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2012年10月11日



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良い時代と悪い時代(3): 2013年の巨大彗星アイソンのこと。そして宇宙から地球に降り続ける生命のこと



シリーズ:良い時代と悪い時代







 



comet-2013.jpeg

▲ 2013年11月頃に、「月くらいの大きさに光る」と考えられている、近代の天体観測史上で最も明るく見える可能性のある彗星アイソンが夜空に見える時の想像図。月よりも大きく輝く可能性が指摘されています。発見されたは今年の9月で、つい最近のことでした。


最近、彗星絡みの話やフレッド・ホイル博士のことなどを多く取り上げていました。

今回のメインの記事は、いわゆる「パンスペルミア説」と関係しているものですが、米国のプリンストン大学の科学者が「地球の生命は宇宙の微生物として地球にやってきたものかもしれない」という検証結果の論文を書いたことが報道になっていましたので、ご紹介したいと思います。

読んでみると、違和感のある内容ではありつつも、フレッド・ホイル博士も亡き今、多少なりともこういうことが継続的に報道されるのも悪いことではないかとも思います。

ところで、彗星絡みといえば、来年、つまり 2013年に今の時代の私たちが見るものとしては「史上最大の明るさと大きさで見える可能性のある彗星」がやってきます。



超巨大彗星アイソンが告げるのはどのよう時代の幕開けなのか

上に載せた写真は 2013年11月28日前後の、そのアイソンと名付けられた彗星が見えた時の想像図ですが、もっと明るく見える可能性もあるようです。

ここ数日、アイソンの報道を多く見かけますが、WIRED の記事から抜粋しておきます。記事中の図の日本語はこちらで入れたものです。

史上最高の明るさ? 彗星「ISON」が接近中
WIRED 2012.10.10

ison-03.png


1年後に地球と太陽の近くを通過し、史上最も明るい彗星になる可能性があるという「 ISON (アイソン、C/2012 S1 )」が発見された。

軌道から考えて、 ISONは太陽の極めて近くを通過し、2013年 11月には太陽面から 140万km以内に接近すると予想される。この時に高熱で表面が溶け、彗星からガスが放出されると考えられる。そして、2014年の1月までには、地球からの距離が約 6,000万kmになると見られる。

一部の推定では、こうした条件が重なって、 ISONは満月よりも明るく見え、史上最も明るい彗星になる可能性があるという。近日点通過前後の 2013年 11月28日には、視等級がマイナスになり、金星や満月の明るさを超える大彗星になる可能性が指摘されている。


こういうものが、うんと地球の近くに近づいて、彗星の分裂や爆発などの光景が見られれば、下の中世の絵画「最後の審判」のような光景も見られるのかもしれません。



▲ 十六世紀の「最後の審判」の図。ギリシャのアトス山にあるディオニシオン修道院のフレスコ画。過去記事「「良い時代と悪い時代」(1)」より。


もっとも、この巨大彗星アイソン自体の軌道は上のフレスコ画ほど地球の近くを通るわけではないようです。

あくまでも、「こういうものが」ということで、もしかすると、中にはアイソンほど巨大で、もっと地球に近づくような彗星だってあるかもしれません。上のアイソンだって発見されたのはほんの2週間ほど前。まだ、私たちが知らない彗星はたくさんあります。

巨大彗星の接近は、最近書いていた「良い自体と悪い時代」の中の、「悪い時代」では頻繁に起こっていたようです。彗星が地球表面に直接影響を与えなくとも、先日の記事、

「良い時代と悪い時代」: 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
 2012年10月06日

で抜粋したフレッド・ホイル博士の『生命はどこからきたか』のエピローグに書かれていた下のようなことはあるのかもしれないです。

ツングースカ型の爆発は過去一万三〇〇〇年ほどのあいだに時折起こったに違いない。この時期の最初の頃は、元の彗星の分裂が激しく起こっていただろう。(中略)

実際、彗星がまき散らした塵が太陽光を錯乱するために、何年間も黄道帯全体が輝いたのが見られただろう。彗星の分裂や、彗星が長く美しい尾を引く姿は、古代の空ではごく普通に見られたことに違いない。神話、伝説、宗教がこのような経験を基にしていることは間違いない。

と、「何年間も黄道帯全体が輝いたのが見られただろう」とあるように、空の光り方が今とは当時は違ったという可能性があるようで、さらに「今後もそうなる可能性」は過去の歴史のサイクルを見ていると、多分(確実に)いつかはまたそういう時代になるのだと思います。

ところで、この「黄道帯」という言葉は馴染みがない場合もあるかもしれませんが、辞書的に書けば、「惑星から見て、天球上を恒星が1年かかって1周する大きな円の経路」となりますが、文字での説明より、占いなどで説明される「黄道十二宮」というような図を見たほうがわかりやすいかと思います。

koudou.gif

西洋占星術 黄道十二宮より。


「何々座の時代」とかの 2000年くらいずつ移動していく「新しい時代」の概念もこの黄道の概念と結びついているようです。

現在はこの概念では、上の図では下の右よりにある「うお座」の時代で、これはちょうどイエス・キリストが生まれた頃からはじまったようです。現在はその隣の「みずがめ座」へと移行してます。なので、あと何百年か経てば、「みずがめ座の時代に生きる地球の人々」というようなことになっているのだと思います。

そして、約2万6000年かかって、また元の位置に戻ってくる。

すなわち、今から2万6000年後には今と同じようなうお座の時代となっている。

キリストの誕生という「象徴」から始まった「うお座」の時代は男性性の時代(権利、所有、戦争、物質、金銭、技術などの時代)でしたが、みずがめ座の概念は「女性性」であって、具体的にはこの「女性性の時代」がどういうものかはわかりづらいですが、まあ・・・多分少なくとも 500年後くらいにはそういう時代が完成しているのではないかと思う部分もあります。

その頃の人はその世界を見られるのでしょう。

そして、今の時代の私たちはほぼ全員このうお座の時代(キリストの時代)に死んでいきます。


ところで、最近、ウェブボットのクリフ・ハイのエッセイを引用することも多かったですので、ついでというのもなんですが、ここでも、彼のエッセイを引用しておきます。2008年のもので、すでに4年前のものです。


地球での生活、そして、ユージュアルサスペクツ
2008.11.09 ALTA レポート 909 P1 のクリフ・ハイの巻頭エッセイ


2012年 12月 21日、午前 11時 11分に太陽系は天の川銀河の黄道平面を通過する。これにより、太陽と地球は銀河中心と一直線で並ぶことになる。このため、地球にはかつてないほどの量のエネルギーが宇宙から降り注ぐことになるはずだ。

現在の太陽は、われわれが知っている太陽とは根本的に異なってきていることに注意しなければならない。黒点が太陽から消え、そのため太陽活動の停滞が予想されるにもかかわらず、太陽から放出されるエックス線やその他のエネルギーは過去最大になっている。磁束管と太陽とは正しい角度になければならないとされているが、これがいったいどういうことであるかまだ分かっていない。

(中略)

ただ言えることは、最近の太陽の異変は、約 26000年周期の歳差運動のサイクルが 2012年に終りに来ていることの証左である可能性が大きいということだ。6000年周期を一日に見立てた場合、過去 13000年間は、太陽系にとって歳差運動のサイクルのちょうどよい期間だったといえる。

