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2014年11月28日



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感謝祭の血塗られた意味を知るうちに蘇った「ソルジャ・ーブルー」のトラウマ



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▲ 2014年11月28日のイラン国営 Press TV より。11月第4木曜日の「感謝祭」と同じ日におこなわれる「全米哀悼の日」の行進をおこなう人たち。上の写真の旗には、「私たちは消滅していない。私たちは征服されていない。私たちはこれまでと同様に強い」と書かれてあります。






 


感謝祭は誰が何に感謝しているのか

アメリカのサイトでは、昨日あたりからやたらと「 Thanksgiving Day」という単語が出ていて、これは日本語では「感謝祭」ということになるのでしょうけれど、

「そもそも感謝祭って何だっけ? 何に感謝してるんだ?」

というように、アメリカの感謝祭について何も知らないことに気づきます。

私は「神とかそのあたりに感謝しているというような行事なのかな」というような曖昧なイメージしか持っていませんでした。感謝祭 -Wikipedia には、

感謝祭の起源として一般に信じられているのは、イギリスから現在のマサチューセッツ州のプリマスに宗教的自由を求めて移住して来たピルグリムと呼ばれる入植者の一団が、本国から持ってきた種子などで農耕を始めたところ、現地の土壌に合わず飢饉による餓死者まで出したところ、アメリカ先住民の助けにより危機を脱したので、その感謝を表す目的で1621年に先住民を招いて収穫を祝う宴会を開いたことである。

とあります。

要するに、現地のアメリカ先住民の助けで収穫ができたことを、白人と先住民が共に祝ったことが起源だと。

下の絵画のような 1621年のお祝いが起源だということのようです。

The_First_Thanksgiving.jpg

▲ ジーン・レオン・ジェローム・フェリス( Jean Leon Gerome Ferris )という画家が 1899年に描いた『最初の感謝祭( The First Thanksgiving )』。白人と先住民が仲良く宴会をしています。


しかし、上の Wikipedia の表記の中に、感謝祭の起源として「一般的に信じられているのは」と書かれているということは、歴史的に確定した何らかの出来事を記念する行事ではないということを示している部分もありそうです。

そして、長い感謝祭の Wikipedia ページの下のほうには、以下のような項目があります。

インディアンにとっての感謝祭

一方、インディアン達は「感謝祭」は、この日を境に先祖達の知識や土地がヨーロッパからの移民達に奪われた、「大量虐殺の始まりの日」としている。

ニューイングランドのインディアン部族が結成する「ニューイングランド・アメリカインディアン連合」は、この「感謝祭」にぶつけて同じ日に、「全米哀悼の日」としてデモ抗議を毎年行い、喪服を着て虐殺された先祖達に祈りを捧げている。

とあり、どうやら、アメリカでの一般認識と、アメリカ先住民たちの間では、対極したとらえ方のある記念日でもあるようです。

ちなみに、インディアン部族の同盟であるユナイテッド・アメリカ・インディアン・オブ・ニューイングランド( UAINE ) - Wikipedia を見ますと、

1970年、彼らは、全米を挙げて11月に行われる、ニューイングランドのプリマスに上陸した白人たちの「上陸記念感謝祭」に対する抗議運動である、「全米哀悼の日」を行って注目された。

この抗議デモは今日まで毎年、「上陸記念感謝祭」の日にぶつけて行われている。

とありまして、ここに「上陸記念感謝祭」という言葉が出てきます。

どうやら、白人側から見ても、アメリカ先住民から見ても、この

「イギリス人清教徒がアメリカ大陸に上陸した日」

ということが感謝祭に直接結びつく歴史上の出来事だったように思えます。

そして、その白人側の主張(現在のアメリカの一般的認識)は、

現地のインディアンと神の助けによって、白人が最初の収穫を得た記念日。

であるのに対して、アメリカ先住民から見れば、

インディアンの伝統の地にイギリス人が入り、彼らによるインディアンの虐殺が始まった日。

という追悼の記念日というようになっているようです。

ちなみに、この「感謝祭の起源」となったピルグリム・ファーザーズという清教徒(ピューリタン)の「感謝の後の行動」は、ピルグリム・ファーザーズ - Wikipedia によりますと、以下の通りです。

ピルグリムはまず1630年にマサチューセッツ族の領土に進入。ピルグリムの白人が持ち込んだ天然痘により、天然痘に対して免疫力があまりなかったマサチューセッツ族の大半は病死した。

1636年には1人の白人がピクォート族に殺された事が切っ掛けでピクォート戦争が発生。ピルグリムは容疑者の引き渡しを要求したがピクォート族がそれに応じなかったため、ピクォート族の村を襲い、大量虐殺を行った。


このピクォート戦争 - Wikipedia よりは実質的に「民族浄化」(特定の民族集団を強制的にその地域から排除する方策)だったようで、

> 村は一方的に破壊され、400人から700人のピクォート族が殺された。その多くは女性や子供など非戦闘員だった。

とあり、そして、逃げたピクォート族もほぼすべて捕まり、

> 白人侵略者たちによって殺され、ニューイングランド周辺やバミューダ諸島に奴隷として売り飛ばされた。

という記述が続きます。

ううう……この、いわゆるインディアン戦争のことを書いていたら、気分が悪くなってきた……。これはあれだ……あのトラウマだ……。




9歳頃に見てしまった『ソルジャー・ブルー』に対してのトラウマ

この「インディアン戦争」に関して、強く記憶に残っているのは、小学生の時に『ソルジャーブルー』という 1970年公開のアメリカ映画がテレビで放映されているのを偶然見てしまったことです。

まだ小学3年か4年くらいだったと思うのですが、ラストのほうのシーンで、白人たちの騎兵隊がインディアンの村を襲い、人々を虐殺しまくり、女性は徹底的に陵辱されて殺される。

あの様子は今でも悪夢のように頭に焼き付いています。

Soldier-Blue.jpg
・ソルジャー・プルーのDVDジャケット。 IMDb より。


その頃、私はたまに「夜驚症」というものになっていて、これはメルクマニュアル医学百科の説明をお借りしますと、

夜驚症は眠りについてからあまり時間が経たないうちに、極度の不安から目覚めてしまうことですが、完全に覚醒しているわけではありません。夜驚症が起きるのはノンレム睡眠時で、3〜8歳に最も多く起こります。

小児は悲鳴を上げて怖がり、心拍数が上昇し呼吸も速まります。小児は親がいることに気づいていないようです。激しく転げ回ることもあり、なだめようとしても反応しません。小児がしゃべることもありますが、質問には答えられないでしょう。

というもので、上には「小児は親がいることに気づいていないようです」とありますが、「その空間にいながら、別の世界にいる」感じなのです。別の世界で恐怖によって、もがき苦しんでいる。

