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2014年02月28日



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イギリス政府の機密作戦の結果が教えてくれる「私たちのいる現実の世界」



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▲ 2014年2月27日の英国 Guardian Yahoo webcam images from millions of users intercepted by GCHQ より。







公開されたイギリス政府通信本部の極秘書類の表紙
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▲ これについての日本語報道は、米国 NBCニュースの内容を伝えた CNET Japan の記事にあります。また、公開されたオリジナル書類は、全 50ページで、The Art of Deception: Training for a New Generation of Online Covert Operations(欺瞞の芸術:オンライン秘密工作の新世代のためのトレーニング)にあります。





英国政府の180万人に対する盗撮の発覚が教えてくれる「いろいろとやっておきたいこと」

冒頭に貼りました英国のガーディアンで見たニュースを見て、いろいろと考えましたので、今回はそのことを書かせていただこうと思っています。また、「それ」を行っていたのは、ガーディアンによりますと、やはり冒頭に貼りました書類を作成した英国の機関です。

その内容は、その後、日本の AFP でも報じられました。
冒頭部分を抜粋させていただきます。


英米、ヤフー利用者のウェブカメラ映像を傍受 英紙報道
AFP 2014.02.28

英紙ガーディアンは27日、英政府通信本部(GCHQ)と米国家安全保障局(NSA)が、米IT大手ヤフーの180万人以上のユーザーが利用したウェブカメラの映像を傍受し保存していたと報じた。

この情報は、NSAの情報収集活動を暴露して米当局に訴追された中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン容疑者から提供されたもの。「オプティック・ナーブ(Optic Nerve、視神経の意)」という暗号名の活動により、ウェブカメラを使ったチャットの静止画がどのように収集されていたかが明らかにされていた。その対象者は、犯罪の容疑者だけに限定されていなかったという。




というニュースで、このガーディアンの報道に対しての読者たちの反応の激しさは、コメント数でわかります。出来事が英国、つまり自分の国でのことであるということもあるのでしょうが、掲載後、すぐにコメントは数千に達しました。

上の報道にあります「オプティック・ナーブ」作戦の極秘書類も掲載されていて、下のようなものです。

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▲ ガーディアンより。


しかし、これは、多分かなり多くの人々が「予測していた出来事」なのではないかとも思います。予測というのはイギリス政府というほうではなく、「パソコンの内蔵カメラが本格的に何かに利用される」ということについてです。





どんなものにでも「カメラと通信機能」がついている時代に

今の時代は、Windows マシンだとか Mac だとかは関係なく、家庭用のノートパソコンの多くに Web カメラが搭載されていて( Mac はノートタイプは全部)、タブレット、スマートフォンには、むしろ搭載されていないものを探すほうが難しいほど普及しています。

大抵は、ノートパソコンの場合は、モニターの上あたりについています。

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この内蔵カメラの厄介な点は、「カメラの機能そのものを止めることは OS、機種を問わず、とても難しい」のです。

そして、最近では下みたいなニュースもありました。

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▲ 2013年12月21日の日本経済新聞より。


これは Mac だとか Windows だとか、あるいは Android だとか、そういう問題ではなく、すべてのパソコン、そして、すべてのタブレットに言える問題であると思われます。

何しろ、すでに、実際にガーディアンの報道のように、「 180万人の人々の Webカメラに写った人たちの映像を第三者が入手する」ということに成功している事実があり、そして、それが始まったのが今から6年前の 2008年です。

技術の進歩が飛躍的なこの世界。
今はどこまで「その技術」が進んでいるのか想像もできません。


さて、技術的なことはともかく、この「内蔵カメラの機能を停止する」には、簡単な方法があるのです。特に、ふだんまったく内蔵カメラをお使いになっていないのでしたら、その機能を止めることで特に不便が出るわけでもないと思います。

その方法とは・・・これも昨年の日経 BP からの記事をご紹介します。
記事というより、ほんの一言です。

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▲ 2013年6月21日の日経パソコンより。


そうなんですよ(笑)。

カメラのレンズを塞いでしまうのです。

上にはテープと書いてありますが、あまりにも見た目が悪くなりますので、パソコンと同じ系統の色の小さな丸いシールとか、デザイン的に気に入ったシールなどで貼れば、そんなに気になるものではないです。

私自身は、Webカメラ自体ほとんど使いませんが、使う時には外部に接続するタイプのものを使っていて、内蔵のものは機能を止めています。

上の日経パソコンの記事に、「セキュリティ企業がソフトウエアの脆弱性を悪用されると警告」とありますが、悪用の方法も進んでいて、今ではウイルスソフトなどではどうにもならない手段もあります。

昨年の記事、

アメリカ国土安全保障省と日本のセキュリティ機関が同時に出した深刻な PC のセキュリティ警告
 2013年01月13日

などに記したことがありますが、通常のパソコンの使用状況では防ぐことが難しい攻撃というものがどんどん増えているのが現状で、さらにタブレットやスマートフォンに関しては、もしかすると、野放し的な雰囲気もありそうな感じがあります。

また、今年 4月 9日に Windows XP のマイクロソフト社からの正式なサポートが終わります。

現在でも Windows XP ユーザーは多く、この 4月 9日以降、特に企業などで使われている場合、何が起きるのかということは「 XP マゲドン」というような言葉で表現したいような部分もあります。

Windows XP のサポート終了に関しては、マイクロソフトの「 Windows XP と Office 2003 のサポート終了の大事なお知らせ」というページをご覧下さい。



今回のガーディアンの報道は、そのような「悪用とも言える方法」を、国家機関が正々堂々とおこなっていたということで、やはりショックを受けた人が多かったようです。


ちなみに、トップに貼りましたイギリス政府のGCHQ (政府通信本部)の書類には、下のような「インターネットで彼らがおこなうこと」が並べられています。

そして、今回の報道を見ると、それは実行されているのだと思います。

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▲ GCHQ の「合同脅威研究情報班」( Joint Threat Research Intelligence Group/略称:JTRIG )のプレゼンテーション書類より。日本語はこちらで入れています。


ちなみに、この GCHQ という組織は 政府通信本部 - Wikipedia によりますと、


政府通信本部(GCHQ)とは、イギリスの情報共同体において、偵察衛星や電子機器を用いた国内外の情報収集・暗号解読業務を担当する諜報機関である。



とのこと。


今回の報道で色めき立った人たちが多いのは、パソコンでウェブカメラを使ってチャットなどをしている人たちの中には、「他人に見られてはいけないような行為をカメラの前でしていること」が実に多いということが、 GCHQ の書類でわかったらしいということもあるようです。

AFP の記事には下のような文面がありました。


英国ガーディアン紙はさらに、収集されたデータは、NSAとの間で日常的に行っている情報共有の一環としてNSA側のアナリストも閲覧でき、中には性的な映像も非常に多く含まれていたと伝えている。

ある文書には、「驚くべき数の人々が、自分の体の性的な部位を相手に見せるためにウェブカメラでの会話を使っているとみられる」と記されていた。




とあり、「そんなものまで政府に見られていたのかよ」という人たちの憤りなのか焦りなのかわかりませんが、それがニュースへのコメントの多さにもつながっているのかもしれません。

私はインターネット上での動画でのチャットをしたことがないので、その楽しさはわからないですが、その全世界でのユーザー数はかなりのものになるようです。それらが「すべて見られていたら・・・」と考えると、私たちが住んでいるこの世界というのはなかなかすごいものだと思わざるを得ないです。


アメリカとイギリスのこれらに関連した報道としては、上の AFP の記事の下に次のような項目が並べられています。

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このようなことが、「通常の報道」にまでになっている感じもあります。

基本的に、このようなことに完全に関わりを持たないためには、ネットワークに依存したライフスタイルをすべて投げ出すしかないわけですが、それは「携帯もスマホもテレビもパソコンもATMも捨て去る」というようなことになり、そんなことが現実的なわけもなく、せいぜい、自分たちの行える範囲で何かしておくというのも、仮に無駄なことだとしても、精神衛生的にはいいことのようにも思います。


そういえば、「ネットワークに依存したライフスタイルを投げ出す」といえば、北朝鮮がそれに近いものがあるかもしれません。





北朝鮮の夜

最近 NASA が撮影した「北朝鮮の夜景」の衛星画像を見て、そう思いました。下の写真です。

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これは地図でいえば、下の範囲を撮影していて、北朝鮮のほぼ全土が「真っ暗」であることを示しています。

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お隣の韓国や中国が明るい夜景やネオンで光っているのに対して、北朝鮮は首都の平壌でさえ、ほぼ真っ暗のようです。電力事情もいろいろとあるのでしょうが、東アジアの人が住んでいる地域でここまで「暗い夜」を送っている国や地域は少ないように思います。


そういえば、日本も 311の後には長く節電が続いたことを思い出しました。

気づけば、今はまた煌々とした明るい夜に戻っていますけれど・・・まあ、どちらがいい状態なのかは価値観次第ということなのでしょうかね。正直、最近はコトの善し悪しの判断が以前よりつきません。



  

2014年02月27日



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▲ 2014年2月25日の Spaceweather より。






 



うちの子どもが行っている小学校で、6年、5年、4年、そして1年生のクラスでインフルエンザ(主にB型)による学級閉鎖が起きています。「学級」閉鎖とはいっても、今はどこでも子どもの数が少なく、この小学校も多くて3組、少ない学年では2組ですので(しかも1クラスが二十数人)、事実上は学年閉鎖みたいな感じのようです。

私の子どもの頃は、人口の多くもない北海道の片田舎の小学や中学でも1学年40人くらいで8クラス以上あったように記憶していますので、本当に今は子どもが少ないです。




今後の数日の地磁気の乱れに際して

それはともかく、上の写真は 2月 25日に太陽が放った「X級の太陽フレア(太陽面爆発)」の様子です。この規模のものは本当に久しぶりかと思います。フレアも CME (コロナ質量放出)も地球の方には面して発せられてはいないですが、爆発の規模が大きかったので、地球の磁気の乱れや影響はあると思います。影響があるとすれば今日(2月27日)くらいから始まると思われます。

そして、太陽活動で地球の地磁気が影響を受けると、体調と精神面にも影響を受ける人が非常に出やすいと個人的には思っています。

そのあたりを、過去記事、

「真実の太陽の時代」がやってくる(1):私たち人類は何もかも太陽活動に牛耳られている
 2013年07月11日

などでも取り上げたことがある嶋中雄二著『太陽活動と景気』から抜粋させていただきます。第6章「太陽活動と人間の生理」からです。適度に改行しています。


太陽活動と健康・精神

ロシアのペテルブルグ市とスヴェルドロフスク市における救急車の出動記録によれば、太陽活動が活発な日には、静穏な日に比べて、心筋梗塞と狭心症の発作が約 20%多い。

また、ロシアのいくつかの都市における多数のカルテを統計的に処理した結果、入院患者数は、太陽活動が盛んになる時期に増加していた。

フランスの医師サルドゥーと天文学者ヴァロの二人は 276日の期間をとり、心筋梗塞や卒中発作などが、黒点が太陽の中央子午線を通過したときに、84%の確率で起こることを明らかにした。

マリンとスリースターヴァは、1979年、こうした線に沿って、より長期間のデータの分析を行った。

彼らは、1967年から 1972年の6年間にわたって、二つの病院に入院した 5,000件の救急心臓症例を、毎日の地磁気活動指標と関連づけた。季節調整済みで月次データの比較を行った結果、彼らは、相関係数 0.4 から 0.8 の範囲の優位な相関を見いだした。下の図はその全般的結果を示したものである。


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▲ 上の線は6年全体にわたって平均化された1年の各月における地磁気活動を示している。下の線は心臓緊急事例で日々入院した数を示している。



この他に、以下のような例が『太陽活動と景気』に記されています。

・ロシアの研究 → 黒点の出現から2〜3日の自動車事故の件数が、黒点の少ない時の4倍に達したことを報告。

・ドイツの研究(1960年代) → 太陽嵐や磁気活動が活発になると、自殺数が8%増加することを見いだす。

・アメリカの研究(1963年) → 精神病院への入院数が太陽活動と地磁気の乱れと相関していることを発見。



他にも、産業事故との関係、また、感染症も地磁気活動と相関関係があることがわかっています。

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▲ 前田担著『生物は磁気を感じるか - 磁気生物学への招待』(1985年)より。


