミュレーション」
 In Deep 2012年08月21日

などとも関係するタイムリーなニュースをご紹介しておきます。



「宇宙の匂い」を体験している JAXA の日本人宇宙飛行士


過去記事の、

宇宙空間に「強烈な匂い」が漂っていることを知った日: 「それは焼けたステーキと金属の匂い」と語る NASA の宇宙飛行士たち
 In Deep 2012年07月24日

というものを知って以来、私個人は「宇宙の匂い」に非常に興味を持っているのですが、今まさに、その宇宙の匂いを、日本人が体験しています


国際宇宙ステーションの長期滞在クルーである日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんが、昨日 2012年8月30日から「船外活動」、つまり宇宙遊泳を行っているのです(8月31日現在、ミッションは終了しています)。

上記の記事では、ロシア人宇宙飛行士の宇宙でのミッションを書きましたが、今回は米国側のミッションで、アメリカ人の女性宇宙飛行士であるサニータ・ウィリアムズさんと共に、星出さんは、電力切替え装置(MBSU)の交換、ロシアのモジュールへのケーブルの接続、ロボットアームカメラと照明の交換などの作業を行っています。



▲ 現在の国際宇宙ステーションに長期滞在クルーとして搭乗している3名の宇宙飛行士。左から、星出彰彦(日本)、ユーリ・マレンチェンコ(ロシア)、サニータ・ウィリアムズ(米国)の各宇宙飛行士。


このあたりの詳しいところは、 JAXA の「宇宙ステーション・きぼう 広報情報センター」のサイトに随時アップされています。

» JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在 - 星出宇宙飛行士最新情報


また、現在(8月31日)の NASA のトップページもこのニュースです。

nasa-2012-0831.jpg

NASA ウェブサイトより。見出しは「ふたりの宇宙飛行士は宇宙遊泳でステーションの宇宙空間に包まれた」。写真は多分、サニータ・ウィリアムズさん。


ちなみに、サニータ・ウィリアムズさんは、これが「5度目」の宇宙遊泳だそうで、宇宙遊泳の総時間 29時間17分という記録を持っている宇宙遊泳のプロ。

星出さんは今回が初めての宇宙遊泳のはずです。

そして、このお二人が遊泳している宇宙空間の「匂い」は、過去記事「宇宙空間に強烈な匂いが漂っていることを知った日」でご紹介した NASA のドン・ペティット宇宙飛行士によると、下のように予想外の匂いがするようです。

don-02.jpg

YouTube より。


いつか、星出さんご本人の口から日本語でその「匂いの話」を聞いてみたいです。

どうしてかというと、星出さんは日本の料理や食べ物も多く知っているはずで、アメリカ人たちより、具体的な匂いの記述になりそうで。

日本には納豆もクサヤもタクワンもあり、また、ナンプラーやパクチーや各種チーズなど海外の匂いのある食べ物も多く日常化しているという、日本は世界1の「匂いの多彩な食べ物」が多く存在する国のひとつであるので、そのあたりの比喩で聞いてみたいです。



それでは、ここから「地球のもうひとつの月」の話です。ハワイ大学と、フィンランド最古で最大の大学であるフィンランド大学、そして、パリ天文台の研究者との合同での研究のようです。

なお、関係する前記事の「地球の「隠された複数の月」の実態がスーパーコンピュータでのシミュレーションにより解明される」でご紹介した、現時点で判明している「ミニムーン」と呼ばれる複数の地球の「小さいな衛星」の特徴としては、


・地球のその小さな月(ミニ・ムーン)の数はひとつではない。
・ひとつの月が1年間、地球の周囲を旋回する。
・そして、その後はその月は太陽の軌道に移動して「太陽の衛星」となる。


というもので、一般的に驚くようなことかどうかはよくわからないですが、私個人としては、

地球の月になったり、太陽の月になったりする

というこれらの存在に驚きを覚えたものです。

それではここからです。






 


Earth’s Other Moons: The Crazy Paths Of Minimoons
Nano Patents and Innovations 2012.08.30


地球のもうひとつの月「ミニムーン」が示すクレイジーな軌道


ヘルシンキ大学(フィンランド)とパリ天文台、そしてハワイ大学の研究チームによると、地球は常に複数の月を持っているという。

私たちが通常「月」と呼んでいる約 3,500キロメートルの直径の月は、人類史の中で、詩人や芸術家にも愛され、また人々がロマンを持って眺める存在であり、そして、この月は 40億年以上のあいだ、地球の軌道に乗って回っている。

その月の「小さな親戚」と考えられる衛星は、「ミニムーン」と呼ばれていて、その直径は 50センチ〜1メートルほどの大きさしかない。ミニムーンは複数あり、彼らは、太陽の軌道で太陽の衛星として周回する前に、1年未満ほどの期間を地球の軌道上を回っていると考えられている。

ヘルシンキ大学のミカエル・グランヴィク教授と、パリ天文台のジェレミー・ヴォーバリオン氏、そして、ハワイ大学のロバート・ジェディック博士は、地球はいつでも複数の月を持っているという可能性についての計算をおこなった。

研究チームは、地球を通り過ぎた 1000万個単位の膨大な数の小惑星の通過に関して、スーパーコンピュータを用いて、その通過をシミュレートした。それから、チームは、地球の重力によって捕獲された 18,000個の物体の軌道を辿った。

その結果、地球の軌道には常に最低でも1個のミニムーンが回っていると結論づけた。

その直径は1メートル程度だ。もちろん、それよりもさらに小さな直径の物体で、地球の軌道を回っている物体もあるかもしれない。

さらに、シミュレーションでは、地球の重力によって捕獲されている小惑星の大部分は、「円の形」を描いて地球の軌道を回っているわけではないことがわかった。

そのルートは、複雑でねじれている経路を辿る。

moons.jpg


軌道が円を描かない理由は、ミニムーンが地球の重量だけにきつく制御されているわけではないことが考えられるという。地球の重力と月(いわゆる月のこと)の重力、そして、太陽の重力のそれぞれの重力による複雑な力の関係より、無軌道にも見える軌道を描くと考えられる。

そして、地球に捕らえられている重力の力が弱った後、「ミニムーン」は、太陽の重力によって支配され、ミニムーンは地球に引き続いて、太陽の軌道を回る。

典型的なミニムーンは、約9ヶ月間、地球の軌道に乗って回る。

しかし、ミニムーンの一部は、何十年も地球の軌道上を回っている。

ミニムーンは、地球の近くを通過する巨大な小惑星の重力にも捕獲される。
たとえば、 1999年に、米国の「リンカーン地球近傍小惑星探査」によって発見された 1999 JM8 という直径 3.5キロメートルの巨大な小惑星がある。これはミニムーンの1000倍以上の大きさがあるが、表面はミニムーンのように不規則な形をしており、凹凸が激しい。



1999-jm.jpg

▲ アレシボ天文台によってレーダー観測された1999 JM8の画像。直径は約3.5kmで、地球の脅威となる可能性を持つ小惑星の中では二番目に大きい。


この巨大小惑星とミニムーンの動きの関係の計算は、スーパーコンピュータでも、長くかかったという。

パリ天文台のヴォーバリオン氏が、「家庭のパソコンでこの計算をおこなうとすると、計算に6年ほどかかると思われます」というほど複雑な計算だったという。

ハワイ大学のジェディック博士はミニムーンについて以下のように言う。

「ミニムーンは科学的にもとても興味深いものです。ミニムーンは、46億年前に私たちの太陽系が始まった時の宇宙の材料を簡単に調べることのできる素材を提供してくれる可能性があります。そのような物体が地球に再び戻り、地球の周りを回っているのです」




  

2012年08月29日



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33rd.jpeg






 


ロシアのプラウダには、「よく読まれている記事」のランキングが最初にあります。最近のプラウダの記事は、政治的な話が非常に多く、ランキングもそのようなものばかりなのですが、昨日そのランキングを見た時に「ん?」と思いました。

下がそのアクセスランキングです。

ranking-pravda.png


となっていて、2位以下は日本語にすると、

2 イランでの戦争という言葉
3 ロシアの潜水艦が米国に察知されずに米国沿岸で訓練
4 シリアへの攻撃から一歩引くオバマ
5 バラクとディヴィッドは悪魔のコンビ


という感じの並びで、政治的かつ反米系の記事が並びます。

ちなみに、2位にある潜水艦の話は「ロシアの声」で、短い日本語の記事にもなっていますが、他の報道ではあまりふれられていないようですので、短くご紹介します。


見えない潜水艦
ロシアの声 2012.08.26

国際法に反することなく、ロシアの潜水艦が訓練の枠内で、提起された課題を米国沿岸で成功裏に遂行した。長距離巡航ミサイルを搭載したこの潜水艦は、ひと月、メキシコ湾水域を航行していたが、発見されたのは、潜水艦が水域を去った時だった。これは米国の政治ニュース専門サイトが、匿名の米国防総省高官の話として伝えたもの。

ロシアの多目的潜水艦プロジェクト971「シシューカ(カマスの意味)」は、今年の6月から7月にかけて数週間、米国沿岸をパトロールした。この潜水艦は、米国の海岸のすぐ近くを航行したが、米国の衛星もソナー・センサーも、これをとらえる事は出来なかった。彼らが潜水艦の存在にやっと気が付いたのは、「シシューカ(カマス)」がその「尾っぽ」を彼らに見せた時だった。



さて、このような政治的なニュースが並ぶ中、上のランキングの1位のニュースの見出しは、文字だけ読んでも意味がよくわからないのです。意味としては、「神秘主義と北緯 33度上での災い」というタイトルです。「?」と思って本文を読むと、それはフリーメイソンやイルミナティなどと関係する話で、一種の陰謀論に関してのものなのでした。

「33」という数はフリーメーソンと関係しているそうなのですが、世界中の「北緯33度」の場所で米国中心の災いが多いという話を歴史と共に書いてあります。

北緯33度というのは、下の図の中央のラインのあたりです。

33rd_parallel.gif


北緯33度線は、日本を起点にすると、四国の高知、九州の長崎を通り、中国大陸を横断。その後、パキスタン、イラク、シリア、リビア、レバノンなどを通り、大西洋の上を通ってアメリカのサウスカロライナ州から、西のロサンゼルスのあたりに抜けて太平洋に至り、そこからまた四国に戻るラインです。

このあたりは、記事の一番下に、Google Earth での図を載せておきます。
途中、バミューダ海域なんてのも通過していて、なかなか興味深いです。



北緯 33度近辺に確かに存在する血の歴史


いずれにしても、ややオカルトがかった記事がプラウダで1位ということに興味が湧きました。読んでみましたら、意外に興味深いことが書かれてあり、さらにそれに付随して「私個人」に関しての今回の記事との「なくとなく興味深い関わり」があり、そういうこともあり、ご紹介しようと思います。

興味深いと思ったのは、以下の点などです。

・第二次大戦中に原爆が落とされた長崎の緯度と、その原爆を開発製造して核実験もおこなった米国ロスアラモス研究所の緯度は共に北緯33度で同じ。

・ここ数年、米国を中心にして波乱に巻き込まれている国や首都の多くが 33度線上にある(リビアのトリポリ、イラクのバクダッド、シリアのダマスカスなど)。

・19世紀のフランスの作家アレクサンドル・デュマは、フランス革命を参考に 200年後の現在の「国際軍」を忠実に再現した小説を書いた。


というようなことです。

ただし、その後、私自身で Google Earth で検証してみましたら、ロスアラモス研究所そのものは北緯35度の位置です。かつて核実験場があったロスアラモスの砂漠全体を含めると、その中に33度線があるようです。


los-alamos.jpg

▲ 米国ニューメキシコ州にあったロスアラモスの跡地の現在。広島と長崎に落とされた原爆の核実験がここで 1945年に行われました。


私は今回、 Google Earth を使って、実際に「世界の北緯33度」を旅してみました。そして、それと共にわかった「自分と 北緯33度の関わり」についても今回はじめて知りましたが、全体的に娯楽的な内容が多いので、今回は、プラウダの記事の翻訳を先に載せます。

記事中に出てくる人物などで、上のフランスの作家のデュマなども含めて、私が初め知る名前の人も多かったので、最初に説明を抜粋しておきます。すべて Wikipedia からのものです。



    パイク将軍(アルバート・パイク)

アルバート・パイク(1809年 - 1891年)は、南北戦争時の南部連合の将軍。秘密結社フリーメイソンに所属していたと言われている。「メイソンの黒い教皇」とも呼ばれている。古代や東洋の神秘主義を研究して、構成員を増やした。


    アレクサンドル・デュマ

アレクサンドル・デュマ(1802年 - 1870年)は、フランスの小説家。父は、黒人と白人が混血した、いわゆるクレオールである。父同様、黒人奴隷の子孫として人種差別を受けたデュマは、政治的には共和主義・自由主義の立場に立ち、社会改革にも取り組んだ。


    フリーメーソン

フリーメーソンは、16世紀後半から17世紀初頭に、判然としない起源から起きた友愛結社。現在多様な形で全世界に存在し、その会員数は600万人に上り、うち15万人はスコットランド・グランドロッジならびにアイルランド・グランドロッジの管区下に、25万人は英連邦グランドロッジに、200万人は米国のグランドロッジに所属している。



ここからプラウダの記事です。











 


The mysticism and curse of 33rd parallel
Pravda (ロシア) 2012.08.27


神秘主義と、北緯33度上の災い


これは一般に知ることは難しいことかもしれないが、確かに北緯 33度は、現代の社会の中で非常に大きな役割を演じている。

たとえば、そこにある地としては、ケネディ大統領暗殺の地ダラス(米国)だったり、「アラブの春」と呼ばれる状況が始まったトリポリ(リビア)だったり、また、バクダッド(イラク)、そして、ダマスカス(シリア)、カシミール(インド)、チベット、長崎(日本)が含まれる。これらはすべて北緯33度上にある。

これらは超自然的な力が 33という数字に重要性を与えている偶然の一致なのだろうか。

そこで、世界地図を見てみてほしい。

そして、パイク将軍(南北戦争時の南部連合の将軍)とグリーンノート(現在のドル紙幣)の国、つまり、アメリカから世界に向かって 33度線の重要性を確認してみてほしい。

アメリカはダラスから始まるが、世界地図で他の国の 33度線の上を見ていくと、リビアのトリポリが見つかる。この都市は「アラブの春」で知られる。

そして、 33度線にはイラクのバクダッドがある。古くはアラビア夜話のシャハラザードで知られた国だったが、その後、この国は大量破壊兵器のストーリーで知られることになった。

さらに中東では、最貧国のひとつであるシリアのダマスカスを見つけることができる。ダマスカスは、予言者イザヤによって破壊が語られた場所だ。今、このシリアで「問題」が起きていることはご存じかと思われる。

