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2012年08月12日



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NASA の火星無人探査計画が無駄な理由: 1976年にバイキングがおこなった火星地表の質量分析から 36年経って進化しない観念



昨日の米国 CNN に「Mars rover: Is all this really necessary?火星探査計画は本当に必要なのか)」という記事がありました。






 


それは、全体で 2000億円という巨額な資金を使い、たった2年間だけおこなわれる予定の今回の無人火星探査計画(ローバー計画)に対しての嫌疑のような記事でした。しかし、その記事を書いた CNN の記者の人も、過去の火星探査のことをあまり調べずに書いているようで、つまり、「火星探査が必要かどうか」という理由として上げている2点が、


・過去の火星探査で生命が見つかっていないのにどうして続けるのか

・火星の資源が地球の生活に活用できる可能性などあるのか


ということでした。

資源のほうはともかく、「生命」に関しては、 NASA のバイキング計画の研究員自身が、計画後の一連の実験から「バイキング実験より、火星上に有機物の存在を認めざるを得ない結論」を1980年代に出しています。



NASA の研究者が10年の歳月をかけて出したバイキング実験のデータ解析の結論はどこへ?

バイキング計画は NASA が 1970年代に行った火星無人探査計画で、1975年にはバイキング1号が火星に着陸。翌年の1976年にはバイキング2号が火星に着陸して、今回のキュリオシティなどと同じように、地面などからの物質の採取と分析を行いました。

しかし、バイキングの実験のデータから結論を得られたのは 10年後のことです。なので、仮に現在のキュリオシティが送信してきたデータを検証することには、やはり何年もかかるはずです。


しかし、それによって、もしかしたら何か発見される可能性があるにしても、それでも今の私は、 CNN の記者と同様に、でもこの記者とは別の観点から「現在の NASA の火星探査は無駄だ」と思います。

それは、過去記事の、

キュリオシティの悲劇
 In Deep 2012年08月08日

などにあるような、 NASA の科学者たちの体質の問題もありますが、それだけではなく、NASA は「微生物を探すため」にキュリオシティを火星に派遣しているはずですが、キュリオシティを含むローバーの性能はそれに実際に適していると思えないのです。

今のキュリオシティを莫大な予算をかけて、わざわざ火星に送るなら、1976年のバイキングの実験のデータの解析と検証実験をさらに現代の科学で繰り返したほうがいいと思います。

キュリオシティの性能の何が適していないのかというと、それは「地球で極限環境微生物を発見するためにはどのような場所から採取をおこなっているか」ということを考えると何となくわかる気がします。

地球での極限環境微生物の探索の場所は、たいていは、「地表」ではありません。
地下、無酸素の湖、海底、氷床の下、放射性物質の中、などです。

少なくとも、現在の科学や天文学では、火星の地表の環境は厳しいとされています。だとすると、地表そのものからバクテリアが見つけられる可能性より、そうではない場所のほうが遙かに適している可能性があると思うのです。

あるいは、「火星には過去に川などがあったこと」がほぼ確認されています。

このあたりは過去のニュースなどにもあります。
下のニュースは 2003年の NASA のニュースを日本語訳したものです。

火星にかつて川が流れていた証拠が見つかった
 AstroArts 2003.11.14

2003年にそのようなことがわかっていたということは、火星には、現在よりも過去のほうが豊富な生命や有機物が地上にも存在していた可能性を考えるのが普通だと思います。「過去(歴史)が眠っているのは普通は地下」であり、「海底」であり、地表ではないです。


地球上にも様々な厳しい環境の中に「極限環境微生物」と呼ばれる微生物がたくさん存在することがわかっています。極限環境微生物と「宇宙生命」の関係についても過去記事にずいぶんとありますが、それは記事下にリンクしておきます。


いずれにしても、現在は「地表は厳しい環境となっていることが予測されている火星」で、生命を探査したいのなら、地下数十〜数百メートルまで掘削か、土壌を採取できる機能と、あとは火星には氷の存在が確認されていて、その下は氷河等のある可能性もあり、その下は火星の古代の微生物の宝庫である可能性もあります。そのサンプルを採取できる機材。

地球では、南極や北極などで氷の何百メートル下からサンプルを採取して、生命探査をおこなっています。



下の動画は、上の記事に載せた「南極にあるロス氷棚という南極の氷の600メートル下で「エビのような生物」が泳いでいることが NASA のカメラに偶然収められた時のもの」です。2009年に NASA が発表しました。南極の氷の下数百メートルにもこのような大型生物さえいるのです。




まあ、話が逸れましたが、つまり、いくら火星の地表の砂とか土を拾ってもあまり意味がないし、そもそも、それはバイキングも先代のローバーもおこなっていることで、それを繰り返してどうする・・・と。しかも、バイキングの採取した地表の土からでさえ、最終的に「生命の存在を認めざるを得ない」と 1986年に NASA のバイキングチームの研究員は語っています。


写真を見る限り、季節によって火星の表面にはコケのような緑色のものが発生しているようですので、運がよければ、そういうものを採取できるかもしれないですけど、ローバーは移動距離も少ないので、多分、そういう偶然も難しそうです。

地球でだって、砂漠に着陸して、徒歩で植物を探しにいってもなかなか見つからないと思いますけれど、同じような感じに映ります。




▲ 無人火星探査機のオポチュニティ号が撮影した火星の写真。1970年代のバイキングの定点撮影の写真にもこの「緑色の区画」は撮影されていて、その際には、「季節ごとに緑が消えたり出現したり」していたことがフレッド・ホイル博士の著作に書かれています。