ところで、上のグラフに「ポリオ」というものがあります。

かつては「最悪の場合、手足が麻痺し、一生その症状が残ることもある」ということもあり、非常に怖れられた主に子どもの病気でしたが、予防接種の世界的な展開により、現在は日本はもちろん、多くの先進国では「根絶」されました。

しかし、今、アメリカで「新種のポリオのような症状の病気の発生」が起きており、アメリカ全土を震撼させています。






米国カリフォルニアで拡大する悪夢のような病

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▲ 2014年2月25日の英国インディペンデント Doctors fear return of ‘polio-like’ disease after 25 cases in California より。


この病気が発生しているのはカリフォルニア州だけで、現在、少なくとも 20名以上の子どもが、同じ病気に感染している疑いがもたれています。上の写真に写っている女の子は2年前に発症した現在4歳のソフィアちゃんという女の子と、その母親だと思います。

母親によれば、ソフィアちゃんは呼吸器疾患の後、左腕が麻痺し、2年後の今も動かないとのことで、

「ソフィアはオモチャを取りに行って、そのまま腕が動かなくなりました。今でもそのままです」

と述べています。

これらのカリフォルニアの症例が痛々しいのは、患者が全員、子どもだということで、しかも、「感染症であった場合、今後拡大する可能性がある」ということです。患者の子どもたちの様態は一様に深刻なようです。

なお、患者の子どもたちは全員、ポリオのワクチン接種を受けています。
何より、アメリカもポリオは根絶されています。

患者の子どもに接点がなく、また、渡航歴もないことなどから、「カリフォルニアで独自に発生した」という可能性もある模様。


カリフォルニアは、今年、インフルエンザの致死率も非常に高く、今シーズンのカリフォルニアだけで、278人が死亡していて、どうもアメリカ西部は病気の足音が大きく聞こえているというような感じはあります。

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▲ 2014年2月22日の UPI より。


しかも、今シーズンのアメリカのインフルエンザは、どうも「ややスペインかぜと似ている部分がある」という部分も感じられます。

そう思う理由は「高齢者より若い世代の方が多く死亡しているから」です。







カリフォルニアの「スペインかぜ」のようなインフルエンザ

CNN から抜粋します。


今年の米国のインフルエンザは「若い世代」を直撃
CNN 2014.02.24

米疾病対策センター(CDC)がこのほどまとめた統計で、今シーズンのインフルエンザは前年に比べて65歳未満の患者が大幅に増えていることが分かった。

それによると、今シーズンにインフルエンザ関連の症状で入院した患者は、18〜64歳の層が61%を占め、前年の約35%を大幅に上回った。

65歳未満の死者も例年以上に多く、死者の半数強は25〜64歳だった。昨年の死者に占めるこの世代の割合は25%未満だった。




というものだったのです。

スペインかぜの時も、幼児や高齢者ではなく、「元気な青年が中心で死んでいった」という特徴があります。

2006年の日経BP net に「多くの若者を殺した「パンデミック」の真実」という記事があり、その下の部分で、1918年に始まったスペインかぜのパンデミックの特徴がおわかりになるかと思います。


インフルエンザウイルスは毎年、慢性疾患や免疫力の低下している患者、小児やお年寄りを中心に数多くの命を奪っている。

だが、1918年の「スペイン風邪」のインフルエンザウイルスでは、20歳〜40歳代の若者たちが最も多く亡くなっていたことに大きな特徴があった。




これは1920年当時の日本での調査でもハッキリと数値にその傾向が現れています。

かつて、東京都健康安全研究センター年報で、「日本におけるスペインかぜの精密分析」という書類がネット上にありまして、下は5年くらい前にクレアに載せた、そのデータです。


1918年から1920年の日本でのスペインかぜの精密分析より

1918年の死のインフルエンザ(クレアなひととき 2009年04月27日)より。

死亡者数

1918年 男子34,488名,女子35,336名
1919年 男子21,415名,女子20,571名
1920年 男子53,555名,女子54,873名



死亡者年齢の分布

男子
1917-19年 21-23歳の年齢域で死亡者数のピーク
1920-22年 33-35歳の年齢域で死亡者数のピーク

女子
1917-19年 24-26歳の年齢域で死亡者数のピーク
1920-22年 24-26歳の年齢域で死亡者数のピーク




最も体力のある世代が集中的に亡くなっている状況がおわかりかと思います。

どうしてこのようなことになったのかの理由は今でも結論は出ていません。サイトカイン・ストームという過剰免疫を理由だとする主張もありますが、そのあたりも不明です。

今年のアメリカのインフルエンザも、「若い世代のほうが多く亡くなっている」ということがあり、ふと、スペインかぜを思い出したのでありました。


あと、最近の「病気関係」で気になるのは、マレーシアでの爆発的な「デング熱」の増加と、北朝鮮で拡大が続いている「口蹄疫」です。






デング熱の恐ろしさ

以前は「デング熱」なんて病気は知らなかったですし、致死率から見れば、そんなに恐ろしいものではないよなあ、とか思っていたのですが、だいぶ以前、海外の人の記事で「デング熱の症状」を読んだ時に寒気がするほどの恐ろしさを感じたものでした。

ありとあらゆる苦痛を人間にもたらす病気のひとつ」といえるかもしれません。


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Wikipedia より、デング熱の症状。


そのデング熱がマレーシアで爆発的に増加しています。

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▲ 2014年2月18日の Channel News Asia Malaysia wages all-out war against dengue outbreak より。


実は、現在、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア地域では記録的な干ばつが続いています。その中でデング熱の感染例も急激に増大しているということで、今年だけでマレーシアでは 1万2000人が発症。これは平年の4倍の数字だそう。

そしてですね。

このデング熱の症状ですけど、日本人で発病経験のある方がいて、その治療の記録が書かれたブログを見つけたのでした。Travel Chopstick というサイトで、どうも世界中の食べ歩きをされている旅行人の片のようですが、その中の

デング熱の恐怖6 緊急処置

というページから文字を抜粋します。

インドで発症して、インドの病院で治療を受けたようです。


痛みはだんだん増してきた。歯が痛み、頭が痛み、肘、膝、骨、背中、皮膚の腫れぼったい痛みと痒み。

全てが同時に襲いかかってくる。

デング熱の別名は、「Break Bone Fever」。その名の通り、骨が折れるような痛みが続くのだ。出血熱になるとなおさら強まる。

右腕がだんだん真紫に変色していき、そのエリアがどんどんひろがっていくのだ。もののけ姫のアシタカ?のようだ。ぼーっとしながらそんな事を考えてたような気がする。

紫色への変色原因は、血圧計だった。毎朝、血圧が測定される。血圧計の圧迫だけで、腕の毛細血管や筋肉組織がことごとく切れてしまっていたのだ。





これが何日も何日も続くのです。

上の記事の下のほうには、このように書いてあります。


(自由にしてください、僕の体がどうなってもいいから、この今の辛い状況から早く逃げたい。)

生きたいとか、死にたい、とかじゃなかった。とにかく、この辛さからぬけだせればなんとでもよかった




以前読んだ海外の人のサイトにも同じような苦しい体験記が書かれてあり、デング熱がどれだけ苦痛をもたらす病気かということをその時に初めて知りました。

そして、このデング熱は、感染者数も、そして感染地域も拡大しています。

下は 2010年の分布図です。

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厚生労働省 FORTH より。


その前の 2004年に国立感染症研究所に掲載されていた地図では下のようになっていました。

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感染症情報センター「デング熱」より。



数年前までは、アメリカも中国もオーストラリアの多くもデング熱の発生地域ではなかったものが、2010年には発生のリスクがある場所となっています。

地図を見ている限りは、朝鮮半島や日本に上陸するのも時間の問題のようにも見えます。

ちなみに、デング熱は「蚊」が媒介する病気ですので、蚊が住めないような環境なら病気が発生することもないですけどね。


そんなわけで、病気のニュースが多くて、それらを長々と記してしまいました。

ところで、上で書きました「北朝鮮の口蹄疫」ですが、17地域へ拡大しています。

nk-mouse.gif

▲ 2014年2月21日の韓国 Daily VET より。


韓国政府は北朝鮮への支援を表明しましたが、北朝鮮からの返答はないようで、場合によっては、感染地域がさらに拡大するというようなこともあるのかもしれません。


いずれにしましても、最初のほうに書きましたように、Xクラスの太陽フレアのために数日間は地球の地磁気が乱れるとも思いますので、体調、精神面などにお気遣い下さい。



  

2014年02月24日



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今年4月5日に世界中の空で目撃されると思われる飛行物体
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MRGYRO より。


2014年2月24日の時点で「4月5日のUFO出現」が確定している場所

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Google スプレッドシートより。







 



凶暴化したチワワの群れにモンティパイソン化した社会を感じて

最近に限ったことではないでしょうが、それでも、最近はさらに奇妙なニュースをよく目にします。何かこう、モンティパイソンの世界がそのまま現実になったかのような出来事がよくあります。

数日前に、米国タイムで見た下の報道などもそういうものです。

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▲ 2014年2月18日のタイム Ragtag Team of Rogue Chihuahuas Terrorizing Arizona Town より。


もともとは米国 abc テレビで報道されたもののようです。

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▲ abc テレビの報道。動画は Daily Mail にあります。


これは、アリゾナ州のフェニックスという場所で、「野良犬と化したチワワたち」が群をなして地元の子どもたちなどを襲撃しているという報道です。

昨年だけでも、チワワの襲撃での緊急電話の数が 6000件を越えたということで、なかなかの非常事態なのだそうですが、「チワワ」という響きと、「凶暴化して人を襲う」という語感が今ひとつマッチしなくて、確かに大変なニュースではあるのですけれど、むしろこの違和感をに妙な気分になったりしています。

写真や動画のチワワたちは確かに、なかなかどう猛な顔と行動をしていて、「オレたちは人間と戦うんだ」という意志が伝わってくるようです。


さて、今回の本題は、タイトルにあります通り、4月5日に世界各地に「偽の UFO 」が出現するという話です。







実は何度も実行されている「偽 UFO 計画」

まず、2月24日の時点で、その日に UFO が出現することが確定している場所についてですが、最初に貼りました表によりますと、アメリカが 17カ所、南アフリカが4カ所、オランダが3カ所、イギリス、フランス、オーストラリアがそれぞれ1カ所ずつとなっています。

これは参加者が増えると場所も増えていきますので、今後さらに増えるものと思われます。あるいは日本でも参加者がいれば、日本の地名も入るかもしれません。



それにしても、これは一体どういうことなのか?・・・と思われる方もいらっしゃると思います。

何の話なのだか今ひとつ理解しにくい部分があると思いますので、その流れをご説明したいと思います。

話は昨年 10月にまで遡ります。





始まりは英国のラジコン愛好家グループのアイディア

私はラジコンのことはよくわからないのですが、FPV と呼ばれる活動があるのだそうです。 FPVについてというページの説明によると、


近年海外で飛行機にカメラを載せて、その映像信号を陸にいるパイロットがリアルタイムに確認しながら飛行機を操縦する技術をFPVと言います。



ということで、ラジコンにカメラをつけて撮影することを FPV と呼ぶらしいのですが、この FPV では、マルチコプターというものを使うことが多いらしいです。

そのマルチコプターというのはいろいろな形状がありますが、要するに「円形のヘリコプター」というような形のものです。下のは本格的なものですが、一般の人でも楽しめるタイプのものも多くあるようです。

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▲ K-STAGE 放送局用大型カメラ搭載仕様 高性能マルチコプターより。


「偽 UFO 騒動」を最初に考えたのは、このマルチコプターでの撮影を趣味としている英国の MRGYRO というグループだったと考えられます。読み方がわからないですが、「MRジャイロ」か「ミスタージャイロ」かどちらかではないかと思います。

