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2014年08月27日



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日本近郊の海域で記録された「謎の赤い爆発」と環太平洋火山帯の活発化の関係。そして「火山噴火の連鎖」が起きる兆しのあるアイスランドでは伝説のラガーフロットの龍が「存在する」と認定され



8月24日に日本の北東部海域で記録された謎の爆発的な光の現象

red-orange-top.jpg
PBase

red-glow-light.gif
・PBase
PBase






 



冒頭の写真は、写真の投稿サイト PBase に、日本からアラスカに向かっていた飛行機の操縦士たちが目撃して記録・撮影したものです。

Unknown orange/red glow over Pacific Ocean
(太平洋を覆う正体不明の赤やオレンジの光)

に操縦士本人の記載があります。

航空機の操縦士たちはこういうものを見ると、当然、危険かどうかを判断しなければならないこともあり、雷雨の状況や、既知の爆発などの情報を収集しましたが、結局この光が何かわからないままだったようです。

しかし、操縦士は、説明し得る最も可能性の高い現象として、

巨大な海底火山の爆発が起きたのではないか

としていました。

ただまあ、他の写真を見ると、火山の爆発とは思えないような下の写真のようにカラフルな色彩のものもありますが、雲の下の光景ということで、このように見えるものかもしれません。

color-1.jpg


pacific-light.jpg
PBase


あまりにも綺麗ですので、光輝く飛行体などのようにさえ見えます。

まあ、これが UFO の連隊であっても、それはそれで構わないのですが、それだと話はここで終わってしまいますので、操縦士の推測したように、「海底火山の爆発が起きているかもしれない」ということで考えてみました。

パイロットが記録した位置 N47 33.0 E159 12.0 という場所は、グーグルアースなどで見ますと、下のような地形です。

japan-vol-map.gif


特に海底火山らしき地形の感じは見当たらないですが、それでも、このあたりは、環太平洋火山帯の中で、インドネシアと並んで、最も火山活動が活発な場所で、また、特にアリューシャン列島と呼ばれる一帯は、今年になって非常に激しい「地震」と「火山活動」が続いています。

alska-map-0824.gif


今年の6月の、

環太平洋火山帯の目覚め? : アリューシャン列島とアラスカで続く群発地震から2年前に発表された「地球の磁場の反転と巨大火山活動が関係する」という論文を思い出す
 2014年06月23日

という記事では、その6月の時点で、噴火の可能性のある黄色の警報(コード・イエロー)が出ている火山が3つ(クリーブランド火山、ベニアホフ火山など)あり、また、噴火が差し迫っていることを示す警告(コード・オレンジ)が出ている火山(シシャルディン火山、パブロフ山など)が3つあることを記しています。

aleutians-wakeup-2.gif

▲ NASA の国際宇宙ステーション ISS によって撮影されたアラスカ半島南部にあるパブロフ火山。2014年6月23日の MINING より。


その記事では後半で、

「磁気の逆転は大規模な火山活動と関係している」

というタイトルの海外の記事( Magnetic Reversals Linked to Massive Volcanism )の翻訳をご紹介しています。

その記事の冒頭は、


リバプール大学の科学者たちは、大規模な火山活動が磁極の反転のトリガーとなる可能性を示唆する研究を発表した。この科学者たちは、地球の磁場の長期反転率の変動が地球の核からの熱流の変化によって引き起こされ得ることを発見した。


というものでした。

そして、ほんの2日ほど前に書いた、

地球を動かしているものは何か : 一夜にして出現したメキシコの断層、シベリアのクレーター。そして、磁極から遠く離れたアメリカ周辺で続く地殻異変と多すぎる地震
 2014年08月25日

という記事も、内容は、シンクホールや、あるいは大地の亀裂や地震などについてのことでしたけれど、最終的には、


それらの現象が、

地球の磁極の反転(磁場のポールシフト)

または、

真の極移動、あるいは地球の自転軸の変化

にあるかもしれない。


という可能性について書いたものでした。

上の記事で南米から北米までの最近の地質的出来事に、過去の巨大地震のことなどを加えた図を載せたのですが、そこにさらに、「環太平洋火山帯」を重ねてみますと、次のようになります。

pacifuc-rim-america.gif


それで・・・まあ、本当に個人的な考えですけれど、

地球の磁場の移動だとか、あるいは、地球表面の物理的な移動みたいなことが最初にハッキリと現象としてあらわれるのは環太平洋火山帯なのではないか

というようなことも、今現在の地震や火山活動の増加の傾向から見て思わないではないです。

あるいは、すでに起きている様々なことも、それらのようなことと関係するのかもしれないという気もします。

最初に載せましたカムチャッカ半島の「光」に関しては、公式な記録が、アラスカ州に送られていると思いますので、そのうち、それが海底火山の巨大噴火だったのか、そうではなかったのかがわかると思います。

できれば、火山ではなく、 UFO か大気の光学現象か何かだった、ということでお茶を濁して終わってほしい感じもします。

なぜなら、アリューシャン列島からカムチャッカ半島へと地震と火山活動が活発化すれば、日本の地震と火山の活動の活発化も避けられないと思うからです。


火山といえば、環太平洋火山帯と関係のない場所で孤軍奮闘して気炎を上げるアイスランド。

現在、このアイスランドでは、バルガルブンガ山( Barðarbunga )という火山が噴火しています。ただし、現時点では氷河の下の「氷底噴火」いうもので収まっていて、地上への影響は出ていません。

しかし、ここにきて、「やや恐ろしいかもしれない事態」がアイスランドで起きているかもしれないことが BBC で報じられています。




マグマが他の巨大火山へ移動していることが確認されたアイスランド

icelandic-magma-move.gif

▲ 2014年8月26日の BBC Iceland volcano: Magma moving towards new volcanic system より。


この BBC の記事はかなり長い記事なんですが、簡単にその内容を記しますと、


現在、氷河の下で噴火しているバルガルブンガ山のマグマが、「まっすぐに」アスキャ山という他の火山系に移動していることがケンブリッジ大学の調査研究チームによって確認された。


というものです。

確認された移動したマグマの量は、8月 26日までの過去 24時間で、実に「 5000万立方メートル」。

バルガルブンガ山とアスキャ山の位置体系は下のようになります。

Bargarbunga-Askja.gif


このアイスランドのアスキャ山というのは、「アスキャ」というような可愛らしい響きとは裏腹に、強力な火山のようです。


アスキャ/ 歴史 - Wikipedia

アスキャは、1875年3月29日に大噴火を起こすまでほとんどその存在を知られていなかった。
この噴火により、アイスランド島の東部のフィヨルドには大規模な降灰があり、家畜が死ぬ、農業が行えなくなるといった被害を多く出した。

この噴火による火山灰はノルウェーやスウェーデンにまで到達した。これによりアイスランドからの大規模な移住が起こることになった。


という歴史を持つようです。

そして、そのアスキャ(やっぱり可愛い響きですが)へ大量のマグマを移動させていることが確認されたバルガルブンガ山は、噴火に伴うものなのか、それ以外の要因もあるのかどうかわからないほど、「どんどんと地震が激しくなっている」という事実があります。

下は噴火直前の 8月 22日までの 48時間のアイスランドでの地震の記録です。
その時でもアイスランド全体で 1888回という非常に激しい地震を記録しています。

m3-22.gif
来たるべき地球のかたち


しかし、8月 27日現在、地震は規模も回数も増え続けていて、過去 48時間では、下のようにマグニチュード5を越える地震が頻発し、回数も増え続けています。

ice-08-27.gif


ただ、「膨大なマグマの移動が起きている」ことは観測されても、「次に何が起きるのか」というのは、ケンブリッジの研究者たちにも確実な推測は存在しないようです。つまり「起きてみないとわからない」と。




そんなアイスランドで認定された「ラガーフリョット湖のワーム」

かなり以前、

アイスランドの龍「指輪ドラゴン」の伝説
 2012年02月14日

という記事を記したことがあります。

これは、ラガーフロットのモンスター、あるいは「ラガーフロットの龍(ドラゴン)」と呼ばれている、アイスランドのラガーフロット湖に棲息していると言われている伝説の生き物の話です。ちなみに、当時は「ラガーフリョット」と表記しましたが、一般的には、ラガーフロットの日本語表記が一般的とされているようです。

そしてこれは、昔から今に至るまで、しばしば、その湖で姿を目撃されます。

下の写真は 2012年にはじめて動画で撮影された「ラガーフロットのモンスター」とされるものです。

d-01.jpg


下のように動きます。




そして、アイスランドの伝説では、

このドラゴンの出現は大きな出来事が起きる予兆となる

と言われているそうです。

詳しいことは、上の過去記事にその伝説や歴史を記してありますので、ご参考いただければ幸いです。

今回、なぜこのことを取り上げたかというと、最近、上のビデオが「本物である」と、アイスランドで公的な認定を受けたことが報道されていたからです。

lake-worm.gif
Iceland Review


アイスランドのフリョツダルシャラス市( Fljótsdalshérað )という市の市議会にある……ということは、つまり公的な機関として「ラガーフロットのモンスターの真実委員会」というものが存在するらしいのです。

1997年から、この「真実委員会」は、湖のモンスターの証拠を提出した人に賞金を提供するとしていたのですが、上の 2012年に撮影されたビデオが、今年8月に、その「真実委員会」から「真実のものである」と認定されたのだそうです。

うーむ・・・。

それはそれで夢のあるよいことなのかもしれないですが、しかし、アイスランドの伝説では上にも書きました通り、


ドラゴンの出現は大きな出来事が起きる予兆となる


らしいですし。

もちろん、その大きな出来事が「良いこと」なのか「悪いこと」なのかはわかりません。そして、その予兆が「アイスランドだけに関しての予兆」なのか、もっと大きな範囲に渡っての予兆なのかは、私は知りません。

いずれにしても、予兆としての存在でもあり得る、そのアイスランドのドラゴンはこの8月に見事に「真実」だと認定されたという次第です。



  

2014年08月26日



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終わりまで「存在」のゲームをしなさい
はじめから
はじめから

----- ビートルズ(作曲:ジョン・レノン) / トゥモロー・ネバー・ノウズ



8月16日にイングランド中部ウォリックシャーのネトゥル・ヒルで見つかった「ホルスの目」を描いたクロップ・サークル
horus-eye-top.jpg
Nettle Hill, nr Ansty, Warwickshire, United Kingdom






 

終わりまで「存在」のゲームをしなさい

タイトルにはジョン・レノンと書きましたけれど、ビートルズとしての曲に、 1966年のトゥモロー・ネバー・ノウズ( Tomorrow never knows / 明日は決して知らない )という作品があります。

私は若い時から、この曲がとても好きでよく聴いていました。
今でもビートルズの曲の中では最も好きな曲です。

しかし、たとえば、「ビートルズで好きな曲ベスト3を挙げなさい」のような質問をされるとすると、2曲目は、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー(曲は YouTube に)で、3曲目は「アイ・アム・ザ・ウォルラス(曲は YouTube に)だったりしまして、この3曲はすべてジョン・レノンの曲です。

さらに拡大していっても、ジョン・レノンの曲ばかりとなっていく・・・という部分は確かにありまして、そういう意味では、私の中では「ビートルズというのはジョン・レノンを意味する」という部分がかなり大きいのですけれど、いずれにしても、私は今でもこの曲をよく聴いています。

話は変わりまして、先月のはじめに、「ソルフェジオ周波数」というものと関係する記事を書いたことがあります。

5000年前から「ソルフェジオ周波数」を駆使していたかもしれない古代人:イタリアのハル・サフリエニ地下墳墓で見出された正確な周波数の共鳴が鳴り響く完璧な設計の部屋
 2014年07月03日

という記事です。

これは、イタリアのマルタ島にある 5000年前の地下構造物であるハル・サフリエニの地下墳墓を調査研究していた考古学者たちのチームが、このハル・サフリエニの地下墳墓の中にある「神託の部屋」と名づけられている部屋が、

極めて正確な周波数を出すために建物自体が設計されていたこと

ことを突き止め、その目的が、

「音(周波数)によって異なる意識状態を作り出すため」

ということが考えられるということに関しての研究発表の報道を翻訳したものでした。

Saflieni-Hypogeum.jpg

▲ ハル・サフリエニの地下墳墓の第二階層にある「神託の部屋」。部屋そのものが「特定の周波数を作り出すことができる設計」となっていることがわかりました。


つまり、

「マルタ島の古代の人々は、薬や他の物質を使用することなく、意識の異なる状態を音、あるいは周波数で得ることができていた可能性がある」

ということに言及した記事でした。



ソルフェジオ周波数の 528Hz とは

そして、ここに「ソルフェジオ周波数」という概念が絡んできます。

ここでは詳しい説明は省略しますが、レオナルド・ホロヴィッツ博士という研究者なども言及している、

周波数(音)による心と体の修復や向上

といった一種の、「音による治癒、あるいは、ヒーリング」、さらには「スピリチュアルな意識の向上」などと関係するようなものだと考えていただければよろしいかと思います。上の過去記事には、下のそれぞれの周波数の影響を下のように書きました。

