そして、観測可能な宇宙では 30秒に1度の割合で超新星爆発が起き続けている
▲ ふたつの高温の斑点が発見されたベテルギウスの最新画像。 Daily Galaxy より。
ベテルギウスが見せ始めている「何らかの新しい動き」の結末は?
2年くらい前に、ベテルギウスという巨大な恒星が超新星爆発という現象を起こすのではないかという学説に対して、「ベテルギウスが爆発した場合、地球から太陽が2つ見えるような状態になるのではないか」というようなことが海外の記事で人気となっていて、この In Deep でもご紹介したことがあります。
・ペアの太陽 - 「2012年ベテルギウス超新星爆発の予測」に関しての大騒動
2011年01月22日
下のは想像図ですが、「このように見えるのではないか」というものを作成したイメージです。
今回は、そのベテルギウスで巨大な高温の領域が確認されたという報道が、海外の科学系サイトで一斉に報じられていましたので、翻訳してご紹介します。
ベテルギウスの概要
ところで、ベテルギウスだとか超新星爆発だとか、耳にされたことのない方には何が何やらわからないということもあるでしょうし(2年前に上の記事を書いた時の私もどちらの言葉も知りませんでした)、どちらも Wikipedia から冒頭部分などを抜粋しておきます。
ちなみに、どちらも「仮説」と「推測」であるということはハッキリと認識されてくださったほうがよろしいと思います。今回の翻訳記事にも出てきますが、現在の地球の天文科学は、巨大な星のメカニズムも超新星爆発というものの概念も実際にはわからないことばかりです。
ベテルギウス
ベテルギウスは、地球周辺で近い将来(今日〜100万年後)にII型超新星爆発を起こすであろう赤色超巨星の一つに挙げられている。
2009年時点のベテルギウスは、15年前の測定時と比べると15%も小さくなっており、しかも加速的に収縮しているらしいことがわかった。ベテルギウスは超新星爆発がいつ起きてもおかしくない赤色超巨星であるが、最近の観測結果の変化が、近い将来の超新星爆発の前兆現象を捉えているのかどうかは定かではない。
超新星(爆発)
超新星は、大質量の恒星が、その一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象である。
現在、超新星爆発は我々が住んでいる銀河系の中で、100年から200年に一度の割合で発生していると言われている。また、平均すると1つの銀河で40年に1回程度の割合で発生すると考えられている。
さて、そのベテルギウスの大きさですが、数値を並べてもよくわからないと思いますので、下の比較図が感覚的にわかりやすい気がします。
ゴマ粒(太陽)と大玉スイカ(ベテルギウス)くらいの大きさの差があります。
そして、すごいのは、今回の「高温の領域」というのが、ベテルギウスの目に見える表面部分の5倍以上の大気の面積にわたっているということです。
下の図は、ベテルギウスの最新画像に、ベテルギウスの周囲の軌道を入れたものですが、太陽系「的」な感じで考えていただければいいかとも思います。色が薄くなれはなるほど高温の領域となっています。
相当な範囲での高温域がベテルギウスの周辺に形成されているようです。
なんだか、これを見ると、私などの素人などは「これって爆発の始まりなんじゃないの?」という感じさえもするのですが、観測継続中ということです。
ところで、上の Wikipedia の「超新星」の中に、
現在、超新星爆発は我々が住んでいる銀河系の中で、100年から200年に一度の割合で発生していると言われている。
という部分がありますが、NASAゴダード宇宙飛行センターのリチャード・ムショツキー博士という人の言葉がデイリーギャラクシーに出ていて、現在、観測できる銀河は 1000億あるので、そこから計算すると、
「観測可能な宇宙で 30秒に1度の割合で超新星爆発が起きている」(リチャード博士)
とのことだそうです。
そんなわけで、宇宙ではごく普通のことのようですので、あまりイベント視せずに、仮に太陽が「ふたつ」見えたら、その光景を楽しめばいいのかなと最近は思います。
以前は、超新星爆発によるガンマ線バーストという現象により、地球上の生命が絶滅するのではないかとも言われていましたが、しかし考えれば、ガンマ線バーストなんかは地球は日常的に受けているわけで、逆の言い方をすれば、「地球上は常に自然の放射線だらけ」です。
なので、そんなものでいかなる地球の生物も絶滅なんてしません。
もちろん、そもそも超新星爆発という理論自体が、現代宇宙モデル、つまりビッグバン理論を根にしているものですので、私自身は宇宙のいろいろな場所で観測されている大爆発が超新星爆発という理論で説明できるものかどうかは疑念を持ってはいます。
しかし、そこにふれると話がこじれることですので、ここでは「超新星爆発」ということで、統一した言葉を使っています。
このあたりの私の最近の、現代の科学に対して「消えた希望」についてを、最近の記事の、
・地球の歴史の中での「最低の理念の科学」の現代でも、それと関係なく人類の進化は起きると考えることについて
2013年04月22日