ここでは前者の表記にします。

昨年 2013年10月に、この MRジャイロは「実験第1号」をおこないます。

mrgyro-01.gif

MRGYRO より。以下の写真も同じ。



MRジャイロが作製した「 UFO 」は、下の写真のもので、LED が搭載されていて、光りながら空に浮かぶ小型のマルチコプターでした。

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そして、2013年10月4日午後7時、英国グロスターシャーにあるストラウドの上空に今回の最初に載せたような「光る物体」が 12分間ほど飛んだのでした。

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▲ 空に飛んでいく MRジャイロ製作のマルチコプター型の物体。


何と、その 12分の間に、地元の新聞社の記者がその光景を目撃し、すぐに写真を撮影。

そして・・・。


2013年10月5日の英国の地方紙ストラウド・ニュースより

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何と、上のように「ニュース」となってしまったのです。

さらに、地元紙では次々とこの「事件」が大きく取り上げられることになったのでした。

下がその時に報じられたメディアの数々です。

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そして、このことを知ったオランダのラジコン愛好家が、今年1月、ラジコン愛好家たちの BBS で、

「全世界でこれをやったらどうだろう」

と言いだしたのでした。

その名も、「巨大なUFO計画」。


このプロジェクトがラジコン愛好家によって発案されたフォーラム

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▲ 2014年1月22日の フォーラムへの投稿 The big UFO project より。


内容は、


我々は 2014年4月5日に飛行を実行することにした。
できれば、午後8時ジャストに。

ライトの色は青が望ましい。
固定翼かマルチローターのいずれかを用いる。

飛行に参加する人たちのために、スプレッドシートを作った。




というようなものです。

そして、この計画に、先にご紹介した「イギリスで UFO 騒動を起こしたマルチコプターを使用する」という流れとなったわけです。

もちろん、製作するのは参加者各自ですので、様々な形状の「 UFO 」が作られるとは思いますけれど、

円形で光るものが飛ぶ

という基本的な条件は多くの参加者が満たしそうです。







警戒する UFO 愛好家たち

そして、一方では、この計画が進行していることを知った UFO 愛好家たちが、「4月5日に騙されないように注意せよ」という警告をおこなっています。

UFO サイトは世界中に山の数ほどありますが(星の数ほどはないです)、そのいくつかのサイトで警告が発せられています。

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▲ 2014年2月22日のアメリカの UFO サイト UFO Sightings Hotspot より。


上のタイトルに false flag とあるのを「偽旗作戦」としましたが、あまり意味がわからないですので、辞書で調べてみましたら、 false flag というのは、


あたかも他の存在によって実施されているように見せかける、政府、法人、あるいはその他の団体が行う秘密作戦である。



という意味だそうですので、このサイトの作者は陰謀系の行動のひとつだと考えているようです。

しかしまあ、成り行きを見ている限りは、「遊び」で始まって、「遊びが拡大した」というような感じかと思います。


いずれにしても、2014年4月5日と、そして、翌日の「報道」に注目したいです。

「○○で光る未確認飛行物体が目撃」

という文字がどれだけ踊るのか。
あるいは、踊らないのか。

もちろん、この情報が拡散し過ぎてしまうと、グループも計画を変更したり、さらに「秘密裏に計画を進める」という可能性もありますけれど。


なお、過去の例として、「○月○日に UFO が出現する」と言われていて、その通りに出現した例としては、米国のニューヨークでの 2010年 10月の事件があります。







ニューヨーク 2010年10月13日

過去記事の、

10.13 ニューヨーク UFO 騒動: 予告通り? マンハッタン上空に続々と UFO が登場
 2010年10月14日

で海外の報道をご紹介したことがありますが、下のような飛行物体が大挙、ニューヨークの上空に現れ、その様子がテレビや各メディアで報道されたものです。

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テレビでは、ニューヨークでその飛行物体を見入る人たちの姿なども報じられていました。

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▲ 当時の abc ニュースより。


飛行物体の正体はわかりませんでした。

この話の場合は、北アメリカの航空や宇宙に関しての観測を目的として設置された組織「北アメリカ航空宇宙防衛司令部」( NORAD )退役士官のスタンリー・フルハム( Stanley Fulham )さんという人が自分の著書の中で、「2010年10月13日にエイリアンが人間と接触する」と記していたということがあり、その日に飛行物体が現れたということが話題となりました。



そんなわけで、いろいろと世界では知らない計画が進んでいたりするもので、他にも国家単位でのような大規模な「計画」から、小規模なものまで、いろいろなことがおこなわれていると思われます。

ですので、何か異常なことが起きた場合でも、とりあえず冷静でいたほうがいいのかもしれません。

特に今年はいろいろとありそうです。



  

2014年02月23日



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まだ人類が月から地球を見たことのない頃の「地球の出」/1965年

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▲ アポロ8号がはじめて宇宙から月と地球を撮影したのが1968年。その3年前の 1965年から撮影が開始されたスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』の月から見た地球。



はじめて人類が月サイドから地球を見た光景/1968年

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▲ 『2001年宇宙の旅』公開後の 1968年12月24日にアポロ8号が撮影した月面の方向から見た地球。



日本の探査機がその光景を再確認した時/2007年

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▲ 日本の月周回衛星「かぐや」が 2007年11月に撮影した月と地球。宇宙航空研究開発機構より。






 


時間のない1週間

今週は、家族を含めて周囲が次々とインフルエンザとなり、結局、発症していないのが私だけということもあり、家事なども含め、慌ただしく過ぎました。家事はふだんでも、「手の空いている方がやる」ということが普通になっていて、そんなに違うことはないのですが、作る料理に「病人向け」というのを取り入れなければならなかったり。

それにしても、こう・・・最近になって、さらにインフルエンザワクチンの予防効果は薄くなっているのでは、ということは実感として感じます。周囲では受けている人がバタバタかかっています。

予防効果については、インフルエンザワクチンの有効率というページによると、鼻スプレー型のワクチンはそこそこ有効であることが書かれていますが、一般的な注射タイプのだと下の程度の予防率のようです。

flu-vactine.gif

▲ カピバラあかちゃんこどもクリニックより。「回避」という部分がワクチンの有効率に当たります。


このページは小児科の病院サイトなので、子どもを対象とした調査かもしれませんけれど、いずれにしても、打つと打たないでは、そんなに大きな差があるということでもないようにも見えます。


そんなわけで、慌ただしい感じの日々でしたが、それと同時に、最近見つけたあるページを何日かをかけて読んでいました。それはいわゆる「アポロ計画陰謀論とスタンリー・キューブリックとの関係」について書かれたものでした。偶然見つけたサイトです。

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再び私の前に現れたキューブリックの亡霊

ずいぶんと前のことになりますが、過去記事に、

キューブリックの亡霊: 2001年宇宙の旅とアポロ11号の月面着陸
 2010年12月05日

というものがあります。

フランスのテレビ局が制作したフェイク・ドキュメント「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」というものをご紹介したものでした。

その番組はドキュメントではなく、娯楽ドラマといった感じの番組ですが、


「アポロ 11号の月面着陸シーンは、地上のスタジオで撮影された。アメリカ政府からそれを依頼されたのは映画監督のスタンリー・キューブリックだった」


というようなことが描かれています。

最近見つけて読んだそのサイトは、「スタンリー・キューブリックはいかにしてアポロの偽の月面着陸シーンを撮影したか」というタイトルで、そのことを本当に徹底的に述べているページでした。

sk-ap.gif

How Stanley Kubrick Faked the Apollo Moon Landings より。


確かに陰謀論系の話として書かれてはいるのですが、多分、書いた作者の人が熱烈なキューブリックのファンなのだと思います。とにかく、その熱意がものすごいものなのでした。そして、これは論文といって構わないほど長く、飛ばし読みでも何日かがかりでしたが、最後のフレーズを読んだ時には少し涙が出るほどのものでした。

この「論文」は最後だけ下のようにややセンチメンタルに終わるのです。


遺作となる『アイズ・ワイド・シャット』は 1999年7月16日に公開された。 スタンリー・キューブリックは、この映画の公開をこの日付にすることを契約書に折り込むことを最初に主張していた。

そのちょうど 30年前の 1969年7月16日にアポロ11号が発射された。

そして今日 2009年7月16日、幸せな 40周年目を迎える。

スタンリー、これでやっとあなたは安らかに眠りにつくことができる。




というものです。

つまり、これは最近のものではなく、今から4年前の記事なのですが、「幸せな 40周年目」という意味は多分この記事を投稿したこと意味しているのだと思います。

まあしかし、上にもリンクした過去記事、「キューブリックの亡霊」の際にも、

> もっとも、私はアポロ計画陰謀論というものに興味がなく

と書いているように、この記事にしても「アポロ計画陰謀論」の方に興味があったのではなく、映画監督としてのスタンリー・キューブリックの手法を調べ尽くしている内容に感動を受けたということがあります。


ところで、なぜ、「アポロ計画陰謀論に興味がない」というように書いたのかというと、アポロ11号という個別の問題はともかくとして、

「人類が月に行ったこと自体」はほぼ証明されたので

ということがあります。

それは、日本の月周回衛星「かぐや」の探査によるものでした。「かぐや」というのは、 宇宙航空研究開発機構 ( JAXA )のページの説明では下のようなもので、現在は運用は終了しています。


月周回衛星「かぐや」

2007年9月14日、日本初の大型月探査機がH-IIAロケットによって打ち上げられました。この計画は「SELENE(セレーネ)」と呼ばれ、アポロ計画以来最大規模の本格的な月の探査として、各国からも注目されています。




この日本の「かぐや」はいろいろなことを発見していますが、中でも、アポロ15号の撮影した着陸地点の月の地表と一致した画像を撮影していて、その時点で、少なくとも、アポロ15号が月面に着陸したことには疑いの余地がなくなっています。

アポロ15号が月面着陸した場所から撮影した写真(1971年7月)

apollo15a-landing.jpg


月周回衛星「かぐや」が撮影した月面(2008年7月)

kaguya-selene1.jpg

▲ 共に、 2008年7月16日の Universe Today より。


もちろんこのことがアポロ 11号の着陸の何かを示しているわけではないですが、「人類は月に行ったか行かなかったかという二択」では「行った」という認識が現状では妥当だと思われます。


しかし、映画監督としてのキューブリックについては、私もいろいろと謎に感じていたことがあったのですが、その「スタンリー・キューブリックはいかにしてアポロの偽の月面着陸シーンを撮影したか」というサイトを読んで、(正しいかどうかはともかく)いろいろな疑問が少し解けたような気がして、それで読みふけっていた次第です。

ちなみに、本当に全然関係ないですが、このキューブリックという人は、最近亡くなった私の長年の友人とよく似ているのでした。

地球サイズの黒点を眺めながら「必ず今年終わるこの世」を神(のようなもの)に誓って
 2014年01月09日

という記事でちょっとふれましたけれど、いろいろな意味で私の最大の恩人のような人でもあった年下の男性が最近亡くなっちゃったんです。まだ 48歳でした。

その田中くんという人のルックスをわかりやすく紹介するには、キューブリックの写真を探せばいい、というほど似ている部分が多いのでした。

下の右の太った人がキューブリックですが、これとほぼ同じ姿の友人でした。

kubrick.jpg

▲ 1980年の映画『シャイニング』の撮影風景より。中央が主演のジャック・ニコルソン、右が監督のスタンリー・キューブリック。

田中くんとは何度か外国にも行きましたが、行く先々で目立ちました。韓国では田中くんを見て逃げる人までいました(笑)。フィリピンでは空港で警察の別室につれていかれました。