・ 396 Hz・・・トラウマ・恐怖からの解放
・ 417 Hz・・・変容の促進
・ 528 Hz・・・DNA の修復
・ 741 Hz・・・表現力の向上
・ 852 Hz・・・直感力の覚醒
・ 963 Hz・・・高次元、宇宙意識とつながる


しかし、いろいろな記述があります。たとえば、マドモアゼル・愛さんのページには以下のように記されています。

・ 396 Hz・・・罪の意識やトラウマからの解放 恐怖の解消
・ 417 Hz・・・変化に対する恐怖を取り除く 変化の促進
・ 528 Hz・・・奇蹟の周波数。変容と無限の可能性
・ 639Hz・・・あらゆるものとのつながり 関係性の修復
・ 741 Hz・・・問題を解決する力 表現力
・ 852 Hz・・・直感力 自己の魂を知る



この中で注目していただきたい「 528Hz 」なんですが、私のほうでは、

DNA を修復する

ということをに重点を置いて書きましたが、あるいは、マドモアゼル・愛さんのように、

奇蹟の周波数。変容と無限の可能性

というように「奇蹟の周波数」とまで表現することもできるような大変な音(周波数)であるらしいことがわかります。

そして、私は上にリンクした先月のソルフェジオ関係の記事までそんな概念は知らなかったどころか、ソルフェジオという言葉もその時に初めて知ったと思います。

これが最近になって誰かから「発案」されたようなものなら、それほど興味は持たなかったはずですが、しかし、5000年前の古代人がそれを治療やヒーリングに使っていたかもしれないという論文を読みますと、やはり興味が湧きまして、結局、いろいろと調べたり聴いたりしていますうちに、今では、

「毎朝起きた後やふだんの BGMとして 528 Hz の音を聴いている」

という生活になっています。私は単純です(笑)。

それと、あとで書きますけれど、上のリストにはないのですが

432Hz

という音も BGM として聴いています。

まあ、これらの「音ヒーリング」が実際に効果があるのかどうかは、実際の大規模な臨床的な調査がおこなわれないと、どうにもならないなわけですけれど、私は、少なくとも BGM として聴いていて「苦にならない」せいか、ずっと続いています。

さて、ここから内容は、最初のほうに書きました、ジョン・レノンが今から 48年前に作った「トゥモロー・ネバー・ノウズ」と関係してくるのです。



ジョン・レノンの曲と 528Hz が共鳴した瞬間

beatles_in_India_10.jpg

▲ インドで作曲するビートルズ。年代は不明。真ん中がジョン・レノン。


先日、朝起きた後にいつものように BGM として 528Hz の音を聴いていた後、その日、ジョン・レノンの「トゥモロー・ネバー・ノウズ」を聴いていた時、ふと「あ!」と瞬間的に気づいたことがありました。

ちなみに、トゥモロー・ネバー・ノウズという曲は、ロックでは大変珍しいのですが「1コードだけの進行」で作られている曲です。つまり、ひとつだけの音階コードが全曲を貫くという、ポピュラー音楽では極めて珍しい試みをしている曲です。そのトゥモロー・ネバー・ノウズのオープニングのフレーズは、インドのタンブーラという弦楽器の旋律で始まります。

tampura.jpg
・インド楽器のタンブーラ

そのタンブーラの音色とその後、曲の最後まで続くベースの「音程」を聴いて、

「これは、もしかして」

と、ミキサーで、「トゥモロー・ネバー・ノウズ」と「 528 Hz の音」を同時再生しながら聴いてみますと、なんと、


ビートルズのトゥモロー・ネバー・ノウズは最初から最後まで、全部 528 Hz の周波数をベースとして作られていた曲だった



ことに気づいたのでした。




528Hz のトーンと比べてみるとわかるのですが、曲のイントロがまったく同じ周波数で、そのまま続く基本音階が曲の最後まで、「 528Hz の1コード進行」を崩さない曲だったのです。

ボーカルを含めていろいろな音が入りますが、最後まで続く基本コードは 528Hz から「1度も外れない」で構成されています。

もちろん、ジョン・レノンが 528Hz を意識して作ったわけではなく「偶然」なんでしょうけれど、

当時、1コードだけで作られるポップやロックなど考えられなかった
その中で、ジョン・レノンは 528Hz が基本となる1コードを選んだ

という、かなりギリギリの「偶然」で完成した「奇蹟の曲」ともいえます。

ちなみに、トゥモロー・ネバー・ノウズ - Wikipedia によりますと、この曲は、当初のタイトルが、

「マルコによる福音書 1」( Mark I )

になるはずだったことなども書かれています。

他にもいろいろと面白いことが書かれていますので、ところどころ抜粋します。


本作は、1966年にリリースされたイギリス盤公式オリジナル・アルバム『リボルバー』に収録された、ビートルズ初のサイケデリック・ロック曲。ジョン・レノンがCコードだけで作った。

後のヒップホップやクラブ系の音楽ジャンルでのトラック制作の基本であるサンプリングとループの作成の試みを、ポピュラー音楽界でいち早く実験して成功させた曲といえる。録音テープをつなぐのはジョン・レノンが現代音楽の手法を持ち込んだもの。

この曲は、「ダライ・ラマが山の頂上から説法しているような感じで」とジョンが指示したため、「レイン」で始めた逆回転録音をさらに進化させたような作品で、故にサイケデリックな作風に仕上がっている。

ジョンは晩年のインタビューの中で、当初思い描いていたイメージは、数千人ものラマ教の僧侶によるお経の大合唱を意図していたためであるとも語っている。

歌詞は、ティモシー・リアリーがチベットの『死者の書』を基にして書いた『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』に触発されたもの。



という、曲作りの意図からして、「奇蹟の音 528 Hz 」を象徴するかのような偶然のつらなりだったことがわかります。

ちなみに、『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』とは、、アメリカの心理学者で、ハーバード大学の教授だったティモシー・リアリー( 1920年 - 1996年)という方が、1964年に書いたもので、 1994年になってから日本語訳の版が出たのだそう。

このティモシー・リアリー教授のあまりの「変人」ぶりは上の Wikiepdia のリンクを読んでいただければわかると思いますが、それはこの方の「最期」の部分だけでも伝わるように思いますので、抜粋しておきます。


死の構想

前立腺がんの宣告を受けて、自らの死をデザインするという構想を発表する。
カリフォルニア州ロサンゼルスで1996年5月31日に死去。死亡後、切断した頭部のみを冷凍保存し宇宙葬にされる。



まあ、ティモシー・リアリー教授の最期はともかく、この方の著作に影響を受けて作られた「トゥモロー・ネバー・ノウズ」の歌詞の内容は下のようなものです。ビートルズ英語塾というサイトに訳が載せられていましたので、そちらを掲載させていただきます。



Tomorrow Never Knows
(明日は知らない)

こころのスイッチを切って、
リラックスして
流れに任せなさい
死んでいくのではない

すべての思考をなげうち、
空虚に身を任せなさい
輝いている

内側の意味が
わかるようになる
それは存在する

愛はすべて
愛は誰にでも
それは知ること

そして無知と憎悪は死を嘆く
それは信じること

あなたの夢の色に
聞き入りなさい
それは生きることではない

終わりまで
「存在」のゲームをしなさい
はじめから
はじめから





このラストの、

はじめから終わりまで「存在」のゲームをしなさい

というフレーズはいいですね。

原文は、

So play the game "Existence" to the end
Of the beginning


です。






宇宙の周波数と異なる現在の「基準周波数」

なんだかここまでで長くなってしまいましたが、冒頭に、古代エジプトのホルス神の目を象徴的に描いた「ホルスの目」のデザインのクロップサークルの写真を載せているのですが、これが今回の話とどう関係あるのかというと、

432 Hz

という周波数との関連で載せたのですが、この 432Hz の周期数では、オカルト的、あるいはスピリチュアル的な解釈では、

宇宙の周波数であり、振動である

と言われていたりするらしいものです。

冒頭のクロップサークルには、

・72個の三角形が描かれている
・24の放射ラインがある
・4つの扉がある


ということで、

・三角形75個 × 放射ライン24 = 1728
・その 1728 を扉の数の4で割ると「 432」となる


とのことで、つまり、この絵には、ホルスの目へと出入りするそれぞれの「扉(ゲート)」に、432 という数が割り当てられている・・・というようなことが描かれているといえるようです。

では、なぜ、432 という数が重要で、そして、

なぜ 432Hz は宇宙の周波数なのか

ということについては、いろいろと書かれているものもあるのですが、今日はここまでかなり長くなりましたので、他の機会にでもご紹介したいと思います。

ただ、ひとつ書いておきたいこととして、現在の音楽には「基準周波数」というものがあって、これは、

基準周波数 A=440Hz

となっています。

つまり、「ドレミファソラシド」のピアノ鍵盤の真ん中あたりの「ラ」の音を 440Hz として、すべての楽器や音楽の「音の周波数の基準」が決められています。

piano-440.gif
schoolphysics


まあ・・・つまりは、現在の 440Hz の基準周波数を「 432Hz 」にすれば、地球の音楽と宇宙の周波数が同期できる「かも」というようなことでもあるようです。

なお、acoutis によれば、19世紀には作曲家ヴェルディによって決められた基準周波数は A=432Hz だったようです。

また、1884年にイタリア政府が制定したピッチも 432Hz だったそうですが、その後、1925年にアメリカ政府によって、440Hz と定められたという歴史があるそう。

ところで、シュタイナーもこのことに言及していたようで、Solid Reasons Why You Should Convert Your Music To 432 Hz音楽を 432Hz に変換すべき確かな理由が存在する)というページの中にシュタイナーの言葉が書かれています。

「C=128hz (基準周波数A=432hz でのCコード)に基づいた音楽は、人々を霊的自由へと解放する支援となるでしょう。人間の内耳は C=128hz に基づき構築されているのです --- ルドルフ・シュタイナー」

とのことです。

シュタイナーの言うことは、人間の耳の構造自体が 432Hz の基準の音階に対応するように作られているということのようです。

宇宙の周波数が本当に 432Hz なのかどうかはわかりようがないですが、聴いて気持ちがいいようなら、それだけでもいいのかもしれません。



  

2014年08月25日



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8月21日に英国カウスヒルに突如間いた直径60メートルのシンクホール

穴の上に写っている小さな影が人の大きさです。

uk-sinkhole-2.jpg
Daily Mail






 



最近、冒頭のようにイギリスのカウスヒルという場所で、直径 60メートル、深さはわからないようですけれど、記事によると「相当深い」シンクホール事例が発生しました。

上の写真の穴の上に立っているのは、この穴の近くに住む住人の方なんですが、何とこの穴は、その方の自宅のたった「 80メートル先」に開いたのだそう。

house-and-hole.jpg
BBC


このあたりは、1800年代に鉄や鉛が掘り出されていた炭鉱があった地域も含まれるとされている場所で、そのせいではないかと考えられているそうですが、これまでの 200年間にこんなことはなかったので、住民もやや不安なようです。

調べてみると、英国では昨年、別の場所で、さらに巨大なシンクホール事例があったことを知りました。下の記事は、 2014年 8月 22日の英国のダービシャー・タイムスというメディアの記事からですが、このシンクホール自体が開いたのは、昨年の 12月のクリスマスの頃でした。

uk-2013-filled.gif
Derbyshire Times


上の記事は、地主がこの穴を埋め立てるための計画を進めているというストーリーですが、しかし、その予算は 25万ポンド(約 4,300万円)かかるとのこと。これらのシンクホールがいかに巨大なものかを物語るもののようにも思います。

それでも、上のシンクホールは、原因が何であろうと、ガタガタな形状で崩れており、土砂崩れなどと同じような、「自然性のある」大地の崩壊の様相を見せています。

そして、これを見て、「シベリアのクレーターの異常さ」にあらためて気づく次第です。この英国のシンクホールのニュースはその引き合いとして出させていただいたような感じです。




あらためて気づくシベリアの「穴」の内部の形状の異常さ

この夏は、シベリアに開いた3つの「穴「について何度か記事にしました。

気温40度の中に降った爆撃のような雹。そして、「世界の終わり」という地名がつくシベリアに突然開いた巨大な穴 : 「ウラジーミルの栄光の国」を襲い続ける異常な気象と現象
 2014年07月16日