基本的にその間の記憶はないとされますので(ただ、私は結構覚えていました)、子どもの「夢遊病 + パニック障害」みたいな病気ですが、ソルジャー・ブルーを見てしまったことは……まあ関係ないでしょうけれど、同じような時期でした。

それにしても、いろんな病気をやってますね、私は。

夜驚症は、メルクマニュアルにもありますように、年齢と共に症状は消えましたけど、長い間あのシーンのトラウマがややこびりついていた部分もありますし、そのせいもあってか、大人になってからもこの映画は見直していないんですよね。今後も見ないと思います。

なので、詳しいストーリーとかはよくわからないのです。

この映画は、Wikipedia の説明では、1864年に起きた「サンドクリークの虐殺」という事実を描いたものだそうで、

米国史の暗部を提示することで、1960年代のベトナム戦争でのソンミ村事件へのアンチテーゼを掲げた映画だとも云われている。また、これ以降ネイティブ・アメリカンを単純な悪役として表現することがなくなった。

という映画だそう。

その虐殺がどんなものだったかというと、サンドクリークの虐殺 - Wikipedia の記述では、

サンドクリークの虐殺は、1864年11月29日にアメリカのコロラド地方で、米軍が無抵抗のシャイアン族とアラパホー族インディアンの村に対しておこなった無差別虐殺。

ということで、映画で小学生だった私が見た光景は、1864年12月8日のデンバーの地元新聞『ロッキー山脈ニュース』の以下の下りのようだったようです。

ロッキー山脈ニュースの記事より

インディアンとの大会戦! 野蛮人どもは追い散らされた! インディアンの死者500人、わが軍の損害は死者9人、負傷者38人!

血も流さぬ第三連隊は、ミズーリ西で、野蛮人を相手にこの上ない大勝利をおさめた。わが軍はこの部族を完全粉砕したから、もう入植者が奴らに悩まされることは無いだろう。

ああダメだ。こんなのコピペしていたら吐き気がして具合悪くなってきた。『ソルジャー・ブルー』の記憶恐るべし。


それにしても、アメリカの祝日は「血と虐殺の祝日」が多いですね。


この「アメリカ先住民の虐殺のスタイル」を確立したのが、コロンブスで、そのことについては、過去記事の、

虐殺の祝日コロンブス・デー:彼らは「理想的な人類像」を破壊し、そしてそれは「4回続く皆既月食」の渦中で起きた
 2014年10月14日

の中に書いたことがあります。

それでも時は過ぎ、数百年後の今、感謝祭はアメリカの大きな祝日となっています。

そして、この感謝祭は別名「ターキー・デー」と言われるように、家族や知人と共に七面鳥を食べるということが習慣になっています。




それから400年後の感謝祭に消費される4千万羽の七面鳥

turkey-pack.jpg
Times Union

この感謝祭の「1日」だけで食べられる七面鳥の数をご存じでしょうか。
下は 2012年の記事ですが、今でもそれほど変わらないと思われます。

【ターキー】感謝祭に4,600万羽が消費!
 激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ 2014.11.22

アメリカ農務省によると、昨年1年間にアメリカ国内で2.48億羽の七面鳥が飼育され、そのうち90%が国内で消費されている。消費量別にみると、イースターのターキー消費量は1,900万羽、クリスマスが2,200万羽、そしてダントツの消費量となるのが11月の第4木曜日の祝日「感謝祭」だ。

感謝祭の1日だけで全米の食卓に上がるターキーは約4,600万羽にもなる。感謝祭に向けて購入されるターキーの平均重量は16ポンド(約7.3キロ)にも及ぶのだ。

感謝祭の日だけで4千6百万羽!

1年の合計だとアメリカだけで2億羽以上の消費! 

日本では七面鳥を食べる習慣がほとんどないので、私も食べたことがあるのかないのかわからないほど馴染みがないですが、習慣とはいえ、1日でのこの消費量はすごい。

肉……。

ちょっと気になって、「アメリカの肉の消費」を調べてみますと、アメリカ人はニワトリもよく食べますね。

下の表はアメリカ農務省のデータを元に作成したもので、1999年のものと古いですが、それほど変化しているわけでもないと思います。

fas-1.gif
チキンQ&A

じゃあ、牛肉。
こちらもアメリカ農務省のデータです。

世界の牛肉消費量(単位は千トン)
beef-01.gif
NOCS

これもダントツの1位ですね。

中国の倍の消費量で、EU 27カ国すべてを上回るというすごさで、日本の 10倍ほどあります。

しかし、人口差(中国約13億、アメリカ約3億、日本約1億2千万)を考えると、日本人は中国人より牛肉を食べているのかも。

世界の豚肉の消費量(単位は千トン)
pork-1.gif
NOCS

豚肉は中国がすごいですね。日本の 20、30倍くらい豚肉を食べてる。
人口差を勘案しても、日本の数倍食べている感じですね。


つーか、なんかこう……国を問わず、何だかみんな肉食べすぎな感じが……。
ちょっと考えちゃう部分もありますね。


何だか話が変な方向にきてしまいましたが、「感謝祭」ということについて、はじめてその「始まりの意味」を知りました。そして、ついでに古いトラウマも刺激されてしまいました。

米軍憎し(何だよ突然)。

ま、それはともかく、今年の感謝祭の日、イランの国営放送プレスTVで「ネイティブ・アメリカンたちにとっての感謝祭の意味」についての記事が掲載されていましたので、ご紹介したいと思います。




Native Americans mourn Thanksgiving holiday
Press TV 2014.11.28


ネイティブアメリカンたちは感謝祭の祝日に哀悼を捧げる


11月27日の感謝祭の祝日の日、マサチューセッツ州のプリマスでは、多くのアメリカ人たちが、17世紀にヨーロッパから入植した白人たちにより虐殺され続けたネイティブ・アメリカンたちに哀しみの意を表した。

このイベントは、「全米哀悼の日」( National Day of Mourning )と呼ばれており、ヨーロッパからの侵略で犠牲となった多くのアメリカ先住民たちへの哀悼の意を示すために、毎年、感謝祭の日におこなわれる。

感謝祭の背後には血塗られた歴史がある。

この「全米哀悼の日」は、1970年にアメリカ先住民族ワンパノアグ族のワムスッタ・フランク・ジェームズ( Wamsutta Frank James )氏が始めたもので、感謝祭の背後にある恐ろしいストーリーだけではなく、現在の米国のネイティブ・アメリカンが直面している問題にも言及する。

現在、感謝祭が白人によるネイティブ・アメリカンに対しての征服と虐殺の祝日であることを認識し始めているアメリカ人たちが増えている。

公式的には、感謝祭は 1621年にプリムスに入植した白人たちの最初の収穫を祝った宴の日にちなんで行われているとされており、毎年、11月の第4木曜日をその国家的な祝日としている。