そんな友人でしたねえ・・・。まあ、キューブリックと似ているのはルックスだけで、中身は違いましたけれど。






『博士の異常な愛情』から『2001年宇宙の旅』までの出来事

私はこのキューブリック監督の作品の中で最も好きなのは、1963年に撮影された『博士の異常な愛情』というものなんですが、今回読んでいたサイトでの主張では、

『博士の異常な愛情』の B-52 戦略爆撃機の特撮にとても感心した NASA がスタンリー・キューブリックをアポロ着陸ねつ造計画の撮影責任者にしようと発案した。


ということなどが書かれています。
ただし、その根拠は文書的に残っているわけではなく、曖昧です。


『博士の異常な愛情』という映画は、 Wikipedia の説明では、「冷戦時代の世界情勢を背景に、偶発的な原因で核戦争が勃発し人類滅亡にいたるさまをシニカルにえがくコメディ」ですが、その Wikipedia のページには、下のような下りがあります。


核攻撃仕様のB-52内部構造はアメリカ空軍の機密で、全く協力が得られなかった。細部まで造り込みがされているが、これは美術監督ピーター・マートンの創作である。マートンは合法範囲で可能な限りB-52のインテリアを調べ上げた。

苦心の創作が結果として実機とあまりにも一致していたため、美術チームはFBIの捜査対象とされたほどであったという。




というもので、そもそもがスタンリー・キューブリックと、そのスタッフというのは「異常なほど優秀だった」ことがうかがえますが、今回読んでいたサイトによれば、この映画が「 NASA と米国政府のお目にかなった」との主張でした。

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▲ NASA を唸らせた(かもしれない)映画『博士の異常な愛情』に出てくる核攻撃仕様の B-52 戦略爆撃機。アメリカ軍の協力が一切得られず、内部も含めて、すべて自作。


そして、サイトの作者は、「月面着陸映像制作のその見返り」は・・・映画『2001年宇宙の旅』の制作予算を無尽蔵に提供する・・・ことだったと。

ちなみに、『2001年宇宙の旅』というのは恐ろしく予算のかかった映画で、公式には 1050万ドル(当時のドル円換算で約 38億円)となっていますが、そもそも、この 40年前の 38億円の価値だけでもちょっと換算がうまくいかないですけど、それでも、実際にはさらにかかっていたという話もあります。何しろ、『2001年宇宙の旅』は、足かけ4年に渡って撮影されています。

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▲ 2001年宇宙の旅のシーン。木星の衛星軌道上で巨大なモノリスと遭遇した後、ストーリー中の人物は「人類を超越した存在」であるスターチャイルドへと進化を遂げます。


すごい話としては、この映画の製作会社だった MGM の当時の社長は 映画が公開された 1968年に、公式に、

「公開されるまで一度もラフカットを見たことががなかった」

と述べていることです。

作品に口出しすることで有名なハリウッド・メジャーが、しかも、社運がかかっているかのような大規模な予算で作られた映画への対応としてはちょっとあり得ないことのようにも思えます。

しかし、これを「 MGM はまったくお金を出していなかった」とすれば、社長のこの態度も納得できます。基本的に今も昔も、ハリウッドの映画メジャーの経営陣は作品の内容などはどうでもよく、「お金になる映画かどうか」だけを考えます

なので、今の円で換算すれば 100の単位の億がつくような、しかもアート映画にも近い「退屈な作品」を、黙って4年間も作らせておくわけもないだろう・・・とは思ったり。





映画も現実も技術の中では同じという現実

しかし、その最近読んでいたサイト自体はどこまで書いても、陰謀論の域を出ないものですので、内容を細かく紹介するつもりはないですが、作者は、その中で「映像技術」について様々に述べていて、その中でも、昔の映画では一般的な技術だった、スクリーン・プロセス(プロジェクター合成)というような呼び方をされる技術について言及しています。

Rear_projection_effect2.jpg

▲ スクリーン・プロセスの原理。 Wikipedia より。


スクリーン・プロセスとは簡単にいうと、人物の背後の風景をスクリーンに写すようなことで、たとえば、上の『2001年宇宙の旅』を例にすれば、下のような技術か、それと類似したものです。

これはスタジオ内で、後ろにスクリーンのようなものがありますが、ここに映像を投影します。

Space-Odyssey.jpg

▲ 2001年宇宙の旅の撮影風景。17 little known facts about 2001: A Space Odyssey より。


そうして撮影された映像は下のような光景となるのです。

space-opening-01.jpg



後で合成するわけではないので、自然な光景に見えます。

他のシーンで、具体的に線を引くと、下のようになります。

space-001.gif

▲ 白い線から手前がスタジオ内。白い線から向こうがスクリーン。


オリジナルは下の映像です。

space-002.jpg


作者はこの技法がアポロ 11号の写真に多用されていると主張します。

たとえば、下の写真は、

ap-07.jpg


下の白い線の向こう側がスクリーン・プロセスだと作者は主張します。

ap-08.jpg


このような例がサイトでは何枚も何枚もピックアップされています。

それと、やはり特撮映画で多様される手法でもある「写真のガンマ値」というものを増加させることや、画像の「コントラストの調整」で本物らしく見える細工をしていることについても述べています。

この「画像の細工」については NASA は今でもおこなっていて、それは NASA 自身認めています。しかし、それは偽造のためではなく、何らかの理由のためだとか何とかで、よくわからないですが、過去にも火星の写真をはじめとして、細工された疑いのかかる画像についての報道は多かったです。


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▲ オーストラリアの報道をご紹介した 2010年10月9日の過去記事「土星の衛星ディオネの後ろを通過する直径 1000キロメートル規模の巨大物体の正体は」より。



火星の写真や太陽の画像なんかもそうですけれど、修正そのものは常に加えられています。

ただ、 NASA が数々の写真を修正するその理由はよくわかりません。

陰謀論とは関係のない科学的な理由なのかもしれないし、それとは違う意味かもしれないです。






いずれにしても、すでに存在しないアポロのオリジナル資料

まあしかし、すでにアポロの資料は、アームストロング船長の月面着陸の様子や音声が収められたビデオを含めて、「ほぼ紛失」していて、今ではビデオなどのオリジナル資料の多くが残っていません。これは 2006年に発覚しました。

下の記事は、国立国会図書館のサイトに残っていた記事です。


アポロ計画のオリジナル資料をNASAが紛失
2006年8月16日

NASAが保管していたアポロ計画の通信記録テープが紛失し、約1年間にわたる調査が行われたものの、いまだ発見に至っていないことが明らかになりました。

紛失したテープは約700本におよび、ニール・アームストロング船長の有名な「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」を記録したオリジナルテープも、目下、紛失状態にあるとのことです。

ただし発見されたとしても、磁気が劣化していて再生できる状態ではない、とNASAのスポークスマンはコメントしています。




テープといっても、現在のようなコンパクトなものではないです。

moon_tapes.jpg

▲ NASA の Apollo 11 Tapes より。


こんな巨大なテープが 700本紛失・・・。

NASA は月の石も 2011年に紛失しています。


NASAずさん管理 月の石など大量紛失
共同通信 2011.12.12

アポロ宇宙船が持ち帰った月の石など貴重な地球外物質の試料517点を、米航空宇宙局(NASA)が紛失していたことが9日までに分かった。

8日付の監察官の報告書によると、517点は月の石や土壌のほか、隕石や彗星のちりなど。1970〜2010年の間に紛失した。





このあたりにも、いろいろな陰謀論が出やすくなる素地があるのかもしれないです。これらが単なる「ずさん」なのか、それともそうではないのか、という意味で。

現実はいろいろなことがあります。

さて、そろそろ夕食の準備をしなければ。
そして、今夜はまた『博士の異常な愛情』でも見よう。



  

2014年02月19日



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▲ 2014年2月20日の Real Science より。






 


昨日の、

70年前にも騒がれていた「地球温暖化」はその 1940年代にピークを打ち、 米国中央情報局は 1974年に「地球はこれから寒冷化に入る」という分析を報告していた
 2014年02月18日


で、「 1940年代の地球温暖化」や、1974年の CIA の「氷河期の到来の予測」に関しての文書などを、過去の新聞などからご紹介したのですが、過去のニュースはいろいろと面白いです。

トップに貼った科学系ブログ Real Science の記事にオーストラリアの日刊紙キャンベラ・タイムズ( Canberra Times )の 1975年の記事が紹介されていました。

これは、その前日の 1975年 8月 23日のジュネーブ軍縮会議の内容についてのものです。オーストラリアの国立データライブラリーで、過去の新聞などのデータを保管している Trove にあるものです。

1975年8月23日のキャンベラ・タイムズ紙より

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▲ Trove の The Canberra Times Saturday 23 August 1975 より。



この記事の中で、トップに貼りました Real Science の記事で抜粋されていたスクリーンショットの文章の意味は次のようになります。


米国 - ソ連 気象戦争を禁止する計画

アメリカ合衆国とソビエト連邦は、昨日の 30カ国によるジュネーブ軍縮会議において、戦争の武器としての人工津波や人工地震などのような違法な手段による脅威に関しての条約案を発表した。

今回の条約で禁止される人工津波や地震以外の技術としては、氷冠を融解させることや川の方向を変えることによって沿岸諸国に洪水を発生させることが含まれる。さらに、意図的に致死量の紫外線を人々に曝露させるために上層大気中のオゾン層を破壊する技術が含まれている。




というもので、どこまで実現していた武器なのか怪しい感じもしますが、いずれにしても、この時のジュネーブ会議で「これらは禁止された」という記事でした。

上で禁止された「兵器」を並べてみますと、

・人工津波
・人工地震
・極地の氷を溶かして洪水を起こす
・川の流れを変えて洪水を起こす
・オゾン層を破壊して人々に致死量の紫外線を浴びせる


となっています。

ちなみに、 Wikipedia によりますと、ジュネーブ軍縮会議では、過去に、

・部分的核実験禁止条約(1963年)
・核拡散防止条約(1968年)
・海底における核兵器等設置禁止条約(1971年)
・生物兵器禁止条約(1972年)
・環境破壊兵器禁止条約(1977年)
・化学兵器禁止条約(1992年)

などが締結されてきたそうですが、 Wikipedia には 1975年のこの禁止については記されていませんでした。


この中には、どうも冷戦下のハッタリ合戦の気配も感じないではないものもあるのですが、陰謀論などの話での関係としては、文章の最後の「オゾン層を破壊して人々に致死量の紫外線を浴びせる」というものは、高周波活性オーロラ調査プログラム、いわゆる「 HAARP 」というものを思い浮かべる方もあるかもしれません。






高周波活性オーロラ調査プログラムを調べ続けた5年前

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▲ 2007年7月6日の Wired の記事「米国防総省の「謎の新施設」、HAARPが完成」より。


ちょっと話は逸れますが、4年か5年くらい前に、実は執拗に HAARP について調べていたことがあります。ほとんどはその頃の「地球の記録」の記事にありますが、代表的なものとして、

HAARP での地震の原理? - HAARP と VAN法の逆説的相関関係
 2010年04月06日

HAARP の話題 3 (世界全滅装置?)
 2009年09月25日

などがあります。

結論としては、当時よく言われていたような「地震を起こす装置」ということは、原理として考えられないものであるとは確信したのですが、では、「何のために存在するのか」ということはわからないままでした。

HAARP についてメディアで最初に報道されたものとしては、 1994年に米国のアース・アイランド・ジャーナル誌( Earth Island Journal )が、独自で入手したアメリカの空軍と海軍の文書を元に「電離層を変化させる軍事計画」という記事を掲載したことが始まりだとされています。

その文章(英語)は現在、

The High Frequency Active Auroral Research Project (HAARP)

に残されています。

そのアース・アイランド・ジャーナルが入手した 1990年のアメリカ空軍と海軍の文書によると、確かに HAARP は明確に「兵器」としての用途が記されています。

なのでまあ、兵器ではあるようで、また、軍の文書では、


> 計画の最終目的として「1000キロメートル(621マイル)の広範囲にわたって、電離層を大きく変化させることが望ましい」


と書かれてあります。

この「 1000キロメートルの範囲」というのがどのくらいのものかというと、地図でいえば下の範囲です。

haarp-5000-s.jpg

▲ HAARP のあるアラスカを中心にして、濃い赤が半径 1000キロ。薄い範囲は、半径 5000キロです。


しかし、当時、調べているうちに、いろいろとわからなくなってきたのですね。

たとえば、 HAARP は「高周波活性オーロラ調査プログラム」という名称なのに、発信する信号は「超低周波」です。地球の記録のこちらの記事では、


> HAARPのInductionのシグナルを見ると、周波数が非常に低い特徴があることが分かります。僅か 5Hz 程度です。


とあります。

仮に、 HAARP が 1975年のジュネーブ軍縮会議で禁止されたという「高層大気の破壊」などを試みようとしているのなら、そんな周波数のシグナルで高層に何か影響させることができるのだろうかと。

