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2013年09月29日



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バチカンの「地質的な未来」: ローマの周囲で立て続けて起きる地底と海底の異変



lazio.jpg

Centro Meteo Italiano より。


it-uversea.jpg

▲ 海底からの噴出の様子を調査する専門家。下にこの動画もあります。







 




この夏に突如噴出を始めた泥火山の出現の1ヶ月後に、今度は海で


ここ何日かは、パキスタンで浮上した島と関係したことを書くことが多かったのですが、イタリアでも「地底からの噴出騒動」がありまして、最近それが拡大しています。

最初に起きたのは今年8月のことでした。

イタリアのローマにあるフィウミチーノ国際空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)の近くの道路脇に火山口のような穴が突如として出現し、泥や水蒸気を噴き出し始めたという出来事で、それに関しては以前ご紹介したことがあります。


イタリアの空港近くに一夜にして「泥と水蒸気を噴き出す火口のような穴」が出現
 地球の記録 2013年08月27日

rome-vent.jpg



上の写真が最初に報道された時の写真ですが、数日後には下のような状態にまで成長しました。



▲ 過去記事「ローマでの「突然の火口の出現」と桜島の海外での報道から考えるこれからの時代」より。


そして、この穴。

それから1ヶ月近く経った現在はどのようになっているかといいうと、立ち入り禁止となっていて、下のように周囲が仕切りで囲われ、そして噴出はいまだに続いています。

mud-volcano.jpg


上の写真ではややわかりにくいかもしれないですが、どうやら泥火山(でいかざん)といわれるタイプのものと関係しているようで、地下から泥を噴出し続けている様子が最近のイタリアのテレビ報道などの映像でわかります。

下の映像は、「泥」の感じがおわかりになるかと思います。

レオナルド・ダ・ヴィンチ空港近くの火口のその後





泥火山というのは、 Wikipedia によりますと、


泥火山は、地下深くの粘土が地下水およびガスなどとともに地表または海底に噴出し、堆積した地形や、その現象のこと。

火山の名称が付けられているが、必ずしも火山活動と関係のあるものではなく、溶岩などに比べるとその温度は非常に低い。特に噴出箇所で炭化水素の多いハイドレート(メタンハイドレートなど)が作られている場合は、噴出物の融点くらいまでに低温になっている。



とのこと。






陸地に続いて、海からも噴出が始まる


そのようなことがローマの郊外で起きたのが今から1ヶ月ほど前の8月の終わり頃でした。

そして、数日前、今度はそこから遠くないローマに近い海岸からほんの 100メートルほどの沖合で、「海底からの噴出」が始まったのです。

位置関係としては、とても大ざっぱですが、下の地図のようになります。

rome-map-02.gif


しかし、海の中といっても、海岸からわりとすぐのところですので、実際にはもっと近い感じです。


下がその様子の動画です。

イタリアの海底からの噴出




レオナルド・ダ・ヴィンチ空港近くでの泥の噴出と今回の場所が近いことや、状態が似ているように見えることからかもしれないですが、「今回の海での異変と8月の大地での泥の噴出には関係がある可能性がある」というように書かれてある報道が多いです。

ただ、どちらの現象にしても、何らかの結論が出ているものもでもないようです。






ローマという場所で思い出す聖マラキの預言


それにしても、ローマといえば思い出すのがパチカン。

バチカンといえば、現在は法皇も無事に交代し・・・えーと、現法皇のお名前は失念してしまいましたが、元気でご活動されているようです。


法皇が、ベネディクト 16世だった時の昨年の記事、


最後の法王と呼ばれ続けたベネディクト16世(1): 聖マラキの予言とコナン・ドイルの未来感の時間軸
 2013年02月13日


では、聖マラキというカトリック聖職者が 12世紀頃に書いたものとされる「全ての教皇に関する大司教聖マラキの預言」という予言書についてふれたことがありました。偽の書とされることが多いものですが、その予言書の最後はこのようなものでした。


「全ての教皇に関する大司教聖マラキの預言」より 111番目の教皇

111.オリーブの栄光

ローマ聖教会への極限の迫害の中で着座するだろう。ローマ人ペトロ 、彼は様々な苦難の中で羊たちを司牧するだろう。そして、7つの丘の町は崩壊し、恐るべき審判が人々に下る。終わり。



111番目の教皇とは、前法皇のベネディクト 16世(在位:2005年4月19日 - 2013年2月28日)となります。

実際は 112代目の法皇が誕生しているわけで、すでにして上の予言は無効ということになりそうですが、この中に「ローマの7つの丘の町は崩壊」というフレーズがあったことを、最近の一連のローマの地殻異変から思い出したりした次第です。


ところで、上でリンクしました「最後の法王と呼ばれ続けたベネディクト16世」では、どうしてそれをパチカンの話題の時に記したのかは今はその理由がわからないですが、『シャーロック・ホームズ』シリーズの作家として有名で、後に心霊学に傾倒したコナン・ドイルの予言というものを訳して載せていました。



▲ アーサー・コナン・ドイル(1859年5月22日 - 1930年7月7日)。



久しぶりに読んでみますと、今のこの時代には実感できる部分もあるような気がしましたので、再掲したいと思います。





A period of natural convulsions during which a large portion of the human race will perish - Sir Arthur Conan Doyle
Prophets and Prophecies

「人類の大部分が滅びる間の自然の激動の期間」
アーサー・コナン・ドイルの予言



人類の大部分が滅びる間の自然の激動の期間。

ひどい規模の巨大地震、そして巨大な津波が発生すると思われる。

戦争はその期間の初期の段階でのみ現れるが、これが危機の信号となるように思われる。

危機は瞬間的に訪れるだろう。

文明生活の破壊と転位は信じられないほどのものとなる。

多少の復興が続く中、短い混沌の期間があるだろう。

この激動の合計期間は概ね3年となる。

激動の中心地は地中海の東部沿岸となるだろう。

少なくとも、5つ以上の国家が完全に消滅してしまうだろう。

また、大西洋上に巨大な大陸が浮上し、アメリカとアイルランド、そして西ヨーロッパの沿岸に大きな災害を招くだろう。この際、イギリスの低地はすべて波に飲み込まれると思われる。

南太平洋でも非常に大きな変動があり、日本に近い太平洋でも大きな変動がある。

人類は、自らの精神的な存在に戻ることによってのみ、生き残ることができる。






(訳者注) 上のコナン・ドイルの記述の中に「危機は瞬間的に訪れる」とあります。先日のパキスタンの島などはスケールの小さなものですけれど、地質的には「スケールが大きい、小さい」ということはさほど差のないことのようにも感じます。

たとえば、パキスタンの新しい島の「何万倍もあるような大陸」が浮上するような場合でも、それは決して、何万年とかのスパンの中で浮上するのではなく、あっという間に起きる可能性を感じます。

「次の日に大西洋に新しい大陸があった」

というようなことも、これまで思っていたほどSF的なことではないということを最近のいくつかの事象が示しているように感じます。



  

2013年09月28日



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9月24日にパキスタンでのマグニチュード 7.7の地震と共に浮上した「地震島」について、「パキスタンでのクリスチャン追放活動の渦中で発生した大地震と共に海底から浮上した新たな島」という記事で記しましたが、今日になって、その島を「宇宙から見た光景」の写真を見ました。

NASA の地球観測衛星1号( EO-1 )という地表を高解像度で観測する衛星によって撮影されたものが下の写真です。海の中に丸く写っているのが浮上した島。

pakisatn-earthquakw-island.jpg

▲ NASA 地球観測衛星1号による撮影。Universe Today より。






 



島の周囲の海域が白くなっているので、そのあたりを含めて、隆起した海底の面積は島の何倍かあるように見えます。


そして、この島の全体的な形状もパキスタンの国立海洋研究所の航空撮影により明らかになりました。

gwadar_aerial.jpg

▲ パキスタン国立海洋研究所による撮影。Universe Today より。


高さは20メートル程度。大きさは記事によりまちまちですが、上のやや楕円形の長い部分は、200メートルと報道しているものもありますし、80メートルと報道しているメディアもありますが、右上のほうにボートのようなものがたくさんうつっていて、そのあたりからの比較で、大体の大きさはわかるように思います。

今回のポルトガルの島のように「浮上するもの」がある一方で、過去には水没していった数々の大地があり、中には文明圏だったと考えられる場所も数多くあります。




大西洋の海底で発見されたピラミッド


前回の記事、

パキスタンの新しい島を見て、最近の「海底の異変」の場所を思い返してみました
 2013年09月26日

の中では、最近、海で起きたいろいろな現象のことを記しまして、下の地図を載せました。

2010年〜2013年までに In Deep で取り上げた海底に関係する異変の場所




上の地図の左下に「 2013年2月に失われた大陸と発表された場所」という海域を示しています。こういうものは、アトランティス大陸とか、そういうような伝説上の話と結びつきやすいのですが、しかし、伝説との関係はともかくとしても、「海底の文明跡らしきもの」が存在する海域は非常に多くあります。

今回は、大西洋のアゾレフ諸島というポルトガル領の海底で、ピラミッド形状の構造物が発見されたという報道をご紹介します。

下の写真は現地の報道からのもので、GPS によって映し出された、そのピラミッドのような構造物と思しきものの形状です。

acores-ptramid.jpg

Terra より。


そして、こういうものが見つかると、すぐに下のような報道タイトルの記事が並びます。西洋の人々はアトランティス伝説がとにかく好きなようです。

atlantica.jpg

▲ 海底ピラミッドの想像図。ポルトガルのメディア DN より。


この建物のようなものの規模は GPS やソナーなどでの解析では、わりと大きなもので、高さは約 60メートル、全体の面積は 8,000平方メートルにのぼるものだそう。


アゾレス諸島というのは、下の赤い星の位置にあり、9つの島々でなっています。

acores.jpg


この中で、海底でピラミッドのようなものが見つかったのは、テルセイラ島とサンミゲル島というふたつの島の中間あたりです。

pyramid-undersea.png



今回は、アメリカに住むポルトガル人の人たちのための報道メディア「ポルトギース・アメリカン・ジャーナル」からその記事をご紹介しようと思います。ところで、今回ご紹介する記事を見た時に、コメント欄の一番最初に下のようなものがありました。

comment.png


海面下 40メートル!建設は氷河期の間に行われたのだと思います。 26000年前から 41000年前、あるいはもっと以前のサイクルに。しかし、誰によって? そして、もうひとつが日本の海にもあります。私たちはこの地球の最初の文明人ではないのです。



というようなことが書かれてあるのですが、まあ、いろいろな主張はともかく、この中に「もうひとつが日本の海にもあります」という響きが気になり、調べてみましたら、検索で行き着いたのは In Deep の過去記事でした。自分ではその記事を忘れておりました。






与那国島にある海底ピラミッドとされるもの


その記事は、3年以上前のもので、

紀元前数千年前のものとされる与那国島にある海底ピラミッド
 2010年06月26日

というものですが、 2008年に放映されたヒストリー・チャンネルというテレビ番組の内容を紹介した記事を掲載したものです。



▲ 上の記事より。


これは、ピラミッドだとか、あるいは古代の遺跡であると確定しているものではないのですが、琉球大学の木村政昭教授などを中心に人工物だとしての研究を進めているもののようです。

yonaguni-undersea-structure.gif

▲ 与那国島の場所。海洋政策研究財団より。


この場所は「与那国島海底地形(よなぐにじま・かいていちけい)」と名づけられていて、Wikipedia から抜粋しますと、下のようなものです。


与那国島海底地形は、沖縄県八重山諸島与那国島南部の新川鼻沖の海底で発見された海底地形である。人工的に加工されたとも考えられる巨石群からなることから、海底遺跡と考える説もあり、この立場からは与那国海底遺跡、与那国島海底遺跡とも呼ばれる。



とあり、上のページでは、現在ある説として、

・遺跡説
・古代文明遺跡説
・石切り場説
・中世遺跡説
・自然地形説
・侵食説


があるそう。

このうちの「遺跡説」に関しては、海洋政策研究財団の2004年のニュースレターに木村教授の与那国島海底遺跡の現状、保護のあり方というページがあります。

yonaguni-pyranid-1.jpg

▲ 上のページにある海丘の断面図。


上の図で「海底ピラミッド」と明記していることが目を引きます。

そんなわけで、確定されていないものが多いわけではありますけれど、世界中に、海底の文明かもしれないものがあるということは事実で、その中には、ピラミッドのようなものも多々あります。