ロシア国防省が報告したという「シベリアの穴と地球の磁場反転の関係」。そして「未知の大気物質」の存在
 2014年08月11日

などです。

開いた穴は(わかっているものだけで)下の3つです。

map-crater.gif


上の中の、特に最初に発見された直径 80メートルの穴の内部の様子を今ふたたび見ると、冒頭のシンクホールなどとは違った現象であることが改めて感じられます。

シベリアで最初に見つかった穴の内部は下の写真のように「まるで磨かれているように」きれいな筒状でした。

最初に見つかったシベリアの穴の内部の様子(直径80メートル)

hole1-top.jpg


底に見える水のようなものは、公式発表では、永久凍土が溶けたものだとのことです。

この感じは、下の写真の 2010年 6月にグアテマラの首都に開いた巨大なシンクホールと、やや似ているような感じもありますが、それよりさらに「滑らかな感じ」があります。

2010年9月1日にグアテマラシティに開いたシンクホール

guatemala-city-sinkhole.jpg

▲ 直径30メートルで、深さは約60メートルでした。シンクホールができた原因は、いろいろな説がありましたが、結局は不明のままのようです。


それはともかく、シベリアの穴の騒動の時に翻訳してご紹介しましたニュースでは、やや怪しげなソースではあるとはいえ、ロシア政府が、これらの「穴」の現象を、

「潜在的なロシア国家と国民の脅威」として分類した

というようなことが書かれています。

さらに、記事には下のような記述があります。


北極南極調査研究所と地球雪氷圏研究所が、ロシア国防省の専門家たちと共に作成した報告書では、これらの穴に「未知の大気が存在する」可能性があることを明らかにした。(中略)このそれぞれの穴が、「確定できない未知の《大気性物質》」によって作られたと結論づけることができる。

これらの「未知の大気性物質を活性化させたトリガー」について、報告書では、6月にコペンハーゲンでの会議で、欧州宇宙機関( ESA )が、前例のない磁気の揺らぎがシベリア領域に渡って発生していることを観測したことについてふれている。

現在、地球の北の磁極は、加速度的にシベリアのこの領域に向けて移動し続けている。そして、地球の磁場は特に、西半球で劇的に弱まっていることを示している。


ということで、つまり、「シベリアの穴」と「地球の磁場の逆転」との関連を指摘して記事は終わっています。

ちなみに、上にある「欧州宇宙機関( ESA )によって観測された磁極の移動」に関しては、現在、地球の北の磁極(磁場としての北極)は、下のように移動しています。

移動の速度は現在は計測されていません(あるいは発表だけされていないのかもしれません)。

poleshift-after-0ae32.gif

▲ 2014年7月269日の記事「シベリアでさらに次々と見つかるクレーターと「現在北極がシベリアに向かって猛スピードで移動している」という状態から浮かびあがる「ポールシフト」の概念」より。


さて、それにしても、最初の英国のシンクホールとシベリアのクレーターと「地球の磁場の移動」は、まったく別の話だと思われる方もいらっしゃるかもしれないですけれど、実は今日これから書こうと思っているのは、アメリカのほうの話なのです。

というか、「地球のどこで起きていることにも適用できる共通の原因」というものがあるのではないかというような話でもあります。

昨日、サンフランシスコ近郊でマグニチュード6の地震が起きたり、また、その少し前にはメキシコで突然、長さ1キロメートルにわたって、最大で幅5メートルの亀裂が現れたりしています。

これらの最近の出来事を見ていて、ふと、「3年半ほど前に続いて起きた出来事」を思い出しました。



地球の磁場の移動が影響を与えるのは世界のほぼ全部である可能性

その「3年半ほど前ほど前の出来事」とは何かといいますと、

米国フロリダのタンパ国際空港が磁極の移動(ポールシフト)の影響で滑走路の閉鎖へ
 2011年01月08日

という記事でご紹介したデイリーメールの記事で、オリジナル記事のタイトルは、

「北の磁極の移動が影響を及ぼす……アメリカのタンパ空港に」
(Shift in magnetic north pole affects... Tampa airport)

というものでした。

これは、米国フロリダにあるタンパ国際空港が、地球の磁極の変動のために滑走路を再カウントせざるを得なくなり、滑走路の数が新たに増やされることになったために、一時的に滑走路が閉鎖されることになったことを取り上げたものです。

当時、北の磁極(磁場の北極)があった(とされている)カナダのエルズミア島と、磁場の移動の影響を受けたフロリダのタンパ国際空港の距離は 6000キロメートル近くも離れています。

pole-5886.gif


つまり、この出来事は、

極の磁場の移動は世界のあらゆる場所に影響を与えている

ということを認識させることになったできごとでもありました。




メキシコの亀裂で思い出す「南米の異変」とアメリカの異変

米大陸の過去10日ほどの地震や出来事と地層

us-2014-geo.gif

▲ 最近のアメリカ周辺での出来事と、サンアンドレアス断層などを加えて図を作ってみました。


昨日の記事でも、冒頭で少し載せましたが、「メキシコで一夜にして数キロメートルにわたる亀裂が出現した」という出来事が、8月15日にありました。

下の動画がその規模を示していると思います。




亀裂の幅は下の写真での、車や人などとの比較でおわかりになるかとも思います。

mexico-f1.jpg
Expreso


そして、8月24日には、アメリカのサンフランシスコ近辺で、マグニチュード6.0の地震が発生して、地域的には非常事態宣言なども発令されています。


米国:サンフランシスコ北部M6.0地震けが120人以上
毎日新聞 2014.08.25

米カリフォルニア州サンフランシスコ湾北部で24日にマグニチュード(M)6.0の地震があり、負傷者は約120人に上った。うち子ども1人を含む3人が重傷。ブラウン州知事は震源に近いナパ郡南部に非常事態宣言を発令した。



これはマグニチュード 6.0と、大規模な地震ではなかったですが、このアメリカ西海岸・・・というか、今のアメリカは全体として地震が多いのですね。

過去記事の、

「地質の憂鬱」の中にいるアメリカ : 全土で多発する地震の中、イエローストーン火山で過去 30年来で最大のマグニチュードの地震が発生した日
 2014年03月31日

などで、そのことを取り上げましたが、この傾向が「将来の巨大地震へと結びつく可能性」について、アメリカの各メディアは報じ続けていました。そして、それらメディアが「その最悪のもの」として報じていたものは、マグニチュード9クラスの地震のことなのです。

それは、サンアンドレアス断層や、あるいはカナダとの国境に近い「カスケード沈み込み帯」などを震源として起きる可能性がある(そして、実際に、かつて起きていた)超巨大地震のことです。

ところで、今回のサンフランシスコでの地震のようなマグニチュード6規模の地震と、日本の 2011年の震災のようなマグニチュード9クラスの「差」というのがどれほどのものかご存じでしょうか。

もちろん、地震は発生場所や深さや、様々な条件によって結果は大きく異なりますので、あくまでも大ざっぱな計算ですが、 マグニチュード - Wikipedia にある、


地震のエネルギーが1,000倍になるとマグニチュードが2増えることを意味する

マグニチュードが1大きいとエネルギーは約32倍大きい



という説明を単純に当てはめますと、マグニチュード6を基準とした場合、

マグニチュード8の地震はマグニチュード6の地震の「 1000倍のエネルギー」を持つ

ということになりそうです。

まして、マグニチュード9となると、これは実は計算としての意味を越えているもの(頭打ち状態)であり、本当は計算すべき値ではないのだと思いますが、

マグニチュード9の地震はマグニチュード6の地震の「3万倍以上のエネルギー」を持つ

というようなことにもなり得るわけで、この意味では、2011年に東北で起きた地震のマグニチュードのエネルギーは、まさにとんでもないエネルギーの地震であったわけで、また、歴代の地震のエネルギーの比較ということだけではなく、「人が多く住む地域に影響を与えた」という意味では、「近現代の文明史上最大」の地震による自然災害だったことがわかります。

もちろん、そのような超巨大地震は、地球の歴史や人類の歴史の中で、そして、ほぼどこの地域でも数限りなく起きていたことだし、「これから起きることも(疑う余地のない)事実」です。

私たちは次に起きる地震の時期を知りようがないので、知らないというだけで、いつかは必ず起きることです。欧州でもアジアでもアメリカでも、そして、もちろん日本でも、いつかは必ず起きます。

この世の中に「 100パーセント」を当てはめられることは多くはありませんが、時期を限定しなければ、超巨大地震は「 100パーセント起きる」と言える自然現象です。


そして、最近のアメリカでの出来事で、思い出したことがもうひとつあり、それは、やはり3年ほど前の過去記事の、

中南米の「地殻変動ライン」: メキシコの地割れとグアテマラのシンクホールの位置
 2011年07月22日

というものがあります。

その記事に掲載した図がしたのものです。

south-america-2011.gif

それぞれの出来事の詳細は上の過去記事をご覧いただければと思いますが、図は新しい順にアルファベットがふってあり、つまり、2011年には、コロンビアからメキシコまで、

南米からアメリカの西海岸に移動するかのように地殻異変が起きていた

ということがあったのです。

このラインに矢印を引きますと、それはサンアンドレアス断層や、カスケード沈み込み帯を指し示す方向に伸びています。

usa-1.gif


何となく、記事の内容がとりとめのない感じになってきていますが、ともかく、この2〜3年の世界の地殻異変も、あるいは、最近の「あからさまな」異常気象も、それぞれには関係性があり、決してランダムやバラバラのものではないと思っていることを書きたいと思ったのでした。



地球は「真の極移動」の最中にある

それらの異変の原因が、地球の磁場の逆転のようなものだけではないこともまた明白で、たとえば、地球はかつて、現在起きているような「磁場のポールシフト」だけではなく、過去記事、

地球は「角度 50度以上の傾き」の大陸移動(真の極移動)を過去6度経験している
 2012年11月21日

にありますような、地球の表面が移動する「真の極移動」という状態を過去に何度も経験していた可能性があることを、2012年にハーバード大学の研究者たちが発表しています。

下の図のような状態のことです。

True_polar_wander-2012.gif


あるいは、こちらの記事では、現在、すでにそれが起きているとする論文のこともご紹介しています。

もちろん、それは何千万年もかけてゆっくりと起きていくものなのかもしれないですし、「あるいは、非常に早いものかもしれない」という考え方などもあり、しかし、過去何度もあったということは、今後もまた、

地球の自転軸が大きくずれる

ということになる時が来ることがあるはずです。

しかし、「自転軸がずれる」というような状態は異常にも思えるかもしれないですけれど、太陽系の他の惑星、たとえば、天王星などは、地軸 - Wikipedia によれば、

地軸の傾きの絶対値が最も大きい太陽系の惑星は、天王星(97.86度)である。ほとんど横倒しのまま自転していることになる。

こんなように「横に倒れて回っているような様相」で自転している天王星みたいな惑星もあるのです。

天王星は、下の図の左のように「(黄道面に対して)真横に倒れて回っている形」で自転しています。

uranusneptune_03-1.gif
・国立科学博物館「天王星は横回しになってまわっているって本当ですか?


ちなみに、天王星の公転周期は 84年で、これは例えば、極地から観測すると、「約 40年間、昼または夜が続く」ということになるのだそうです。

言い換えれば、地球も「50度」などの地表の移動を経験した後には、「 20年間以上、昼か夜が続くというような地域ができる惑星となる可能性もあるわけです。


・・・それにしても今回は全体として、あまりにも話が混沌としてしまいましたけれど、私は、「秋」という季節にはいつも何かが起きる感じがつきまといます

何か起きるのは・・・それは今年か 1000年後かはわからないですが、「秋」なのだと思っています。



  

2014年08月21日



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nishinoshima-tsunami.gif

▲ 2014年8月20日の 3news より。






 



海底火山で「スーパー津波」が起きる理由

上のような報道を昨日見ました。小笠原諸島の西之島は昨年 11月に新島が噴火をはじめて以来、どんどん大きくなり、新しい島が元の西之島を覆い尽くす形で、今でもさらに拡大を続けています。

これについては、日本語の報道もありましたので、そちらの冒頭を抜粋させていただきます。

西之島噴火、斜面崩落し津波の恐れ 父島に最大1メートル
朝日新聞デジタル 2014.08.21

噴火が続く小笠原諸島の西之島が活発に溶岩を噴出し続けると、斜面の一部が海に崩落して津波が発生する可能性があることが、東京大地震研究所の前野深・助教(火山地質学)の研究で分かった。シミュレーションによると、約130キロ東の父島に高さ最大約1メートルの津波が到達するおそれがあるという。


というもので、つまり、

・西之島は今でも毎日大量の溶岩を噴出している
・このまま続くと、斜面が崩壊して、それによる津波が起きる
・その津波の高さは最大で約1メートル


ということのようです。

ま、1メートル。

もちろん1メートルの津波は侮れませんが、しかし、いずれにしても、西之島のほうはまだ起きてはいないことです。

ところが、同じような現象により「起きたことがある津波」については、下のようなものがあります。

el-hierro-tsunami.gif

▲ 2013年2月28日の Modern Survival Blog より。


もちろん、「すでに起きたこと」は、アメリカ東海岸の破壊のほうではなく、

高さ 90メートルの津波がかつて起きことがある

のほうです。

これは、カナリア諸島の南西端にあるエル・イエロ島という海中にある火山で起きたことで、ただし、それが起きたのは今から 13万年前とされています。

13万年前というと、現世人類がすでに地球上にいたと考えられている頃です(現世人類の地球への登場は、約16万年前とされています。誤差は前後約4万年)が、それにしても、「高さ 90メートルの津波」となると、どの程度の内陸までの影響があるのか想像もつかないですが、現代だと下みたいな感じで描かれるようなものとなるのでしょうか。

