▲ 2014年9月30日の Design&Trend より。
世界中で増加が止まらない拡がる「うつ病」
確かに不安な時代です。
いろいろな事件や出来事が続きます。
しかし、最近の私は、そういう具体的なものではない、近年感じたことのないような「漠然とした不安感」に常に縛られています。
そのうちのいくつかは、自分の家族のことなど個人的なことだとしても、心の中の何割かを占めているものは「何に対して抱いているのかわからない曖昧な不安」なのですね。
ところで、冒頭の報道は、サンディエゴ州立大学が、アメリカ全土の 690万人を対象にした、大規模な調査の結果、
アメリカのうつ病の症例は過去数十年で最大の率に達した
ことがわかった、ということを紹介している報道記事です。
1980年代と比較すると、現在のアメリカでは非常に多くの若者たちがうつ病の治療を受けていること。また、若者の 74%が睡眠障害を持っていること、アメリカの大学生の 50%が、精神的抑うつ状態にあることなどがわかったというものです。
これの重要な部分は、高齢者ではなく、「若者」であるという点です。
特に「大学生の2人に1人」がうつ病か、あるいは何らかの精神的葛藤を持つという調査結果に、研究者たちが大変に驚いたことなどが書かれています。
ところで、この「うつ病の急速な増加」はアメリカだけなのでしょうか。
ヨーロッパの場合
▲ 2014年9月29日の Parliament Magazine より。
上の記事はタイトル通り、EU 諸国全体で、3000万人もの人びとが、うつ病を患っていることが調査によりわかったというものです。
日本の周囲の国も同じです。
韓国の場合
▲ 2014年9月15日の Ajunews より。
中国の場合
人口が多いだけにさらに規模が激しくなります。
新唐人テレビの報道です。
中国のうつ病患者は 9000万人
新唐人テレビ 2014.03.31
カナダ大学の学者、マイケル・フィリップス氏は2009年、医学雑誌「ランセット」で、中国でうつ病の発生率は6.1パーセント、つまり患者は9000万人に達すると指摘しました。
「北京心理危機研究と関与センター」によると、中国では毎年、28万7千人が自殺で亡くなっており、そのうち63パーセントが精神障害があり、40パーセントがうつ病でした。
WHOによると、うつ病はすでに中国の2大病の1つになっています。
ちなみに、 WHO の報告では、全世界で 3.5 億人がうつ病を患っているとされています。「全世界」という規模で、その数が正確に出るというものでもないでしょうが、目安としては、
現代の地球は「数億人のうつ病」の人びとの存在がある
ということになり、こういう数値にあや取られた惑星というのは、確かに、「パラダイス」というような概念とはほど遠い場所ではありそうです。
ところで、「日本」。
日本のうつ病発生率はどのようなものかというと、少なくとも公的な発表では、アメリカやヨーロッパ、あるいは中国などと比べると格段に「低い」のでした。
厚生労働省の特集ページには下のように書かれてあります。
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「うつ病」より
厚生労働省が実施している患者調査によれば、日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています。
少しデータが古い点はありますが、それはともかくとしても、うつ病患者数は増えてはいますけれど、人口比を考慮しても、欧米や中国などから見ると格段に低いです。
ちなみに、2012年のデータですが、米国ワシントンポストに掲載されたオーストラリアのクィーンズランド大学による調査による「うつ病の発生比率の比較」では、下のようになっています。
・Washington Post
これは、赤くなればなるほど、うつ病の罹患率が「高い国」となり、青くなればなるほど「低い国」ということを示します。
ということは……なんと、ここまであげたすべての国々、つまり、アメリカや EU 諸国や中国などは、
「こんなにうつ病患者が多いのに、比率としては世界で少ないレベル」
であることを知ります。
そして、上のワシントンポストの記事には以下のような下りがあります。
想像もしていなかったですが、日本は世界で最もうつ病が少ない国なのだそうです。
多いのは、アフガニスタン、ホンジュラス、そして、パレスチナ自治区、中東諸国、北アフリカ諸国などとなっています。これらの国の臨床データの信頼性は今ひとつわからないですが、アフガニスタンでは、成人の「 20%」がうつ病と診断されているそう。
しかし、後述しますが、日本では、そして、アメリカでもヨーロッパでも、「 1999年」からうつ病患者が急増しています。
もうひとつの地図での日本の数値