アメリカ・インディアン・オブ・ニューイングランド連合の前代表マートウィン・マンロー( Mahtowin Munro )氏は、以下のように述べる。

「これまで感謝祭が始まったエピソードは、アメリカで入植者たちとインディアンたちが仲良く宴会を開き、その後もいい友人として生活していった、というような神話が教えられ続けていました。しかし、それは真実ではありません。私たちは、現実には何があったのかを話して、それを伝えていくことが重要だと思っています」

スミソニアン国立博物館の歴史文化の専門家であるデニス・ツォティ( Dennis Zotigh )氏は、「子どもたちと私たちが共有している幸せな歴史認識の半分、あるいはそれ以上の真実を提示します」と言う。

ツォティ氏に「あなたは感謝祭のお祝いをしますか?」と質問すると、

「いえ、私は祝いません」

と答えた。

アメリカ保健福祉省の少数民族事務局によると、アメリカインディアンとアラスカ先住民の 28パーセントが貧困と直面している。また、アメリカインディアン政策研究国民会議( National Congress of American Indians Policy Research )によると 18歳未満のネイティブ・アメリカンの 32パーセントが貧困に苦しんでいる。

「全米哀悼の日」を始めたワムスッタ氏の息子のムーナヌム・ジェイムス( Moonanum James )氏はこう語る。

「私たちがこの日を全米哀悼の日と呼ぶ理由は、巡礼者たちとコロンブスがこの地に上陸した日が、私たちのそれまでの生活がすべて終わった日だからです。土地も何もかも彼らに盗まれた」

ファーガソンで十代の黒人青年を射殺した白人警官に対して大陪審が不起訴処分とした後にミズーリ州のアフリカ系アメリカ人がデモや暴動を繰り返しているが、この日のデモ参加者は彼らアフリカ系アメリカ人との連帯を表明した。



  

2014年11月25日



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Object-2014E-top.gif
Satflare






 


ロシアの目的不明の衛星「物体 2014-28E 」のその後


少し前の、

2014年の終わりまでに開くはずだったマヤ神官の言う「時間の窓」は開かず、ロシア・ウラルの空では人びとが「天空の門」と呼ぶオレンジの光が炸裂する
 2014年11月19日

という記事の後ろのほうで、ロシアから打ち上げられた「かもしれない」目的不明の衛星「物体 2014-28E (Object 2014-28E)」について少しふれました。

この物体は、最初のうちは下のガーディアンの報道のタイトルのような捉えられ方でした。

28e-guardian.gif
Guradian

すなわち、

・宇宙ゴミなどの破片の可能性
・そもそもロシアのものかどうかわからない


などとなっていて、いろいろと不明だったのですが、その後、ロシアから打ち上げられたこと、それが自ら動力を持つ衛星であることなどが確認され、その軌道も特定されました。

現在では、サテフレア( Satflare )という、人工衛星の軌道を追跡できるサイトでの下のリンクから、この「物体 2014-28E」の軌道を確認できます。

Satflare - COSMOS 2499

冒頭に貼りましたように、北米の西海岸沖の太平洋上空から、ロシア西部などの上空を周回しているようです。

ロシア周辺のほうでの正確な軌道は下のようになります。

object-2.gif


その一方で、中国も昨年7月以来、「目的不明の人口衛星」を次々と宇宙空間に打ち上げています。




昨年から続く中国の「目的不明」の衛星の打ち上げ

つい数日前にも、中国の宇宙開発部署「中国航天科技集団公司」が「快舟二号」という、公称の目的は自然災害観測のための地球観測衛星を打ち上げています。

謎に包まれた中国の快舟ロケット、2号機が打ち上げに成功
Sorae 2014.11.23

kuaizhou-2.jpg中国航天科技集団公司は11月21日、地球観測衛星「快舟二号」を搭載した快舟ロケットの打ち上げに成功した。快舟ロケットは昨年9月25日に初めて打ち上げられ、今回が2機目となるが、その姿や性能は謎に包まれている。

衛星「快舟二号」は、災害観測を目的としているということ以外は、姿かたちや性能などは明らかにされていない。

中国はこの2機だけではなく、昨年の7月にも衛星を打ち上げています。

その頃の米国サイト Space.com は「中国の衛星の謎の行動が専門家たちに抱かせる推測」というタイトルの非常に長い記事をリリースしました。

ch-space.gif

▲ 2013年9月9日の Space.com より。


この記事には、たとえば、下の図のような現在(図は2011年時点)のアメリカと中国の測位観測システム衛星の位置状況についての図が示されています。

us-china-satellite-navigation-1.gif


この図のキャプションには、

中国の新しい衛星攻撃兵器(ASAT)のテストは、地球の中軌道に到達する能力を披露した。一部のアナリストは、これはアメリカの全地球測位システムの航行衛星の配置に対してのリスクを持つと強調するだろう。しかし、中国の測位システムも同じリスクを持つことになる。

と記されています。

このあたりのことについては、衛星攻撃兵器 - Wikipedia に、

2013年現在は、中国としても国際的非難を避けるためにあからさまな衛星攻撃兵器の実験はできず、2010年頃から、弾道弾迎撃ミサイルの実験を行っているが、衛星攻撃兵器の実験も兼ねていると考えられている。

とあり、常に「衛星攻撃」という概念を持ちながら、様々な機器の開発を進めているという面はあるようです。

ちなみに、上の写真の左上にある文字を見ますと、アメリカの方には

US GPS

とあり GPS 衛星だとわかるのですが、中国のほうは

Chinese Beidou

とあります。

「 Beidou ナビゲーション・システムって何だ?」

と思って調べてみますと、Beidou は漢字では「北斗」を意味するようです。それで探してみましたら、北斗 (衛星測位システム) - Wikipedia という項目がありました。

北斗衛星導航系統は中華人民共和国が独自に開発を行なっている衛星測位システムである。2012年12月27日にアジア太平洋地域での運用を開始している。中国はアメリカ合衆国のGPSに依存しない、独自システムの構築にこだわってきた。

第二世代のシステムはコンパスまたは北斗-2として知られ、完成時には35機の衛星で構成される全地球測位システムになる予定。


中国は方位測定システムでも、アメリカから離れた独自のものを構築していることを知りました。

私は衛星測位システムはアメリカの GPS に全世界が頼っているものだと思っていたのですけれど、グローバル・ポジショニング・システム - Wikipedia によりますと、独自の衛星測位システムを開発している国はそれなりにあって、

・ロシア(GLONASS / 2011年から稼働)
・インド(インド地域航法衛星システム/一部稼働)
・日本(準天頂衛星システム / 未完成)