2012年12 月21日午前11時11分、夜の時期が終り、歳差運動の次のサイクルの夜明け、つまり 13000年間続くことになる昼の時期に入るのだ。

春分点歳差が 26000年であるというのは実に興味深い。
なぜなら銀河中心までの距離もちょうど26000光年だからである。

さらに、太陽系は天の川銀河の渦巻腕に対して動いているということも興味深い。太陽系はこの運動で、銀河の渦巻腕と渦巻腕の間に存在する暗帯を周期的に横断することを意味している。さらに中米の古代文字は、渦巻腕をめぐる運動が歳差運動と一致していることをも示している。

ecliptic.jpg


ただ、太陽系が天の川銀河を移動しているということは、太陽系が分解しつつあるいて座 B の一部であるかないかにかかわらず、太陽系は銀河系の固定した部分ではないということを表しているのではないかとの議論も成り立つかもしれない。

もし太陽系が銀河系の一部であるなら、太陽系は銀河系を移動するなどということはあり得ず、銀河のひとつの渦巻腕に永久にとどまっているはずなのである。



ここに出てくる「歳差運動」というのは、地球の軸に対しての傾きの回転のようなことを指しますが、文字で説明するより、上の黄道十二宮の図を見ていただくとわかりやすいかと思います。

さて、そんなわけで、彗星と直接関係した話ではないですが、米国のプリンストン大学の研究者たちが、「地球の生命は隕石によって地球にもたらされた」という可能性についての論文を科学誌に発表したという記事をご紹介します

ここからです。






 



Are we the extraterrestrials? Scientists back theory that life was brought to Earth by space microbes
Daily Mail 2012.09.25

我々は地球外生物なのか?


研究する科学者たちは、他の恒星システムの惑星からやってきた岩の断片が地球に生命を運んできたと確信していると述べた。

地球上の生物が微生物によって地球にもたらされたという理論を科学者たちが追求している。

研究者たちによると、地球外の微生物が何百万年ものあいだ、宇宙空間を旅し、地球にまで生命をもたらしたのかもしれないと言う。

この学説は、古代に他の恒星システム(太陽系外ということ)から地球に飛来した岩石の断片調査と計算により導き出されたものだ。

科学誌『アストロバイオロジー ( Astrobiology)』で執筆した科学者たちによると、宇宙から遠い昔にやってきた古代の岩石にはその内部に微生物が存在していることがわかった。

宇宙空間には高水準の宇宙放射線が存在するが、宇宙空間では微生物は活動を停止(休眠)しており、そのため長い宇宙の旅で生き残ることができた可能性を研究は示唆する。


この研究のプロセスの基本的な考え方でもある「パンスペルミア説 (pan spermia / 汎芽胞)」として知られる説は、私たちの宇宙はすべて生命で満ち溢れているとする理論のひとつだ。


今回の研究を主導する米国プリンストン大学のエドワード・ベルブルーノ博士 ( Edward Belbruno )は、以下のように述べる。

「私たちの研究によれば、パンスペルミアの可能性はとても高いことを示します。そして、今回の論文がパンスペルミアを学術的に示した最初の文書かもしれません。そして、もし仮にこのパンスペルミア説が真実であるならば、この宇宙全体に生命が存在する可能性があります」。


さらに博士はこのように述べた。

「これは宇宙のどこでも起きる(起きた)可能性があります。惑星の大きな火山噴火、隕石、他の天体との衝突、など、惑星の断片が宇宙空間に飛ぶ可能性となる原因は様々に存在します」。


博士は、太陽系が若かったころ、他の太陽系との間で断片(隕石など)が交換されていた可能性があるという。そして宇宙をゆっくりと旅行した惑星の断片は、接近した惑星などの引力に捕らえられたと考える。たとえば、地球の引力などによって。

また、研究チームは、太陽が生まれた頃の惑星の破片の数をコンピュータでシミュレーションしたところ、その数は、1000万年〜9000万年の間に、10キロ程度の重さの断片が、少なくとも 10 ,000 ,000 ,000 ,000(10の12乗)から 「3 ,000 ,000 ,000 ,000 ,000 (3千兆)の15乗」個ほどの膨大な数に上ると考えられることを示した。






(訳者注)記事では「岩石の断片」というような感じとなっていますが、いわゆる「断片」は、軌道周期などの「動力」を持たないので、遠い宇宙空間を移動できるのかどうかは疑問に思います。

しかし、「彗星」は違います。

彗星はそのほとんどが軌道周期を持っており、ある意味では、「自主的に移動」しています。

さらに、彗星の内部に微生物が存在していれば、仮に彗星が大気を持つ惑星に突入しても、大きさにもよりますが、衝突と摩擦による熱から「内部」が守られる可能性があります。

このあたりは何年か前にクレアなひとときの「宇宙はすべて生き物からできている」に書いたことがあります。

そこに英国カーディフ大学のチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士が、1986年に、シドニーのアングロ・オーストラリアン天文台にあるアングロ・オーストラリアン望遠鏡で観測した、「ハレー彗星の赤外線吸収スペクトル」のグラフを載せたことがあります。

下のグラフです。

fred-comet.jpg

この図が何を示しているかというと、「ハレー彗星と地球の大腸菌は、成分分析上で一致した」ということです。

この観測結果が「彗星は微生物の塊であるかもしれない」という推測につながっています。

また、隕石の場合にしても彗星の場合にしても、大気層に突入する際には表面は熱と衝撃によって、分子レベルで破壊されますので( DNA も残らないということ)、「守られる頑丈な外殻」は必要だと思います。そして、それが彗星の構造とメカニズムなのだと私は思っています。

あるいは、「摩擦熱の問題でそもそも微生物しか大気圏を突破できない」ということもあります。

このあたりも、上のクレアの記事に、フレッド・ホイル博士の『生命はどこからきたか』の中にある内容をまとめたものがありますので、そこから抜粋します。


彗星の破片は時速3万6千キロ(秒速10キロ)という超高速で移動しているものであり、また、地球はそれよりも早い公転スピードを持っている。そのスピードの中で、ある物質が惑星内に着陸するとなると、その摩擦で生じる衝撃によって、その物体は分子レベルでバラバラに破壊されてしまい、生物が生き残る可能性はない。

これは大気のない星では言えることで、かなり好条件でも、彗星に乗った微生物が生きたまま着地するのは不可能だと思われる。

しかし、一部の大気のある惑星、たとえば地球の高層圏などでは気体の密度が低いために、侵入した破片の速度は減速される。なので、分子レベルでの破壊は一応免れるので、「形」は残る。

しかし、それでも、「熱」の問題はある。

地球大気に秒速 10キロのスピードで物体が突っ込んできた場合、その摩擦熱は物体の大きさ(粒子の直径の4乗根)と比例する。その場合、物体が針の先くらいのものでも、摩擦温度は 3000度に達し、ほとんどの物質は残らない。あるいは生物なら生きられるものはいないはずだ。

可能性があるとすると、それより小さなものだ。

たとえば、細菌やウイルスくらいの大きさの粒子なら、突入した際の摩擦温度は約500度となる。

摩擦で加熱される時間は約1秒間と推定される。

この「1秒間の500度の状態」を生き残ることができない限り、生物は彗星に乗って地球に侵入してくることはできない。



そして、英国カーディフ大学で始まった実験では、大腸菌たちは、「1秒間の500度」をクリアしたのでした。

しかし、もっといえば、生命自体は「アミノ酸」が基幹となっています。

そういう意味では、微生物よりさらに根幹である「アミノ酸はどこから来たのか」ということも、ポイントだと思うのですが、これに関しては、国立天文台のページをリンクしておきます。

宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見
 国立天文台 2010年4月6日

このページにある国立天文台の 2010年の発見は、現在の地球での天文学の中で最も大きな発見のひとつだと思います。

alanin-s.jpg

国立天文台 / 生命をかたちづくるアミノ酸の謎より。


上の図はその国立天文台のページにある「アラニン」というものの図ですが、地球の生命のアミノ酸は、すべて実は左側の「左型」だけで構成されていて、これは地球生命学の最大の謎でした。