私には「 NASA が本気で火星で微生物を発見しようとはもはや思っていない」ように見えます。1970年代でその試みは消えたようにも見えます。


しかし、実際には最近の私が最も思っていることは「すべての宇宙生命探査プロジェクトは無駄」(SETI も含めて)ということかもしれません。

パンスペルミア説によらなくても、一昨年あたりから、私は、すべての宇宙にある生命構造は「ほぼ同じ」と考えるようになっていて、生命の形は違っても、根幹の DNA というか、アミノ酸などからできている有機物として根本的に違う生き物は存在しないと思っています。

お釈迦様が言っていた通りなら、この宇宙は同じ宇宙が無数に広がっているだけで、宇宙は拡大もしないし、そもそも誕生もしていない。この瞬間に存在しているというだけのものです。


だから、地球を見ればいい。


私たちの周囲に何億も何兆もいつも漂っている微生物や、あるいは大型の生命を見ているだけで、それで宇宙の生物の構造はわかると思っています。


上にふと「パンスペルミア説」という言葉が出てきたのですが、上に記した「バイキング計画」での火星探査のあたりのことが、フレッド・ホイル博士が最晩年のころに記したエッセイ風の軽い内容の著作『生命 (DNA) は宇宙を流れる』の中にも記載があります。

その部分をご紹介しようと思います。

バイキングがおこなった「ラベル放出実験」というものについて記載されています。






 


1976年のバイキングの実験が示したもの


このバイキングの実験は、「無人火星探査機が火星でどのような採取と実験を行うのか」という点で、今のキュリオシティの実験とも関連する部分があり、その意味でも興味はあります。

実際にはどのような実験で生命存在の探査をおこなっているのかよくわからないですし。もちろん、36年前と今では実験の方法は違うかもしれませんが、「生命探査」というのがひとつの目的ならば、同じ概念の実験を行っている可能性が高いです。

Mars_Viking.jpg

▲ 火星で土壌調査をするバイキング1号。1976年7月頃。


ちなみに、フレッド・ホイル博士は2001年に亡くなっていますので、2003年から始まったバイキングの次の火星無人探査計画(マーズ・エクスプロレーション・ローバー/ローバー計画)を知らないまま亡くなったのですが、それでよかったと思います。

それでは、ここから『生命 (DNA) は宇宙を流れる』を抜粋します。

章の途中からですが、内容そのものは省略できないので、やや長くなるかもしれません。改行だけこちらでおこなっています。


(ここから転載)



生命 (DNA) は宇宙を流れる
第6章「太陽系の生命探査」P123-127



この辺で、「NASA のバイキング計画の実験で、バクテリアの存在さえも否定されたことを忘れたのか?」という読者の声が聞こえてきそうだが、ちょうどわれわれもそれについてお話しようと思ったところだ。

バイキング計画とは、1970年代に NASA が行った、一連の無人火星探査プログラムである。 1975年の8月にバイキング1号が打ち上げられ、翌年7月に火星に到着、火星周回軌道に入った後、7月20日に周回機から分離された着陸船が火星大気に突入し、クリュセ平原(北緯22度、西経48度)に軟着陸した。

1号と同じ年の9月に打ち上げられた2号の着陸船も、1976年の 9月3日にユートピア平原(北緯48度、西経226度)に軟着陸した。

両着陸船は、自動シャベルを使って砂を採取し、光合成、代謝および呼吸についての3種類の実験を行った。

なかでも重要だったのが、ラベル放出実験(LR)だ。

この実験では、殺菌されたフラスコの中で、放射性同位元素14Cを含む栄養液と火星の土のサンプルを混ぜるという操作を行った。土に微生物が含まれていたら、栄養素を摂取して、14Cを含む二酸化炭素のガスが放出されるはずである。実際、 C14 を含む二酸化炭素が放出されるのが確認された。

次に、土のサンプルを 75℃まで熱して3時間おいておき、それから栄養液と混ぜるという操作を行った。その結果、ガスの放出量は90パーセントも減ったが、完全に0になったわけではなかった。地球上のある種のバクテリアや菌類が温度 75℃の環境で生きていることを思えば、この実験の結果も生物が活動している証拠だと解釈できた。

何よりも重要なのは、時間が経つにしたがって、もとの高い活動水準が回復されたことだ。これこそ、生物の特徴である。

最後に、土をさらに加熱してから同じ実験を行ったところ、ガスは放出されなくなってしまった。これは、加熱によってバクテリアが完全に死んでしまったことを示唆する。

バイキングのおこなった実験のうち、もう一つ重要なものがあった。

GC・MSと呼ばれるこの実験は、土を加熱した際に放出される気体をガスクロマトグラフと質量分析計で分析することで、微生物そのものではなく、土壌中の有機物を検出しようとするものだった。

この実験の結果は、がっかりするほど否定的なものだった。
有機物は存在しない。
もし存在するとしても、ごくわずかであるという結果が出たのだ。

この実験を担当した有機化学分析チームは、「火星の土壌の中に微生物が存在していれば、その死骸や排泄物が有機物として残されていなければならない。しかし、バイキングの行った実験では有機物は見つからなかった。したがって、この土には微生物は存在していないことが分かった」と発表した。

LR実験が疑う余地もないほど肯定的で、GC・MS実験がきわめて否定的だったという結果は、 NASA のミッションに関わる学者たちを困惑させた。

これらのデータを考え合わせた結果、生物学チームは、「バイキング計画の結果は、火星に生命が存在するかどうかという問題に対して決定的な結論を出すには不十分だった」と発表した。もちろん、このコメントには「バイキングが実験をおこなった地点では」という限定がついていたのだが、 NASA の言い回しは、一般人の耳には、「火星にはバクテリアさえいないことが確認された」と響いた。