ところで、上の地図を見ると、日本は精神疾患的に良好な様子を反映している地図のように見えますが、もうひとつの地図を見ると、「日本人の複雑な状況」がうかがえます。
・THP
この地図は、「赤で塗られた国」は人口 10万人に対して 15人以上の自殺者のいる国を示していまして、日本はその中に見事に含まれています。日本は、10万人中の自殺数が 18.5人で、高所得国の人口 10万人当たりの人数ではワースト4位だそう。
なお、この 2012年の時点で、 WHO の報告では、世界全体での自殺での死亡者は、80万人に達するとのことで、主な国の実数は以下の通りとなっています。
・インド 25万 8075人
・中国 12万 730人
・アメリカ 4万 3361人
・ロシア 3万 1997人
・日本 2万 9442人
インドの 25万人はすごいですが、人口比で考えると、実際にはどの国もさほど差はないようにも見えます。
まあ、この問題はともかくとして、うつ病の話に戻ります。
うつ病が増えた本当の原因は「うつ病を治す薬」かもしれないという現実
先日、
・抗うつ剤に頼る米国、いまや服用者が3000万人
JBPress 2014.09.16
という記事を目にしました。その内容はともかく、上の記事のタイトルそのものが、「うつ病と抗うつ剤の関係の現実」を現しているかもしれません。
つまり、
うつ病の薬が本当によく効くものであるならば、本来なら、うつ病の患者はどんどん減っていくのが正しいはずなのに、実際には薬の普及と共に、うつ病患者がどんどん増えている
という「現実」です。
上では「抗うつ剤」としていますが、アメリカでは今では抗うつ剤といえば、多くの場合は、 SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というカテゴリーの薬を指します。
15年以上前のことですが、長くアメリカで住んでいて、帰国したばかりの女性と知り合ったことがあります。
彼女は、アメリカの Yahoo! の創設期のメンバーという、なかなか華々しい方なのですが、アメリカでうつ病とパニック障害を同時に起こしてしまい、日本に帰国した時に出会いました。
彼女はアメリカで SSRI の「プロザック」(日本では未承認薬)を処方され、それは確かに劇的な作用を彼女にもたらしたわけで、つまり、パニック障害やうつ病に非常によく効いたのだそうですが、
「劇的な副作用」
も同時に体験したそうです。
プロザックを含む SSRI は、アメリカでは非常にポピュラーで、テレビで CM もやっているそうで、成人なら誰でも手に入れることができるはずです。ただし、薬効はあるとしても SSRI には「それ以上の問題」が存在する可能性があります。
副作用というだけではなく、もう少し厄介な話です。
この SSRI は、こちらのページによりますと、日本では 100万人以上の人が服用しているそうです。
この 100万人という数が正確なものかどうかということはともかく、「非常に多くの日本人が SSRI を服用している」ということを意識しながら、次の文をお読みいただくと、そこに存在するものが少し想像できるかと思います。
これは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬 - Wikipedia の中にある精神科医の冨高辰一郎さんという方の著作『なぜうつ病の人が増えたのか』にある記載を記したものです。
うつ病が 20 世紀になって増加しているが SSRI の普及と軌を一にする。SSRI という薬価が高いうつ病の薬が販売されると世界各国で軒並みうつ病患者が増える。 SSRI の導入後、6 年間でうつ病の患者が 2 倍に増えるという経験則がある。
> SSRI の導入後、6 年間でうつ病の患者が 2 倍に増えるという経験則
とありますが、それだと「うつ病の治療薬などではない」ということになってしまいかねないですが、いくつかの関係したグラフを見てみようと思います。
なお、私は SSRI を非難したり糾弾したりする意志はありません。
なぜなら、この SSRI で助かっている人がたくさんいるのもまた事実だからです。
ただし、これらのグラフのような現実があることもまた事実です。
・うつ病薬害と自殺のグラフ最新2013年
SSRI は薬価が従来の抗うつ剤より高いために、 SSRI が発売された 1999年以来、製薬会社の売り上げは上のグラフのように、急速に伸びました。
そして、ここが大事なのですが、
「 SSRI がうつ病に効果があるのなら」
「その 1999年から、うつ病患者は減っていったはず」
と誰でも思います。
しかし、そのあたりの現実は下のグラフにあらわれています。
・抗うつ剤とうつ病患者
このグラフから、