上のコメントの人じゃないですけれど、私たち現世人類の十数万年前歴史の間、あるいはそれ以前には知られていない多くの文明が確かにあったということはあるのかもしれません。


そして、多くは海に沈んでいく。


そういうサイクルが存在するのなら、今の私たちの文明社会も、そのうち水没していくのだという気もします。

それも、何万年とか何億年の時間の話ではなく、パキスタンの地震島が「数時間で出現した」ように、あっとい間に消えていくのかもしれないです。パキスタンの地震島はそのことを改めて教えてくれました。

つまり、「地球の変化は一瞬にして起きる」ということを。


というわけで、ここから大西洋の海底でピラミッドかもしれない形状が発見されたという記事です。





Terceira: Subaquatic pyramidal shaped structure found – Azores
Portuguese American Journal 2013.09.19


アゾレス諸島の水面下でピラミッド形の構造物が発見された

acores-03.jpg


アゾレス諸島にあるテルセイラ島の沖の海底 40メートルの深さで、水中のピラミッド構造物が確認された。この構造物は完全な形の四角状をしている。アゾレス諸島の群島は 1427年頃にポルトガル人によって発見された無人島だ。

最初に発見したのは、プライベートヨットの持ち主であるディオクレシアーノ・シルヴァ氏だ。

この構造物は約 60メートルの高さであることが推定され、この謎の構造物は、 GPS と、デジタル技術によって記録された。


pyramid-silva.jpg

▲ GPS による画像が集められている。


最近、ポルトガル考古学研究協会( APIA )の学者たちが、ポルトガル本土に人類が文明を築く以前からアゾレス諸島で人々は何千年も生活をしていたことをピコ島の検証での考古学的証拠によって同定していた。

その証拠とは、島にある古代のピラミッド形状の石の建造物群だ。それらの中には 13メートルの高さのあるものもある。それらの建造物は、夏至に太陽と平行になるように建築されているため、方向を示すために建設された可能性がある。

さらに昨年、考古学者たちは、アゾレス諸島のテルセイラ島で、数千年前のものと考えられるロックアートを発見したと述べた。

過去3年の間に、アゾレス諸島の9つのすべての島々に古代の考古学的遺跡の数々が確認されている。それらには、ローマ時代の碑文、カルタゴの神殿、洞窟芸術、そして巨石な建造物が含まれている。




  

2013年09月26日



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hung-haapai.jpg

▲ 2009年 3月 18日に爆発的噴火を起こした海底火山フンガ・ハーパイ( Hunga Ha'apai )。場所はトンガの首都ヌクアロファから北西に63キロメートルの場所でした。 IB Times より。






 


「メタンの大地」は消滅するのかさらに増大するのか


昨日の記事、

パキスタンでのクリスチャン追放活動の渦中で発生した大地震と共に海底から浮上した新たな島
 2013年09月25日

の中でご紹介したアメリカの ABC ニュースの記事の中で、地元の漁師の方が、

「明日、島の近くまで行ってみようと思っています」

とおっしゃっていたのですが、そう思う人々はたくさんいたようで、地震の翌日には下のように「新しい島」はすでに大賑わい。

quakehill.jpg

▲ 次々とボートで島に向かう人々。英国 BBC より。


pakistan-island-03.jpg

▲ さっそく探索を始める人たちで、島はわりと混み合っていたようです。ワシントンポスト より。


そして、その日の夕方のその島。

pakiland.jpg

▲ パキスタンの地震で作られた島の日の夕暮れの光景。ワシントンポスト より。


まあ、 AFP の報道などでは、「数か月で消滅か」というようなことも言われているようですけれど、少なくとも今はパキスタンの人たちの目の前にあります。

上の AFP の記事の中には、地元の人などの印象的な言葉があります。
たとえば、地元に住むムハマド・ラスタムさんという人の感想。


「突然巨大な物体が水の中から出現したのだから、本当に不思議で少し怖かった」


また、上陸した海洋生物学者のモハマド・ダニシュさんという方によると、


「地表で泡が噴き出している場所を発見した。マッチに火をつけたところ着火した。メタンガスだった」


とのことで、メタンが噴き出し続けている大地でもあるようです。


この島が海岸から出現する様子は上空から観測はされていなかったようなんですが、「島が浮上する時は、きっとあんな感じだったのだたろうなあ」と思った光景があります。

それは、 太平洋にある南硫黄島近くの 2005年の海底火山の噴火です。

下の光景です。

iwojima.jpg

▲ 東京から南に約 1,400キロメートルほどの場所で 2005年に発生した海底火山の爆発。 IB Times より。


海底火山の噴火と、パキスタンでの新しい島の隆起のような現象は、それぞれ違うものではありますけれど、「海の中での大地の変動」という意味では同じともいえるような気もします。

そして、この2年くらいの In Deep の過去記事などを見ても、陸地の変動よりも、海底の変動は、非常に規模が大きく感じられるということがあります。






海底は今どうなっているのか


たとえば、昨年の記事に、

インド・オーストラリアプレートの境界で急速な「海底隆起」が起きているかもしれない: NOAA のグラフが示した異常な水深変化
 2012年12月05日

というものがありました。

これは今回のパキスタンの新しい島の隆起と、もしかしたら似ているかもしれないと思われる部分があり、それは「極めて短時間に何百メートルも海底が上昇した可能性がある」ということです。



▲ 上の記事よりアメリカ海洋大気庁のグラフ。2012年10月15日から10月17日の3日間で、400メートル近く海底の大地が上昇した可能性があります。


上の出来事が起きた場所は、地図では下のような場所です。




大地震の多いスマトラ沖や、あるいは、「消えたかもしれない島」として話題になったサンディ島、そして、ニュージーランド近くにある巨大海底火山「モノワイ」などがあります。

サンディ島については、過去記事の、

地図から消滅した南太平洋のサンディ島: 古代の超大陸が分裂したと考えられる海域での「異変」
 2012年11月23日

にあります。

あと、今年の2月には、ノルウェー、南アフリカ、ドイツ、英国の科学者たちによるチームが、「失われた古代の大陸」と考えられる海底地層を発見したという報道がありました。これも過去記事、

アトランティスの伝説に結びつく「失われた大陸」をアフリカ沖のインド洋海底に発見したと国際科学者チームが発表
 2013年02月25日

という記事でご紹介したことがあります。

その研究チームが特定した(とされる)失われた大陸の場所は、正確には公表されていないのですが、文面から私が推測した位置としては下のようになるのではないかと記事には記しています。



▲ 上の記事より。


あと、毛色が違うものかもしれないですが、直径150キロメートルの巨大な「渦」がアフリカ沖で発見されたということもありました。

agaras-3.jpg

▲ 過去記事「NASA の衛星が撮影した直径 150キロメートルの海底の渦巻き」より。


つい最近も「太陽系で最大の火山が太平洋で発見される」というような報道があったばかりですが、この1年から2年だけでも、海底の地質的な現象や発見などに関しての報道はとても多かったように思います。

それらを地図に記しておきたいと思いましたので、作った地図を掲載しておきます。


2010年〜2013年までに In Deep で取り上げた海底に関係する異変の場所

absea.png


上の中で、日本の太平洋側に「太陽系で最大の火山が発見された場所」と書いた部分がありますが、シャツキー海台と呼ばれる場所の周辺で、下の位置となります。




この、日本と極めて近い場所に、少なくとも地球から観測できる惑星の中では、もっとも巨大な火山が存在する可能性が高くなっています。

ちなみに、そのうち、上の地図に「プレートの境界」などを組み合わせた図を作ってみようと思います。そうすると、地球の海底というのか、プレートにどんな異変が起きているのかがわかるのかもしれません。

パッと見た限りでは、太平洋からインド洋にかけての、どちらかというと南半球側に大きな変化が起きているような感じもしますけれど、他にも世界中の海底でいろいろなことが起きているので、全体を見てみないと何ともいえないものだとも思います。

何だか、今日の関東は風がものすごいです。
ベランダの植物が倒れまくったりしていますので、これから中に入れたりいたします。

そんなこともあり、今回はここまでにさせていただきます。



  

2013年09月25日



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new-island-pakistan.jpg

▲ 地震によってパキスタン沿岸に浮上した「新しい島」。 ABC News より。






 


昨日、パキスタンで比較的大きな地震がありました。
日本語の報道では下のような状況のようです。


パキスタン南西部でM7・7の地震、45人死亡
読売新聞 2013.09.25

米地質調査所によると、パキスタン南西部バルチスタン州アワラン近郊で24日午後4時29分頃、マグニチュード7・7の地震が発生した。同州当局者によると、アワランで少なくとも45人が死亡し、多くの家屋が倒壊した。

震源地はアワランの北北東約66キロで、震源の深さは約20キロ。



震源地は下の位置です。

eq-pakistan-map-01.png


このあたりは、イランやアフガニスタンなどの国境沿いにいたるまで地震が少ないとは言えない場所で、しかも、建物の構造上、地震の規模と比較して大きな人的被害が出やすい歴史を持っています。


今回の地震では、地震そのものと共に、「普通ではない」現象が起きています。


それが一番上に載せた「地震の際に沿岸に新しい島が出現した」という現象です。

これは複数のメディアで写真と共に報じられていますが、今回は「この島がどのように出現したか」という住民の言葉が記されていたアメリカの ABC ニュースの記事をご紹介したいと思います。


ところで、今回の記事のタイトルの最初には「パキスタンでのクリスチャン追放運動の渦中で」という文字を入れていますが、地震が発生した 9月 24日の2日前に、パキスタン史上最悪の「キリスト教徒に対しての襲撃事件」が発生しています。

pakistan-christian-attack-01.jpg

ガーディアンより。


パキスタンのキリスト教徒は全人口の3パーセントに満たない「マイノリティ」であり、近年は、パキスタンからのキリスト教徒の完全追放さえ叫ぶ風潮が増してきているとのことで、その中で起きた事件でした。

この事件も、日本語で多く報道されていますが、 CNN 日本語版の記事を短くご紹介しておきます。
報道後、死者数はさらに増えています。


キリスト教会で自爆テロ、信者ら200人死傷 パキスタン
CNN 2013.09.23

パキスタン北西部ペシャワルのキリスト教会で22日に爆発があり、地元当局によると77人が死亡、120人以上が負傷した。

ペシャワル教区によると、礼拝が終わった直後に自爆テロ犯2人が正面入り口から教会の敷地内に侵入し、信者の中に入り込んで自爆した。日曜学校に通っていた子どもたちや聖歌隊のメンバーも犠牲になったという。

ペシャワル司教は追悼の談話を発表して祈りを呼びかけるとともに、地元自治体は少数派を守ることができなかったとして強く非難した。

パキスタンの人口1億9300万人のうち、キリスト教徒が占める割合は3%に満たない。

ペシャワルを州都とするカイバル・パフトゥンハ州はイスラム過激派の活動が活発で、治安部隊と武装集団との衝突が頻発している。



そして、上の事件の2日後に地震が発生し、「新しい島が出現」しました。

ところで、 In Deep の過去記事には「新しい島」に関しての記事がいくつかありますので、リンクしておきたいと思います。




浮上する「新しい島」たち


インドネシア 2010年11月

インドネシアのバリ島海域に新しい島が突如隆起
 2010年11月14日


bali-mountain-2010.jpg

大量の岩か、あるいは山のような隆起がバリ州ジュンブラナ県の海域に突然現れた。住民たちはこれを「山の子ども」と呼び、地区の住民たちの間には、火山が現れたのではないのかとして不安が広がっている。




ロシア 2011年9月

たった数日間で幅800メートル・高さ5メートルに渡って隆起したロシアの「新しい大地」
 2011年09月14日




クラスノダール地方にあるテムリュク地区で、広大な石と粘土からなる地層からなるのアゾフ海沿岸で、突如として高さ5メートルの隆起が発生した。そして、その場所にはもともとなかった「半島」を形成したのだ。