90-tsunami.jpg


現代でなくて幸いでしたが、そのような比較的遠い時代に、このエル・イエロ島の噴火により、そのような津波が起きていた可能性が高いことが地質学で示されています。

これは、地上の噴火でいう、いわゆる「山体崩壊」のような現象が、「海に向けてなだれ落ちる」事によって発生する津波のようです。

ところで、上の記事のタイトルで「(もし仮に同じようなことが今の社会で起きれば)アメリカ東海岸が破壊される」とある理由なんですが、このエル・イエロ島の位置は広範囲の地図で示しますと、下の位置となります。

el-hierro-map2.gif


この位置で、現代の社会に高さ 90メートルの津波などが起きてしまったら、アメリカの東海岸へは距離があるとはいえ、それでもかなり高さの津波が押し寄せる可能性があるという意味のようです。それ以上に、大西洋に面した非常に多くの国々が影響を受ける可能性があることもわかります。




津波と距離の関係

独立行政法人 産業技術総合研究所が 2003年にリリースした、

北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定

という資料を見ると、津波というのは、かなり遠方にまで被害を出すことがわかります。

この文書は、西暦 1700年(まだアメリカの文字の記録が残っていない時代)に、今のアメリカ西海岸を震源とするマグニチュード9クラスのきわめて巨大な地震が発生したことを、当時、日本に到達した「津波」から推計したものです。

西暦1700年の地震の震源と日本の位置関係

1700-tsinami-1.gif

震源と日本の距離関係は上のようなものでした。

これほど離れた場所の地震によって、日本の太平洋沿岸の各地にどの程度の津波の被害が出たか。それらは当時の古文書に記されています。

1700-tsunami-2.gif


東北から、関西に至るまで、1メートルから最大で6メートル程度の津波が到達していたことがわかります。

そして、これは、あくまで「古文書に記録が残されていた場所のみ」ですので、実際には日本のすべての太平洋側に、数メートル規模の津波がくまなく押し寄せていたと考えていいと思います。

6メートルの津波ともなると、かなりの災害レベルだと思うのですが、通常の津波とは違うのは、地震が起きたのが遠く離れた現在のアメリカ大陸であり、日本の人々は地震を感じることもなく、人々にとってみれば、

「地震もないのに突然津波がやってきた」

と感じたことだと思います。

そして、今回ご紹介していますような「海中の火山の地滑りなどで発生する津波」も同じように、

前兆を感じることが難しい


という特徴があります。

もっとも・・・ 13万年前のエル・イエロ島の噴火で起きたような「高さ 90メートルの津波」ともなると、前兆を知ったところで、場所によっては逃げ場もなさそうですが、まあ、そこまで極端ではない「前兆のない津波」は、わりといつでも起きる可能性はあると言われています。

ところで、2011年の出来事ですが、このエル・イエロ島の沿岸近くに「巨大な泡が噴き出ている」ことが報じられたことがありました。

elheirro-bubble.jpg

▲ 2011年10月17日の来たるべき地球の形「カナリア諸島に『新しい島』が誕生しようとしている?」より。

結局は何もなく終わりましたが、様々な活動が続いているエル・イエロ島ではあります。





自然現象の周期はどんなものにも存在し得るので

ところで、上のエル・イエロ島が過去の噴火を起こした 13万年前という、この「13万」という数字は非常に遠い昔のように感じますが、それはあまり関係のないことで、「過去に起きた事実がある以上、また起きる可能性はある」ということについては、巨大天体の地球への衝突や、あるいは、いわゆるカルデラ破局噴火と同じです。

破局噴火については、何度か記事にしたことがありますが、

世界の6つの異なる地域で7つの火山が同時に噴火を開始した2013年の11月に考える地球の未来
 2013年11月23日

という記事に書いていますように、

破局噴火は「破局災害」といわれるカテゴリーに属しているようで、人類が経験する自然災害の中で最も威力が大きく、そして、その影響が長く続く災害のひとつ

とされているものです。
小惑星などの天体衝突と匹敵するほどの災害とも言えるかもしれません。

そのような大災害である「破局噴火」ですが、静岡大学の小山真人教授の書かれた

現代社会は破局災害とどう向き合えばよいのか

によりますと、日本だけでも、

・7300年前の鹿児島県南方沖の海底火山の破局噴火
・2万8000年前に姶良カルデラ(鹿児島湾北部)の破局噴火
・5万2000年前に箱根カルデラの破局噴火


など、万年単位の中でもずいぶんと起きていることが地質学的な研究からわかってきています。

次の「破局噴火」がいつかというのはわかりようがないですが、同じように、

海中火山の崩壊による高さ 100メートルクラスの津波も起きる可能性はいつでもあるけれど、それはいつかはわからない

ということは言えるはずです。

さらに、2003年にはさらに「想像を絶する」研究発表がなされています。




500メートル級の津波を引き起こす可能性のあるハワイのキラウエア火山

今年5月の、

アメリカで沈みゆく大地と増え続ける地震。そして「500メートルの高さの津波」の可能性
 2014年05月15日

という記事で、米国スタンフォード大学の研究とシミュレーションにより、

「キラウエア火山の山腹にある塊が噴火などにより海に崩落することで 500メートル以上の高さの津波が発生する可能性」

についての研究結果が発表されていたことについて、概要だけ記したことがあります。

そして、キラウエア火山の噴火での崩壊や地滑りによる津波は実際に比較的頻繁におきているもののようです。

今回は、その超巨大洪水を起こす可能性のあるハワイ島の南にあるヒリナ・スランプ( Hilina Slump )について記されている英語版 Wikipedia とアメリカ地質調査所( USGS )の文書から抜粋して締めたいと思います。

文中の地図に出てくる火山などについては、ロイヒというのは、ハワイ島近くの海面下 975メートルにある海底火山で、活発な活動を続けています。火山自体の高さは 3000メートルあり、成長を続けているのだそうです。

マウナ・ロア火山は、ハワイの活火山のひとつですが、「地球で最も体積の大きい山」なのだそう。

また、キラウエア火山での津波の発生要因となる主要な名称である Hilina Slump というのは日本語にはなっていないようで、「スランプ」を地質的にどのように呼ぶのかわかりませんので、「ヒリナ・スランプ」と、そのままカタカナで表記させていただきます。


ヒリナ・スランプ( Hilina Slump ) - Wikipedia

hilina-slump.gif

ヒリナ・スランプは、ハワイ島のキラウエア火山の南側山腹にある 20,000立方キロメートルもの膨大な塊である。 GPS での測定によれば、1990年から 1993年の間に年間およそ 10センチメートルの南方変位を示した。

ヒリナ・スランプは、崩壊し、極めて早い速度で水中に突入する可能性を秘めており、仮に、ヒリナ・スランプのすべての量の塊が一気に海になだれ込んだ場合、それはマグニチュード9を超える地震を引き起こす可能性がある。

今から 11万年前に、同じ地質的現象によりハワイで起きた超巨大津波の高さは 500メートルに達した。もし仮に、このような地質的現象が現代の世の中に発生した場合は、環太平洋のすべての地域の大きな脅威となるだろう。




ヒリナ・スランプ( Hilina Slump ) - USGS

1868年と 1975年に、ヒリナ・スランプ領域において高さ数十メートルの壊滅的な津波を伴う大地震(それぞれ、マグニチュード 7.9と、マグニチュード 7.2)が発生した。

これらの 1868年と 1975年の両方の地震で発生した津波は、ハワイに大きな被害と死者をもたらした。1975年の津波は、カリフォルニア州にも軽い被害をもたらした。

そして、問題は、このタイプの広範囲で破壊的な塊の海中への崩壊が、将来的にまたいつか発生するであろうということだ。



というものです。

そして、これに関しては、まったく予測も前兆もとらえることはできません。「ある日、突然、太平洋のすべての沿岸が数十メートルから最大で 500メートルの津波に襲われる」という可能性はそれなりの未来の現実として存在するようです。



  

2014年08月15日



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otsuchi-top.jpg

▲ 写真家アレハンドロ・チャスキエルベルグの作品を紹介している FENCE より。

大槌町 - Wikipedia より

大槌町(おおつちちょう)は、日本の岩手県上閉伊郡に所在する町。2011年3月11日、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生し、大槌町も強い揺れに襲われた。 加えて、この地震が引き起こした大津波とそれによって発生した火災により、町は壊滅的被害を受けた。








 



先日、アルゼンチンの写真家による印象的な写真の作品群を見つけました。

それは、岩手で 2011年の津波で壊滅的な被害を受けた大槌町という町の「廃墟跡」で、そこにもともと住んでいた人と共に、その場で撮影したというものです。

上の写真もその1枚で、写真家の技量(あるいは心理的技量)のおかげなのか、悲劇よりも「人間の力強さ」を感じさせるもので、やや感動しましたので、いくつか載せたいと思います。

ところで、この最近の1週間ほどは、記事の更新も開くことが多かったんですけれど、ほぼ、とんぼ帰りで私の実家のある北海道へ帰省したりしていたり、他にも「老」と「死」の関係でいろいろとあったのですが、まあ、それらのゴタゴタで、肉体的というより、精神的にちょっと参っていた時期でした。

そんな時に「偶然」知った、太平洋戦争時の「ある戦場」についてのことを少し書きたいと思います。




はじめて知った「太平洋戦争時の狂気の戦場」の映像

上に書いたようなゴタゴタとしたことがやや一段落した、8月 13日、家族は奥さんの実家のほうに行き、夜は私1人で部屋でお酒を飲んだりしていたのですが、午後 10時前くらいに、

「あ、天気予報見よう」

と、消していたテレビをつけ、 NHK に回しました。しかし、もう 10時を少し過ぎており、天気予報は終わっていたのですが、始まっていたのが NHK スペシャルで、そのタイトルは、「狂気の戦場 ペリリュー 〜"忘れられた島"の記録〜」というものでした。


これがすごかった。


偶然見ることができて本当に良かった……という、「良かった」というのは何だか変な表現ですが、この戦場も戦闘も知らなかったので、知ることができて本当に驚きと同時に、 NHK スペシャルなんて、この数年見たこともなかったので、偶然に感謝したした次第です。

NHK の番組サイトの冒頭をご紹介します。

狂気の戦場 ペリリュー 〜"忘れられた島"の記録〜

今年、アメリカで日米の熾烈な戦いを記録した113本のフィルムの存在が明らかになった。撮影地はフィリピンの東800キロに位置するパラオ諸島の小島・ペリリュー。「地球最後の楽園」と呼ばれるサンゴ礁の美しい島だ。

70年前、日米両軍はここで死闘を繰り広げた。米海兵隊の最精鋭部隊と言われる第1海兵師団第1連隊の死傷率は、史上最も高い約60%。そのあまりの犠牲者の多さと過酷さから、ほとんど語られてこなかったため、「忘れられた戦場」と呼ばれている。

ペリリュー島は、太平洋戦争の中でも特異な戦場だった。日本軍はアッツ島以降続けてきた組織的な“玉砕”を初めて禁じ、持久戦を命令。米軍が当初「3日以内で終わる」と予想した戦闘は2カ月半に及んだ。



そうなんです。

今年になって、初めて「フィルム(しかも、ほとんどがカラー映像)」の存在が明らかになった戦場の記録を放映したのです。

しかも、太平洋戦争のアメリカ軍の連隊の死傷率として、史上最も高い約60%という死者をアメリカ軍は出したという戦闘だったのです。日本兵は山に穴を掘り、持久戦に持ち込み、接近戦で戦い続けました。それはゲリラ戦のようでもあり、ベトナム戦争のようでもありました。

この映像と、そして戦況などと共に、見ている途中で私は体が震えてくるほどの強烈な「未体験のはずなのに、体験したかのような感覚」を味わい続けていました。顔の表情も動かなくなりました。

途中からほとんど顔も体も不動で番組を見ていました。
なぜだかわかりません。


それはともかく、番組によると、ペリリュー島に派遣されたアメリカ軍の「第1海兵師団第1連隊」は、当時のアメリカの「最強の部隊」と言われていた部隊で、3000人から構成されていました。

