▲ 9月9月に観測された「9月ペルセウス座イプシロン流星群」。ヨーロッパ上空では爆発の様子が見えたらしいです。 NASA 全天カメラより。
タイトルの「ふたたび」というのは、何だか唐突な感じかもしれないですが、過去記事で同じようなことを取り上げたことがありました。
見てみますと、2年前の 2011年の記事でした。
・地球上空は狂乱状態: 7つの流星体が上空で衝突
2011年12月10日
この頃、複数の隕石が「地球の上空でピッタリと衝突して爆発する」という現象が連日、 NASA の 全天火球ネットワークなどで観測されていました。
これは、流星群ではなく、「それぞれの隕石や流星がまったく違う方向から飛んできて、ピッタリ地球上空で同時に衝突して爆発した」という(多分珍しい)出来事といえるものでした。
下の軌道がその時のものです。
線の色は、その天体の飛行速度を示します。
青いほど高速です。
2011年 12月 9日の地球上空
そして、またこの 2011年 12月と同じように「連日、地球上空で複数の天体が衝突するという出来事」が起きています。
2013年にも地球上空での天体の衝突がさらに派手になって登場
9月 10日と 9月 11日の連日のスペースウェザーの記事を続けてご紹介します。
なお、記事での「9月ペルセウス座イプシロン流星群」というのは直訳で、調べてみますと、日本では「9月ペルセウス座ε流星群」というように記すものがこれに該当するようです。
BUSY INTERSECTION
Spaceweather 2013.09.10
忙しい交差点
9月9日、 NASA 全天火球ネットワークは米国南部全域の空で 20以上の火球を記録した。
それらの軌道はすべて一点で交差した。
下の青い点で示される地球の上空だ。
図では、軌道は速度によって色分けされている。
速度は秒速 16キロ〜71キロの範囲だった。
これらの動きの速い流星のほとんどは、「散発的なもの」であり、群として動く流星ではなく、ランダムな宇宙塵の小さな点といっていい。
太陽系の内側にはこのような隕石が数多くあり、それらは毎日のように地球に衝突している。
しかし、今回の流星の中のいくつかはランダムなものではなかった。 NASA のカメラは5つの 「9月ペルセウス座イプシロン流星群」( the September epsilon Perseid meteor shower )を捕らえた。
この流星群は、その母体となる星を含めて、あまり詳しく知られていない流星群で、毎年9月中旬に観測することができる。しかし、この9月ペルセウス座イプシロン流星群に関しては群としての流星の流れが存在するのかどうかということについて、やや疑問がある。
いずれにしても、 2013年は 2008年に続き、この流星群を観測するにはいい年とであると思われる。
続けまして、その翌日の9月10日のスペースウェザーの記事。
METEOR OUTBURST?
Spaceweather 2013.09.11
隕石の大爆発?
ヨーロッパの観測者たちが、「9月ペルセウス座イプシロン流星群」の爆発を報告している。
「爆発は 9月 9日から10日( 世界時間 )の真夜中を中心に発生した」と、NASAの流星環境事務所( Meteoroid Environment Office )のビル・クック所長は語った。「約2時間のあいだに、流星が時速 50キロと同等の速度で現れた。ただし、北米はその時間は昼だったので、私たちはその爆発の様子を見ていない」。
NASAの全天監視カメラは、ヨーロッパの観測者たちが見たものよりも低い割合でだが、イプシロン・ペルセウスの火球を記録した。流星環境事務所のチームは、イプシロン・ペルセウス座の流星の軌道を十数個計算することができた。
9月ペルセウス座イプシロン流星群はあまり知られていない流星群で、毎年9月前半から中旬にかけ観測されるが、通常、観測される流星の数は多くても1時間に5個を越えることはない。
しかし、 2008年には平年の5倍の数の流星群が観測され、観測者たちを驚かせせた。今年も、平年の倍の数が観測されるかもしれない。
というわけで、スペースウェザーの説明によりますと、 9月 9日には、ランダムな隕石や流星と「9月ペルセウス座イプシロン流星群」という流星群の一部が、すべて地球上空で交差したということのようです。
そして、 9月 10日には、その「9月ペルセウス座イプシロン流星群」が、地球上空で大爆発を起こした模様。
それと関係あるのかどうかわからないですが、その 9月 10日、アメリカのアラバマ州で、「野球ボールサイズの隕石が上空で爆発した」というニュースが、米国で報じられていました。
▲ ニューヨーク・デイリー・ニュースより。
上の写真は米国 NBC テレビに目撃者から寄せられたその様子です。多くの目撃者がいて、また、様々なイベントがおこなわれていたので、カメラなどで多く撮影されたようです。
まあ、そんなわけで、空のほうもまたざわついてきたのかもしれないですし、一時的なものなのかもしれないですが、実は、9月に入った途端、奇妙だったということもあるのです。
9月に入ってから毎日発見されていた地球近くを通る小惑星
NASA では、地球の近くを通る天体で軌道がわかっている分についてはその都度、公表しています。
これを「潜在的に危険な小惑星」( Potentially Hazardous Asteroid )と呼んでいますが、上記の Wikipedia によりますと、
2012年9月20日現在、地球近傍天体(地球に接近する軌道を持つ天体) 9192個のうち、潜在的に危険な小惑星は 1331個登録されている。
ということで、 1000以上わかっています。
ところで、上では、 2012年 9月 20日時点で「 1331個」となっていますが、現在の 2013年 9月 12日の時点では、これは 1423となっています。
つまり、1年で 90個ほど増えていることになります。
このように結構なペースで発見され続けているものなのですけれど、それにしても、この9月に入ってからはスゴかったのです。
下のは、 9月 5日時点のものですが、このうち、赤で囲んだものは、すべて「直前」かあ、あるいは「通過後」に記載されたものです。
▲ Spaceweather より。
しかも、日に日に増えていく。
私は毎日この「潜在的に危険な小惑星」を見ているんですが、下のは 9月 9日のもので、よく見ると、赤で囲んだ小惑星が「追加」されていたりしていました。
どれも小さな小惑星ですが、通っていく距離は比較的近くて、この頃の状況を見ていると、「いろいろと地球に近づいていそうな感じはする」というような思いもあったのですが、上記に上げた狂乱状態を見ていますと、しばらく、地球上空は騒がしいことになるのかもしれないです。
もっとも、この程度の「空の狂乱」は、地上に被害を与えるようなものではないですので、気にするようなことでもないかもしれません。いわゆる「地球への天体衝突の本番」は多分、何の予兆もなく、まったく予測されることなく発生すると私は思っています。