この記事の続きは、2012年の終わりまであと2ヶ月の中で狂乱の気候と共に過ぎていく地球です。
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▲スーパーハリケーン「サンディ」が近づくニューヨークを含む米国東海岸。 多くのスーパーは買い占めによりこのようにな状態に。Daily Mail より。
(訳者注) ハロウィーンというのがどういうような意味の日で、それが何月何日ということがよくわからず、毎年調べて、そして毎年忘れるので、今ではもう「ハロウィーンを覚えることは無理」とあきらめています。
でも今頃なのだと思います。
というのも、昨日、ヨーロッパの宇宙探査機関である欧州宇宙機関( ESA )のウェブサイトの「今週の写真」というコーナーに、「ハロウィーンに地球を向く怪物」というような文章が添えられた記事と写真が掲載されていたのでした。
下の写真です。
▲ Image of the week - Fire burn and cauldron bubble (ESA 2012.10.29)より。
地球から 5000光年先にある「宇宙の泡」と説明されています。
さて、5000光年の彼方の「怪物」がこのように地球を見ている中、地球の気候は大荒れです。
アメリカには今現在、巨大なハリケーンが東海岸などに近づいていて、ニューヨークあたりも都市の機能が停止している状態のようですが、この 11月近くという時期といい、「ニューヨークを直撃する」ことといい、やはり、いろいろとここ数十年の気象とは違う気もします。
このハリケーンは英語名でサンディ( Sandy )と呼ばれますが、下の写真は NOAA (アメリカ海洋大気庁) が昨日、人工衛星で捕らえたサンディの様子でを北半球全域の広域で見た写真です。
地球レベルで見てわかる大きさで、これは日本に来る台風などと比べてみると、いかに巨大なハリケーンかおわかりかと思います。今後、どのような影響を与えるのかはわからないですが、このサンディについての報道も、あとで少しふれますが、他の、最近の地質や気象のことを少し羅列しておきます。
これまでと違う場所が揺れ始めている
最近、地質、気候など夏前に比べると比較的穏やかな時間が続いていた感じがしたのですが、先日の記事、
・アイスランドで始まった何か: 記録的な規模の群発地震の発生に関しての地元の人たちの言葉
2012年10月21日
などで、個人的に何となく「変化」を思うところがありました。
上のアイスランドの地震はその後、規模などは多少収まりましたが、しかし以前と比べると、はるかに多い地震の回数は続いていて、3日ほど前にアイスランド気象庁は下のように「大地震につながる可能性」をウェブサイトで発表しています。
抜粋です。
Further information on the seismicity in Northern Iceland
アイスランド気象庁 2012.10.26
アイスランド北部における地震活動に関するさらなる情報
10月25日以降、地震は多少減少しているが、いまだに地震は継続している。
最大でマグニチュード 5.6を記録した今回の一連の地震は、地溝帯として知られるこの断層面上の動きが、海底の窪みのブロックの拡大と関連していることを示唆している。つまり、これは正断層活動を意味する。
また、地震発生源のメカニズムを分析した結果、水平移動の兆しを見せている。このような横ずれ現象そのものはこの海域では通常の現象だが、周辺地域での地震活動からの断層への影響により、大地震の可能性を強調しておく。
10月24日に、アイスランド市民保護科学諮問委員会の会議がおこなわれ、この会議において、現在の「国民保護に関する警戒レベル」を、「不確実性がある」という段階に引き上げる必要があるということで合意した。
もっとも、現在進行中の地震は、今後数十年というスパンでの可能性として使用されるべきである。大規模な地震のタイミングは予測することはできない。
というもので、火山噴火の多いアイスランドには「国民保護に関する警戒レベル」というものが存在するようで、このレベルがどのようなものか私は知らないですが、少なくとも少し警報レベルの段階を上げるようです。
全体的に揺れ続ける北米大陸
そして、アメリカ。
先日、カナダの太平洋側の沿岸でマグニチュード 7.7という比較的大きな地震が発生しました。
これは日本語でも多く報道されていたと思います。
・ハワイに90センチの津波 カナダでM7.7、日本には影響なし
日本経済新聞 2012.10.28
などです。
この際の震源地は下の場所で、カナダの本土とはかなり離れた場所でした。人的被害を聞かないのは、この発生場所によるものだと思います。