ドイツ 2013年1月

ドイツの沖合で「新しい島」が浮上を続けおり、その地は鳥たちの聖域に
 2013年01月16日


extra-02.jpg

新しい島がドイツの沖合で発見された。この、サッカー場 25個分ほどもある大きな島はドイツの海岸の沖で、この島の中州に構成されている陸地は、過去数年間で北海の激しい海から浮上した。



などがありました。

上の中で、インドネシアの写真は本当のものかどうかは確認できなく、イメージかもしれないですが、当時の現地メディアに掲載されていたものです。

これらの「海底の隆起」と、そして、シンクホールなどを含めた「土地の陥没」は、同じような時期と割合で増え続けているようにも見えて、つまり、新しいものが浮上する一方で、古いものは沈んで消えていく・・・という過去の地球の大地の歴史を思い起こさせるものがあります。

そして現代の大地に住む私たちは「古い」ほうに属しています。

では、ここからパキスタンの地震と新しい島に関しての記事です。





Pakistan Quake Kills 39 and Creates Island
ABC News (米国) 2013.09.24


パキスタンの地震は39人の命を奪い、そして新しい島を形成した


パキスタンでの人里離れた農村地域を襲った巨大地震によって、少なくとも 39人が死亡し、そして、パキスタンの海岸線に新しい島を作り出した。

この新しい島について、「これは小さな奇跡以外のなにものでもない」と、パキスタン南部の港湾都市グワダルの人々は ABC ニュースの記者に語った。

この島の大きさや形状は変化しているが、約 60メートルほどの幅があり、海岸線からこの島への距離は、およそ 400メートルくらいだという。パキスタンのテレビ局では、海に囲まれた岩の塊の状態の島の映像を放映した。

島が作られていく光景を見た地元の漁師は、これは幻影のように突然出来たのではなく、緩やかなプロセスの中で形成されていったと言う。

漁師は以下のように述べた。

「村のすべての人々が島を見るために家から外に出てきました。それと同時に全員が祈っていました。明日、私は島の近くまで行ってみようと思っています」。


今回の地震について、アメリカ地質調査所( USGS )によると、その規模は、マグニチュード 7.7で、その揺れは遠く離れたインドの首都デリーでも感じられた。

震源地付近の地域は、家屋が主に泥レンガで作られており、また、交通インフラに乏しい村で構成されており、今後、死亡者数が急激に上昇することが懸念されている。






(訳者注) なお、最近の地震に関しての話題といえば、アメリカのオレゴン州の非常事態局が、「巨大地震が迫っている」という旨の警告を出したことが、オレゴン最大の地方新聞オレゴニアンに大きく掲載されたことが、メディアに掲載されていました。

us-megaquake.jpg


このあたりは、過去記事などで何度か記したことがあるのですが、西暦 1700年に巨大な地震が発生していたことが 2003年になって判明した「カスケード沈み込み帯」という場所があるところです。




日本の独立行政法人「産業技術総合研究所」の活断層研究センターが日本の古文書から推定した結果、西暦 1700年にアメリカ西海岸の上の図のカスケード沈み込み帯において、マグニチュード9前後の超巨大地震が発生していたこと突き止めたのでした。

そのプレスリリースはこちらにありますが、この 1700年の地震は遠く離れたアメリカで発生した地震であるにも関わらず、日本の太平洋側も津波により多くの被害が出たという事実があります。

下のグラフは、その西暦 1700年のアメリカ西海岸での地震の際の、日本の太平洋側での津波の高さの推定です。

eq-1700.jpg


最大で6メートルの高さの津波が日本の沿岸に来ていた可能性があることがわかると思います。

太平洋のはるか対岸の日本での津波がこれだけのものでしたので、震源に近かったアメリカでの津波の高さは想像できないほどのものだったと思いますが、当時はまだアメリカ合衆国は存在せず、アメリカの様子を文字で記した文献は存在しません。

日本の古い文書から、アメリカでの出来事がわかったのでした。

いずれにしても、このような超巨大な地震の発生というのは世界の多くの地域において、可能性としては存在しているわけで、時期の予測はできないにしても、起きる時は起きてしまうものです。

それでも、私たちは 2011年に東北の方々の行動から多くの教訓を得ていることを改めて思い起こして生きたいとは思います。

なお、アメリカの地震といえば、イエローストーンでも観測史上で例のない地震が起きたようです。

米国イエローストーンで観測開始以来だという珍しい「三カ所同時」での群発地震が発生
 地球の記録 2013年09月25日

いろいろと地質的に騒がしい時期なのかもしれないですが、まだ起きていないことを心配する必要はないはずです。起きた時に現実的に対処することが最も大切なことのように思います。



  

2013年09月23日



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「このような大きさの粒子が地球から成層圏まで運ばれることが可能なメカニズムは存在しないため、この生物学的存在は宇宙由来であると結論付けることができます。私たちの結論は、生命が絶えず宇宙から地球に到達しているということです」 --- 分子生物学者ミルトン・ウェインライト教授(英国シェフィールド大学) Earthfiles - "Unusual Biological Entities” from Outer Space" より。


keisou.jpg

▲ 英国シェフィールド大学の研究チームにより上空 25キロの成層圏で回収された珪藻(ケイソウ)という単細胞性の藻類に属する生命。






 

成層圏の生命


先日、英国シェフィールド大学というところから「地球の大気から彗星由来と考えられる生物学的存在を回収」という主旨の論文が発表されていることを知りました。

上の写真が論文に掲載されているその珪藻といわれる生命の写真です。

概要は下にあります。

ISOLATION OF A DIATOM FRUSTULE FRAGMENT FROM THE LOWER STRATOSPHERE (22-27Km)-EVIDENCE FOR A COSMIC ORIGIN
下部成層圏(22〜27キロ)から珪藻の被殻の断片を分離 - 彗星由来である証拠


これに関しての科学記事がいくつかのメディアで取り上げていました。
下は先週末の米国デイリーギャラクシーの記事です。

dg-2013-09.jpg

Daily Galaxy より。


今日は上の記事をご紹介したいと思いますが、これは、パンスペルミア説という、つまり、「宇宙全体に生命種が存在している」というこのブログ最大のテーマのひとつとも関係することですので、翻訳の前に補足説明をしておきたいと思います。





西欧で 50年ぶりの実験再開の中で


タイトルに「パンスペルミア説を証明できる実験が数十年ぶりに再開」というように書きましたが、かつて、この実験は米国NASAとソ連の国立研究所によっておこなわれていた事実があります。そして、共に「理由が明らかにされないまま実験は打ち切られた」ものでもあるのです。

これに関しては、フレッド・ホイル博士の『生命・DNAは宇宙からやってきた』という著書の中に記述があります。


(ここから抜粋)




『生命・DNAは宇宙からやってきた』第2章「地球大気へ侵入する彗星の物質たち」より
フレッド・ホイル / チャンドラ・ウィクラマシンゲ共著


1960年代には、アメリカの科学者たちが高度 40キロメートルまで気球を飛ばして、成層圏にバクテリアがいるかどうか調査した。その結果、ごく普通のテクニックで培養できる生きたバクテリアが回収され、実験者を当惑させた。

さらに問題だったのは、バクテリアの密度分布だった。成層圏の中でも高めのところでは、1立方メートルあたり平均 0.1個のバクテリアがいて、低めのところでは 0.01しかいないという結果になったのだ。

高度が高いほど多くのバクテリアがいるという結果は、バクテリアが地上から吹き上げられたと考える人々が期待していたのとは正反対の傾向だった。不思議な結果に、研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。

1970年代後半には、旧ソ連で同じような実験が行われた。彼らは、成層圏より上の中間層にロケットを打ち上げて、高度 50キロメートル以上の高さでパラシュートにくくりつけた検出装置を放出した。パラシュートが落下するにつれて、いろいろな高さで次々にフィルムが露出され、粒子を付着させては密封された。

回収されたフィルムを研究室に持ち帰って微生物を探したところ、 50から 75キロメートルの高度について、バクテリアのコロニーが 30個ほどできた。中間層は空気が薄く、バクテリアはすみやかに落下する。したがって、中間層のバクテリアの密度は成層圏では数ケタ低いはずだ。それにも関わらず、これだけの結果が出たのである。

なお、この実験もたったの3回で打ち切られてしまった。

アメリカと旧ソ連で行われた実験は、はからずしてバクテリアが宇宙からやってきたというわれわれの仮説に見方してしまった。





(抜粋はここまで)


この時の実験では今回の英国の実験よりもさらに高い上空 40キロ、あるいは 75キロというところでも生命を回収しているのですが、地球の地表からそのような上空にまで生命が運ばれるメカニズムというのは地球には存在しないことを少しご説明できる範囲でしてみたいと思います。





地球の大気構造は「下から上へは上がりにくい」


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▲ 正確なところではないですが、上空の大気の様子を記してみました。


高層の大気圏で微生物が発見されると、「地球の地表から上へ飛ばされていったのではないか」と思う方も多いと思うのですが、その概念が適用できる高さにもある程度の上限があります。

今回の英国の大学での実験では、高層 27キロメートルにまで気球を上げていますが、このような高さにまで微生物などの小さな物質を押し上げる上昇気流は地球には存在しないのです。

気流以外に上空に大気を押し上げる自然現象として代表的なのは火山の噴火ですが、ちょうど今年の夏の記事の、

世界の火山活動がマックスへと向かう気配を見せている中で知る「火山のマグマは噴火後たった数日で再充填される」という事実
 2013年08月19日

の中で、いくつかの最近の火山の大噴火の噴煙について記しています。

日本では8月に桜島が激しい噴火を続けていましたが、それでも高さ5キロ。

sakurajima-2013-08.jpg


他に最近の大きな噴火では、

・カリムスキー火山(カムチャッカ)の噴煙が 7.5キロメートルの高さ
・パブロフ火山(アラスカ)の噴煙が 8.5キロメートルの高さ


などとなっていて、かなり大きな火山噴火でもこのあたりが上限のようです。

もっとも、20世紀で最大の噴火を起こしたフィリピンのピナツボ火山の 1991年の噴火などは、噴煙が最大で 34キロメートルにまで上り、このレベルの噴火が日常的に世界でいつも起きているのなら、成層圏くらいまでなら微生物が噴き上げられることもあり得るかもしれません。

そのためには、たとえば、毎年何度かピナツボ火山レベルの噴火が世界のどの国でも発生し続ける必要がありますけれど、そんなことはありえないです。

何より、 1960年代の NASA の実験や、 1970年代のソ連の実験ではピナツボ火山の 1991年の大噴火のような事象でも届かない上空での生命の回収をおこなっています。

もともと高層の大気圏は、上にも下にもどちらも「垂直方向の動き」が少ないそうなのですが、成層圏を越えて高層にいけばいくほど大気が薄くなり、真空に近い状態だと「ものは落下していく」ということになります。

なので高層大気圏では、下に現象はあっても、上に行く現象は存在しません


そういう意味でも、そこで見つかる生物が宇宙由来であるということには特に不思議なものではないと思うのですが、それでも、たとえば、今回の下の記事にも懐疑派の人が出てきますが、いかようにも反論のできる余地はある話でもあるようです。


ちなみに私自身は、パンスペルミア説が生命由来の学説として確立するとかしないとか、そういうことには興味がありません。「学説」は学者の人たちの問題で、たとえば、私などは学説がどうあろうと「宇宙全体に生命が普遍的に存在している」という考えが変わることはもうないです

ただ、私はパンスペルミア説を足がかりとして、そこから生命の永遠性(あるいは DNA を規準とした「永遠の連続性」)についてを知りたいとは思っています。


そのあたり、少し前の記事の、パンスペルミア関係の記事、

「生命発祥の要因は宇宙からの彗星によるもの」という学説が確定しつつある中でも「幻想の自由」の苦悩からは逃げられない
 2013年09月18日

でも少し書きましたけれど、しかし、このことを書き出すと、また無意味に長くなりますので、今回はそろそろ翻訳記事に入ろうと思います。

ここからです。





Evidence of Extraterrestrial Life found in Earth's Atmosphere
Daily Galaxy 2013.09.21