などがその試みをおこなっているようです。

他に欧州連動は「ガリレオ計画」という衛星測位システムを開発しているようですが、予算などで厳しい状態のようです。

確かに、戦争をする場合、今の時代ですと、衛星からの位置の正確な把握は大事でしょうしね。

それが、現時点では、基本的に多くがアメリカの GPS に頼っているわけですから、やはり独自のシステムがほしいという考え方はわかります。

さらに、仮に大国間などの大きな戦争になった場合、

「相手の衛星を破壊する」

ということはかなり重要なミッションにもなってくるのかもしれません。

asat1.jpg
Examiner


そのあたりのことなんかもあって、いろいろと騒がしくなっているのかもしれないですね。

しかし、そういう衛星の破壊とかが宇宙空間で広がりますと、少し前の記事にも載せましたけれど、今でさえ1万2000個もの宇宙ゴミが地球の周りを飛び回っているわけで、これ以上増えると、なんだか良くない感じもしないでもないですが。

Space-debris-Objects-in-o-007.jpg


それはともかくとして、上に書きましたようなことがあるのかどうかはわからないですが、ロシアの謎の物体に関しても、中国の目的不明の衛星にしても、「衛星攻撃兵器」のたぐいなのではないかとする見方が西欧では多く述べられています。

どうにも、私たち一般人にはわからないことがたくさん裏では起きているのかもしれないですけれど、とりあえずは、謎のロシアの物体2014-28Eについてのガーディアンの記事をご紹介します。

記事は比較的軽い感じで書かれていて、兵器の可能性もあるにしても、それほど深刻なものではないのではないだろうかというような推測が書かれています。




What is Object 2014-28E – a Russian military satellite or a piece of unidentified debris?
Guardian 2014.11.18


物体2014-28Eとは何か。それはロシアの軍事衛星? あるいは正体不明の破片?


名称:物体 2014-28E( Object 2014-28E )

年代:不明

外観:不明

目的:不明

申し訳ないが、この「物体 2014-28E」についてはほとんど何もわからないのだ。そして、それを特定することは難しい。

わかっていることといえば、軍事通信衛星を展開する使命の一環として、6ヶ月前にロシアから軌道上に打ち上げられたものだということだ。

最初は破片の一部であると考えられていたが、その後、物体2014-28Eは、軌道を周回しだし、他のロシア宇宙艇を訪問し、そして、ついには先週にはロシアの宇宙艇一機と結合した。

最終的に、この物体はが核戦争への策略の一部になるのだろうか。……いや、実際には今回の出来事に悪人が関わっていると考えることは、誇大妄想である可能性が高い。

しかし、そうでない場合、この物体はたしかに戦争用かもしれないと考えることのできるいくつかの推測がある。

その場合は、これはロシアの対衛星兵器に関するもので、そして、これは今までにないまったく新しい何かなのかもしれない。

まったく新しい何かとは?

たとえば、電気系統をすべて無効にする(映画『007 ゴールデンアイ』に出る)ゴールデンアイ・パルス装置とか? それとも、支配者民族が地球の人口構成の再編を行うための準備として、神経ガスを地球にばらまく装置?

しかし、そのどちらの可能性も低い。

多分、これは兵器のたぐいではなく、宇宙ゴミを収集する目的や、あるいは、衛星の修理や補給の目的などを持っているのではないかと思われる。

しかし、ロシアがこの衛星の打ち上げを公表しなかったことは奇妙には感じる。

アメリカと中国はすでに双方が衛星を攻撃するテクノロジーを持っている。さらに、中国は昨年7月に、やや不審に感じる物体を打ち上げた。

なるほど、そういう部分から見れば、あるいは、これらはすべて、宇宙空間での大規模な戦争への準備としての機器の可能性もあるということだろうか。




  

2014年11月20日



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▲ 2014年11月19日のロイターより。






 


休眠までのフィラエの戦い

個人的にはとても嬉しいニュースですが、昨日、ロイターで上の報道を見ました。

現在は太陽電池のバッテリー切れにより、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の上で休眠状態の着陸機フィラエですが、休眠までの 50時間ほどのあいだに大きな仕事を成し遂げ、その後に眠りについたようなのです。

今回は、上のロイターの記事をご紹介したいと思います。

この記事で私が読んでいて嬉しかったのは、彗星探査機ロゼッタのミッションについて、

今回のミッションの大きな目的のひとつが、炭素系化合物を発見すること

だと明記されていたことと、

どのように生命が進化したかという謎を解明するためのものでもあった。

と記されていたことでした。

これまでロゼッタに関して多くの報道記事を読みましたが、着陸に成功したとか、休眠についたとか、そういう事実関係に関しての報道は多くても、「このミッションの最大の目的」に触れているものをあまり目にしませんでした。

しかし、今回の記事で、今回の探査の目的が、「彗星が生命を運搬しているかもしれないという説に対しての検証でもあった」という可能性を含んでいることを理解しました。

ロゼッタが打ち上げられたのは 10年前の 2004年。

2001年に亡くなったパンスペルミア説の主要な提唱者のひとりだったフレッド・ホイル博士の没後3年目にして、多分はホイル博士が生きていれば望んだであろう探査を欧州宇宙機関( ESA )は今から10年も前に淡々とおこなってくれていたのでした。

日本の JAXA や欧州の ESA は、アメリカの NASA に比べれば規模も予算も格段に小さいですが、かつてはともかく、最近での宇宙ミッションの「意義」は、 NASA のおこなっていることの数倍大きいと私は思います。

esa-jaxa-nasa-01.gif
内閣府


上のように、ESA の予算は NASA の3分の1以下、日本の JAXA に至っては、NASA の 10分の 1程度の予算です。

それでも、ESA は今回のように、着陸など失敗した部分も大きかったにも関わらず、

「彗星から地球の生命の構成要素を検出する」

という、地球の生命の起源の根本に迫る可能性のあるミッションを今から 10年前から計画して、部分的に成功させています。また、この「生命の起源を探る」分野では、やはり十分とはいえない予算ながらも、日本の国立天文台が、2010年に、

「地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見」

という、やはり地球の生命の起源に関しての画期的な発見をしています。

このことについては、過去記事、

「生命発祥の要因は宇宙からの彗星によるもの」という学説が確定しつつある中でも「幻想の自由」の苦悩からは逃げられない
 2013年09月18日

の後ろのほうに、当時の新聞記事を記していますが、その読売新聞の記事の冒頭は、

生命の起源、宇宙から飛来か…国立天文台など
読売新聞 2010.04.06

国立天文台などの国際研究チームは、地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見したと発表した。

というものでした。

日本やヨーロッパの宇宙ミッションに携わる人々は「派手な喧伝やポーズのための宇宙計画」ではなく、本気で地球の生命の起源を解き明かそうとしている様子が見て取れるのです。

しかるに、それらと比べてはるかに膨大な予算を使うことのできる NASA が何がしかの人類科学の発展に貢献したことがあったかどうかときたら!

