2014年09月29日



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ほんの 35 年前に有史以来初めての噴火を見せた「輪廻転生の門」でもある御嶽山の噴火と共に本格化しそうな環太平洋火山帯の活動



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▲ 英国のデイリーメールの記事に掲載されていた 9月 28日の御嶽山の頂上付近の様子。まるで、ジオラマか何かのように現実感が消失した光景ですが、現実です。写っている人たちは、救助にあたっている警察と自衛隊員の方々。






 



御嶽山噴火が教えてくれる「噴火の前兆」の現実

御嶽山の噴火は、結果として相当数の犠牲者を出してしまいそうな形となっていますが、昨日の産経新聞の記事の下の部分読むだけでも、噴火時の山頂付近の惨状がわかる気がします。

2014年9月28日の産経新聞「御嶽山噴火 「ドカン」巨石の雨 軽トラ大…「もうダメだ」」より

火山灰とともに、周囲に直径1メートルぐらいの大きさの石が飛んできたため、急いで岩陰に隠れた。まもなく、もう一度「ドカン」という音が鳴り、今度は軽トラック大の石が飛んでくるようになった。

巨大な石は地面にぶつかって割れ、破片が四方八方に飛び散った。黒い雨が降り始め、雷のような音も鳴ったという。灰はひざ上まで積もった。「もうダメだ」。そう思った。

> 軽トラック大の石

こういうものが飛び交う状況……。


ところで、今回の御嶽山のニュースは、最近の日本の出来事の中では、海外で最も大きく報じられたニュースのひとつかもしれません。なぜかイギリスのメディアでの報道が特に大きいですが、あらゆる主要国のメディアで大きく報道されています。

下はロシアのテレビニュースですが、どの報道にも

「日本の中央」で火山噴火

というような文字が入るものが多く、たとえば、下のような映像と共に「日本の中央で火山噴火」という文字がクレジットされる報道が始まると、何だか「日本が終末の日を迎えた」かのような構図にも見える物々しさを感じます。

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▲ 2014年9月28日のロシアのテレビニュース Obozrevatel より。


それにしても、冒頭のデイリーメールも含めて、イギリスのメディアは、下手すると日本の報道より詳細な救出活動の写真を数多く載せていて、「なんだか、日英の報道スピードの順序が逆転しているみたいな感じ」を受けました。

下はそれぞれデイリーメールに掲載されている写真です。

自衛隊の戦車も投入

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▲ 救助活動に戦車2台が投入されていることもデイリーメールで知りました。長野県の王滝村です。


空中からの救助活動

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▲ 生存している登山客2名をヘリコプターで救出した場面。しかし、この後、毒性のある火山ガスなどに覆われ、ヘリコプターによる救出は中止になったようです。


なお、このデイリーメールの記事では、この報道のページの中に「火山による死傷者が発生する様々な理由」というコラムが記されていました。

翻訳します。




MUD, GAS AND ASH: WAYS A VOLCANO CAN KILL YOU

泥流、ガス、火山灰:火山があなたを死に至らしめる理由

私たちが一般的に火山の危険性をイメージする場合、それは溶岩によるものとする考え方が多いが、実際には、噴火によって死傷者の発生する原因は様々にある。

1. 火砕流 火砕流とは、温度 1,000度にも達する熱の流れが時速数百キロで山の下に向かう現象で、火砕流が通過した領域のすべてを燃やし尽くし、また、見舞われた場合、脱出は不可能。

2. 湖水爆発 非常に希な現象だが、火山湖から二酸化炭素が流れ出ることにより、大気が高濃度に汚染され、人間を含めて、周囲の動植物を殺す。

3. ラハール(土石流、火山泥流) 大量の水分を含んだ火山灰などの噴出物の泥流が山の斜面を流れ下る現象。流下スピードが極めて速く、壊滅的な被害が出る場合が多い。

4. 火山灰 非常に大きな噴火が起きた場合、噴煙が下部成層圏にまで達し、これにより太陽光が遮られることにゆり、地球の気温が下がる。このような火山活動による地球寒冷化が恐竜が絶滅した原因と考えられていたこともある。




とあり、初めて「湖水爆発」とか「ラハール」という言葉を知ったのですが、この「ラハール」という現象は、今回噴火した御嶽山で 1984年に起きていたのだそう。これに関しては、長野県西部地震 - Wikipedia というページに詳細が出ています。

つまり、噴火によるラハールではなく、地震によるものだったようですが、下のような被害を出したのだそう。

御嶽山南側で「御嶽崩れ」と呼ばれる山体崩壊が発生し、体積約3450万立方メートルの土砂が伝上川の両岸を削りつつ、濁川温泉旅館を飲み込みながら、標高差約1900〜2500m、距離約10kmを平均時速80km〜100kmという猛スピードで流下し、延長約3kmにわたって最大50mの厚さで堆積した。

氷ヶ瀬の渓谷では厚さ30メートル以上の土砂が堆積し谷が埋まった。

当時、伝上川周辺には名古屋市からきのこ採りなどに来ていた5名と濁川温泉旅館の経営者家族4名の計9名がいたが、いずれも山体崩壊の土石流に巻き込まれ、行方不明となった。

このようなことがあったのだそうです。

ところで、この 1984年の御嶽山の山体崩壊を調べていた時に、長野県理化学会・地学部会のサイトにこのことにふれていたページがあったのですが、以下の記述がありました。写真は、1984年の山体崩壊の際の御嶽山です。


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御嶽山は火山で、この長野県西部地震の5年前の1979年に数千年の沈黙を破って有史以来初めて噴火した。火山の寿命は数万〜数百万年に及ぶので、有史以来噴火の記録がなくても活動が完全に終了したとは見なせない。地球の営みを人間の尺度で測るのは無理がある。

なんと、御嶽山は、ほんの 35年ほど前に、

> 数千年の沈黙を破って有史以来初めて噴火した火山

なのでした。




日本の学問から「死火山」という言葉を消滅させたのは御嶽山の1979年の噴火だった

ところで、上のセクションの見出しに、「噴火の前兆の現実」という言葉を入れたのですけれど、これはどういうことかというと、下の静岡新聞の報道のタイトルに尽きます。

<御嶽山噴火>「前兆なし」、富士山も同様の恐れ
静岡新聞 2014.09.28

長野、岐阜両県にまたがる御嶽山の噴火で、静岡県内では28日未明にも、富士山頂付近などで降灰が予想される。明白な前兆現象がないまま噴火に至った今回のケースについて、火山学者は「富士山でいつ同様の噴火が起きてもおかしくない」と声をそろえる。

火山噴火予知連絡会伊豆部会委員を務める小山真人静岡大教授は、御嶽山の噴火が「マグマの大規模な上昇ではなく、地熱活動の変化による水蒸気爆発だろう。こういう噴火は高精度の観測機器でも前兆を捉えにくい」と話す。富士山火口にも過去の水蒸気爆発の痕跡があり、同様の噴火は起こり得るという。

そうなんですよ。

「前兆がない」という噴火が存在することが現実で、上の記事では富士山の例を挙げていますが、すべての火山にいえることだと思います。突如として噴火するのです。

そして、その上の長野県理化学会のサイトの下の文章。

> 火山の寿命は数万〜数百万年に及ぶので、有史以来噴火の記録がなくても活動が完全に終了したとは見なせない。

と、

> 地球の営みを人間の尺度で測るのは無理がある。

のふたつの文章などを読みますと、

いわゆる「死火山」という火山は存在しないかもしれない

という考えにもいたります。

実際、現在は、地質学用語での「死火山」という言葉は事実上存在しません。

そして、その「死火山」という言葉の定義を変えた火山こそ、今回噴火した御嶽山だったことを知りました。死火山 - Wikipedia には「現在では死火山という言葉は休火山とともに学術的には廃用となっている」という説明の後に、下のように書かれています。

従来、死火山とみなされていた木曽御嶽山が、1979年に水蒸気爆発を起こし、定義を大きく見直すきっかけとなった。

つまり、「すべての火山はいつでも噴火する可能性がある」という考え方に日本の火山学の方向を向けさせたのも御嶽山なのです。




さらに活発化する「環太平洋火山帯」の火山活動

今回、海外の報道やブログを少し見ていて、印象的だったのは、ふだんは経済的なこと(株や為替や経済クラッシュなど)を記事として取り上げる「ゼロヘッジ」というアメリカのブログがありますが、そのゼロヘッジが、今回の御嶽山の噴火について記事にしていたのです。

Japan Declares Level 3 Emergency, At Least One Dead After Volcano Erupts In Central Japan
(日本の中央部での火山噴火で1名が死亡、日本は警戒レベルを3に引き上げる)

という記事でした。

まあ、そのことはともかく、そのゼロヘッジの記事のコメントに、

「環太平洋火山帯の活動が活発になってきている」

というものがあり、そのコメントに添えていたリンクの記事こそ、前回の記事

エスキモーの女性予言者が「アルマゲドンのキッカケ」の噴火として述べていたアメリカのマンモス・マウンテンで起きた1日 1,000 回を越える異常な群発地震
 2014年09月27日

に貼りました、米国 NBC のニュースでした。

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NBC


このコメントを書いた人が、日本の噴火の記事に対してアメリカの群発地震の報道記事をリンクしたということは、遠く離れた日本とアメリカは結局「共に環太平洋火山帯でつながっているために、その活動の根源は同じ」と言いたいのかもしれません。

地図的にいうと下のふたつは同じ要因だと。

ring-of-fire7.gif

▲ ピンクの部分が環太平洋火山帯。英語では、火の輪( Ring of Fire )と呼ばれています。


今年6月の記事で、

環太平洋火山帯の目覚め? : アリューシャン列島とアラスカで続く群発地震から2年前に発表された「地球の磁場の反転と巨大火山活動が関係する」という論文を思い出す
 2014年06月23日

というものがありましたが、環太平洋火山帯に属するアリューシャン列島で、6つの火山に対して同時に高い警報レベルが出されるということがありました。さらに、同じ頃、太平洋火山帯に属しているアラスカのブルックス山脈でも、これまで起きたことのない群発地震が起きています。

そして、昨日の記事「エスキモーの女性予言者が……」でふれましたカリフォルニアの群発地震。

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それぞれが密接につながっているというものではないにしても「曖昧につながっているかもしれない」ということは言えるのかもしれません。

上にアリューシャン列島の火山活動の活発化のことを書きましたが、環太平洋火山帯に属するカムチャッカ半島での火山活動も活発なようで、現在噴火が続いているカムチャッカのシベルチ火山は、 9月 24日には「高さ 11キロメートルの噴煙」を噴き上げるまでの大噴火となっています。

2014年9月24日のシベルチ火山の様子

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Watchers Copyright: Y. Demyanchuk


この高さのすごさを比較するとすれば、たとえば、今年5月に「史上2番目の高さ」の噴煙を上げる噴火をした桜島のその時の噴煙の高さでも 4.5キロメートルでした(最高は 2013年 8月の 5キロメートル)。

ここから考えても、このシベルチ火山の噴煙の高さはかなりのものだと思われます。




多少の個人的な御嶽山との縁

ところで、突然話が別の方向になりますが、私自身、今回噴火した御嶽山とは、やや縁というのか何というのか、そういうものがあります。

北海道に住んでいる私の母親の友人の女性がいます。
その方は、今は年齢を考えると、そろそろ定年されたかもしれないですが、市内の大きな病院の婦長さんをやっていた方です。

その方が、かなり昔の話だそうですが、ある日、唐突に、「神がかり」のような状態となりました。そして、その際に、「声」から「御嶽山へ行け」と告げられたことがあったのだそうです。

そして、言われた通りに御嶽山に行き、最初のうち、そこでどのようなことをしていたのかは私が知るわけもないですが、その御嶽山でなにか悟った(?)らしいんですね。

それ以来、特に何かの宗教に入るということもなく、自分自信で御嶽山の神様(?)を自宅に祀るようになり、少しずつお金を使って祭壇のようなものを作り、そして毎年、休暇をとって御嶽山に通い、その度に修行(?)のようなことをしてくるということなのでした。

そして、病院の婦長さんも務めつつ、自宅で、御嶽山の何らかの神様と共に精進をし、また「悪霊などを払う」ようなこともやっていたりするようです。

この方とは、実家に帰る際には、たまに会うこともあるのですけれど、まったく普通のおばさんというか、 NHK の地方の「ほのぼの家庭のご紹介」的な番組に出てくるような気さくな人です。

ただし、体重がすごい。
100キロ近くあるのではないですかね。
しかし、骨格を含めた体格そのものが大きく、太っているという感じはないです。

そのおばさんが言うには、彼女の言うところの、霊(悪霊のたぐい)と対峙するには、体重がないと負けちゃう、とのこと。

まあ、その人の話はともかくとして、私自身の御嶽山との「」というのは、その人が御嶽山に修行に行くたびに、御嶽山でお守り的なものを手にして、毎年、私に送ってくれるのです。

私が結婚してから毎年のように送ってくださっているので、つまり、10年以上になるのですが、信仰心のない私とはいえ、そういうものを無下にするということもできず、送られてきた何枚かのお守りの紙のようなものを部屋の目立たないところに貼っています。

これがどういうところにより出ているものなのかわからないのですが、御嶽山のどこかのものではありまして、つまり、この 10年以上、「私の住む部屋にはずっと御嶽山のお守りが貼られている」というのが、縁というか……まあ、それだけの話なのですが、正直、今回の噴火まで、御嶽山そのものに興味を持ったことがなく、今回初めて少しだけ知った次第です。

ちなみに、御嶽山 - Wikipedia の「歴史・信仰」というセクションには以下のようにあります。

御嶽山は山岳信仰の山である。日本の山岳信仰史において、富士山と並び講社として庶民の信仰を集めた霊山である。

また、御嶽山信仰の特徴として、

「死後我が御霊はお山にかえる」という信仰に基づく霊神碑が御嶽山信仰の特徴のひとつである。

というような面もあるようで、死後の霊の帰る場所としての信仰に基づいているようです。

仮に、人間が輪廻や転生をするものだとすると、御嶽山は「霊が帰る場」というより、「死から生への門」のような場所といえるのかもしれません。

もっとも、輪廻転生というものがあったら、としての話ですが。


いずれにしましても、御嶽山は先に書きましたように、

日本の火山の学問から「死火山」という言葉を消滅させた(どんな火山でも噴火しうることを人びとに認識させた)

日本の山岳信仰の最高クラスの山のひとつ

という側面を持つ山であり、もうひとつ、

日本列島の中央部に位置している

という「御嶽山のある場所の示唆的な意味合い」にも何かを感じる部分はあります。


ところで、上のほうにリンクしました過去記事「環太平洋火山帯の目覚め? ……」では、英国の大学の発表した、「地球の磁気の逆転は大規模な火山活動と関係している」という論文の内容を紹介した記事を翻訳したものを載せています。