というか、今でも謎です。
それがもしかしたらわかるかもしれない、という大発見でした。

確かに徐々にではあっても、「宇宙はそのすべてが生命である」という(多分)事実に向かって、少しずつ前進しているような気はします。

そして、彗星がたくさん飛来する時代は確かに「悪い時代」ではあるけれど、同時に生命の進化と刷新が行われるときでもあるのかもしれないと私は思っています。

--
[彗星とパンスペルミア]に関連した過去記事:

『宇宙が生命を作り出している』ことの証明に近づく新たな観測結果
2011年08月31日

宇宙塵自身が生命であることに言及した 100年前のノーベル賞学者の実験
2011年05月07日

銀河系で生命を運ぶ浮遊惑星に関しての「宇宙の概念を変える」研究発表
2012年02月28日



  

2012年10月07日



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シリーズ:良い時代と悪い時代





今朝、Google のトップページが下のようになっていました。

google-10-07.jpg

Google は著名人の誕生日などではこのように特別なロゴにすることがありますが、そういうイベントがあるのは相当な著名人だけです。なので、上のロゴを見てちょっと考えてみました。

「なんか物理っぽい数式があるし・・原子みたいのが描かれているし、アインシュタインかなあ」

とクリックしてみると、「ブー」でした。

1922年に「原子構造とその放射に関する研究」でノーベル物理学賞を受賞した、ニールス・ボーアという科学者の誕生日なのでした。知っているかなあと考えてみますが、「うーん・・・やっばり知らない」ということで、 Wikiepdia を読んでみました。以下のような人のようです。


ニールス・ボーア

bo.png

デンマークの理論物理学者。量子論の育ての親として、前期量子論の展開を指導、量子力学の確立に大いに貢献した。

20世紀初頭の物理学に対して様々な貢献を成しとげており、量子力学分野の確立において、相対性理論の確立者であるアインシュタインと双璧を成すと称される。



だそうです。

目を引いたのはその下にある記述でした。


後半生には量子物理学と東洋哲学に類似性があるとして東洋哲学を研究していた。



ということで、下のようなことを述べていたそうです。

「原子物理学論との類似性を認識するためには、われわれはブッダや老子といった思索家がかつて直面した認識上の問題にたち帰り、大いなる存在のドラマのなかで、観客でもあり演技者でもある我々の位置を調和あるものとするように努めねばならない。」

フレッド・ホイル博士も晩年は東洋思想に傾倒していたんですが、それは、多分、科学を突き詰めれば突き詰めるほど、科学者の人々は「無限」という問題と対峙せざるを得なくなるからのような気もします。

まあ、実際のところはわからないですが、いずれにしても、ニールス・ボーアという人は徹底的に東洋思想に傾倒していたようで、自身の物理学での功績により、デンマーク最高の勲章であるエレファント勲章というものを受けた時、その紋章に選んだのが、陰陽の東洋の図面である太極図であったとのことで、それが下の勲章。

boa-01.jpg


下の部分を拡大すると、こんなでした。

boa-02.png


昔、「インド人もビックリ」というフレーズがありましたが、そんな感じです。

上の紋章はデンマークのフレデリック城に、世界の王室・元首の紋章とともに飾られているのだそうです。


さて、今日は、上のような、心情的に好きな感じの上の科学者を知ったわけですけど、今日の記事の冒頭はもともと別の科学者の著作からの引用ではじめようと思っていました。

それは、スティーブン・ホーキング博士という科学者の言葉です。


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どうして私たちは「傲慢」になったのか


前回から「いい時代と悪い時代」ということについて書いていますが、ホーキング博士の「言葉」は、現在の「時代」のことをよく現していると思ったからです。


ホーキング博士は、著書『偉大な設計』の中で「神は宇宙を創造しなかった」と記し、続いて、 2010年9月10日の米国 CNN のテレビ番組のインタビューの中で以下のように述べています。


「科学は創造者の助けなしで宇宙を説明することができる」



この現代の科学者の言葉と並んで思い出したいのことは、ひとつは今回も前回に続いて抜粋するフレッド・ホイル博士の『生命はどこからきたか』のエピローグにある下の部分です。

「悪い時代には、空からやってくる天災に対して、どんなに強力な指導者であっても対抗できなかった。しかし天災がしばらくなかったときには、専制的な支配者に対抗するものは何もなかった。空には何も見えなかっただろう。そして天上の神々の地位は下がり、専制的支配者をも含めた神がとって代わった。」


と書いています。

つまり、「空からの天災がない時代は、人は神に対して尊大になる」ということが言えるかと思います。

ホーキング博士の生きている「今」という時代は、まさにこの「空からの天災がない時代」であり、「そして天上の神々の地位は下がり、専制的支配者をも含めた神がとって代わった」というホイル博士の言葉から見ると「専制的な支配者が新しい神になろう」している時代だと言えます。

さて、この「専制的な支配者が新しい神になろう」というフレーズ。

今年の7月に、

科学者たちの「神」の意味
 In Deep 2012年07月05日

というものを書いたのですが、上のホーキング博士の発言はこのことを端的に現している言葉だと思います。

「私たち(科学者)が神だ」と。

これは上の記事では、「現在の神は計算であり、それを司る者」だと書きました。

どうして、計算を司るものが神かというと、たとえば私を含めて多くの人には「宇宙論の計算はできない」のですが、それでも、現在の宇宙論はその計算がすべてとなっている。


もちろん、フレッド・ホイル博士もバリバリの「計算の頂点にいる科学者」なんですが、少なくとも私が読んでいるもので、自分たち科学者が新しい神であるというニュアンスを感じる部分はないです。また、晩年には「無限」ということを考えていたようで、埴谷雄高さんなんかもそうですが、一種、ゴールのない思想の中で亡くなっていったような感じがあります。

ここまで書いていて、ふと、昔のウェブボットのクリフ・ハイのエッセイで引用されていた古い西洋の詩を思い出しました。そこには古代エジプトで「新しい神になろうとしていた王たちの跡」が描かれています。全文ご紹介します。2009年7月20日にリリースされたウェブボット「来るべき未来の姿 0巻1号」の巻末エッセイにあるものです。


オジマンディアス
パーシー・B・シェリー作/高島康司訳

古代の国エジプトから来た旅人はいう
胴体のない巨大な石の足が二本
砂漠の中に立っている

その近くには半ば砂にうずもれた首がころがり
顔をしかめ 唇をゆがめ 高慢に嘲笑している

これを彫った彫師たちにはよく見えていたのだ
それらの表情は命のない石に刻み込まれ
本人が滅びた後も生き続けているのだ

台座には記されている

我が名はオジマンディアス
王の中の王
全能の神よ
我が業を見よ
そして絶望せよ

ほかには何も残っていない

この巨大な遺跡のまわりには


ここにある、

「全能の神よ 我が業をみよ そして絶望せよ」

という言葉。

これは古代エジプトの王が「私は神より偉大なのだ」と言ったことを示しているわけですが、現在の科学にある一部分の言葉には、上のニュアンスを感じます。

すなわち、

「宇宙よ 我々はお前などこわくない」

ということです。

前回も書きましたが、このような「宇宙を軽く考える時代」も、「今のように安全なときが永遠に続くのなら」こういう考え方でもいいのかもしれませんが、決して地球はそういうものではないことは、これもやはり科学(天文学や地質学など)が解明していることです。

前回記事の「良い時代と悪い時代: 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも」の抜粋の続きです。