地球の大気で地球外生命体の証拠が発見される


carbon-01.jpg

▲ 米国ローレンス・バークレー国立研究所の放射光実験 ALS でのX線顕微鏡で撮影されたコンドライト隕石の中の有機炭素。この画像では、炭素は赤で示され、鉄は青、そして、カルシウムはグリーンで示される。


英国シェフィールド大学の科学者たちは、彼らが地球外生命体の証拠を発見したと主張している。研究チームは 25キロメートル上空の成層圏に気球を打ち上げた。そして、それらの気球は、地球に戻ってきた時に小さな生物を運んできたのだ。

研究チームを率いたミルトン・ウェインライト( Milton Wainwright )教授は「これらの生物的存在が地球外の起源のものであることは 95%の確率で確かだといえます」と言う。

さらに教授は以下のように続ける。

「もし、私たちの確証が正しければ、宇宙空間に生命が存在することを意味し、そして、それが地球に来ている。これは、地球の生命の起源が宇宙にあることを示しているものです」。

「多くの人々は成層圏に漂流している生物学的な粒子が、地球上から上空まで上がったという仮定を示しますが、成層圏で一般的に見られるサイズの粒子が地上から 25キロメートルもの高さにまで噴き上げられる可能性はないのです」。

しかし、天文学者のフィル・プレイト( Phil Plait )氏は、この「生物的な物質」のように見えると科学者たちが述べる物質は、宇宙外から来たものではないだろうと述べる。

プレイト氏は、「彼らの主張には根拠がないと考えられる多くの理由が存在します。たとえば、見つかった珪藻(ケイソウ)が非常に綺麗で無傷であるという点などもそうです。もし、その珪藻が彼らの言うように彗星や流星から来たというのなら、この珪藻のように断片が綺麗なままである可能性はほとんどないはずです」と言う。

プレイト氏は、また、シェフィールド大学の科学者たちの理論で、地球からの微生物が風と乱気流により長い期間の中で空中に展開することはないとした意見にも懐疑的だ。

プレイト氏は、この研究結果が英国バッキンガム大学宇宙生物学センターの所長であるチャンドラ・ウィクラマシンゲ( Chandra Wickramasinghe )氏の研究に影響を与える可能性があるという。

ウィクラマシンゲ氏は、英国の偉大な天文学者だった故フレッド・ホイル卿と共に、生命は宇宙全体を満たしており、彗星や流星がその生命を運んでいるということを示唆し続け、その理論を「パンスペルミア説」として知られる理論として、ホイル卿と共同で研究した。

宇宙科学専門誌ジャーナル・オブ・コスモトロジー( Journal of Cosmology )に掲載された『新炭素質隕石の中の化石珪藻』と題された論文の中で、ウィクラマシンゲ氏は、彼が 2012年 12月 29日にスリランカのボロンナルワ村近くに落下した隕石の研究を進める中で、生命は宇宙を通して存在しているという強力な証拠を発見したと主張した。

プレイト氏は、これに関しても「ウィクラマシンゲ氏はすべてにおいて飛躍し過ぎです。それらが宇宙からやって来たという証拠はまったくないのです」と述べる。

しかし、シェフィールド大学の科学者たちはさらに複数のテストを今後おこなう。たとえば、特定の同位体比が地球の生物のそれと一致しているかどうかを決定する「同位体分別」などだ。

ウェインライト教授たちは、彼らの起源が地球外であることを確信している。彼らの研究の続報を待ちたいところだ。





ここまでです。

上の記事の中でやや残念だったのは、シェフィールド大学の調査方法です。最初に「微生物が宇宙から来た」ということを立証したいためにこの実験をおこなったのなら、旧ソ連の実験のように高度を変えて数多く採取をすべきだったと思います。

その理由は、翻訳記事の上に抜粋しましたフレッド・ホイル博士の著作にあるこの部分を確かめるためです。


成層圏の中でも高めのところでは、1立方メートルあたり平均 0.1個のバクテリアがいて、低めのところでは 0.01しかいないという結果になったのだ。



要するに、「高い場所になるほど生命(微生物)の数が増えていく」ということが確認されれば、上(宇宙)からやって来たという大きな証明のひとつになるはずです。

また、「特定の同位体比の地球の生物との一致」というようなことが書かれてありますけれど、これらの宇宙からきた微生物は結果的には、地球の単なる微生物として生活するのですから、「地球の生命と違う部分がない」はずで、そこをいくら研究しても、意味がないように思います。

こういうような科学者たちの方々でも、いまだに「宇宙の生物と地球の生物は違う」と決めつけているような感じがありますけれど、宇宙全体を同じ生命体系が貫いているのだとすれば、環境により生きられる生命種が違うだけで、どれだけ地球から離れた宇宙でも、基本的には大差のない DNA 構造の生物が生きているはずだと私は思っています。



  

2013年09月21日



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▲ 2013年 9月 20日の Daily Mail より。


参考用語:クライメイトゲート(気候研究ユニット・メール流出事件)

朝日新聞 2012年8月2日 朝刊 オピニオンより。

2009年、気象研究で有名な英イーストアングリア大学のコンピューターから電子メールなどが盗み出され、わざと気温の低下を隠したかのようなやりとりが暴露された。温暖化に懐疑的な人たちが、ここぞとばかりに批判し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への信頼性も大きく揺らいだ。英米メディアはウォーターゲート事件をまねて「クライメート(気候)ゲート事件」と呼んだ。








 


南極の海氷の面積が観測史上で過去最大に


わりと最近の記事で、

ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性
 2013年09月09日

というものを記したことがありましたが、その中に、雪圏の観測とデータの管理を行っているアメリカ雪氷データセンター( NSIDC )というところで発表された下のグラフを載せました。




そのアメリカ雪氷データセンターの最近の新しいデータで、「南極の海氷の面積が観測史上で過去最大になった」ことを示す図が掲載されていました。

下がその図で、日本語はこちらで入れたものです。

Antarctic_Ice_Extent-2013-09-16.png

アメリカ雪氷データセンター( NSIDC )より。


アメリカ雪氷データセンターのデータから具体的な数値を書きますと、9月14日の時点で、南極の海氷面積は、 1,951万 2,000平方キロメートルとなったとのこと。

これまでの南極の最大の海氷の面積が、昨年 2012年の 1,947万 7,000万平方キロメートルですので、この 9月 14日に昨年の記録を抜いて、観測史上最大の海氷の面積を記録したことになるようです。

南極の海氷面積のデータの集計は 1979年に始められたものですので、34年程度の歴史でしかないのですが、しかし、少なくとも、その中では最大の海氷面積を更新したということになります。


そのようなデータを目にしたからというわけでもないですけれど、過去記事「ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性」において、寒冷化についての記事を掲載していたことをご紹介した英国のデイリーメールが、昨日、ページの一番上に載せました記事を掲載しました。

また、アメリカの FOX ニュースは、同じ日に「クライメート2」(第2のクライメートゲート事件)というタイトルで、下のような記事を掲載し、そこに、各メディアの報道や、関係機関の動きなどをまとめた記事を掲載しています。

fox-climategate.jpg

FOX ニュース より。


上の FOX ニュースの一番上に「カテゴリー」が出ているのですが、Politics とあります。つまり政治コーナーの記事となっているのです。FOX ニュースには、他に「環境」や、「科学」というカテゴリーもあるのですが、それらではなく、政治の範疇の記事として掲載されていて、このあたりに、この問題の「性質」を感じます。


それにしても、最近の「地球温暖化」問題に関しての怒濤の流れを見ていますと、地球温暖化という説をめぐる周辺に何か異変が起きていることは確かのようで、どうもそこには政治的なバランスも感じたりもするのですが、私は政治のほうには興味はありません。

いずれにしても、たとえば、過去記事もそうですが、最近の南極や北極や、全世界の気温のデータ、あるいは太陽活動の現状などから、(その程度や時間はわからないですが)全体としては寒冷化に向かっているという方向性を示しているという状態は続いていました。

何より、「人的な原因による」という部分に対しては昔から非常に不思議に思っていて、たとえば、地球と海洋の動きと気温の関係、あるいは、太陽や宇宙線を含む「宇宙と気温の関係」などを考えていますと、人為的な原因による地球への「大規模な環境への干渉」を大きく考えることは難しいよなあと今でも思ってはいます。


ところで、最近、「寒冷化」に関してはずいぶん昔から語られていたことを知るいくつかの資料を見ました。






1970年代に米国政府機関が予見していた「小氷河期の到来」


1974年にアメリカ政府は、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の長官を代表とした「気候変動に関しての小委員会」というものを組織して研究を続けていたのですが、その 1974年の時点で、すでに「今後の世界の寒冷化の可能性」についての警告が発せられていました。

その報告書の内容の一部は、当時の科学誌などで発表され、当時の記事の一部は PDF でこちらなどにあります。

下のは 1975年 1月のサイエンス・ニュースという科学雑誌に掲載されたと思しき「 Chilling Possibilities 」(寒冷化の可能性)というタイトルの記事です。イラストが「雪の中に閉ざされた街」となっています。

CHILLING_POSIBILITIES.jpg

CHILLING POSSIBILITIES より。


少なくとも 1970年代には、米国なども「寒冷化に向けた政策」をとっていたということがわかる気がします。


あと最近、古本で、土屋巌さんという気象専門の理学博士の方が 1974年に記した『地球は寒くなるか - 小氷期と異常気象』という今から 40年前の本を読んだりしていたのですが、そこにも、興味深い資料が数多くありました。

この『地球は寒くなるか』の内容についてはふれないですが、 Amazon のこちらのリンクに古本のみですが、あります。

この本はそれほど衝撃的なものというわけではないのですが、今ではあまり知ることが難しいような、今から 50年前の日本の気候などが詳しく書かれていて、参考になります。


数十年前からの流れとして「寒冷化への懸念」というものが強くあったようなのですが、その中で降って湧いたような「地球温暖化」という説ですが、今、その地球温暖化説という説そのものが少しずつ消滅しかかっているということなのかもしれません。


ここから、英国デイリーメールの内容をご紹介します。


なお、この記事に出てくる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の新しい報告書」というのは、この夏に、日本などのメディアでも、「温暖化が進んでいる」という表現で多く紹介されていましたので、そのような記事のひとつをご紹介しておきます。


IPCC:温暖化で海面最大81センチ上昇 報告書最新案
毎日新聞 2013.08.22

今世紀末の地球の平均海面水位は、最近20年間と比べて最大81センチ上がり、平均気温は最大4.8度上昇すると予測した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の第5次報告書案が22日、明らかになった。報告書の改定は6年ぶり。

人間の活動が原因で地球温暖化が起きている可能性は「極めて高い」(95%以上の確率)と踏み込んだ表現となっており、二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務であることを示す内容。今後の温暖化対策の基礎資料となる。9月下旬にストックホルムで開かれる世界の科学者と政府関係者らの会合で最終調整した上で確定し、公表される。



デイリーメールの記事は、「この報告書の内容は温暖化を示していない」という主張です。

ここからです。





World's top climate scientists told to 'cover up' the fact that the Earth's temperature hasn't risen for the last 15 years
Daily Mail (英国) 2013.09.20


世界のトップクラスの気象学者たちは、地球の気温が最後の15年間上昇していない事実を「隠蔽」することを促された


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▲ リークされた国連の文書によると、ベルギー、ドイツ、ハンガリー、そして、米国の政治家たちが最終草案への懸念を高めていることが示された。写真はニューヨークの国連本部。


気候変動に関する最も権威のある研究に取り組んでいた科学者たちは、世界の気温は過去 15年間にわたり上昇していないという事実を「隠蔽」するよう促されていたことが語られた。

リークされた「気候変動に関する国連の政府間パネル( IPCC )」の報告書によると、ベルギー、ドイツ、ハンガリー、米国の政治家たちから最終案についての懸念が提起されたことが示されている。この報告書は科学者数百人がまとめたものだ。

来週発行される報告書は、1998年が最も暑い年だったという事実に対処することが期待されており、科学者たちは説明に苦慮している。

この報告書は IPCC による6年間の作業の結果として、気候変動と、その要因について書かれたものとしての世界的な権威として見られるはずだ。そして、これは英国の「緑の政策」を含む各国の政府に対しての権威となる。