これは「地球の磁場の反転と、過去の大噴火の頻発した時代には相関した関係があった」ことがわかったというものです。

・噴火
・磁極ポールシフト


は常にセットになって、その時代を見舞うという過去の地球だったようです。

地球の磁極が急速に移動していることは、これまでかなり書いたことがありますけれど、たとえば、最近では、

ポールシフトに関する最近の緊迫 : 北の「磁極」がシベリアにまで移動しつつあるという情報の真偽。そして、ロシア空軍から報告された「アメリカの磁場異常がカタストロフを引き起こす」という情報の真偽
 2014年06月18日

という記事で、基本的には、磁場の異変が感知された場所と群発地震の関係などを記していますが、2011年の日本の大震災の時に、高層大気圏での電子数などに異常が起きていたことがわかったことなども書いています。

地殻の異変と関係することがらは、あまりにもいろいろな要素がこれまで出されてきていて、そのような状況の中で、「環太平洋火山帯での地質活動を刺激しているトリガーが何か」というのは想像もできないですが、

・地球の地殻自体
・磁場や磁気の問題
・宇宙との関係


というものが複合して関係しているであろうことは想像がつきますし、今回の御嶽山を考えていると、そこに加えて、

・信仰
・神という問題


ということも、あるいは加えて考えなければならないのかなと思ったりします。

いずれにしても、太平洋火山帯の活発な地質活動はそうそう簡単に収まるものではないと私は考えています。

とはいえ、まだ起きてもいないことに対して脅えても仕方ないわけで、そのような気分になった時には、私はシュタイナーの『いかにして高次の世界を認識するか』にある下の言葉を思い出すようにしています。

「あらゆる観点から見て、私が不安を抱いても、何の役にも立たない。私は一切不安を抱いてはいけない。私は、自分は何をするべきなのか、ということだけを考えなくてはならない」

完全にこのような気持ちを抱くことは不可能ですが、できる限りそうしたいと思っています。



  

2014年09月27日



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▲カリフォルニア州にあるマンモス・マウンテン。この山のカルデラの周囲で、9月26日に、数時間で数百回を越える群発地震が起きました。






 



突如すさまじい群発地震に見舞われた「マンモスと呼ばれる山」と「未来」の関係

かなり以前ですが、

極東ロシアで発見された「白いシャチ」から浮かび上がるエスキモーの予言
 2012年04月24日

という記事で、「エスキモーの女性の予言」というものを取り上げたことがあります。この時の記事で「白いシャチ」のことについてふれていたことと関係して書いたものですが、そのエスキモーの女性の予言と言われているものは、下のような言葉から始まります。

シャチが夢の中で私のもとにやってきました。
このシャチは私の兄弟なのです。

全文に関しては、上のリンクをお読みいただければと思いますが、その中に下の部分があります。

シャチはこう言いました。

「太平洋の水が最も冷たくなった時、そして、太陽の輝きが氷のように冷たくなった時、人々がマンモスと呼ぶ巨大な山が噴火し、そして大量の煙と炎を空中にはき出すのだ。そして、山は火に包まれ、雪は溶ける」。

そう言ってシャチは去りました。

この女性がシャチから聞いた話は、言い方を変えますと、

「太平洋の海水温度がこれまでで最も冷たくなる」

そして、

「太陽の輝きの勢いがなくなる」

というようなことが起きる頃、

マンモスと呼ばれる山が爆発(噴火)する

というような意味だと思われます。

そして、多分、時間軸としては「そのような時が起きた頃から」ということだと思うのですが、彼女は下のように、「予言」しています。

株式市場は崩壊します。
それは、ある日、歴史上で最も大きな下落を見せます。
たった一日で何千ポンドも失う人が出ます。

というようなことが起きたり、

ロシアは共産主義に戻ります。
民主主義は一掃されて、2000万人以上が強制収容所で亡くなります。
スターリンの像がロシアの国にもう一度建てられることでしょう。

といったようなことが起きたりすると。

どちらも、現在の状況を見ますと、いつ起きても不思議ではないような感じもしますが、それはともかく、さらにその後、

アルマゲドンの戦争が始まります。

などがあった後、結局、

キリストが地球に戻られる時には、全世界でバラの香りがします。
その日はまもなくです。

という言葉で、予言はしめくくられます。

それらの契機となるのは「マンモスと呼ばれる山が噴火する時」となっていますが、その山は実際にアメリカにあります。

それはカリフォルニア州にある「マンモス・マウンテン」という山で、かつての噴火のカルデラは、マンモス・レイクという湖になっているそうなのですが、そのマンモス・マウンテンの近辺で、9月 26日、異常な群発地震が発生しました。

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▲ 2014年9月26日の米国 NBC より。


上の報道で使われている図は、アメリカ地質調査所( USGS )の地震発生状況を示すマップで、これを見るだけでもかなりの回数の地震が発生していることがおわかりになるかと思いますが、もっと詳細な数値を見ると、わりと驚きます。

下は過去1週間のマンモス・レイク(マンモス・マウンテン)エリアで発生した、すべての地震のデータを検索したものです。

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USGS


9月27日までの1週間で、マンモス・レイク周辺で発生した地震の数が「 1,000回を越えている」ことがわかります。

ほとんどが微細な地震ですけれど、通常は地震が起こらない地域であるだけに(後でご紹介します USGS の声明によれば、過去にはあったのだそうです)、この「唐突」とも言っていいような群発地震の発生は様々なメディアで取り上げられています。

セレスティアル・コンバージェンスというメディアの記事のタイトルなどは、日本語に訳しますと、


著しい群発地震:これはカリフォルニアでの超巨大噴火、あるいは巨大地震の前駆 – ロング・バレー・カルデラの上にあるマンモス・レイク近くで、たった数時間の間に数百回の地震に見舞われる


Super-Eruption.gif
Celestial Convergence

というような、やや煽り気味の表現となっていますが、ここに「たった数時間の間に数百回の地震」とありますので、1週間というような期間の出来事ではなく、9月 26日という1日のうちの数時間に数百回以上の地震が起きたということのようです。

このことについては、アメリカ地質調査所のページのグラフでも確認できました。

下は、9月 24日から 9月 26日までの3日間のマンモス・レイク・エリアの地震発生状況です。

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USGS


9月25日まで、まったくといっていいいほど発生していなかった地震が、9月26日から、突然、発生しはじめ、ピーク時には「1時間に 500回」を越える地震が起きていたことがわかります。

どのような理由かは具体的にはともかくとしても、「地質的に何かが起きている」とは言えるわけですが、アメリカ地質調査所は、過去にもこの地域では、このような地殻活動がはあったとして、

「現時点では、差し迫った危険をもたらすとはいえない」

としています。

その発表の概要を記しておきます。




Earthquake Swarm in Long Valley Caldera
USGS 2014.09.26

ロング・バレー・カルデラでの群発地震について

私たちは 2014年 9月 25日から始まったカリフォルニア州ロングバレー・カルデラの群発地震を観測している。

群発地震は、マンモス・レイクから東に 11キロメートルの位置で発生し、、9月 25午前 4時から 9月 26日にかけて、マグニチュード1以上の地震が 500回以上発生した。その中には、マグニチュード 3.0 と 3.8 の地震が含まれる。

これは、今年、このカルデラで発生した群発地震の中では多いが、1980年代と 1990年代にこのカルデラで発生した非常に活発な群発地震と比べると、控えめな数であり、少なくとも現時点では、私たちは、この群発地震と異常な地殻活動との関連を見出すことはできない。

ロングバレー・カルデラは「復活したドーム」( resurgent dome )として知られており、このカルデラは 2011年後半以来、年間3センチ程度ずつ上昇していて、それは今でも変わらない。

ロングバレー・カルデラの隆起は、過去数十年にわたって散発的に発生した。 そして、2011年から観測されている隆起の速度は 1980年代と 1990年代に観察された隆起速度に比べて小さい。

地震自体は小さな、脆性障害(岩が破壊される)事象だ。
このような事象は、しばしば「地殻運動」( tectonic )と呼ばれる。

今回の地震は、火山のマグマの地下運動に起因しているものではない。

私たちは、地震波形の特性によって、脆性破壊地震(地殻運動で起きる地震)と、火山のマグマの動きから生じるものとを区別することができる。





とのことです。

今回の地震はこの地域で、過去にも起きている地殻運動によって起きた地震であり、火山性の地震ではないと USGS は言っているようです。

まあ、それでしたら、エスキモー女性がシャチから聞いたような、

「太平洋の水が最も冷たくなった時、そして、太陽の輝きが氷のように冷たくなった時、人々がマンモスと呼ぶ巨大な山が噴火し、そして大量の煙と炎を空中にはき出すのだ。そして、山は火に包まれ、雪は溶ける」

というものと結びつく可能性は少ないということになりそうで、とりあえずは大丈夫のようです。

アメリカ地質調査所の声明といえば、今年の春に、イエローストーン噴火の噂がアメリカでメジャーメディアまでも巻き込んでの騒動となった時に、「イエローストーンの活動は正常である」という声明を出したことがあります。

その時の声明の翻訳は、過去記事の、

アメリカを駆け巡るイエローストーンの噴火に関するウワサを当局自らが打ち消した日に思う「世界中が重複災害の星の下にある」事実
 2014年02月07日

にあります。

この時もアメリカ地質所の言う通り、イエローストーンの噴火は起きなかったわけで(起きていたら、こんなのんびりと記事を書いていられる社会じゃなくなっていたわけですけれど)、今回も大丈夫だと思います。


・・・とか言ってたらドカーン! というのが自然というものでもありますけれど。




「冷たい太陽の時代」を過去にも何度も経験してきた人類

何より、エスキモーの女性が言っていた、

「太平洋の水が最も冷たくなった時」

とか、

「太陽の輝きが氷のように冷たくなった時」

は、それぞれ、たとえば昨年、

ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性
 2013年09月09日

という記事を書いた 2013年以降も、これが寒冷化というキーワードと結びつくものかどうかはわからないにしても、たとえば、南極は昨年から一環して海氷の面積を増やし続けています。

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▲ 2014年9月14日のオーストラリア ABC ニュースより。これを解説した記事は「南極寒冷化の激化 : 南極の海氷面積が記録的なレベルに達し、過去最大面積を更新中」にあります。



太陽の輝きも「氷のように冷たくなる時」が来るかどうかはわからないですが、少なくとも現在の太陽活動は、過去記事の、

太陽活動が「過去200年で最も弱い」ことが確定しつつある中で太陽活動は復活するか
 2013年10月21日

など、過去に何度かふれたことがありますが、明らかに、今は弱い太陽活動の中にあります。

太陽活動は、全体としては弱い中で、たまにXフレアを発生させたり、あるいは「黒点ゼロ」になったりと、無秩序な感じで活動を続けていますが、実は今日現在はまた活発な感じで、黒点数も 200を越えていて、昨日は、下のように、太陽の裏側で「何かの爆発」が起きています。

sun-something-2014.gif

▲ 2014年9月27日のスペースウェザー SOMETHING IN THE OFFING より。


何となく無秩序にも見えるいろいろなことを見ていると、あくまで感覚的な話ですけれど、本当に、

「太陽の輝きもが氷のように冷たくなる時」

という時も来たりするのかなと思うこともないではないです。

実際、この 2000年間くらいの間、そんな時代を人類は何度も経験しているわけですし。それは、たとえば、過去記事の、

西暦 541年の東ローマ帝国でのペスト襲来に関してのヨーアンネースの記録
 2012年09月20日

の中に、6世紀の東ローマ帝国の歴史家であるプロコピオスという人が、「西暦 535年から 536年にかけての様子」を記した文章を載せていますが、そこには以下のように書かれてあります。

歴史家プロコピオスの記述( 536年)

昼の太陽は暗くなり、そして夜の月も暗くなった。
太陽はいつもの光を失い、青っぽくなっている。われわれは、正午になっても自分の影ができないので驚愕している。太陽の熱は次第に弱まり、ふだんなら一時的な日食の時にしか起こらないような現象が、ほぼ丸一年続いてしまった。
月も同様で、たとえ満月でもいつもの輝きはない。

これらの状態は、一般的には、

・小惑星の地球への衝突
・彗星の地球への衝突
・大噴火


などで出現するものとされていて、そこにマウンダー極小期のような「太陽活動の著しい低下」が加われば、エスキモー女性の言っていた世界は、わりと簡単に出現するものだと思います。

彼女がいつこの予言を口にしたのか定かではないですが、「それはもうすぐです」と言っています。



  

2014年09月26日



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▲ 2014年9月25日の Bidnessetc より。ユニックス系というのは、現在の「 Mac 」の OS のすべてを含みます。






 


突然 Mac に押し寄せた「大災害」

私はパソコンとしては、 Mac も Windows もどちらも使っていますが、遊んだり、気楽な用途の場合は Windows ですが、この In Deep を書いたりすることも含めて、きちんとした作業をする時には Mac を使っています。

今日、「記事にしよう」と昨日から思っていたテーマで記事を更新しようとしていたときに、ふと、ある記事を目にして、その Mac (を含む UNIX 系というシステム)に「史上最悪のバグ」が発見されたことを知りまして、アメリカ国土安全保障省から、注意喚起が出ていることを知りました。

冒頭の記事に出てくる「ハートブリード」というのは、過去記事の、

インターネット史上最悪で、かつ破局的なセキュリティ危機が発覚。個人情報からカード番号、バスワードまですべて流出する可能性が内在する欠陥の存在が明らかに
 2014年04月12日

などでご紹介したこともある「インターネット史上最悪のバグ」と呼ばれたものですけれど、今回の Mac などに影響を及ぼすセキュリティバグは、

「それよりも多くの被害をもたらす恐れがある」

と書かれてあっては、さすがに気になり、対策はわからないものの、

OS X を含む UNIX 系 OS に史上最悪級の脆弱性が発見される。そして、ご自身の OS が脆弱性の影響を受けるかどうかをターミナルで確かめる方法
 
などという記事を書いていました。

この話は Mac を含むユニックスといわれる基本ソフトに関係するもので、一般の Windows ユーザーには関係のない話ですので、多くの方には興味のある話ではないでしょうけれど、企業などではかなり深刻な影響がある場合もありそうですので、簡単に記しておきたいと思います。

何しろ、ご存じのように、最近の「企業からの情報の漏洩の多さ」はものすごいものですが、今回のものは、それに加えて、「そのマシンを乗っ取ってしまうことができる」ものだそうです。

しかも、非常に簡単に。

下は AFP の記事からの一部抜粋です。

「Mac OS」などに致命的脆弱性、数百万台に影響の恐れ
 AFP 2014.09.26

米政府とIT専門家らは25日、米アップルの「Mac OS」を含む一部の基本ソフト(OS)の脆弱性によって、広範囲かつ深刻なサイバー攻撃が発生する恐れがあると注意を呼び掛けた。

アメリカ国土安全保障省コンピューター緊急対応チーム(CERT)によると、Linux やMac OSなどの「Unix ベースのOS」が、この不具合によって影響を受ける恐れがある。