ところで、この場所、過去記事の「伊勢神宮に立ち昇った「光の柱」。そして、メッカのソルトン湖に地下に眠る巨大火山に関しての追記」の一番最後のほうでふれたのですが、カスケード沈み込み帯という「かつてマグニチュード9の大地震をアメリカ大陸沿岸に引き起こした断層」が存在する場所なのです。
▲ このカスケード沈み込み帯が、過去数百年の北米大陸で最大の地震を引き起こしたと推定される地層帯です。今回のカナダの地震はその北の端あたりに位置します。この地図では上で切れたあたりの場所です。
その地震は西暦 1700年に起こったことがわかったのですが、その詳しいことは、独立行政法人「産業技術総合研究所」の活断層研究センターという部署が 2003年11月に出した以下のリリースをご覧になっていただければおわかりかと思います。
» 北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定
この内容は簡単に書きますと、
・古文書に基づき日本における元禄12年の津波の高さを3通りに推定
・北米西海岸における沿岸・海底の地殻変動を6つのモデルで計算
・これらに基づき、西暦1700年北米西海岸の巨大地震の規模をM9クラスと推定
・北米西海岸における沿岸・海底の地殻変動を6つのモデルで計算
・これらに基づき、西暦1700年北米西海岸の巨大地震の規模をM9クラスと推定
という結論が出たということです。
そして、これを起こした場所が今回のカナダのマグニチュード 7.7の震源の延長線上も含まれる地層です。
アメリカでは、最近、ニューヨークの方角でもわりとよく地震が起きています。
米国の東海岸のほうは地震が極めて少なく、また、日本では比較的頻繁に起きるような「マグニチュード4」程度の地震以上ともなると、何十年に一度というような場所です。
たとえば、ニューヨーク周辺だけに限った話ですが、こちらの記事によりますと、ニューヨークの地震は、
・1677年から2007年までの330年間でニューヨークで発生した地震は383件(地震が同地域で発生するのは100年に1度ということ)
・マグニチュード5以上の地震は1884年以来発生していない
・マグニチュード6以上は670年に1度、マグニチュード7以上は3400年に1度の確率
ということで、地震そのものが100年に1度くらいの場所で、マグニチュード7など「数千年に一度」という場所です。その周辺で最近地震が多くなっています。
ニューヨークより北にある場所ですが、先日、米国のメイン州でマグニチュード4という地震が発生し、ニュースになっていました。
下は概要です。
Maine hit with 4.0 earthquake that rattles much of New England
NY Daily News 2012.10.16
メイン州でマグニチュード4の地震が発生。ニューイングランドでも揺れを感じる
メイン州の地震の記録の中で最も強い地震は、ボストンカレッジウェストン天文台よると、カナダとの国境近くのイーストポートエリアで 1904年に発生したマグニチュード 5.7 〜 5.9と推定される地震だ。この地震はマサチューセッツ州とニューハンプシャー州でも揺れを感じた。
2011年 8月 23日にはバージニア州の中部でマグニチュード 5.8の地震が発生し、ニューヨークとボストンを含め、すべての海岸に沿って揺れを感じた。 専門家によると、この地域の地質はその地質の効果で、西海岸での同様の大きさの地震より 10倍ほど広い領域にまで揺れを感じる可能性がある。
ちなみに、ニューヨークをはじめとしたアメリカの東海岸のほぽすべての建物は、ほとんど耐震設計がなされていなく、かなりの高層ビルでも「箱が積まれているだけ」という状態が実際です。
そういうこともあって、地震が仮に起これば深刻な事態が想定されています。2008年9月の MSN産経ニュースでは、「ニューヨークに地震帯 想定被害額は最悪21兆7000億円」という試算を出していました。
このあたりのことは過去記事の、
・耐震設計環境のないスイスでの地震から思う「世界全体は環境の変化にどこまで耐えられるのか」という懸念
2012年02月15日
という記事でふれていますので、ご参考下されば幸いです。
というわけで、地質のことで結構長くなってしまいましたので、続きを今日か明日に書きたいと思います。
今回は、アメリカのニューヨークに上陸しつつある「サンディ」の昨日までの報道から印象深い写真をデイリーメールから何枚かピックアップしておきます。
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