この「フリーメーソン的な旅」を続けると、あなたは「とても静かな」アフガニスタンとインドのカシミール地方に行き着く。どちらの地も局地的な戦争と紛争で知られている。さらにその先にはチベットがあり、日本の長崎へと至る。

知人のアメリカ人によると、北米大陸上の 33度線にアリゾナ州フェニックスがあることも重要なのだという。その人物によれば、フェニックスはレバノンや古代のフェニキア人と繋がっているのだという。

この「 33」の数字の意味は、フリーメーソンの階級の中で最も高い階層を示す。

これは 11と 22を足したものであり、そして、宇宙とスピリチュアルの王が満たされている「ダンテの神曲」の数でもある。

これらのすべては歴史の中の新しい世界秩序(New World Order)のキーナンバーだ。

アメリカの歴史の中でも非常に「神々しい大統領」として知られるジョージ・H・ブッシュが、石油メジャーと、そしてヨーロッパの社会党(フリーメーソンの上位階級にいたフランスのミッテラン元大統領が含まれる)と協力するという意向を示した後、西側の勢力は、戦争、戦争、また戦争という状態へ突入していったのだ。

それは、人権と民主主義という大きな大義名分の名のもとで、カダフィの処刑や、シリアの破壊、そしてバグダッドの占領も含まれる。さらには、イランも将来的に破壊される可能性もある。

ある人は「それは地獄の水(石油)を思い出す」と言う。

イルミナティの歴史。

たとえば、フランス革命は、非常に特定の政治と財政の意図と関係していた。

ここで、19世紀の偉大なフランスの作家アレクサンドル・デュマの言葉をきいてみよう。デュマは、他のどんな歴史家よりもフランス革命についてよく理解していた。

1848年の小説『ジョゼフ・バルサモ (Joseph Balsamo)』にデュマは以下の文を書いている。


「旧社会を破壊するためには 20年の歳月が必要だ。そして、新しい世界を作るためにも 20年の歳月が必要だ。それは永遠の 20秒でもある。それでも、あなたたちは『それでは長すぎる』と言う」。


デュマは、『ジョゼフ・バルサモ』で、フリーメーソンによる「人類を精算したいという欲求」を完全に解説したのだった。そして、それはブッシュ大統領が実際にその「精算」を始める 200年前に書かれたものだった。

小説は以下のように続く。


「国家の群れは巨大なひとつの軍隊を作り出す。その軍隊は、異なる時間に異なる地、異なる状況で生まれるが、しかし、その軍隊が作られた目的のために、同じ場所に到着しなければならない。彼らは、途中休止をしそうに見えても、実は絶え間なく進み続ける。彼らが撤退する時にも、その理由は敗退ではなく、他の理由のために撤退する。彼らは、立ちふさがる困難を打破するために、集合して強さを集結させる」。


こんな啓蒙思想を持つのは誰なのか?

最後に、北緯 33度には以下の事実がある。

第二次大戦で原爆が落とされた日本の長崎(県)もまた北緯33度線上にあるが、その長崎に落とした原爆を設計し、製造した米国のニューメキシコ州にあるロスアラモス国立研究所が核実験を行っていた砂漠の実験場も、同じ北緯33度線上にあるのだ。

この原爆は「北緯 33度線上を米国から日本へと運ばれた」のだった。

その時の米国の大統領はトルーマンだった。

最後に、デュマの小説から、その小説の登場人物の以下の台詞を抜粋して本稿を終える。


「私が覚醒した時、まだイルミナティだったのだが、その時、私は私自身が人類を超越した存在であることに気づいた。私は人類よりもむしろ神に近い存在だと気づいたのだ」。





ここまでです。

In Deep では過去、いろいろと「数字」について書いてきたことがありましたが、この「33」という数字を気にとめたことはありませんでした。

この「33」の意味については、海外ではいろいろと説明されているサイトがありました。機会がありましたら、この「33」という数字についてご紹介したいと思います。

ところで、「北緯33度」を調べている時に、ふいにある記述に行き当たりました。



四国・高知にある「北緯33度33分33秒」の場所から


「北緯33度」で調べていて最初に飛び込んできたのが下のサイトでした。

earth-33.jpg

地球33番地公式サイトより。


「地球33番地ってなんだ?」とそのサイトを読んでみましたら、以下のようなことなのでした。
太字は原文のままです。


高知市に東経133度33分33秒、北緯33度33分33秒というユニークな地点があります。ここを愛称「地球33番地」と名付け、昭和37年5月に高知ロータリークラブが 白いモニュメントを建設しました。

緯度、経度の度、分、秒の同じ数字が12個も並ぶ地点は、全世界の陸上ではわずか10カ所(インドネシア、ナイジェリア、ギニア、リビア、ボツワナ、オーストラリア、日本、以上各1カ所、ロシア3カ所)です。 しかしそのほとんどは砂漠や大平原に位置し、容易にアクセスできず、通常の手段で行けるのは「地球33番地」だけです。



ということです。

上にある「他の緯度、経度の度、分、秒の同じ数字が並ぶ」場所の、高知以外は 33度線上ではないですので、つまり、「33が並ぶ場所は世界で高知市だけにある」ということになります。

しかし、どうして私が「高知」に反応したのか。

これは非常に個人的な話なんですが、実は私には高知の血が流れているのです。

父方の私の祖父は北海道でテキヤの親分だったんですが(二十代で引退してカタギになったそうですが)、そのおじいちゃんは明治か大正時代、十代の時に、四国の高知から「一山当てに」当時開拓中だった北海道に出て来た人でした。

そのジイサンの実家がまさに高知で、しかも、この「33番地」のあたりのはず。

ちなみに、わたくしは「岡」という名字なんですが、これはその四国のジイサンのほうの名字で、この名字がどういう名字かといいますと。


高知に多い名字より。

四国四県の中でも高知の苗字の分布は特に個性的。「岡」を含む苗字が多く、「岡林・安岡」はとくに高知を代表する苗字。「弘」を含む苗字も目立つ。



というわけで、「岡の漢字が入っている人物を見たら、高知を疑え」と言われています(疑うことはないだろ)。そして、その人には「北緯 33度の血が流れている」可能性があります。

さて、私のことはともかく、こういう流れの中で、ふと「地球の正確な 33度線上」を知りたくなりました。 Google の地図ソフト「グーグルアース」 ( Google Earth )は、正確な経緯を示すことができますので、 Google Earth を使って、33度線度上を移動してみました。

どうでもいいですが、上のテキヤのおじいちゃんがヤクザを若くしてやめた理由は「恋愛」でした。恋した相手に「ヤクザをやめるか、私の前で腹を切って死ねば結婚してあげる」と言われて(笑。相手もすごい)、テキヤをやめる決心をしたのだそう。大正時代くらいの話だと思います。その結婚の末、11人の子どもが生まれ(いくら昔でも多い)、その末っ子が私の父親で、そこから生まれたのが私でした。

感じとして、私にはこの高知のジイサンの血が隔世遺伝でかなり強く漂っています。
やることが似てる。



Google Earth の33度線上の旅


北緯33度線のラインの入った地図を再度載せておきます。

33rd_parallel.gif

それでは、日本から。

大ざっぱにいうと、日本 → 中国 → 中東 →アフリカ大陸北部 → (大西洋) → 米国 → (太平洋)ときて、また日本の四国に戻ります。

ちなみに、大西洋の 33度線にはバミューダ海域があり、オカルト気分が盛り上がります。

では、スタートします。

高知県・四万十(しまんと)

1-shiman.jpg

 

高知県・小猿島

2-kozaru.jpg

四国を出るのは、小猿島という小さな島のようです。
今回初めて知りました。

 

大分県・大入島

3-o-iri.jpg

大分県の沿岸の大入島という場所から北緯 33度は九州に入るようです。

 

長崎県・御床島

4-ontoko.jpg

ここで日本の陸地部分を出ます。
この「御床島」も初耳で、九州の中で下の「A」の場所です。

4-01-kushu.jpg

上の西に「五島」という島があります。


世界地図にザッと線を引くと韓国も入っているかと思ったのですが、地図で見ると、朝鮮半島上には 33度線はありません。次は中国大陸に入ります。

 

中国・上海近郊

5-shinghi.jpg

上海のかなり上を通っていきます。

途中、 33度線は中国大陸を横断していきますが、ほとんど町のないような場所を通っていくか、あるいは知らない地名ばかりでした。中国の次はパキスタンに入ります。

 

パキスタン・イスラマバード

6-islama.jpg


そして、上の記事にもありましたが、大量破壊兵器を理由に侵攻されたイラクに入ります。

 

イラク・バクダッド

7-bagdad.jpg


次がちょっと面白いと思ったのですが、北緯 33度線は、「エルサレムとベイルートのちょうど中間あたり」を通っていきます。その前に上の記事にあったシリアのダマスカスの領域を通ります。

 

エルサレムとベイルートの中間

8-reb.jpg


ちなみに、レバノンという場所はもともと、フェニキア人という人たちがいたところのようで、この「フェニキア」という言葉と、米国の「フェニックス」という地名が関係しているのだそう。
米国のフェニックスも 33度線上にあります。

 

モロッコ・カサブランカ

9-casa.jpg

映画『カサブランカ』が正しいのなら、ここは第2次大戦中、ドイツに占領されたヨーロッパからアメリカへ脱出する際の待避所となっていたようです。

 

大西洋上のバミューダ諸島

10-bamuda.jpg

飛行機が消えちゃうという伝説のある「バミューダトライアングル」の一端のバミューダ諸島は、見事に北緯 33度線上にあります。


そして、アメリカへ。
アメリカへはサウスカロライナ州というところから入ります。

 

米国サウスカロライナ州

11-sc.jpg

途中、テキサス州などを通過して、西はカリフォルニアから 33度線は抜けていきます。

 

米国カリフォルニア州ロサンゼルス近郊ソラーナ・ビーチ

12-sol.jpg

そういえば、数日前から、このあたりで群発地震が続いています。

詳しくは、

米国のカリフォルニアで突如始まった激しい群発地震
 地球の記録 2012年08月27日

などにあります。

そして、太平洋を通って、 33度線はまた四国に戻ります。


上の地図で思うのは、仮に、プラウダの記者の書いている通りに、33度線上の場所に意味があって、それが「関係している」とすると、都市部だけで結べば、「世界」というより下の関係だけが浮かび上がります。

 九州と四国 = 中東 = アメリカ

中東という括りは大ざっぱですが、上のイラク、シリア、イスラエル、ガザ地区、リビアなど近年話題になる場所を含んでいるということで、大ざっぱにしてみました。

「アメリカ」という括りも大ざっぱですが、しかし、33度線は「主要都市部を線にしてアメリカ合衆国を2つに分断している」ことがわかります。

33-usa.jpg

上の地図の赤い線が33度線で、近辺には、象徴的な都市が多いという気もいたします。



  

2012年08月27日



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数日前に、「世界最悪の修復」というようなタイトルでいろいろなところで報道されたスペインでのニュースはご存じの方が多いと思います。

下のようなものです。


【善意が生んだ悲劇】80代の女性が勝手にキリスト壁画の修復を試みる → 絵が下手すぎて顔が別人に
Livedoor News 2012.08.23

スペインのSanctuary of Mercy Churchという教会には、画家Elias Garcia Martinezが約100年以上前に描いた「Ecce Homo(この人物を見よ)」というイエス・キリストのフレスコ壁画があった。

しかしその壁画は湿気のせいで、18カ月前からぼろぼろ崩れ始め、徐々に元の姿を失いつつあった。地元に住む80代の一人の女性は、それを見て、あることを決心したそうだ。
 
壁画の劣化を、ただじっと見ているだけなんてできない。修復しよう!
 
すると彼女は、塗料と筆を手に、自らキリスト壁画修復作業を開始。教会の運営者の許可もないまま、彼女だけによる修復は着々と進められていった。そして彼女の修復がついに完了した時、それを見た人々は凍りついたという。

なぜなら彼女の絵が、恐ろしく下手だったから! 修復後の壁画には、元のイエス・キリストの姿はどこにもなく、そこにはまるで猿のような生き物が描かれていたとその壁画を見た人は言う。この修復を行った本人も、さすがに「これはダメだ!」と気づいたようで、文化事業を担当している市会議員に連絡をとった。


その「ビフォーアフター」が下です。

new-jesus-01.jpg

▲ 報道より、キリストの宗教画の修復前(左)と修復後。


これに対して「史上最悪の修復」とまで書いているメディアも多数ありました。

上のニュースを私は女性の友人に教えられたのですが、私は即座に、

これ、修復後のほうがいいじゃん。いい顔の人になってる

と思い、そして、「修復前の含みのある左脳顔から毒気が落ちて、まさに無垢そのもののキリスト像!」と私は絶賛しました。

しかし、私がどう思おうと、「このおばあさん、この地で死ぬまで白い目で見られるのかなあ」と思うと、暗澹とした気分になったものでした。

しかし!