けれども、実は、バイキングの実験は、生命を検出していたと考えるほうが適切なのだ。

最も重要なLR実験で肯定的な結果が「出てしまった」ことにつき、 NASA は、「火星の土に、無機物の強力な酸化剤が含まれていたためだと考えられる」と発表した。彼らは続けて、「現在のところ、そんな物質は知られていないが、そのうち見つかるはずだ」と言い切った。しかし、当時の NASA の研究者の一人は、

(LR実験で得られた)肯定的な結果を非生物的に説明するのは、容易ではない。この問題についての研究は、現在も、地球の実験室に場所を移して続行している。火星の土の代用品として、バイキングの着陸船の実験結果をもとに合成された土が利用されている。

LR実験の謎が解ければ、GC・MS実験では火星の表面に有機物を見つけられなかった理由も説明できるだろう。しかし、この謎が解決されるまでは、小さいながらも可能性を持ち続けるだろう

と言っていた。

バイキングの実験から 10年の歳月が流れ、その間も、火星で得られた実験結果を非生物的に再現するために数々の実験が行われた。バイキング計画の研究員だったG・V・レヴィンと、P・A・ストラートは、 1986年に一つの結論に達した。

「バイキングの実験は、火星に生物がいることを示しているとしか考えられない」

というのが、それだった。 10年間におよぶ無数の実験により、LR実験で得られた結果を説明できるような非生物的なモデルはないことが確認されたからだ。

彼らはまた、このことがGC・MSの結果とは必ずしも矛盾しないことも示した。GC・MSは、1グラムの土の中に1億以上の微生物がいなければ検出できないが、LRでは、1グラムの土の中に1万の微生物が存在していれば検出できることがわかったのだ。つまり、LRはGC・MSの1万倍も感度がよかったのだ。

結局のところ、GC・MSは、火星の土に有機分子がごく少量しか存在しないことを明らかにしただけだったのだ。火星のような厳しい環境では、微生物の代謝活動は極めて不活発だろう。それならば、有機物が少なくともおかしくはない。

レヴィンとストラートは、もう一つの驚くべき事実を明らかにした。

それは、バイキングの着陸船に搭載されたカメラが撮影した火星の岩石砂漠のカラー写真だった。この写真は、同じ場所を一定の期間をおいて撮影したものだったが、そこには、緑色を帯びた区画が、季節ごとに消えたり広がったりしている様子が映っていた。

この様子は、地球の岩石の上で、地衣類が生きていく様子に、驚くほどよく似ていた。地衣類は、極端に乾燥した環境でも、空気中のわずかな水蒸気を手に入れて生きてゆくことができる。

この発見の興味深い点は、地衣類は地球の生命体の中で、最も原始的な生命体ではない、という点だ。地衣類は、菌類とソウ類が合体したもので、バクテリアよりもよほど高級な生き物なのだ。




(ここまで)


以上ですが、上に「地衣類」という言葉が出て来ます。バイキングの撮影した写真にあった緑色がそれと似ているという記載なのですが、この地衣類の説明を Wikipedia から記載しておきます。




地衣類

地衣類(ちいるい)は、菌類と藻類(シアノバクテリアあるいは緑藻)からなる共生生物である。地衣類の構造は菌糸からできている。しばしば外見が似るコケ植物と混同されるが、地衣類は菌類であって植物ではない。





これを読んで、「ああ、なるほど!」と思いました。

いや、何がなるほどなのかというと、私は火星の写真を以前集めていて、何百枚も見ているのですが、火星の写真は「とにかく青と緑の色が多い」のです。

これは誰しも火星の写真を見て感じることではないでしょうか。


下のは無人探査機ローバーのオポチュニティ号が撮影した火星の写真です。
特に青が多いもののひとつです。

mars_nasa-op.jpg


地球でたとえば砂漠の写真を撮影しても、そんなに「青い部分」というのは映り込まないと思うのですよ。そりゃあ、地球と火星では環境が違うので、すべてが同じではないとはいえ、青と緑が多すぎると感じるのです。

上の写真など何だか植物っぽくも見えるのですが、しかし、火星の(少なくとも地表は)植物のようなものが存在するには厳しい環境であるとも思います。

また、下のは、いっとき有名になった「真ん中に人のようなモノがうつっている」という写真ですが、私は「その人のようなもの」より、岩が青いことがずっと気になっていました。

man-mars.jpg


上の写真のオリジナルはパノラマですので、もっとも広範囲を撮影したものなのですが、どこまでも「岩が青い」のです。上の写真は NASA が色修正をしたものですが、オリジナルの色に修正しても青は残ります。

それ以来、「どうして火星の岩の表面は、青かったり緑ばかりなのだろう」とずっと思っていました。そういう材質の岩もそりゃあるでしょうけれど、どれも表面が青い写真さえあったりする。

上の地衣類の説明を読んで、確信しました。火星にある緑は地衣類、あるいは地球の砂漠にもある菌類の関係の生物の「青」、あるいは「緑」だと。

植物が育つのは無理でも、菌類なら、なるほど極限環境でも繁茂できるかもしれない。


ちなみに、地球の砂漠にある地衣類は下のような感じです。

chi-sampo.jpg

ナミブ沙漠の地衣類・多肉植物。より。


そうかそうかあ・・・菌類の緑というものが、この世には存在しているんだ。
なんでも知るものだなあ。


そして、キュリオシティは火星の地衣類の道の上を散歩中(ちい散歩)。





  