CERTは、ハッカーがこれを悪用すると、コンピューターが乗っ取られる可能性があると指摘している。

米セキュリティー企業ブロミウム・ラボのラフル・カシャップ氏は、この脆弱性が、今年に全世界のコンピューター数百万台に影響を与えた暗号化ソフトウエア「OpenSSL」の欠陥「ハートブリード(Heartbleed)」よりも多くの被害をもたらす恐れがあると指摘。

ウェブサーバーやマッキントッシュ・コンピューター、リナックス系OSを搭載したウェブカメラなどのネット機器など、数百万台の端末に及ぶ可能性があると、AFPの取材に対し語っている。

ここにある「マッキントッシュ・コンピューター」というのは、いわゆる Mac のことです。

このような報道などを読みながら、

「ついに Mac もか……」

と、しみじみ思いましたが、これまで、このブログでも、

アメリカ国土安全保障省と日本のセキュリティ機関が同時に出した深刻な PC のセキュリティ警告
 2013年01月13日

などを含めて、たまにインターネットのセキュリティ上のことにふれたりしたこともありますけれど、上のハートブリードのことはともかく、これまでは、基本的に、マルウエアと呼ばれる悪質なソフトのターゲットは、ほとんど Windows だったわけで、Mac ユーザーは私も含めて、セキュリティに無頓着な面があります。

しかし、今回は「史上最悪」というバグに見舞われてしまいました。

すぐに修正アップデータなどが出るのでしょうけれど、「加害者側の動きが常に一歩リードしている」のがこの世界です。



日本だけで1年に数十億円規模で悪質ソフトによりインターネットパンキングから不正送金されている

ところで、今年、最もインターネットで「巨大な脅威」となっていたものに「ゲームオーバーゼウス」( GameOver Zeus )というものがあります。

これは、簡単に書きますと、

インターネットバンキングのお金を狙うことに特化した悪質ソフト

で、自分のパソコン( Windows )がこれに感染すると、自分のキーボード入力を攻撃者が盗み取ったり、特定のサイトの表示内容を改ざんしたりすることで、「インターネットバンキングでの不正送金を可能とするもの」です。

つまり、「他人が勝手に自分の口座から他の口座にお金を振り込むことができる」のです。

2014年 6月 8日のマイナビニュースの記事によれば、この「ゲームオーバーゼウス」による日本の 2014年の被害金額は、5月9日の時点で 14億 1,700万円に上っています。

2014年 6月 3日の日経コンピュータの「脅威の「ゲームオーバー・ゼウス」、10カ国以上が連携して追い詰める」という記事によりますと、

ゲームオーバー・ゼウスは、世界中で50万台から100万台のコンピュータに感染し、その約25%は米国に存在するという。米連邦捜査局(FBI)では、10億ドル以上の損害が発生しているとみている。

とあり、これは、米国連邦捜査局( FBI )や欧州刑事警察機構(ユーロポール)、日本の警察庁など、国際的な連携で摘発にも乗り出しているほどのものです。

警視庁にはこの「ゲームオーバーゼウス」の特設ページが儲けられています。

goz-police.jpg

▲警視庁「国際的なボットネットのテイクダウン作戦」のトップページ。


何しろ、この「ゲームオーバーゼウス」の被害状況は、

・アメリカ 25%
・日本 20%


となっていて、日本へのターゲット傾向が鮮明になっています。

下の図は、上の日本の警視庁のページにあるもので、あまり読みやすくはないですが、この中にもそのことが書かれてあります。

japan-20p.jpg


とにかく、次から次へと、こういうものが出てくる

そして、上の数字を見てもおわかりのように、実際に被害はどんどん大きくなり続けています。

さらには、現在のスマートフォンの爆発的普及。

このスマートフォンに対しての悪質なソフトの増え方はどのようになっているかと言いますと……。


2012年7月から2013年10月までの Android のマルウェアの数の推移

2013-2014-malware.gif
EE Times Japan

ここでは Android の表ですが、他のスマートフォン用の OS も、傾向としては似たようなものなのかもしれないですし、いずれにしても感じるのは、

「悪い人(攻撃側)は良い人(守る側)より常にやや先にいる」

という法則がありまして、そのため、セキュリティ問題は減るどころか、ますます増える一方だというのが現実のようでもあります。

ロシアのユージン・カスペルスキーという人が代表のセキュリティ会社傘下のカスペルスキー研究所の専門家が、昨年、下のようなことを言っていたことが記事になったことがあります。

2014年にインターネットは消滅する
ロシアの声 2013.12.15

カスペルスキー研究所の専門家の意見では、来年、現在の姿のインターネットは消滅する。

専門家アレクサンドル・ガスチョフ氏によれば、法律レベルの禁止、電子マネー「ビットコイン」をめぐる不安定な状況、ハッカー集団の攻撃の過激化など、一連の好ましからざる外的要因により、ワールド・ワイド・ウェブは「死亡」する。

それに代わって、各国のナショナル・インターネットが多数乱立するようになる。外国の情報リソースへのアクセスが相当程度制限されるようになる。


そして、最近、プーチン大統領が「緊急時にロシアがインターネットから離脱する」という計画を持っていることが明らかになっています。

russia-unplug-internet.gif

▲ 2014年9月19日の英国ガーディアンより。


これは、ロシアでネットに接続できなくなる、という意味ではなく、いわゆる「ワールド・ワイド・ウェブ( WWW )」という意味での、「世界的な通信網からロシアのネットを切り離す」というような意味です。

プーチン大統領の想定している「緊急時」とか「非常事態」が具体的にどんなものなのかはわからないですが、国内の騒乱や軍事行動などを指しているというようなことが VOR の記事に書かれています。

それにしても、今年になって、

「史上最悪の」という冠

がついたセキュリティバグ(脆弱性)がこれで2つ目。

そして、アメリカ国土安全保障省のコンピューター緊急対応チームから出された緊急の注意喚起に至っては、何度になることか。

コンピュータ、あるいはポータブル端末の世界は何だか進化しているように見える一方で、実は「終わりに向かって加速している」という側面はあるのかもしれません。

これが自然の流れとしての「単なる自滅」なのか、そこに誰か、あるいは何らかの「意図」があるのかどうかはわかりません。



  

2014年09月24日



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なぜシドニーの緑の物体を無意識に気にしたのか少し気づいたとき

先日の、

シドニーの海岸に無数に漂着した緑の未確認「浮遊」物体と、カリフォルニアの真っ赤な太陽から思い出す「丸い存在」に囲まれている地球の人類の関係
 2014年09月22日

という記事は、下のような丸い緑の物体……多分、丸くなった藻類と思われるものがオーストラリアのビーチに大量に漂着したことをご紹介したものでした。

green-ball.jpg






 



出来事そのものは大したことではないと思いながらも、なぜか気になり、記事として書いたのですが、昨日その記事を読み直していましたら、記事の中に唐突に、

「反対色」

なんていう概念が書かれていまして、そこに「緑の反対色は赤」とあります。

なぜ、唐突に反対色なんてことを書き出したのかは、よく覚えていないですが、これを見て、

「緑の丸いもの……その反対は赤い丸いものか……」

と、その記事ではカリフォルニアの赤い太陽の写真なんかを載せていますけれど、現在の「赤い丸」の本元は太陽ではなく、下のこちらだと思い出したのです。

blood-moon-03.jpg

▲ 2014年04月06日の記事「赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで4回連続する皆既月食がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ……」より。


2014年 4月から1年6ヶ月間の期間で4回連続する皆既月食、つまり、「赤い月」が問題なのだ、と。

2014-passover-sukkot.gif


太陽の日食とは違い、月の皆既月食は「血のような赤」となります。それが、今年の 2014年 4月 15日から 2015年 9月 28日まで4回連続して発生するという、時代によっては数百年に1度規模の出来事の渦中に現在の私たちはいます。

近代史で過去何度かあったその時期に起きたことについては、上にリンクした記事をご参照下されば幸いです。

そして、過去のこの期間は、いろいろなことがありましたけれど、簡単にいうと「犠牲の時代」です。

ところで、この「犠牲」という漢字の「犠」というのは、

牛 + 羊 + 我 = 犠

gi-sei.png

と、「羊と牛と私」という意味の漢字であることに気づいたりもして、過去記事「戦争や耐性菌の蔓延にさえ思う犠牲というキーワード」なども思い出しますが、それはともかく、4回連続する皆既月食の「赤い丸」は一種不吉なイメージを感じないではないものでもあるわけですが、そのような時期に、

「赤と反対色の緑の丸が大量に出現した」

ということが印象的だったのかもしれません。
この緑の物体が基本的には藻類であるであろうこと以外は正体不明のあたりも悪くないです。

理屈がつきにくいほうが、こういう場合は頼りになります(なんだか意味不明ですが)。




人間の持つ「赤」の不思議と、植物の持つ「緑」の不思議

ところで、この、

「赤の意味」
「緑の意味」


は、過去にそれぞれ何度か記事にしています。

緑のほうは、2011年の震災後、時事的な記事を一切書かなくなって、毎日街の中をさまよい歩いていた頃の記事のひとつで、

緑の意味
 2011年05月02日

というものです。「赤」のほうは何度も書いているような記憶があるのですけれど、たとえば、

赤の意味: 再び現れた赤い海と赤い雨
 2012年07月31日

というものがあります。

そして、それぞれで、

緑 → なぜ、植物は緑なのか

赤 → 人間の血液が赤い理由である赤血球の正体

について書いています。

「赤い血」に関しては、血が赤く見える理由だけなら、それは赤血球と、光学的な理由によるため、という一文で説明が済んでしまうようなことです。

sek-red.jpg
血はなぜ赤い?より


しかし、そのこと自体より、その赤血球そのものへの思いが私にはあります。それは、

人間の赤血球は DNA を持たない

ということを上にリンクしました「赤の意味……」を書いた時に初めて知りまして、瞬間的に下の発想がグルグルと頭の中でまわりはじめたのでした。

・地球のほぼすべての生命は DNA を持っている
 ↓
・DNA を持たない生命や組織は、ほぼ存在しない
 ↓
・ところが、地球上には DNA を含まない生物の組織がある
 ↓
・それはヒトを含む哺乳類の赤血球
 ↓
・人間も動物も「赤」を作り出せるのは基本的に赤血球だけ
 ↓
・この世に「生命の赤」が存在しているのは基本的に赤血球があるため
 ↓
・ところが、その哺乳類の赤血球「だけ」がこの世で DNA を持っていない
 ↓
・つまり、どうやら……「哺乳類の赤血球は生命とは言えない」
 ↓
・人間と哺乳類はその生命とは言えない血液の循環によって生きている
 ↓
・ということは、もしかすると……(以下略)

この「ということは、もしかすると……」については、なんら具体的なイメージがあるわけではないのですけれど(苦笑)。

これについて、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ジュラシック・パーク』の話題を絡めて書かれている東邦大学医療センター佐倉病院のサイトにある「赤血球ヘモグロビンの進化;ヒトはなぜ核を捨てたのか」というページの下の記述がわかりやすいと思います。

「ジュラシックパーク」・・・ご存じの方も多いと思いますが、恐竜の血を吸った蚊の化石から生命の起源である DNA を取り出し恐竜を現代に復活させるという内容の映画です。作者は何故このような物語を考えたのでしょうか。実は恐竜の赤血球には核(DNA)があったからなのです。下の写真を見て下さい。

dna-human.jpg

左はヒトの赤血球、右は恐竜ではなく鶏の赤血球ですが、鶏の赤血球中には細胞核が存在していることがわかります。恐竜だけでなく現在の鳥類・魚類・爬虫類・両生類の赤血球にはすべて核があります。これら脊椎動物の中で赤血球に核がないのは、哺乳類だけなのです。

ここに、

> 脊椎動物の中で赤血球に核がないのは、哺乳類だけ

とあるように、鳥、魚、爬虫類、両生類にはあるのです。

哺乳類が、それらのすべての生物と違うのが、この「赤血球に DNA を持たない」ということなんです。

そういう意味では、

人間と他の生き物

という違いを上回るほど、

哺乳類と他の生き物の違い

というのは大きいものなのかもしれません。

何しろ、哺乳類は DNA を持たない、いわば「生命というより物質」といえる血液によって、自らの生命を維持しているわけで、そこは哺乳類共通の神秘的な部分ではあるように思います。

ちなみに、赤血球が赤い理由は、ヘモグロビンというものが含まれていることによるものですが、ヘモグロビンは、

・ヘム鉄錯体
・グロビン


からできています。「錯体」というのは「分子」というような感じの意味でとらえて構わないとすれば、ヘムというのは、要するに鉄です。

そして、グロビンというのは「物質が外部の磁場と反対の向きに磁化される性質」を持つもので、簡単な書き方にしますと、「血液とは鉄と磁気で構成されている」ことと DNA を持たないことを合わせて考えれば、


「人間の血液」とは、生命ではない磁場


だといえる気もしまして、そのようなものに私たちの肉体的な生命維持が託されている。




植物が多分永久に「緑」である理由

その人間と哺乳類の神秘性の象徴である血の「赤色」の反対色である「緑色」。

緑色を代表する生物は言うまでもなく、植物です。

green-plant.jpg


植物だって(私は進化論を信じないですが)、選択的な進化でなくとも、突然変異であれ何であれ、太古から「緑以外」に変化していった種があっても不思議ではないのに、「ほぼすべて」の植物がその葉の部分を緑色を基本としています。

葉が緑以外の植物はあることはあっても、非常に限定的で、葉のある植物はほぼ全部が緑を基本としています。

かつて、なぜそうなったのかということを「ふと」考えたことがあったのですが、調べているうちに、植物が緑色であることは「異常なほど」不思議であることに気づくのでした。

それはどういう意味かというと、光合成や、植物は太陽の光で成長することと関係しています。

同じ太陽の光を吸収して生きる生物なら、最も効率よく光を吸収できる色であったほうがいいはずですが、「緑色は最も光の吸収効率が悪い」ようなのです。

これは、

植物が太陽の光を最も効率よく吸収するためには「緑色ではない」ほうがよかった

ことを意味します。

緑以外なら何でもいいといってもいいかもしれません。

このことは、上でリンクしました過去記事「緑の意味」でも引用しました、公益社団法人 日本技術士会北陸支部のサイトに「彼らはなぜ「緑色」を選んだのだろうか」という、植物を 35年間研究してこられた方が書かれているコラム記事があります。

そこには下のようなことが書かれてあります。

人間が認識できる基本的な色だけでも6色(紫・青・緑・黄,橙・赤)もある。原始の植物が地球上に初めて登場した時には、赤でも黄色でも紫でも、何色でも選べたはずなのに、なぜに「世界中の植物たちは、申し合わせたように緑色を選んだ」のか・・・。これが何とも摩詞不思議?