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2012年10月06日



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シリーズ:良い時代と悪い時代







 


tunguska.jpg

▲ ロシアのツングースカで 1908年に起きた大爆発の際の想像図。Universe Todayより。


少し前に、

ウイルスの流入の繰り返しでDNAの進化をなし得てきた人類をサポートする「宇宙と火山」(1)
 In Deep 2012年09月23日

ウイルスの流入の繰り返しでDNAの進化をなし得てきた人類をサポートする「宇宙と火山」(2)
 In Deep 2012年09月23日

というふたつの記事を書きました。この「1」のほうで私は、火山噴火という自然現象の「意味」を考える上で、中世の一種のオカルトの概念である「エメラルド・タブレット(ヘルメスのエメラルド盤)」というものの中の次の一節を引用しました。


唯一となる奇跡の実現のためには、下のものが上のように、上のものが下のように。(中略)

それは地上から天へ昇り、また再び地へと戻り生まれ変わります。
そして、上のものと下のもの両方の力を身につけるのです。




上の記事を書いていた頃までは、「西暦535年に起きた自然災害」は、巨大な火山の噴火だろうと考えていたのですが、やはりそれだけではどうにも考えがたいこと特に疫病の流行)などもあり、次第に、上のエメラルド・タブレットの一節などを思い浮かべるうちに、

そういう時は、上も下も同時に来るのかもしれない

と、ふと思ったりしたのです。

簡単にいうと、「下は地球で上は宇宙」です。

そして、西暦535年にはクラカタウ火山などの巨大な火山噴火は確かにあったのでしょうが(噴火したこと自体は地質学的にもほぼ証明されています)、それと同時か前後して、「巨大な彗星が地球に衝突(空中爆発を含む)していたのではないか」と考えるようになりました。


昨日今日と、久しぶりにフレッド・ホイル博士の『生命はどこから来たか』という 20年くらいほど前に記された本を読み返していました。

何しろ、以前も書いたことがあるかもしれないですが、私は本の読み方というものが「なっていない」のです。最初から読み始めて最後まで読み終えたというほとんどないのです。

では、どういう読み方かというと、

・目次で気になるタイトルの見だしのところから読む。
・適当に開いたところを読む。

というどちらかです。

たとえば、最近また読んでいる他の本として、ジョルダーノ・ブルーノという16世紀の修道士の書いた『無限、宇宙および諸世界について』という本があります。これなどは大好きな本ですが、買って半年以上は経つのに、まだ 10分の 1くらいしか読んでいません。

それだけしか読んでいないのに「どうして大好きなのか」というと、「適当に開いたところに必ず感動する文章がある」のです。

だから好きなんです。

ちなみに、この『無限、宇宙および諸世界について』は、どの章でも「基本的に読者を笑わそうとしている」という部分に満ち溢れている点は注目に値します。このあたり、「笑う者、死すべし」というようなテーマだった『薔薇の名前』という中世の暗黒時代を描いた映画を思い出しますが、あるいは、ブルーノが火刑に処された理由には、案外とこういう「強い笑いの要素」もあったのかなあと思ったり。

なんとなく「16世紀の科学本なんて堅苦しそう」と思うかもしれないですが、たとえばこの本の「最初」はどのように始まるかというと、対話形式で書かれているこの本の「第1対話」の最初はこのように始まります。

フィロテオという人がジョルダーノ・ブルーノ自身という設定だと思います。


『無限、宇宙および諸世界について』 第1対話の冒頭より

 エルピーノ 宇宙が無限だなどということがどうしてありえましょうか?
 フィロテオ 宇宙が有限だなどということがどうしてありえましょうか?
 エルピーノ この無限が証明されると思うのですか?
 フィロテオ この有限が証明されると思うのですか?
 エルピーノ どのような拡がりなのだろう?
 フィロテオ どのようなへりに囲まれているのだろうか
 フラカストリオ 要点を、要点を、どうぞ。あなた方は気をもたせすぎますよ。
 ブルキオ  早くその要点を話したまえ、フィロテオ。君の言うおとぎ話やら空想やらを聞いて楽しみたいものだね。
 フラカストリオ 慎みなされ、ブルキオ。もしもその真実をあなたも認めざるをえなくなったら、何とされます?
 ブルキオ  たとえ真実であったとて信じたくないね。そんな無限なんて、私の頭では理解もできぬし、胃袋で消化するわけにもゆかぬからな。もっとも、フィロテオの言うとおりであってくれればよいとも思いますがね。さすれば、運悪くこの世界から墜落するようなことがあっても、どこかの土地には落ちつけようというものだ。




こんな感じで、次から次へと「皮肉屋」たちが、フィロテオ(ジョルダーノ・ブルーノ)の前に立ちはだかるという、ウルトラセブンとか鉄拳タッグトーナメントだとか新日本プロレスとか、そういう世界と同じなんです。

しかし、我らがブルーノはそのような相手たちに勝つ(説き伏せる)のです。そして、『無限、宇宙および諸世界について』の最後は上の冒頭に出てくるエルピーノのこの言葉で終わります。


エルピーノ では夕食を始めましょうか。




読んでいて普通に笑えるハッピーエンドで完結しているのです。

まあ、実際にはジョルダーノ・ブルーノは、西暦1600年に火刑に処されてしまうわけで、現実のほうは、「では夕食を始めましょうか」ではなく、「では、これからあなたを焼きますね」ということになってしまったのですが、しかし、本のほうでは全体的に明るい空気に満ちています。

ジョルダーノ・ブルーノについては、過去記事の、

参考過去記事:バチカンの希望の砦は「宇宙人という神」の登場(1)
 In Deep 2011年11月01日

など、何度か取り上げたことがあり、いろいろと書きたいこともあるのですが、あまり話が逸れるのも良くないですので、今回のタイトルと関連した話に進みます。

いずれにしても、上に書きましたように私は本の読み方がデタラメなのですが、それだけに思い出すために部分的に読み直すことも多いです。

今回、フレッド・ホイル博士の『生命はどこから来たか』も、読み返したい場所があり読んでいたのですが、この本のエピローグに「彗星の活動から見る地球の良い時代と悪い時代」という概念のことが書かれてあり、それが印象深かったのでご紹介したいと思ったのです。

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歴史の中で、人々が「宇宙」に意識を向けた時とは


この『生命はどこから来たか』という本は、全体としては難解な科学本で、ちょっと私には手が負えないものですが、しかし、ところどころにホイル博士の「宇宙観」などが出ていて、そこはどこも興味深いものです。

「良い時代と悪い時代」というのは、宇宙からの隕石や彗星などが多く降り注いだと天文学的に考えられる時代と、そうではない時代のことを指しています。

もちろん、宇宙からの隕石や彗星などが多く降り注いだ時代は地上でそれによる災害が数多く発生していたわけで、そういう意味では「悪い時」なのですが、しかし、その「悪い時」に、人々は「地球と宇宙が密接である」ことを意識するようになったことが書かれています。

人類が何をどうしようが、空から彗星や隕石が降り注ぐような時代。

人は自然と「人間は宇宙には勝てない」ということを知るようになります。

書かれてある時代は西暦後の時代のことであり、決して大昔ということでもないですし、また、「宇宙からの隕石や彗星の攻撃」の状態が変化する期間のスパンというのは思いの他、短いのです。

たとえば、下の表はその『生命はどこから来たか』の中にあるもので、中国の宋の時代に記録された 11世紀から 12世紀までの 10年ごとの隕石の数です。

met-02.png


「たかだか 200年間」のあいだに、その数がものすごく大きく変化していることがおわかりかと思います。

当時の中国には記録が残っているわけですけれど、記録のない他の場所でも、多くの国で同じように隕石の数の変化があったのだと思います。

上のグラフでいうと、西暦 1070年だとか、その前後あたりが最も隕石の「攻撃」が多かった時期のようですが、このような「悪い時」に地上の文化は一変したと、フレッド・ホイル博士は記しています。