2012年08月10日



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タイトルの「亀裂」というのは物騒な響きですが、最初、ロシアのニュースで見て、そのニュースの見だしからもらったものです。そのタイトルは、「太陽に出現した亀裂に関してわかれる科学者の意見」という下の報道でした。

solar-01.png

▲ ロシアのニュースサイト ヴェスチ より。






 



このロシアのニュースの本文は下のような感じで始まるものです。


太陽の表面に、まるで太陽をふたつに分割するかのような恐ろしい黒い「亀裂」が発見された。この亀裂は、8月5日からの3日間のあいだに急速に発達し、長さ100万キロ近くまでの亀裂となった。

この亀裂は今後数ヶ月の間に、地球上の生命に悪影響を与える可能性があるとロシアの科学者たちは言う。



私は読んで意味がよくわからず、「なんだ? 太陽の亀裂って」と思って、遡って NASA の太陽の画像をたどっていくと、「ああ、このことか」と思い至りました。

下の画像は数日前の 8月5日に撮影された、太陽の画像です。


filament-2012-08-05.jpg


太陽の中央にある黒いラインのことを「亀裂」というような表現で表していたようです。

しかしまあ、「亀裂」というのは、意味としては「穴」のことで、割れていっていることを現しますが、この黒のラインは表面上に「出現」したものですので、亀裂という意味ではないとおもわれます。これは、英語とロシア語の言葉の表現上の問題でもあるのかもしれないですが、そこまでわからないです。

一般的には、これらは「フィラメント」と呼ばれていて、 In Deep の過去記事でも、印象的なフィラメントが現れた時には紹介したことが何度かあります。

フィラメントは珍しいものではないですが、上のものは、長さが約100万キロ(地球の直径の約 80倍)に達する巨大さと、あとは「かなり黒色のフィラメントである」ことは珍しいと思われます。

太陽フィラメントについての In Deep の過去記事を写真と共にいくつかリンクしておきます。




文字のようなフィラメント(2011年11月)



・過去記事「「 SUN 」 と描きそうだった太陽の磁気フィラメント」より。
 In Deep 2011年11月30日



巨大な円形を描いたフィラメント(2010年10月)

strange-filament-ring-on-the-sun.jpg

・過去記事「NASA を狼狽させる太陽の上の巨大な磁気リング」より。
 In Deep 2010年10月17日



顔の形を描いたフィラメント(2010年12月)

solar-smile-faces.jpg

・過去記事「「太陽が笑った」: 目は黒点で口は磁気フィラメント」より。
 In Deep 2010年12月09日





他にも過去記事に数多くあるように、太陽表面のフィラメント自体はそれほど珍しい現象ではないのですが、では、なぜ上記記事で、ロシアの科学者たちが、


> 今後数ヶ月の間に、地球上の生命に悪影響を与える可能性がある。


というようなことを言っているかというと、フィラメントが巨大になった場合、「通常とは違う発生過程による太陽フレア」が発生することがあることが確認されているからだと思います。

これは、「黒点がない状態でも発生する太陽フレア」で、 NASA など米国の天文学会ではこの現象をハイダーフレアと呼んでいますが、一般的な言葉なのかどうかは不明です。かつて、スペースウェザーがこのことを取り上げたときの記事を抜粋します。

翻訳記事で、元記事はSOLAR FILAMENTです。


太陽フレアの原因ともなりうる巨大なフィラメントが地球の方向面で成長中
 In Deep 2010年05月20日

太陽は今日も無黒点でしたが、活動していないわけではありません。現在、非常に長い磁気フィラメントが、太陽の北方面に伸びています。この長さは、端から端まで10万キロメートルもの長さがあります。



このような形のフィラメントは、不規則に成長して爆発することが知られていて、その無黒点での爆発は、ハイダーフレアと呼ばれています。もし、今そのハイダーフレアが起こった場合、フィラメントの向きが地球に向いていることから、地球も多少の影響を受ける可能性があります。



というものです。

そのため、場合によっては、非常に巨大な太陽フレアが地球に向かって放出される可能性があるため、科学者たちはそのようなことに言及するのだと思われます。

しかし、私はこれらの「巨大な太陽フィラメント」に関して、今年になってから、他のことを感じるようになっています。

「龍の年」である2012年の今年のはじめに「龍」と「ヘビ」に関して、かなりの数の記事を書いたのですが、それらを書いている中で、この太陽フィラメントという存在は、もっとも、その龍やヘビといったものの動きと似ている動きをしていることに気づきます。

龍やヘビの関係の過去記事は記事下にリンクしておきます。

今回の 8月5日の太陽フィラメントなんかは格別に「ヘビ」っぽいんですが、その日のスペースウェザーの記事を見てみましたら、まさに「太陽のヘビ」というタイトルで紹介されていました。

しかも、その「ヘビ」の英語はスネークではなく、サーペント( Serpent )とスペースウェザーは表記していました。

これは旧約聖書に出てくる「悪としてのヘビ」の意味の英単語で、今年はじめころの In Deep でも、この「サーペント」の単語には妙にこだわった記憶があります。Serpent の辞書での意味は、


1 蛇 (snake)
2 悪魔;サタン〈《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉(Satan)
3 陰険な人, 狡猾な人, 悪意のある人
4 蛇花火
5 セルパン:蛇の形をした木管楽器
6 《天文》へび(蛇)座(Serpens)