あとは、引用すると長くなりますので、概要だけ書きますと、

植物の葉が緑である理由は、「葉が緑色の光を反射あるいは透過し、他の色の光を吸収している」という理由による」ものにも関わらず、

地球に届く太陽光の強さと波長との関係を見ると、緑色の光に強さのピークがある

ということで、つまり、植物は、自分自身が緑色であることによって、最も強い光を「捨てている」のです。

そして、このコラムを書かれている方は以下のように書きます。

「光のエネルギーを利用して光合成を行う植物が、最も強い光を吸収しないで捨てる。そういうメカニズムになっている植物たちって、一体なんでやねん!?」

このように書かれているのですが、私も何年もこのことが不思議でした。

そして、このコラム筆者の方は最後にこのように書いています。

植物たちと付き合いはじめてから35年もの時間が流れてしまいました。

その間、ほとんど毎日目にしている彼らが「緑色」であることに対し、ほとんど意識をしなかった。ところがある日、ふと気になり出すとおおいに気になり、その疑問を捨てられなくなってしまう。

35年も見続けて来ながら、そんな基本的なことすら解っていなかったのだなあ〜と、かなり凹んでいます。

彼らが緑である理由はいまだに解りませんが、自分の無知さ加減は身にしみて解りました。

願わくば、「なあ〜るほど!!!」と納得してから神に召されたいと思います。

私も、まあ、神に召されるのでも、悪魔に連れて行かれるのでもどちらでもいいですが、この、「植物たちが自分自身にとって非効率的な色の生物として地球上にあり続けた」ことについては知りたいと思っています。

それにしても、このブログを書いていると、生物のことにしても、宇宙や地球のことにしても、

「〇〇は科学的にはわかっていません」
「〇〇についての理由はよくわかっていません」
「〇〇がどうして起きるのかは不明です」


という表現がこれまで何度出てきたことかと思います。

現在の科学は実際のところは「この世」のことについて、わかっていない部分のほうがはるかに多いことを感じます。

さて、しかし、そのことはともかく、上に書きました、

植物が緑色であることは本来なら非常に不自然で不思議なこと

であると共に、

人間の赤い血液は DNA を持たない上に、その存在自体が(地球や宇宙の磁気に反応する)磁場そのものである

というふたつの不思議なことがある一方で、

緑と赤は、反対色(補色)である

という色覚上の概念を思い出します。
反対色は「補色」とも言い、つまり、色覚的な意味で、その色をサポートする色でもあります。

ここで唐突に、結局、何の科学的な意味のある概念でもない概念ですが、この色の関係性は、

「植物の、人間(あるいは哺乳類)に対してのサポートの歴史そのものを象徴している」

というようなイメージが浮かび上がります。

言うまでもないですが、人間は……少なくとも、現代の地球に住む普通の人間は、植物がこの世になければ生きていくことはできません。

食糧としてはもちろんですが、それよりはるかに多くの意味で、人間は植物にサポートされて、この世に生き続けてきました。

現世人類が地球に登場したのは、遺伝子解析では、今から十数万年前のアフリカとされていますが、それ以来、一環して、人類は植物に支えられて今日まで生き抜いてきたのですけれど、このように回りくどい書き方をしなければ思い出せないほど、私たちは、「植物への感謝」を忘れて生きてしまっているのかもしれません。

私自身もそうです。




植物を目指す人間という概念

シュタイナーは、たとえば、著作『いかにして高次の世界を認識するか』などでも、薔薇十字的な視点で「植物に対しての真剣な観察」の重要性を何度も書いています。

かつて、ブログにコメント欄があった頃に、「薔薇十字の修行」をされている方が、コメントを書いてくださっていたことがありしまた。「薔薇十字の修行」などと書くと、おどろおどろしい感じがするかもしれないですが、シュタイナーの本を読んで、私は最近知ったのですけれど、シュタイナーがいう「薔薇十字の修行」というのは、

「毎日の普通の生活を通じて正しい生き方を学び、そして、すべての他の人びとと、すべての生物への愛を意識して、この世の正しいことと正しくないことを認識する」

ということだけの話で、何かお祈りを唱えたり、絶対的指導者に服従したり、神秘的な作法にあやどられるようなものではないということのようです。

以前、その薔薇十字の修行をされている方のコメントを何度か引用させていただいたことがあります。

驚異の植物の防衛力アップ法が米国の生物学者の研究により判明:その方法は「さわること」
 2012年04月23日

などにも引用していますが、彼は以下のように書いていました。
なお、これは記事に対してのコメントというより、私に対してのメッセージ的なものです。

ところどころからの抜粋ですが、「中略」などの文字は読みにくくなるために入れていません。

シュタイナーが言う体内における光合成の件、これは明らかにオカルトに聞こえますが、薔薇十字の伝統に生きる者は本気でこれを実践します。狂気の沙汰と言われようと、呼吸による身体内の炭素の把握はぼくらの最重要の関心事です。

古神道の大国隆正という人の『本学挙要』という本の中に人と稲が逆さに並べて描かれている図があります。これはフトマニの区象といって、人間は逆さまになった植物であり、互いに共生しているという旨を説明するものです。西洋でも東洋でも霊学ではこれは一般的な認識です。

薔薇十字でもおなじです。

植物というのは、体内に緑色の血が流れ、太陽に向かって真っすぐに成長する地上の存在としてはピュアなあり方のお手本みたいなものです。

ゲーテには「原植物」という理想的な植物の概念があります。つまりあれが人間として目指すべき理想であり、最高の元型です。

薔薇十字の理想は、赤い血の情熱を保ちつつ植物のように上へと向かうことです。そして太陽に向かうことです。これが重要な点です。

太陽へと向かう植物のようにしかも自由への衝動を内に担いながら上へと成長しようとする、地上では類をみない神聖な存在として人間存在が語られ、そしてその正しい道が古今東西どの流派に限るとなく実践されて来ました、、、、、と、このようなことを信じる、信じないは別として、いずれにせよこれが宇宙と人間の歴史に対する薔薇十字の伝統の解釈です。

ちなみに、上にゲーテの「原植物」という言葉が出てきます。

文豪ゲーテは、「植物の原型」のようなものを追い求めていたようです。

これについては、東京大学の長田敏行教授の「ゲーテと植物」というページの中に、以下の記述があります。

原植物と形態

植物変形論について述べるとき、いわゆるゲーテの原植物について触れざるをえない。原植物などどこにもありえようがないが、ゲーテは植物の原形のようなものを初期から追求していたが、イタリア滞在中に一層その思いは強くなっていった。

しかし、それは仮想のものでしかありえない。それが結実するのは1794年にシラーと出会い、現実を重視するゲーテと理想主義追及の旗手シラーとの間のやり取りが原植物として結晶した。それが、一筆書きのように描かれる植物の模式図であり、いわば原植物の体現である。


Die-Urpflan.gif

ちょっと、わからない面の方が多いのですが、上のようなものらしいです。

思いつくままに書いていくうちに、何だか次第に難解さが増してきて、そろそろギブアップの感じですが、今回はじめて、 Wikipedia のゲーテの項目のページを少しだけ読んだのですが、このゲーテという人は、1810年に『色彩論』という大著を記しているそうで、そこには、「ゲーテの色彩環」という図が載せられているのですが、それが下のものです。

goethe-color.jpg


これは、先日の記事に「反対色」を説明する際に載せた、現在の色覚の概念での色彩環と同じものであることに驚きます。

color_wheel.gif
補色 - Wikipedia


ゲーテの色彩環(輪)でも、赤の反対色(補色)は緑となっています。

そして、 Wikipedia によりますと、

ゲーテは人間に体験される色彩を探求したため、色彩が人間の精神に与える影響のことも扱っている。その影響も色彩環から説明されるところがある。

赤は色彩環の頂点をなす最も力強い色であったが、その対極、色彩環の一番下に位置する緑はどうかというと、地に根を下ろした安定した色だという。

とありまして、この下りの

> 赤は色彩環の頂点をなす最も力強い色

から、人間や哺乳類が持つ「血の色」の意味を改めて思い浮かばせてくれるものであり、また、

> 緑はどうかというと、地に根を下ろした安定した色

の下りの「地に根を下ろして安定している」というイメージは植物そのものです。

また、先ほど書きました「植物は現世人類が地球に登場して以来、一貫して人類をサポートし続けた」ことをも意味するような気がします。

それにしても、「赤が最も力強い色」というのは、国旗に赤を使っている国が非常に多いことでも、そのことを感じますが、その中でも、「白地に赤丸だけ」というデザインの日本の国旗は明らかに他の国旗のデザインとは意味的に一線を画しているわけで、その意味の強さは理解はできます。

しかし、冒頭のほうに書きましたように「黒地に赤い丸」(皆既月食)は、ともすれば不吉なイメージを伴うわけで、何となく、「白地に赤丸」と「黒地に赤丸」を並べてイメージして、今後の世界を考えてみたりしています。

何といいましても、オカルト込みでもオカルト抜きでも、あるいは日々のニュースの気象、地質、疫病、あるいは社会、紛争、経済などを見ていても、この「4回連続して皆既月食が起きる」来年 2015年 9月末までに、とてもとても大きな変化が起きることは間違いないのでは、と感じるのは私だけではないと思います。

それがいいほうに向くのか、悪いほうに向くのかについては言及できないです。

本来は時事的な記事を書き出したつもりだったのですが、全然時事じゃない上に、何やら自分でも意味をつかみにくい妙に難解な展開となってしまい、申し訳ありませんでした。



  

2014年09月19日



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huldra-top.jpg
・スウェーデンの欧州伝説での妖精フルドラ。 Huldra より。






 



ネット上で冒頭の絵を見まして、これがえらく私を惹きつけました。これがスウェーデンの妖精(のたぐい)であることを知り、ふと思い出したのが、スウェーデンという国はヨーロッパで最も「反ユダヤ的」な態度を持つ人が少ないということでした。

sweden-semitic1.png

▲ アメリカの「名誉毀損防止同盟」の調査による、世界各国の反ユダヤ的態度を持つ人数の全人口中の割合を示すサイト ADL GLOBAL 100 より。「名誉毀損防止同盟」は後でご説明します。


上のそれぞれに関連があるわけではもちろんないのですけれど、ただ思い出したというだけの話です。

何かの関連性も、調べて「よく考えれば」出てきそうな感じはするのですが、現在ちょっと頭の思考活動があまり循環していない感じなんです。

ここ2日ほどは何だかひどい倦怠感・・・いや、単なる疲れなのかもしれないですが、そういうものに包まれていまして、昨日はついに記事を書くこともできませんでした。

この疲れの原因は「」なんです。




秩序化した夢の世界

ここ数日、早朝4時から5時くらいに何度も夢によって起こされるのです。特別に悪夢というわけではないですけれど、とにかく起きてしまうような夢を見るのです。それも数十分おきに。

当然、4時とかの早朝では、まだ眠くて起床できるものではなく、時計で時間を確認してまた眠る。
すると、わりとすぐに夢で目覚める。

また時計を見る。

20分くらいしか経っていない。

それでなんだかんだと、いつも起きる6時30分頃まで、そういう繰り返しになっていて、しかし、寝不足の疲れというのではなく・・・うーん、どう書いていいものなのかわからないですが、変にオカルト的にとらえられるのはいやなのですけれど、

「その夢の内容が続いているか、あるいは統一性がある」

のです。

眠るたびにバラバラの内容の夢を見るのではなく、次に眠るときには「そこは他の世界ではありつつも、その場として、いつも同じような生活圏と時間軸、そして同じような人間関係のある状況がスタートする」のです。

つまり、

起きている時の世界



眠っている時の夢の世界

が、それぞれ別でありながらも「平行するふたつの世界」のように、共に秩序を持って進行している……と説明すればいいのかどうか……。

夢のほうの世界は所詮は夢なので、多少現実的ではないことも起きることは起きます。

霊的なもの(と思えるもの)も出現するし、人間の容姿の変異なんかも起きますけれど、でも、そこで私はその世界で仕事もしていて、人との付き合いもあり、引越をしたり、親戚の家に行ったりと、あちらはあちらで普通に「生活」しているわけです。

こういうように「夢の内容に統一性が出てきた」のは、この数日というわけではなく、ずいぶん以前からなのですが、以前は曖昧だったのが、次第に明確になってきたというか。

以前、

「眠ると前日の夢の続きからのように始まる」

ことに気づいた時に初めて「夢がちょっと変化している」とは感じましたが、その後、「昼間起きている世界での日常と、眠っている夢の中の日常がそれぞれの規律性を持って、同時に進行している……ような感覚」を受けてはいます。

まあしかし、夢の記憶は後になれば曖昧なものも多いですので、一部は錯覚かもしれないですけれど、全体としてはそういう状態となっている感じはあります。

deja-vu.jpg
laghash



昏睡時の日常

そういえば、私自身はその本を読んだことがないのですが、有田直子さんという方の書かれた『昏睡Days』という本の内容を以前、ネットで読んだことがあります。

いろいろと書評などありますが、内容的には、大学生の時に、くも膜下出血で倒れて、意識を失い、その後 22日間も昏睡状態に陥った後、大きな後遺症を残しつつも目覚めた経験をした方の、

「昏睡中」の手記

なんです。

目覚めた後の手記ではなく、「昏睡していた時の日常」を書いています。

有田さんのお話を聞きに行ったというメグノメさんの記事の表現だと、

昏睡の中では、とってもおだやかで、スケジュール帳に書き込んでいた予定通りの、いつもと変わりない日常を送っていた…とのこと。

”昏睡の世界は痛みもなく明るかったよ”

という昏睡状態の経験を語っていたそう。


考えれば、私自身も、時間的にはもっと短いですけれど、9年前に吐血により緊急手術を受けた時に、手術中、何度も何度も意識を失ったのですが、

「意識を失うたびに、必ず同じ場所にいる」

のでした。

なので、朦朧とした意識でしたけれど、意識が戻るたびに、「今見ていたのは単なる夢ではない」と感じていたりしました。このあたりは、7〜8年前に書いて放置したままのサイトのページですが、こちらのページに書いてあります。

そんなわけで、この数日はとにかく早朝に夢で強制的に起こされることが多く、その疲れで、1日ぼんやりしていて、今日もあまりちゃんとした思考ができなそうですが、すみません。

なにか悪いもんにでも憑かれてでもいるんですかね。
スピリチュアル能力ゼロな人なので、そういうのがわからないし、感じることができないもので。




妖精フルドラを生んだ国の数字

huldra-002.jpg

▲ 画家ベルナード・エヴァンス・ワード( Bernard Evans Ward )の 1909年の作品「フルドラ」。 Wikipedia より。


冒頭にも載せました、この「フルドラ」ですが、これは北欧伝説に出てくる妖精に属するもののようなんですけれど、日本語での説明はほぼネット上にはなく、英語版の Wikiedia に Hulder という項目があるにはあるのですが、日本語版でいう[要出典]という注意書きが多いもので、自己解釈的な部分が多いようです。