……まあ、こんなことで興奮している場合ではないのですので、ロイターの記事をご紹介します。

今回のフィラエの探査は、彗星の表面しか調査できていない可能性があり、内部を調査できない限り、いろいろと不完全なことは否めませんが、しかし、フィラエが今後再起動する可能性も残っています。いつか、フィラエが、あるいは似た何かのミッションが、彗星の「生命」の報告をもたらしてくれることを期待しています。

ホイル博士に報告と合掌まで。

Sir-Fred-Hoyle.jpg
Scientific American


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Comet team detects organic molecules, basis of life on Earth
Reuter 2014.11.19


彗星チームが地球上の生命の基盤となる有機分子を検出


ヨーロッパの彗星着陸機フィラエは、自身バッテリーが切れるまでの駆動時間に、彗星から炭素元素を含む有機分子を嗅ぎ取ったとドイツの科学者たちは述べた。

この炭素元素を含む有機分子は地球の生命の基盤となっているものだ。

科学者たちは、そこにタンパク質を構成する複雑な化合物が含まれていたかどうかについては明らかにしていない。今回のミッションの大きな目的のひとつが、炭素系化合物を発見することだ。

そして、それらの発見を通して、究極的には、地球の生命は彗星たちによってもたらされたことを突き止めることにある。

フィラエは、探査機ロゼッタに搭載されて、10年の歳月をかけて地球から 67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸に成功した。このミッションは、どのように惑星が形成され、あるいは、どのように生命が進化したかという謎を解明するためのものでもあった。

11月15日、フィラエは自身のバッテリーが尽きるまでの 57時間のあいだ、データを送信し続けた。その後、バッテリー切れによりミッションは終了した。

彗星は太陽系の形成の時代にまで遡るタイムカプセルのように古代の有機分子を保ってきた。

フィラエに搭載されている COSAC ガス分析器は、大気を「嗅ぐ」ことができ、そして、彗星に着陸後のフィラエは最初に有機分子を検出したと、ドイツ航空宇宙センター( DLR )は述べる。

フィラエは着陸後、彗星の表面に穴を掘り、有機分子を獲得したが、しかし、フィラエがその試料を COSAC に送ることができたかどうかは明らかになっていない。

また、着陸船には MUPUS という熱と密度を測定する検査機器が搭載されており、これによると、彗星の表面は以前から考えられたように軟らかいものではないことがわかった。

熱センサーは彗星の表面から 40センチの深さにまで打ち込まれて計測されることになっていたが、ハンマーの設定を最強にしていたのにもかかわらず、これは実現しなかった。

ドイツ航空宇宙センターでは、表面から 10センチから20センチ下に厚い塵の層が存在していると起算し、その層が氷のように硬い物質だったと考えられる。

ドイツ航空宇宙センターで MUPUS 分析チームを率いるティルマン・スポーン( Tilman Spohn )氏は、「これは驚きです。私たちは彗星の地面が、このように硬いものだとは考えてもいませんでした」と言う。

スポーン氏は、彗星が太陽に近づくにつれて、ふたたびフィラエの太陽電池が充填されていった場合、再度、 MUPUS による熱と密度の分析を再開させられることを願っていると述べた。





(訳者注)ここまでです。

昨日の記事で、

「最近は何かこう気持ちがすっきりと晴れる時が少ない」

というようなことを書きましたが、やや鬱っぽい感じも漂う中で多少涙もろくなっているのか、今回のロイターの記事を書きながら、フレッド・ホイル博士の著作の内容を思い出していると、何だか泣けてきて、「泣きながら翻訳する」(苦笑)という珍しい経験となりました。

それはともかく、今回のフィラエは「彗星の形質」についても従来の考え方を覆す発見をしています。

たとえば、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面は、

彗星の表面と少なくともその数十センチ下は非常に硬い物質

であることを示唆しました。

これまでは、彗星表面は軟らかく、それが太陽などの熱でボロボロと剥がれていくのが「彗星の尾」というような感じの考え方だったのですが、それが覆され、彗星は「強固な外壁を持つ」ことがわかりました。

そして、内部からガスを常に噴出していることをロゼッタが観測しています。

この2点だけでも、

彗星が撒き散らしているものは外側のものではなく、内部から噴出しているもの

であることがわかります。

それがわかっただけでもロゼッタとフィラエの成し遂げたことは大きなことだと思います。

今回、フィラエが検出したのは、単なる炭素元素を含む有機分子ですが、フレッド・ホイル博士は基本的には、有機分子だけではなく、

・バクテリア
・ウイルス


が共に彗星によって共に宇宙にばらまかれているとしていました。

そして、大事なことは、ウイルスが「地球の生命の進化に関わっている」と強く主張していた点です。

フレッド・ホイル博士の著作『生命(DNA)は宇宙を流れる』から抜粋します。




『生命(DNA) は宇宙を流れる』 第4章「進化のメカニズム」より

動物、植物からバクテリアまで、およそ生きた細胞でウイルス感染から免れることのできるものはない。

さらに、同じ種に属する個体どうしでさえ、そんな遺伝子の組み換えが起きるのは、かなりショッキングな事態であるのに、ウイルスの中には、トリからサル、サルからヒトなど、異なった動物種への感染を繰り返すものがある。

このような感染のパターンを持つウイルスは、種の障壁を超えて遺伝子を運んでしまう。われわれが、地球の生命を進化させたのはウイルスなのだと考えるのは、ウイルスのこんな性質に着目するからだ。

生物が進化するには、遺伝子が変化する必要がある。

もともときわめて安定している遺伝子が、コピー・ミスによる突然変異を起こしたおかげで優れた形質を獲得すると考えるのは、かなり無理がある。

けれども、ウイルスなら、宿主がそれまでもっていなかったまったく新しい遺伝子を導入することができ、生物の基本的な構造を一新させることもできるのだ。ウイルス感染による遺伝子の移動は、まさに理想的な進化の原動力となりうるのだ。

ウイルスの本質は、もっぱら他の生物に感染して、これを病気にさせたり、死に至らしめることにあるように考えられている。

けれどもそれは、ウイルスが病気の原因となる微生物の一種として発見され、研究されてきたことに由来する偏見である。

ウイルス感染の影響は、細胞破壊だけではない。細胞を壊すかわりに、細胞の代謝や機能を変えたりする場合もあるのだ。

実際、大腸菌に感染するバクテリオファージというウイルスは、感染してそのまま増殖サイクルに入り、菌を殺してしまう場合もあるが、増殖を止めて DNA を大腸菌の染色体に組み込んでしまい、以後、大腸菌の遺伝子と共に、何世代にもわたって安定的に存在し続ける場合(溶原化)もある。