というようなことになっています。

この2番目に「《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉」とありますが、このあたりについて、過去記事の、

ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの
 In Deep 2012年04月08日

という記事で取り上げたのが最初だったと思います。

まあ、このことだけではないですが、一度関心をもったことに関しては何度も何度も関わることになるというような傾向が私のブログにはありますので、今後も「サーペント」、あるいは「旧約聖書への疑問」との関わりは続いていきそうです。


いろいろと「中から出てくる」2012年

全然関係ないですが、数日前、タイ北部の町で、「仏像のお腹の部分が突然崩壊して、その中から別の仏様の顔が出てきた」という出来事があり、そのお寺には今、参拝者の人々が列をなしているそうです。下がその仏様の写真です。


thai-buddah.jpg

▲ タイのローカル紙 カオソッドより。


なんかスゴイですよね。

上の記事はタイ語の記事なんですが、タイのニュースもおもしろいものがいろいと貯まっていますので、そのうちまとめて翻訳してご紹介できるかもしれません。

なんというか・・・こう、「良いものも悪いものも、いろんなものがどんどんと表面に出てくる」というような感じのニュースが最近は多い感じがします。
2012年というのはそういう年なのですかね。


そんなわけで、また次第に内容が混沌としそうですので、8月5日のスペースウェザーの記事をご紹介して今回は括りたいと思います。






 

SUN SERPENT
Space Weather 2012.08.05

太陽のヘビ

世界中の天文家たちが、現在、太陽の表面に出現している巨大な太陽フィラメントに注目している。このフィラメントの長さは、地球から出発して月にまで届くであろうほどの巨大さだ。

このフィラメントはその大きさのため、アマチュア天文家たちの望遠鏡でも十分に観測できる。

下の写真は、アマチュア天文家のリチャード・フリートさんがイングランドのウィルトシャーにある自宅の望遠鏡から撮影した写真だ。


serpent_0805.jpg


このフィラメントは数十億トンのプラズマで満たされており、太陽風と大気の中にある巨大構造のため、安定していいないように見える。

そのため、このフィラメントが崩壊する際に「ハイダーフレア」という巨大な太陽フレアを誘発する可能性がある。




  

2012年08月08日



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NASA の新しい火星探査機が火星に到着したようです。
それに関して短い記事ですが、少し書いておきたいと思います。

私が NASA の火星探査に絶望し続けた歴史というのはこのブログでも過去によく書いていましたが、とりあえず、そのあたりがふれられている過去記事などをリンクしておきます。






 





ところで、今回の火星探査機が送信してきた写真の「最初の1枚」を見て「なんだこれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

モノクロで露出も悪いなんだかよくわからない写真。
こちらの写真です。


火星探査機キュリオシティの送信してきた最初の写真

curiosity-photo-1.jpg


私は苦笑してしまいましたが(苦笑の理由は今回の記事の後半で明らかになると思います)、「火星からの写真なのだから、この程度のものなのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれないですが、今から36年前に火星に着陸した NASA のバイキング2号の写真を比べると、その「質がどんどん落ちている」ことがおわかりと思います。


火星探査機バイキング2号が送信してきた写真(1976年)



Wikipedia - バイキング2号より。


40年近く前にこれだけ鮮明に撮影して地球に送信することができた火星の写真が、どうして、NASA は最新テクノロジーを搭載したキュリオシティの「1発目の写真」で公開しなかったのか・・・というあたりに今回のタイトルの「キュリオシティの悲劇」というような概念が結びつきます。



ちなみに、冒頭で私は「NASA の火星探査に絶望し続けた歴史」と書きましたが、何に絶望していたのかというと、そのあまりにも慎重な「科学的姿勢」に対してでした。

実際には1976年、つまり40年近くも前に火星に着陸した NASA のバイキング2号の上の写真を見れば、そこに有機物(生命)が存在しないこと自体がおかしいことに気づきます。ちなみに、「霜」というのも有機物が存在しないと、ほぼ存在するのが無理なことは現在の科学でなら説明できるはずです。

下のような過去記事も書いたことがあります。

NASA のバイキング2号の写真再分析で「火星の生命存在が証明された」という米国報道
2012年04月14日

まあ、いずれにしても、米国政府は NASA の火星探査をやめる決定をしています。

米国政府の火星探査の今後の予算計上に関しては、上のリンクの下の記事中のAP 通信の内容にありますように、





・ホワイトハウスは 2016年と2018年に予定されていた NASA の火星計画への予算計上を中止

・今年(2012年)の無人探査機キュリオシティの打ち上げは行われる。

・火星への有人飛行計画は、白紙(多分消滅)。






となっていて、つまり、今回のキュリオシティが最後の火星探査ということになり、そして、次の予算編成時には、火星探査そのものが中止される可能性が高く、キュリオシティは、先代の火星探査機と同様に「火星に捨てられる」ということになると思います。


それにしても、今回の火星着陸の際の NASA のスタッフたちの喜びの顔はあまり見たことのないほどのものでした。火星の写真なんて、これまで何度も何度も探査機から送られてきていて、それを見ている人たちのはずなのに、それはどうしてだろうと考えてみました。







 


火星探査が終了したことを察知している NASA のスタッフたち


キュリオシティは着陸に成功しましたが、仮に、もし今回のキュリオシティの着陸が「失敗」していた場合、米国政府が再打ち上げの予算を出したかどうかはとても微妙だったと思われます。