しかし、昨日から AP 通信上で閲覧することのできるリークされた文書によれば、この数年間の「地球温暖化の不足」に対して政治家たちは深い憂慮を示していることがあきらかにされた。

ドイツでは、わずか 10年や 15年の期間を見て判断するのは「誤解させる」ものだったとして、数十年から数世紀のスパンに焦点を当てるべきだということで、温暖化説の削除に向かっている。

ハンガリーでは、この報告書が、人的な要因による気候変動に否定的な立場の人たちにとって有利な材料になるのではないかと懸念している。

米国の代表団も議論に加わり、低いレベルでの温暖化が海洋によって吸収されることによって、さらに熱を低くしているという、科学者たちによる「仮説」を引用して、温暖化の不足を説明した。

これまでの最後の IPCC の「評価報告書」は 2007年に発行されたが、そこには、「ヒマラヤ山脈は 2035年までに溶けてしまうだろう」というような当惑させるような主張があり、これらを修正しなければならくなった後に、大きな論争の対象となってきた。

その後、 IPCC は「クライメートゲート事件」のスキャンダルにまみれる。しかし、最終的には不正行為が発見されることはなかった。

来週発行される今回の最新の報告書は 2,000ページに及び、ストックホルムにおいて、全世界 195カ国の代表団に提示される。

しかし、この報告書が6月に各国政府に発表されて以来、科学者たちの調査結果をまとめた政策立案者たちから何百もの異議が提出されている。

たとえば、この報告書には、 1998年から 2012年の間の温暖化の率は 1951年からの平均値の半分だったとされている。ここには、エルニーニョ現象やラニーニャ現象などの海洋のサイクルと火山噴火による冷却効果などの自然変動について記されている。

海洋の表面に関しての章を記したドイツの気候科学者、ステファン・ラームストルフ博士は、温暖化の減速への対処について、「公開討論」による圧力を感じ続けていたことを昨日認めた。

この報告は新しい調査ではなく、世界中の科学者によって行われてきたすべての作業の集大成であるため、会議では高度に争われる可能性がある。

また、報告書では、人間による炭素排出が地球温暖化を引き起こしているという説に対して、 2007年には「非常に可能性が高い」という表現だったものが「極めて可能性が高い」という表現に変わっているが、そのようなケースもあるかもしれない。

しかし、科学者たちは、 2000年から 2010年までの 10年間が暑さとしての記録を作ったのに、なぜ、それが 1998年の水準を越えていないのかということに対して説明する必要に迫られている。

IPCCのスポークスマンのジョナサン・リンは昨日、以下のように述べた。「これは数百人の科学者たちの働きによる4年間の集大成です。そして、これは政府が政策立案者のために、これを書いた科学者との対話の中で、明確かつ簡潔に、その概要を保証する機会を得ることになります」。




  

2013年09月20日



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▲ 平均して毎日1個ずつのシンクホールが開き続けている死海。現在では死海周辺に 3000個のシンクホールが開き、死海の消滅は時間の問題だとされています。Daily Mail より。






 



少しだけまた余談で申し訳ありません

前回の記事や、その前の記事などは何だかよくわからない余談が長くなってしまったんですが、ああいうようなことを、つい書いたのは、結局、誰でも生きている目限り、幸せでありたい、とか、充実した人生でありたい、とか、そういうふうに思う場合が多いとは思うのですけれど、その「自分の幸せの価値」が他との比較だけでしか成立しないなら、一生、他との比較との追いかけっこで人生が終わってしまうと思うのですよ。

なので、他から左右されない絶対的な価値観を持てるように生きられればいいなあ・・・という程度の話で、大層な話ではないです。


ついでにいえば、「敵」とか「憎む相手」を作るというのも「自分の価値観と比べた上で人を貶める」という意味では比較の話なので、本来はあまり有益なことだとは思えないのですが、しかし、今の世の中は、誰にでも常に攻撃する対象や憎む対象がいるのが普通です。

いない場合は「探す」。

インターネット上の炎上などを見ても思いますけど、今では、みんな、敵作りに目を光らせて日々生きている。


でも、この根は深いです。

何しろ、今は幼稚園くらいから、勉強もスポーツも含めて、「人と競うこと」ばかり教えられます。「日本がいつ頃からそうなったのか」というのは、まあ・・・そのあたりは一種の陰謀論とも結びつきそうな面倒な話となりそうですので省きますけれど、いずれにしても、この「人生では敵を作りなさい」という無言の上からの命令と、それに従いながら子どもたちが成長していくという日常が、小学校とか幼稚園あたりから十数年も続く思想構造なので、変えることは難しいです。


子どもたちの目からみても、「エライと言われる人たち」の行動、たとえば、政治家の人たちの主な活動は「相手を非難することだけ」にしか見えないというのが現状じゃないでしょうか。相手を、より激しく非難したほうが勝つ世界。いわゆる「文明国」といわれる国はどこの国でも。

美しい光景だとは思えないですけど、子どもの中の一部は「他人を罵詈雑言で打倒すれば、将来、エライと言われる人になれるんだな」と、どうしても思ってしまうこともあるかもしれない。

まあしかし・・・そういう考えが根底にある上に今の文明社会が築かれていると考えると、この今の社会の思想構造は大変に強固で、「世の中が根本から変化する」には、大変な時間がかかると思います。

あるいは地球に現代の人類がいなくなるまで難しいのかもしれません。

地球の億年単位の環境のサイクルをふりかえれば、いつかはこの地球から今の人間はいなくなるかもしれないですが(それはこれから何度でもあり得ると思います)、しかし、その後またいつかは新しい人類は現れるはずで、そういう未来に夢を持ちながら、私たちは今の世の中で生きていくしかないのかもしれないですけれど。


・・・と、ここまでにしておきます。


実は昨日、気付いたら、そんなようなことをとても長く書いてしまっていたのですが、読み直しているうちに、そんな話ばかり書いていること私こそが、まるで「自己顕示欲丸出し」の馬鹿に思えてきて、そんな自分もイヤになりまして、書いた記事はアップせずに、テキストはゴミ箱に捨て、お酒を飲んで寝てしまいました。

なので昨日は結果としてお休みとなりましたが、今日は普通の話題に戻ります。


今日は英国のデイリーメールで見ました、「死海の周囲がシンクホールでボコボコになっていて、死海が消えつつある」という報道をご紹介しようかと思います。

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Daily Mail より。


ところで、その前に、どうしても書いておきたかったのですが、今、台湾のほうに「ものすごい台風」が接近しているのです。





中秋の名月の日にスーパー台風「ウサギ」が台湾と中国大陸に向かっている

下のは、今日( 9月 20日)の中国のメディアのものです。

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中国新聞網より。


上の報道のタイトルに超台風というような文字が見えるかと思いますが、スーパー台風の意味で、しかも、この台風は昨晩までは弱い勢力だったですので、「あっという間にここまで発達した」のです。

下のは、気象庁の9月20日9時発表のデータです。

usagi-2.png


気圧が 910ヘクトパスカルとありますが、これはすごいもので、先日、日本に被害をもたらした台風 18号の最大の勢力の時で 960ヘクトパスカルとかそのくらいだったと記憶していますので、今回の台風はとんでもなく猛烈な台風だと思うのですが、台風情報を見てもおわかりでしょうけれど、皮肉にもこの大きな被害をもたらす可能性のある今回の台風19号のアジア名は日本語で、しかも、「ウサギ」。

日本では台風は 18号とか 19号とか、ロボットのように機械的な名称がつけられていますが、他の国で報道される際には、すほべてアジア名が使われます。

この説明は気象庁のサイトにあります。


台風の番号と名前 気象庁

平成12年の台風第1号にカンボジアで「象」を意味する「ダムレイ」の名前が付けられ,以後,発生順にあらかじめ用意された140個の名前を順番に用いて,その後再び「ダムレイ」に戻ります。台風の年間発生数の平年値は25.6個ですので,おおむね5年間で台風の名前が一巡することになります。


上にある「140個」の台風の中での 32番目が先日の台風 18号で「マンニィ」、そして、現在台湾に向かっている台風 19号は 33番目となり、「ウサギ」で、そのあたりは下のようになっています。国名は命名した国で、その国の言葉が台風名として使われます。

usagi-3.png

気象庁より。


昨日は、うちの子どもと奥さんが近所の和菓子屋さんで、お月見団子を買ってきたりしていて、夜に団子を手にして外で子どもと月を見たりしていました。

わたし 「むかしは月にウサギがいるっていっててさ」
子ども 「今もそうだよ」
わたし 「ああ、そう」
子ども 「ロシアではウサギじゃなくてカニ・・・いや、トカゲなんだって」
わたし 「ああ、そう」


というような話をしていたのですが、まさか、日本ではウサギを象徴するお月様の日に発生したウサギ台風が、こんな大きなスーパー台風になるとは・・・。

もちろん、台風は勢力が大きいからといって、必ず大きな被害が出るというものではないですので、今から大きな被害を想定するのはおかしいですが、最近の台風やハリケーン、あるいは単なる大雨にしても、少し前と比べても、さらにものすごくなっているのです。

先日の、

世界でさらに拡大し続ける黙示録的な洪水
 2013年09月15日

という記事で、アメリカのコロラド州の洪水のことについて書いたのですが、あの時の雨の量! これが最近わかったのですが、数値よりも、下のグラフがわかりやすいと思います。

被害の大きかったコロラド州ボルダーでの 9月10日から9月12日までの雨の量です。
その凄さがわかります。

andrew_boulder.png


上のグラフは、 9月10日までは平年並みに推移していた年間の雨量が、9月10日から12日までの「たった3日間の雨」で、今までもっとも雨の多かった年の同時期までの年間雨量を越えてしまったということです。

それと、「2つのハリケーンが同時に上陸した」メキシコでも非常に大きな被害が出ていて、被災者は100万人以上となっています。

異なる2つのハリケーンに同時に襲われたメキシ南部が洪水で壊滅状態に
 2013年09月19日


そのような報道の数々を見ている中でも今回の台風ウサギは、勢力だけなら今年発生した中で最も勢力の強い、文字通りのスーパー台風であるわけですけれど、上に書きましたように、勢力が強いからといって、必ずしも大きな被害が出るわけではないです。とはいえ、被害が少ないともまた思えないわけで。


人間の価値観の変化のキッカケには自然現象などによる「外部環境からの変化」というのが確かにありますが、それが今や力づくのような状態になっている感じもします。


というわけで、長くなりましたが、ここから本題の「死海のシンクホール」についてです。




「死海が枯渇しない限り時間はある」


死海は下の「A」の位置にあります。

ds-map.jpg


イスラエルとヨルダンが東西にあり、周辺もシリアなど話題の多い場所ですが、このあたりは聖書とのゆかりの強い土地であるようです。

昨年、


「死海の枯渇」についての報道が西欧と中東で相次ぐ理由
 2012年04月13日


という記事を書いたことがあることを思い出しましたが、その記事を見ると、死海はこの数十年、一貫してその水深が浅くなっていて、つまり、枯渇し続けているようです。そして、ここに来て、どうやらそれが加速しているようなのです。



▲ 1972年から2011年までの衛星から撮影した死海の写真。黒い部分は深い部分で、青い部分は水深の浅い部分を示しています。青い色がどんどん増えているのは、水深が浅くなっていきていることを示しています。



ところで、上の過去記事には「 12万年前には死海の水はなかった」ということが判明したことが書かれています。

つまり、その 12万年くらい前から死海が出現し始めたと。

12万年くらい前というのは、大ざっぱにいえば、ミトコンドリア・イブなどと呼ばれている「現生人類の最も近い共通の祖先」の女性が地球上に現れた頃でもあり(正確には 16万年前プラスマイナス 4万年とされています)、むりやりこじつければ、「死海の水が出現し始めた頃に、地上に現世人類が現れた」というような時間軸ともなっていて、そこからさらに「超こじつけ」て言いますと、