事態は報道の翌日から意外な方向に発展していきます。

そして、最終的に、たった2日間で、世界に「下の写真のような世界」がいたるところに出現し始めたのです。


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今回はその話です。

暗い話題が多い中、「新しいマリア様と新しいキリストがこの世に生まれた」ともいえる話題です。新しいマリア様は 80代ということで、ややヨボヨボなマリア様ですが、キリストをこの世に生んだという意味では、かつてのマリア様と遜色ないです。

今回の経過を報道から順を追って書きます。

上の写真の様々な「修正後」の写真は、今朝の英国のデイリーメールに数多く掲載されていましたので、それも翻訳してご紹介します。

まず、最初の報道の直後に何が起きたか?からです。




新しい神様を歓迎した世界


まず、下の現象が起きました。
AFP の報道から抜粋します。


「世界最悪」の修復キリスト画が大人気、訪問者が急増
AFP 2012年08月26日

「世界最悪の修復」でサルさながらに変貌してしまった102年前のキリストの肖像画を見ようと、スペイン北東部ボルハを訪れる人々が数百人規模に急増している。

この肖像画はスペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネスが1910年に描いたもので、ボルハ市内の教会の柱に直接描かれている。傷みが目立ち始めたため、年齢が 80代とされるセシリア・ヒメネスさんが善意で修復を試みたところ、オリジナルと似ても似つかないとして地元住民から苦情が殺到。静かな町だったボルハに、世界中のメディアの注目が一気に集まった。一部メディアはこれを史上最悪の修復と伝えた。

(中略)

8月25日には教会の外に、興味津々の訪問者の行列ができた。公共テレビ放送のインタビューに応じたある女性は、「以前の絵も大変素晴らしかったけれど、わたしは本当にこれ(修復後の肖像画)が気に入っています」と語った。

ボルハ市に原画を復元する計画を思いとどまるよう求めるオンライン嘆願書には、既に1万8000人もの署名が集まっている。




ということになりました。
要するに、すぐに、

・人々がこの絵を見るために教会に殺到し
・この絵を直さないでほしいという嘆願書が多数集まっている


とという流れとなりました。


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▲ ボルハ市のその教会。奥にある絵がその現物です。写っている人はさっそく見に来た観光客。このように人々がこの教会に殺到し始め、あっという間に、「世界でも有数のキリスト教関係人気スポット」へと変貌しました。フランスのメディアより。


そして、それと同時にインターネットの世界では、様々な芸術作品に対しての「修復」が始まりました。

キリスト様の顔も修復されたのだから、古典芸術だってキリスト様を見習わなきゃ!とばかりに次々と、世界中の「修復家たち」、つまり第2第3のセシリア・ヒメネスさんが続々と今日も修復を続けています。

このことと、修復作品を英国のデイリーメールの記事からご紹介します。






 



After fresco is destroyed by old lady's restoration attempt, masterpieces of the art world are given an internet makeover
Daily Mail (英国) 2012.08.26


スペインのキリスト画が老婦人の修復によってダメにされた後、インターネットで次々と芸術上の傑作が変えられる


スペインの教会にある19世紀のフラスコ画が老婦人の修復によって、まったく「別の絵」と変わってしまったこと(下の写真)が報道された後、インターネット上ではジョーカーたちにより、次々と手を加えられた歴史的に有名な芸術作品がアップされている。

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80歳のセシリア・ヒメネスさんによる上の「修復画」がインターネットの報道で取り上げられたその晩から、世界中で、様々な芸術作品を「修復」した作品が出現し始めた。


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▲ 「修復」されたモナリザ像。


そして、今や、モナリザからアンディ・ウォホールのマリリン・モンロー、そして、ムンクの「叫び」に至るまで、「修復」された作品がインターネット上に並べられている。


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▲ 「修復」されたムンクの「叫び」。


ついには、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作である「最後の晩餐」もご覧の通りに。

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さらには、1490年から1491年にレオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた「聖母マリアの最も古い型」としての絵画といわれる「リッタの聖母」までも。

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▲ 「修復」されたリッタの聖母。


古典だけではなく、モダンアートの傑作とされるアンディ・ウォホールの有名なポップアート作品「マリリン・モンロー」は以下のように修復された。

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普通なら、今回のスペインで起きたような「修復事件」は、町の外では何の注目も集めないはずの出来事のはずだが、しかし、現実にはインターネットでこの出来事が取り上げられるや否や、この教会のドアの前には毎日たくさんの人が並び、絵を見る順番を待っている。

そして、ツィッター上に「フレスコのイエス」( Fresco Jesus )のアカウント名で始められた投稿者にはすでに 4000人のフォロワーがいる。






(訳者注) 上の中でも「最後の晩餐」は本当に楽しそうな最後の晩餐ですねえ(笑)。


この「フレスコ・イエス」の顔を見ていて、ふと、過去記事の、

夢で見た「3つめの太陽」と「笑う黒点」
 In Deep 2012年06月18日

に載せた今年6月17日の太陽の黒点群の写真を思い出しました。




いずれにしても、「誰が描いても八頭身でイケメンで長髪の白人のキリスト像」という、ほとんど信憑性のない中で伝わり続ける偶像のほうだけを重視するより、「楽しいほうが楽しい」とは思います。

ちなみに、「[地球の内なる太陽] Vol.1 - その意味」という過去記事に載せた、中世神秘学の象徴のひとつであるエメラルド・タブレットにあるラテン語の意味は上から、


1 言葉
2 思案
3 運動
4 視力
5 聴力
6 行動
7 性交
8 嗅覚
9 睡眠
10 怒り
11 味覚
12 笑い


となるとのことで、「言葉で始まり笑いで終わるのがこの世の真実」というのが、少なくとも、中世神秘学の価値観のひとつだったようです。




映画『薔薇の名前』のように、14世紀のカトリック修道院で「笑いを禁じていた」というような物語も何となくわかる気がします。

宇宙は「笑い」を人間の実態に必要なものとしていたからこそ、キリスト教はそれを排除しようとしたと。



消えていく「従来のキリスト」

最近、カナダのメディアで、「2005年以降、世界中で急速な勢いで減り続ける宗教信仰者(英語)」という記事がありました。

記事そのものは、タイトル通りで、カナダをはじめとして、世界中で宗教信仰者の数が減り続けているというものでした。宗教の種類は関係なく、ほぼすべての地域と宗教に於いて減っているというものです。

それ自体はまあ、そんなもんだろうなあと思うのですが、面白かったはのこの記事にあったコメントで、ほとんど全員が肯定的なコメントだったこことです。コメント欄は多分、英語圏のキリスト教などの人が多い感じなのですが、代表的なコメントを2つ挙げてみます。


「ゆっくりとだけど、私たちはいい方向に向かっているという気がする。そして、これによって(神と宗教の消失によって)この地球の多くの問題は消えると思う」。


「そのうち「キリストって誰よ?」って時代になるんじゃないの」


これらのコメントの意見が正しいとか正しくないではなく、既成の宗教が消えていくということに関して、(みんなではないでしょうけれど)多くの人々はごく普通にその流れの中にあるのかもと思ったりした次第でした。

まあ、少なくとも、今回のフレスコ・イエスには「変な権威」がない分、かなりの数の人々から純粋に愛されていることは事実だと思います。

宗教を越えて愛されるキリストが生まれた瞬間かも。



  

2012年08月26日



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現在、日曜(8月26日)の午後で、今日の夜から沖縄を台風15号(英名:BOLAVEN / ボラヴェン)というものが通過していくのですが、これがとんでもない大きさのようです。そして、沖縄通過後に朝鮮半島を完全に縦断していく模様です。

台風の威力は、「何とかヘクトパスカル」と数字でいわれてもわくわからない感じで、個人的には海外での、カテゴリーわけのほうが何となくわかりやすいです。下のは、RSOE EDISというハンガリーの自然災害リアルタイム情報サイトにある予想進路図ですが、海外では、米国などのハリケーンの威力に準じて表記されていて、その「強さ」がわかります。

米国でのハリケーンの強さの指標は下のようになっています。
上の熱帯低気圧から、最大はカテゴリー5となり、色分けでは薄いピンクとなります。
威力は風速を基準にしているようです。

storm-c.png


一番下のカテゴリー5というのが最大で、このクラスの台風やハリケーンは、どこの国であっても、滅多に上陸するものではありません。

たとえば、2005年に米国に壊滅的な被害を与えたカトリーナというハリケーンでさえ、上陸時にはカテゴリー3でした(海上でカテゴリー5の時があった)。

それで、今回の台風の進路と勢力の予測。

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沖縄を通過する際にすべてカテゴリー5が示されています。
これはもう、いわゆる「スーパー台風」と呼ばれるものに近いもののような感じがします。


これまで、日本の領域内をこのような威力の台風が通過していくという予測を見たことがないですので、もしかしたら、「日本の観測史上最大の台風が近づいてきている」ということなのかもしれません。何というか・・・ご注意下さいとしか言いようがないのですが、ただ、沖縄の方は台風に慣れてらっしゃるので、被害も最小限で収まってくれるのではと・・・・・。


ちなみに、この台風の進路予測では、沖縄を通過した後は、カテゴリー4という強力な勢力を保って韓国に上陸して、そのまま北朝鮮へと北上していく予測です。後で書きますが、北朝鮮は最近、幾度も洪水に見舞われています。韓国も北朝鮮も、日本と比べるとこのようなクラスの台風の直撃を受ける経験は少ないはずですので、やや心配な面もあります。


そんな時に洪水の話題というのもどうかと思いますが、しかし、これは昨日あたりから書こうと決めていたことで、つまり、「なんだか世界中で大きな洪水が異常に多い」のです。

今日はそのことを少し書いてみたいと思います。

その前に、今朝見かけたニュースのこと。



消えていく氷と関連して


8月の中旬頃、「熱波地帯での言い訳」という、暑くて記事を書けません、という言い訳を書いたりしていましたが、そこで、「地球の氷が消える日というタイトルで記事を書いていた」と記しています。

その後、すぐに記事をアップしていない理由なんですが、毎日のように「氷関係」の報道があるのです。

今朝は NHK ニュースで、氷の報道がありました。

日本のJAXAの観測衛星「しずく」の撮影で明らかになった「事実」の報道でした。
下に抜粋します。


北極海の氷 観測史上最小に
NHK 2012年08月26日

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北極海に浮かぶ氷の面積が、観測史上最も小さくなったことが、JAXA=宇宙航空研究開発機構の調査で分かりました。これは、JAXAがことし5月に鹿児島県の種子島から打ち上げた、水観測衛星「しずく」を使った調査によって明らかにしたものです。

それによりますと、地球の北の端、北極海に浮かぶ氷の面積は、24日の時点で421万平方キロメートルとなっていることが分かりました。これは、アメリカの衛星などによる記録が残る1978年以降、最も小さかった2007年9月の425万平方キロメートルを下回り、観測史上最小となりました。

JAXAによりますと、北極海の氷は毎年、9月中旬から下旬にかけて最も小さくなるため、ことしはさらに小さくなることが見込まれるということです。原因について、JAXAは、北極海の温度の上昇により、氷が薄くなっていることがあるとみていて、引き続き水観測衛星による監視を続けていくことにしています。



1週間ほど前に、同じ「しずく」の観測によって、「史上最速のペースで北極の氷が溶けている」という報道がありました。

そして今回、その結果とも関連して、北極海の氷が観測史上で最も少なくなっていることがわかったということのようです。

これら「消えていく氷」については、この夏、まだまだ報道や発見がありそうですので、いろいろとはっきりとしてきた頃にまとめてみたいと思います。

また、あくまでも個人的な思いこみですが、私は最近、太陽などと共に「地熱(地下から噴出している放射性崩壊による膨大な熱)」も関係しているような気がしていて、もしそうなら、この先、海の上の氷だけではなく、永久凍土など含めた「あらゆる地球の氷が溶ける」ということもあるのかも、などと思うこともあります。

まあ、そういうことは素人の私の予測を書いても仕方ないですので、何らかの「事実」が起きることがありましたら書かせていただきます。

ちなみに、この「地球の地下の熱」に関しては、

地球からのニュートリノと地球内部からの膨大な熱の源は何か
 In Deep 2011年08月27日

という過去記事にあります。

実は、地球の内部からは、「44兆ワット」という原発何千基分にも相当する膨大な熱が絶えず噴出していることがわかっています。エネルギーの半分は、放射性崩壊という反応によるものだそうですが、あとの半分は原因がわかっていません。日本の東北大学大学院の研究者の方々などが中心となって、この現象の解明を進めています。


さて、ここから洪水に関しての記事です。




圧倒的な規模と発生件数の2012年の洪水


洪水は、季節になれば世界各地で起きるもので、洪水そのものは珍しいことではないですし、日本でも頻繁に発生します。

しかし、近年、「大きな規模での洪水発生が多くなっている」という事実があります。

洪水の被害の規模を線で引くことは難しいですが、たとえば、世界の災害や犯罪などの中で、特に大きく報道されたものなどを 2001年頃からウェブ上に記録している World News Atlas というサイトの中に、「洪水」という項目があります。

その数を下に並べてみます。


2000年から2011年までの大規模洪水報道の件数

World Flood Timeline より。

2011年 ( 37件)
2010年 ( 23件)
2009年 ( 7件)
2008年 ( 6件)
2007年 ( 13件)
2006年 ( 3件)
2005年 ( 4件)
2002年 ( 3件)
2000年 ( 1件)




2010年頃から、世界的に報道される洪水の数が飛躍的に増えていることがおわかりかと思います。

このサイトが、どの規模で洪水に線引きをしているのかはわからないですが、どういう線引きでも、ある程度は同じ基準でおこなっていると思います。なので、年ごとの「比較の目安」程度にはなると思います。

また、上のサイトでは「英語での報道」だけを取り扱っているはずですので、たとえば、日本や韓国やタイ、あるいは中東などのように、英語から遠く離れた言語を使う国で「現地語だけで報道されたもの」は含まれていないはずで、実際の報道数よりかなり少ないとは思います。


今年も、この夏前後から加速度的に多くの報道を目にします。

たとえば、この1週間ばかりの間に洪水に関して、どんな報道があったのかをご紹介したいと思います。

繰り返しますが、「この1週間の間」だけの期間の報道です。

ご紹介する国は、ミャンマー、台湾、北朝鮮、ハイチ、パキスタン、ロシア南部等です。
それぞれ要約です。

私は、世界の洪水のニュースをわりとチェックし続けていましたが、こんなに短い期間にこんなに大洪水(の報道)が集中するのは見たことがありません。今の8月ってなんか特別な時なんですかね・・・とかさえ思ったりするほどでした。

ここからです






 


ミャンマー大洪水(8月25日報道)

Myanmar flooding forces 85,000 people to flee
AP通信 2012.08.25

ミャンマーの大洪水で住民8万5千人に避難命令が出される

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▲ 市場でボートに乗りお布施を受けるミャンマーの僧侶。


ミャンマー当局によると、ミャンマーでの洪水により、8万5000人が避難しており、また、数万ヘクタールの田んぼが水没した。洪水として過去最悪の被害となるおそれがあるという。

ミャンマーの主に南部では数週間にわたり豪雨が降り続け、これが洪水の原因となったと見られている。現在、約7万人が緊急支援センターに収容されている。

洪水が発生しているデルタ地帯は、2008年に 13万人の死者を出したサイクロン・ナルギスによって荒廃していた。今回の洪水では死傷者は確認されていない。







台湾の洪水(8月24日報道)

Typhoon soaks southern Taiwan, but wind damage and floods spare its most populated areas
National Post 2012.08.24

台湾「テンビン」の影響で、離れた人口密集地が暴風雨の被害を受ける

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▲ 水が引いた後、通りを歩く人々。 台湾屏東県。2012年8月24日。


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▲ 台風の豪雨で水没した台湾屏東県の恒春鎮市。2012年8月24日。


8月24日に台湾南部を通過した台風「テンビン」(天秤/ Tembin/台風14号)により、屏東県の恒春市などで洪水が発生し、その水位は3メートルに達した。軍とレスキューが装甲車などで浸水した家々から数十人の住民を救助した。

高雄県では、時速155キロの強風が測定され、木々がなぎ倒された。

また一方では、非常に勢力の強い台風ボラヴェン(台風15号)が日本の沖縄に接近しており、こちらの台湾への影響も気になるところだ。






ここまでです。

なお、台湾は今現在(8月26日)も、台風14号の渦中にいて、さらに台風15号の影響を受ける可能性もあり、大変な状況はこの時と同じかもしれません。

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▲ 現在の台湾の状況。

台湾では、3年前にも壊滅的な台風モーラック(莫拉克)での洪水に見舞われていて、その際には 700名が死亡しています。


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▲ 2009年の台湾大洪水の時の台湾のテレビ報道。上の見出しは「台風モーラック直撃。南台湾で大洪水」。下の見出しは「過去50年で最も大きな惨事」とあります。YouTube に報道の映像が残っています。