日本語のエルフ - Wikipedia (ゲルマン神話に起源を持つ、北ヨーロッパの民間伝承に登場する種族)の中に、作家アンデルセンの『妖精の丘』について書かれてあり、それは、

この物語のエルフは、デンマークの伝統的な民間伝承に似て、丘や岩場に住む美しい女性であり、男たちを死ぬまで躍らせることができる。かの女たちはノルウェーとスウェーデンのフルドラのように、前から見ると美しいが、背中から見ると木の洞のような姿をしている。

ということで、「丘や岩場に住む美しい女性」で、ただし、フルドラは、

前から見ると美しいが、背中から見ると木の洞のような姿をしている。

という妖精としての女性のようです。

かのように、北欧伝説というのは、文字でも絵画などでのイメージでも「白人的美しさ」に満ちているわけですけれど、そのあたりから、冒頭の2枚目に貼りましたような「反ユダヤの人口比の統計」というものを思い出してしまう私もどうかと思いますが、そういう調査をしたサイトがあるということだけでも知っておいていただいてもいいかなと思い、ご紹介いたします。




2013年から2014年に全世界101カ国で行われた「反ユダヤ思想を持つ人口比」調査

下のようなサイトがあります。

adl.gif
The ADL GLOBAL 100


これは、名誉毀損防止同盟という団体が、2013年 7月から 2014年 2月にかけて、世界 100カ国に、「ヨルダン川西岸・ガザ地区を加えた実質世界 101カ国」において、「その国においての反ユダヤ的態度を持つ人の割合」を調査したものです。

統計方法は基本的に対面でのインタビューのようですが、大手のリサーチ会社( Anzalone Liszt Grove Research )に依頼しておこなったもので、ある程度は信憑性がありそうです。

さて、この調査を依頼した「名誉毀損防止同盟」とは何か。
名誉毀損防止同盟 - Wikipedia の説明では、

名誉毀損防止同盟(ADL)とは米国最大のユダヤ人団体。ブネイ・ブリス(世界最古のユダヤ人の互助組織)に起源を持ち、反ユダヤ主義と合法的に対決することを目的としている。

というもので、つまり、ユダヤ人団体によっておこなわれた調査なのです。

そして、ザラッと見た中で、ヨーロッパでもっとも「反ユダヤ的態度を持つ人が少なかった」のが、4パーセントのスウェーデンだったのでした。

世界全体の地域区分の数値は下のようになっています。

eu-ses.gif


us-all.gif


欧州西部というのは、北欧、英国からドイツ、フランスやギリシャなど「いわゆる、私たちが俗的な意味でヨーロッパと呼んでいる場所」です。その全域での「反ユダヤ的態度」の人の数の率は 24%ですので、スウェーデンの高さは際立っているといえそうです。

同じ北欧でも、

・ノルウェー 15%
・フィンランド 15%


となっていて、地域的な問題ともまた別のようです。

ヨーロッパで、スウェーデンについで低いのは、オランダの5%でした。

ちなみに、この地域で

ダントツに反ユダヤ的態度の人口比が多い国

は、どこか想像できるでしょうか。

それはギリシャです。

greek-69.png


なんとギリシャでは全人口の 69%の人が反ユダヤ的態度を持っているのでした。

ところで、上のほうでは、

> ヨーロッパでもっとも「反ユダヤ的態度を持つ人が少なかった」のが、4パーセントのスウェーデン

というように、「ヨーロッパで」と書きましたけれど、全世界では、もっと低い国があります。

フィリピンなど3%ですし、ラオスに至っては、なんと「 0.2% 」。

ただ、これは思想的云々とは関係ないことだと思います。

ふだんユダヤ人だとか何だとか、そういうようなことを考えたこともないような国はたくさんあります(これは悪い意味ではないです)、国によっては、こういう統計そのものにあまり意味がない国も多そうです。


それにしても、こんなことを思い出したのも、やはり先日の、

「3000人のアメリカ人」を新たにエボラウイルスの最前線に向かわせるという行為の中で再び思い出す「生物兵器」というキーワード
 2014年09月17日

の中でもふれましたけれど、これからユダヤ教の祭日が目白押しの時期だからです。

さんざん既出ですが、来年の 9月 28日まで、以下のように続きます。

sukkot-and-passover-2014-2015.gif

▲ 2014年04月06日の記事「赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった」より。


今回ご紹介した「国家別の反ユダヤの統計人口比率」と、これから起き得る事件や出来事が関係するとまでは思いませんけれども、それぞれの国の持つ「ある面」というのをこの統計は教えてくれるような気がします。

それは、「前から見れば美しい」けれど「背後から見るとそうではない」妖精フルドラのような国もあるかもしれないということでもあります。

ところで、日本と関係する話として、この「反ユダヤ的態度を持つ人」の数に関して、

「日本と韓国」

ではどちらが多いと思われますか。

私は、見るまでは「比率としては似たようなもんだろう」と思っていたのです。

結果は下の通りです。

japan-all.png


s-korea-53.png


理由は私にはよくわからないですが、韓国で「反ユダヤ的態度」を持つ人口比は、日本の倍より多いのでした。


うーん・・・。フェリー・・・いやいや、関係ないですね。


(参考記事:「神の意志、あるいは悪魔の輪郭」 : 北緯 33度線にある韓国の済州島。そして「血の月」の連続と共にユダヤ教では祭りに突入


いずれにしても、これからの時代、ユダヤ人というかユダヤ教というのか、あるいは「それ的なもの」というか、どう表現していいのかわからないですけれど、そういうものと「これから起きるかもしれないこと」の関係が見えてくる可能性もあるかもしれないです。


それにしても、頭の中のこの倦怠感はどう表現するといいのでしょうかね。そして、これは周囲の多くの人が言うことですけど、「とにかくあっという間に時が過ぎていく」毎日。

何もできずにまた次の日を迎えるだけのような感じになっています。
年を取るとこんなもんなんでしょうか。



  

2014年09月16日



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islamic-greek-states.gif

▲ 2014年8月23日のギリシャ defence net より。



大量死の代名詞となりつつある地中海

今朝、下のような報道がされていました。


地中海で難民700人超死亡か=人身売買業者、船沈める
時事通信 2014.09.15

国際移住機関(IOM)は15日、地中海で難民船2隻が相次いで沈没し、計700人以上が犠牲になった可能性があると明らかにした。船にはパレスチナなどから逃れた難民が乗っており、うち1隻は人身売買業者に意図的に沈められたという。

救出された難民はIOMに、船にはパレスチナやシリア、エジプト、スーダン出身者ら少なくとも500人が乗っていたと証言。救出されたのは9人にとどまり、大半が死亡したもようだ。

また14日にもパレスチナ難民らが乗った船がリビア沖で沈没。約30人が救出されたが、約200人が犠牲になったとみられる。



実は、最近の地中海では、上みたいなことが頻繁に起きていて、8月 28日の朝鮮日報の記事では、「今年だけでボートピープル 1800人死亡。死の海と化した地中海」というタイトルの記事が掲載されていましたが、その後も相次いでいる上に、先に載せましたニュースのように、700人が犠牲になるような事故も起きたりもしていて、また、把握されていない事件事故も多いと思われ、一体今年の地中海でどのくらいの人命が失われているのか想像もつかないほどです。

その記事には、「密航ビジネス」の実態なども含めて、今後も地中海の大量死が収まる気配を見せないかもしれないことを示す内容が多く載せられていますので、ご紹介したいと思います。

そして、冒頭に載せましたように、地中海を渡りヨーロッパに次々とやってくるボートピープルや難民に対して、一般のギリシャ人やイタリア人など、地中海周辺の人びとは、明らかに危機感、あるいは、敵対感を持つ人が多くなっているようです。

それに加えて、今のアフリカには、「エボラ」があり、最近ではこれが「空気感染するウイルスに突然変異する可能性」が囁かれていたりします。

これに関しては、

エボラウイルスが突然変異により空気感染する能力を獲得した場合「 120万人の死者が出る」と予測する計量経済学者
 2014年09月16日

という記事で簡単にふれています。

ebola-120.gif
Guardian Liberty Voice


さすがに今のところ、そのような突然変異を見せている気配はないようですが、かつて、エボラ・ウイルスの別の株である「エボラ・レストン」というウイルスが、突然変異により空気感染する能力を獲得したことが実証されたことがあるのだそうです。

そういう意味では「ゼロ」ではないと。

仮にエボラウイルスが空気感染可能なものと化した場合、アフリカ内での感染拡大も著しいものとなるでしょうけれど、そのアフリカからヨーロッパへと何十万人もの難民が毎年移動してきているわけで、単なる人種的な問題を越えた「パンデミック的な問題」も発生し得るわけです。

今回は、朝鮮日報の「今年だけでボートピープル 1800人死亡。死の海と化した地中海」という記事を翻訳してご紹介したいと思いますが、最近、こういうような「大量死の報道」を見ていますと、

無意識の精神的な逃避

とでもいうのか、「死後」という概念を考えます。

そういえば、最近の、

火山性ガスを噴き出すアイスランドの火山……美しさ……転生……感覚的世界……人生を体験していること
 2014年09月13日

という記事で、「転生」のことを書いたりしましたが、最近のニュースで、ふと、漫画家の大島弓子さんの 1987年の作品『秋日子かく語りき』を思い出すことがありました。この漫画は「転生」をテーマにしたものです。

異常な横道の逸れ方になるかもしれないですが、少し書きますね。




李香蘭から『秋日子かく語りき』。そして川端康成の「死後の生存」の概念にまで行き着いた一日

先日、下のニュースがありました。


山口淑子さん死去 「李香蘭」の名前で活躍
NHK 2014.09.14

戦時中、日本人であることを伏せて李香蘭の名前で女優として歌や映画で活躍し、戦後はテレビ番組の司会者や参議院議員も務めた山口淑子さんが、今月7日、心不全のため東京都内の自宅で亡くなりました。94歳でした。



このニュースを読んで「李香蘭といえば……」と、彼女の歌で唯一知っていて、お気に入りでもある 1944年の「夜来香 (イエライシャン)」 を、久しぶりに iTunes で聴いたりしていました。

しかし、何でそんな戦時中の曲(後で、テレサ・テンも歌っていましたけれど)を知ったかというと、『秋日子かく語りき』の一コマに、イエライシャンのフレーズを主人公の女の子(の肉体だけを借りている中年女性の霊体)が歌っているシーンがあるのです。

yelahshen.jpg
・『秋日子かく語りき』より


イエライシャンが日本語ではなさそうなことはわかりますが、

「彼女は何語の歌を口ずさんでいる?」

と気になったのがキッカケで、ずいぶん後になり、それが李香蘭の「夜来香」だったことを知ったのでした。

下が「夜來香」です。



この「夜来香」はともかくとして、転生をテーマにした大島弓子さんの『秋日子かく語りき』、ストーリーについては、「秋日子かく語りき」(大島弓子 作)〜輪廻転生について考えました〜という記事から引用させていただきますと、


普通の主婦、というよりおばさん・竜子と、のほほんな女子高生・秋日子。二人はあの世とこの世の境目で出会います。

そこに天使様が会われて、二人は事故に遭い、竜子は死んでしまったこと、秋日子の体は元気で、ここにいるのは間違いだから、帰りなさいと話します。

納得できないのは竜子です。このままじゃ死ねないと、天使様と秋日子に頼みこんで期間限定で秋日子の体に蘇ることになります。


というところから始まる1週間の波瀾万丈を描いた、わりと他愛ないと言えば他愛ない話ですけれど、登場人物たちの現実的な感情の描き方や、何より大島弓子さんの絵が最も素敵な頃で、二十代の頃、好きな作品でした。




アネモネ転生と川端康成の考えていた「死後の人生」

ところで、この『秋日子かく語りき』の中に「アネモネ転生」という言葉が台詞に出てくるのですけれど、今まで気にしたことがなかったですが、

「アネモネ転生って何だ?」

と急に思って、 Google で「アネモネ 転生」と検索してみましたら、1番最初に出てきたのが下の小説でした。

anemone-google.gif


こんな小説知らないですし、読み方も危うい。

どんな作家の小説かと、この抒情歌 - Wikipedia のページを見ますと、

『抒情歌』(じょじょうか)は、川端康成の短編小説。川端が新境地をみせた初期の代表作の一つで、川端の死生観がよく示されている作品である。また、川端自身が最も「愛してゐる」作品の一つでもある

あれれ・・・川端康成さんの作品のようです。
1932年に出版されたものだとか。

そのあらすじは、

ある霊感の強い女人が、恋人に捨てられ、その人の死を知り、その苦悩や失意の中で「輪廻転生の抒情詩」に救いを求める愛と死の物語。

嫉妬や呪詛、悲しみの末、禽獣草木、天地万物のうちに愛する人や自身を見出し、霊の国や冥土、来世で愛する人の恋人になるよりも、一つの花になりたいという汎神論的心境に思い至るまでの詩的な心の軌跡が、霊的モチーフで神秘的に描かれている。


とあり、なかなか難しそうですが、ここのどこに「アネモネ転生」という言葉が出て来るのかというと、下の部分です。

「私」は、「魂」という言葉を、「天地万物を流れる力の一つの形容詞」と感じ、動物を蔑んでいる因果応報の教えを、「ありがたい抒情詩のけがれ」と呼び、エジプトの死者の書や、ギリシャ神話はもっと明るい光に満ち、アネモネの転生はもっと朗らかな喜びであると思った。

「うわ、意味がわかんない」と、さらに、意地になって調べてみますと、どうやら、ギリシャ神話に出てくるアドニスという人の「血の転生」のことを示しているようです。

血の転生というか、

「アドニスが死んだ後、その血がアネモネに転生した」

というような話です。

ギリシア神話小事典』という本を参照しているこちらのサイトから抜粋しますと、このアドニスは、軍神であるアレスという神様に殺されてしまうのです。その後、

アドニスは、猪に突き殺された。

アフロディテはアドニスの死を悲しんだ。死と嘆きを忘れないように、毎年思い出すように、アドニスの身体から流れる血に、深紅のアネモネを咲かせた。

アプロディテはゼウスに頼んだ。

「アドニスが暗い冥府で過ごすのはかわいそうだから、せめて夏だけ、私のそばに置いてください」

それで今でも、アネモネは夏になると、可憐な花を咲かすのである。

というものだそう。

「なるほど」と、ここで、私は、『秋日子かく語りき』を最初に読んでから約 25年も経過した後に、『秋日子かく語りき』の最後の台詞、それは、秋日子の友人の言葉ですが、その意味に辿り着くことができたのでした。

下がその台詞です。



それぞれが未来の転生のことを夢みてた
しかし、わたしは、
花や蝶になりたいというのでなければ、
我々はとっても近い今生のうちに
それぞれの夢をかなえることをできるのだと
固くそう思っていた