ホイル博士によると、この1万3千年ほどの間で、最も彗星の衝突などの天体からの被害が多かった時期には、「ひとりの人間が 30年間で彗星によって死ぬ確率は15パーセント程度だったろう」と述べています。


しかし一方、「良い時」、つまり、隕石や彗星の地球への衝突による災害がほとんどないような時代に、人は「宇宙に対して傲慢になる」というようなこともあったようです。

ちなみに、最近のその「良い時代」とはいつか。

それは今です。

今現在です。


この 500年間というのは、地球への隕石や彗星の攻撃が、最も少ない時期のひとつです。

今の時代の人々に「宇宙に対しての傲慢」という言葉が当てはまるかどうかは私には何とも言えないですが、でも、やはり、少しそれを感じます。

ホーキング博士じゃないですが、

「宇宙なんて計算で何とでもなるから」

と考えるような人たちが世界中に満ち溢れている。


まあそれはともかく、ホイル博士は、この『生命はどこから来たか』のエピローグの最後を下の一文でしめています。


人類は過去五〇〇年以上にわたる記憶喪失の眠りから、そろそろ目覚めた方がよい頃である。



ホイル博士は「良い時」が過ぎようとしていることを感じていたように思います。

すなわち、次は「宇宙からの攻撃の時代」です。

そして、それは悪い時代であることは確かですが、しかし一方で、少なくとも過去の歴史では、その時代に人はやっと「宇宙のパワーの強さ」を認識します。そして、同時に「地球のパワーの強さ」も認識します。

人類がどうやっても対抗できない環境の変化と大災害。

なので、「悪い時代」は、人間が変化してきた節目でもあったようです。

「宇宙に傲慢なまま」で何万年も過ごせるのならそれでもいいのかもしれないですが、多分、そういうことは天文学的に見れば「ありえなーい」です。引越のサ・・・いや、そうではなく、ちょうど先日の記事の、

起きていることは「ポールシフトではなく地球の大陸移動」: 地球の極の物理的な移動が起きていることが地球物理学会で発表される
 In Deep 2012年10月03日

というようなこともあり、地球のほうでも「悪い時代」が始まっている可能性もあります。

「下なるは上なるのごとし、上なるは下なるのごとし」

をあてはめてみれば、宇宙と地球は同時に変化するものなのかもしれません。


というわけで、フレッド・ホイル博士の『生命はどこから来たか』のエピローグの部分から抜粋させていだたきます。

ちなみに、「彗星の大きさとその衝撃」の比較については、同書の下の表がわかりやすいと思います。

tnt-1.jpg


私は、個人的に西暦535年には上の表での「上から二番目あたり」の規模の彗星が(地表に激突しないで)空中爆発したのではないかと思っています。地表に激突すると、クレーターができますが、535年頃のそういうものは発見されていませんし、海の中だと世界中で壮絶な津波が起きたはずですが、当時の日本を含めてもそういう記録はないですので、空中爆発ならあり得るかと思います。

1908年にロシアで起きたツングースカ大爆発のような。

それでは、ここから抜粋です。
改行を適時入れています。





『生命はどこから来たか』 エピローグ
フレッド・ホイル著
大島泰郎(東京工業大学名誉教授)訳


 この本を通して、地球という惑星と地球上の全ての生物は、宇宙的な存在であることをみてきた。この点から考えると、彗星は解決の糸口となる。今日でも、地球は彗星のかけらを拾い続けており、その量は一日に何百トンにものぼる。当然彗星本体も地球に衝突することがあるだろう。その衝突の頻度と結果について考えてみたいと思う。

(※ エピローグの最初の部分は、45億年前から6500万年前くらいの間の地球の地質学的なはじまりの時代から古代までのことが長く書かれていますが、そこは割愛します。今回は、約1万3000年前からの比較的、近代の話に入ってからの部分を抜粋します。)


 ツングースカ型の爆発は過去一万三〇〇〇年ほどのあいだに時折起こったに違いない。この時期の最初の頃は、元の彗星の分裂が激しく起こっていただろう。もしツングースカ爆発を起こした彗星の破片が元の巨大彗星から分裂したものであるならば、今日最も明るい流星群である、牡牛座-牡羊座流星群の前に、六月と十一月の年二回、われわれの祖先がこの流星群を経験したときは、現在のように何の影響もないことはなかっただろう。

 実際、彗星がまき散らした塵が太陽光を錯乱するために、何年間も黄道帯全体が輝いたのが見られただろう。彗星の分裂や、彗星が長く美しい尾を引く姿は、古代の空ではごく普通に見られたことに違いない。神話、伝説、宗教がこのような経験を基にしていることは間違いない。そしてその経験は、地球上あちこちに分布した遊牧民の共通した経験であった。実際、彗星の分裂は神々が争った様子として神話のなかに自然に取り込まれただろう。現在まで残ったほとんどの宗教にも、それぞれ別々の場所にもかかわらず、共通性が見られるものである。

 最初の氷河期が終わってからしばらくの間は、人類は農作を始めていなかったが、その後狩猟生活から抜け出し始めた。そして定住を始めた頃、ツングースカや、もっと強力な宇宙からの爆撃が頻繁に起こったことだろう。

 人類の進歩のなかで、彗星が関与したおそらく最初の重要な段階は、金属の精錬であろう。その後、金属によって武器、道具、機器が作られるようになったことを考えると、これは大発明で、人類繁栄の分岐点だったといえよう。

(中略)

 氷河期が終わった紀元前八〇〇〇年(一万年前)頃からの地球の気温の変遷を調べてみると、約一〇〇〇年周期の変動があることがわかる。図3に示すように気温は三〜六度Fの間で変動している。地球だけ考えていてこのパターンを説明するのは難しいが、彗星の衝突を考えるときれいに説明できる。地球上空もしくは地球の近くでバラバラになった彗星は成層圏に塵をまき散らし、太陽光線を錯乱するようになる。その結果、太陽光線の届く量が減少し地表温度が下がる。計算によると温度を五〇度F(※ 摂氏で約10度)下げるために必要な塵の量は現在の一〇〇〇倍も必要ではなく、これは今まで述べてきた彗星の衝突を考えれば可能である。


temp-01.jpg

▲ 図3 ヨーロッパと北米における平均気温の変化。


 紀元前一万五〇〇年の彗星の衝突後の温度の低下は、ちょうど氷河期が終わる頃の温度の上昇段階にあったため、小さいものだった。これまで述べてきたことを認めるならば、旧約聖書の数多くの奇妙な記述部分も、事実に基づいたものであるのかもしれない。神の怒りによるとされる大洪水、ソドムとゴモラへの火の雨、飢饉などはツングースカおよびもっと強力な爆発の影響として説明できるだろう。

 火事、津波、洪水、作物に影響する気候変動、地震でさえも彗星の衝突によって起こった実際の出来事であったと考えることができる。超自然的な神秘的な説明は必要ないのである。また、ヨシュア(古代イスラエルの指導者でモーセの後継者)が太陽がずっと空にあったと言ったときに見たものは何だったのかも理解できるだろう。それは一九〇八年六月にツングースカで見られた巨大な火球と同じものであっただろう。古代都市エリコをヨシュアに率いられたユダヤ人が攻撃したときに壁が崩壊したのは、今までラッパの音によるものと信じられていたが、天体の破片がエリコの近くで爆発したための爆風によるものであった。

 今、衝突によって死ぬ範囲を五〇〇〇平方キロメートルとすれば、地球の全表面積は一億平方キロメートルなので、一回の爆発で死ぬ確率は二万分の一となる。一年に一または二回の割合で衝突があるとすれば、現在の交通事故と同じほどの確率となる。しかし彗星の群と遭遇する頃の、一年間に一〇〇回もの衝突があるとすれば、三〇年間に当たる確率は一五パーセントとかなり高くなる。

