アメリカのカリフォルニア州で8月の中旬に発生した火災は、現在も消火されてはいないようで、 CNN によれば、アメリカ森林局の局長の言葉として、「あと数週間は続くだろう」ということが述べられていて、大変な大災害となっているようです。
この火事の報道で「黙示録的 ( apocalyptic )」という単語が使われている記事を見ました。
▲ HP より。
最近、この「黙示録的」という言葉はメディアでも多様されている感じはありますけれど、まあしかし、確かに上の写真の煙が火災によるものだと考えると、それを間近にした人々がそのような言葉を使いたくなる気持ちもわからないではないです。
今回ご紹介したいと思いますのは、最近の記事ではないのですが、英国 BBC で興味深い記事を見かけまして、それをご紹介したいと思います。
その記事は「1780年にアメリカの暗黒の日の原因は何だったのか」というタイトルの記事で、この「暗黒の日」というのは、比喩ではなく「1780年 5月 19日の朝から昼にかけて、アメリカの北東部が夜のような暗さに包まれた」という出来事について記されたものです。
過去の「暗黒の日」と、そして未来の暗黒の日
▲ こちらはオーストラリアで 2009年 9月に起きた「赤い朝」。オーストラリアに出現した「地球最期の日」より。
少し前に、
・21世紀も「太陽が暗くなる時」を経験するのか? : 全世界が地獄の様相を呈した6世紀と酷似してきている現在に思う
2013年07月15日
という記事を書いたことがありますが、その記事に、過去何度かふれている英国人ジャーナリストのディヴィッド・キースという人の書いた『西暦 535年の大噴火』で描かれている「西暦535年から536年の地球の様子」について書きました。
基本的には6世紀というのはその中期の全体を通して、また世界全体を通して、著作から抜粋すれば、
「資料、年輪、考古学資料のすべてが6世紀中期は、異常な悪天候に見舞われた時期だったことを指し示している。日光は薄暗くなり、地球に届く太陽熱は減少し、干ばつ、洪水、砂嵐が起こり、季節外れの雪と特大のひょうが降った」
というような時代だったわけですけれど、当時の個人の記録には、その頃の状況がリアルタイムで生々しく描写されています。過去に何度かご紹介した記述が多いですが、再度掲載します。
東ローマ帝国の歴史家プロコピオスの西暦 536年の記述
昼の太陽は暗くなり、そして夜の月も暗くなった。太陽はいつもの光を失い、青っぽくなっている。われわれは、正午になっても自分の影ができないので驚愕している。太陽の熱は次第に弱まり、ふだんなら一時的な日食の時にしか起こらないような現象が、ほぼ丸一年続いてしまった。
月も同様で、たとえ満月でもいつもの輝きはない。
歴史家・教会指導者エフェソスのヨーアンネースの536年の記述
太陽から合図があったが、あのような合図は、いままでに見たこともないし、報告されたこともない。太陽が暗くなり、その暗さが1年半も続いたのだ。
太陽は毎日4時間くらいし照らなかった。照ったといっても、実にかすかだった。人々は太陽が以前のように輝くことは2度とないのではと恐れた。
6世紀の中盤に、長い期間にわたってこのような「暗黒の時代」となってしまった理由については、その原因の実際のところは今でも正確にはわからないのですけれど、可能性としては、巨大な火山噴火、小惑星、あるいは彗星の地球への衝突というものが考えられています。
今回ご紹介するアメリカの 1780年の「暗黒の日」は1日だけの現象で、6世紀の「暗黒の時代」とは比較できないですけれど、「暗い日中の世界になる」という現象については、ずっと興味があるというのか、気になり続けていることですので、そういう流れのひとつとしてご紹介したいと思います。
この BBC の記事では山林火災のだった可能性が高いという流れですが、しかし、最初に現在のカリフォルニア州の火災のことについてふれていますが、大規模な山林火災というのは「何週間も続く」というようなことを考えてみても、どうも何か違うような気がしますけれども、ともかくここから記事をご紹介いたします。
What caused the mystery of the Dark Day?
BBC (英国) 2012.05.18
謎の「暗黒の日」の原因は何だったのか
今から3世紀前、北米の一部地域で奇妙な出来事が起きた。それは「朝に暗くなった」という出来事だった。その暗黒の日の原因は一体何だったのだろうか。今でも謎は残ったままだ。
西暦 1780年 5月 19日。その日の朝、空は黄色に変わり、そして周囲は夜のような闇に包まれた。そのため、人々はロウソクに火を灯し、一部の人々はこれがこの世の終わりかと考え、一心に祈り始めた。
昼の時間になっても夜のような暗さは同じままだった。
この日がニューイングランドとカナダ東部の一部で起きた「暗黒の日( The Dark Day )」として知られている日だ。過去 232年の間、歴史家や科学者たちは、この奇妙な出来事の原因についてさまざまに主張し続けてきた。
現在ではこの現象に対して多くの説がある。
火山の噴火、山林火災、あるいは、隕石や小惑星の衝突。
原因はこれらのどれかだったのだろうか?