ギリシャ神話のアドニスのように(死後に)花に生まれ変わるというようなことは、生きているあいだには無理だけれど、それぞれの夢は(死ぬ前に)かなえられるのだ、と作品中の彼女は言っていたのだと。

まあ、私のように年齢的に五十代という冥府の王ハーデスか、あるいは、人生の希望の確率がアナザーゴッドハーデス(1/8192)のレベルまで下がりつつあるところまで年をとりますと、今生に夢がかなう・・・というフレーズは、なかなか受けつけないようになってしまいますが、若い人などには、こんな素敵な言葉はないのかもしれないとも思ったりします。

ところで、「アネモネ転生」を解き明かすキッカケとなりました、川端康成さんの『抒情歌』という小説は、先ほどリンクしました、 Wikipedia をさらに読みますと、川端康成さんは「死後の生存」という概念について考えていたようです。


というわけで、余談どころではない逸脱となってしまいましたが、

大量死

という言葉は、文字通り、「多くの死」のことです。

その「死」の先に何があるのかを最近は考えざるを得ないような世界の趨勢ではあるように思います。

それでは、最近の地中海の現状についての記事です。

なお、下の地図は、国連難民高等弁務官事務所( UNHCR )が 2011年に作成した「他国への難民流出の数」を示したものです。

africa-refugees.gif
Guardian


国によっての差は大きいですが、年間単位での難民発生数がかなりのものになることがおわかりかと思います。

そして、正確な比率はわからないですが、その中のかなりの人びとが、地中海からヨーロッパを目指すルートを試みます。



news.chosun.com

今年だけでボートピープル 1800人が死亡…今や「死の海」と化した地中海

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Independent


アフリカの正常不安により 12万人が EU に密入国

8月22日、リビアの首都トリポリから東へ 60キロメートルの地中海の海上で、北へ向かっていた長さ 16メートルの木造船が突然転覆した。

船には、ヨーロッパに密入国しようとしていたエチオピアやエリトリアなど、アフリカ諸国の難民約 200人が乗っていた。そのうち 180人あまりが死亡した。

次の日、地中海のイタリア・ラムペ二の南の沖でエンジン故障で漂流していた船から18人の遺体が発見された。その翌日には数百人を乗せて密航していた漁船が沈没し、6人が死亡した。

死者はすべて「より良い生活」を夢見てヨーロッパへ船に乗ったアフリカ難民たちだった。

地中海を介して欧州連合( EU )に密入国した件数は今年だけで 12万 4380人(8月時点)に達し、「アラブの春」で、中東情勢が混乱に陥った 2011年の 6万 9000人以来、最大となった。

イギリスのエコノミスト誌は、「昨年、密航船の沈没で 368人が死亡した事件を契機として、イタリア海軍が密航船の遭難者の救助活動に積極的に乗り出したことにより、むしろ流入が急増した」と分析した。

密航が多くなり、船舶の転覆等による死亡件数も急増している。今年(8月まで)の密航による死亡者は 1880人にのぼる。

これは、現時点で、昨年1年間の 600件の3倍を越えた数となっている。
米国 CNN は「地中海が『死の海』に変わった」と述べた。

密航の現実は冷徹だ。 CNNは、「業者が監視レーダーを避けるために小さな船を利用する」こと、そして「収益のためにを船に人びとを最大限まで詰め込む」ことなどの現状を報じた。

20日あまりゴムボートに乗る際に、ライフジャケットを着るためには 200ドル(約2万円)、良い席を確保するためには 300ドル(約3万円)を追加で支払わなければならない。

水と食べ物は 100ドル(約1万円)だ。

業者たちは、密航ビジネスで最大 100万ユーロ(約 1億 3,000万円)を手にしていると、イタリアの日刊紙は伝えている。

これらの「ボートピープル」のほとんどは、アフリカおよび中東出身だ。懸命に働いて、一日2〜3ドル( 200〜 300円)をやっと手にできるかどうかという人ばかりともいえる。

それにも関わらず、彼らが平均で 2,500ドル(約 25万円)にものぼる金額を業者に支払ってまで「死の海」を渡るのは、母国の慢性的な政治的、社会的不安に原因がある。

内戦中の中央アフリカ共和国の難民は、すでに 62万人にも達していることなどが代表的な例だ。

ドイツのシュピーゲル紙は「密航船への搭乗の機会を待ち続けている人がモロッコだけでも4万人いる」とし、「リビアで不法入国を準備している難民は 30万人いると推測される」とした。

難民問題で、欧州域内の対立も激しくなっている。

昨年だけで約 4万 3000人の難民が入国したイタリアは、海上密入国の「関門」と呼ばれるほどだ。

今年、地中海で難民約 10万人を救ったイタリア海軍は、救助作業だけで毎月約 900万ユーロ(約 12億円)を費やしている。イタリア内務長官は最近、「この現状では 10月からは、難民救出の仕事をすることができない」と述べている。

しかし、北欧諸国は、「最初に入国した南欧諸国から難民申請をすることはダブリン条約に準拠している」と意見は真っ向から対立している。

昨年、EU 加盟国 28カ国全体の難民申請 32万件のうち 56%はドイツ、スウェーデン、フランスに集中した。

しかし、実際に難民として認められた割合は、昨年が 15%( EU 28カ国平均)に過ぎない。
フランス国内では、不法移民が 20万〜40万人いると推測されるほどの状態だ。

移民問題は、ヨーロッパ内の極右派の勢力拡大につながる。ドイツのシュピーゲル紙は「これまで人権を強調してきたヨーロッパの難民問題が道徳的ジレンマに直面している」と記した。




  

2014年09月15日



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flare-x28-2003.gif

▲ 2003年 11月 4日の「 X28 」の太陽フレア。 NASA SOHO より。






 



先日の 9月 10日に、Xクラスの太陽フレアが発生したのですが、その時の正確な数値としては、

X 1.6

というクラスでした。

この程度の大きさの太陽フレアでも、地球に対して発せられた場合は、先日の、

太陽フレアが地球を連続して直撃し始める中、アメリカが誇る歴代の大統領たちの顔もうっすらと雪景色
 2014年09月12日

でご紹介しましたように、そのフレアについて大きく報道され、アメリカ海洋大気庁( NOAA )は、電力網や通信などに影響が出るかもしれないと警戒情報を出しました。

もう一度、数値を書きますと、「 X 1.6 」です。

では、過去に観測された中ではどのくらいの強さの規模のフレアが発生していたのか

名古屋大学の「太陽地球環境研究所 宇宙線研究室」の渡邉恭子さんという方が書かれた、

太陽中性子観測による太陽フレア現象における粒子加速機構の研究

という論文に以下の記述があります。


2003年 11月 4日 19 : 29UT に X28 という、とても大きな規模の太陽フレアが発生した。

これは観測史上最も大きなクラスをもった太陽フレアであった。


X 28 ・・・。

こんな規模の太陽フレアが発生していたことを初めて知りましたが、この論文の中には、この X 28 の太陽フレアの爆発エネルギーについて、

広島の原爆 10 兆発にも相当する

とあります。

単位は「兆」です。

この際のフレアは、当時の Space.com で報じられた ニュースのページが今でも残っています。

x28-2003.gif

▲ 2003年11月5日の Space.com より。


上の記事によりますと、この時の太陽フレアは、人工衛星による太陽観測が始められた 1970年代からの観測の中で最大規模だったとのこと。

この X28 という途方もないほどの規模の太陽フレアは、現在の前の太陽活動周期の「サイクル 23」の太陽活動の活動期におきたものですが、先に抜粋しました論文「太陽中性子観測による太陽フレア現象における粒子加速機構の研究」によりますと、サイクル 23の際には、

100 個以上のXクラスの大きな太陽フレアが発生した

とあります。

そして、そのすべてのXクラスの太陽フレアの中で、「中性子イベント」というものが発生したフレアは下の通りだそう。

cycle23-x-flare.gif


中性子イベントの概念はともかくとして、この時期には X 28 とか X 17.4 だとかのかなり大きな太陽フレアが発生していたことがわかります。

しかし、これらの太陽フレアは「地球の方向に面していない場所」で発生したようです。なぜなら、 X 28 なんてフレアが、地球方向にダイレクトに発生した場合は、確実に「大災害」となっていたはずだからです。

1989年に、カナダのケベック州で「ケベック大停電」という「 600万世帯」が停電に陥るという、カナダでは前代未聞の大停電が発生しましたが、この原因は、太陽フレアによるものでした。

この時に起きたことは、1989年3月の磁気嵐というページから抜粋しますと、

1989年3月13日に起きた磁気嵐は地球に非常に大きな影響を及ぼし、カナダではハイドロ・ケベック電力公社の電力網を破壊し深刻な被害をもたらしたり、米国の気象衛星の通信が止まるなど、各国の様々な社会インフラが影響を受けた。

ということがあったんです。

ちなみに、下の動画はその 1989年のフレアではなく、先に書きました 2003年の X28 の太陽フレア発生の瞬間を撮影した NASA の太陽観測衛星 SOHO の映像ですが、フレア発生の瞬間から画像にノイズが入り、機器が影響を受けているのがわかります。




現在の太陽活動は強いものではないですので、こんなパワフルな太陽フレアが発生する可能性はほとんどないでしょうけれど、それでも、さほど強くない太陽フレアでも地球を直撃すれば、今の社会はわりと大きな影響を受ける可能性もあります。

それは、この 20年間くらいの私たちの生活の変化に理由と原因があります。




たった25年で私たちの世界で変化した部分

カナダが太陽フレアによる大停電に陥った 1989年というのは、今から 25年ほど前のことで、さほど昔のことではないと思われるかもしれないですけれど、この頃と現在の「決定的な違い」は、

生活でのインターネットや携帯、スマートフォンへの依存度

です。

簡単にいえば、1989年と同じような太陽フレアの直撃があれば、これらは一部、あるいは規模によっては「すべて」が使い物にならなくなるという可能性があることが、25年前と現在とでの生活への影響の違いです。

25年前はどんな先進国でも、インターネットもパソコンも、まして携帯電話やスマートフォンなどとは少なくとも一般人は無縁の世界でした。

私が初めてパソコン( Mac でした)を購入したのは、多分、1993年頃で、今から 20年くらい前のことだと思います。しかし、この時でも、インターネット自体は存在していたとはいえ、日本ではまだ個人のインターネット接続はあまり普及していませんでした。

私が初めてインターネットに接続したのは 1995年くらいのことではなかったかと思います。ようやくインターネット生活が始まったわけですけれど、それでも、当時の電話回線を利用した「ダイヤルアップ」といわれる方式は今とは比較にならないほど遅い回線であって、とても「生活上で利用しまくる」というようなタイプのものではなかったです。写真1枚表示するのに数分かかったような時代でした。

しかし、その後、かなり早いペースでインターネットの環境が整い、それから 10年もしないうちに、多くの国では、生活上のありとあらゆるものが「インターネットやコンピュータプログラムに依存」していくことになります。

今では車もコンピュータの塊ですから、1989年レベルの太陽フレアの直撃があれば、車を動かすことはできなくなると思われます。つまり、物資の輸送や食糧供給も止まるということです。もちろん、パソコンを含めて、コンセントにつないでいる電化製品は、そのままの状態ですと、大きく損傷する可能性が高いです。

そんなこともあり、現在の文明社会に X 28 などという規模の太陽フレアが発生し、それが地球にダイレクトに向かった場合、前もって保護の準備をしていない場合、

通信手段から電気、物資の輸送まで、ほぼすべての生活上のインフラが崩壊する

という可能性があるところが、現代文明の脆さのひとつでもあります。

もし X28 などの巨大な太陽フレアによる磁気嵐が現代の地球を直撃した場合の具体的な被害はわからない部分も多いですが、 Wikipedia には、


仮に1859年と同レベルの太陽嵐が発生し地球に直撃すれば、広範囲で停電が発生し、現代社会における電力やGPSに依存する機能、水道などのライフラインが破壊され、全世界で2兆ドル規模の被害が発生するとの試算がある(全米研究評議会 、2008年)。


とあります。

2兆ドルは日本円で約「200兆円」ですが、そのような被害を全米研究評議会というアメリカの学術機関が推計しているようです。

このことは、過去記事の、

2012年 7月 23日に地球の文明は太陽によって「終末」を迎えていたかもしれなかった
 2014年03月21日

など、何度か記したことがあります。

気づけば、私たちの文明スタイルはあまりにも、

・電気
・無線通信(携帯やスマートフォン)
・インターネット


などに多くを依存するようになっていたということが問題なのかもしれません。

もちろん、世界には、インターネットはもちろん、電力にもほとんど依存せずに生活している人たちがたくさんいます。そういう人たちは、文明社会においては確実なカタストロフである「太陽からのスーパーフレア」の影響などまったく受けないわけです。

テクノロジーや電気的な生活に依存している国になればなるほど、太陽フレアの影響は深刻です。

そういう意味では、この 20年くらいの間に進んだ「過度にインターネットに依存した文明」というのは、冷静に考えれば、

「いつかはカタストロフ(破局)が訪れるべくして築かれた文明」

ではあるのかもしれません。

今は太陽活動最大期の頂点くらいの時期にいるとされているのですが、ここで、先ほどの論文「太陽中性子観測による太陽フレア現象における粒子加速機構の研究」の表をもう一度載せますので、見てみて下さい。

cycle23-x-flare.gif

大きな太陽フレアが発生したのが 2003年であることに気づきます。

先日の、

13年目の 9月 11日に地球を直撃するCME
 2014年09月10日

に書きましたが、この時の太陽活動の活動最大期は「 2000年」だったのです。

つまり、活動最大期から3年も後になって X28 などという途方もない規模の太陽フレアが発生したわけです。

現在の太陽活動も、いつが活動最大期なのかよくわからないような曖昧な状態が続いていますけれど、一応、 NASA などは現在が活動最大期だという認識を示しています。しかし、基本的には、現在の太陽活動は「過去数百年で最も弱い」ものです。

それを考えると X10 を越えるような巨大な太陽フレアが発生することはちょっと考えがたい面はあります。

ちなみに、下の表は 2012年 12月 29日から 2014年 9月 13日までに発生した、その日の最大の太陽フレアを示したものですが、この約1年9ヶ月ほどの間で最大の太陽フレアは、2014年 2月 25日に発生した X4.9 のフレアでした。

x-12-25.gif
太陽活動の現況


現在までに X5 を越える規模の太陽フレアは今のところ発生していないことがわかります。

上の表は「赤」の部分がXフレアが発生した日ですが、この「赤色」の数が 17個しかないということは、2年近くの間に「17回のXフレアしか発生していない」ということを示していて、今が太陽活動最大期だとすれば、このサイクル 24という弱い太陽活動周期の現実を改めて思います。