溶原化したファージの中には、大腸菌の形質を変えてしまうものもある。





ここまでです。

私たちはウイルスは単に病気を起こすだけの存在として見がちですが、それは「病気を起こす対象」として研究が進んだためであり、その他の役割について分かりだしたのは、最近のことです。

上のホイル博士の文章にもあるように、希に、ウイルスやバクテリオファージは、対象の生物に入り込んだ後に「 DNA を大腸菌の染色体に組み込んでしまう」というようなことをおこない、その生物の遺伝子を書き換えてしまうこともあるようなのです。

そのようなことを前提として、地球の生命の進化は、

「環境への適応によるものではなく」

「生物の遺伝子そのものがウイルスによって書き換えられる」


ということだとホイル博士らの研究では結論付けられています。

このような種の変化の場合、その生命は、まさに「突然変異的」に遺伝子が変化するのだと思われますが、多分、過去の人類もそのような突然の遺伝子変化を経験して現在に至っているのだと考えますと、これから先にもそれは起きるはずです。

人類の進化が起きるとしても、環境適応の進化ではあまりにもゆっくりとしすぎて、進化する前に地球環境崩壊や、あるいは小氷河期の突入などで、人類文明が終焉してしまう可能性さえあります。

しかし、遺伝子レベルでの「突然」の、そして根本的な人類の変化(進化)が起きるのならば、人間はこの後の厳しいかもしれない未来をも生き抜いていけるのかもしれません。

いずれにしても、今回のフィラエの「休眠前の戦い」に敬意を表し、フィラエがふたたび眠りから目覚めて稼働を始めることを祈っています。



  

2014年11月19日



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▲ 2014年11月18日のロシア E1 より。






 


暗示的な世界に生きている

最近起きる事件の数々が何となく心を落ち込ませるようなものが多いせいだとか、あるいは、自分自身のプライベートのいろいろなんかの理由もあるのかもしれないですけれど、ここ最近は何かこう気持ちがすっきりと晴れる時が少ないです。

うつというほどのものではないですが、視界にも精神にも薄モヤがかかっている感じがします。

こういう気分の上下というものは、自分では環境とか状況に左右されていると思いがちですけれど、過去を振り返ると、それはあまり関係ない場合も多くて、状況より、むしろ「時間的な周期」の中で精神状態の上下があることを思い出します。サイクルですね。

そして、以前、これがわりと多くの人たちが同じような周期で「精神的な上がり下がり」のサイクルを持っているのだなあ、ということをある経験で知ったこともあり、似たようなグループ(?)では「心境や精神は共有されている」と感じることがあります。

読んでくださっている皆様などは最近は精神的にどのような感じですかね?

今年 2013年が始まる時には、「その先の時代がいい方向に行くか、悪い方向に行くかは、今年の方向で決まりそう」などと考えていましたけれど、良くなっている……ようには、どうにも見えない感じもしまして。

昨年の終わり頃に書いた記事、

あと一年くらいの今の世界(1):急速に拡大する新島や、中国の月面探査機のプロモーションで核攻撃を受けているヨーロッパだとか
 2013年12月26日

では、中南米のマヤ族 440部族の長老たちから構成される「マヤ長老評議会」の最高神官ドン・アレハンドロさんが 2008年に語った言葉を引用した以下の文章を載せています。

マヤカレンダーのメッセージとは、ホピ族およびマヤ長老評議会が確定した終末期の開始時期(2007年10月26日)から7年間(2015年まで)に時間の窓が開き、この期間に(再び)物理的なポールシフトが起こるということだ。

2007年 10月から 7年間というと、今はもうその時期を過ぎてしまっているのですよね。

物理的なポールシフトの方はともかく、マヤの最高神官が言っていた、

「時間の窓」

というものに興味がありました。

神官の言う通りならば、今はその「時間の窓」というものが開いているということにもなります。

しかし、そういうようなことが実感できる世界かというと……。うーん。


ところで、上にリンクしましたあと一年くらいの今の世界の中で、中国の無人月面探査機「嫦娥3号」のプロモーションの際に、嫦娥3号の模型の後ろのパネルに描かれている地球の絵の中に「キノコ雲」が上がっている場所があったのです。

nkd-3.gif


これは、黒海などの位置から考えると、ウクライナとロシアの国境あたりなんですよ。

ウクライナの 2014年の状況は、今でも決着のつかないマレーシア機の撃墜事故なども含めて、大変に凄惨なことになっていきましたが、昨年の12月の時点では、ウクライナの問題がその後あれだけ大きくなっていくとは想像もしていませんでした。

しかし結局、振り返ってみれば、この中国の当局が描いた暗示的な地球のイラストは、確かに次の年を示唆していたことを知ります。

しかも、これを最初に報道したのがロシアのロシア・トゥディでした。中国とロシアとウクライナ、という今の地政学的あれこれを代表するような国たちの「未来」を一気に予見していたような出来事だったのかもしれません。当時の記事には下のように書かれてあります。

何のためにこんな奇妙な暗示的な図柄を書き加えているのだかは不明で、それを描いた中国の関係者に対しても、また、それを見つけたロシア人にも、どちらにもやや苦笑した次第でした。

苦笑だけで終わることではなかったようです。

しかも、考えてみれば、これは「中国の国家としてのプロモーション」ですので、地球の絵を描くならば、中国を中心としたデザインで描くのが妥当だと思うのですが、インド洋とアラビア海が中心となっていて、アラビア半島や中東地域がよく目立つ描き方となっています。

やっぱり何だか暗示的ではあります。

あるいは、ここに描かれている地域すべて(東アジアから北アフリカまで)を中国にしたいとか?

この調子では、昨年の記事、

とても驚いた「中国の猫の王様」の事実。そして、そこから見える「私たちの毎日はとても馬鹿にされているのかもしれない」と思わせる今の世界
 2013年12月06日

に書きました、現在の中国の 100人民元に暗示的に描かれている下のような、「猫みたいな姿をした王様に皆がひざまづく」というような状況も現実化してしまったりするのですかね。

china-cat-100.gif


ああ、そういえぱ、上の記事にもウクライナが出てきています……。

ウクライナの通貨単位は「フリヴニャ」というものですが、500フリヴニャ紙幣に、いわゆる「ホルスの目」っぽいものが描かれているのです。

ukrane-bill-03.gif


この「目のマーク」は、アメリカの1ドル紙幣などにもあり、フリーメーソンとの関係を言われることもありますが、古代エジプト文明のシンボルのひとつと考えるのが一般的な気もします。

ちなみに、私はよく理解していないですが、ホルスの目は、「無限級数1/2 + 1/4 + 1/8 + 1/16 + ⋯」というものを現しているということを示唆する図が、ホルスの目 - Wikipedia にはあります。