などにも書いていて、私自身は今の世の中の「人類と宇宙の関係の価値観」が好転することはないようにも思っていますが、それが必ずしも悪いことだとも思いません。
そういう文明もまた「長い地球の歴史の中ではアリ」なのかなとも思います。
「負の遺産」というものは歴史の中で必要なものだと私は思います。今がそれです。たしえば、ほんの数十年の短い歴史の中にも「学習すべき負の遺産」はあるわけで、もう少し長い単位での現在の 2000年単位での文明を「まとめて負の遺産」とする私の考えは確かにネガティブですけれど、この文明はあとの人の役にたつかもしれない。
「あのようになってはいけない」と。
まあ、それはともかく、地球上には長い歴史の中で、数々の文明がこれまであって、そして、永遠に残っている文明はひとつもありません。ここにオカルトの話を入れれば、超古代の文明などを含めても、やはり残っていません。
文明はいつかは必ず消えるもののようです。
それだけにいろいろあっていいのかなと。
というわけで、あまり無駄話が長くならないうちに、ここから翻訳に移ります。
なお、記事にありますが、ベテルギウスは肉眼でも見える星だそう。
Mysterious Hot Spots Observed In A Cool Red Supergiant Betelgeuse
Ideas, Inventions And Innovations 2013.04.24
赤色超巨星ベテルギウスに謎の高温のスポットが観測される
ベテルギウスの最新の画像
天文学者たちが地球に最も近い赤色超巨星のひとつであるベテルギウスの外側の大気の新しい写真を発表した。
英国のマンチェスター大学にあるジョドレルバンク天文台の e-MERLIN 電波望遠鏡によって撮影されたその新しい写真では、ベテルギウスの大気に驚くほどの高温のガスの領域があることが示されている。
ベテルギウスは非常に明るい恒星で、オリオン座の斜め上の赤い星として、肉眼で簡単に見ることができる。
そのベテルギウスは、私たちの太陽よりも何千倍もの大きさを持つ超巨大な恒星であるが、約 650光年の距離の中で、それは空に小さなドットとして示される。
ジョドレルバンク天文台のロヴェル望遠鏡( Lovell Telescope )と肉眼で見えるベテルギウス
英国王立天文学会が発行するマンスリー・ノーティス・オブ・ザ・ロイヤル・アストロノミカル・ソサイエティ( Monthly Notices of the Royal Astronomical Society )によると、今回 e-MERLIN 電波望遠鏡がとらえたベテルギウスの新しい画像で、この謎の高温の領域はベテルギウスの表面の大きさよりも5倍の範囲まで拡大しており、2つの高温領域(ホットスポット)と、外側の冷たいガスの弧の様子が明らかとなった。
ホットスポットは、ベテルギウスの約半分程度で分離しており、観測では 4,000〜 5,000ケルビン程度の温度を持っており、これはベテルギウスの電離層表面の温度(約 1,200ケルビン)よりもはるかに高く、また、観測できる表面の温度( 3,600ケルビン)よりも高い。
冷たいガスの弧は星から約 74億キロ離れて位置している。 この距離は、太陽系で例えれば、太陽から最も遠い冥王星と太陽の距離程度だ。冷たいガスの弧は約 150ケルビンの温度と質量を有すると推定される。
(訳者注) ケルビンという単位はわかりにくいですので、この世のいろいろなもののケルビン単位での温度の比較の表を貼っておきます。
上の表では、今回のベテルギウスの高温の領域の温度は、太陽光よりやや低いくらいのもののようです。
観測チームのリーダーであるマンチェスター大学のアニータ・リチャーズ( Anita Richards )博士によると、この高温の領域が存在する理由は今のところよくわからないという。
博士は以下のように述べた。
「ひとつの可能性として、ベテルギウスのような脈動変光星(膨張と収縮を繰り返すことにより明るさが変化する星)では、その外側の層での対流によって引き起こされる衝撃波が、圧縮ガスを過熱しているのではないかということも考えられます。他にも理由は考えられますが、現時点では明確な理由は不明です」。
ベテルギウスのような超巨星についてのことは、宇宙の星間物質や、宇宙の物質のサイクルの解明において重要な役割にもかかわらず、超巨星のメカニズムはあまり解明されていない。
ここで紹介するもののような大質量の星の周辺領域の高解像度での観測による詳細な研究は、超巨星の理解の向上に不可欠なものだ。
リチャーズ博士は以下のように付け加えた。
「ベテルギウスは次の世代の星の生成の時代に入っているとみられます。そして、3年ごとに地球の質量に相当する風(磁気の流れ)を生成しています。これらを解明することは恒星天文学の大きな課題のひとつです」。
「そして、今回の写真は、星の中心から高温領域までを示した初めての画像となります。ベテルギウスの電波やマイクロ波の観測を継続することは、そこに豊富に含まれている構成要素が次の恒星の生成のビルディングブロックとしてどのように働くかを知ることになります。そして、ベテルギウスが超新星爆発を起こす前までに、それまでの期間がどのくらいなのかを推測することに役立つ可能性があるかもしれません」。