北朝鮮で繰り返す洪水(8月23日報道)

北朝鮮は、7月の終わりに、死者行方不明 600名近くという大洪水に見舞われましたが、そのことについては、8月のはじめの「日常にある天体の奇跡」という過去記事でふれていましたが、また北朝鮮で洪水が発生しているという報道がありました。

北朝鮮でまた洪水による深刻な被害 6人死亡
 VOR 2012.08.23

前回の洪水の北朝鮮のメディア朝鮮中央通信の映像は下のものです。








ハイチのハリケーンによる洪水(8月25日報道)

Tropical Storm Isaac hugs Cuba coast, expected to be Cat 2 hurricane in Gulf
NBC 2012.08.25

熱帯低気圧アイザックがキューバ沿岸を襲った。メキシコ湾でカテゴリー2のハリケーンに発達する見込み

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▲ ハイチの首都ポルトープランス。8月24日の街の様子。

熱帯ストームのアイザック(Isaac)により、ハイチで4名が死亡し、現在、イサークはキューバの海岸線に進んでいる。この後、アイザックは、メキシコ湾を米国のフロリダに向かって、カテゴリー1のハリケーンに発達させながら進んでくる可能性が高い。

ハイチの首都ポルトープランスでは、今なお 2010年のハイチ地震で家を失った人々がテントや避難所で生活をしており、避難所で生活する人々の数は 35万人に上る。今回の洪水は、その人たちを再び苦境に陥れた。

カリブ海諸国では、多くの国と地域で、現在、停電と洪水が報告されている。

週明け(8月27日)にはフロリダ全域で暴風雨を伴う悪天候、及び、竜巻の危険性がある。








パキスタンの洪水(8月23日報道)

Heavy torrential rain, landslides, and floods kill 26 in Pakistan
AFP 2012.08.23

パキスタンで極めて激しい豪雨により地滑りと大洪水が発生し、現在まで26名の死亡が確認

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豪雨による洪水と鉄砲水、そして地滑りのために、パキスタン北部で少なくとも 26名の方が亡くなり、多数の家屋が破壊された。また、至るところで、道路が流され寸断しているという。

パキスタンでは、2010年に記録的な大洪水が発生しており、その際には、家畜を含む農作物に甚大な被害を与え、建物やインフラにも大きな被害が出た。その際には 580万人が洪水の影響を受けた。








ロシア南部の洪水(8月22日報道)

Fresh flood kills four in southern Russia
AFP 2012.08.22

ロシア南部で洪水と鉄砲水により4名が死亡

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ロシア南部のクラスノダール州の非常事態省は、同地方で発生した洪水と鉄砲水により、 4名の住民が死亡したと発表した。一晩中降り続いた大雨により河川が氾濫し、洪水が発生した。

この地帯の近くでは、先月にも大洪水が発生して、172名が亡くなっている。
そして、3万5千人の住人が洪水の被害を受けた。







(訳者注) 上の報道の中にある「7月のロシア南部での洪水」については、過去記事の、

私たちが経験している現在の気候変動は次の数万年の人類史への扉かもしれない
 In Deep 2012年07月13日

という記事の中で書いたことがあるのですが、このロシア南部というのは、本来は乾燥した地帯で、上の7月の洪水は、「同地の半年分の雨が一昼夜で降った」ということによって発生した洪水でした。

上の記事に書きました、モスクワ国立大学の気象学者であるパーヴェル・コンスタンチノフという人の言葉を抜粋しておきます。


「今回洪水が起きたクバン地方ゲレンジク地域は乾燥した亜熱帯地方に属す。ところが今回ゲレンジクでは1昼夜に300ミリの降雨量を記録した。これは7月としては6ヶ月分の降雨量に相当する。300ミリがどれほど多いものであるかを理解するためには、1平方メートルあたりの面積に10リットルのバケツの水を30回注いでみれば想像がつくだろう。

(中略)

同地方で過去100年にこうした集中豪雨がなかったことから、近い将来に同じ事態が繰り返される危険性が全くないとは言い切れない。これは気候変動に端を発する異常気象が多くなったことと関連する。われわれはいかなる事態が起こってもおかしくないと準備を怠ってはならない」



このコンスタンチノフ博士のいう「将来に同じ事態が繰り返される危険性が全くないとは言い切れない」という杞憂は、まったく杞憂でなかったわけで、また同じような場所で、洪水が発生して死者が出てしまっています。

そして、このコンスタンチノフ博士の言う、


> われわれはいかなる事態が起こってもおかしくないと準備を怠ってはならない


というのは、今では全世界のどんな現象にでも言えることなのかもしれないです。

というか、今日明日もまさにそうなのかもしれません。

最近、妙に全体が長くなってしまいますが、暑さで頭の中が混沌としていて、的確にまとめることができないのが原因です。どうも気づくとダラダラと長くなってしまっていて、すみません。



  

2012年08月25日



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▲ エコノミストの「世界の都市の住みやすさ」の2012年度ランキングで、最下位だったバングラデシュのダッカ。私個人はむしろこういう光景に一種の憧れがあって、昔は実際に行ってしまったりしていました。






 



早朝などは涼しい風も多少感じる最近ですが、それでも私の住んでいるあたりの日中の「皆殺し的な太陽光線」は続いていて、たとえば週間天気予報もこんな感じです。

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まだ「37度」とかいう数字が見えてゲンナリします。

日中、暑さをのろい、太陽を睨みながら、「太陽死ね」と呟きつつ(やめろって)歩いていたりするんですが、ここ数日、「ふと」気づくのは、太陽自体の光の弱さだったりします。

私は3年くらい前だったか、「太陽を直視すると気持ちいい」ということに気づいてから、ほとんど毎日、太陽を直接見るのですが、冬なら長時間見ていても大丈夫ですけど、真夏の太陽は普通はキツすぎてほとんど直視できないものです(ちなみに、一般の方は太陽の直視は絶対ダメですよ。目を痛めます。私はもともと痛んでいるんでどうでもいいんです)。

今の太陽自身が直視できるということは、弱ってる感じがしますね。

「今の暑さと太陽の輝きがリンクしていない」

とも思います。


先日、「太陽を分割するような形」の変なフィラメント(磁気のライン)が出ていることをご紹介したりしましたけれど、どうなんですかね、太陽。



▲ 記事「太陽に突然現れて急速に拡大した『巨大な亀裂』」より。


来年 2013年の夏までの黒点最大期までに順調に黒点が増え続ければ、特に問題にないと思うのですが、そうでもなかった場合、あるいは減っていったりするような場合は、太陽が長い「休憩」に入る可能性もあるのかも知れません。

が、しかし、なんであれ、現在暑いことは事実。

昨日から、最近の宇宙での新しい発見のことについて記事にしていたのですが、昨日は書き上げられず、今日もまた暑く、「こんな暑い中、宇宙も何もあったものじゃない」と、別の話題にいたします。

暑苦しい話題です。



暮らすのに適していようがいまいが、人々はそこに暮らしている


先日、英国のエコノミスト市の調査部門から、「住居に適した都市のランキング」という発表がありました。

これは日本語の報道もありましたので、そちらを貼っておきます。


世界の都市の住みやすさトップ10、カナダと豪州が上位
AFP 2012年08月19日

英誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が今週発表した「世界の都市の住みやすさ」ランキング最新版で、カナダとオーストラリアの都市が上位につけた。同調査は、世界中の140の都市を安定度、保健医療、文化、環境、教育、インフラの5つのカテゴリーに分かれる30項目以上の質的・量的要素で評価した。

トップ3の都市は、半年前の前回調査から変わらず、オーストラリアのメルボルンが1位、2位にオーストリアのウィーン、3位にカナダのバンクーバー。その後もカナダとオーストラリアの都市が健闘している。
 
一方、最も住みにくい都市と評価されたのはバングラデシュのダッカだった。



というものです。

私は、白人が白人富裕層のために作っているような「ランキング」というのが好きではなくて、これまで基本的に気にしなかったんですけど、しかし、最近の世界の情勢、あるいは日本にしても世界や周辺国との軋轢なども大きく、海外への移住を含めて、「他の国の住みやすさはどうなのか」ということについて、興味のある方は多いと思います。

このレポートのオリジナルは、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット Economist Inteligent Unit の該当ページ(英語)にリンクがあるのですが、これが有料レポートだったんですよ。

結構な金額を払わないと見られないものだということが判明して、購入するわけもなく詳細はわからないのですが、ただ、ベストもワーストも近年はそんなに変化していないもののようです。

なので、少し前なら同じような感じだと思われます。

2年前の2010年のレボートがありましたので、その「ベスト10」と「ワースト10」の表を載せておきます。大体、今年も同じようなものだと思います。

Global-Liveability-2010.png

注釈しておきますと、下のようになります。




都市の暮らしやすさランキング ベスト10

1位. バンクーバー(カナダ)
2位. ウィーン(オーストリア)
3位. メルボルン(オーストラリア)
4位. トロント(カナダ)
5位. カルガリー(カナダ)
6位. ヘルシンキ(フィンランド)
7位. シドニー(オーストラリア)
8位. パース(オーストラリア)
9位. アデレード(オーストラリア)
10位. オークランド(ニュージーランド)



都市の暮らしやすさランキング ワースト10

130位. ダカール(セネガル)
132位. コロンボ(スリランカ)
133位. カトマンズ(ネパール)
134位. ドゥアラ(カメルーン)
135位. カラチ(パキスタン)
136位. ラゴス(ナイジェリア)
137位. ポートモレスビー(パプアニューギニア)
138位. アルジェ(アルジェリア)
138位. ダッカ(バングラデシュ)
140位. ハラレ(ジンバブエ)







です。

harare.jpg

▲ 2010年のワースト1のジンバブエの首都ハラレ。写真は青年海外協力隊のサイトより 2008年のジンバブエ大統領選挙の頃の様子ですので、貼られているのは選挙のポスターだと思います。選挙ポスターがカラフル。


今年の「ワースト」のほうでは、最下位の位置をバングラデシュのダッカが、2010年の最下位だったジンバブエのハラレから「奪還した」ということになるようです。

さっそく、最下位となった街ダッカのあるインドの「デイリータイムス」というメディアは記事(英語)で、「意図的に私たちの街のを最下位にしようとしている」としながらも、「私たちのほうも努力していないのでは」と書いていたりして、複雑な心境を伝えています。

それにしても、私は上のランキングを見ると、ワーストのほうにばかり行きたい都市があります。カメルーンのドゥアラとかはよくわからないですが、他の街は過去に一度は「なんらかの接点」があって、思い入れがあります。

ナイジェリアの「ラゴス」なんてのは行ったことはないのですが、私が高校生の時、1979年か1980年だと思いますが、日本の音楽家の坂本龍一さんがリリースした「B2 UNIT」というソロアルバムがありまして、この中の「Riot in Lagos 」(ラゴスの暴動)という曲があり、それにえらく感動したことがあります。17歳の頃でしたかね。毎日聴いていました。

この曲を知るまで「ラゴス」という地名や言葉さえしらなかったので、それからラゴスに興味を持ち調べ、ついでに「暴動」というものにも興味を持ち、その頃から「世界の暴動」を図書館で調べたりしたものでした。

調べてみると、この曲は、Wikipedia にもなっていて、そこにも、


> 『B-2ユニット』制作時に、ナイジェリアの都市ラゴスで起きた暴動からインスパイアされており


とのことです。

下の曲です。

坂本龍一 ライオット・イン・ラゴス (1980年)


これを 1980年代の「日本の奇跡的ソング」の一曲という人は多いと思います。


さて、話が逸れましたが、「海外移住」という現象は、アジアでは、日本でも多いのかもしれないですが、中国でも下のような現象が起きています。

ただし、日本などとは理由が違うかもしれないですが。


中国の億万長者、先行き不安で国外脱出
大紀元 2012年08月25日

投資で米国永住権取得

米国のEB-5投資永住権プログラムは、10人以上の雇用を保証できる外国人投資家に永住権を与えるものだ。

このプログラムで永住権を取得した中国人は2006年では63人だったが、昨年では2408人に躍進し、今年の現時点ですでに3700人を超えている。

全世界の投資家を対象とするこのプログラムだが、これまでに許可された投資家数の75%を中国人が占めた。

昨年発表された国内の調査では、無作為に選ばれた資産百万ドル以上の中国富裕層千人のうち、6割は海外の移住を計画していると回答した。移民先は米国だけではない。豪州への中国人移民も増え続けている。2011年、投資移民を含めた中国人移民は初めて英国移民を上回ったという。




そして、中国に絡んで、話題となっている記事を翻訳紹介してみようかと思います。
それが今回の本題です。

題して「人が住むことのできない都市」という記事です。

もちろん、上の「住みやすい国ランキング」と同様のことで、そんなことは人それぞれの判断であるわけですが、なかなか考えさせるものがありましたので、ご紹介したいと思います。

中国に7年間住んで、ほぼすべての省と自治区を訪れた人による文章です。
イサーク・ストーン・フィッシュ( Isaac Stone Fish )という人によるものですが、アメリカのメディアに多く書いているようですが、どこの国の人かはよくわからないです。下の人です。

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▲ イサーク・ストーン・フィッシュさん。フォーリン・ポリシーというメディアの記者で、ロサンゼルスタイムスなど米国の新聞雑誌等で中国関連の記事を書いているようです。


結構長いですので、翻訳に入ります。
記事は基本的に文字だけですので、写真をこちらで添付したりしています。






 


Unlivable Cities
Foreign Policy 2012.08.13

暮らすことのできない都市の群れ


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中国の大都市は、写真で見ると素晴らしい場所のように見えるが、実際には、そこは人が暮らすには適さない、ひどい場所だという事実がある


イタリアの偉大な作家イタロ・カルヴィーノは、彼の著作である幻想的な小説『マルコ・ポーロの見えない都市』で、マルコ・ポーロが訪れた中国の都市から 55の物語を情感たっぷりに描いた。

そこに書かれてある幻想の中国は、建物は貝殻のような形をしており、らせん状の階段が街に散りばめられている。そして、その幻想的な「ジグザグ都市」の住民たちは、毎日、同じ通りで、眠るための道具を作り、料理を作り、お金を貯め、あるいは物を売ったり、人に質問したりして1日を過ごす・・・という小説だった。


しかし、現在のヨーロッパ人が中国に行き、今の中国の現実の描写をした場合、上のような幻想的で肯定的な描写にはならないだろう。

駅を一歩外に踏み出すと、そこでは多数の中年の女性たちが薄汚れた金属製のカートの上でインスタントラーメンを作り、あるいは鶏をパック詰めしている。今にも倒れそうなホテルの前の路上には農民たちが並んで座り、スイカの種をガムのように噛んでいる。