しかし、たとえば、昨年 10月の記事、

数百年来の弱い太陽活動の中で突然起きた「太陽の大爆発」の余韻と共に NASA のサイトも NOAA のサイトもシャットダウンした朝
 2013年10月02日

の中でご紹介したように、突然「予測していなかった」大規模なフレアが発生するということもありました。

要するに、

「全体的な太陽活動が弱い」

からといって、それが、

「大規模な太陽フレアが発生しない」

という理由となるわけではない、ということです。

それに、地球を直撃する巨大フレアは「たった一発」でOKなわけです。

「OK」というのは変な表現ですが、全体的な太陽活動が弱かろうが強かろうが、地球の文明を崩壊させるには、「一発」の地球方向への巨大フレアがあれば、それでいいわけで、その後何発続けて発生しようが、すでに(直撃したエリアの)文明は崩壊しているわけで、とにかくどんな理由による太陽フレアでも、一発だけでも発生すれば、それで終わりなんです。

さらに、この昨年 10月の太陽フレアは黒点の領域からではなく、プラズマの爆発による太陽フレアでした。つまり、黒点なんてなくても、巨大フレアは発生するのです

ちなみに、1975年からの観測史上での巨大な太陽フレアの上位5は NICT の資料によりますと以下の通りです。

1位 X28.0 2003年11月04日
2位 X20.0 1989年08月16日
3位 X20.0 2001年04月02日
4位 X17.2 2003年10月28日
5位 X17.0 2005年09月07日

これらはすべて、地球の方向ではない場所で発生したものでしたので、人工衛星への影響などを除けば、どれも地球での被害はなかったと思いますが、こんなものが「一発でも」地球方向に向いた面で発生すれば、直撃を受けた地域は原始時代に逆戻りしてしまう可能性もあります。

実際に、過去記事「2012年 7月 23日に地球の文明は太陽によって「終末」を迎えていたかもしれなかった」では、その 2012年 7月 23日に発生した巨大な太陽フレアが「地球をかすめていたことが判明した」ことが今年 2014年になって解析によってわかったことを書いています。

そのことを記した 2014年 3月 19日の米国フォーブスの記事のタイトルは、「地球の文明を暗黒時代に戻すことができるほどの巨大な太陽からのスーパーストームが地球のすぐ近くを通過していた」というものでした。

dark-age-flare.gif
Forbes




太陽の磁場と磁極は現在どうなっているのか

ところで、なぜ最近になって、太陽フレアが地球方向に向けて発生するようになったかということに関して、

太陽の磁極の反転との関係

について言及されたお話を伺ったことがあります。

これに関しては、昨年8月に NASA が「太陽の磁極の反転」が始まったことを確認したことを、記事に書いた後、昨年の 12月 31日の、

汚れた血も悪くはないと考えていた 2013年の終わりに「太陽の磁場のポールシフトはすでに完了していた」ことを知る
 2013年12月31日

という記事で、「太陽の磁場の反転が完了した」報道をご紹介しました。

しかし、それ以前の問題として、

今回の太陽の磁場の反転には異常があった

ことが 2011年から宇宙航空研究開発機構の太陽観測衛星「ひので」が捉えていました。下は、2011年9月2日の読売新聞の記事です。


地球環境に変動? 太陽北極域で異例の磁場反転
読売新聞 2011年09月02日

宇宙航空研究開発機構の太陽観測衛星「ひので」が、太陽の北極域で磁場が反転し始めた様子を観測することに成功した。

太陽の北極、南極の磁場は約11年周期で反転することが知られているが、今回は予想時期より2年も早いうえ、南極域では反転が見られないなど異例の様相を呈している。

地球の環境変動につながる恐れもあるという。

磁場の反転と、太陽の黒点数増減の周期は、通常約11年で一致していたが、2009年初頭まで続いた黒点の周期は12・6年に延びた。活動周期が延びる時期は、地球が寒冷化することが知られている。

研究チームの国立天文台 常田佐久教授は「観測されたことのない事態だ。地球環境との関係を調べるため、太陽活動を継続的に監視していく必要がある」と話す。


この3年前の読売新聞の記事の、

> 地球の環境変動につながる恐れもあるという。

という部分をあらためて読み直して、この2〜3年に地球で起き続けた「荒れた」自然災害や自然環境、そして荒れた天候の数多くの出来事を思い出します。

それはともかく、この「太陽の異変」はその後も続き、2012年には太陽が「4極の磁極」を持ったことが観測されるようになります。

2012-solar-polar.gif
・過去記事「国立天文台が発表した4極化する太陽磁場」より


この磁場の異変は 2013年になっても続き、

国立天文台が「太陽の磁場異変の進行」を確認し、その状態が過去の「小氷河期」と類似していることを発表
 2013年02月05日

という記事では、国立天文台などが、

太陽の北極域では磁場がマイナス極からプラス極へ反転する現象が急速に進んでいる一方、南極域の磁場は依然としてプラス極のまま変化が少ないことを確認した。

という太陽の磁場の異変を確認しています。

そんな異常の中で、2013年末までに太陽の磁場の反転は完了したのですけれど、私がふと思うのは、

「現在の太陽の磁場や磁極は正常な状態なのだろうか」

ということです。

何らかの磁場の異常、あるいはこれまでとは違った状態の磁場を持っている、というような可能性があるのではないかと思うこともあります。しかし、こればかりは「ひので」などの観測衛星のデータが発表されないとわからないことなのかもしれません。

ところで、地球の「中性子」が急激に減少していることを知らせて下さった方がいました。それは、先日の 9月 10日の太陽フレアの後に起きています。

下は、アメリカのデラウエア大学にある中性子モニターのリアルタイムデータのうちの南極のものですが、12日頃から急激に減少しているのがおわかりかと思います。

sp-0913.gif
BARTOL NEUTRON MONITOR


これが何を示しているのか・・・というと、私にはわからないのです

というのも、私が持っている曖昧な知識では「太陽フレアは大量の中性子を発生させる」というものだからです。

たとえば、名古屋大学の柴田祥一氏の論文「太陽フレアに伴う中性子の観測と地球大気中での伝播」の概要の冒頭は、

太陽フレアに伴って中性子が大量に発生する。中性子は電荷を持たないため、惑星間磁場によって曲げられることなく太陽から地球へ直進して来る。

です。

たとえば、下の表は、2006年 12月13 日に X3.4 の太陽フレアが発生した際の、上と同じデラウエア大学の中性子モニターのグラフです。

theplot-2003.gif
・200612月14日の NICT

太陽フレアの発生時に中性子が一気に上がっていることがわかります。

しかし、今回は太陽フレアが地球を直撃した後から「中性子が急激に減っている」ということになり、これはどうにも私にはわからない領域です。あるいは、このような現象は特に不思議なものではないのか、そのあたりさえもわかりません。

しかし、ふと思えば、何よりも、そもそも私は「中性子」というものをよく知らないわけで、このことはもう少し勉強してから考えた方がいいかもしれないです。

ダラダラと長くなってしまいましたが、やっばり全体として何となく「変」な感じのする最近の太陽であり、そして、地球を含む太陽系の惑星です。



  

2014年09月08日



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Pakistan-september-snow.gif

▲ 2014年9月7日のパキスタン Daily Times より。






 



世界各地で雪が降りまくる晩夏

昨年あたりから、気候や現象の報道を見るたびに思い出すフレーズがあります。


日月神示 第12巻夜明けの巻

天の異変気付と申してあろが 冬の次が春とは限らんと申してあろが。
夏雪降ることもあるのざぞ。
人民の邪気が凝りて、天にも地にも、わけの判らん虫わくぞ。

訳の判らん病ひどくなって来るのざから、書かしてある御神名分けて取らせよ。
旧九月八日までに何もかも始末しておけよ。



それでまあ、「夏の雪」がいろいろなところで降っておりまして、上の記事のように、パキスタンのギルギット・バルチスタン州というパキスタン北部の地域で、「大雪のために、動物の放牧をしていた農家の人たちなど 174人の方々が行方不明になっている」というニュースを目にしました。

「大雪で多数の人が行方不明」というのは一見奇妙な響きですけれど、つまり、安否の確認をするための捜索隊が現場に向かうことさえできないほどの暴風雪に見舞われているということのようです。

短い記事ですので、記します。


ギルギット・バルチスタン地方を激しい気候が襲い、174名が行方不明

174人の人びとが、ギルギット・バルチスタンのデオサイ平野とカラパニにおいての秋の大雪とブリザードの嵐の中で行方不明になっている。

詳細な情報によれば、452人が彼らが飼育している動物と共にに雪のブリザードに見舞われて、身動きが取れなくなってしまった。親族による情報で、当局は 280人を保護し、安全な場所へと移動させることができたが、まだ 174人が動物共々、行方がわかっていない。

現在、同地区では非常に過酷な気象条件となっており、捜索活動を開始する目処が立っていない。当局は、天候が回復次第、行方不明者の捜索と救出活動を速やかに開始すると述べた。


それにしても、いくら北部とはいえ、パキスタン。

9月の初旬に捜索活動もできないほどの暴風雪(猛吹雪)などが降るような場所なのだろうか・・・とは素直に思いました。

ギルギット・バルチスタン州というのは、下の位置で、アフガニスタンと中国とインドとも国境が隣接している州です。

gilgit-baltistan-map.gif


このギルギット・バルチスタン州の州都である「ギルギット」の平均気温は以下のようなものです。

gilgit-t1.gif
ZenTech


「これって、最高気温に関しては東京より暑いのでは?」

と思いまして、東京の平均気温を見てみますと、下の通りでした。

tokyo-t1.gif


ただ、ギルギットは、9月の平均気温が、

・最高気温 31.6 度
・最低気温 12.7 度


と、気温の差が激しい場所のようです。

冬はかなり寒いようで、夏と冬の気温の差もかなりあります。

としても、9月の平均最高気温が 30度を越える土地の周辺で「9月の暴風雪」というのは、まあ、一応は「普通のことではない」とは言えそうです。

ところで、パキスタンでは、他の地域では「記録的な大雨による大洪水」が発生していて、これも過去数十年で最大の洪水被害を出しています。

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NHK


インド・パキスタンの洪水被害 死者360人超
NHK 2014.09.08

インドとパキスタンでは、大雨による洪水の被害が広がっており、死者はこれまでに両国で360人を超え、現地を視察したインドのモディ首相は、国家レベルの災害だとして地元州政府への支援を表明しました。

洪水が起きている川は、パキスタンを南北に縦断するインダス川と合流するため、今後、インダス川の流域でも被害が拡大するおそれがでており、パキスタン政府は、地元州政府に対策を強化するよう呼びかけています。



インドもパキスタンも近年は大規模な洪水が多いですが、近年の大きな洪水をはるかに上回る規模のようで、被害は今後さらに拡大するおそれがあります。

パキスタンは、一方で暴風雪、そして一方では、熱帯性暴風雨による洪水というふたつの両極端な災害の渦中にあります。

雪といえば、カナダのカルガリーでも「今週、雪が降るかもしれません」という天気予報が出されています。




3日間で「最高気温が22度も下がる予測」のカルガリーの9月

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▲ 2014年9月7日の Weather Network より。


このカルガリーの気温のすごいところは、その気温の下がり方の急激さなんですね。

上の天気予報が報じられた 9月 7日の午後の最高気温は下の通り。

calgary-25.gif

昨日の日曜日は、最高気温 25度だったんですね。

それが、

・月曜には最高気温 10度
・火曜には最高気温 4度
・水曜には最高気温 3度


と、雪崩を打つかのように気温が下がる予測となっていて、その日の前後に「雪が降るかもしれません」という予測になっています。

ただ、カルガリー - Wikipedia によりますと、ここは気候の荒い場所のようで、

冬のカルガリーは、フェーン現象の一種でチヌークと呼ばれる太平洋から吹く季節風の影響で、暖かく乾燥した風が吹くため、数時間で気温が最高15℃上がり、冬の半分は一日の最高気温が0℃を超え、場合によっては15℃まで届くこともある。一方、北極からの強力な寒気団に覆われると、マイナス40℃近い気温が観測されることも珍しくなく、同じ冬の間でも寒暖の差が非常に激しい。

また、夏は、

標高が高く乾燥しているため、夏でも夜になると気温が下がりやすく、最低気温が8℃まで下がることもある。このため、年間を通して冬でも夏でも霜がおりる可能性がある。また一般的ではないが、夏の7月と8月でも雪を経験したことがある。

ということで、かつて、「夏の雪」を経験したことがある場所のようです。

calgary-map.gif
・カルガリーの位置


ちなみに、カルガリーの過去の最高気温と最低気温の記録は、

・最高気温 1919年の 36度
・最低気温 1893年のマイナス 45度

という非常に上下の幅が大きい場所であるようです。

都市の名前は知っていましたけれど、こんな気候だとは知りませんでした。

そして、アメリカでは、各地で「8月の雪」も報告されています。




カオスな気候分布がひとつの国家に収まっているアメリカ

下の写真は、ワイオミング州のアルタというリゾート地で、8月31日に撮影されたものです。

 Alta-Wyoming.jpg
Daily Mail


英国のデイリーメールは、下のようなタイトルで、9月のアメリカの7州に大寒波がやってくることを報じています。

us-cold-9.gif
Daily Mail

北極からの大気の渦は極循環( polar vortex )と呼ばれている現象だそうで、要するに、今回の場合は、「北極から冷たい空気がアメリカ大陸にやってくる」ということになるようです。

そして、そのアメリカの気候分布予測ががすごいのです。

下は Accu Weather という天候サイトの今年のアメリカの秋の天気状況の予測です。

us-chaos-weather.gif
Daily Mail

東海岸周辺にある「熱帯の衝撃のリスクが極めて高い」という直訳は、自分で書いていても意味がよくわからないのですが、熱帯ストームのリスクというようなことなのかもしれません。正確なところがわかりません。

いずれにしても、広い面積のアメリカとはいえ、あまりにも傾向の違う気候分布予測は、まさに「カオス」といった気配を感じます。

ちなみに、北極からのアメリカにやってくるこの寒波は「暴風を伴っている」ことも特徴で、9月 6日には、下のように、大木が倒されるほどの強風がミシガン州などで吹き荒れました。

michigan-9.jpg
・場所はミシガン州カラマズーという場所


そういえば、少し前の、

アイスランドの火山の状況のその後と、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。そしてジミヘンの「417Hz周波数」の曲を発見などを少しずつ
 2014年08月29日

という記事のラスト1行は、

9月頃には雪もありですかね(おいおい)。

と締めていますが、北半球のかなりの地域で上のように、すでに降るところでは降っていますので、日本も降っても不思議ではないかもしれません。


あとは、最初に載せました「日月神示」の

天にも地にも、わけの判らん虫わくぞ



訳の判らん病ひどくなって来るのざから

のことにもふれようと思いましたが、ちょっと気候の記事で長くなりすぎましたので、昨年からの過去記事で、「わけのわからん虫」のことにふれた記事をリンクしておきます。




虫の大量発生関係の過去記事

京都:アメリカ人の観光地ナンバー1になって以来「わけのわからん虫が湧く」やら、オオサンショウウオも地面を歩き出したり
 2014年07月09日

奇妙な虫にモスクワが侵略されている
 2013年05月22日

・聖書に記載されているユダヤ教の祭の直前にイスラエルへ向かった3000万のイナゴの大群
http://oka-jp.seesaa.net/article/342697919.html
 2013年03月05日