 もっとも古代では、他の理由で死ぬ確率も同じくらいあったであろう。さらに重要な結果は、三つの人口中心地帯のうち一つは完全に破壊されるであろということである。生き残った人は一〇〇キロメートル以上遠くから、空から火の雨が降るのを見ただろう。そう考えると、図4のような中世の描写もよく理解できよう。


jad-01.jpg

▲ 図4 十六世紀の「最後の審判」の図。ギリシャ・アトス山にあるディオニシオン修道院のフレスコ画。


 過去一万年にわたる人類の歴史における文明の盛衰は、周期的またはほぼ周期的な彗星の衝突で説明できるだろう。衰退はほんの短期間で劇的に起きるが、繁栄は長く続く。悪い時代は厳格な哲学や宗教が興り、途中の穏やかな時代になってそれらは円くなる。このことは西洋では事実であったが、東洋では後に述べるようにいささか異なっていた。





ここまでです。

書き始めてみましたら、予想以上に長いもので、実は今日は時間的にここまでしか無理でして、残りは明日、続きとして書かせていただきます。

中途半端ですみません。

しかし、上の最後のほうにある「衰退はほんの短期間で劇的に起きるが、繁栄は長く続く」という部分。

今は、この「長く続いている繁栄期」のひとつです。

それはもう 500年ほど彗星が地球に衝突していないからかもしれません。



  

2012年10月04日



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今日は、NASA のサイエンス・ニュースで今朝リリースされた、ちょっと興味深い「地球が歌を歌っている」という記事をご紹介します。






 


それにしても、昨日の記事、

起きていることは「ポールシフトではなく地球の大陸移動」: 地球の極の物理的な移動が起きていることが地球物理学会で発表される
2012年10月03日

で知った「極移動」についてはいろいろと考えるところはありました。

このことは、これまで環境変動のニュースとして取り上げたものの多くの理由というものの「合点」にも結びつくような気もいたします。

それはたとえば、

局地的な地質の大規模な崩壊
・世界中で頻発する巨大なシンクホール
・鳥や海洋生物の大量死
・魚介類の漁獲の種類の変動
・気候や気温の「移動」
・それまで起きなかった地域での洪水や干ばつ


といったようなことも、「もしかすると」関係あるのかもしれません。

「もしかすると」というのは、上の記事での「真の極移動」というものに関しても、移動が実際に起きているにしても、本当に上の記事での理論なのかどうかはわからないからです。

なぜなら、上の記事での研究チームの発表には、根底に「プレートテクトニクス」という地質の理論に準ずる部分があり、このあたりは確定した理論とも言えないからです。ちなみに、プレートテクトニクスとは簡単にいうと、下のような理論で、わりと現在の主流の考え方だと思います。


プレートテクトニクス - Wikipedia より)

プレートテクトニクスは、プレート理論ともいい、1960年代後半以降に発展した地球科学の学説。地球の表面が、下図に示したような何枚かの固い岩板(プレート)で構成されており、このプレートが、対流するマントルに乗って互いに動いていると説明される。

Plates-tect.png



まあ・・・個人的には、上のプレート理論などもそうですけど、現在の地質学理論というのは、「地球単体としての運動」という考え方だけであって、「宇宙と地球」という最も運動に関して大事だと思われる点が無視されているような気がしてならないということを考えてしまうところはあります。

とはいえ、「大陸が移動している」というほうの話は事実なのかもしれないですので、近いうちに、上に記しましたシンクホールなどを含めた様々な環境変動に関する過去記事を振り返ってみたいと思います。


いずれにしても、仮に本当に今後、数千万年前のように「地球の大陸の緯度がずれる」ということがあった場合、それは確かにいろいろな影響はあるでしょうし、多分、今もすでに「いろいろとおかしい」ということも事実ですので、個人的に、関係性を考えてみたいとは思います。

それにしても、もし、地球の極(軸の位置)が移動するなら、赤道線を含めた、緯度のラインそのものが変わるということになるのですかね。

たとえば、少し前に記事にしました、

フリーメイソンと高知に導かれて Google Earthe 上で北緯 33度の旅をする
 In Deep 2012年08月29日

に載せました下の地図、



などの「33度線」なども傾くのでしょうね。

下のように(角度などはいい加減です)。

33rd_parallel-after.png


では、ここから、「地球の歌」に関してです。

NASA の地球の磁気圏を探査する RBSP という観測衛星がキャッチした「地球の放射帯からの周波数が奏でる音」の話です。

これは、とりあえずその音そのものを聞いていただいたほうがいいと思いますので、NASA のニュースビデオから音を取り出したものを貼っておきます。


Earthsong



あるいは、NASA の音声ライブラリーのこちらにも MP3 ファイルがあります。

ちなみに、地球の放射帯といえば、

太陽嵐がヴァン・アレン帯から電子を消し去っていることが判明
In Deep 2012年02月02日

という過去記事がありましたが、そこに下の説明図を載せました。




上の図の地球の放射帯のどこかから(記事を読む限りは外側のほうだと思います)、このような「コーラス」の波が放出されているということのようです。

それでは、ここからです。





NASA Spacecraft Records 'Earthsong'
NASA サイエンスニュース 2012.10.01

NASA の宇宙艇が録音した『アースソング / 地球の歌』


1-rbsp-01.jpg

▲ NASA の観測衛星『地球磁気圏探査衛星 RBSP 』が、地球の「コーラス」をキャッチした。その音はこちらだ( MP3 )。


今まで「宇宙空間の歌声」についてなど誰も言及したことがなかった。そもそも宇宙空間では「声」は聞こえない。たとえば、あなたが叫んだとしても、その声は誰にも聞こえないのだ。

しかし、 NASA の宇宙艇は、まさに私たちが住んでいるこの惑星 -- つまり、地球自身によって歌われる美しい歌声を受け取り記録した。

米国アイオワ大学のクレイグ・クレッツィング博士「歌声」について以下のように述べた。

「私たちは、この音を " コーラス " と呼んでいます。それにしても、今回のこの " コーラス " は、私たちがこれまでに聞いた中でもっとも鮮明に捕らえられた音のひとつです」。

博士が「コーラス」と呼ぶこの現象は、地球の放射帯でのプラズマ波に起因する電磁気の現象だ。

長い間、地球上でも、ハム通信士(アマチュア無線家)たちが、遠くから聞こえるこの音を聞いていた。

現在、地球の磁気圏を探査するNASA の二機の観測衛星『地球磁気圏探査衛星 RBSP ( Radiation Belt Storm Probes ) 』がこの音の聞こえる宇宙空間を実際に飛行している。


rbsp-1.jpg

▲ 地球磁気圏探査衛星 RBSP の「A機」と「B機」の二機によって、地球の磁場が探査されている。


クレイグ・クレッツィング博士はこの現象について、「これは私たち人間が耳にアンテナを持っているならば、放射帯が人間の音のように聞こえるということです」と言う。博士は、信号の受信に関しての専門家で、「 EMFISIS 」という、電気と磁場の探査ツール(受信機)を開発した。

博士は、この「コーラス」は、地球の空間に存在する音響波とは違うものであるということを指摘する。

この地球のコーラスは、0 キロヘルツ から 10キロヘルツの間の周波数で構成されているという。地球磁気圏探査衛星の磁気探査のためのコイルアンテナは、これらの種類の周期波を見つけ出すように設計されている。

クレッツィング博士によると、この「コーラスの放出」の探査の任務は NASA の地球磁気圏探査の中でも大きなものだという。

その理由は、いわゆる宇宙衛星や宇宙飛行士たちを危険にさらす可能性のある、いわゆる「殺人電子 ( Killer Electrons )」と、このコーラスが関係あるかもしれないからだ。