・死海の水が消える時、また現世人類は消えていく


という未来の時間軸をふと思ったりした次第でした。まあ、そんなことはないでしょうけれど、いずれにしても、今、死海が消えつつあることは事実のようです。

今回はデイリーメールの記事をご紹介しますが、もともとは「モーメント・マガジン( Moment )」というアメリカの雑誌の記事にあったものようです。

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Moment より。


モーメント・マガジンというのが何だか知らなかったので調べてみますと、英語版の Wikipedia にありまして、アメリカ在住のユダヤ人のための雑誌だそう。

死海の枯渇はユダヤ人の人たちにとって、とても気になる現象のようです。

それでは、ここから記事です。





Will the Dead Sea be eaten by sinkholes? Huge chasms are appearing in the region at a rate of one per day
eaten-sinkholes-Huge-chasms-appearing-region-rate-day.html
Daily Mail (英国) 2013.09.18


死海はシンクホールに食べられてしまうのだろうか。巨大な裂け目が毎日1個の割合で死海周辺に出現し続けている


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死海はシンクホールが原因となり、1年間に1メートルの速度で干上がり続けている。イスラエル側の死海周辺には 3000個以上のシンクホールが存在する。 1990年代には 40個だけだった。

死海が信じられないほどの速度で干上がっている。
そして、そこには巨大な割れ目が残される。

これらの割れ目は、大規模で壊滅的なシンクホールの中に出現し、これは死海全域で増えている。専門家によると、シンクホールは現在、1日に1個の割合で出現しているが、しかし、いつどのように出現するのかは予測しようがないという。

モーメント・マガジンの推計では、イスラエル側の死海の周辺には 3000個のシンクホールがあることが示された。シンクホールが最初に出現したのは 1980年代だったが、その後の 1990年代でも 40個のシンクホールが確認されただけだった。

シンクホールの増加は、年間1メートルのペースで死海が干上がっていることと直接関係している。

シンクホールは、土地の下が下降して穴が開くときに、基本的には丸い形状で土地が陥没する現象だ。死海の土地の下降は淡水と塩分の地価での反応の結果として表れる。過去数十年にわたり、増加する人々が死海に水を引き入れ続けた。これは塩を溶解し、地下により多くの空洞を作る原因となった。

死海の枯渇を防ぐ一つの解決策としては、紅海と死海のいずれかを結ぶ運河を作ることだ。しかし、環境保護論者は、これを行うと、死海の終わりをもたらすかもしれないと警告する。

専門家たちは、今よりもさらに死海の窮状を強調して訴え、そこから最善の解決策を探ることがが必要だと主張している。





ここまでです。

なんだか結局いろいろと長くなってしまいました。

なんかいろいろと「眠っている時に考えている」ことが最近また多いんですけれど(夢でなくて、普通に考えているけれど熟睡しているという意味です)、やはり、満月が関係あるのかなあ。



  

2013年09月18日



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▲ 9月16日にチュニジアのタタウイヌという場所に隕石が落下したニュースです。今回の記事とは直接関係ないですが、アラビア語と隕石の記事の組み合わせがなんとなく興味深かったので貼っておきます。被害はなく、目撃されたというだけの内容です。写真はもちろんイメージ図だと思います。チュニジアのメディア Alikhbaria より。






 


幻想の自由


昨日の「真っ赤な空の中の真っ黒の富士山を見た日に太陽活動はほぼ止まった」という記事で、途中、コリン・ウィルソンやら、妙な話の展開となっていった部分がありまして、そこに「その著作の前書きからショックを受けた」と書いているのですけれど、「何にショックを受けたのか?」という根幹が書かれていないことに気付きました。

それは一言で書くと「実は私たちは自由ではないし、そもそも自由の意味がわからなくなっている」ということなんです。

どうしてかというと、今の文明社会において「価値」がどういうふうに作られているというと、それは「比較」だけです。

他者との
他の国との
他の考え方との


あるいは、


物質的な
精神的な


比較。

資産の格差でも立場の格差でも男女の差でも、イデオロギーの違いでも、人種の違いでも何でもいいんですけど、「価値」はすべて「他との比較だけ」というのが現実で、「絶対的な価値」というものが存在しない。

せめて神様の世界だけでも、と思ってもダメで、「こっちの神様のほうがエライ」というような話ばかりで、戦争にさえなる。

スビリチュアルの世界の話でも、たとえば、高い次元とか低い次元とか、あるいは、どこそこの宇宙の存在は人間より優れているとか劣っているとか、比較でなければ語ることのできない存在にまで堕ちている(比較できる対象を持つものは絶対存在ではありません)。


「純粋、あるいは絶対の存在」がこの今の社会ではもう見えないのです。


つまり、前回の記事で書いたそのコリン・ウィルソンの『殺人百科』の前書きを 30年前に読んだ時に、その時にはじめて、「世の中に絶対的な価値が存在しない」という事実に気付いたということなのでした。

それでまあ、愕然としたわけです。

まあ、知るのが遅いといえば遅いんですけど、ショックはショックでした。

それから若い時は暴力的な演劇のようなものや、あるいは存在を消した無為な生活を送り続けることなどで、この「価値のない自分」と「価値の存在しない世界」を考えたりしていました。


それにしても、以前からこのブログでは、ジョルダーノ・ブルーノだとか、フレッド・ホイル博士だとか、あるいは、ロシア宇宙主義のアレクサンドル・チジェフスキー博士などの話を書いたりすることがあります。

その人たちのことを知ったのはつい最近で、具体的にはこの3年くらいの間のことですが、この人たちの主張は、私が若い時にやっていた暴力演劇の根源にある問題を非常によく(私自身の心に対して)サポートしてくれることにいつも驚いていました。

ブルーノやフレッド・ホイル博士の言う「宇宙は無限」ということ、チジェフスキー博士たちの言う「人間と宇宙の末端は繋がっている(同一である)」ということ。

これらの意味を突き詰めると、第一段階として、


・宇宙は無限 → 無限という観念は裏返せば「存在しない」と同義


というものがあり、そして、


・人間と宇宙は同一である


ということを照らし合わせると、どうも宇宙か人間のどちらかが存在していないという疑惑が出てくる。


宇宙だけか、人間だけか、どちらかということになりそうな気がする。


これは、今の科学の概念では「とにもかくにも宇宙は存在している」と、当然のように語られます。その理由は、人類が地球に誕生する前から宇宙はあったという一種の「科学的推定」に基づいていますが、しかし、それが本当かどうかは今ひとつよくわからないとも言えます。

なぜなら、科学以外では、はじまりは宇宙からではないから。

聖書やコーランなどのメジャーな聖典を含めて、宇宙は「人のことばや人の行動から作られた」というような感じの記述ばかり。

もし、これらの記述通り、仮に「最初の存在が人間」なら、逆にそこに化学の基本的理論である「質量保存の法則」を当てはめれば、人間がエネルギーとして姿を変えたものしかこの宇宙には存在しないことになってしまいます。しかし、実際には宇宙には人間からは生産されない物質や人間には含まれない物質がたくさんある。


「じゃあ、自分たちの周りに存在しているこれらの物質やら色や匂いや感覚や空気は何なんだ?」と、たまに気がおかしくなりそうになることもあります。


こう書いていても、何だかもう全然わからなくて、ほぼ「狂気の逸脱」を見せているわけですけれど、いずれにしても、絶対的な価値というものは、比較する対象がない場合にはじめて言えることです。

どうにも、現世にはその「価値」が存在していないようにしか見えない。


こんな訳の分からない余談はここまでにしておきましょう。



さて、この地球の歴史は「周期的に劇的な変化」を繰り返しています。その中のひとつには「天体の地球への干渉」があります。これは簡単にいうと、彗星などが地球に衝突して、地球の様相を一変させるという意味です。


聖書「ヨハネの黙示録」 21章5節に


「見よ、わたしはすべてのものを新たにする」


というくだりがあります。この「わたし」という主語が誰だかはわからないですが、彗星には地球を完全に新たにする力があります。

というわけで、今回の本題に入ります。






天体は地球を変えてくれるだろうか?


今回は、久しぶりにパンスペルミア説(地球の生命は宇宙に由来するという考え方)とも関係する話ですが、最近、「彗星が地球に生命をもたらした」という意見が科学界のメジャーフィールドでかなり大きな支持を集めはじめていて、そういう中の最近の報道のひとつをご紹介したいと思います。

今回の記事には米国のローレンス・リバモア国立研究所という名前が出てきますが、この名前は、ちょうど3年前の記事、


[彗星が地球に生命の素材を持ってきた]米国ローレンス・リバモア国立研究所でも地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表
 2010年09月16日


とというものにも出てきますが、その研究がさらに進んでいるようです。

上の記事にはフレッド・ホイル博士のよき共同研究者として、パンスペルミア説を補強する研究を続けた英国カーディフ大学のチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士の話も引用されています。



▲ チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士。記事「「私たちはひとりではない」と語り続けるチャンドラ博士が隕石から見つけたエイリアンの化石」より。


ウィクラマシンゲ博士の考え方は上の記事での彼の下の語りに凝縮されています。


「最近の驚くべき彗星の役割についての発見は、パンスペルミア説に対しての理論を補強している。我々は、次第に、それ(宇宙から生命が地球にやってくること)がどのようにして起きるのかというメカニズムも解明しつつある。土、有機分子、水、など生命に必要な要素がすべてそこにはある。長い時間と、膨大な量の彗星たちは確実に地球の生命に関与している」




また、今回の記事には「アラニン」というアミノ酸の名前が出てきますが、私がこのアラニンという言葉を知ったのは、国立天文台が「地球のアミノ酸が宇宙に由来している」という可能性が極めて高いことを発見した 2010年の報道の時でした。下のは、当時の読売新聞の記事の一部です。


生命の起源、宇宙から飛来か…国立天文台など
読売新聞 2010.04.06

国立天文台などの国際研究チームは、地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見したと発表した。

アミノ酸には「右型」と「左型」があるが、人類を含む地球の生物は左型のアミノ酸でできている。しかし、通常の化学反応では左右ほぼ等量ずつできるため、なぜ地球の生物にアミノ酸の偏りがあるのかは大きな謎となっていた。

研究チームは、南アフリカにある近赤外線望遠鏡を使って、地球から1500光年離れたオリオン大星雲の中心部を観測。アミノ酸をどちらか一方に偏らせてしまう「円偏光(えんへんこう)」という特殊な光が、太陽系の400倍という広大な範囲を照らしていることを初めて突き止めた。




上に出てくるアミノ酸の一種のアラニンというものの図が下のものです。


amino-alanin.png

▲ 国立天文台の生命をかたちづくるアミノ酸の謎より。


そして、この記事の中の記述である、


> 地球の生物は左型のアミノ酸でできている。


と、さりげなく書かれてある部分が「この地球上の生命の最大の謎のひとつ」だったのです。

これはあまりにも謎すぎるので「なかったこと」にして、科学の世界は進んできたらしいのですが、国立天文台が 2010年にこの謎に大きく迫ったという歴史的な出来事でした。

正直に書けば、この国立天文台の発見の時点で「地球の生命が地球で生まれた」という説の可能性がほぼゼロになったということも発表すべきだったと思います。

なぜなら、仮に地球の原始スープから生命が発生したのなら、その後の進化の中で、「左型のアミノ酸だけの生命で地球が満たされた」ということはありえないからです。


そして、現在の地球上の生命におけるアミノ酸も、ほぼすべて左型だという事実があります。


これは過去から現在に至るまで、すべての地球の生命の素材が宇宙から訪れ「続けて」いるという、かなり大きな証拠といえるのではないでしょうか。

国立天文台の当時のニュースリリースは、「宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見」というページに残っていますので、興味のある方はご覧いただければ幸いです。人類の価値観に大転換を与える可能性のある発見を日本の国立天文台が今から3年以上前になしえていたのです。


ということで、国立天文台の発見に続き、英国と米国の研究チームも、地球型アミノ酸(左型)の発生源を宇宙空間(彗星)に確認したというニュースです。






Cosmic Factory For Making Building Blocks Of Life Discovered
IIAI 2013.09.13

生命のブロックを形作る「宇宙の生命の工場」を発見


科学者たちは、生命のビルディングブロックともいえるアミノ酸を製造している「宇宙の工場」を発見したことを科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」において発表した。

英国インペリアル・カレッジ・ロンドンと、英国ケント大学、そして、米国のローレンス・リバモア国立研究所のチームは、氷の彗星が地球に衝突する際にアミノ酸が生成されることを発見した。