ペリリュー島で迎え撃つ日本兵も、関東軍から選ばれた精鋭で、人数は何千人だったのかはわからないですが、最終的に生き残ったのは 120人だけ( 60人だったかも)だったのだそう。

img_02.jpg

▲ 戦闘末期にアメリカ軍が投入した火炎放射器搭載の装甲車。130メートル先までのすべての対象を焼き払います。


内容については、フィルムも証言も、その具体的な描写と語り口があまりにもすべてが衝撃的で、うまくまとめて説明することはできないですが、いつかまた再放送されると思いますので、そういう際にはぜひご覧になっていただきたいと思います。

どこからともなく現れて、部隊最後方を歩くアメリカ兵を刺殺して音もなく消え去る日本兵。戦闘の恐怖に耐えかねて発狂するアメリカ兵の姿や、日本兵同士での処刑の後の光景など、映像では、これまでちょっと見たことがないような光景が続きます。

処刑に関しては、どんな戦場でも「敵前逃亡」は前線では基本的に銃殺刑ですので、その点では普通のことなのでしょうが、その映像では、手足を縛られ、頭部も切断されたり、尋常ではない粛正の状態が示されていたので、日本兵の内部でも「狂気じみた何か」が起きていたのかもしれません。

そして番組には、現在も生きている当時の日本兵、そして、アメリカ兵、さらに、そのフィルムを撮影したアメリカ軍の従軍カメラマン(現在 91歳)なども出ていて、証言を行っています。

番組に出ていた元兵士たちは、最も年齢の若い人で、アメリカ人の 88歳。日本人の元兵士には 93歳の人もいましたが、この人たちの記憶の明確なこと・・・

93歳の元日本兵は、この戦いを比喩として、

「サソリとサソリをね、瓶の中に入れて、そして上から蓋をした状態。逃げられもしない。ひたすら殺し合うだけ」

というようなことを言っていました。

「サソリとサソリ」というのは、「双方とも当時のそれぞれの最強部隊だった」という意味だと思います。そして、「蓋」というのは、この戦いは、当時の戦略的な意味で、「日本兵もアメリカ兵もどちらも見捨てられたような形」となった戦場だったといえる部分があることから来ているようです。

88歳の元アメリカ兵は、仲間のアメリカ兵が木に縛り付けられて殺されている光景を見て、怒りに震えている直後、日本兵を発見した時のことを話します。

「最初に見つけた日本兵の頭を2発撃ち、その場にいた 17人を全部私が殺しました」

ということを「とても穏やかな顔つき」で話していました。

日本のテレビ番組とはいえ、もしかすると、孫などもいるであろう温厚そうなオジイサンの口から出る言葉としては、それだけでもショッキングなイメージがありましたが、でも、むしろその老人の表情が穏やかで私は何だか救われたという変な感覚に陥ってもいました。

ところで、これらの戦場の話は、今から 70年も前の話で、「そんな昔のことをちゃんと覚えているものなのだろうか」と思われる方もいらっしゃるかもしれないですが、第二次大戦で、フィリピンに兵士として派兵された作家の山本七平さんが 40年ほど前に書かれた『ある異常体験者の偏見』という著作の冒頭は以下のような文章で始まります。

山本七平『ある異常体験者の偏見』(1973年)冒頭より

ときどき「山本さんは戦争中のことをよく憶えていますね」といわれるが、こういうことは、形を変えてみれば、だれでも同じだということに気づかれるであろう。

たとえば航空機事故である。ニュースとしてこれを聞いた人はすぐ忘れるであろうが、本当に落ちて、全員死亡した中で奇跡的に助かったという人は、そのことを一生忘れ得ないのが普通である。

それは「思い出すだに身の毛がよだつ」という体験で、本人にとっては何とかして忘れたいことにすぎない。「戦争体験を忘れるな」という人がいるが、こう言える人は幸福な人、私などは逆で、何とかして忘れたい、ただただ忘れたいの一心であったし、今もそれは変わらない。



くしくも、それから 40年後の先の NHK ドキュメンタリーの中で、ペリリュー島の「地獄の光景」のフィルムを撮影した現在 91歳のアメリカ人の方も同じようなことを言っていました。番組のほうの最後のほうのシーンです。番組を見た記憶だけで、書きとめていたわけではないですので、台詞は適当ですが、

「あの記憶は忘れられるなら忘れたいですが、死ぬまであの光景が私の頭の中から消えることはないのだと思います」

というようなことをうつむいて語っていました。

山本七平さんは、1945年 1月 6日から終戦まで続いたルソン島の戦いで戦い、生き残った人です。この「ルソン島の戦い」は、日本兵 25万人のうち、21万7000人が死亡しています。兵士の9割弱が死亡した地獄の戦場でした。


そんなわけで、何だか余談というか、変に長い話となってしまいましたけれど、この時期になると、「霊」というものがこの世に存在しようがしまいが、毎年、私の中に刺激を与え続けるようで、

「死者」

というものへの思いが強くなるようです。

昨年の今頃も、

心地よい「死の園」からの帰還後に気付いたイルカの大量死と人間の大量死をつなぐ曖昧なライン
 2013年08月10日

というようなタイトルの記事を書いています。

ところで、この時期というと、戦争と共に、原爆のことが話題となりますが、広島はともかく、「長崎がどうして原爆投下の対象として選ばれたのか」というのは、人体実験な目的が最も大きかったということが今では公での通説になっていますが、ただ、上の昨年の記事に書きました下の部分にもやや着目してみる、ということの意味もあるのかなとも思います。

この 33度線が通る場所というのは、政治的混乱を象徴する場所が多く、33度線の代表的な国や場所として、

・トリポリ(リビア)
・ダマスカス(シリア)
・カシミール(インド)
・バグダッド(イラク)
・長崎(日本)
・ヨルダン川西域
・ベイルート
・エルサレム


などがあり、国家の中の複数の地域を通過する国としては、チベット、アフガニスタン、イランなどがあります。他にバミューダ海域や米国のソルトン湖も、この北緯33度上にあります。



ただ、原爆投下の問題は今でもセンシティブな問題で、私が気軽に書けるようなことではないと思っています。

それにしても、上の 33度線の地域のうちで、リビアとかシリアとイラクとか、あるいはガザの周辺などは、昨年よりも今年になってからのほうが、さらに状況が厳しくなっていることにも気づきます。

イスラム国( IS )の台頭、リビアの内戦、ガザへの侵攻。

いずれにしても、戦争はどうやら拡大を続けていて、2014年 8月 7日の時点で「戦争状態」にある国は、以下の赤い部分の 10カ国だそうです。

war-2014-87.jpg
What Countries Are Currently At War? A Complete List


そんなわけで、いろいろと「死」を思う時期の中で見つけたアルゼンチンの写真家が作成した「生を感じる」写真をご紹介します。




白くぼやけた「写真の記憶」にショックを受けて

Alejandro-Chaskielberg.jpg
・写真家アレハンドロ・チャスキエルベルグさん(1977年生)。


mem-1.jpg

▲ アレハンドロ・チャスキエルベルグさんの写真の1枚。Slate より。以下、すべて同じです。


アルゼンチンの若き写真家、アレハンドロ・チャスキエルベルグ( Alejandro Chaskielberg )さん。

彼は、 2011年 3月 11日の地震後に被災地を訪れ、その後、何度か現地に足を運ぶうちに、現地の人々や市民団体、学生さんたちとの交流を深めていった時期に、チャスキエルベルグさんは、被災地で「あるもの」を見つけて、それにショックを受けたのでした。それが彼を今回の作品を創作する熱意に突き動かしたもののようです。

その彼が「ショックを受けたもの」は下のものです。

album-01.jpg


何かよくわからないかもしれないですが、これは、水没して、部分的に「白くぼやけた家族の写真アルバム」なのです。どこの家族のものかはわかりません。

ほとんど写真としての原型は留めていませんが、下段の右から2枚目などを拡大してみますと、家族か親戚などでの集合写真のようなものであることがわかります。

album-02.jpg


その「写真の記憶」が白くぼやけている光景と、そして、現実に目の前に広がる「廃墟」の光景との組み合わせに大変に衝撃を受けたチャスキエルベルグさんは、

「この廃墟で、もともと住んでいた人たちの写真を撮りたい」

と思うようになり、付き合いのあった地元の人たちの協力により、「元の自分のたちの家の廃墟」の中で写真の撮影が続けられたのでした。

memories-top.jpg


写真を見ると、おわかりかと思うのですが、写真の中に「白い部分」と「カラーの部分」が入り交じっていることに気づかれるかと思います。

そして、

「人々、そして活動している街には色がついている」

ということもおわかりかと思います。

memories-part-1.jpg


チャスキエルベルグさんは、「廃墟となった部分を白く加工する写真処理」をすることによって、破壊された記憶から色を消し去り、命のある部分に色を残すという作品を作り上げたのでした。

mem-5.jpg


大部分が廃墟となってしまった町の中から「生きているすべてを浮き上がらせる」という試みともいえます。


考えてみれば、この方々は、戦争ではなく、自然災害の被害者ですが、先のあげた戦争体験者の人々の、

「あの記憶は忘れられるなら忘れたいですが、死ぬまであの光景が私の頭の中から消えることはないのだと思います」

という言葉と同じ思いを持っているかもしれません。

なお、上の写真は縮小していて、今ひとつその迫力と美しさが伝わりませんので、非常に大きなサイズで掲載されている、Slate というサイトの、

Devastatingly Beautiful Photos of Japanese Tsunami Victims in the Ruins of Their Homes
(自分たちの住んでいた家の廃墟の中の日本人津波被災者の圧倒的に美しい写真 )

をご覧下さるとよろしいかと思います。

これが被災者ご本人たちの復興につながるものかどうかはわからないですが、しかし少なくとも見ている私たちの「何か」には結びつくように思います。いずれしても、この作品によって、私は大槌町という、ともすれば今まで知りもしなかった町の存在を一生忘れることはないはずです。



  

2014年08月13日



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▲ 2014年8月10日の英国インターナショナル・ビジネス・タイムズより。






 



削除されつつある「Wikipedia - パンスペルミア説」を偲ぶ余談

上の「エボラ・ウイルスは宇宙からやってきた」という記事は、今回のテーマとは関係ないのですが、この「生命が宇宙からやってきた」とするパンスペルミア学説は、 In Deep の最も書記の頃からの重大なテーマでもあり、かつてはよく書いていたのですが、もう書き尽くしちゃって、最近は新しく書くことがあまりないんですよ。

それがエボラと絡んだ上の記事を見まして、つい表紙を載せた次第です。
内容は通常のパンスペルミア説と同じものです。

パンスペルミア説の過去記事は、カテゴリー「パンスペルミア」などにありますが、私の場合は、単に宇宙から生命がやって来たという考えと共に、たとえば、2年くらい前の過去記事の、

ウイルスの流入の繰り返しでDNAの進化をなし得てきた人類をサポートする「宇宙と火山」
 2012年09月23日

などでも書きましたように、

・宇宙からの生命(細菌、アミノ酸、あるいは DNA)の流入
・生物の「生と死」
・地球(地底)からの火山の噴出


が「地球上の生命の永遠の循環状態を作っている」というように考えています。

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生命は死んでも DNA も有機物も残します。

ところで、現在(2014年8月12日現在)、 Wikipedia のパンスペルミアのページが「削除審議」となっています。

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削除理由は著作権の問題らしく、その削除依頼の過程などは、こちらにありますが、 Wikipedia 内の他のページ(生命の起源)の中にあるセクションの「パンスペルミア仮説」からの転載が問題となっているようで、「 Wikipedia 内の闘争」のようですが、まあ、記しているのは科学的な立場にある人だと思われ、科学の論争の世界もなかかなか大変なようです。

さて、ここまでは余談でしたが、しかし、あながちまったく関係ないとも言えない部分もある話でもあります。




実は同時多発的に発生していた今回のエボラ出血熱

過去記事の、

西暦 541年の東ローマ帝国でのペスト襲来に関してのヨーアンネースの記録
 2012年09月20日

という記事は、デイヴィッド・キーズというイギリス人ジャーナリストが 2001年に出版した『西暦535年の大噴火』(原題は「カタストロフィー」)の内容からせ記したものでした。

それは、535年頃からほぼ6世紀全体にかけて、しかも「世界全体の規模」で広がっていた異常気象と、それに続く世界的な「病気の拡大」について書いたものでした。

西暦 535年以降の6世紀の全世界では、たとえば、ヨーロッパでは人口が半減し、他の多くの国でも似たような膨大な死者を出した感染症が繰り返し流行しました。その病気は主にヨーロッパや中東などでは腺ペスト、日本を含むアジアでは天然痘だったとされています。

そして今は、エボラ出血熱の拡大が大きなニュースとなっていますが、エボラ・ウイルスそのものは、(今のところ)空気感染しないもので、(今のところ)感染力が強いものとはいえないですので、今後、さらに世界的な問題となっていく可能性はさほどないとは思う・・・のですが、そればかりは、やはり「実際に拡大を続けている途中の病気」のことですので、何ともいえないことです。