昆虫アルマゲドンの渦中のアメリカ : 南東部では前代未聞のシロアリの大群に見舞われる
 2013年05月25日

地球上での共生の崩壊 : 動物のエサになる人間。そして世界の町々は昆虫に占領されて
 2013年05月12日



▲ 2013年5月にサラエボの首都を占拠したハエ(またはカゲロウ)の大群。


訳の判らん病ひどくなって来るのざから

の「訳の判らん病」という部分は、最近の状況をリアルに思い起こすことができます。

そして、

旧九月八日までに何もかも始末しておけよ

と書かれています。

この旧暦 9月 8日というのが、今年なのか 100年後なのか、あるいはもっと先なのかはわからないですけれど、2014年の旧暦 9月 8日は、計算サイトで計算しますと、2014年 10月 1日となるようです。
ちなみに、この日は仏滅(苦笑)。

私自身は始末するものがあるのかないのかもわからない状態ですが、「日月神示」の記述はともかくとしても、世界のカオスは、気候から生き物、紛争、戦争、そして、人間の感情の乱れ(のようなもの)など広範囲にわたっているように私には思えます。

昨日の記事でも書きましたけれど、こうなってくると、

「カオスを恐れてはいけない。混沌に身を預けよ。混沌に加われ」

というフレーズの解釈を今一度考えてみたいところです。



  

2014年09月02日



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お釈迦様『大集経』法滅尽品より

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東西南北の国王が互いに戦争をし、侵略を行う。
虚空中に大音声が響き渡り、大地が震える。
悪疾が次から次へと流行する。
太陽と月は光を失い、星の位置が変わる。
白い虹が太陽を貫く凶兆があると、大地は振動し、水は涸れ、不時の暴風が起こる。







 



ロシアに実在する「自動核報復攻撃装置」で思い出すこと

最近、ロシアとウクライナとか、あるいはそれと関係した報道に、やたら「」という言葉が出てくるようになった気がします。

下の記事は 8月 31日の読売新聞の記事の後半部分の抜粋です。


「露は最強の核大国」プーチン氏、若者に語る
読売新聞 2014.08.31

ロシアのプーチン大統領は29日、モスクワ近郊で開いた若者との対話で、ウクライナ政府を支持する欧米諸国に対抗する姿勢を改めて示し、「自国の安全を守るため」として軍事力を強化する方針を強調した。(中略)「ロシアは最強の核大国の一つであり、核の抑止力と戦力を強化する」と述べ、欧米をけん制した。



海外の記事ともなると、下のような直情的な写真を使ったものなども散見します。

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▲ 2014年8月31日の Daily Beast より。


最近のこれらのような報道にある、関係者の人々の発言などを見ていて、今年春頃、ロシアの国営テレビのキャスターが自分のニュース番組で、「ロシアは米国を放射能の灰にできる」と述べた、という報道があったことを思い出しました。

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▲ 2014年3月17日の AFP 「ロシアは米国を放射能の灰にできる」国営TVキャスターが発言より。


抜粋しますと、下のような記事でした。


国が運営するロシア第1チャンネルのニュースキャスター、ドミトリー・キセリョフ氏は、毎週日曜に放映される自分のニュース番組で、「ロシアは現実的に米国を放射能の灰にする能力を備えた世界でただ1つの国だ」と語った。

キセリョフ氏はまた、「敵の核攻撃を受けた後、われわれの司令部の人員全てとの連絡が途絶えたとしても、システムは自動的に、地下施設や潜水艦からミサイルを正確な方角に発射する」と述べ、ソ連時代に使用されていた自動反撃システムが現在も運用されていることを示唆した。


ということを言っていたそうなのですが、この、

「ソ連時代に使用されていた自動反撃システムが現在も運用されていることを示唆した」

というフレーズを読み返した後、久しぶりに、スタンリー・キューブリック監督の1964年の映画『博士の異常な愛情』の DVD などを深夜見ていました。若い頃からこの映画は数限りないほど見ているのですが、何度見ても新しい面白さを発見します。

ところで、『博士の異常な愛情』と書きましたけれど、実際のタイトルは、 Wikipedia の下にありますように非常に長いタイトルの映画です。

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これは監督が各国版の公開に関して、原題の英語表記の「直訳」以外は認めないところからきたものですが、そのことはともかく、スタンリー・キューブリック監督の作品で、私個人が最も好きな作品でもあります。

そして、この映画は、ただ面白いだけではなく、

相互確証破壊

という概念を軸にして書かれたストーリーを映画化したものなのです。




デッドハンドとドゥームズデイ・デバイス

「相互確証破壊」などというのは、異常に難しい漢字の連なりですが、 Wikipedia の説明では、以下のようになります。


相互確証破壊は、核戦略に関する概念・理論・戦略。

核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し核兵器を使用した場合、もう一方の国が先制核攻撃を受けても核戦力を生残させ核攻撃による報復を行う。

これにより、一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証するものである。



これでも、まだわかりにくいですが、簡単に書きますと、

「やられたら、必ず、やり返す」

という規定がある場合、

「どちらからの先制攻撃であろうと、どちらの国も完全に滅びる


という意味のものです。

上で、ロシアのニュースキャスターが言っていた、

「ソ連時代に使用されていた自動反撃システム」

という概念もこれと関係したものだと思われます。

しかし、これがいわゆる「デッドハンド( Dead Hand / 死者の手)」と呼ばれる、ソ連時代から実在する自動報復システムのことなのかどうかわからないですが、一応、この「デッドハンド」についての説明を抜粋いたしますと、


旧ソビエト連邦およびロシアでは、米国の先制核攻撃により司令部が壊滅した場合に備え、自動的に報復攻撃を行えるよう「Dead Hand(死者の手)」と呼ばれるシステムが稼動している。

これはロシア西部山中の基地に1984年から設置されているもので、ロシアの司令部が壊滅した場合、特殊な通信用ロケットが打ち上げられ、残存している核ミサイルに対し発射信号を送ることで米国に報復するものである。



このデッドハンドは、現在のロシア連邦のひとつ、バシコルトスタン共和国にあるメジゴーリエ市( Mezhgorye )という「閉鎖都市」(外部の者は出入りできない秘密都市)の近郊にあるヤマンタウ山の地中深くに現存するという主張もあります。

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▲ ヤマンタウ山。Secret Bases Russia より。


ロシアの国営テレビのキャスターが言っていたのが、このデッドハンドかどうかわからないと上に書きましたが、その理由は、英語版の Wikipedia によりますと、「現在も稼働しているかどうかは不明」らしいからです。

ただし、2009年の米国ワイアードの「ソビエトの黙示録的な皆殺し装置の内幕」という記事では、その時点で、デッドハンドは存在し、また、自動報復の機能も生きており、さらに「アップグレード」も続けられていると記されていました。

doomsday-machine.gif
・ Wired Inside the Apocalyptic Soviet Doomsday Machine


上のワイアードの記事のタイトルの中に Doomsday Machine とあり、これを私は「皆殺し装置」と書いていますが、この Doomsday という単語の意味は、辞書的には、

最後の審判の日

とか

この世の終わり

を意味する言葉であり、決して「皆殺し」という意味ではないですが、どうしてそうしたのかといいますと、それが、先ほどのスタンリー・キューブリックの『博士の異常な愛情(以下略)』に出てくる、ソ連の自動報復装置である Doomsday Device (ドゥームズデイ・デバイス)の日本語字幕を

「皆殺し装置」

という字幕にした日本語字幕陣のセンスに敬意を表してのものです。

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・『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』のシーンより。


そして、この『博士の異常な愛情(以下略)』のストーリーは、「相互確証破壊(やられたら相手も滅ぼす自動機能)」が、

機能してしまった

というものなのですね。

相互確証破壊(お互いの国同士)というより「無差別に全世界に死の灰を降らせる装置」が自動で作動してしまうというものでした。

その重いテーマを、キューブリック監督は最上の「喜劇」としての作品に仕上げたのでした(実際に、映画芸術の遺産の保護を目的とする機関「アメリカン・フィルム・インスティチュート」が2000年に選出した「アメリカ喜劇映画ベスト100」において、『博士の異常な愛情』は第3位となっています)。

しかし、このテーマ、映画では喜劇にできても、現実で喜劇にできるかどうかは何とも言えないところです。




「起きなかった」1983年の核戦争の報復攻撃

『博士の異常な愛情(以下略)』に描かれるような相互確証破壊、というか、つまり「偶発的核戦争」に関しては、実は今から 30年ほど前の 1983年に、

起きる寸前までいった

という出来事がありました。

これについては、 スタニスラフ・ペトロフ - Wikipedia に詳しいですので、そちらを読んでいただきたいと思いますが、最初の部分を抜粋いたしますと、


スタニスラフ・ペトロフは、ロシア戦略ロケット軍の元中佐。

1983年9月26日、ソ連軍の標準的な服務規程を逸脱し、監視衛星が発したミサイル攻撃警報を自ら誤警報と断定した。

複数の情報源によると、この決断はアメリカ合衆国に対する偶発的な報復核攻撃を未然に防ぐ上で決定的な役割を果たした。

監視衛星の警報システムに対する調査により、システムは確かに誤動作していたことがその後判明した。以上より彼は核戦争を未然に防ぎ「世界を救った男」と呼ばれることがある。


という出来事でした。

しかし、同じページには、

この事件は冷戦時代に戦略核兵器を扱う軍によって為された幾つかの際どい判断の1つである。

ともあり、その誰かの判断が「少し違っていたら」、自動装置による報復攻撃や、あるいは第三次世界大戦となっていったような「小さな事件」は本当にたくさんあったようです。

ちなみに、「世界を救った男」スタニスラフ・ペトロフがその後、ソ連から受けた仕打ちは、以下のようなものだったようです。


あわや核惨事に至るところをコンピュータシステムの警告を無視して防いだにも関わらず、ペトロフ中佐は彼が核の脅威に対処したやり方を巡って抗命と軍規違反の咎で告発された。

彼は重要度の低い部署に左遷され、やがて早期退役して神経衰弱に陥った。



現在は、日本円で月2万円程度の年金で暮らしているそうです。

もちろん、この話には懐疑論もありますけれど、これが事実か事実ではないかということは別にしても、「起き得る」ことであることもまた明白です。

特に多くの軍事システムがコンピュータ制御により自動化している現在では、(サイバー攻撃や単純なプログラムミスも含めて)以前より危険性は大きくなっているようにも思います。

以前、

アメリカ国防総省の機関がサイバー戦争での自動対応プロジェクト「プランX」構想を発表
 2012年08月23日

という記事で、アメリカで「サイバー戦争の自動報復システム」が着々と構築されているというようなことをご紹介したことがありますけれど、なんとなく、全体的に、このような「自動応答」だとか「自動報復」だとか、そういうようなものは、むしろ増えていっているのかもしれません。

すべてを意図的に進めたいというような陰謀論的な存在があったとしても、その意図を無視するかのように、いつでも確実に存在するのが「ミス」だったり「勘違い」だったりするものでもあります。

今は、いろいろな国がいろいろな緊張を高めたり、非難し合ったり、実際に殺戮がおこなわれていたりしますけれど、それぞれの指導者は「何らかの自信」を持っているかもしれないですが、それが結果として『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』のような「結末」を迎える可能性というのもないではないのだろうなあ、と思います。

今年の秋は何となく戦争や自然災害に対して不安な気分が強いです。


参考までに、映画『博士の異常な愛情(以下略)』で、ソ連大使から「皆殺し装置」の話が出る場面の台詞を記しておきます。場所は、政府と軍部高官が軍事に関しての国家最高機密ランクの会議をするウォールームです。




スタンリー・キューブリック『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964年)より

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ソ連大使  「皆殺し」装置
米国大統領 「皆殺し」装置?
ソ連大使  地球上の生き物を残らず死滅させる兵器です
米国大統領 生き物を残らず?
ソ連大使  それが爆発すると大量の死の灰が生まれ、10ヵ月で地球の表面は月のように死んでしまう
陸軍将軍  そんなバカな事が。どんな死の灰も2週間で安全になる
ソ連大使  コバルト・ソリウムGを知らないな?
陸軍将軍  何だそれは
ソ連大使  その放射能半減期は93年だ。100メガトン級の水爆50個をこれで包めば、その爆発で地球は皆殺しの衣に包まれる。死の雲が地球を取り巻くのだ。放射能が93年も
陸軍将軍  共産国一流のはったりだろうが
米国大統領 どうも分からんね。攻撃されたら爆発させると首相が言ったのか
ソ連大使  違います。正気の人間にはできません。皆殺し装置は自動装置で爆発します
米国大統領 解体すればいい
ソ連大使  それはできません。解体しようとするだけで爆発してしまいます
米国大統領 正気じゃない。なぜそんなものを作ったのだね
ソ連大使  反対もありましたが、結局これが一番経済的だと分かったのです。「皆殺し」計画は軍事費1年分より安上がりなのです。それにアメリカも同じ物を作っているそうではないですか。「皆殺し」格差は困る
米国大統領 そんな計画は承認していない
ソ連大使  ニューヨーク・タイムズで読んだ
米国大統領 ストレンジラブ博士! 本当にそんなものを作っているのか
ラブ博士  大統領。兵器開発局の長官として、私に与えられた権限に基づき、昨年、ブランド社へ同種の兵器研究を依頼しました。その報告による私の結論では、これは戦争抑止に役立ちません。理由は今や皆さんにも明白でしょう。
米国大統領 では、ソ連には実在すると思うかね
ラブ博士  その製作に必要な技術は極めて簡単で、弱小な核保有国にさえ可能です。作ろうという意志さえあれば
米国大統領 しかし、起動が完全自動で、しかも解体不能なんて可能なのかね
ラブ博士  それは可能だし、また絶対に必要な機能です。それがこの装置の第一条件ですから。抑止力とは敵に我々を襲う事を恐れさせる技術です。ですから、その爆発を完全に機械に任せれば、人間的な失敗は排除できる。「皆殺し」装置の恐るべき点は、その簡単さと、完全に非情な正確さにあります
米国大統領 しかし、どのように自動的に爆発させる
ラブ博士  それは驚くほど簡単です。地下に置く限り、どんな大きな爆弾でもできる。それが完成したら、巨大コンピュータ群に接続する。次に爆発させるべき状況を分析し、明確かつ詳細に定義の上で、プログラムに組み、保存させる。・・・しかし、 「皆殺し」装置の威力を発揮させるためには、その存在を公表しなければならない。なぜ黙っていた!
ソ連大使  月曜の党大会で発表の予定だった。首相は人を驚かすのが趣味だ