たとえば、高層には「電離層」という層があります。

電離層は、厚さが 500キロメートル以上もある非常に厚い層ですが、超短波なら下のように最上部に位置するF2層という層を突き抜けて、その先に辿り着くことができるようです。しかし、 HAARP のシグナルはこのような超短波ではないようにしか見えなかったのです。

isosphia.jpg


このあたりになると、科学の基本を知らない私あたりにはお手上げで、考えるのをやめてしまいましたが、それから5年。

また、 HAARP のことを思い出すとは思っていせんでした。

ちなみに、上のアース・アイランド・ジャーナルの記事を翻訳したものがこちらなどにあるのですが、大変長いものですので、 HAARP というものの「概要」についてを記事から抜粋したいと思います。




1994年秋プロジェクト:電離層を変化させる軍事計画
筆者/クレア・ジカール( Clare Zickuhr )、ガー・スミス( Gar Smith )


アメリカ国防省は「 HAARP 計画」を極秘理に進めている。この計画はアラスカのアメリカ空軍基地に建設される予定であり、電離層を「暖める」という世界初の試みでもある。

しかし、科学者、環境保護論者、土地の人々は、これに懸念を表明している。なぜならHAARPの電磁波装置は、地球の電離層に1ギガワット(10億ワット)以上の電磁波を放射できるからだ。これにより人々は健康を損ない、野生動物は危険に曝され、環境にも予測できない影響が出る恐れがある。

HAARPは「高周波活性オーロラ研究計画」(HAARP)を略したものだ。これはアメリカ空・海軍が合同で行っている計画で、国防省による「電離層実験」の一環だが、この実験はあまり知られておらず、「EXCEDE」、「RED AIR」、「CHARGE4」というコード名で呼ばれている。

(中略)

米海軍研究局は1993年11月、「 HAARP 覚書」を公に発表した。
それには以下のように書かれている。

「アメリカ国防省は、通信分野での現在の能力を拡大し、また、大きな科学的進歩を遂げるため、 HAARP 計画を実行する」

ちなみに、この機密の HAARP 文書は、米国の「情報自由化法」により明らかになったものだ。

HAARP 計画の目的は、強力な電磁波を放射して電離層を『破壊』し、その後、電離層がダメージにどう反応し、最終的にどう回復するかを研究することにある。

HAARP 覚書では、この計画は「純粋に科学研究を目的としたものであり、敵国に何ら脅威を与えるものでない」と書かれている。

しかし「アース・アイランド・ジャーナル」誌が明らかにしたところでは HAARP 計画を提案したのは国防省・海軍研究局であり、さらに、アメリカ空・海軍が1990年2月に出した文書には HAARP 計画の軍事目的しか述べられていない。

例えば次のようなことが記述されている。


・大気上空に電離層レンズを作り、強力な高周波エネルギー焦点を作ること。

・電離層を変化させる手段を考案すること。

・反射装置を作る目的で、上空90キロメートル以内の電離層に変化を与えること。

・ミラーによって、地平線を超えた、広範囲に亙る監視システムを作ること。

・それによってクルーズ・ミサイル、あるいは他の飛行物体を探知すること。


HAARP 文書では、計画の最終目的として「 1000キロメートル( 621マイル)の広範囲にわたって、電離層を大きく変化させることが望ましい」と書かれている。

ほとんど知られていないが、 HAARP 計画のもう一つの目的は、敵国の通信能力を妨害しながら、アメリカの防衛通信手段は無傷で残しておくことにある。






記事は、その後、環境などへの影響も含めて記されていて、大変長い記事となっていますが、とりあえず、1990年代に軍部から計画が提出された時点では、 HAARP というのは上のようなものだったということです。

しかし、現状のシグナルの特性などから考えて、それが一体、どんな「本質」なのかということは想像することも難しいです。

そして、これは「想像で解決するようなものでもない」ですし、科学的に確実な視野で考えられるような方々がいればなあ、と思います。いずれにしても 40年前のオーストラリアの新聞の小さな記事が、いろいろなことを思い出させてくれました。

思えば、この5年ほどの間にいろいろと知ったような、実は何にも知らないままのような。



  

2014年02月18日



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1971年7月9日の米国ワシントンポスト紙より
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▲ 過去の新聞の文書をデータ保存している ProQuest Archiver より。


1940年12月14日発行のニュージーランドの新聞オークランドスター紙より
▲ 過去の新聞メディア文書をデータ保存している Papers Past より。






 



現実化してきている「小氷河期的」な光景

冬になる前までは、

ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性
 2013年09月09日

というような比較的「第三者的な見方」をしていた雪と寒波の問題ですが、ここにきて、「ついに」とか「可能性」とか、そういう悠長なことを言っている場合ではないということになってきていて、北半球のいくつかの地域ではシャレにならない状況に陥っています。

雪と寒波の被害の規模での筆頭はアメリカ東部ですが、日本も先日の大雪により、世界中にその被害が報道されているほどの災害となっています。

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▲ 2014年2月16日の BBC より。


そして、まだ災害救助は進んでいません。村や道路の孤立状況は 2014年2月17日の毎日新聞「大雪:13都県で8000人孤立 自治体「想定外」」によれば、関東から東北までで 8000人ほどの方が孤立していて、中にはいまだに安否の確認をとることもできない(電気、通信も途絶えているため)場所もあるようです。

2月17日の朝日新聞の「大雪の死者23人 関東は20日も降雪の予報」という記事では、タイトル通り、現在まで今回の大雪で 23人の方が亡くなったことが報じられています。

アメリカでは、寒波と暴風雪により 2月15日の時点で 25人( ナショナル・ポスト より)が死亡。


韓国では、昨日の大雪による屋根の崩落事故など、10名が亡くなっています。

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▲ 2014年2月18日の朝鮮日報より。事故は慶州市にある「マウナ・オーシャンリゾート」で起きました。事故に遭ったのは多くが釜山外国語大学の学生たち。


韓国も2月の1週目から東部などで激しい雪に見舞われています。

韓国の東部が歴史的な大雪により麻痺状態
 地球の記録 2014年02月12日

という記事に記しましたが、日本の今回の大雪被害のように、多くの村が孤立した状態でした。


欧州や中東でも、

ディズニー映画の「氷の王国アレンデール」と化したスロベニアと 1000の村が雪で覆われ物資が不足しているイラン
 2014年02月06日

という記事でご紹介しましたように、観測史上で経験したことのないような寒波や大雪に見舞われる地域が多くなっています。


もちろん、これらのことだけをとって、世界が寒冷化しているということはできません。あまりにも短い期間の話ですので、一過性のものかもしれないからです。それに、北半球でも「異常に暖かい冬」が続いている地域もあります。ロシアやウクライナ、アメリカの西部などですが、それは後に記します。

しかし、それでも、寒波と大雪の異常さが目立つことは事実です。


さて、そして今回の本題は、その「現時点での寒波」という問題から離れて、「過去」にも同じような騒動が起きていたことが、海外の古い新聞からわかるということがありまして、それをご紹介したいと思います。





1940年代に「地球温暖化」はピークを打った

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(キャプション) 日本の気象庁の1959年のデータ(非公開)を元に、1969年に作成された北半球の年平均気温の変化。

▲ 1975年の米国科学アカデミー( National Academy of Sciences )の報告書より、1880年から1970年までの全世界の平均気温の変化。


今回ご紹介する、数十年前の新聞や資料は、科学系ブログの Real Science で紹介されていたものをいくつか取り上げて、こちらで日本語などを入れてみました。

記事の冒頭にも貼りましたが、1940年代には「地球温暖化と、ほぼ同じ言葉」が日常的に欧米の新聞の見出しになっていたことがわかります。

1947年5月31日発行のオーストラリアの新聞ウェスト・オーストラリアン紙より

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▲ 過去の新聞のデータを保存する trove.nla.gov.au より。


1940年2月23日発行のオーストラリアの新聞タウンスヴィル・ブルティン紙より

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▲ 過去の新聞のデータを保存する trove.nla.gov.au より。


そして、1970年代になってからは、今度は「地球寒冷化」の報道が目立ちますが、その頃、アメリカ合衆国中央情報局( CIA )が「地球は新たな氷河期に向かっている可能性がある」という内容の報告書を出していたという事実があります。

その CIA の報告書と、それを裏付けるアメリカ大気研究センターの 1975年のデータを見てみます。





アメリカ合衆国中央情報局( CIA )の1974年の報告書

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▲ CIA の報告書より。


ちなみに、この CIA の報告書は、現在はインターネットで閲覧できます。

A Study of Climatological Research as it Petains to Intelligence Problem
(諜報の問題に関連する気候の研究報告)


この CIA の文書の内容は、1970年以降、地球が寒冷化に突入していくことを示唆したもので、タイトルの「諜報の問題に関連する気候の研究報告」から見ると、 CIA の活動への影響を記したものだと思われます。

今から 40年前のものですが、天候のサイクルを地球的な規模で見ている、とても大局的なもので、 70万年前から現在までの地球の気温の変化を分析して、地球が寒冷化に向かう可能性を示唆しています。

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▲ CIA の報告書より。



そして、1975年にはアメリカの国家としての環境研究組織であるアメリカ大気研究センター( National Center for Atomospheric Research )が報告書を出し、そこには 1940年代で気温が頂点となり、後は下落していくとした推測が記されています。

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▲ アメリカ大気研究センター( National Center for Atomospheric Research )の報告書より。



そんなわけで、どうやら、1970年代には、アメリカの政府機関においては「地球は寒冷化する」。あるいは、もっと直接的に「地球は小氷河期に入る」ということが、推測としての結論として出されていたということのようです。

なぜなら、その後、これらの見解を否定する公式文書の存在がない(と思われる)ためです。


しかし、そのアメリカ。

このブログでも、新年早々の、

ロシア・アメリカ両大国が同時に経験する「マイナス 50度の日常」
 2014年01月06日

という記事などから始まって以来、今年はずっと寒波と大雪のニュースが絶えないですが、実際にアメリカ海洋大気庁( NOAA )の数値を元にアメリカのこの120年間の気温の推移を見ますと、このアメリカの冬は「観測史上3番目に低い」ことがわかります。

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▲ アメリカの1896年から2014年までの「12-2月の気温」のグラフ。 Third Coldest Winter On Record So Far In The US より。




アメリカの気温の異常な現状

しかし、アメリカ全体としては上の通りなのですが、州ごとに見ると、また違った今年のアメリカの姿が見えてきます。

アメリカの2014年1月の州ごとの気温の平年との比較

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アメリカ海洋大気庁 NOAA より、2014年1月のアメリカの気温の記録。


上で、

・青い部分は「平年より気温が低い」地域
・ピンクやオレンジの部分は「平年より気温が高い」地域
・白い部分は平年とほぼ同じ気温


ということになりますが、低い地域と高い地域がほぼ半々であることがわかります。

なので、「今年のアメリカは寒い」というのは間違った言い方になってしまい、あくまでも「アメリカ東部を中心として寒い」ということになるようです。西部や南部の一部は「異常な高温」とさえなっているのです。

2月の始めに、

過去 100年で最悪の干ばつにより「ついに水の供給が不可能」に至った米国カリフォルニア州
 2014年02月02日

という記事で、アメリカ西海岸の干ばつのひどさをご紹介したことがありますが、

・東では大雪とその後の洪水の懸念
・西では記録にないほど強烈な干ばつが進行


というのがアメリカの状況のようです。


また、今回はふれる余裕がないですけれど、北半球でも、ロシアやウクライナ等のいくつかの地域では「異常な暖かさ」が続いている場所もあります。

どうも地球のバランスの異常(もう、ある程度「異常」といってもいいかと思います)はますます加速している感じもあります。



  