ところで、先日、

エボラ患者がアメリカへ搬送された理由。あるいは、生物兵器として有効化し始めたかもしれないこと
 2014年08月07日

という「生物兵器」などという単語の入っているタイトルの記事を書きましたが、このような、

「人為的」な部分

で考えてみても、あるいは、先に書きました、

「すべてのウイルスはもともと宇宙から来ている」というパンスペルミア説

のどちらの点から考えてみても、今回のエボラ出血熱の初期段階での流行には、大変に重要な事実があります。

それは、

人的な接触のない複数箇所で同時に発生した


ことです。

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▲ 2014年4月4日のアルジャジーラより。


このことについては、

アフリカのエボラ・ウイルスはギニアからの感染拡大ではなく「同時多発」で発生していた可能性
 来たるべき地球のかたち 2014年04月05日

という記事に書きまして、

・ギニアで発生したエボラ出血熱患者
・リベリアで発生したエボラ出血熱患者


の間には、少なくとも人的な接点はまったくないことが確認されています。

そもそもが、エボラ・ウイルスは、患者とかなり接点が強い人でなければ感染しにくい病気ですので、最初の頃に発生したギニア、リベリア、シエオラレオネの同時多発的な病気の発生はとても興味深いものがあります。

先にも書きましたように、その理由が、

人為が絡むもの

であろうと、

宇宙から流入したもの

であろうと、どちらの理由であってもです。

しかし、どちらかというと恐いのは「宇宙から流入したもの」の方で、その理由は、大気の循環等により、全世界的な同時発生をおこさないともいえないようにも思うからです。




1400年前の病気の時代

全世界は6世紀にも「世界規模での感染症の大流行」を経験しています。

以下は、ほんの少しの地域の話となりますが、『西暦535年の大噴火』より 東ローマ帝国と、日本の当時の状況の抜粋です。

西暦541年 東ローマ帝国首都コンスタンティノーブル(ヨーアンネースの記録)

天罰がこの都に重くのしかかった。まず襲われたのは路上に横たわっていた貧者たちだった。一日のうちにこの世を去っていった人数は、五千人から七千人、さらには一万二千人、そして、ついには一万六千人にのぼった。

だがこれはまだほんの序の口だった。役人たちは各港や十字路、そして市門の入口に立って、死人の数を数えていた。コンスタンティノーブル市民で生き残っている人はごく少数になった。

すぐさま埋葬所が足りなくなった。町には死臭が立ちこめた、担架も墓堀り人もいなくなった。遺体は路上に積まれていった



日本 530年代(日本書紀などより)

異常事態が起こった。ひどい伝染病(おそらく天然痘)が日本で発生したのである。多くの人びとが亡くなった。日本では何世代も前から天然痘が流行したことはなかったので、免疫もほとんどなかったに違いない。

「国に疫病がはやり、人民に若死にする者が多かった。それが長く続いて、手だてがなかった」と『日本書記』には書いてある。とくに被害に大きかった地域では、住民の九割が罹患し、生き残れたのは三割だけだったと思われる。



この日本での6世紀の病気について、『西暦535年の大噴火』では、天然痘と推測していますが、日本書紀に書かれている具体的な症状を現代語で記述すると、以下のようなものです。

「体が焼かれる……ように苦しい」その後、発疹に変化が現れる。そして発疹は顔面を中心に始まって、体の下のほうへ広がっていく。とくに多く出現するのは手足だ。そして皮膚に無数の水疱があらわれ、最後には、直径7〜8ミリという大きめの膿疱になる。

患者の5パーセントは内出血のため数日で死亡した。もっとも、患者の大半は天然痘で死ぬことはなく、結局は肺炎と敗血症でおのおの三割が亡くなったものと思われる。



ちなみに、この「天然痘」。 Wikipedia によりますと、「初期の細菌兵器」として、300年くらい前にすでに、アメリカ大陸に侵攻した白人たちによって使われていた実例が記述されています。

フレンチ・インディアン戦争ポンティアック戦争では、イギリス軍が天然痘患者が使用し汚染された毛布等の物品をインディアンに贈って発病を誘発・殲滅しようとした。19世紀に入ってもなおこの民族浄化の手法は続けられた。


どんな国でも、病気の大流行は、その後の政治や宗教(6世紀の日本なら仏教との関連)の状況を大きく変えていくことになりますが、中東でイスラム教が台頭するキッカケとなったのも、実はこの「病気の流行」と関係があります

上に書きましたように、東ローマ帝国がペストだと考えられる病気により極端に衰退したため、六世紀にイスラム勢力は一気にその支配領域を拡大することを可能にしたのでした。ちなみに、イスラム教の始祖ムハンマドが、アラビア半島のメッカで、アッラーの啓示を受けたのは、西暦 610年です。





狂気の「イスラム国(IS)」も「病気の時代」に出現した

ところで、このことを詳しく書きと、少し長くなりすぎるかもしれないですので、別の記事として書くかもしれないですが、最近の記事、

イスラム国(ISIS)がイスラエルへの戦闘開始を誓った日。そして、ユダヤ人とクコの木の関係から知る「すでにイスラム教徒でさえない」かもしれない彼ら
 2014年08月04日

という記事の最後のほうに、私は、

ムハンマドの言葉さえ無視するかのような書き込み

とか、

もう、この「イスラム国」という集団は、イスラム教の集団でさえなくなっているのかもしれない

などと書きましたけれど、改めてコーランの部分部分を見てみると「イスラム国」が現在おこなっているような、狂気ともいえる殺戮は、コーランの教えに背いているわけではないかもしれないことも伺えます。

ところで、最近の下のニュースをご存じでしょうか。

豪首相、同国出身のIS戦闘員による残虐写真を非難
AFP 2014.08.11

オーストラリアのトニー・アボット首相は11日、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国( IS )」に所属するオーストラリア人の男が、シリアで切断された頭部を持ち上げる7歳の息子の写真を公表したことを受け、「テロリストたちの野蛮さ」を非難した。

この写真は、昨年シリアへと渡り、現在はISの戦闘員として活動する「カレド・シャローフ」と名乗る男がシリア北部の都市ラッカで撮影し、ツイッターに投稿したものだという。

写真では、シドニーで育ったシャローフの7歳の息子が、極めて普通の子どもらしい青いシャツとチェック柄のズボン、野球帽といういでたちで、殺害されたシリア兵の頭部の髪をつかんで持ち上げている。写真には「これぞわが息子」との一言が添えられている。

同紙が掲載したもう1枚の写真には、迷彩服姿のシャローフが、息子たちとされる3人の男児と写っており、全員がISの旗の前で銃を手にしている。



要するに、切断したシリア兵の頭部を自分の7歳の息子に持たせて、しかも、「これぞ私の息子だ」と自慢げにツイッターに投稿したという出来事です。

下はその写真と共にツイッターに投稿された「家族の写真」で、右の男性が父親で、左の3人が息子です。

is-02.jpg
RYOT


上のリンクには AFP の記事にある「子どもが首を持つ」写真(修正されています)もあります。

通常に考えると、さすがに「狂気」を感じざるを得ない光景ですが、イスラム教の聖典コーランの下の部分などを読みますと、そこには「敵は殺すことが掟」という姿勢が鮮明に書かれていることに気づきます。

コーラン 第8章第12節

主は天使たちに向かって、そっとこんなふうに言いたもうた。
「汝らにはわしがついておる。信者たちをしっかり立たせよ。無信仰な者どもの心の中には、わしが臆病風を吹き込んでやるゆえ、汝らは彼らの頸(くび)の上を打ちのめしてやるがよい。彼らの指の先まで一本一本叩きのめしてやるがよい」



そして、相手を殺しても、それは自分がやったことではな神(アッラー)がおこなったことなのだから、罪の意識を持つ必要はないというニュアンスのことも書かれています。

第8章第17節

彼らを殺したのは汝ら(イスラム教徒)ではない。アッラーが殺したもうたのだ。射殺したのはおまえでも、実はアッラーが射殺したもうたのだ。



さらには、「捕虜にしないで殺すべき」というようなことも書かれています。

第8章第67節

およそ預言者たる者は、地上の敵を思う存分殺戮したあとでなければ、捕虜など作るべきではない。




何となくひたすら非道にも思える響きに思えるかもしれないですが、しかし、これと似たようなニュアンスは、他の宗教聖典にも見られることで、たとえば、旧約聖書のヨシュア記の第 6章 18-24節には、

・生き物は男も女も子どもも動物もすべて殺さなければならない
・儀式の一環として、建物と所有物はすべて焼かなければならない


という意味の記述がされています。

ヨシュア記/ 6章 17節

町とその中にあるものは、ことごとく滅ぼし尽くして主にささげよ。



6章 21節

彼らは、男も女も、若者も老人も、また牛、羊、ろばに至るまで町にあるものはことごとく剣にかけて滅ぼし尽くした。



6章 24節

彼らはその後、町とその中のすべてのものを焼き払い、金、銀、銅器、鉄器だけを主の宝物倉に納めた。



こういう「全滅」や「殲滅」という思想は、宗教だけではなく、政治的な思想なども含めて、「この数千年間の人間の歴史」ではよく見られたことですけれども、そのような「狂気」の台頭は、

・異常気象
・自然災害
・それらによる飢饉
・疫病の大流行
・太陽活動


というものと連動して起きてきていたことが、冷静に歴史を見てみるとわかります。

さて・・・そして、「現代」はそれらの過去の教訓を生かせるのかどうかといえば・・・多分あまり生かすことはできないのではないのかと思えてしまう自分がいます。

現時点で生かされていないですから。

いずれにしても、世界はあらゆる面から正念場に差し掛かっている可能性を感じないではいられない部分が大きくなってきているようです。



  

2014年08月07日



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▲ 2014年8月2日のペルー El Comercio より。


ナスカの地上絵の中でも有名なものの位置関係


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ナスカの地上絵で有名なペルーの平原で、「砂嵐による強風によって」新たな地上絵がふたつ見つかったということが報じられています。


最初に報じたのは上のペルーのメディアです。


このナスカの地上絵は、存在自体も不思議なものではありますが、今回興味を持ったのは、


「今になって、強風で砂が吹き飛ばされたことによって突然出現した」


ということです。


他のものはかなり以前(最初に発見されたのは 1939年)から次々と発見されているわけで、つまり、強風で砂が吹き飛ばされて出現するのなら、もっと以前から出現してもよかったのではないかと。


この混沌とした 2014年に「唐突に姿を現した」というところに何となく興味を持ったのです。


発見したのは、ナスカの砂漠を飛行調査していた地上絵の研究者であるゴメス・デ・ラ・トーレ( Gómez de la Torre )博士でした。


新しく見つかった地上絵は以下の2点です。


ペルーのチャングリオ( Changuillo )の平原で発見された地上絵


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▲ トーレ博士は、何らかの鳥と考えているようです。




フマナ(Jumana)で見つかった地上絵


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▲ 曖昧な感じの地上絵ですが、博士は「ヘビ」だと考えているようです。

長さは 60メートル。



ナスカの地上絵は、存在としてあまりに普通に有名になっているので、その「不思議さ」を忘れがちですが、 ナスカの地上絵の Wikipediaを読んでみても、改めて、その不思議さを思います。


以下は、 Wikipedia からの抜粋です。


あまりにも巨大な絵が多く、空からでないとほとんどの地上絵の全体像の把握が難しい。このような巨大な地上絵を何故描いたのかというのが大きな謎の一つとなっている。


成層圏などの超高々度からでなければ見えないものもある。


地上絵の線についてはマリア・ライヒェが、夏至と冬至に太陽が日没する方向に一致するものがあることを明らかにした。


線の方向についてコンピューター分析を行ったところ、1年の太陽と月の運行の方向に合うものが偶然と考えられる場合の2倍に達するという結果を得ている。


「宇宙飛行士」などと呼ばれているもの、片手が4本指の「手」など不可思議な図柄もある。


というような記述を目にします。


最初の「空からでないとほとんど見えない」ことについては、興味深い写真が載せられています。


下の写真の木( Tree )と呼ばれている地上絵を地表から見た光景です。

この地上絵の大きさは上下が約 83メートルです。


nasca-tree-83.jpg



まず、地上約 1.5メートル(大体、人の目線くらい)からだと、地上絵の「線」さえ見えません。


地上約 1.5メートルから地上絵「木」を見る


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そして、5メートルの高さから見て、ようやく「線が少し見えてくる」のです。


地上約5メートルから地上絵「木」を見る


Nazca_Lines_from_3m_in_height.JPG



つまり、「身長が5メートルの人なら、線を確認できる」ということになりそうです(笑)。


ちなみに、 Wikipedia にある「宇宙飛行士」と呼ばれているものは下の地上絵です。


nasca-astronauts.jpg



また、「4本の指の手」の地上絵はこちらのものだと思います。


Outline-of-Hands-Nazca.jpg



片方の手だけが4本となっていて、何となく日本の「指詰め」を彷彿とさせます。


ちなみに、これらが描かれた時期ですが、 Wikipedia によりますと、紀元前 200年から紀元後 800年と、千年近くに渡って描き続けられたものであるとされているようです。