Oudjat.png
・ホルスの目と無限級数の関係


また、この「ホルスの目」は、人間の松果体を表しているという説もあります。

eye-pine-01.gif


上の過去記事では、フランスの作家ジョルジュ・バタイユの『松果体の眼』という小説の下の文章を抜粋しています。

太陽から火山を経て肛門へ受け渡されたエネルギーは、異様な眼(松果体のこと)を作り出すことで再び太陽へ回帰しようとする。

バタイユは、「太陽と地球のエネルギーの循環は火山によっておこなわれ、そして、その循環しているエネルギーが人間に入ったあと、再びエネルギーを太陽に循環させる」として、それをおこなうのが松果体の役割だと記しているようです。

・太陽
・火山


はどちらもよく出てくるテーマですけれど、仮に、様々な場所で暗示的に使われている「目」の図柄にそのような意味があるのだとしたら、確かに世界は暗示的な示唆に満ちているのかもしれません。

余談となってしまいましたが、今回は「ロシアに関してのふたつのこと」をご紹介します。




ロシアの夜空の光

冒頭のロシアの「光」の記事は動画ニュースにもなっていまして、下のような現象が 11月14日にウラル地方にあるスベルドロフスク地域の広範囲で目撃されたというものです。




感じとしては隕石かもしれないですが、もしそうだとすると、非常に大きな火球だったということも言えそうですが、しかし、今回これをご紹介した理由は、これが隕石による火球かどうかということではないのです。海外のインターネットサイトで、上の動画を見た人のコメントの中に、

「天空の光の門が開いたようだ」

という表現があったことが気に入りまして、その際に、上のほうに書きました、マヤ族の「時間の窓」ということをふと思い出したのでした。

冒頭の記事をご紹介します。

なお、「爆発音」などの音は報告されていないようですので、爆発のたぐいではないようです。

「このすべては何なのか?」 スベルドロフスクの夜空を爆発のように照らした光の現象

11月14日午後5時40分頃、スベルドロフスク地域に住む多くの人々が夜空に出現した爆発的な光を目撃した。何人かの住人たちはソーシャルネットワーク上に撮影した動画をアップロードした。

光はスベルドロフスクの地域の一部を輝きで消し去るほどの明るいもので、数秒間輝いた後に消滅した。光は複数の町で目撃され、他の動画をアップロードしたユーザーは「赤い雲」と題して、「これは一体なんなんだい?」とコメントをつけた。

現在、この現象が何であったかを調査するための専門家の派遣が要求されている。

というものです。

明るさが尋常ではないとはいえ、「やはり火球かなあ」と思う部分は強く、その理由は、この頃、あるいは最近まで、「ものすごく地球上空を交差する火球が多い」ということがあります。

下は 11月 11日のものですが、この火球の軌道のラインだけで派手さがおわかりかと思いますが、この1日だけで地球上空で 66個もの火球が観測されています。

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▲ 2014年11月11日のスペースウェザーより。


これは流星群か何かの影響かとも思ったのですが、火球の内訳は、

・おうし座流星群による火球 10個
・エリダヌス座ο流星群による火球 2個
・他の流星群による火球  1個


となっていて、他の 53個はすべて流星群とは関係ない独立した火球でした。

要するに、「宇宙のいろんなところからやって来た別々の 50個以上の火球が地球上空を交差した」ということになります。

その後も、この日ほど多くはないですが、観測される火球は多いまま推移していますので、ロシアの光は、地球の大気圏内に飛び込んだ火球であった可能性もあるかもしれません。

それにしても、光が大きいですので、隕石などだった場合、爆発地点よっては、2013年のチェリャビンスク州の隕石のような被害となった可能性もあります。

まあしかし、あの光の正体はともかくとして、あの光り方の始めのほうが「いかにも光の扉が開く」的な光り方だったのが印象的ではありました。数秒で消えてしまったわけですけれど。

ロシアに関しての話題を短くもうひとつ。

地球上空の宇宙空間に「兵器の可能性もある目的も軌道も不明の衛星」が飛んでいて、それがロシアのものであるかもしれないことを英国のインディペンデントが報じていました。

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▲ 2014年11月18日のインディペンデントより。


記事は、アマチュア衛星観測家が最近発見した「軌道、目的、共に不明」の衛星についての内容です。この物体には「物体2014-28E」 ( Object 2014-28E )という名称がつけられ、観測家たちが行方を追跡しています。

ただ、「ロシアの所属」というのは推測のようで、「所属も不明」というのが実際のところだと思われます。このロシアの兵器という概念に関しては、シンクタンクなどが「ロシアによる他国衛星へのサイバー攻撃や、通信混乱を行う目的を持つ宇宙衛星かもしれない」というような分析を出したところからのものであるようです。

考えれば、今や国際宇宙ステーションへの補給などに関しても、ロシアがおこなっているわけで、地上だけではなく、「地球上空の宇宙のコントロール権」に関しても、さらにロシアが強く握っていくことになるのかもしれません。

何だかこう、なかなか、みずがめ座の時代的な様相は見えてきませんね。

私も心情的にもう少しすっきりとしたいところではあります。



  

2014年11月18日



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▲ 2014年11月17日の英国 BBC Egyptian woman dies of H5N1 virus より。






 


1918年のパンデミックと似た傾向が見られる気のする最近のインフルエンザ

昨年と今年は、病気の報道を数多くご紹介した年でした。多くが「ウイルス」によるものであったことが特徴で、アフリカの過去最大のエボラの流行、東南アジアのかつてない規模のデング熱の流行、そして、昨シーズンのアメリカなどを中心にした記録的な数のインフルエンザ患者と死者数が報じられたりもしていました。

この「病気の時代」と言えるような状態については今後も継続していくと、私自身は思っているのですが、気づけば時期も 11月ということで、またインフルエンザの流行する時期がやってきました。

そして、人間のインフルエンザの流行と時期を合わせるように世界各地で鳥インフルエンザが発見されたり、あるいは鳥インフルエンザによるヒトの死者が発生しています。

東京でも江東区で鳥インフルエンザの鳥の死骸が発見されています(報道)。

それらのことと関係あるというわけではないのですが、

「昨年からのインフルエンザの傾向として気になっていること」

があります。

それは、冒頭の BBC の記事にも示されていますので、まずはこの記事をご紹介したいと思います。




Egyptian woman dies of H5N1 virus
BBC 2014.11.17

鳥インフルエンザ:エジプト人女性が H5N1 ウイルスによって死亡

エジプト人女性が、鳥インフルエンザウイルス H5N1 型に感染した鳥と接触した後に死亡した。女性は 19歳で、エジプト南部の町アシュートの病院で死亡した。

当局の発表によると、今年になってからエジプト国内での鳥インフルエンザの感染者数は7人となり、死亡例は今回が2例目となる。これ以前に、英国、ドイツ、オランダで、エジプトのウイルスとは異なる種の鳥インフルエンザが確認されている。