抗うつ剤 SSRI の売り上げが増えれば増えるほど、うつ病が「増えた」
という事実がわかります。
これは日本だけではなく、世界中の、特に先進国で同じような状態だと思います。
そして、その結果かどうかはわからないですが、自殺者も増え続ける。
2012年の1年間の世界での自殺者数を示す 80万人という数は、決して少ない数ではないですが、これが今後さらに増える可能性もあるのかもしれません。
もちろん、上のグラフの因果関係には、他の要因もあるかもしれないですが、仮に、他の要因があるにしても、
「うつ病を治す薬としての意味」は抗うつ剤 SSRI には見当たらないかもしれない
ということは私にもわかります。
ちなみに、 SSRI だけではなく、他の種類の抗うつ剤も含めてですが、かつては、うつ病の知り合いが結構いましたけれど、薬で完治したという人に会ったことは1度もありません。
なお、「完治」というのは、「もう薬を飲まなくてもいい状態となる」ことです。
これは他のどんな病気にも当てはまる概念だと思います。
つまり、薬を飲み続けているうちは、それは完治とはいいません。しかし、うつ病を含む、あらゆるメンタルヘルス系の病気では「場合によっては一生、薬と付き合う羽目になる」という人は決して少なくありません。
私もそういう1人かもしれません。
なお、上で少しふれました精神科医の方の書かれた『なぜうつ病の人が増えたのか』のAmazon のページの書評に下のような投稿がありました。
うつを発症し、11年になる知人がいます。
「うつは心の風邪で、最近はSSRIといういい薬もできた。早く治療すれば、すぐによくなる」
著名な精神科医の本にはそう書いてありました。
知人は友人のつてで紹介状を書いてもらい、その医師にかかるようになりました。
あれから11年。いまだに治らず、現在、休職中です。
上の人は「 11年間、一種の薬漬けになっている」ということが言えます。
この薬漬けの人口が増えれば増えるほど、特にうつ病の場合は自殺にも結びつきやすく、まさに「若年層や壮年期の人口減」へとつながっていくことでもあり、最近よくテーマとする「大量死の時代」という概念にも多少重なる部分があります。
現代の十戒ジョージア・ガイドストーンに加えられた「2014」と「人口5億人」の関係
アメリカのジョージア州に「ジョージア・ガイドストーン」と呼ばれる「碑」があります。
これに関しては、Google でジョージア・ガイドストーンと検索すると、いろいろなページが出ると思いますが、陰謀論的な話と絡めて語られることの多いものです。
上のような石碑で、現代の十戒とも呼ばれる「 10のメッセージ」が、
・アラビア語
・ヘブライ語
・ヒンディー語
・スペイン語
・英語
・ロシア語
・中国語
・スワヒリ語
・サンスクリット語
・古代ギリシャ語
・エジプトのヒエログリフ
・バビロニアの楔形文字
で書かれているものです。
ちなみに、日本語はありません。
これが、陰謀論的な話と絡めて語られることの多い理由は、10のメッセージの最初が、
1. 自然界の永久の調和として、人口5億人を維持しよう。
で始まるものだからのようです。
他は、
2. 優性と多様性を賢く用いて、人口の再産を導こう。
3. 生ける新たな言語で、人々を統合しよう。
4. 情熱・信頼・伝統と調律された理性による全てを支配しよう。
5. 公正な法律及び正しい法廷で、人々と国家を保護しよう。
6. 全ての国家は世界法廷において、国家間の紛争を内面的に解決しよう。
7. 取るに足らない法律、及び無駄な公務員を減らそう。
8. 個性の調和は、社会的な義務によって正す。
9. 真実・美・愛情・無限の神に基づく、調和を求め続けることを称えよう。
10. 地球の癌にはならないで、自然のための場を残そう。
(訳はジョージア・ガイドストーン 〜現代の十戒?〜より)
と続きます。
今から 34年前の 1980年に完成したこの石碑の存在の意味はよくわからないのですけれど、最近この石碑に、下のブロックが加えられました。
・Beforeitsnews
意味としては「 2014 年」と解釈するのが最も理解しやすい数字です。
この部分は以前は下のようになっていた部分のようです。
そして、巷では、
「 2014年にこの十戒の1番目が始まるのではないか」
というようなことを囁く人もいるようです。
つまり、1番目というのは「人口5億人を維持しよう」というやつですね。
とはいっても、石碑に「2014年」という数字が入れられたことに意味があるかどうかはわかりません。意味があるのかもしれないし、単なるイタズラかもしれないし、それはどうにもわかりません。
まあしかし。
陰謀論的な話を持ち出さなくとも、起きる時は何でも起きるでしょうし、上の数のような人口となる可能性は今の地球には溢れています。
人間の策略がなくとも。