見つかった地上絵の「鳥」と「ヘビ」はマヤの創造神の象徴


今回新しく見つかった地上絵は、最初に発見した博士が見るところによると、それぞれ、「鳥」、そして、もうひとつのは「ヘビ」ではないかということでした。


bird-snake.jpg



この「鳥」と「ヘビ」というのは、合わさると、メソアメリカ文明では強い存在となるもので、たとえば、マヤ文明やアステカ文明の神話の神「ケツァルコアトル」は、「羽毛のあるヘビ」という意味で、マヤ文明ではククルカンと呼ばれますが、どちらも同じ神で、そして、マヤ文明では


「創造神」


なのです。


Quetzalcoatl_telleriano.jpg


▲ テリェリアーノ・レメンシス絵文書( Codex Telleriano-Remensis )にある、やや恐ろしげなケツァルコアトル。



創造神という意味では、あらゆる宗教の神と同じような存在であるといえそうで、こちらのページには以下の訳文が出ています。


ケツァルコアトルは、しばしば、それを崇拝していたメソアメリカの人々とは似ていない白く光り輝いているものとして描かれます。

また、多くの場合、ケツァルコアトルは「羽を持つ蛇」として描かれます。蛇が人間の DNA か物理的な現実を表していて、羽は、人間の起源への意識の上昇を表している、とされています。

Quetzalcoatl-1.gif


ケツァルコアトルは、トト ( Thoth =神の書記官)が、神聖な幾何学を通して表したものですが、あくまで現実として描かれています。

それは、「空から来て、また戻ると約束した」という、ひげもじゃの白い神として描かれているので、モルモン教徒学者たちの中は、イエスをケツァルコアトルと信じる者もいます。モルモン教によると、イエスは、彼の復活の後にアメリカ人のネイティブを訪問したとしています。



というように、


モルモン教徒学者たちの中は、イエスをケツァルコアトルと信じる者


もいるというような考え方もあるもののようです。



あるいは、この「ヘビ」というのも、過去記事でよく取り上げたものでした。


過去記事の、



 2012年04月08日


では、「ケツァルコアトル」という名前がつけられた小惑星があることもご紹介していました。


小惑星ケツァルコアトル( 1915 Quetzalcoatl )の軌道


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ケツァルコアトルは「金星を象徴する神様」だそうですが、小惑星ケツァルコアトルも、また「水星と地球と金星を守るように周回している」軌道を持っている小惑星です。


そんなわけで、2014年に突如として現れた新しい「鳥とヘビの地上絵」は、神様の再来の兆し「的」なものなのかどうなのか・・・というような、ロマン系の考えをしたくなるのも、現実の社会の殺伐さが絶好調に達しているからかもしれません。




  

2014年08月06日



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▲ 2014年8月1日の英国ガーディアンより。後述しますが、現在の南極の海氷の面積は、観測史上最大となっていて、最近はさらに急上昇を描いています。






 



今回は「南極」のことで気になることがありまして、そのことを書きます。

それにしても、南極はともかく、私の住んでいるあたりもずいぶんと暑くなってきました。下は、私の住む場所から比較的近い熊谷の天気予報です。

kion-39-85.gif
Yahoo! 天気


見るとげんなりするような数字が並びますが、ただ、暑さに非常に弱い私が、不思議なことに今年は暑さでは、さほどダメージを受けていないのです。もちろん暑いことは暑いのですけど「まあ、夏だし」くらいで済ませている自分がいます。

日中の太陽の照りつけは激しいものがありますが、日陰ならさほど厳しい感じでもないです。特に、風が比較的涼しく感じられます。

体質が変わったのか、気候の何かが変わったのかわからないですが、まあ何となく「気温の数字ほどではない夏」といった感じはあります。

ところで、冬を迎えている南半球のオーストラリアは、現在大変な寒波に見舞われていて、アデレーデという街では、126年前の最低気温の記録を更新したのだそう。

au-cold-126.gif
abc


上の記事によると、この地域の周辺では、軒並み氷点下を下回っているそうで、また、オーストラリアは全体として、近年の寒さの記録を上回る地域が続出しています。

そして、その理由なんですが、

南極からの冷たい風


と上の記事にはあります。

さて、その南極。
ここが今、何だか気候的な意味では大変に混沌とした状況となっているようなのです。





南極を巡る混沌

冒頭の英国ガーディアンの記事は、タイトルだけでは意味がわかりにくいかと思いますが、南極は今年に入って以来、大変なことになっていまして、何が大変かというと、「データ上であまりにも氷が多い」のです。

連続して南極の海氷面積の「観測史上最高値の更新」を続けていて、上の記事では、科学者たちが、「人工衛星のデータがエラーを起こして、そのために、過大に氷の量が示されているのではないか」ということを言い始めているということなんですね。

まあ・・・この科学者の方々は、立場としては地球温暖化「系」の方々で、「このとんでもないデータを事実だと認めるわけにはいかない」という部分もあるのかもしれません。

後で最新のデータを載せますが、下のは今年の4月のもので、イリノイ大学の海氷面積の集計データをグラフ化したものです。

これを見ても、今年の南極の海氷面積が突出して多いことがわかります。

Antarctic_Sea_Ice-28Apr2014.gif
stevengoddard


このような「異常に多い南極の海氷」について、科学者たちは「観測衛星のデータのエラーの可能性がある」と言い始めているということのようです。根拠なく主張するとも思えないですので、実際にエラーである可能性もあります。

しかし、データはともかくとしても、この夏の南極は実際に「気温自体が低い」ということは確かであって、

極地の超寒冷化: 南極で6月としては観測史上で最も低い気温記録を更新
 2014年07月14日

という記事でご紹介していますが、7月に、南極のフランス基地局のあるアデリーランドでは、観測史上の最低気温を更新しています。

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▲ 2014年7月12日のフランス気象局のニュースより。


上の記事で、ニュースを訳したものを掲載しておきます。

Coldest Antarctic June Ever Recorded
WUWT 2014.07.12

6月としては南極で最も低い気温を記録

フランスの南極基地、デュモン・デュルヴィル基地で、これまでの南極大陸の6月としては最も寒い気温が観測されたことが、フランス気象局によって報告された。

南極では「地球温暖化」の傾向をまったく無視するかのような非常に低い気温が続いている。

フランス気象局の発表によれば、南極の今年の6月の平均気温はマイナス 22.4℃となり、これまでの観測記録の平均より 6.6℃低かった。そして、これは同基地で観測された6月の平均気温としては、これまで最も低い気温の記録となった。

また、南極の6月でこれまで最も気温が低かったのはマイナス 34.9℃の記録があるが、この記録も更新した。

そして、6月の南極の日照時間は通常は平均 7.4時間なのに対して、今年の6月は 11.8時間あるという珍しい特徴があり、静かな風が異常に吹いているという特徴がある。



上の短い記事では、気温が低い他にも気になるフレーズがあります。

・日照時間が平年とかなり違う
・静かな風が「異常に」吹いている


という普段の南極とは違った現象が、地域的な条件もあるでしょうけれど、起きているところでは起きているらしいのです。

そんな中、「どう考えていいのかわからないデータ」があります。





南極の混乱を示す2つのデータ

まずは、最新の「南極の氷の面積のデータ」をご覧下さい。

antartic-seaice-0805.gif
sunshine hours


今年の南極の氷の面積は、もともとずっと観測史上で最高かそれと並ぶ数値を示していたのですが、この1週間ほどで今まで以上に急激に増え始めているのです。

海氷が増えたからといって、気温が下がっているということでもないのかもしれないですが、ただ、

「暖かくなっているということはないだろう」

とは思いますよね。

ところが!

もうひとつのデータを見て、私は愕然としました。
そして、南極の一部地域に「異常に高い表面温度」に見舞われている場所があるのです。





平年より「 20度近く表面温度が高い状態」が継続している地域

下はアメリカ海洋大気庁( NOAA )の 7月 30日から 8月 5日までの全世界の地球の表面温度の平年との差を示したデータです。

surface-2014-0805s.gif
NOAA


平年との差は、世界全体としては「白い部分」、つまり、平年とほぼ同じ程度の表面温度のところが多く、続いて、黄色や緑色などの「平年の記憶より 6度から 10度くらい高い」(これはこれでかなり高いと思います)地域が続きます。日本も平年より高いですが、これはまあ、今の状況から理解できます。

しかし、世界の大部分では「極端に異常な温度差」が表示されているところはあまりないこともわかります。

南極以外は。

南極の真っ赤な部分は、平年より表面温度が「 18度以上高い」ということになり、さらに、昨日の8月5日のデータに至っては、下のような状態になっているのです。

surface-s-0805.gif
NOAA


平年より 20度高いというのは、地球のどこの地域であっても、「一種の異常」だと思います。

よく見てみますと、南極の他の部分も黄色などの色が多くなっていて、表面温度が平年より 10度以上高い地域が多いということも示されています。その一方で、平年より 18度以上「低い」ところなども見受けられます。

しかし、全体としては、

南極自体の気温は低下していっているのに、「南極全体の表面温度」はかなり上がっている。


ということのようです。


いったい、南極で何が起ころうとしているのか?


特に真っ赤な地帯はどうしてそんなに表面温度が高くなっているのか。

メタンか天然ガスが噴出したり、新しい海底火山でも活動している?
それとも、シベリアみたいな大きな穴でも開こうとしている?

そういえば、ちょうど1年ほど前に、南極の記事で、

南極の「氷床の下」からウジャウジャと何かが露出し始めた?
 2013年08月17日

というような記事の中に、

南極で部分的に地表から消えている氷の「下」から何か出てきている?


などということを書いたことを思い出したりしました。

いずれにしても、海氷が増えている一方で「超高温」に見舞われている地帯がある南極で何が起きようとしているのか、目が離せない展開となってきているのかもしれません。



  

2014年08月05日



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新約聖書『ヨハネの黙示録/ 08章 11節』

水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。




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▲ 2014年8月4日のロサンゼルス・タイムズより。






 



トレド、というと、ローマのトレビの泉の別名として思い出したりもしますが、今回のトレドは、米国オハイオ州にあるトレド市の話です。そして、結構な深刻な話です。

オハイオ州トレド市の場所は下の位置で、五大湖のひとつであるエリー湖に面しています。この地域の水源はそのエリー湖となっています。

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冒頭のロサンゼルス・タイムズの記事は「飲用禁止が解除された」とありますが、つまり、「水道の水を飲むことが禁じられていた」のです。

理由は水源となっているエリー湖の「藻」の繁殖により、水道水に大量の毒素が入り込んでいることが判明したためでした。

AFP の記事から飲用します。

米都市で水道水が飲用禁止に、40万人以上に影響
AFP 2014.08.04

米オハイオ州トレドの当局は2日、同市と郊外の住民少なくとも40万人に対し、藻の繁殖によって発生したとみられる毒素「ミクロシスチン」が水道水から検出されたため、飲料用として水道水を利用しないよう警告した。また、水道水を沸騰させることで毒素の濃度が増すとして、お湯を使わないよう呼び掛けている。

警告はトレド市の水道水の全利用者を対象としており、当局は警告が解除されるまで水を使わないよう求めている。地元の赤十字社によると、ミクロシスチンは吐き気や下痢を引き起こしたり、肝機能に悪影響を及ぼす恐れがあるという。

市の水道水の水源となっているエリー湖では、流入した農業用肥料に含まれるリンやチッソによって藻が大繁殖した。



ということで、実際には 50万人以上が影響を受けることになりました。

さて、水道水の使用の禁止が発表されたトレド市では・・・。

発表から 50分で、ほとんどのお店からペットボトルの水が消滅

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BreakingNews


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・書かれてあるのは「ペットボトルの水はありません」。 Colombus Dispatch


その後、オハイオ州は非常事態を宣言するに至りましたが、翌日、「水道水に含まれる毒素が飲用許容量にまで低下したので、水道水を飲める」と発表したのが最初のロサンゼルスタイムスの記事です。

写真でマイクに囲まれているのは、トレド市の市長ですが、テレビカメラの前で、わざわざ「このように飲んでも安全です」と、自ら水道水を飲んでアピールするなどしていました。

Toledo-mayor-01.JPEG

▲ 水道水を飲んで、安全性を強調するトレド市のマイケル・コリンズ( Michael Collins )市長。 Kansas City Star より。




改めて全米国民が認識した「湖の現状」のひどさ

しかし、「飲んでも大丈夫」となったことはいいとして、今回のことが詳細に報道されていく中で、アメリカの人々は「水源のエリー湖の実態」というものを「視覚的に見てしまった」のですね。いや、エリー湖だけではなく、「アメリカ全体の水源の実態」をも。