空気は石炭の匂いがする。

そして、歩いていると、人工的なビルが密集する場所に行き当たり、灰色の箱状の建物がズラリと並ぶ。ある街には、青い色のガラスで囲まれた中国銀行のタワーが作られる。その青と金属での建物の威圧感に観光客は圧倒される。


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(訳者注) ▲ 中国銀行のタワー(左)とその近辺。


中国の都市を、「同じ外観を有する千の都市のようなものだ」という人がいる。

どうして、中国の都市はそのように画一的なのだろうか。

その答えは、この国の建築の歴史の中にある。

1930年代、中国は国家としての形態が崩壊していた。
国の大部分を督軍(当時の中国の地方長官)に支配され、また、中国北東部は日本によって植民地支配されていた。上海は外国人の娯楽場として栄えていた。

当時の中国の平均寿命は 30歳前後で推移していた。

当時は、チベット人、ウイグル人など少数民族たちの住む地区は中国とは関係せず、それぞれ自分の国家として少数民族自身で統治管理していた。

毛沢東が 1949年に中国の主席となった時には、中国の大半の地域はほぼ廃墟と化していた。そして、毛沢東の共産党のテーマは「都市の再構築」だった。

その際の共産党の都市再建のテーマに「広い大通り」、「大きく機能的な建物」などの共通した思想を取り入れ、また、単一の言語と共通した法律を公的に導入し、そこにソ連の都市建設からもヒントを得た。

今日でさえ、ほとんどの中国の都市は、ソ連時代の建設工学で作り上げられたもののような感じがする。

毛沢東の時代以降、中国はリベラルな改革を進めたが、これは国と都市が豊かに育つことを意味しているわけではない。

首都の北京は、ケ小平が 1978年に権力を掌握して以来、それまでの原形をとどめないほど変わったが、私は、北京が過去にどのようなものだったかを確認するために、中国の様々な発展途上の地域を訪問した。

中国の中部の交通の拠点であり、観光地でもある西安。
テラコッタの兵士像の「兵馬俑」(へいばよう)で有名な土地だが、西安に広がるみすぼらしいピンク色に見える建物の数々に、兵馬俑も顔をしかめているかのように見える。



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(訳者注)▲ 西安の兵馬俑。


中国の人民日報に 2007年に掲載された「中国共産党が描く理想の都市」のチェックリストの中から書き出してみる。これは、外国からの直接投資を誘致するためのものでもある。

・公共の広場
・富裕層のための別荘地
・大型高速道路の開発
・新しいゴルフコース

などだ。
これは中国アカデミーの監督官による記載で、つまり、中国の「都市作りの美しさ」というものがこのあたりの集約される。

それでも、たとえば、中国の街自体が魅力的であったのなら、どんな建築でも設計でもそれは悪いことではないのかもしれないが、現実には、水道の水も飲めないし、街のいたるところが、軍事施設や官公庁などの立ち入れない敷地により分断されて、風景は高速道路だけが遠くまで拡がり、大気はときおり黄色になる。

西はウルムチから、北は瀋陽まで、中国の広大な土地に広がっている風景は実は単なる「都市のコピー」なのだ。そして、これらのすべての経済的成功は、終末的な大気汚染と、過剰な交通を生み出し、そして、官僚主義に支配され、人々は毎日の生活の中で窒息寸前になっている。

中国の都市は生きること自体が厳しい場所だと言わざるを得ない。

私は昨年(2011年)の終わりまで、中国で7年間過ごした。そして、22の省と、すべての省以外の地区も訪問した。そこには自治区と呼ばれる場所も含まれている。

武漢の中心都市の交通渋滞の中で、そのクラクションの音のすさまじさに、私は耳に損傷を受けて、聴覚障害者となった。

南京では、ミルク色のスモッグが立ちこめていて、街の風景自体がよくわからないほどだった。

1976年の大地震で有名な唐山の有名ホテルで窓を開けると、四方が工場の煙突で囲まれていた。

私は北京で6年暮らし、上海と天津など多くの中国の場所に住んだ。

しかし、中国で最も住みやすい街をと言われれば、私が2005年から3年間暮らしたハルビン(黒竜江省)を挙げたい。





ここまでです。

ここから記事では、ハルビンの話などになっていき、まだまだ続くのですが、とりあえずここまでとしておきます。

私が今回の記事を紹介しようと思ったのは、日本も都市開発についての同じような「過ち」を持つ気がしたからです。

今住んでいる埼玉県の所沢というところに越してきた後、その時初めて知ったのですが、この所沢の周辺は、「江戸時代から宿場町だった所沢には浦町と呼ばれる花街があり、明治・大正時代に栄えていた」という場所で、花街のようなものが広がっていた場所だそうなんですが、今、ほぼ何の面影もないのです。

ほんの数十年前まではあったはずの「存在」の大半がない。


京都や奈良などの「国が指定した場所」以外の古い文化などは、どんどん壊しちまえ!というあたり、上の記事に出てきた毛沢東の「都市再構築計画」なんかの無味乾燥性と変わらないかもと思った次第です。

今、その元の花街のあたりは、画一的な超高層マンションだらけです。

上の記事にある「広がっている風景は実は単なる都市のコピーなのだ」という言葉。


歴史は移っていくものなので仕方ない面もあるのですけれど、「もう少し古都の姿が残っていればなあ」と散歩するたびに思います。

誰しも今は東大寺や金閣寺には住めないけれど、普通の古民家には今でも改築すれば誰でも住めるのになあ、とか。でも、残っていないので住めない。

私も「いつか古民家に(夏は強力なエアコンつけて)住みたいなあ」と考えることがあるのですけど、埼玉のこのあたりには、もはやないのですよ。前に藤野に行った時にも、現地の人に聞いてみましたら、藤野あたりでも、「古民家は人気で、空きはないと思います」と言ってました。しかも、人気なのでむしろ普通のマンションなんかより高いと。

「チクショー、変な逆転現象見せやがって」と思ったものでした。

まあ、そういう感じで、今回も長くなってしまいましたが、前回記事の「2001年9月11日も含まれている「太陽活動最大期」で書きましたように、まだまだ世の中は荒れる可能性はあります。

でも、世の中が荒れることに自分の生活が巻き込まれてばかりの感覚もつまらないので、それとは別に「自分たちの未来の生活」を周囲と切り離した観念の中で考えるのもいいかと思います。






  

2012年08月23日



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昨日、記事をアップできなかったんですが、「太陽活動と人類史」について調べ直していたら、あまりにも内容が肥大して、うくまとめられませんでした。なので、もう一度まとめて、後日記事にしたいと思います。

どうしてこのことを今、記事にしたいのかというと、

「これからの1年間は歴史上の最も過激な時期と同じ位置にある」

と思われるからです。

これは太陽活動からの観点「だけ」での意味ですが、今の太陽は「第24活動周期(サイクル24)」という中での「黒点数の最大期間のラストの1年間のはじめ」あたりにいます。この時期は、歴史上、大変に激動した時期でした。前回は2001年の後半くらいまでの1年間で、それだけでもいろいろなことが思い出されると思います。

今回の本記事は「軍事」の話ですが、その「太陽についてのこと」を前振りでちょっとだけ書いておきます。






 


2001年9月11日も含まれている「太陽活動最大期」


この「第24活動周期」の「24」という数字ですが、太陽活動の記録は 1750年代に黒点観測が始まってからナンバリングされていて、今回が「人類による太陽黒点の観測が始まって以来 24回目の黒点最大期のサイクル」というような考え方でいいと思います。


この「太陽活動と、人間の活動の関係」については過去にも何度か記事にしているのですが、黒点数と人間の活動に関係があるということを最初に発表したのはロシアの科学者のアレクサンドル・チジェフスキー博士という人でした。チジェフスキー博士は 1920年代に「黒点理論」というものを発表しています。これについては、最近もふれていますので、リンクしておきます。

太陽と宇宙線と人類の関係の中で浮かび上がる 1900年代ロシア宇宙主義の科学(1)
 In Deep 2012年06月22日


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▲ アレクサンドル・チジェフスキー(1897年- 1964年)。


1920年代のロシアでは多くの科学者たちが、ヘリオバイオロジー(無理矢理日本語にすると「太陽生物学」というような意味)という「太陽と、人間を含む地球の生物の関係」について研究していました。これらは「半分は科学、半分は哲学」という部分があったようですが、私自身も「科学への興味」というものが沸いたのは、科学そのものからではなく、作家の埴谷雄高さんの「形而上文学の世界」、つまり哲学サイドからでした。


話を戻すと、この「黒点数の最大期に向かう最後の1〜2年間」というのが、近代史と現代史での最も「荒れた」時代だったと思われます。

たとえば、下のグラフは1950年代あたりから現在までの太陽黒点数のグラフです。赤く囲んだところが、11年の太陽活動のサイクルの中で黒点数が最も大きかった時期です。

sun-1950.jpg


上の期間だけでも、赤い丸のついている1〜2年のあいだにどういうことが起きていたかというのを、ネットの年表などで確認されてみてもわかるかと思います。

何年か前のクレアなひとときの記事で、そのことを箇条書きでまとめたことがあります。
それを一部抜粋しておきます。



太陽活動(黒点数)の最大期に起きた代表的なこと

第4太陽活動周期(1780年前後がピーク) 小氷期(1780年)

第5太陽活動周期(1790年前後がピーク) フランス革命(1789年)

第6太陽活動周期(1805年前後がピーク) 神聖ローマ帝国の解体(1806年)

第7太陽活動周期(1815年前後がピーク) ウィーン体制の開始(1815年)、タンボラ火山の噴火で世界が寒冷化(1816年)

第8太陽活動周期(1830年前後がピーク) ギリシャ独立(1829年)、フランス7月革命(1830年)

第9太陽活動周期(1838年前後がピーク) アヘン戦争(1840年)

第10太陽活動周期(1850年前後がピーク) 太平天国の乱(1851年)、黒船来航(1853年)

第11太陽活動周期(1860年前後がピーク) アメリカ南北戦争(1861年)

第12太陽活動周期(1870年前後がピーク) 独仏戦争(1870年)

第13太陽活動周期(1885年前後がピーク) 甲申政変(1884年)

第14太陽活動周期(1895年前後がピーク) 日清戦争(1895年)、第1回夏季オリンピック(1896年)

第15太陽活動周期(1918年前後がピーク) ロシア革命(1917年)、ドイツ革命(1918年)

第16太陽活動周期(1930年前後がピーク) 大恐慌スタート(1929年)

第17太陽活動周期(1940年前後がピーク) 第二次世界大戦勃発(1939年)、太平洋戦争(1941年)

第18太陽活動周期(1948年前後がピーク) 第1次中東戦争(1948年)、NATO成立(1949年)、中華人民共和国成立(1949年)

第19太陽活動周期(1958年前後がピーク) チベット動乱

第20太陽活動周期(1970年前後がピーク) ブレトン・ウッズ体制の終了(1971年)

第21太陽活動周期(1980年前後がピーク) イラン革命(1979年)

第22太陽活動周期(1990年前後がピーク) ソ連崩壊(1991年)

第23太陽活動周期(2001年前後がピーク) アメリカ同時多発テロ(2001年)

第24太陽活動周期(現在。予想されるピークは2013年頃)



大きなことが起きているというより、「荒れている」という感じがします。



そして今がまさにその時期

そして、今現在の「2012年の夏から」というのが、上の時期と大体同じだと考えられます。今回の太陽活動で、黒点数が最も多くなるのは 2013年の夏とされていて、つまり、今そこに向かう「太陽活動サイクルの最後の1年」がスタートしたと言えます。

いろいろな国で戦争だ、紛争だ、乱射だ、宗教対立だ、暗殺だと大モメで、日本でも領土問題とか、いろいろありますが、これは過去の歴史を振り返ると、まだまだ拡大するという感じとなる可能性もあるわけで、この1年は「覚悟の1年」かも。

ただし、個人的には太陽活動は過去より小さくなっていると思いますので、過去ほどではないと思いますけれど。


なお、この時期には「大きな火山噴火が起きる」というのも顕著です。サイクル21の太陽活動最大期だった 1980年には「セント・ヘレンズの噴火」がありました。少なくとも近現代で、この米国のセント・ヘレンズ火山の噴火というものは「最大の噴火」でした。


幸い、日本にはセント・ヘレンズ山クラスの破壊力の強い火山は(古代火山の鹿児島の薩摩硫黄島を除けば)存在しないですが、この時期に「現在の世の中で最も大きな爆発のひとつである火山噴火が起きた」ということは興味深いです。

このあたり、先週あたりに書きました、

世界の7つの超巨大火山のひとつが存在するニュージーランドで起きている巨大な徴候
 In Deep 2012年08月14日

の中の「地球の7つの超巨大火山」というところで少し書いています。


St_Helens_Paul_Kane.jpg

▲ 1845年にカナダの画家ポール・ケーンが描いたセント・ヘレンズ山の噴火の水彩画。頻繁に噴火する巨大火山であるセント・ヘレンズは個人的に「世界の人々の感情のバロメータ」のような気もします。


というわけで、「黒点数から見る太陽活動と地球での様々な現象の関係」というのは、上のようにちょっと前振りで書いてもこれほどになってしまうもので、簡単にはまとまらないものです。

なので、多少まとまった時に書きたいと思います。

ガラリと変わって、ここから今日の本題です。
サイバー戦争の最前線の話です。






 



戦争手法の次段階に突入しつつある世界


太陽活動と同じくらい私は「現代の戦争」に興味がありますが、これに関して、興味深いニュースが最近よくあります。

そのうちのひとつが、

韓国が北朝鮮からの EMP (電磁パルス)攻撃に備え EMP 兵器の防護施設の秘密建設計画を推進していたことが判明した

というニュースで、これが最近、韓国の報道でありました。
どうして判明したかというと、その「極秘書類」が流出しちゃったようなんです。

記事は韓国語のものしかないですが、こちらの Google 翻訳をかませたリンクで内容はわかると思います。

韓国は地下にバンカー(地下防御壕)をたくさん建築していますが、そのバンカーを EMP 攻撃から防御するものだそう。ちなみに、上の記事の最後は下のようにしめくくられています。


朝鮮日報 韓国語版より

EMP (電磁パルス)は、強力な高出力電磁波を放出し、敵の電子機器を無力化することを意味する。 レーダー、航空機、防空システムなどコンピュータを使用する指揮統制体制などを無力化することができ、未来戦の主要武器として評価されている。戦闘機や艦隊に使用すると、瞬間的に制御機能を喪失して墜落させたり、防御機能を無力化する効果をおさめることができる.。



ここに「未来戦の主要武器として評価されている」とありますが、それは困るのです。過去、何度も書きましたが、どれだけの大戦争になろうが、 EMP とスタクスネットの及ぼす被害とは種類が違うように思います。EMP とスタクスネットはこの世を原始時代に引き戻す武器です。