これは、隕石や彗星が地球上に衝突した場合、同時に、生命の本質的な要素であるビルディング・ブロックも生産されているということだ。

研究者たちは、このプロセスは、地球に彗星や隕石の衝突が相次いでいた「後期重爆撃時代」と呼ばれる 45億年前から 38億年の後に、地球上で生命が登場した謎に迫るものだと考えている。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者ジータ・マーティンス( Zita Martins, )博士は、

「今回の研究は、生命の基本的なビルディングブロックは、太陽系の中のどこでも組成されていたことを示す。あるいは、太陽系を越えた場所でもそうなのかもしれない。しかし、これらの生命の素材は適切な環境がなければ繁盛していくことはできない。これは、太陽系の中でどのように生命のルートが築かれたというパズルをとくひとつの鍵となる」

と語る。



jets_in_the_southern_hemisphere_of_Enceladus.jpg

▲ 土星の第2衛星エンケラドスから噴き出す氷の蒸気。


土星と木星をそれぞれ周回する衛星であるエンケラドスやエウロパの表面には氷が豊富であることがわかっているが、これらの氷の存在が隕石が衝突した際にアミノ酸の生産に最適な環境を提供することができると研究者たちは考えている。そのため、研究者たちは、エンケラドスやエウロパでの生命を探索するために、これらの衛星への将来の宇宙ミッションの重要性を強調している。

また、研究者たちは、地球上での彗星の衝突が衝撃波を作り出していたことを発見し、その衝撃波がアミノ酸を構成する分子を生成することをも発見した。

彗星と似た組成を有する氷の混合物のターゲットに毎秒 7.15キロの速度で発射する大型高速銃装置で得られた衝撃は、グリシン、D - アラニン、および L - アラニンなどのアミノ酸を作り出した。





(訳者注) 参考までに上に出てくる土星の衛星エンケラドスの他の写真を、過去記事の、

土星の衛星エンケラドスに降り続ける「微生物の雪」
 2012年03月29日

に載せたことがあります。



▲ 無人土星探査機カッシーニが 2009年11月21日に撮影した噴射する水。





▲ 2012年3月27日に、土星探査機カッシーニがエンケラドスの南極からわずか 73キロメートルの場所を通過した際の写真。エンケラドスの南極からは気流が噴出され続けています。



  

2013年09月15日



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ロシア極東の洪水は 40日目に近づき、ルーマニアでは6時間で2ヶ月分の豪雨で村が流され、アメリカのコロラドでは3日間で1年分の雨が降り落ちる「雨と洪水のカオス」。

bibical-rain-colorado.jpg

▲ 現在も続いている米国コロラド州の洪水のキッカケとなった豪雨で非常事態が宣言された日の「聖書のような」という表現の見出しの入った 9月 12日 のUSA トゥディの報道。日本時間 9月 15日現在、この日から続く洪水によって 200名を越える方々の安否がわかっていません。






 



旧約聖書の創世記のいわゆるノアの方舟について、その時の洪水の様子に下の記述があります。



洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかった。



「いくらなんでも、そんなに続く洪水などないだろう」と、私などは思っていたのですが、どうも最近はそうとも言えない出来事を目にします。

今回はふたたび洪水についての記事を書かせていただこうと思います。




拡大し続ける世界各地での洪水の規模と被害の範囲

夏になる前に、

世界中で止まらない「黙示録的な洪水」の連鎖
 2013年06月20日

という記事をはじめ、多くの洪水に関係する記事を書いたのですが、その後も洪水は世界中で止まることなく続いています。そして、この9月になって、その激しさというのか、「黙示録的な様相」が強くなってきているように見えます。

まあ、日本も・・・たとえば、今は 9月 15日の午後で、つまり、これから台風 18号の影響による大雨が今夜あたりから本格的にやってきそうで、人の国の洪水のことを書いていたら自分も洪水の渦中にいた、というような可能性もないわけではないのですが・・・。


今回は、いくつかの最近の印象的な洪水の報道などをご紹介しますが、何よりも「聖書的」だと感じるのが、ロシアの極東部のアムール川という川の増水で起きている洪水です。何しろ、洪水発生からそろそろ 40日目に近づこうとしているのです。





1ヶ月以上、川の水位を上げ続けているロシアのアムール川


ロシアのアムール川というのは、下の赤く囲んだ場所にある川です。

am-river.gif

日本の海、シベリアの森より。



下のニュースは今から約1ヶ月前の 8月 14日のロシアの声の記事です。

ru-fl-0814.jpg


今から1ヶ月前で、すでに洪水がある程度続いていたことがおわかりかと思います。

そのアムール川の水位についてふれている下の記事も抜粋します。


ロシア極東豪雨、アムール川に記録的水位
VOR 2013.08.20

ロシア極東アムール州の豪雨はピークを過ぎ、川の水位は下がりつつある。
しかしハバロフスク地方およびユダヤ自治区の状況は深刻の度を増している。

ハバロフスク地方では記録的な水位が観測され、なお高まっている。アムール川の水位は間もなく7m80cmに達する見込み。従来予測より1m高い。水はあふれて街区を浸している。堤防の積み増しが急がれている。



この記事では「アムール川の水位は間もなく7m80cmに達する見込み」とあり、このレベルでも危機的な水位だということが察せられます。

そして、それから1ヶ月たった現在はどうなっているのか。

下は 9月 13日のロシアの報道記事の概要です。コムソモリスク・ナ・アムーレというのは、ロシア・ハバロフスク地方のアムール川下流の左岸に位置する港湾都市だそうです。


ru-east-flood-2013.png
VOR 2013.08.20

コムソモリスク・ナ・アムーレにアムール川の氾濫した水が入ってくる

am2.jpg

コムソモリスク・ナ・アムーレ市内を流れるアムール川の水位はこの12時間のあいだにさらに 3センチ上昇し、現在の水位は 913センチメートルにまで上昇した。

ロシア非常事態省がイタルタス通信に語ったところによれば、今後数日間も同じペースで水位が上昇していくと予測されるという。 9月 15日には 920 〜 940 センチメートルにまで上昇する可能性がある。

これに先立って、緊急事態省はコムソモリスク・ナ・アムーレから約 3000人の住民を避難させ、宿泊施設に誘導した。



ということで、1ヶ月前に、7メートル台の水位で「従来予測より1メートル高い」として、非常事態が宣言されたアムール川の水位は、それから一貫して増え続け、現在は9メートルを越えています。

ロシアのメディアの報道では、アムール川に沿った地域で、浸水というより「水没」した家々の写真が毎日、掲載されています。

am1.jpg

HTB より。



am3.jpg

Gazeta.ru より。


このアムール川の増水による洪水が始まってからは 40日に近くになっているわけで、最初に引用した創世記の「洪水は 40日 40夜続き」という状態も、地域的な出来事では十分にあるものなのだと刮目した次第です。

今のところ、アムール川の水位が急激に下がるという予測もされていないようで、ロシア極東は、いつ終わるともわからない「世紀末的な洪水」の渦中にあります。





6時間で2ヶ月分の降水量を記録した異常豪雨

最近起きた洪水で印象的なものが、ルーマニアで起きた洪水でした。

ルーマニアで「6時間で2ヶ月分の雨量」を記録した猛烈な豪雨による洪水で壊滅的な被害
 2013年09月13日

という報道をご紹介したのですが、原因は短時間での壮絶な豪雨で、報道には、


雨は9月11日の夕方から降り始め、そして、たった6時間の間にこの地での2ヶ月分の降水量に匹敵する猛烈な豪雨に見舞われた。たちまちのうちに 700の家屋が浸水し、死者・行方不明者は8名に達した。



と記されていました。

具体的な雨量の数値はわからないですが、上の記事の後、さらに雨は続いているようで、昨日のルーマニアの報道では下のような記事が見受けられました。

galati-alert-second.jpg

Libertatea より。


ルーマニアといえば、1970年代に『世界宗教史』という著作に「洪水の意味」を記したミルチャ・エリアーデという宗教学者がいますが、その人はルーマニア人でした。

彼はこのように書いています。


「世界宗教史」(ちくま学芸文庫)より

洪水の原因は人間の罪であると同時に世界の老朽化であることが確認される。

宇宙は、生存し、生産するという単なる事実によって、しだいに退化し、ついに衰亡するのである。これゆえに、宇宙は再創造されなければならないのである。

言いかえれば、洪水は新しい創造を可能にするために「世界の終末」と罪に汚れた人間の終末を大宇宙の規模で実現するのである。



しかし、宇宙の再創造とか宗教的な意味とかはどうでもいいですが、ミルチャ・エリアーデが著作を記した 1970年代には、世界が今のような「現実の洪水」に見舞われることを予測してはいなかったはずで、何よりも自分の国ルーマニアが「聖書的な洪水」に見舞われるとは想像していなかったかもしれません。

しかし、21世紀の私たちは、もはやこれらが絵空事ではないことは理解していて、どうにも「現実の創世記」みたいな時代を生きているという気がします。





米国コロラド州では「3日間で年間の降雨量を上回る雨」が町を破壊


アメリカのコロラド州の洪水については、日本語の報道でも取り上げられていますので、そこからピックアップします。 9月 15日の産経ニュースのものです。


コロラド洪水、「安否不明」250人に 死者は4人
産経ニュース 2013.09.15

米西部コロラド州のボールダーやデンバーなど広い地域で発生した洪水による死者は、14日までに4人となった。ロイター通信によると、約250人が安否不明になっている。

ボールダーの政府当局者は「死者数はさらに増える可能性が高い」と述べた。ただ、安否不明の人の多くは通信インフラの損壊や停電で連絡がつかない状態とみられる。

14日までの3日間で年間降水量に相当する雨量に達した地域もあり、浸水した面積は約1万1千平方キロメートル以上に。隣接するニューメキシコ州の一部でも洪水が発生し、1人が死亡した。




これら、ロシア極東の洪水、ルーマニアの洪水、アメリカのコロラド州での洪水のどれにも通じているのが、「普通ではない量の雨が一気に降る」ということです。

あるいは、その状態が長く長く続く。

6時間で2ヶ月分の雨量とか、3日間で1年間の雨量と匹敵する雨量だとか、ちょっと普通だと考えられない量の雨が世界中で降っているわけなのですが、今年書いてきました洪水のニュースはどれも同じような状態での洪水でした。




洪水がもたらす食糧供給への影響への脅威


巨大な洪水は、人的被害を含めて様々なものを破壊しますが、実は、その時の被害としてあまり大きくピックアップされないものとして、「農地の壊滅」ということがあります。

最近、アフリカのニジェールという国が大きな洪水被害に見舞われています。

ニジェールというのは、下の位置にある国で、ここはサハラ砂漠に位置する国です。

nigel-map-01.png


アフリカ大陸基本情報 / ニジェール共和国によりますと、


西アフリカの内陸国。北部にあるサハラ砂漠が国土の 65%を占めている。世界で最も暑い地域の一つ。干ばつの起こりやすい同国は、たびたび食糧危機に陥る。また、同国の農業はサハラ砂漠の拡大に脅かされている。



というような場所らしく、干ばつ被害は多くても、洪水による被害が多い場所ではないはずです。そこに「降りやむことのない豪雨が降り続けている」という現実。


洪水にはいろいろな意味があり、聖書的な世界では、上に書きましたルーマニアの宗教学者ミルチャ・エリアーデのように「再創造」というような言葉を使う向きもありますが、しかし、現実問題として、そこには「苦痛」が存在します。


最近はつくづく、本当にそんな苦痛と代替えできるほどの「新しい世界」なんてあるのか? とよく思います。


では、ここから AFP の記事です。





Niger asks for foreign help for flood victims
AFP 2013.09.06

ニジェールは、洪水被災者のために海外からの援助を求めている

niger_flood_2013.jpg

▲ ニジェール西部の洪水で、26名の人命が奪われ、多くの農地が壊滅的な被害を受れた。


「洪水はこれまで 26人の命を奪い、75,347人が被災した。13,000ヘクタールにわたる農地の作物が破壊され、被害額は 6400万ドル(約 64億円)に上る」。