2014年02月17日



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▲ 最近存在が明らかとなった 16世紀の『奇跡の書』より。「終末の日」の様子が描かれています。この絵は、西暦 1531年に起きたと書かれているフランスのストラスブールでの「天空の城の戦士と、地上の軍隊との戦争」を示したもの。 2014年2月16日のドイツのシュピーゲルより。






 


ややグチ的余談(命の軽さ)

本文とは全然関係ないですが、先日の大雪の時はいろいろと個人的なこと(子どもの熱とか、母親が上京するとか)などもあり、夜中に「速報くらいは見ておこう」と、深夜の NHK を回すと、何とオリンピック一色でした。明らかな災害下なのに。しかし、「何がテレビの優先なのかわかりやすいわな」とテレビを消しました。

しかし、被害のあまりないこちらはともかく、山梨なんてのは大雪2日目の今日 2月 17日でも、

7都県3400世帯が孤立 山梨で電車内に900人
 毎日新聞 2014.02.17

という状況で、人命と直結した危機となっていますが、オリンピック優先放送体制のために、こういうニュースもあまりご存じない方も多かったのではないでしょうか。NHK 以外の民法は回していないので、わからないですが、似たようなものだと推測されます。

メダルも結構でしょうが、人の命をほんの少しは重く見てもいいのでは?と思う次第です。

まあ、 Yahoo! ニュースの「なぜNHKは山梨の大雪災害を報じないのか?」という記事には、真偽はわからないですが、


日本の場合、オリンピックの放映権は、数年前からNHKと民放で構成される「JC」(ジャパンコンソーシアム)で決定し、電通を中心として広告出稿などのスポンサー割当までをも振り決めていく。

年々高騰する膨大な放映権料は、テレビ局に取っては死活問題であるゆえに、五輪関連番組はアンタッチャブルな絶対的な「商品」となっているのだ。




とありましたので、放映権料を回収するためには、他の事件どころではないということなのかもしれません。

切ない話ですけれど、これが私たちの生きている環境の現実のようです。


さて、本題です。






ドイツの16世紀の奇跡の書が公開される

つい最近、ヴォイニッチ手稿についてのことを記事にしたことがありました。

ヴォイニッチ手稿とアステカ文明のリンク(1) : 植物学者とアメリカ国防総省の元情報技術者がつきとめた「古代メキシコの植物学、消滅した古典ナワトル語」とヴォイニッチの共通性
 2014年02月09日

ヴォイニッチ手稿とアステカ文明のリンク(2) : 論文「ヴォイニッチ手稿の植物学、動物学、および鉱物学に関しての予備的分析」
 2014年02月10日

です。

ご紹介した内容の真偽についてはわからないとしても、上でご紹介した論文に好感を持ったのは、ヴォイニッチ手稿につきまとう「不思議」という感覚を一切捨てて、完全にドライな状態で分析を進めていたことでした。

しかし、ヴォイニッチ手稿に関しては、現在でも様々な思い入れや、あるいは、他の観点からの研究もありますので、上のものはあくまで様々な推論のひとつということでよろしいのだと思います。


さて、昨日、「不思議な書」の報道を目にしました。

16世紀に記されたと考えられる書物が、2008年に突然、ミュンヘンに現れたということを紹介しているドイツのシュピーゲルというメディアを見つけまして、それをご紹介します。シュピーゲルの母体は、発行部数がヨーロッパで最も多いニュース週刊誌デア・シュピーゲルで、記事の信憑性はそこそこにあると思います。

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▲ 2014年2月16日のシュピーゲルより。



その書物のタイトルは『奇跡の書』というもので、1552年に発行されたと推測されているのですが、2008年にミュンヘンに登場するまでその存在は知られていなく、どのように保管されてきたかも不明だそうです。

内容はすべて「この世の終わり」を描いたものですが、興味深いのは、未来の話ではなく、実際に起きていたこととして書かれていることです。


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▲ 『奇跡の書』より「テベレ川の怪物」。テベレ川はイタリアの川で、1496年の1月、その川岸に奇妙な動物の死骸が見つかったそうです。この絵のような動物だったそう。


この書物の内容は、聖書の記述にならっている部分を感じさせるものです。最近は、キリスト教関係の記事も多かったですので、そのあたりのこともあり、ご紹介しようと思いました。



スピーゲルの記事は、本文とは別に『奇跡の書』の図版が数点紹介されています。本文はそれほど長いものではないですので、本文の翻訳をご紹介してから、その本のイラストをご紹介します。




Feuer und Fluten: Buch aus 16. Jahrhundert zeigt Endzeitphantasien
Spiegel (ドイツ) 2014.02.16


火災、洪水、天空の戦士: 16世紀の『奇跡の書』は、「最後の審判の日」の光景を描写している。


この書は何世紀にもわたって失われていたもので、ごく最近になって、再び現れたものだ。現在は、再度、印刷発行されている。この書の内容はとてもミステリーに満ちている。

人間が「この世の終わり」を考えだした頃、太陽は欠け、嵐が大地に涙を落とし続ける。空は黒くなり、その黒い空から火、石、そして血が降ってくる。地震が村や町を飲み込んでいく。書はアウグスブルクによる『奇跡の書』( Book of Miracles )というタイトルで、 167ページから構成される。

この書では、古代からルネサンスまでの人々が、「世界の終末」をどのように想像していたかがわかる。全般としては恐ろしいものであり、その中にいくつかの肯定的な天体現象が描かれている。

「この書物はそれ自体に何か奇妙なものを秘めている」と、美術史家ジョシュア・P・ウォーターマン( Joshua P. Waterman )氏は述べる。ウォーターマン氏は、この書が 1552年に出版されたと推測する。それは、書の中の様々な描写方法の年代鑑識によるものだ。

このような、主に宗教的なテーマ、あるいは家族のために書かれた書はとても貴重といえる。

この書の存在にはいくつかわからない点がある。

書は 2008年に、ミュンヘンのオークションハウスがロンドンに売却した。その後、アメリカのコレクターの手に渡った。

しかし、それ以前の持ち主や、辿った痕跡などはまったく知られていない。ミュンヘンのオークションハウスでは、封印して保管されていた。そのミュンヘンから先のこの書の経緯はわからない。

書では、落雷、彗星、そして未知の現象などが、それぞれ神の罰と考えられており、あるいは、悪い出来事の前兆として記述される。

旧約聖書では、イエスが十字架にはりつけられた後には洪水が起き、大きな地震が起きたと教えている。太陽は暗くなり、月は血の色となる。

新訳聖書では、飢饉、疫病、バッタによる荒廃、そして空からは星が落ちる描写が語られるが、それらに準じたような出来事の描写が見られるのだ。






1552年の『奇跡の書』の図版より


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ドルドレヒト(オランダ)での雹(ひょう)

1552年5月17日。オランダのドルドレヒトで、激しい嵐が雹と共に降り落ちた。人々は、ついに、審判の日が来たと思った。この嵐は約 30分間続いた。降った雹の多くは3キログラムか、それ以上あった。

それが降った場所には、耐えられない悪臭が漂った。





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底なし地獄からやってきた怪物

誰であろうと、底なし地獄(the bottomless pit)からやってきた怪物を痛めつけようとした者は、口から吐く炎に見舞われ、むさぼり食われる。誰であろうと、怪物を攻撃しようとしたものは、必ず殺される。

これらは、天国を閉鎖する力を持っている。
海を血にする力を持っている。
そして、地球にあらゆる荒廃を与える力を持っている。
すべては彼らが望むようにおこなうことができる。
そして、彼らがすべての証明を終えるであろう時に、彼らは深海の中から外へ上昇してきた獣と戦いを始める。そして、それらをなぎ倒し、殺す。

彼らの死体の数々が大きな都市の道に転がるだろう。





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ボヘミアの天国の騎手

1533年10月に、ボヘミアやフォークトラントでこれらの姿が見られた。龍のような頭をし、豚のような鼻を持ち、2つの羽を持つ。

これらは時に、400匹以上が空に飛んだ。大きなものも小さなものもいた。その光景が描かれている。





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剣を持つ天空の戦士

1531年に起きた、フランスのストラスブールでの「天空の城の戦士と、地上の軍隊との戦争」を描いている。

この年のストラスブールや、他の地域でも、血まみれの大気の精霊エアリアルが剣を持ち現れた光景が目撃された。その際の地上で燃えた城や、軍事作戦について描かれている。





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彗星

1506年。この年には何度か夜空に彗星が現れ、スペインに向かって尾を描いた。この年には、多くの果実が毛虫やネズミによる作物被害を受けた。イタリアでは巨大地震が発生した。





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輝く球体

ローマ人の地でイエスが誕生する 73年前、空から黄金の球体が大地に下りてきて、地表を周回した。その後、黄金の球体は再び太陽の方向に向かって飛んでいった。
その大きさで太陽が隠れた。
これはローマ時代の戦争に続いて起きた出来事だった。





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海の怪物と小羊のような角を二本持つ獣

十本の角と七つの頭を持つ獣が、海から陸へ上がるのを見た。角にはそれぞれ冠が乗っていた。そして、その頭には不浄である名前が書かれていた。見た時にはヒョウのようだった獣は、脚は熊のようだった。口はライオンのようだった。

ドラゴンが、その獣に力と大きな権威を与えた。
そして、すべての世界はその獣に驚愕して、そして服従した。





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燃えつきる聖火

キリストの生誕から1009年目の年に、太陽は暗くなり、月は血のような色となった。そして、巨大な地震があった。
空から得体の知れない音や雑音が大音量で鳴り続き、聖火は燃えつきた。

これらは、ドイツとイタリアで飢饉により多くの人々が亡くなった後に起きた。この飢饉は生きのびた人より死んでしまった人の数のほうが多かった。





ここまでです。

全体として、

・太陽が暗くなる
・月は血のようになる
・巨大地震
・空からの謎の音
・バッタによる不作
・大飢饉


などの現象についての予兆的な意味として描かれているもののようです。

上の中にはすでに起きているものもありますし、これからますます起きそうなものもありますけれど、いずれにしても、今は自然災害も経済崩壊もパンデミックでも掻き消され「やすい」社会の状況にありますので、ご注意深くお過ごしされますように。



  

2014年02月05日



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▲ 2014年1月27日の英国 Daily Mail より。






 


リバプール大学という英国の名門国立校の科学者たちが、最近、地球の磁場の反転について言及し、それにより磁場の崩壊や、気象が大きく荒れる可能性があるというようなことについて述べたことを、英国のデイリーメールが報じました。

磁場の反転については、すでに太陽では起きているわけですが、太陽の場合は 11年ごとに起きる定期的イベントであることに比べて、地球の磁場の反転というのは、そう頻繁に起きるものではありません。

実際に最近は磁極の移動が加速していることは数年前から何度か記したことがあります。

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▲ 過去記事「加速するポールシフト : この100年間での極の移動の距離はすでに 1100キロに」より。下のグラフを見ると、この後の 2000年頃から、さらに磁極は大きく移動しています。



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▲ 過去 420年間の毎年の北極の磁場の移動距離のグラフ。過去記事「アメリカ大気局が発表した驚異的な近年のポールシフトの加速」より。



これは、磁極の移動という意味でのポールシフトなのですが、現在も進行していると思われます。

今回のことをご紹介しようと思ったのは、最近の地球の気候の「半端ではない荒れ方」があります。

リバプール大学の科学者たちは、「気候が荒れる可能性がある」と言っているのですが、もはや、すでに、地球の天候と自然現象は大変に荒れていて、その原因をこれまでの通りの気象科学で考えることは、やや難しくなっている気もするからです。


ところで、その前に、昨日の記事、

久しぶりの雪の中で思う 21世紀の預金封鎖とか、気候の近い未来とかの「厄介で具体的な現実」のこと
 2014年02月04日

の最初に写真を載せました、「太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー( SDO )の前で太陽を遮断した月」のことを記しておたきいと思います。