とはいえ・・・今の人類、一度原始に戻ったりすることも必要なのですかねえ。

まあ、韓国の場合、隣の北朝鮮が EMP 兵器を持っていることはほぼ確実ですので、対策しているのだろうとは思っていましたけど、秘密書類が流出してわかるとは。

EMP 兵器とスタクスネットに関しての過去記事は、翻訳記事の下にリンクしておきます。



元ハッカーと手を組んで開発を進めているアメリカ軍の最新サイバー対応ツール


今回は、アメリカの「新しいサイバー戦争」の記事をご紹介します。
米国 WIRED のものですので、日本語でも紹介されるでしょうけれど、記しておきます。

以前、こちらの過去記事の後半で、「現代の戦争」とは、


最前線の兵士は並べられたコンピュータの前で淡々とウイルスとしてのソフトウェアの作成とハッキングのシミュレーションを繰り返し、他の一団は EMP 兵器の性能を高めるための研究を続ける。

このふたつだけで、その気になれば世界全滅も可能ということでもあり、軍部から見れば、便利な時代になったものだと思います。


と私は書いていますが、米国のその「未来戦争」に関しての方法論の記事をみかけました。

「X計画」という新しいサイバー戦争プロジェクトがアメリカ国防総省下の「国防高等研究計画局」から発表されたというニュースです。

米軍は「プラン+アルファベット」の名称が好きみたいで、上の過去記事でも出てきた、スタンリー・キューブリック監督の1963年の映画『博士の異常な愛情』の中も揶揄的に使われていて、ソ連への核攻撃計画の名称は「プランR」でした。

Dr._Strangelove_-_Wing_Attack_Plan_R.png

▲ 映画『博士の異常な愛情』(1963年)より。B-52爆撃機で、無線で受け取った暗号「プランR」(R作戦)の内容を、機密書類で確かめる搭乗員たち。そこに記載されているのは「ソ連への核攻撃命令」。ここから BGM は1953年の『第十七捕虜収容所』のテーマ音楽に変わり、ギャグ度を深めていきます。


ちなみに、今回の米軍のサイバー戦争の新プロジェクトの要点のひとつには、「攻撃への対応の自動化」というものが含まれているようなんですが、この「サイバー戦争の自動化」というのは、上の『博士の異常な愛情』での話とほとんど同じことになっています。

『博士の異常な愛情』の話の根幹は、当時のソ連が、

「どこかの国から核攻撃を受けた場合、自動的に対応した兵器が作動する(地球上のすべての場所に死の灰が降るたぐいのマシン)」

というシステムを作った話で、それを「終末の日マシン」(以前の日本語訳は「世界全滅装置」でした)と呼んでいましたが、問題は「完全な自動反応システムなので、誰にも止めることはできない」ということ。その中で、一種の「誤」命令により、米軍がソ連に一発の核爆弾を落としてしまって、このソ連の「世界全滅装置」が作動してしまうという話でした。

自動化の宿命というのはこういう部分にあります。
「人間の手で止められない」という。

自動は危険なんですよ。
でも、作っちゃうんだろうなあ、きっと。

ここから本題です。

ちなみに、私たちは今このようにインターネットを使っていますが、このインターネットの原型を最初に作ったのも、今回登場するアメリカの「国防高等研究計画局」です。






Darpa Looks to Make Cyberwar Routine With Secret ‘Plan X’
WIRED (米国) 2012.08.21

国防高等研究計画局が極秘プロジェクト『X計画』でサイバー戦争のルーチンを構築する


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▲ 米軍の緊急即応部隊である「ストライカー戦闘旅団」の指揮官トッド・ウッド大佐(右)とアメリカ国家安全保障局のキース・B・アレクサンダー将軍(左)。アフガニスタンにて撮影。


アメリカ国防総省のトップレベルの研究セクションである国防高等研究計画局 ( DARPA )が、新しく分類されたサイバー戦争のプロジェクトを発表した。

国防高等研究計画局によると、これは次世代のスタクスネットの開発計画ではないという。しかし、この『X計画(プランX)』は、米軍の軍事オペレーションによるネットワークへの攻撃を容易にするためのルーチンを開発するもので、また、「スタクスネットの息子」を作り出すことも簡単になるという。計画局は、「このプロジェクトにより、(我々米軍が)サイバー戦争を支配できる」と語る。

国防高等研究計画局は、「サイバー戦争における防御」について長い間、研究してきた。そして、この数ヶ月、敵からの攻撃に対しての防御法の性能の改善の必要性をプッシュしていた。

この「X計画」は、オンラインでの素早い防御と反撃に関してのもので、軍事マルウェアに攻撃された場合に、その損傷の程度を素早く判断して、即時に反撃するための戦略計画者のソフトウェアの構築を意味する。

また、国防高等研究計画局のケン・ガブリエル行動課主任がワシントン・ポスト紙に語ったところによれば、「デジタル戦場マップ」のようなものを作成し、軍のトップがサイバー戦争の展開を視聴することを可能にするという。

この計画には、年間1億ドル(約 80億円)の資金が供給されているが、8月20日に記述によると、「計画Xは、脆弱性の分析とサイバー武器の生成に関しての研究開発運動の資金の供給をはっきりとは受けていない」という。

これまで、アメリカの防衛と諜報の機関は、ネットワーク攻撃の承認に難色を示し続けていた。

その理由は、開発したツールの効果と影響が、敵への攻撃を越えて拡大していくことを怖れたためだ。

たとえば、ブッシュ政権だった 2003年の米軍によるイラク侵攻の前夜、米軍において、イラクの首都バクダッドの銀行のオンラインシステムに大規模なサイバー攻撃を仕掛けるという計画のアイディアが出されたことがあったが、手控えられた。

しかし、ネットワーク攻撃が手控えられてきた理由はそれだけではない。

アメリカ国家安全保障局のキース・B・アレクサンダー将軍(米軍のサイバー軍司令官でもある)は、「米国に(サイバー戦争での)攻撃計画の事前通告などのルールがある限り、国家レベルでのサイバー攻撃に正しく対応できるかどうかの懸念がある」と表明したことがある。

そんな中、「プランX」では、航空機のオートパイロットシステムと同様に、自動的に実行するように計画することで、上のふたつの問題を解決しようと試みる。

もちろん、サイバー兵器そのものが今ではあまりにもお決まりの手順となっていると批判的に考える人は多い。イランに対してのアメリカによるオンライン諜報活動は論争の的だった。

また、ロシア政府とその同盟国は、サイバー兵器は国際条約によって禁止されるべきであると主張している。

今、米国でも、スタクスネット(Stuxne)のような軍事用破壊工作ソフトウェアをオバマ政権の政治的ツールとして、サイバー攻撃を合法化したのではないかという懸念がある。

それでも、国防高等研究計画局は一歩先に進んでいる。
たとえば彼らは元ハッカーにも研究の下請けを依頼している。

コンピュータへの侵入を感知する会社を運営するIT会社のダニエル・ルールカー氏(Daniel Roelker)は、元ハッカーだ。ルールカー氏は、現在の「ハッカー対ハッカーによるサイバー戦闘のシミュレーション・アプローチ」の方法を非難している。それは実戦では機能しないだろうと述べる。彼は「外部のアドバイザーの助けで戦争は勝てない。我々はテクノロジーでのみ戦争に勝てる」と言う。

そのために、米国はネットワークを分析して、サイバー攻撃への対応を自動化して確認する一連のツールを必要とするのだとルールカー氏は語った。





  

2012年08月21日



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月くらいに書きました、

宇宙空間に「強烈な匂い」が漂っていることを知った日
 In Deep 2012年07月24日

で「宇宙は焼けたステーキと熱い鉄の匂いがする」ということを知って以来、宇宙空間や「宇宙遊泳」という行動そのものに興味があるのですが、宇宙遊泳の関係のニュースを見かけました。






 



ところで、今回の記事とは関係ない話ですが、上の「宇宙の匂い」の話の中に NASA の宇宙飛行士たちが宇宙の匂いについて地上で再現するための会話のようなエピソードを紹介していますが、そこに挙げられていた宇宙の匂いの「要素」は下のようなものだそうです。


アジア料理の香辛料
ガソリン
汗をかいた足の匂い
体臭
マニキュア取りの薬剤


それに加えて、「焼けたステーキと鉄の匂い」。これらを頭の中で想像しながら足していくと、ふと、「宇宙空間ってバンコクとかクアラルンプールみたいな匂いなのかもなあ」と思ったりいたしました。

バンコクというか、東南アジアの都市部の屋台などが並んでいる場所では、ナンプラー系(魚醤)の焦げた匂いと揚げ物の匂い、それと渋滞の排気ガスと、女性たちのわりと濃いめの香水の匂いと、人々のムンムンとした「人間の匂い」などが入り交じっていますが、それが上の比喩と似ている。

「宇宙の匂いとはアジアの都市の匂いなり」

と悟りつつも、こんなことで横道に話題が逸れている場合ではないので、話を戻します。



国際宇宙ステーション(ISS)のミッション


宇宙関係のニュースは、最近では、NASA の火星無人探査ミッションのことが多いですが、一方で、宇宙空間では常に、「有人のミッション」が行われていることに気づきます。国際宇宙ステーションでの長期滞在クルーによるミッションです。

国際宇宙ステーションでミッションを行うのは、基本的に、アメリカとロシアの宇宙飛行士ですが、現在の国際宇宙ステーションには、日本の JAXA 所属の星出彰彦さんが NASA 認定の宇宙飛行士として搭乗しています。

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▲ 現在の国際宇宙ステーションに「第32次/第33次長期滞在クルー」として搭乗している3名の宇宙飛行士。左から、星出彰彦(日本)、ユーリ・マレンチェンコ(ロシア)、サニータ・ウィリアムズ(米国)の各宇宙飛行士。サニータ・ウィリアムズさんは NASA 所属の女性宇宙飛行士。JAXA 広報ページより。


そんな中、それと関連して、ロシアのイタルタスという通信社の報道で、「ロシア人宇宙飛行士による宇宙遊泳ミッションによる実験」についての記事を見かけました。

ロシアのイタルタス通信には、毎日何度も宇宙ステーションでの活動に関しての報道がありますが、「どうしてかな」と思ったら、どうやらイタルタス通信社は、モスクワの ISS 司令部内に記者を常駐させているようです。


今回の記事は、その国際宇宙ステーションでのロシア側の実験に関してのものですが、その実験の中に、「宇宙空間での生物の移送」に関してのものがあり、それに興味を持ちましたので、ご紹介させていただこうと思った次第です。


はじめて知ったんですが、どうやら科学者たちは近い将来、「他の惑星へ地球の生物を送ろう」としている意図があるようです。生物といっても、この場合、バクテリアや真菌(カビなど)などの微生物ということになるのですが、確かにそれなら、かなり簡単に送ることができる。


まあしかし・・・実際には、今まで地球から宇宙へ打ち上げられた、ほぼすべての宇宙飛行マシンは、「地球のバクテリアなどを付着させた状態で宇宙空間へ飛び立っている」はずですので、すでに宇宙のあらゆるところに地球の微生物は降り立っているとも思います。

過去記事の、

宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される
 In Deep 2010年08月26日

にありますように、「宇宙空間でも死なない」地球の生命はたくさんいて、あるいは、大腸菌のようなありふれた地球の微生物や、あるいは、他のどんなものでも微生物であるなら、宇宙空間のような超低温状態なら生きのびられると個人的には思っています。

これは、宇宙空間がマイナス270度などの「超低温」ということが理由で、微生物ならフリーズドライ的な状態、つまり「仮死状態」のような形で宇宙空間に存在できるとされています。


いずれにしても、火星探査機などもそうですが、地球から宇宙へ飛び立っていったマシンは数多くの地球の生き物と共に宇宙に行っているはずです。



太陽系を突破しつつあるボイジャー1号


現在、もっとも遠くまで地球の微生物を引き連れていっていると考えられるのは、NASA のボイジャー1号です。35年前に打ち上げられたボイジャーは、現在、地球から約 170億キロメートル<(113天文単位)という途方もない遠い場所にいて、NASA によると、「もうすぐ太陽系を突破する」とされています。

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このことが NASA から発表されたのは今年6月のことですが、その要約を掲載しておきます。


もうすぐ太陽圏脱出? ボイジャーの周りで宇宙線が急増
Astro Arts 2012.06.15

1977年に打ち上げられ、現在は太陽圏の果てを航行しているNASAの探査機「ボイジャー1号」。178億kmの距離から16時間36分かけて届いたそのデータから、探査機の周囲の宇宙線が急激に増えていることがわかった。2009年1月〜2012年1月の間では25%の増加だったが、5月7日以来、1か月に9%というペースで急増しているという。

太陽圏と恒星間空間の境界付近では、太陽風の荷電粒子と、超新星爆発で生成され恒星間空間から飛来する宇宙線とがせめぎ合っている。計測される宇宙線が増加したということは、それだけ「外の世界」に近づいているという証だ。



ボイジャーに付着している微生物なり、「地球の有機物」なりが太陽系の外へと出て行く日が近いのかもしれないですけれど、しかし、それら微生物も、辿れば元々がそちら側(太陽系の外)から来たものだと考えると、輪廻というか虚無というか複雑な感覚が沸いたりします。


それにしても、たった 35年で 178億キロメートルも進むボイジャー1号の速度もすごいですけど、そんな距離からのデータも「16時間36分」で地球に届いちゃうんですね。


個人的な感覚では、火星の生命探査もそうですが、「宇宙の生命」という存在に関して、何となく、そのミッションは筋違いのような気もしつつも、でも、そういう批判的な意味とは別に、宇宙ステーションで生物の惑星感転送のシミュレーションがおこなわれていることと、その実験の結果には興味があります。

まあ、他の惑星に生命を送るということが、倫理的に(何の倫理かよくわからないですが)是か非かは非常に難しいことだとは思いますが。


今回はロシア語の記事なのですが、ロシア語での専門用語をうまく訳せていないところが多いと思いますので、翻訳する際に用語などを参考にした関連リンクを記しておきます。

Wikiepdia から

ピアース(ISSのロシアのモジュール)
ズヴェズダ(ISSのロシアのモジュール)


また、JAXA の「宇宙ステーション・きぼう」のウェブサイトからは、



などを参考にさせていだきました。
機器の名称や、乗組員の方の名前の日本語表記などは JAXA の表記に準じました。

それでは、ここからイタルタス通信の記事です。






 


ISS
イタルタス (ロシア) 2012.08.21


ISS の司令官と乗組員が宇宙遊泳での任務を終え、宇宙ステーションに帰還


tass.JPEG


8月21日、ISS (国際宇宙ステーション)の長期滞在のロシア人クルーであるゲナディ・パダルカとユーリ・マレンチェンコは、ISS のロシア活動ブログラムである宇宙遊泳での実験の基本的なタスクを実施し、宇宙ステーションに帰還した。