放射帯にある多くの電子は、人間や電子機器に影響を与えるほどのエネルギーを持たず、ほぼ無害だが、電子の中には殺人電子も生まれる。

NASA の地球磁気圏探査プロジェクトのデイブ・シベック氏は「殺人電子の生成に関しては多くの議論があります」と言う。

そして、「この地球磁気圏探査でのデータにより、それらの謎を解明する手がかりを得たいと考えています」と述べた。

クレッツィング博士は「コーラス」をステレオ録音することを考えている。

「私たちは地球磁気圏探査衛星を2機もっており、それぞれにレシーバーがあるので、ステレオ録音は可能だと考えています。それらは大きな科学的価値があると同時に、この " コーラス " が発生している範囲がどのくらいの広さにわたっているのかを知りたいのです」。

と博士は語った。




ここまでです。

まあ、いろいろと難解な部分はあるようですが、少なくとも、私たち一般人の耳にも上のように、その「コーラス」は聞こえているということもあり、過去記事の、

宇宙空間に「強烈な匂い」が漂っていることを知った日: 「それは焼けたステーキと金属の匂い」と語る NASA の宇宙飛行士たち
In Deep 2012年07月24日

にある「におい」と共に、地球周辺の宇宙というのは「死んだ空間ではない」ということを実感したりします。

過去記事から、地球の放射帯や地球周辺で起きていたことを取り上げた過去記事をリンクしておきます。
--
[地球の放射帯]に関連した過去記事:

太陽神ヘリオスの息子「ファエトン」がばらまく地球上空の35個の火球
2011年12月15日




衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化
2011年05月20日



▲ 3月10日から3月12日までの赤外線のエネルギー量の変化

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[1年前の In Deep ]
2011年10月01日の記事

突如スポットを浴び始めた「水星」(西洋神秘学では最重要惑星)

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[2年前の In Deep ]
2010年10月04日の記事

アメリカを侵略している南京虫は DDT にも耐えられるスーパー南京虫(後編)



  

2012年10月03日



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(訳者注) 今回は余計な前書きをなるべく書かずに翻訳に入ります。現在、「地球が大陸移動している」という研究発表に関しての報道です。


以前、 In Deep では地球のポールシフトに関しての記事をかなり取り上げていました。それらの過去のポールシフトの記事はページの一番下にリンクしておきますけれど、それらの記事では、「この数百年、地球の磁場はかなりのスピードで移動している」ということは事実だということがわかってきていた、ということを記していました。



▲ 過去 420年間の毎年の北極の磁場の移動距離のグラフ。過去記事「アメリカ大気局が発表した「驚異的」な近年のポールシフトの加速」より。


あるいは、

奇妙な太陽のポールシフトは太陽系全体に影響を与えるか?: 国立天文台が発表した「4極化する太陽磁場」
 In Deep 2012年04月21日

などということもあって、太陽のほうにも「異変」は起きているわけでした。



▲ 左が今までの太陽。右は国立天文台が発表した今後の太陽の磁場の予測。北極はポールシフトで磁場が反転したのに南極の磁場は移動せず、その結果、「4つの磁極」があらわれるという状態になることが予測されています。


しかし、今回の発表はいわゆるポールシフトとは違います。



磁場だけではなく、「大陸そのもの」が物理的に移動していた


ひらたくいうと、「現在、地球は大陸(外殻)が移動している」というものです。これは地質の科学用語で「真の極移動」と呼ばれる現象らしいですが、それが今現在の地球で起きているという発表です。

その記事にある図に、こちらで簡単な日本語を加えたものが下の図です。

True_polar_wander-2012.png


上の図の傾きは誇張されていますが、過去の真の極移動の際には「9度傾いた」とされているようです。

しかも、この発表がなされたのが、地球物理学分野での世界最大の学会であり、最高権威だと思われるアメリカ地球物理学会の発行する「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ/ Journal of Geophysical Research (JGR) 」という学会誌に発表されたもので、いわゆる「発行元」としては大きなところです。

もちろん、だからといって、その内容が正しいかどうかはわからないことですが、しかし、「大陸が移動している」というフレーズは、やはりショッキングなニュアンスが含まれているのは事実ですので、ご紹介しようと思いました。

この「真の極移動」という単語に関しては、極移動 - Wikipediaからの説明を、わかりやすい概念ではないですが、抜粋しておきます。


真の極移動

大陸移動を補正すると、地殻全体に対する極の移動が残る。これを真の極移動 という。大陸移動、氷床の盛衰、大規模な火山活動、大規模な天体衝突、地球内部の質量分布の再編などにより、固体地球の質量分布が変化し、真の極移動が起こる。



これが「今」起きているということのようです。

本文中にもありますが、「真の極移動」とは、


・地球の磁場の反転(ポールシフト)のことではない。
・プレート・テクトニクス理論のことではない。
・地球の歳差運動のことではない。


ということです。

では、早速、翻訳に入ります。

記事に出てくる馴染みのない言葉として、ドイツ・ヘルムホルツセンターというのと、地学用語のホットスポットがありますので、それらの説明を先にそれぞれ Wikipedia から抜粋しておきます。


ドイツ研究センターヘルムホルツ協会

ドイツ研究センターヘルムホルツ協会はドイツを代表する科学研究組織。




ホットスポット (地学)

ホットスポットとは、プレートより下のマントルに生成源があると推定されるマグマが吹きあがってくる場所、若しくはマグマが吹きあがってくるために(海底)火山が生まれる場所のことをいう。

1990年代まではほとんど位置を変えることはないと考えられていたが、J・A・タルドゥーノらの天皇海山列に関する研究により「ハワイ・ホットスポット」が南へ移動していたことが発見され、それまでの常識が大きく覆った。以来、地球科学のさまざまな分野に大きく波紋を広げている。




それではここからです。



続きを読む



  

2012年10月01日



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ごめんなさい。
今回も、何の翻訳記事もない余談で、昨日の記事の続きといえば続きです。

前回の記事、

太陽活動最大期に向かう太陽の顔は「悪魔の毒々」化を果たし
 In Deep 2012年09月30日

を書いた後、この記事の中に出てくる「何かの感じ」と、In Deep の過去記事の「何か」がリンクしていると感じていたのですが、それがわからない。

読み返してみたりします。

「太陽フレア・・・悪魔の毒々モンスター・・・トロマ・エンターテイメント・・・ロイド・カウフマン・・・パンプキンヘッド・・・」


「ん?・・・パンプキンヘッド?」

ここで、1988年の米国映画『パンプキンヘッド』の出演者をアメリカの映画データベース IMDb で見てみます。


あ! 主演がランス・ヘンリクセン!」と私は声をあげたのでした。

このランス・ヘンリクセンという役者さんの詳しいことはあとでふれるとして、いろいろな意味で好きな人のひとり。アメリカでは『ミレニアム』というテレビシリーズの主演としても有名です。

この「ミレニアム」は、Xファイルの製作者のクリス・カーターによって作られたドラマシリーズですけれど、そんなによく覚えていないので、Wikipedia を見てみます。


関連項目

ウロボロス - 「輪廻」の象徴であり、「ミレニアム」のシンボルマーク。


ミレニアム (テレビドラマ) - Wikipedia より。)



ああ、ウロボロス!