1780年には、少なくとも民衆の人たちの科学的な知識は少ないものであったかもしれない。そのため、人々はこの現象を大変に恐れただろうと思われる。当時のコネチカット州の一部の議員は、それは「審判の日」だと信じた。
彼らがそう思った決定的な理由は、このことが起きる前の何日かの間、太陽と月が赤く輝いていたという事実によって強化されたと思われる。
歴史家のマイク・ダッシュ氏によれば、当時のアメリカの北東部の辺境は、「罪悪感と罪への贖罪」に深く関心を持つ人たちによるプロテスタント社会だったいう。この時の突然の超常的な現象である「真昼の暗闇」に直面した人々は真っ先に聖書の先例を探しただろうとダッシュ氏は述べる。
「その際に、この現象がキリストの再臨の前触れであることを人々が確信したことを示す詩が残っています。自然で起きるすべてのできごとが " 神の意志の現れ"であり、"人間社会への警告"だと人々は考えたのです」。
それにしても、実際には一体何が起きたのだろうか。
結局、1780年の暗黒の日を説明できる原因は何なのか
気象局は、非常に厚い雲が空全体を覆う際には、今でも昼間でも車はライトをつけなければならないほど暗くなることがあると指摘する。しかし、これだけで 1780年の暗黒の日を説明するにはやや無理がある。
日食が起きたという可能性に関しては、記録から完全に除外できる。しかも、日食で「完全に真っ暗」になるのはほんの数分の間であり、 1780年のように昼間中その状態が続くということはない。
火山の噴火はどうだろう。たとえぱ、2010年にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火した時にはヨーロッパ全域で航空便に影響が出るほどの火山灰が空を覆った。専門家によると、火山灰は「黄色い太陽」となる原因となる。
たとえば、米国ワシントン州のセントヘレンズ火山での噴火は、この数十年間の日光のレベルを下げていると、マンチェスター大学の大気科学の専門家トーマス・チョウラートン教授は述べる。
しかし、 1780年にはそのような巨大な噴煙を上げたような火山活動の記録は存在しない。
そして、隕石、小惑星についてもその可能性を完全に除外できるという。
現在、多くの科学者たちはこのミステリーの答えは「木」の中に見いだせると確信している。ミズーリ大学森林学科は、ニューイングランドの内陸にある木の幹から焼けた痕跡が残っている特徴を持つ年輪を発見した。
また、1780年に干ばつが起きていたことが知られており、山林火災が発生した可能性は非常に高いと考えられている。
森林火災だけで、そのような「暗黒の日」ほどの光の変化を引き起こす可能性があるのだろうか。
プリマス大学のウィル・ブレイク博士は、「大規模火災は、暗くなりやすいのです。米国の東海岸は日常的に霧が発生します。火災の煙とそのの霧が複合的に組み合わさることで、夜のような暗闇を作り出した可能性があるかもしれません」と語った。
物理学者であり、原因不明の現象を調査し続けるウィリアム・コーリス氏は、西暦 1091年から 1971年までに、全世界で 46回の暗黒の日に関しての記述を発見した。
今日では、人々は自らの科学的知識や、あるいは衛星写真などのメディアによって現象の正体を知ることもできるが、暗黒の日は、近年まで驚くほど人々を不安し続けていた。
1780年の北米の暗黒の日とよく似た現象が 1950年に発生している。これは、アルバータの森林火災によって引き起こされたと、カナダ環境省の気候学者は言う。1950年の時、人々は「目覚めた朝に周囲が真っ暗だった」ことに気付いて、日食が起きたか、そうでなければ、人々は核攻撃が起きたのだと考えたという。
1780年の「暗黒の日」の原因が何であれ、当時のヨーロッパからの入植者たちが暮らしていた地理的な条件が人々に必要以上の恐怖心を与えたということはあるだろうという見解もある。
ヨーロッパからアメリカに入植した人々は海岸から 300キロも離れた内陸に住んでおり、そして、彼らにとって当時のアメリカは、まさに「未知の大陸」だったのだ。
ここまでです。
上の記事にある当時の真摯なプロテスタントの人々の存在を知り、ふと、旧約聖書で予言的な正確が強い書として知られているという「ヨエル書」の第3章を思い出しました。
・聖書に記載されているユダヤ教の祭の直前にイスラエルへ向かった3000万のイナゴの大群
2013年03月05日
という記事を書いている時に初めて知ったものです。
掲載しておきます。
ヨエル書 3章 1-5節
その後
わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。
あなたたちの息子や娘は預言し
老人は夢を見、若者は幻を見る。
その日、わたしは
奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ。
天と地に、しるしを示す。それは、血と火と煙の柱である。
主の日、大いなる恐るべき日が来る前に
太陽は闇に、月は血に変わる。
このヨエル書を思い出して書いたのには実は個人的な理由もああるのでした。一昨日でしたか、この詩(詩でいいのか?)を彷彿とさせる「夢」を見たのです。
なんだか描写が具体的ですごい内容の夢でしたが、とりあえず私の場合は予言的な意味ではなく、現在の自分の精神状態や健康状態に起因していると考えるようにしております。
なので、きっと世の中は・・・今後も安泰ですよ(やや棒読み)。