モスクワ近郊にあるミッション・コントロール本部内のイタルタス通信支部からの報告では、パダルカとマレンチェンコのふたりの宇宙飛行士は、モスクワ時間の午前1時28分に ISS の宇宙遊泳用モジュール「ピアース」に移動した。ピアース内で5時間以上を過ごした後に、宇宙遊泳ミッションが開始された。

開始時間の遅れにも関わらず、パダルカとマレンチェンコの二名は、予定より30分早くタスクを終えた。

ISS に戻ったパダルカとマレンチェンコを出迎えたのは、米国宇宙航空局 NASA のジョセフ・アカバ宇宙飛行士とサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士。そして、日本の JAXA 所属の ISS フライトエンジニア、星出彰彦宇宙飛行士の三名。

パダルカとマレンチェンコが宇宙遊泳でおこなったミッションは、まず、宇宙遊泳用モジュール「ピアーズ」の移動と分離だった。ピアーズは、将来的に ISS から切り離され、太平洋上に落下させ沈ませるのだという。

次に、二名の宇宙飛行士は、宇宙空間での物質の転送の実験を行った。

その後、バレーボール大の大きさの小型の人工衛星スフィアーズ (SPHERES)を使っての実験を行った。これは、科学者たちが、地球への物質落下をシミュレートするのための実験で、二名の宇宙飛行士が、宇宙空間にこの人工衛星 SPHERES を運搬した。この後、ISS の軌道の旋回中にいつでも、この人工衛星のパラメータを観測できる。

その後、二名の宇宙飛行士は、サービス・モジュールと呼ばれる ISS を構成するモジュールのひとつである「ズヴェズダ」( Zvezda )に移動した。このロシアのモジュールには、乗員の居住空間や生命維持装置などの機能が備えられている。

パダルカとマレンチェンコは、このズヴェズダに、宇宙空間の流星の衝突から機体を保護するパネルを強化する作業をおこなった。

そして、最後にパダルカとマレンチェンコは、「ズヴェズダ」にある3つのコンテナのうちのひとつに入った。このコンテナには、宇宙空間の過酷な条件の中で生き残ったバクテリアや真菌などの容器がある。

これらの宇宙空間での生物の研究は、将来の惑星間ミッションや、惑星での検疫活動の問題のための重要な研究要素となる。

また、近い将来、科学者たちが考えている「他の惑星へ地球の生命を移送させる」という試みにおいて、その惑星の生態系に対して、地球の生命がどのくらいの影響を与えるのかを考える必要があるという。

科学者たちは「私たちは地球の住民としてこの問題を真剣に考える義務がある」と言う。

また、科学者たちによると、同様に重要な点として、地球の生物が他の惑星に移送された場合、その地で突然変異する可能性があることだという。



  

2012年08月18日



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perfect-sun.jpg

▲ ほぼ「完ぺきな球体」であることが計測された私たちの太陽。






 


私たちは「丸いものは丸い」と単純に思う部分がありますが、実際にはこの世には「完全な球体の物体」というものは、少なくとも自然のものではほとんどないようです。「完全な球体」というのは球体のどこから測っても、直径が均一ということです。

以前、

電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった
 In Deep 2011年05月27日

という記事を書かせてもらったことがありました。

これは英国テレグラフの「電子がほぼ完全な丸に近いことが突き止められる」という2011年5月26日の記事を翻訳したものですが、この世の中にあるものの中で最も小さなもののひとつである「電子」こそがこの世の中で最も丸いものだったということが判明したというものでした。

それはこのような記事でした。


英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、電子の形について、これまででもっとも正確な計測を施した。そして、その結果、電子がほぼ完全な球形であることが判明した。

その亜原子粒子が 0.000000000000000000000000001センチメートル未満の、ほぼ完全な丸であることが確認されたのだ。

これは、言い方を変えれば、電子を「太陽のサイズ」にまで拡大したとしても、その円形の誤差の範囲は髪の毛一本の中に収まる程度の誤差となるほどの完ぺきな円であることを意味する。



この判明に英国の研究者たちは 10年の歳月をかけています。

ちなみに、上の記事を書く時、私は電子とか原子とかについての知識が全然なく、そもそも「原子と電子とどちらが大きいのか」さえ知らなかったですので、その際ほんの少し勉強してみましたら、電子というのは要するに「原子核のまわりを回っている存在」だそうで、下の図での「動いている青いもの」です。




そして、上の文章の中に「太陽のサイズにまで拡大したとしても」という表現が出てきますが、この世は本当に面白いと思いますが、その「太陽」もまた、「完ぺきな円」であることがつい最近わかったのです。

ちなみにタイトルに「ショックを受ける科学者たち」という文字がありますが、どうしてかというと、今回の計測までは、「太陽は赤道付近で少し膨らんでいるだろう」と考えられていたのだそうです。それが完全な球体だったということに関しての驚きだそうです。


今回はそのことにふれた記事をご紹介します。

ところで、毎回、記事の一番下に「1年前の In Deep 」というリンクがあります。
今回のを見てみますと、昨年の8月19日に、

[地球の内なる太陽] Vol.1 - その意味

という記事を書いていたのですが、そのほぼ1年前の記事の中に、今回の「太陽の円形」と、何となく関係のある内容のことを書いていたのですが、そこに「写真」を載せていました。

その部分をそのまま転載しておきます。

これは、

宇宙 > 銀河系 > 太陽系 > 地球 > 人間 > 細胞 > 遺伝子 > アミノ酸 > 分子

という流れを図で表したものです。


銀河系

1-mill.jpg



太陽系

2-sun.jpg



太陽

3-sun.jpeg



地球

4-earth.jpg



人間(卵子と精子)

5-human.jpg



細胞


6-meu.jpg Newtonより。



DNA 周辺(細胞核)

7-dna.jpg 遺伝子医学の基礎知識より。



原子


8-g.jpg



あるいは、これらの中にも「完全な円形」という概念と関係しているものが含まれているのかもしれません。

「月」もそんな感じがします。

それでは、ここから今回の本記事です。








 


Our Sun Is Almost A Perfect Sphere And The Most Round Object Known In The Universe!
MessageToEagle.com 2012.08.17


私たちの太陽は宇宙で知られている存在の中で最も丸い完全な球体だった


sun-perfect-shape.jpg


私たちの太陽がほぼ「完ぺきな円」だったということがわかり、その正確な数値を計測した科学者たちの間に少なからぬショックが走っている。

なぜなら、科学者たちは太陽は赤道付近でわずかに膨らんでいると考えていて、今回の「太陽は完全な球体」という測定結果に驚きを隠さない。

太陽は28日周期で回転し、また、堅い表面を持っているわけではないので、正確な測定は難しかったが、今回、ハワイ大学のジェフリー・クーン博士 ( Jeffrey Kuhn )は、 NASA の 太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーに搭載されている太陽観測装置であるヘリオセイスミック・アンド・マグネティック・イメージャー( HMI / Helioseismic and Magnetic Imager )を使うことによって、太陽の円に関してのこの驚くべき発見をした。

HMI は太陽で起きる様々な変動を観測する。


太陽の赤道付近の膨らみの部分の正確な計測値が出た時、科学者たちは、その数値が自分たちの考えていた数値と違うことにすぐに気づいた。

クーン博士は「ショックを受けました」と言う。

太陽の直径は 140万キロメートル(1,400,000 km)だが、赤道付近の幅の違いは、たったの10キロメートル(10km)だったのだ。

これは、太陽を直径1メートルのボールと置き換えて考えると、赤道付近の東西と南北の直径の差が、1700万分の1メートルしかないということになる。


(訳者注)上の 1700万分の 1メートルという数値は、0.0005ミリ程度の差ということになると思いますが、違うかもしれません。


これは、私たちの太陽がこれまで計測されたあらゆるものの中で最も丸い物体だということがわかったことになり、そのことに天文学者たちは驚いている。

同時に、太陽の表面は考えられていた状態より驚くほど均一なものであることもわかった。


クーン博士はこのように言う。

「長い間、私たちは自分たちの変動している計測結果を信じていたが、しかし、今回の新しい結果は、それまでの考えとは違う何かを私たちに語っているのかもしれません」。




  

2012年08月17日



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bangladesh-rural.jpg

▲ バングラデシュの田舎の風景。英国ウォーリック大学がおこなった大規模調査は、睡眠障害とは無縁のような、このような光景のバングラデシュの田舎(都市部ではないという意味)が、世界で最悪の睡眠障害の発生率を持っていることを示しました。






 



かつてウェブボットを読ませていただいていた時に、「世界的な睡眠障害が広がる」という内容の予測の記述がありました。
2009年の春頃のウェブボットです。

その記事に私は当時大変に興味を持ったのですが、その理由は、当時、私自身に深刻な睡眠障害が続いていたからでした。

今から3年以上前ですが、あれを睡眠障害と言っていいのかどうかわからないのですが、「何時に眠りについても、毎日同じ時間(深夜)に目覚めてしまう」ということになっていて、正直かなり疲れていました。

その頃書いていたブログ(クレアなひとときのこちらの記事など)にもちょっと書いたりしたこともあったのですが、今はもう忘れてしまいましたので、その記事(当時はコメント欄もありましたので、当時のコメントもそのままです)から、当時の私の様子を転載しますと、


(自分の睡眠の問題について)ここ数日の自分を観察していますと、漠然と「夜中に目が覚める」というより、1時55分に目が覚めて、そこでうまく再度眠れても、次は2時55分に目覚める、というように、目覚める時間がわりと決まっているようです。

2時55分の場合は少なくとも朝5時くらいまでは再び眠ることができません。周囲の他の睡眠障害の人たちもそのようですが、就寝の時間はあまり関係ありません。午後9時に寝ても夜1時に寝ても、大体同じ時間に目覚めます。



とありました。

この問題は、つまり、「場合によっては1日1時間くらいしか眠れない日が続いていた」ということになって、どのくらい続いたのか正確なところは覚えていませんが、数ヶ月とか半年とか、そういうレベルで続いていたように思います。うちの奥様などもやや心配げな感じでした。

まあ、私本人は疲れていることを除けば大した気にしてはいなかったのですけれど。

そこに、当時のウェブボットの「世界的な睡眠障害」についての予測記事があったので、とても興味を持ったということでした。

その部分を少し抜粋してみます。
2009年4月に配信されたものです。
ウェブボットは、書かれてある予測年代とか予測日時は気にしないで読むほうが良いです。



ウェブボット 非対称型原語傾向分析報告書 1309 パート5
2009年4月11日配信

・世界的な規模で睡眠障害が発生する。最初は個人的な問題として見過ごされるが、多くの人々が同時に同じ問題に苦しんでいることが次第に明らかとなる。これは2009年の夏の終わりから秋にかけて明らかとなる。 この現象はこれから3年間継続するが、問題が発見されるのは2009年である。

・この現象は宇宙関連のカテゴリーに出てくる宇宙からの未知のエネルギーと関連の深い現象である。この現象はすでに始まっているが、今の時点でそれを体験しているのはもっとも敏感で繊細な人々に限定されている。その後、次第により繊細ではない多くの人々が同じ症状を体験するようになる。

・集団的な睡眠障害の現象は2009年秋の「病気」のキーワードとの関連でも現れているが、これはいわゆる病気ではなく、その原因は太陽系にある。 睡眠障害に対する薬物療法はほとんど役に立たない。むしろ睡眠障害を悪化させてしまう。





というものでした。

まあ、これらは「予言・予測」ということで、オカルト的な意味合いが強いとはいえ、それを別にしても、この「睡眠障害」というのは、日本を含めてどこの国でも大きな問題ではあるはずです。

そんな中で、先日、イングランドにあるウォーリック大学で、いわゆる発展途上国といわれる国々での睡眠に関しての大規模な調査を、複数の研究機関と合同でおこないました。この調査はこれが初めてとなるものです。

その結果、発展途上国の睡眠障害の問題も、先進国とほぼ変わらないか、国によっては、さらにひどいことが判明したという報道です。かなりの大規模調査で、信頼度は高いものと思われます。


また、西側諸国ではすでに問題となっている睡眠障害による抑うつ(うつ状態のような気分)や、強い不安感、落ち込みといった問題の率も先進国と同じレベルだということが判明したというものです。

興味深かったのは、今回の調査は特に「地方に住む人々」を対象におこなわれたのですが、

地方も都市部も睡眠障害の問題レベルは変わらない

ということがわかったりしています。

調査した国は8カ国の複数の地方で、国は、アフリカのガーナ、ケニヤ、タンザニア、南アフリカ、そして、アジアから、ベトナム、バングラデシュ、インドネシア、インドで、この中でケニヤだけは都市部の人を調査したようですが、他はすべて地方、つまり田舎です。

日本の田舎と違い、上の国々あたりの田舎となると、「本格的な田舎」のはずで、携帯もパソコンも、場合によっては、電話やテレビや街灯もないという場所も含まれるかもしれません。

つまり、人工的な光も騒音も、都市化によるストレスも、下手すると公害もあまりない。そんなところでも、「先進国と同じかそれ以上の率(ベトナムとバングラデシュは、特別に睡眠障害の率が高い)」で睡眠障害が存在しているという事実は大変に興味深かったです。


私たちが「なんとなく」不眠の原因と考えやすい都市部での生活というものは、実際には睡眠障害とはあまり関係がないのかもしれません。

考えられないほどの大自然の中で、東京等の都市部に住む人たちと同じような睡眠障害の発生率があり、それが引き起こす問題もほぼ同じだという現実。つまり、「地球の上ならどこでも同じ」という事実。上のウェブボットにある、「その原因は太陽系にある」というような感覚もあながち完全には否定できない面も感じないではないです。


ちなみに、上の記事のあるウェブボットのクリフ・ハイによる巻末エッセイが当時わりと好きでした。クリフ・ハイは(当時は2009年でした)、

2012年になっても、アセンションが起きたり、地球外生物が人類に介入したり、人類の現実感覚が変化したり・・・といったことが起きる可能性はほとんど考えられない

という内容をわりと長く書き、そして、エッセイを下のようにしめていました。


可能性がほとんどないのであれば、これからはわれわれ一人ひとりが、人々に勇気を与え人々を正しく導くことができるような本当の意味のよい人間になる努力をしなければならないだろう。

将来には大変な困難な時期が迫っている。何であれ、このような時期をやり過ごすことができるようなものがあれば結構なことだ。その意味では上のような幻想を信じるのもよいかもしれない。



ここにある「本当の意味のよい人間」ということに関しては、私はクリフ・ハイの言うようなこととは反対の考えを持ちますが、上の表現を私の考える「本当の意味のよい人間」に書き換えると、下のようになります。

「自分に勇気を与え、自分を正しく導くことができるような本当の意味のよい人間になる努力」

です。

クリフ・ハイの言う「人々に」を「自分に」と。

人類の個人ひとりひとりが完全に精神的な自立を果たせれば、本来はそれで地球は完成するはずですけれど、それがうまくいっていないのかもしれないかなあ、とか。
いつかは・・・できるんですかねえ・・・。