というより、失敗した場合は「追加の予算は出なかった」と思います。

さらに最近は米国政府による NASA の人員削減も進んでいて、この着陸が失敗した場合、NASA にいられなくなる人たちも必ずいたはずです。

そういう意味では、NASA の今回のスタッフたちの中には、「自分たちの明日の生活のために絶対に失敗できない」という人たちもいたかもしれません。キュリオシティの着陸が成功すれば、少なくとも 2016年度の米国政府の予算成立(この際には火星探査の予算は計上されない可能性が高い)まで火星探査を続けられる可能性があるのですから。


それが、下の写真の「着陸成功の時の喜びの顔」に現れているような気もいたします。

nasa-mars-2012.jpg

NASA ニュースリリースより。


皮肉ではなく、「ああ・・・よかった・・・これで今年のクリスマスも何とか・・・」という感じがみんなに溢れていて、とてもいい写真だと思いました。

アメリカは、今、特に科学関係者たちは仕事につくのがなかなか大変なのです。もちろん、アメリカだけの問題ではないですが、不況は真面目な科学者たちの生活にも影響を与えています。

なので、何はともあれ私はこれでよかったと思います。

これでこの人たちは少なくとも数年間はキュリオシティと共に仕事をできる可能性があるわけで、とてもよかったと本当に思います。


私もそうですが、もはや「もともと火星に興味のあった人たち」は、今では誰も NASA の火星探査なんかに興味は持っていませんが、しかし、誰であろうと、喜ぶ姿を見ているのはいいものです。



今後、火星の写真をどのように管理していくかだけが焦点


私は数日前、ニュースを見て以来、「不安」を感じていました。

NASA は「火星着陸を中継する」と発表(リンクは AFP通信)したのです。もっともこの報道でも


着陸をリアルタイムに捉えた映像はニューヨークの視聴者を含め誰も見る事はできないが、米カリフォルニア州にあるNASAのジェット推進研究所で着地成功の信号を待つ職員らの姿がタイムズスクエアの大型スクリーンに生中継される。



と、つまり中継は中継でも「スタッフたちの姿の中継」だったわけで(笑)、その中継が上の喜ぶスタッフたちの姿であります。

それでも、「火星の映像もリアルタイムで映す気なのかなあ?」ということに私は不安を抱いていました。

何しろ、上にリンクした In Deep の過去記事「ありがとう、スピリット」にもあるとおり、丁寧に写真の本当の色を再現していくと、火星の実際の風景の色は下のような色となってしまいます


mar-color.jpg


「赤い惑星」どころではなく、普通の青い空の砂漠みたないもんなんですが、これは陰謀論としての話ではなく、 NASA のローバーの写真をどう解析しても、火星というのは上のような色以外では考えられないのです。

なので、まあ・・・今も火星は同じような色だと思うんですけれど、「そんな光景を中継していいのだろうか」と不安に思った次第でした。理由はともかくとして NASA が懸命にフォトショップで作り続けてきた「火星の光景」がバレてしまうのではないのかなあ・・・と。


そこで、私がふと思ったのは、

「最初に送ってくる映像をモノクロにすれば何とかなるのかなあ」

ということでした。

しかし、いくら何でも、キュリオシティ搭載の映像システムも以前よりはるかに高性能になっているわけで、モノクロの写真を最初に公開したのでは、人々に理解されないのでは・・・とそれはないだろうと思っていました。


しかし、キュリオシティが送ってきた写真の1枚目は冒頭のようにモノクロでした(笑)。

ちなみに、キュリオシティからは2枚目の写真も送られてきました。

今度はカラーでした。


火星探査機キュリオシティの送信してきた2枚目の写真(2012年)

mars-2012-02.jpg

(苦笑)。

ほとんど前衛写真の世界ですが、「砂嵐のため」と NASA は説明しています。
突然、砂嵐になったようです。


いずれにしても、これで決定的に火星探査は人々の興味から「消えた」ように思います。

キュリオシティは先代の火星探査機と比較しても優れた性能が多いような気もするのですが、それでも先代ほど注目を浴びるということはあまりなさそうです。

もちろん、火星で何か起きるのかもしれないですし、先はわかりませんけれど、ただ、今となっては「微生物発見」くらいでは人々の注目も、そして、「米国政府の新たな予算」も獲得することは難しいのかもしれません。

それでも、私は先代の火星探査機同様にキュリオシティに敬意を払います。

少なくとも探査機キュリオシティは、火星にいることは間違いないのですから。
私たちが決して行くことはできない火星に。




  

2012年08月07日



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最近は毎回のように記事の方向が混沌というのか、錯綜する傾向にあって、「何のテーマを記事を書いているのだかわからなくなる」というような展開になることがよくあります。

なので、今回は翻訳をちょっとお休みしまして、昨日の、

韓国で歴代最悪の猛暑によりアオコが大発生。そして、そこから知り得た「藻の窒素固定」能力と将来の農業
 In Deep 2012年08月06日

を書いているうちに、次第に自分の頭の中でその具体像が固まってきた「植物と人間の共生」についてのことを書いてみたいと思います。タイトルには「農業」と書きましたが、実際には農業に限らず、植物全般ということで良いと思います。長くなるかもしれませんが、基本的には In Deep の過去記事に出てきた話の繰り返しかもしれません。