月が太陽フレアから地球を少し守ってくれていた日

今年 1月30日に、 NASA の太陽観測衛星 SDO が、「太陽が月で遮られる」光景を撮影しました。ちょうど、 SDO と太陽の間を月が通過していったことによります。

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▲ その時の大体の様子。 Spaceweather よりソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーが撮影した画像。最大で 90パーセントの太陽の視界を月が遮りました。


上の写真から動画を作成しました。

月が太陽面を通過 Lunar transit of the Sun / 2014-01-30




太陽がいきなり隠れるという現象は、理由がわかっていても、何となくドキドキするもので、「このまま太陽が消えてしまったらどうしよう」などと、いつも思います。

それはともかく、このことをご紹介したのには、もうひとつの理由がありしまて、実は、下の写真のこの時

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に、「太陽の隠された部分で何が起きていたか?」ということなんです。


実はこの時、太陽ではMクラスの太陽フレアが発生していたのです。

下は Spaceweather が作成したイメージ図です。

sun-transit-moon.jpg

Spaceweather より。


そして、太陽フレアと共に巨大な CME (コロナ質量放出)が地球に向けて放出されたのですが、まさに「その瞬間」に月は太陽の前に入り込み、 CME の直撃から地球を守ってくれたのでした・・・なんてのは実はウソにも近い誇張した話で、すみません。

月は太陽に比べて、あまりにも小さく、実際には CME の直撃に対しての抑止効果の影響などないのですけれど、視覚的には、どうしてもそう見えてしまい、「月も大したものだなあ」と思ってしまった次第です。

太陽と月の位置や大きさの関係については、 2012年の、

2004年の金星に現れたアークは再び現れるのか。そして、私たちは太陽系システムの奇跡にそろそろ気づかなければならない
 2012年06月05日

という記事で下のそれぞれの図を作成したことがあります。

太陽と月の直径の差

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▲ 太陽の直径が約140万キロメートル。月の直径は約 3,500キロメートルです。その大きさの差は約 400倍


地球からの月と太陽の距離

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▲ 地球から月までの距離は約 38万キロメートル。地球から太陽までの距離は約 1億5000万キロメートルで、その距離の差は約 400倍


上のように、月と太陽の大きさは約 400倍違います。
そして、距離もまた 400倍違うという事実があります。

この比率がほぼ同じために、日食などの「食」という現象が起きるのですが、皆既日食などが起きるという事実を考えると、これは「奇跡」としか言い様のない直径と距離の差の「偶然の一致」だと思い、感嘆したものでした。

そのようなこともあって、過去記事のタイトルに「太陽系システムの奇跡」というような文言を入れたのですが、まあしかし、そのような「自分が奇跡と勝手に思っている」ことを人様に強要するような書き方も良くなかったかな、とも思いまして、最近は、これらのこと(惑星同士の大きさや位置関係などの、あまりにも絶妙で奇跡的な配置)については、人に言うことはなくなりました。

いつも「生きている世界そのものが基本的に奇跡の存在」だと、ひとりで頭の中で考えています


私は今は以前よりさらに口にすることや書くことに対して慎重になっています。

「本当に思っていることをそのまま素直に全部出すと社会から弾かれる」

と肝に銘じて生きています。

そのせいで、「頭の中の世界の存在」と「実際の世界の存在」の間がギクシャクすることもありますけれど(場合によっては、それを発狂とも言うぞ)。


そんなわけで、視覚的には地球を作ってくれた瞬間を見せたくれた月のお話でありました。


ここから本題の記事です。

なお、翻訳した記事の最初に


> 地球の磁場は、過去 200年間で15%で弱くなっている


という部分がありますが、これについては、過去記事「ドイツの科学研究法人が「急速なポールシフトと気候変動と超巨大火山の噴火が同時に発生していた」ことを証明」に、秋田大学地球資源学科の文書に引用されていた「地球の地磁気の強度変化」の図を掲載したことがあります。

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地球の地磁気がどんどん弱くなっていることがおわかりかと思います。

これは磁極の移動(ポールシフト)が進む中で、いつかは「ゼロ」になると見込まれていますが、それがいつかはわかりません。地磁気がゼロになった時には、相当、地球上が厄介なことになるということは確かです。

今回ご紹介するデイリーメールの記事には、そのことにもふれられています。




Forget global warming, worry about the MAGNETOSPHERE: Earth's magnetic field is collapsing and it could affect the climate and wipe out power grids
Daily Mail (英国) 2014.01.27

地球温暖化のことはとりあえず忘れて、それより心配すべきは「地球の磁気圏のこと」だということを考えてほしい。現在、地球の磁場は崩壊し続けている。気候が影響を受け、そして、地上の電力網が一掃される可能性さえある

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▲ 地球の磁場は、非常に高温に溶融している地球中心核で生成される。科学者たちは、かつての火星は、現在の地球と同様の磁場を持っており、それで火星の大気を保護していた時代があると考えている。


地球の磁場は、過去 200年間で15%で弱くなっている。これは、地球のN極とS極が反転しようとしている兆候かもしれないが、仮にそうだった場合は、太陽風が地球のオゾン層に穴を開けてしまうことにより、電力網に損傷を与、天候に影響を与える。また、ガンの発生率を高める可能性もある。


地球の最深部にある、激しい溶融する地球中心核は、太陽風による地球の壊滅的な被害を守るための磁場を形成している。この地球の磁場の保護領域は、宇宙空間に数千キロに広がっている。この磁気は、全世界的な通信システムから、動物たちの移動の方向、さらには、地球の天候パターンに至るまで影響を与えている。

しかし、このような、地球上の生命にとって非常に重要である磁場は、過去 200年の間に 15%も弱くなっている。これは、科学者たちが主張することもある地球の極が反転しようとしている兆候かもしれない。

専門家たちは、私たちの地球は現在、磁極の反転の機が熟していると考えている。しかし、それがいつ起きるかについては誰にもわからない。

しかし、仮に、これが発生した場合、それは地球の気候を根本的に変えてしまい、ガンの発生率を押し上げる。さらに、地球の電力網を一掃してしまう可能性があり、人類にとって壊滅的な出来事のひとつともいえる。

英国リバプール大学の地球海洋生態科の科学者であるリチャード・ホルム( Richard Holme )教授は、「これは深刻な事態です」と述べる。

「あなたの生活から数ヶ月間、電力が消え去る事態を想像してみるとよいかと思います。今の生活はどんな些細なことでも、電力なしでは成りっていないことに気づかれると思います」。


そして、地球の気候自体が劇的に変わってしまう。最近のデンマークの研究では、地球温暖化も CO2 の排出量と関係しているのではなく、磁場が関係していることが示された。

また、磁場の崩壊は、地上全体としての宇宙放射線への曝露が多くなり、推定される計算では、多くのガンの発生を導き、死亡率が上がる要因となるだろうとしている。



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▲ 磁気圏は地球の磁場によって生成される、地球の周りの大きな領域だ。この存在により、太陽風の荷電粒子は磁力線を横切ることができずに、地球の周りに偏向していることを意味する。


世界の宇宙機関もまた深刻な脅威を受ける。 昨年11月に、欧州宇宙機関( ESA )は、地球の磁場の変化の観測するための「 SWARM ミッション」という計画により、磁気観測衛星3機に観測を開始した。

ロンドン大学ムラード宇宙科学研究所のコリン・フォーサイス( Colin Forsyth )博士は以下のように言う。

「私たちは、地球の内部の基本的な理解を持っている一方で、まだ知らない多くのことがあります。私たちは、地球の磁場が生成されるシステムを完全に理解しているわけではないのです」。




  

2014年02月04日



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本当は今日はまるで違う方向の記事を書いていたのですが、途中からどんどん話が逸れてしまい、修正できないまで逸れてしまいましたので、今回はそのまま記します。

雑談に近くてすみません。

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▲ 本当はこの「太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー( SDO )の前で太陽を遮断した月と、その裏で起きた太陽フレア」のことを書こうとしていたのですが、明日書きます。2014年1月31日の Spaceweather より。






 


気候も経済も歯車がズレてきていることを感じながら

今日の午後、外で子どもたちの叫び声のようなものが聞こえてきたので、何かと思って、ベランダに出てみると、雪が降っていました。その雪で雪合戦をやってみたり、あるいは雪を見て興奮した学校帰りの子どもたちが叫んだりしながら、道を歩いていたのでした。

最近のこのあたりでは珍しいほどのまとまった雪でした。

それにしても、一昨日などは宮崎県では下のニュースでしたからね。

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▲ 2014年2月2日のテレビ朝日より。

ニュースの内容は、



宮崎では、2月としては観測史上初めて25度を記録しました。九州では記録的に気温が上がり、宮崎空港では2月としては観測史上初の夏日、鹿児島は23.5度と64年ぶりの暖かさです。



というものでした。これが一昨日のことでしたが、今日は、全国各地に「今季最強レベルの寒波が襲来」ということだそうで、めまぐるしいことです。


大雪といえば、イランなどでも雪で大変なことになっています。 50年間で最も激しい大雪に見舞われていて、テヘランなどでも大混乱しているようです。

何しろ、2メートルも積もっているところもあるそうですから。
下の写真は、雪国の光景そのものですけれど、昨日のイラン北部の光景なのでした。

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▲ 2014年2月3日のイラン北部の様子。地球の記録「過去 50年間で最悪の豪雪に見舞われているイランで数十万世帯が停電」より。



その一方で、雪国として名高い山形などでは下の状況。

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▲ 2014年2月4日の河北新報社「山形市、現在積雪ゼロ」より。


山形だけではなく、新潟や釧路など雪が少なくて困っているところも多いようです。

雪国は「冬には雪が降る」ことが前提となっている、いろいろな行事やイベント、観光事業が組まれているものですので、雪が降らないと困るところも日本には多くあるはずです

そういう意味では、今年はいろいろとうまくは回ってくれていないようです。

いろいろとうまく回ってくれないといえば、下のは今見ました Google ニュースのトップニュースふたつですが、そのふたつの見出しも、どうも歯車が合っていない。

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▲ 2014年2月4日17時06分の Google ニュースより。


「日経平均、610円安」

というのと、

「トヨタ、過去最高益へ」

というような記事の並びは、やはりぎくしゃくした並びではあります。

ちなみに、その「6年ぶりの過去最高利益」のトヨタの今日の株価は、見事な奈落の底に。

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▲ 2014年2月4日のトヨタ株の終値。


昨年の大晦日に書きました記事、

汚れた血も悪くはないと考えていた 2013年の終わりに「太陽の磁場のポールシフトはすでに完了していた」ことを知る
 2013年12月31日


の中で、雑談として、「 2013年のアメリカの株価のチャートは、 1929年の大暴落時と同じチャートを描き始めているという話もあるとかないとか」というようなことを記したことがありましたけれど、実際どうなんですかね。

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▲ 上の記事より。


機械などはあまりにも歯車が合わないと、それは結局壊れますけれど、最近の「合わない歯車」というのは、そういうような軋みと関係しているものなのかどうかは何ともわかりません。






預金封鎖の本当の意味とは

そういえば、先日、昔からの知り合いからの電話で、相手と話していた時に下のように話してきました。


相手 「なんか雑誌で読んだんだけどさー、預金封鎖って何? 対抗する手段ってあるの? 金(きん)とかどうなの?」

わたし「素人のオレに聞いてどうする。・・・しかし、オレの意見ではなく、元プロの意見では・・・」


ということで、いつだったか忘れましたけれど、買って放置してある「元日銀マンが教える預金封鎖」という本に書かれてあった中でウロ覚えしていたことを少し説明したのでした。

この本は元日銀の調査統計局というところに勤務されていて、日銀に怒りを覚えて辞めた本吉正雄さんという方が書かれたものです。

この本には、預金封鎖の歴史やメカニズムを含めて、長くいろいろと書かれてあるのですが、それらはともかく、ところで、「預金封鎖」とは何かということについて、私もこの本を読むまで「根本的な意味で勘違いしていた」のですが、皆さんは預金封鎖とはどのようなものかご存じでしょうか。