これは私が In Deep の記事の中ではじめて知った存在。

今年4月の、

ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの
 In Deep 2012年04月08日

という記事で、「蛇」をあらわす英語の「スネーク」ではないほうの「サーペント ( Serpent )」という単語を調べていくうちにつき当たった存在でした。

辞書によると、この「サーペント ( Serpent )」という単語は、いくつかの意味があり、その中のひとつに、


悪魔;サタン〈《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉(Satan)


So-net 英和辞典「 serpent 」より



というものがありました。

旧約聖書の『創世記』 第3章 1-7節に「主なる神が造られた野の生き物のうちで、へびが最も狡猾であった」から始まるセクションが存在します。

そして、『創世記』 第3章 14節では、



創世記 第3章 第3章 14節

主なる神はへびに言われた。

「おまえは、この事をしたので、すべての家畜、野のすべての獣のうち、最ものろわれる。おまえは腹で這いあるき、一生ちりを食べるであろう」。





と、ヘビは旧約聖書では大変にひどい言われ方をされるのですが、私は何だかヘビが不憫になり、いろいろと調べていく中で知った存在が、

「ヘビが永遠性の象徴として描かれていることが多い」

という歴史上の事実で、その中のひとつに「ウロボロス」というものがあったのでした。ウロボロスとは下のような概念の存在です。



Wikipedia の説明では、


ウロボロスは、古代の象徴の1つで、己の尾を噛んで環となったヘビもしくは竜を図案化したもの。

「死と再生」「不老不死」などの象徴とされる。そのヘビがみずからの尾を食べることで、始まりも終わりも無い完全なものとしての象徴的意味が備わった。



と記されています。

そして、アステカ神話の文化の神様であり、農耕の神様である「ケツァルコアトル」が「鳥とヘビの神様」であることを知ります。



▲ アステカ神話の神様、ケツァルコアトル。


ところで、上の記事には書いていないんですが、私が高校の時とても好きだった英国のバンドのアルバムのジャケットが「ケツァルコアトルの図版だった」ということを最近知りました。30年以上前のアルバムですが、この何十年間も「変な絵の書かれてあるアルバム」としか認識していなかったのですが、それがケツァルコアトルだったことを知ったのは、この数年の収穫でもあります。

flying_lizards.jpeg

▲ 1981年にリリースされたフライング・リザーズという英国のバンド(実際にはひとり)の「フォース・ウォール(4つ目の壁)」というアルバム。

私の当時のアルバム購入の基本は「ジャケ買い」といって、「ジャケットが気に入ったから買う」というスタイルで、アナログレコードの時代はすべてを通じてそれだけでした。ミュージシャンの名前などほとんど知らないで買うのが普通でした。

それでも、ジャケ買いした上のアルバムは本当にいいアルバムで、キング・クリムゾンというプログレバンドのギタリストや現代音楽界の人々などが参加した先鋭的なアルバムで、長らく愛聴していたものです。

このアルバムの中に収録されていたマイケル・ナイマンという現代音楽系の人たちの力を合わせて作った「ハンズ2テイク」というポップス曲は 30年前あたりのポップスとしては随一のものだと思っています。久しぶりにこの曲を思い出したこともあり YouTube を探すと、ありましたので、貼っておきます。


The Flying Lizards - Hands 2 Take (1981年)




今思えば、このアルバムのジャケットに描かれていたのは、「鳥とヘビの神様」であるケツァルコアトルだったのだなあと思います。


さて、話が逸れましたが、上の「ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの」という記事では、ウロボロスとケツァルコアトルがヘビと関係しているというところまでで終わったのですが、今回はウロボロスに至った道がテレビドラマ「ミレニアム」であり、その主演のランス・ヘンリクセンだったということで、


「これはまだ何かありそうだなあ」


と思いましたので、書きながら考えてみます(考えてから書けよ!) ← いや、そういうことはしたことないのです。何でもかんでも書きながら進みます。



ランス・ヘンリクセンから先に進めなくなり


Bishopinhalf.jpg

▲ 1986年の「エイリアン2」で、主人公リプリーを助けるアンドロイドのビショップ役のランス・ヘンリクセン。


ランス・ヘンリクセンは現在では結果的にアメリカでは有名俳優であるとはいえ、本当はもうちょっと早く有名になっていたはずの人でした。

何しろ、彼は「初代ターミネーターの主演」のはずだったんです。

このあたりは、日本語の Wikipedia などにも書いてありますので細かいところはともかく、「ターミネーター」の主役にほぼ決まっていたところに、当時すでに人気俳優だったアーノルド・シュワルツネッガーが「この役、オレがやりたい」と言いだしはじめて(笑)、それでまあ、アーノルド・シュワルツネッガーがターミネーターをやることになったという次第でした。

しかしまあ、アーノルド・シュワルツネッガーが主人公をやったからあれだけヒットしたわけで、ランス・ヘンリクセンだったらどうだったかというのは微妙です。

結局、ランス・ヘンリクセンはターミネーターでは脇役として登場しますが、そんなことはともかく、彼の言葉で私が大変によく覚えていることがあります。

もう20年以上前だと思いますが、映画雑誌か何かのインタビューで、

「あなたの演じてみたいキャラクターはなんですか?」

という問いに、ランス・ヘンリクセンが答えたのは、

「日本に、キカイダーって番組があるんだ。その中に『ハカイダー』ってキャラが出てくるんだけど、あれを演じたいね。それが夢だ」


でした(笑)。

hakaider.jpeg

▲ 『キカイダー』に登場するハカイダー。下手するとキカイダーより人気がありました。


しかし、ランス・ヘンリクセンがハカイダーを演じたいと願う気持ちとは別に、『エイリアン2』のアンドロイド役などでどんどん人気が高まり、ハカイダーどころではなくなり・・・多分今でもランスさんはハカイダーを演じていないと思います。今ではもう 70代後半ですから、そろそろハカイダーを演じるのも無理かと・・・。


それにしても、ランス・ヘンリクセンとウロボロスとケツァルコアトルあたりが全然つながってこないですね。

ちなみに、ランス・ヘンリクセンの代表作のひとつ、テレビドラマシリーズ『ミレニアム』のタイトル一覧を見てみると、邦題ベースでも、刺激的なものが多いです。

いくつかピックアップしてみますと、


第15話「洗礼 (Sacrament)」
第21話「主は来ませり (Maranatha)」
第31話「最期の審判 (Jose Chung's Doomsday Defense)」
第40話「受胎 (In Arcadia Ego)」
第41話「聖母 (Anamnesis)」
第42話「再来 (A Room with No View)」
第43話「サタン (Somehow, Satan Got Behind Me)」
第48話「洗脳 (Teotwawki)」
第62話「ダーウィンの目 (Darwin's Eye)」



うーん・・・つながりそうでつながらない。

まあ・・・・・・・個人的には、自分の人生で経験してきたすべてのこと、それは、見たもの、聞いたもの、読んだものを含めて、必ずそれらはすべてまとめてどこかのゴール(私個人のゴール)に通じているものだとは思うんですけど、そのあたりは今のところはわからないわけで。

少なくとも第1段階だと思われる「死ぬ」というあたりを経験しないとわからないのかも。



最近は記事が支離滅裂な方向に向かいやすいんですが、このままカオスの方向へと爆発し続けてしまうのか、あるいは収束してくれるのか。

そのあたりも「太陽」にかかっているのですかね。

そこでふと、「今日の太陽の顔」なんてのを見てみると、もう何が何やら。


2012年10月01日の太陽 / NASA

coronalhole_sdo_blank-2012-01-01.jpg


あー、この顔も何かっぽいけど、うまく形容できない。
でも何だかあからさまに「狂った顔」をしている感じもするのですが。

そういえば、私の住んでいる近くの「川越」という場所には、名物のお菓子があります。

hakkyo-kun.jpg

▲ 有名だけれど、テレビの旅番組などでは紹介されたことはなさそうな銘菓。


毎日このお菓子を食べているというわけでもないのですが、どうも頭の状態がこのようになっていて、最近、何が何だかわからない記事が多くてすみません。

明日あたりからは少し立て直したいと思います。