ニジェールのブリジ・ラフィニ首相は以上の声明を出した。

そして、「しかし、私たち政府は、被災者たちの要求に応えるための、あるいは、この世紀の大惨事の影響を軽減するための手段を欠いている。したがって、私たちは国際的な援助のためにアピールしたい」と述べた。

8月以来、ニジェール西部の8つの地域が激しい雨に見舞われ続けており、それによりニジェール川が氾濫し、首都ニアメでも洪水被害が拡大した。

今週さらなる豪雨が同地域を襲うことが予測されており、このままの状態では、降雨が本格化する 11月から 12月には洪水の被害がさらにひどくなることを政府は懸念している。

そして、農作物へのダメージが食糧危機への懸念を呼んでいる。

また、洪水で浸水した土地はイナゴの幼虫の孵化に適した条件をつくりだす可能性があり、ニジェールが今後、「イナゴによる大規模な侵略」に直面し、さらなる農作物被害が出る可能性があることを国連は警告している。

ニジェールは国土の多くが砂漠で、非常に乾燥した気候を持つため、長い間、干ばつと、そしてイナゴの来襲による食糧危機の被害に直面してきた。




  

2013年09月13日



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先日、地球の記録に、

米国ニューメキシコ州の牧草地で 100頭以上のエルク(ヘラジカ)が謎の大量死
 地球の記録 2013.09.06

という記事を書きました。

elk-dead-01.jpg

▲ 上の記事より、ニューメキシコ州の牧草地に点々と転がるエルクの死体。






 


記事ではわかりやすくヘラジカとしたのですが、アメリカなどで「エルク( ELK ) 」という名称で親しまれている角のある動物は、日本でいうヘラジカとは違うもので、日本名では、アメリカアカシカという動物だそうで、下のように角も細くて、どちらかというと大型動物なのに可憐な感じのする動物です。東北アジアと北アメリカに住む動物とのこと。

elk-usa.jpg


現地の記事では、原因に関して EHD と呼ばれる伝染性の出血性疾患の可能性があると書かれていますが、確定しているわけではないようです。

いずれにしても、上の出来事が9月の始めでした。

その後の1週間ほどで、動物に関しての「大量死」などの報道が多いこと。




海でも川でも陸地でも「何かが進行している」雰囲気


今回は、報道の内容をそれぞれ短くご紹介するだけで終わってしまうと思いますが、最近、私は、動物とは違う話ではありますけれど、

・世界中で大発生する「虫」がいる

・その一方で(ミツバチのように)激しく現象している「虫」がいる


ということが気になっていました。

虫の大量発生に関しては過去記事で何度か取り上げましたが、減っているものもたくさんいる。

そういえば、日本では今年、スズメバチによる被害が非常に多いのですが、特徴として、スズメバチの数が多いと共に、「いつもより攻撃的である」ということがあるようです。スズメバチは確かに攻撃的ですが、何もしない人を意味なく襲うほど無分別な昆虫でもないはずです。

実は私も今年の夏、関東ではないある場所で、スズメバチに追いかけられた経験をしました。そこは家族連れの多い自然の中の公園なのですけれど、スズメバチの多いこと多いこと。そんなこととは知らずに、いつものように黒いシャツなど着ていきましたら大変なことに。ジッとしていても襲ってくる態勢をとっている。

まあしかし、個人的なことはともかく、今年はそういう事例が数多く起きています。

下のグラフは、熊本日日新聞の 8月 14日の記事に出ていた「ハチに刺されて来院した患者数」の昨年との比較グラフです。7月は昨年の5倍ほどになっています。「ハチ」とありますが、病院にまで行くというのは、多くがスズメバチによるものだと思われます。

wasp-kyushu.jpg

▲熊本日日新聞「 猛暑で興奮? ハチに刺される被害、阿蘇で急増」より。


この現象は他の国でもあって、たとえば、イギリスでも今年は同じようにスズメバチによる「無分別な襲撃」が数多く発生していたようで、イギリス中の新聞やメディアで理由について論争さえ起きていました。

下の記事は、英国のインディペンデント紙のサイトの記事ですが、この「酔っ払ったスズメバチに襲撃されるかもしれないと赤十字が警告」というタイトルのように、イギリスにおいても無分別に人を襲っているようなのです。

independent-001.jpg

英国インディペンデントより。





今年の夏の魚の大量死も奇妙に思える点もあり

さらに、そして、8月に書きました記事の、

異常事態 : 2013年 7月 18日から全世界で突如はじまった、かつてない広範囲での魚の大量死
 2013年08月13日

で取り上げました「この夏の異常なほどの海洋生物の大量死」も、むしろその後になってから気になっているということがあるのです。

というのも、最近ご紹介していました世界のこの夏の気温のことなども関係しますが、私は、「この夏の北半球はどこも海域を含めて暑かった」と思いこんでいたのですが、それは違ったようです。

アメリカをはじめとして、多くの地域で、むしろ通常より寒い夏だった場所も多く、そうなると、魚の大量死の原因も不思議に思えてきます。

あくまで一般論ですが、海や池や湖などでは水温が上昇すると藻類、あるいはプランクトン類などの異常発生がおこりやすくなり、それにより水中の酸素が減ったり、水質が悪化することにより魚の大量死が起きやすくなるというのが夏の魚の大量死の原因としては最も多いのではないでしょうか。

なので、「これだけ暑い夏なら大量死も増えるだろうな」と考えていたんですけれど、平年より寒い夏の場所だった地域も多く、その理屈だけでは合わない魚の大量死が上の過去記事の中に含まれていることがわかります。





アメリカのイルカの大量死の数はさらに上昇

海洋生物といえば、アメリカの東海岸で「異常な大量死の状態」と政府が認めたイルカの膨大な大量死のことを取り上げた記事がありました。

心地よい死の園からの帰還後に気付いたイルカの大量死と人間の大量死をつなぐ曖昧なライン
 2013年08月10日

そこでご紹介したロイターの記事では、


東海岸のニュージャージー州からバージニア州では、6月からだけでも 120頭以上の死んだ動物が打ち上げられているのが見つかっている。



とありましたが、その後どうなったかということをこちらの記事で取り上げました。下のグラフはそこからのものです。


dol-2013-09-1.png


aug_stranding_graph.jpg

▲ 地球の記録「米国東海岸のイルカの大量死はさらに厳しい状況に」より。


7月1日からの2ヶ月だけで、 430頭のイルカが死亡して打ち上げられていて、中でも、ニューヨーク州の8月のイルカの座礁(死亡して打ち上げられる)数は、これは確かに「異常」といえるレベルになっていると言えるものではないでしょうか。


しかし、何が起きているのかわからない。
原因もわからない。


アメリカ連邦政府の科学者たちは、基本的にはイルカの大量死を「病気」の線で調査を進めていますが、大量死が始まって数ヶ月が経っても、いまだにその「病気」は確定されない。

なので、イルカたちへの対処もわからない。
その中で、イルカたちはさらにどんどん死んでいく。

そういうような循環となっています。


ここからごく最近の「動物や海洋生物の大量死」の出来事をいくつかご紹介したいと思います。

楽しいものではないでしょうが、世界中で「一気に」大型動物から小型の動物たちまでもが死んでいるという現実が確かにあります。






最近の動物の大量死に関しての報道


カザフスタンのアンテロープの大量死

最初は、アメリカの「エルクの大量死」と似た系統の動物に関しての記事で、サイガアンテロープという動物がカザフスタンで大量死を起こしているという報道です。

サイガアンテロープは、モンゴルやカザフスタンなどに住むカモシカの仲間で、下の写真のような動物です。

saiga-anterope.jpg

Japon Times より。


ここから報道です。

3,000 saiga antelopes die in Akmola and Karaganda oblasts
Tengri News 2013.09.11

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カザフスタンのアクモラ州とカラガンダ州で 3000 頭のサイガアンテロープが死亡していることがカザフスタン環境保護省により発表された。

その中の約 1500頭のサイガアンテロープの死体はテンギズ湖の南部と西部、そして北部の湖畔で発見された。

国家の担当機関と、関係するすべての地方自治体にこの大量死について知らせ、林業狩猟省はカラガンダ州にある獣医局の研究所と協力して原因の究明にあたっている。

関係する省庁は緊急のブリーフィングを開催し、調査チームを派遣した。このチームには、獣医局、緊急事態局、総務部門と疫学コントロール局の代表者が含まれる。

サイガアンテロープの大量死は 2012年 5月にコスタナイ州でも報告されたことがある。この時には 600頭以上のアンテロープが死亡した。





米国オハイオでの謎の犬の病気による死亡

Mystery Disease Killing Ohio Dogs
Live Science 2013.09.10

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獣医師、保健関係者、そして犬の所有者たちは、オハイオ州で謎の病気によって死亡した4頭の犬の死亡原因について警戒している。一部の専門家たちは、犬たちが通常は豚で見つかるウイルスへ感染して死亡した可能性があると考えている。シンシナティとアクロンの近郊で、4頭の犬が、嘔吐、下痢、体重減少や倦怠感などの症状を示した後、死亡した。

保険局は、今起きていることをペットの所有者たち、そして、畜産農家の人たちは広く認識するべきだと述べている。






米国ニュージャージーで異常な「狂犬病」の感染率に陥っているキツネたち

'Unusual' outbreak hits Stanhope: Four foxes test positive for rabies
nj.com 2013.09.12

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ニュージャージー州スタンホープの保健当局が、地元のキツネに狂犬病のテストをおこなったところ、5頭のうち4頭のキツネが陽性を示し、「考えられない感染率」だということがわかり、スタンホープでペットを飼っている人々に、今すぐ自分のペットに狂犬病の予防注射をすることを強く勧告した。

狂犬病に感染した4頭のキツネは、警察によって殺された5頭のキツネの中のものだった。これらのキツネたちは、マスコネットコング湖で近くで住人たちを襲ったのだ。

そのために、捕獲後、狂犬病のテストがおこなわれた。

そのうちの一人の女性は、散歩中に足首をキツネに噛まれた。連れていた犬も狐に噛まれた。噛まれた女性は予防措置として 45日間隔離されている。

現地の保健衛生担当員のハーブ・ヤードリー氏は「5頭のうち4頭のキツネが狂犬病だなんて異常な率です」と語った。そして、「住民の方々も、そして、ペットを飼ってる方はそのペットも、みな狂犬病の予防接種を受ける必要があります」と述べた。

スタンホープの動物制御官たちは、動物たちが以下の行動を示した場合、警察に知らせてほしいと訴えた。

・過度に攻撃的
・人間をまったく恐れない
・奇妙な行動
・立つ時や歩くと時に転倒する
・円を描くように歩く

狂犬病は発症すると、人間ではほぼ 100パーセントの致死率となる重大な病気だ。





原因不明のヒトデの大量死

Massive Starfish Die-Off Baffles Scientists
National Geographic 2013.09.09

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カナダのブリティッシュコロンビア州の沖に死んだヒトデが散らばっている。研究者たちはこの大量死を引き起こしている原因の見当がつかないという。

海洋生物学者たちが異常に気付いたのは8月の終わりだ。スキューバをしていて、大量のヒトデが死んでいることに気付いたのだ。

それはヒマワリヒトデ( Pycnopodia helianthoides ) と呼ばれるもので、この海域のウニと巻貝類の主要な捕食者だった。ヒマワリヒトデは、ほとんどのヒトデのように、失った手足を再生成することができ、最大1メートルにまで成長するヒトデだ。

スミソニアン研究所の無脊椎動物の専門家にも原因の調査を依頼したが、その死に方は収縮して、崩壊してしまうように見えるという。そしても腕だけ切りなされ、中央の円形の胴体部分が落ち、最終的に腕、胴体、生殖腺体などがバラバラになるという。これは急激に起きるようだ。

原因はまったくわからないという。寄生虫が原因である可能性を指摘する科学者もいるが、この大量死の原因は謎のままだ。





(訳者注) 報道を羅列しただけで、どうにも力尽きましたが、どれも不思議というのか何というのか、異常という言葉を使えるようなものも含まれていると思います。

特にアメリカのニュージャージー州でのキツネの間での「狂犬病の異常な感染率」というのは、何となく将来的な脅威を感じさせる報道でした。