最初にその「最強の農業テクノロジー」(あるいは植物との共生の方法)かもしれないと私が思っていることを書いておくと、それは、


・「植物の持つ本来の能力だけを使う」こと


だという単純なことかもしれないということが、ほぼ確信めいて思えています。

そして、これにより、


・肥料も要らない
・殺虫剤も農薬も要らない
・特別な施設も要らない


という条件で農作、あるいは植物を育てることは可能になるのではないかと思えてきたのです。


今回のことを思った最初は、このブログで4月にご紹介した以下の記事の内容でした。

驚異の植物の防衛力アップ法が米国の生物学者の研究により判明:その方法は「さわること」
 In Deep 2012年04月23日

上の記事は、

米国の大学の生物学者たちが「植物は人間に触られることにより強くなる」という事実とそのメカニズムを証明した。


というものでした。

これは植物ホルモンであるジャスモン酸エステルという植物の自己免疫能力の根幹を司る物質が「さわることによってその分泌システムを起動させる」ことが判明したというものでした。


私は結構な数の植物を育てていますが、この日以来、この「さわること」ということを自分で実践し続けていますが、それから4カ月経ったので、もう書いてもいいかと思いますが、さわることには「驚異的な効果」があると、断言してもいいと思います。

その効果としては、私感と事実を含めると、

・害虫がつかない
・植物が傷を自分で治す
・強く太く育つ


ということです。

これは何年か植物を育てている経験から見て、どれも非常に顕著です。

特に、もっとも顕著で、そして個人的にもありがたかったのが、「アブラムシがつかない」ことでした。

アブラムシや、そのたぐいの様々なムシは、花を育てていたり、園芸をしている方なら、宿命的に遭遇すると思います。

たとえば、一部のムシのつきやすい花には、季節になると、どうしてもそれが「沸くようについてしまう」ということがあります。なので、昨年までは殺虫剤などを使うこともあったのですが、やはり薬剤を使うのは何となく気分が良くないという部分はあります。

ところが、4月に上の記事を書いて、そのことを自分で実践し始めて以来、私は毎日、「すべての花」を(一日複数回)さわるようにしていたのですが、植物を育てて以来はじめて、(今のところ)「アブラムシの発生ゼロ」となっています。

さらにすごいのが、観葉植物などでも、何年も育てているものが、「今まで見たことのないような色とツヤ(輝き)」が出て来ているものが多くなっています。最初は感覚的な感じもしていたのですが、やはり毎日見ていると、ちょっと異常なほど葉が光っているものが多いです。葉がビカビカしてる。


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▲ 3年くらい前に100円ショップで買ったミニ観葉。写真でうまく撮れないですが、最近になってから葉っぱが鏡のように光っています。


この「ジャスモン酸」という物質は、植物ホルモンとして古くから研究されてきたものだったようです。

そのことも少し書いておきます。







 


植物の「自己免疫システム」を制御するジャスモン酸


まず、どうして研究者たちが「農業科学」の中でジャスモン酸を研究してきたのかということについては、Wikipedia の冒頭にその答えがあります。


ジャスモン酸

ジャスモン酸は植物ホルモン様物質。果実の熟化や老化促進、休眠打破などを誘導する。また傷害などのストレスに対応して合成されることから、環境ストレスへの耐性誘導ホルモンとして知られている。



そして、1980年代から始められた研究により、ジャスモン酸は、植物にとって、以下のような効果があることがわかってきています。上記 Wikipedia によると、


・果実の熟化

・休眠打破 開芽が早くなったり、種子の発芽も促進する。

・落葉の促進

・ガム物質の蓄積 植物(樹木)が傷を負った時にガム状物質を生産して傷口を覆い、同時に組織内の二次代謝産物合成も活性化させる。これらは傷口からの雑菌の侵入を防ぐために機能している。

・茎の形成の誘導 茎の伸長を抑制し、塊茎形成を誘導する。

・傷害への対応 外敵による摂食などの傷害を受けた際に外敵に抵抗する遺伝子を発現させるシグナル物質としてはたらく。




まさに、植物を最強にする物質の様相を呈していますが、これは植物自身が体内に持っている物質であります。しかし、何もなければ「ジャスモン酸の分泌システムは起動しない」。

そして、わかったのが上記記事「驚異の植物の防衛力アップ法が米国の生物学者の研究により判明:その方法は「さわること」」のタイトルにある通りに、

「その分泌システムを起動させるトリガーはさわることだった」

ということです。

人間が植物をさわることにより、植物(種類によりいろいろでしょうが)が上にあげた機能の

・果実の熟化
・休眠打破
・落葉の促進
・ガム物質の蓄積
・茎の形成の誘導
・傷害への対応

を発現させるのです。

ちなみに、私は上のほうで「アブラムシがつかなくなった」と書きましたが、これは上の反応のうちの「傷害への対応」の項目にあたることで、


> 外敵による摂食などの傷害を受けた際に外敵に抵抗する遺伝子を発現させるシグナル物質としてはたらく。


と説明にはありますが、この「外敵に抵抗する遺伝子」というのが、In Deep の上記記事にある部分を抜粋しますと、次のようになります。


このジャスモン酸エステルは、植物を食べる昆虫に対しての防衛手段として重要な役割を演じている。たとえば、ジャスモン酸エステルの分泌レベルが上がると、植物は草を食べる動物の胃のむかつきを与える代謝物質の生産を増加させる。