何となく「預金をおろせなくなる」ということのように思われるかと思います。

違うのです。

いや、違うわけではないのですが、預金封鎖の根幹は次の一点にあります。


「強制的に銀行に現金を預金させること」。


これが預金封鎖なのです。

つまり、タンス預金だとか、他の貯蓄方法を一切認めず、すべて銀行に預けさせるのが預金封鎖で、そして、その後は決められた額しか下ろせない。

参考までに戦後の昭和 21年 2月 16日に発令された「預金封鎖令」の内容について、上記の「元日銀マンが教える預金封鎖」から掲載します。

実際の法令の名称は「金融緊急措置令」です。




昭和21年2月16日に発令された「金融緊急措置令」(預金封鎖令)の内容

△ 現在流通している紙幣の通用は三月二日限りとする。

△ 新紙幣と旧紙幣の交換期間は二月二五日から三月七日までとし、交換限度は一人につき一〇〇円。それ以上の旧紙幣は預金として封鎖。

△ 封鎖預金からの現金引き出しは、一ヶ月につき世帯主三〇〇円、家族一人につき一〇〇円とする。給料の支払いは一人につき五〇〇円まで、それ以上は預金として強制的に預け入れ。

△ 臨時財産調査令によって、三月三日午前0時現在で財産調査を行い、財産税算定の基礎とする。





というようなものだったようで、あまり抜け道の作ることのできないものだったようです。

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▲ 当時の新聞。



というようなことを電話の知り合いに簡単に話しました。

相手 「ふーん。じゃあ、結局どうすればいいわけ?」
わたし「オレやそっちみたいに財産も貯金もない人間は何もしなくていいよ」
相手 「ちょっとはあるよ。家とか」
わたし「あ、それは財産税の対象だ。当時の最高税率は90パーセント
相手 「そんなもん払えるわけないじゃん」
わたし「財産税を収められないと物納。つまり家を差し出す」
相手 「大変だったんだなあ」
わたし「日本で一番払ったのは天皇家。当時のお金で30億円以上払ったとか」





預金封鎖の対処

ちなみに、その本には対処法などの是非もいろいろと書かれてありますが、対処として、私たちのような一般人が出来ることで、もっとも効果的なものを一点挙げるとすれば、

小銭を貯める

ということになるようです

こう書くと馬鹿みたいですので、少し抜粋します。


過去の預金封鎖の事例をみても、生活に密着した少額の通貨については預金封鎖・財産税の徴収から免れている。

戦後の預金封鎖のときには一〇円以上(後に五円以上)の通貨が預金封鎖の対象となった。それ以下の少額貨幣は交換する手間が莫大になることもあって、預金封鎖の対象からは外されたのだ。ここに預金封鎖の穴を見つけることができる。

預金封鎖に対抗するために、明日から五百円玉貯金を始めよう。




とあります。

なお、知り合いが質問した「金(ゴールド)を持つこと」については下のようにあります。



預金封鎖・財産税を免れるために、実物資産としてゴールドを持つという方法をすすめる人もいる。

これはおすすめすることができない。なぜならば、ゴールドでもっていたとしても、いずれは通貨に換えなければ役に立たない。まさか金塊を持って買い物に行き、金貨で支払いをするわけにもいくまい。

そこで金の地金を通貨に換える必要が出てくる。しかし、預金封鎖・財産税が実施されているような状況で、金が自由市場で簡単に売買できるはずはない。

当然のことながら、そうした貴金属の売買は国家管理となるであろう。実際、戦時中はそうした方策で金を自由に売買することができなかった。




とあり、つまり、「金というのは経済や国家が安定している時には価値になるが、経済的な非常事態下では価値にならない」ということのようです。

さらに恐ろしいのは、戦後の場合は「財産供出」といって、そのまま単に没収されるだけといったことがあったのだそうで。没収に応じない場合は刑事罰が適用されたそうです。



それはともかく・・・・・なんで、ここまで話が脱線してしまったか・・・・・。



まあしかし。

人生のうちで1度くらい預金封鎖を経験するというのも、ダイナミックな資本主義のもとで生きている私たちとしては、いい経験かもしれません。


その現実味は日々増していますしね。


資産のある方と、私のように「ない人」の対処は違うでしょうけれど、結局は、

・衣
・食
・住

というものが人間の生きる三原則だとすれば、それをどうするかということだけの話ではないかとも思います。


というわけで、今回は変な方向の話となってしまいましたけれど、経済や金融もまた私たちの生きる現実ではありまして、そして、なければないに越したことはないとはいえ、今や「預金封鎖」という言葉は比較的一般的な言葉にさえなっているわけで、先はやはりわかりません。

これも昨日の記事のタイトルにしました「霧の中」のような先行きのわからないひとつなのかもしれません。



  

2014年02月03日



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1月は隕石の突入で始まり、2月は「霧」で幕を開ける2014年


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▲ 濃霧の中に浮かび上がる高速道路の交通警備員の姿。2014年1月31日の中国南都網より。


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▲ 2014年2月2日の RT より。






 


ペルーでは2012年に数千頭規模の大規模なイルカの大量死が起きましたが、数日前、再び、ペルーの海岸に 500頭以上のイルカが死亡して打ち上げられました。また、以前から記しているアメリカ東海岸のイルカの座礁ですが、2013年の1年間のその数は「平均の10倍弱」という驚異的な数値であることが判明しました。

そのようなことを記録として記しておこうと思いますが、その前にちょっと、タイトルにも入れさせていただきました「霧」と関係する時事的な話題など。






世界は霧の中

昨日 2月2日は、関東全域で濃霧が発生していたそうで(私のところも関東ですが、なぜかまったく霧がありませんでした)、下のような、ちょっと映画「ブレードランナー」っぽい東京タワーの周辺の写真などが掲載されていました。

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▲ 2014年2月2日の毎日新聞より。


この「濃霧」。

旧正月に入りつつある中国全土の多くでも発生しています。

最近は光景が「大仰」になりやすい中国ですが、濃霧の写真も、やや現実を逸脱しているような映画的な味わいがあります。冒頭に貼った写真も数日前の中国の報道です。視界が 500メートルもないのだとか。

中国は通常のスモッグの問題などもあり、どんどん「霧の国」となっていっている感じもあります。

また、旧正月は、爆竹や花火が、各地で多く打ち鳴らされるため、さらに大気の状態が変化する可能性があるとのこと。

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▲ 霧とスモッグに包まれた 1月 31日の北京の夜景。2014年1月31日の新華網より。


中国では旧正月というのは一大イベントで、帰省と観光によって、想像を絶する数の人たちが移動します。中国国際放送局の報道では、現時点ですでに「 14億人以上」が移動しているとのこと。


春節連休2日目も濃霧で高速道路が通行止め
中国国際放送局 CRI 2014.02.02

広範囲に発生した濃霧の影響により、春節(旧正月)連休ニ日目となった1日に、依然として12省・市の53の高速道路の一部の区間が通行止めとなっています。

しかし一方で、人々の親戚回りや旅行などへの意欲は留まるところを知りません。交通運輸省によりますと、春運(旧正月の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)開始以来、全国の道路の旅客輸送量は前年比6.7%増の延べ14億1800万人に達したとのことです。

また、大勢の観光客が景勝地に詰め掛けており、中国南部の雲南省では1日だけでも139万人の観光客が訪れました。





とのこと。

さらに、少し古いものですが、下のような写真も幼少の頃の映画的な記憶を思い起こさせてくれます。

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▲ 河北省の高速道路。 2013年12月9日の第一金融網より。



上の光景などは、学習障害の一種であるディスレクシアであることで有名なスティーブン・スビルバーグ監督の『未知との遭遇』に出てくるマザーシップの下にでもいるような感じにさせてくれます。

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▲ 『未知との遭遇』(1977年)より、科学者たちの前に現れたマザーシップ。


話が逸れましたが、日本や中国の霧の報道を見て、

「なるほど、2月は霧で始まったか」

と、何となく思った次第です。

霧というのは、手探りの世界を示唆しているようで、趣深いです。






再度発生したペルーのイルカの大量死。そして、多分また増え始める「ソチ」でのイルカの大量死

2012年の春、ペルーで総数では数千頭のイルカが死亡して打ち上げられるという出来事がありました。その時の記事は、

政府により立ち入り禁止となったペルーのイルカ大量死現場周辺の海岸
 2012年05月09日

などにあります。

当時、最も多くイルカの死体が漂着したのが地図の下のあたりです。

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そして、そのペルーで、またも、死亡したイルカが大量に打ち上げられる出来事が起きています。
その数、約 500頭。

冒頭に貼りましたような報道が南米のスペイン語圏で非常に多く報道されています。

まだ調査が始められたばかりで、原因はわかっていませんが、前回の 2012年の時も、結局、数千頭のイルカが死亡した理由は、様々な推測はあったものの、断定された原因は報道にはならなかったと記憶しています。



2012年のソチでの数百頭のイルカの大量死の原因は

そういえば、その同じ頃、黒海のソチでもイルカの大量死が起きていました。
今回の冬のオリンピックがおこなわれる場所です。

そのことについては、

黒海の大量死: ロシアのリゾート地「ソチ」の海岸に連綿と連なるイルカたちの亡骸
 2012年06月11日

という記事でご紹介したことがありますが、このイルカの大量死とオリンピックには、「もしかすると」関係があった出来事だったかもしれません。

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▲ 2012年5月24日の Radio Free Europe より。


上の2年前の報道では、


イルカがソチの海岸に打ち上げられ始めたのは、数週間前のことだ。イルカは、ウクライナ側の黒海沿岸にも打ち上げられた。環境保護団体によれば、現在までに、イルカなどの大型生物を含めて約3百匹の海洋生物の死体が見つかっているという。

(中略)

ソチは 2014年の冬季オリンピックの会場に選ばれているが、それ以来、ソチ周辺の汚染物質の濃度が高くなったという。ソチでは建設ラッシュに制限が設けられておらず、このままではソチ独自の生態系が回復できない状態にまで破壊されてしまうのではないかと懸念されているという。




とありました。

オリンピックの地は、それが終われば、多くの人々に忘れ去られますが、仮に生態系が崩壊したままなら、さらに海洋生物の大量死はソチでも続いていくのだと思います。大量の金メダルの表彰台は大量のイルカの「死霊」で作られているという概念・・・なんてことは書いちゃいけないことでしょうかね。


ちなみに、黒海で死亡したイルカたちは、「アゾフ海」という内海から移動してきたものらしいのですが、そのアゾフ海の水はその年の夏に「真っ赤」になりました。

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▲ 過去記事「赤の意味(1): 再び現れた赤い海と赤い雨」より。


「いろいろなことが連なっている」というようなことも今となって、気づいたりすることもあります。

そして、昨年から記していますアメリカ東海岸のイルカの大量死も、相変わらず続いています。






アメリカ東海岸の2013年のイルカの大量死の総数は平年の10倍に

これまで、こちらの記事こちらの記事などに、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)のデータを掲載していました。

2013年 1月 1日から 11月 24日までのイルカのアメリカ東海岸のイルカの座礁数

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▲ 過去記事「東の海ではイルカの大量死、そして、西の海ではザトウクジラの狂乱の渦中にあるアメリカ」より。


今年 1月 26日、アメリカ海洋大気庁は 2013年の1年間を通したアメリカ東海岸でのイルカの大量死のデータを発表しました。

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アメリカ海洋大気庁より。


上の総数で示されたアメリカ東海岸のニューヨーク州からフロリダ州とは下のエリアを指します。

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アメリカ海洋大気庁より。


その中で、最もイルカの漂着が多い、ニューヨーク州、ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州、ヴァージニア州、そして、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ジョージア州、フロリダ州の9つの州での正確なイルカの死亡総数は下の表の通りです。

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アメリカ海洋大気庁より。


これを見ると、2013年は平年の10倍近い数となっていることがわかります。

今のところ、減る気配を見せていません。

そんなわけで、どんな世界に生きているのかよくわからない、まるで、霧の中を歩いているような状態で生きている私たちですけれど、それでも世界は続きます。