でも、別にできなくてもいいです。
完全を求めるのも好きじゃないので。

不完全なままの世界に生きているのが私のこの宇宙という気もします。

あまり話が脱線しないうちに、本文に入ります。

今、午後1時頃で、また暑くなってきました
昨日のようにギブアップする前に翻訳いたします。

ただただ、「ファック夏」とつぶやいています。






 


Global 'Sleeplessness Epidemic' Affects An Estimated 150 Million In Developing World
Nano Patents and Innovations 2012.08.01


世界的な『不眠の流行』が、発展途上国の約1億5000万人の人々に影響を与えている


発展途上国の睡眠に関しての問題のレベルは、いわゆる先進諸国で睡眠障害と共に見られる不安や抑うつの増加などの問題と類似している。

英国ウォーリック大学の医科大学によるアフリカとアジア地域の睡眠の問題に関しての初めての分析では、約1億5千万人の成人が発展途上国の全域にわたって、睡眠に関しての問題で苦しんでいることが明らかになった。



indepth-01.png

▲ 調査結果のグラフ。数字の単位はパーセント。



ウォーリック医科大学の調査では、調査をおこなった国々の人口の 16.6パーセントに、不眠症や他の深刻な睡眠障害があることがわかった。

西側諸国の例では、米国とカナダでおこなわれた同様の調査で、成人の人口の全体の 20パーセント近くに同様の睡眠障害があることがわかっている。

南アフリカのヴィトヴァーテルスラント大学と、ガーナの研究所インデプス・ネットワーク( INDEPTH Network )の研究者を含む調査チームは、ガーナ、タンザニア、南アフリカ、そして、インド、バングラデシュ、ベトナム、インドネシアのそれぞれの地方に住んでいる人々、さらにケニアの都市部に住む成人のうちから、50歳以上の 24,434人の成人女性と、19,501人の成人男性を調査対象とした。

調査チームは、睡眠の問題と人口統計学による社会的実態(生活の質、身体の健康、精神状態など)の潜在的な関係を調べた。その結果、睡眠の問題による強い不安と抑うつ傾向は、先進国で見られる傾向を映した。

国別で様々なバリエーションがあることも判明した。

西洋諸国の不眠の率を上回っていた、バングラデシュ、南アフリカ、そして、ベトナムでは、これらの国の睡眠障害の問題のレベルは非常に高かった。

しかし、インドとインドネシアでは、睡眠問題のレベルは比較的低かった。

また、研究では、睡眠問題の高い率は、女性と、そして高い年齢層で多く見られ、また高収入者のほうが睡眠の問題は大きい。

研究をまとめたウォーリック医科大学のサヴェリオ・ストレンジズ博士は、以下のように言う。

「発展途上国の睡眠問題のレベルが、それまで考えられていたよりはるかに高いことを私たちの調査は示します。これらの睡眠障害の問題が、女性や高年齢者たちの公衆衛生の問題と関連する可能性もあります。また、今回の調査を受けた人々の大部分は地方に住んでいる人々で、つまり、都市化が睡眠問題と関係しているというようなことはないようです」。


また、博士は国別の睡眠障害に差については以下のように述べた。

「分析でわかったのは、国による睡眠障害の率の著しい違いでした。たとえば、バングラデシュは睡眠問題が最も高い率で見られた国で、女性の 43.9パーセントで睡眠の問題が見られ、これは先進諸国の率の倍あります。バングラデシュは、男性においても 23.6パーセントの率で睡眠問題が見られ、これも大変に高い数値です。そして、そのバングラデシュでは、高い不安とうつ状態の発生率が見られました」。

この研究結果は、学術誌『ザ・ジャーナル・スリープ ( The journal Sleep )』に掲載される。




  

2012年08月14日



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相変わらずいろいろなニュースがこの世にはあって、下の写真は、ボスニアで発掘された2体の「巨人」の頭蓋骨だそうです。

giants-01.jpg

・・・・・というのはウソで、上の写真は 2009年に「写真エフェクト・コンテスト」に出品された合成写真作品の一枚です。






 


2009年に運営を停止した、米国の Worth1000 という会員制サイトで 2002年から2009年まで続けられていた写真やイラストレーションのコンテストがあり、この2009年の写真エフェクトのテーマは、「ジャイアント・マン」でした。今はログインしないと見られないですが、アーカイブに残されています。

上の写真の作者はケヴィン・アンダーソンさんという人によるフォトショップでの合成です。まあ、パッとみても、ふたつの頭蓋骨の下のマルの部分の「壊れ方」が同じで、フォトショップのコピペをベースに作っていることがわかります。

fk1.jpg


いずれにしても、このコンテストの「ジャイアント・マン」のテーマの際には数々の傑作が作られました。下の写真に添えられたストーリーは「1934年にニュージーランドで農民が巨人の頭蓋骨を発見」というもの。

fk2.jpg


これは、ノリット(Norrit )というアーティストによるもので、ノリットさんは他にも、幻想的な光景を含む様々な合成写真作品を作っています。

下の「日本の観光地」の写真も、別の年にコンテストに出品されたノリットさんによる作品です。

matsushima.jpg


ちなみにインターネット上に「巨人の骨」として出回る写真の一部はこの時のコンテストの写真であるものが多いです。下のものなどはすべて2009年のコンテストの出品作品です。

giant-2009.jpg


何の関係もない前振りでしたが、写真というものは、映像も含めて今の時代ではすでにリアルとフェイクの差を見た目から判断することは難しくなっています。なのでまあ、自分の感性だけで見て判断するのもいいのではないかとも思います。


ところで、上で「ニュージーランド」という言葉が出て来ていますが、今回はこのニュージーランドのことを書いておきます。

火山噴火などに関係した話です。






 



ニュージーランドと「海底火山」の関係


ニュージーランドの最近の一連の出来事は 8月6日の火山の噴火から始まり、一昨日の「ニュージーランド近郊の太平洋上に、ベルギーの国土面積ほどもある「軽石が島のように群生した」巨大な漂流物が発見された」という報道に続きます。

どれも日本語の報道になっていますので、最初にその報道をそれぞれ短く抜粋しておきます。


ニュージーランドの火山が115年ぶり噴火、国内線が欠航
ロイター 2012.08.07

volcano-tongariro.jpg

▲ 噴火したトンガリロ火山。

ニュージーランド北島中部のトンガリロ山が6日夜、115年ぶりに噴火した。

トンガリロ山は標高1978メートルで、最後に噴火したのは1897年。ニュージーランド地質・核科学研究所のスティーブ・シャーバーン氏は、トンガリロ山の活動は断続的だったことから、噴火の規模が大きかったことは予想外だったと述べた。




南太平洋上に白い巨大物体が浮遊、海底火山噴火が原因の「軽石」か
CNN 2012.08.11

floating-pumice.jpg

ニュージーランド海軍は9日、南太平洋上に浮かぶ1万平方マイル(約2万6000平方キロメートル)以上の巨大な軽石を発見した。ちなみに米国ロードアイランド州の面積は約1200平方マイルだ。

軽石を目撃した水兵は「過去18年間に海でこれほど奇妙な物は見たことがない」と語った。

火山学者のヘレン・ボストック氏は、この軽石は海底火山の噴火でできたと見ており、今後噴火した火山を特定するための調査が行われるが、最近この付近では海底火山「モノワイ」の活動が確認されており、軽石はモノワイの噴火によって生成された可能性があるという。



というものです。

下の「軽石の島」についてのニュースはニュージーランドの報道では、その海上に広がる面積が「ほぼベルギーの国土面積と同じくらい」と表現されていました。
こちらの報道には映像もあります。

正直いって、写真を見ても映像を見ても、どのような状態なのか今ひとつわからないのですが、いずれにせよ、それだけ広大な面積を漂うほどの膨大な軽石が海底から噴出しているということは確かなようです。

そして、その「原因」。

上の CNN の報道の火山学者は、モノワイ(Monowai)という海底火山によって生成されたものではないかと言っていますが、だとすると、海底火山モノワイはそれまでも活動を続けていたわけですので、可能性としては次の二つとなるように思います。

・海底火山モノワイの活動が「突如」として活発化あるいは激化した

か、

・この軽石の原因は海底火山モノワイからのものではない

のどちらかになると思われます。

なぜなら、ひとつの国家ほどの面積を形成するほどの軽石の群生が、完全には散らばらずに集まって漂っているということは、海流(海面の流れ)が軽石を個体が散らされていく以上の速度と威力で「強烈な噴出」が起こっているという状態が起きているような気がします。


地震学者の言う海底火山ではなく、別のものである可能性もあるように思います。

何しろ、海底の火山というのは知られていないものが多く、深海などにあるものでは知られていないものの方が多いのではないでしょうか。

2年以上前に、北マリアナ諸島のサリガン島という島の近くで海底爆発が起きたのですが、その際に、米国気象局は「噴火した海底火山は、米国気象局の知らなかった新しい火山だった」と発表しています。

過去記事にあります。

北マリアナ諸島で噴火した海底火山は米国気象局の知らない未知の火山だった
 In Deep 2010年06月01日


この「海底爆発」のすごさは、2009年に爆発した、南太平洋で噴火した海底火山の動画などでおわかりかと思います。下の動画は、当時のAP通信の映像ニュースです。

2009年の南太平洋での海底火山噴火




しかし、今回のニュージーランドの軽石では、このように海上に向かって噴煙が上がっているわけでもないわけで、つまり、「海底で何が起きているのか」は実際には誰にもわかりません。


そして、現在、多くの地質学者たちがこの一連のニュースに注目しているようなのですが、どうして多くの科学者たちがこのニュージーランドに注目するかというと、ニュージーランドは「地球の中にいくつかある最大級のスーパー火山を持つ地帯」のひとつだということもあるように思います。

今回はこのことを振り返って記しておきます。



地球の7つの超巨大火山


2005年にオーストラリアにあるモナシュ大学という大学の教授、レイ・キャス( Ray Cas )博士が、大学のニュースリリースに、「超巨大火山の噴火での地球の壊滅的な被害」というタイトルの文章を掲載し、そして、「その時期が迫っているのではないか」と記しました。
下がオリジナルのページです。

Super-volcanoes greatest hazard on earth(英語)
 モナシュ大学 ニュースリリース 2005.03.31

この中でキャス教授は、


「スーパー火山の噴火が起こった場合、膨大な量の岩石と灰が放出され、有毒ガスが広範囲に拡散する。死者は数十万から数百万人に達し、気候や食料生産に深刻な影響を及ぼす。スーパー火山の噴火が起きる可能性がある地域としては、ナポリやニュージーランド、インドネシア、南米および北米。インドネシアではトバ山だ。スーパー火山の噴火を上回る地球の脅威は小惑星の地球衝突くらいだ」


と書いているのですが、まあ、やや大げさな部分はともかく、可能性として挙げている地域の中に「ニュージーランド」があるのがおわかりだと思います。

地球には「7大超巨大火山(スーパー・ボルケーノ)」というものがあり、教授はそれを指しているのだと思いますが、その世界7大超巨大火山は、


1.セージア渓谷 (イタリア)
2.イエローストーン (米国)
3.薩摩硫黄島 (日本)
4.トバ火山 (インドネシア)
5.ニュージーランド北島のカルデラ群 (ニュージーランド)
6.シャツキー海台 (太平洋の日本側)
7.オントンジャワ海台 (ソロモン諸島)


だそうです。

それぞれのわかっている部分は下のような感じです。




sv-02.jpg

1.イタリア・セージア渓谷
 
場所:イタリア・アルプス
最後の大噴火:約2億8000万年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍



2.米国イエローストーン

場所:米国
最後の大噴火:64万年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍



3.薩摩硫黄島

場所:日本・鹿児島
最後の大噴火:7300年前
噴火の規模:雲仙普賢岳の1回の火砕流噴の数十万倍



4.インドネシア・トバ火山

場所:インドネシア・スマトラ島
最後の大噴火:約7万4000年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ3000倍



5.ニュージーランド北島のカルデラ群(タウポ)

場所:ニュージーランド・北島
最後の大噴火:西暦150年頃
噴火の規模:不明





となっています。

6番目と7番目の「シャツキー海台」と「オントンジャワ海台」は今は海底なのですが、詳細はほとんどわかっていません。このうち、シャツキー海台というのは、日本とハワイの間あたりの太平洋上にあります。

そして、この場所は、日本の茨城大学の地質情報活用プロジェクトにより研究されています。

茨城大学地質情報活用プロジェクトの2009年9月27日の記事から抜粋します。


みなさんは大規模海台というものを御存知でしょうか?
今から約一億年くらい前の白亜紀、地球全体で火山活動が活発になり、様々な場所で火山活動が起こりました。(中略)

現在私たちは、白亜紀のはじめに太平洋の海底に噴出した大規模海台「シャツキー海台」を調査しています。この海台は日本の本州ほどの大きさがあり、玄武岩でできています。実は、このような大規模海台の形成メカニズムはまだ分かっていません。

シャツキー海台は水深が3000m以上ある海底にあるので一般的な地質調査のように野外を歩いて調査するわけには行きません。洋上の船からドリルを下ろして海底を掘り、その石を調べるのです。



要するに、「地球の地質活動が活発になる時期」というのは、地表だけではなく、海底でも活動が活発化するもののようで、特に1億年ほど前には、太平洋あたりは、とんでもなく激しい地層の活動を繰り返していたようです。

そして、地殻活動の変化と、「海水面の変化」などにより、地球の形というのはそれなりに変わっていく時もあるものなのかもしれません。


今回のニュージーランドの海底での異変がこのまま収まるのかどうかはよくわからないですが、地球の地殻変動の時期というのは、大きなスパンでは同じような時期に集中する傾向があるようですので、その意味もあって、ニュージーランドは注目を集めているのかもしれません。



いつの日かの地球

先日、「北極で嵐が起き、急速に氷が溶けている」ということがありました。

きわめて珍しい「北極での嵐」の発生により深刻な氷の溶解が進行中
 地球の記録 2012年08月13日


もしかすると、すべての環境の状況が相互に影響し合いつつ進行する「巨大な地球の変貌」というものの中に私たちが今いる可能性もないではないのかもしれません。


もちろん、そうではないかもしれないですが、地球の地層などは、「時間軸が存在している世界である限り、地質の大変化はいつかは起きる」ということを示しています。

そして、それは思いの他、早いペースで発生して進行すると私個人は思います。


地球の地質環境の変化の根幹は、下のようなものではないかと考えることがあります。
順番ではなく、これらが相互に影響するというような意味です。




・天候と海流の変化による「地球の氷の消滅」

・それによる海水面の上昇

・ポールシフトによる変化

・地熱(地下の放射性崩壊)の変化による地球の気温の変化

・地表と海底の大規模な地質活動







多分、私たちはある程度のその進行状況をリアルタイムで見ているような気がします。

近いうちに「全世界での氷の溶解」について書いてみたいと思います。