つまり、さわられることで、この「ムシの胃を荒らす物質」を植物は自分の体の中に作ることができるのです。

多分、だから、アブラムシも来なかった。

「うー、胃が気持ち悪い」

とアブラムシたちは退散していく。


あと、アブラムシだけではなく、今年は外においてあるすべての植物の葉っぱにおいても、「何かに食べられた形跡がまったくない」です。

梅雨あたりですと、憎きナメクジ野郎なども出るのですが、そして、実際にこのあたりはナメクジが東京より多いんです。でも、ひとつも食べられませんでした。


その頃、つまり、6月頃に私は「ジャスモン酸すげえ」と実感していて、「植物をさわること」についての効果の絶大さを確信していました。

でも、やっぱり記事には書かなかったんです。

なんかこう・・・感覚的な話にとられそうじゃないですか。「植物は可愛がると、よく育つんですよ」とか言う素敵な西洋のオバサマみたいな感じがしたりして。


でも違います。

これは感情の問題ではなく、メカニズムの問題です。

それが証拠に、人間ではなく、たとえば植物はハエなどに止まられてもジャスモン酸の分泌システムが起動することがわかっています。誰であろうと、他者にさわられることによって、ジャスモン酸エステルの分泌のシステムが起動されます。

なので、「憎しみながらさわって」も結果としては同じだと思います。しかし、現実的にはやはり「愛情」という下地がないと毎日さわるということは確かに面倒なことかもしれないです。


そして、多分、植物に「愛情」というような感覚を持って接せられる存在は、やはり今のところ人間だけだと私は思います。


そして、人間は植物を愛でるだけではなく、「食べる」。


植物と人間の関係はそこにまで至ります。


特にですね・・・まあ、なんか急にぶっちゃけ口調になっちゃいますけど、日本人っていうのは、この「植物」に対しての視認性というのか、個別化というのか、とにかく、多分、世界で一番「食べ物である植物も見分けられる人たち」だとも思うのです。

たとえば、山菜などを、フキだ、ワラビだ、ウドだ、ゼンマイ、タラの芽だ、と似たような植物たちを丁寧に調理法をわけておいしく食べてきた。


世界で他にはおよそ誰も食べないようなゴボウや山芋みたいな「根っこ系」も、きちんとそれぞれに合う調理法を見いだして、そして、それを食べて生きてきた。

こういう食生活の歴史はすなわち、そのまま「植物をきちんと見て生きてきた」という、かつての日本人の歴史と直結すると思うのです。

そして、そうなると、昔の日本人はそりゃまあよく「植物をさわってただろう」と思います。


鑑賞としての植物栽培でも日本のその歴史は大変に古いと言われています。

過去記事の、

日本人自らが撮影した 120年前の日本の光景
 In Deep 2011年09月17日

に下のような写真があります。



▲ 1897年頃の牡丹園。




▲ 1897年頃の路上の花売り。


この記事の他の写真にも、粗末な家なのにその前に花が生けてあったりする。ステイタスの象徴としての花ではなく、「自然と花と生きている」という光景を見せていた数少ない生活様式の国。


私たち日本人は、かつて誰よりも植物を愛していた生活をしていた民族だと私は思います。あと、海の幸も。


もうそんな時代に戻れないとしても、単純な話として、繰り返し書きますと、「さわるだけ」で、植物の、

・果実の熟化
・休眠打破
・落葉の促進
・ガム物質の蓄積
・茎の形成の誘導
・傷害への対応

の力を引き出すことができるということを改めて知っておきたいと思います。

他に何も必要ないのですから。

さわるだけなのですから。


さて、ここまでで長くなってしまいましたが、これだけでは「最強の植物との共生」ではないと思うのです。

それが昨日の記事の中に出て来た「窒素固定」という植物の力なのですが、難しいことはともかく、この窒素というものは、現在の肥料の要素の中で大事なものなのですが、考えようによっては、「肥料も必要ない」ということが、植物本来の力としてあるかもしれないということなのです。


一応、窒素というものの大事さについて、いくつかウェブから抜粋しておきます。


窒素と農業より。

窒素は、植物や動物のすべてのタンパク質の構成要素で、窒素がなければ生命は存在しない。植物を人間に有用な形で栽培する農業生産にとっても、窒素は不可欠な元素である。

窒素、リン酸、カリを肥料の三要素といい、特に作物が多量に必要とし、肥料として多く与えられるものである。窒素には植物を大きく成長させる作用があり、葉肥(はごえ)ともよばれる。




ところで、花を育てている方へのマメ知識というか、この「窒素」。

葉っぱを成長させる作用は強いのですが、「花芽を作らない」という性質があります。つまり、窒素を多く与えると、「花があまり咲かなくなってしまう」という植物が多いのです。肥料を与えれば与えるほど花が咲かなくなってしまうのです。

しかし、一般的な肥料には窒素は必ず入っていますので、花を咲かせるためでしたら、「窒素ゼロ」のものを併用する必要があります。販売されているものは、1種類くらいしかないはずで、ハイポネックスという会社で出しています。楽天のこちらなどにあります。


話がそれましたが、最近、この「肥料」の部分に関しても、どうも「肥料は不要な植物との共生の道筋」が存在していると思うようになっています。

今のところ、私は自分の家の植物をいじる程度ですので、「さわる」という方法論で何とかなっていますが、実際、来年あたりは昔の友だちあたりと「自給自足でもするかね」という話はいつも出ていて、もしその時に「何もない」というような状況の時、どのように農業と向かい合うかということには興味があります。

単なる理想ですが、もしかすると、

・太陽
・月
・宇宙線

と、そして

「人間がいればOK」というような「植物との共生」


というものは存在するのかもしれません。

結局、何だかわかりにくい記事となってまいましたが、この「自分の体内にある免疫の機能」というのは、植物だけではなく、人間を含めたあらゆる生命に備わっているものだと思っています。

それを見つけ出すのが最大の科学の道筋なのではないのかなとか。



  
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