エリー湖の 8月 3日の状態

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Colombus Dispatch


CTY-algae04p-green.jpg
Toledo Blade


これは・・・青汁の領域ですね。
下の写真の人も調査チームの一人ですが、この人なんかだとグッと一気に飲み干しそうな。

CTY-algae04p-Shane-Gaghen.jpg
Toledo Blade


こういうような「自分たちが飲んでいる水の水源の状況」の写真や映像をメディアで見てしまうと、いくら「安全」と言われても、水道水の使用を躊躇してしまう人もいるのではないかと思います。

もっとも、これは今に始まったことではないようで、下の写真は 2011年に衛星から撮影されたエリー湖の写真ですが、この時にもすでに緑だらけとなっています。

bloom-image_credit-merisesa_processed-by-nccos.gif
Accuweather


しかし、実は最大の問題は、このエリー湖やトレド市などのような単体のことではないのです。

下の記事のタイトルにあらわされている問題なのです。

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▲ 2014年8月4日の Quartz より。





全米の多くの水源で藻の大発生による毒素の問題をかかえている

今回は上の記事をご紹介したいと思っていますが、ちなみに、もともと、アメリカの水は、特に都市部の水道水は「そのままは飲めない」ということにはなっているようです。

平成 16年(2004年)に、国土交通省の水資源部がリリースした「日本の水資源」という資料には、「水道の水がそのまま飲める国と飲めない国」という項目があります。

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国土交通省水資源部資料「日本の水資源」


この図を見ると、水道の水が直接飲める国は、2004年の時点で、日本、ニュージーランド、ヨーロッパの一部、南アフリカなど、非常に少ないことがわかります。

もちろん、これは「日本人が飲める」という意味が強いとは思います。旅行などに行きましても、多くの国で普通に水道の水を飲んでいますし、実際には、日本人の旅行者なども、たとえば、アジアやアフリカなどへの旅行の場合は、「どこかしらで(気づかずに)飲んでいる」はずです(特に氷)。

しかし、今回のような「藻」による毒素は、単にお腹を壊すとか、そういうものだけではなく、 AFP の記事にもありますように、吐き気や下痢を引き起こしたり、肝機能に悪影響を及ぼすという意味での、「本当にどうやっても飲めない水」ということになり、何しろ「沸騰させるとさらに毒性が高まる」のですから、どのようにしても飲めない水ということになります。

それでは、ここから上の Quarrtz の記事をご紹介します。

この問題が「昨年あたりから急激に悪化している」ことがわかります。
また、たとえば、過去記事の、

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

などの最近の魚の大量死とも関係している部分があるかもしれません。

関係しているとすれば、川や湖での魚の大量死の原因の多くは藻の大発生による酸素不足ですので、同様の魚の大量死は、今年のアメリカの夏にも数多く起きるはずです。




It’s not just Ohio−poisonous algae blooms now plague 20 US states
Quartz 2014.08.05


オハイオ州だけではない。今や全米 20州で毒素を持つ藻類が大発生している


北部オハイオ州の希少な水の供給源であるエリー湖は緑で覆われている。

見た目は、単に青いスムージーのように見えるだけかもしれないが、これら藻類、あるいはシアノバクテリアの大繁殖から発生する毒素は、人間の肝臓や他の臓器にダメージを与える可能性があり、また、時にはペットを死に至らしめるほど強い毒性を持つ。

エリー湖を水源としているトレド市に対し、オハイオ州政府は、水道水から検出された毒素の量は、飲用に適さないと宣言した。

このエリー湖は、藻類で悪名高い。 しかし、昨年 2013年に関していえば、この生態学的に壊滅的な事態は、エリー湖だけの話ではない。下のグラフがそれを示している。


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例えば、オレゴン州のブルー湖では有毒な藻が大発生し、オレゴン州は水を確保するために苦労しなければならない羽目になった。

ケンタッキー州では、2013年に初めてこの有害な藻の問題が報告された。これは、旅行者が州内の4つの湖を訪問した後、発疹や胃の痛みを訴えたことから調査して判明したものだ。

ケンタッキー州では今年もまた藻が大発生している。

フロリダ州では、2013年に、インディアン・リバー・ラグーンで有毒な藻類が発生し、120頭以上のマナティーが死亡した原因になったと一部の科学者は言う。


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なぜこのようなことが起きているのか?
藻類が根本的に悪いわけではない。
実際、彼らは水生の食物連鎖の重要な位置にいる。

しかし、湖に流出する肥料や動物の飼料に含まれるリンと窒素などにより、藻たちは狂ったかのように大繁殖をはじめる。

また、米国の産業廃棄物は、藻類を食べる魚を殺し続けてきた。さらに悪いことには、生き残った魚たちさえ、藻の大繁殖そのものにより大量死に至る。

人間の健康を脅かすだけではなく、藻の大繁殖は、全体の生態系を破壊する可能性をもっている。米国政府は最近、藻類の発生の研究のために、毎年 2050万ドル( 約20億円)を投資する法案を可決した。




  

2014年08月03日



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▲ 2014年7月29日のチュニジア・デイリーより。






 



干ばつで苦しむ地域に突如出現した湖を人々は「奇跡」と称賛した

まあ、最近は、「いろいろな穴」が地上に出現し続けているわけですが、先日も、

シベリアでさらに次々と見つかるクレーターと「現在北極がシベリアに向かって猛スピードで移動している」という状態から浮かびあがる「ポールシフト」の概念
 2014年07月29日

という記事で、シベリアの最北端の「世界の終わり」と呼ばれている場所に、連続して穴が発見されたことを記しました。

今度は、チュニジアの南部に「巨大な湖が突然出現した」という出来事が起きています。

上の報道と写真は、3週間ほど前にチュニジアの南部のガフサという場所に突然、出現した湖のことを報道する現地メディアです。このニュースは最近になって欧州で報じられるようになり、私は数日前に知りました。

どうして湖が突然できたのかは、今のことろその原因はわからないのですが、現在のチュニジアは「非常に厳しい干ばつ」が続いていたため、地元の人々は「神の奇跡」と喜び、多くの人びとが泳いだり涼みにきているそうです。

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Tunisia Daily


下の動画は地元で撮影されたその様子です。




動画を見てもおわかりかと思いますが、決して小さなものではなく、広さは約1ヘクタール(10,000平方メートル)で、深さも十数メートルあるとのことで、水量としてはかなりのもの。

チュニジアという国は地図では下の場所で、ガフサという地域はその中央のやや南部寄りに位置します。そして、先ほども書きましたが、この地域は最近、非常に激しい干ばつに見舞われています。

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それだけに、水を求めていた人たちの気持ちはとてもよくわかるのですけれど、ただ、記事によりますと、このチュニジア南部というのは「リン」の産出地として名高いそうで、この水が有毒、あるいは放射性を帯びている可能性が指摘されているようで、当局は泳がないよう通達を出しているようです。

今回は上のことを報じた英国インターナショナル・ビジネス・タイムズの記事をご紹介します。

ところで、ちょっと話が逸れますが、「干ばつ」といえば、いずれご紹介しようと思っているのですが、アメリカのカリフォルニア州の干ばつもいよいよ「生活上の死活問題」にまで発展しそうなほどのものとなっているようです。

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アメリカ西部の干ばつもすごいことに

先週くらいの英国デイリーメールで、カリフォルニアを空中から広範囲で撮影した写真が数多く載せられていた記事がありましたが、何がすごいって、「カリフォルニアから緑の芝生がほぼ消えている」のです。

米国カリフォルニアの6月上旬の光景

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Daily Mail


まだ、「木の緑」はかろうじて残っていますけれど、芝生はほぼ全滅している状態で、当局が不要な水撒きなどを制限しているせいもあるようですが、「緑のない大地」がえんえんと続いているのです。

あるいは、カリフォルニアは砂漠に向かっているのかもしれないですが、それはともかく、この水不足のために、今まではなかったこととして、「住居近くまでガラガラヘビが近づいてきている」というような事態が報道されていたりもします。

そのことについては、

米国カリフォルニア州の干ばつのために住居エリアの周辺にガラガラヘビが多数出没し始めている
 きたるべき地球のかたち 2014年07月28日

にありますが、これ以上、水不足が続いた場合、カリフォルニアやその周辺は、考えている以上に深刻なことになる可能性もあります。

では、チュニジアの湖についての報道をご紹介したいと思います。




Mysterious Lake Discovered in Drought-Stricken Tunisia Could be 'Radioactive'
IBTimes 2014.08.01

干ばつの直撃を受けているチュニジアで突然発見された謎の湖は「放射性」をもつ可能性がある

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チュニジア南部のガフサ地域に、まったく突然出現した「謎の湖」に何百人もの人々が泳ぎに集まっている。

干ばつの被災地域であるこの場所に、突然、豊富な水が出現したということについては、その理由がまずわからない上に、水の品質についての懸念も示されている。

地元の人々には「奇跡」として受け止められ、脚光を浴びているこの湖だが、当局は湖は放射性を持つかもしれないと警告している。

湖は地元の羊飼いが発見し、現在は、ガフサ・ビーチ( Lac de Gafsa )と呼ばれている。この突然出現した湖の深さは 10メートルから 18メートルあり、広さは周囲の1ヘクタールに広がっている。

地元メディアによると、約3週間前に発見されて以来、600人以上の人々が訪れ、泳いだり、ダイビングを楽しんでいるという。

どうしてこのような湖が突然出現したかということについては、現時点では公式な説明はないが、地元の地質学者たちは、地震活動が地下水を含む地質層に影響を与えている可能性を指摘している。

チュニジアは、リンの世界第5位の輸出国で、このガフサ地区は最大のリン鉱山を持つ場所でもある。このため、この湖の水にリン酸が多く含まれている可能性があり、泳ぐことには健康的な危険があるかもしれないことを当局は警告している。

しかし、人々は、公式の禁止令が出ていないとして、湖で泳ぐことを続けている。また、ガフサ・ビーチの FaceBook も作られた。

湖の水は、最初、ターコイズブルーだったが、現在は暗い緑色に変色している。

地元の科学者たちも、水が汚染されていることにより発がん性が生じている可能性に言及すると共に、また、水の色が変色しているということは、藻類が繁殖し始めていることもあり得るとして、その有毒性の危険を指摘している。






ここまでです。

ところで、シベリアの穴も最初に発見された穴の地下は水となっていました。

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記事より。


これらと関係する話かどうかはわからないですが、「地球の地下にある水」というキーワードに関して、最近の研究で「地球の地下マントル部には、地表の海の3倍を超える水が存在している」という研究結果が6月に、科学誌サイエンスに発表されていました。




地球の地下は表面より水が多い

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▲ 2014年6月13日の英国ガーディアンより。


正確にいうと、「上下マントルの境界部」に水が存在することがわかったのだそうで、図でいうと大体、下のあたりでしょうか。

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上下マントルの境界部というのは、地下 410キロメートルから 660キロメートルあたりにかけて広がっていると考えられている場所のようなんですが、その部分に地表の海の3倍以上の水が存在する可能性があるということのようです。

もちろん、そんな深いところを実際に調査したり、そこから物質を採取したりすることができるわけではなく、研究チームは「地震波の観測情報を精査してこの層の融解状態を調べる」ということをおこなったようです。

その理論は難しいですが、理解できないままに、そのまま訳します。

地震波は、原則としては、やわらかい物質や温度の高い物質、あるいは密度の低い物質では速度が遅くなることが知られている。つまり、もし遷移層が融解していれば、そこを通過する時だけ地震波の速度が遅くなる。

世界中の地震のデータは無数にあるため、発生時間と観測時間のデータを抽出して描きだせば、速度がどれだけ変化したのかを導き出せる。そのことにより、間接的に地下の内部構造が判明するのである。



という理論を使って、アメリカの 2000の地震計から導きだした結果、「地下のマントル層には膨大な水が存在する」ということがわかったのだそう。

これって・・・あれですね。

地表の3倍の水が地下に存在するというのが事実なら、たとえば今回のチュニジアみたいな「突然、湖ができる」というように、「下から水が噴出してくる」というようなことが日常的になっていった場合、

地表を地下の水で水没させることができる


という「奇妙な表現」も可能となりそうです。

上(空)から来る水も、最近では頻繁に激しい洪水を引き起こしますし、そして、下(地球の下)にある水は、地表のすべての水の量を超えている・・・ということで、やはり、地球は本当の意味で「水との関係の中にある惑星だな」と思います。・・・いや、「地球が惑星である」という概念自体も、最近の私には怪しさを感じさせるものはあるのですけれど、まあ、そのあたりのややこしい話は置いておきます。

いずれにしても、「地球という場所の真実」が明らかになるのは、まだまだこれからのことなのだろうなあと感じます。

私自身がそれを「見られる」、あるいは「知る」ことができるかどうかはわからないですが、いつかはきっと、この地球という「惑星のようなもの」の真実はわかる時が来ると思っています。