エジプト保健省は、他の2人が鳥インフルエンザに感染していると発表した。そのうちの1人は3歳の子どもだが、現在順調に回復しているという。もう1人は 30歳の女性。エジプトでの H5N1 での最初の死亡例は今年6月に起きた。

鳥インフルエンザ H5N1 型は、1993年に香港で初めてヒトへの感染が確認されて以来、世界中に広がっている。世界保健機関(WHO)によると、2003年以降、全世界で H5N1 のヒトでの発症例は 667 件にのぼる。

現在までの H5N1 のヒト感染での死亡率は約 60パーセントに達する。





というものです。

上に出てきたエジプト、英国、ドイツ、オランダの他に、韓国、日本などで、鳥インフルエンザに感染した鳥が見つかっていて、世界で「同時多発的」に発生した感じがあります。

しかし、これらの鳥インフルエンザについてはともかく、上の BBC の記事の中で、先ほど書きました「昨年からのインフルエンザの傾向として気になっていること」とは何かというと、症例が1件だけでどうのこうの言うのもあれなんですが、「死亡したのが 19歳の女性」だということです。

今年2月の、

病気の時代 : 太陽活動での地磁気の乱れが誘発するもの。そして「新種」の病気の出現に震え上がるアメリカ国民
 2014年02月27日

という記事の中で、アメリカでの昨シーズンのインフルエンザ流行シーズンの特徴として、

「若い世代のほうが患者数も死亡者数も多かった」

という特徴があったことを書きました。
下はその時の CNN の報道です。

今年の米国のインフルエンザは「若い世代」を直撃
CNN 2014.02.24

米疾病対策センター(CDC)がこのほどまとめた統計で、今シーズンのインフルエンザは前年に比べて65歳未満の患者が大幅に増えていることが分かった。

それによると、今シーズンにインフルエンザ関連の症状で入院した患者は、18〜64歳の層が61%を占め、前年の約35%を大幅に上回った。

65歳未満の死者も例年以上に多く、死者の半数強は25〜64歳だった。昨年の死者に占めるこの世代の割合は25%未満だった。

通常なら、インフルエンザは、

高齢者や赤ちゃんが重症化することが多い

のですが、昨シーズンのアメリカのインフルエンザは、

通常だと死亡者の少ない 25〜 64歳での死者が非常に多かった

というものだったのです。

そして、この特徴は、史上最大の鳥インフルエンザのパンデミックである 1918年のスペインかぜの際の特徴とも似ているということが気になったのでした。




死亡者の99パーセントが65歳以下だったスペインかぜ(第二波の流行時)

下は、2006年の日経BPの記事からの抜粋です。

多くの若者を殺した「パンデミック」の真実
日経BP 2006.03.20

インフルエンザウイルスは毎年、慢性疾患や免疫力の低下している患者、小児やお年寄りを中心に数多くの命を奪っている。だが、1918年の「スペイン風邪」のインフルエンザウイルスでは、20歳〜40歳代の若者たちが最も多く亡くなっていたことに大きな特徴があった。

とあります。

東京都健康安全研究センターにある資料「日本におけるスペインかぜの精密分析」という資料にある「日本でのスペインかぜの死亡者年齢のピーク」を見ても、そのことがよくわかります。

死亡者年齢の分布

男子
1917-19年 21-23歳の年齢域で死亡者数のピーク

女子
1917-19年 24-26歳の年齢域で死亡者数のピーク

体力的に最も充実している時、つまり普通に考えれば「最も病気に対しての抵抗力を持っている」といえる二十代が中心として亡くなっていく。

お年寄りや赤ちゃんたちは生きのびる。

特に流行第二波(1918年の秋)では「高齢者はまったくといっていいほど死亡しなかった」のです。国立感染症研究所のページに下のような記述があります。

国立感染症情報センター インフルエンザ・パンデミックに関するQ&Aより

1918年の晩秋から始まった第二波は10倍の致死率となり、しかも15〜35歳の健康な若年者層においてもっとも多くの死がみられ、死亡例の99%が65歳以下の若い年齢層に発生したという、過去にも、またそれ以降にも例のみられない現象が確認されています。

この、

> 死亡例の99%が65歳以下

というのは、現在の通常のインフルエンザと比較しましても、死者の年齢の分布が極めて異質であることを示しています。

さきほど抜粋しました昨年の CNN の報道の中にある、

> 死者の半数強は25〜64歳だった。

という記述からスペインかぜのことを思い出したのは、ここに理由があります。

アメリカのインフルエンザは通常のインフルエンザですが、「何かが少し変化してきている」ように感じたのです。

いずれにしても、スペインかぜとはそのような「若者を中心に殺す」インフルエンザだったのですね。
そして、そのスペインかぜは、上記の日経BP の記述によりますと、

この間、たった6カ月間の間に地球上の人類すべてに当たる20億人が「スペイン風邪」を患ったという。ところが、翌1919年の春頃から、いつの間にか消え去った。何が「スペイン風邪」を引き起こしたのか、まったくわからないままに……。

というように、パンデミックは「自然と」収まっていきました。なお、「20億人がスペイン風邪を患った」とありますが、現在では、感染者は世界で5億人から6億人だったとされています。

> 何が「スペイン風邪」を引き起こしたのか

という部分に関しては、小さな声で「彗星……」と呼応したくなりますが、今回はパンスペルミア説のことを書きたいわけではないので、そこには触れません。




何が日本のパンデミックでの致死率を大幅に低下させた?

全世界で5億人から6億人が感染したとされるスペインかぜですが、日本での流行の全期間(1918年8月から 1921年7月)の間の感染者数は 2380万 4673人で、当時の日本人口約 5,000万人のほぼ半数が鳥インフルエンザに感染したことになります。

そのうち、死者は 38万 8,727人

非常に多くの方々が亡くなった……とはいえ、ふと気づくのは、この約 2380万人の患者に対して、死亡者が約 39万人というのは、感染者の致死率が 1.6 パーセント程度という計算になることに初めて気づきました。

というのも、たとえば、スペインかぜ - Wikipedia には、全世界の死者に関して、

感染者6億人、死者4,000〜5,000万人。

という記述があります。

スペインかぜの世界的な正確な統計は存在しないですので、上の数字そのものは確かに曖昧でしょうが、それでも、大ざっぱに考えても、上の「 6億人の感染者に対して、4000万人くらいの死者」ということは、感染者の 7パーセントから 8パーセントは死亡していたという計算になります。

国立感染症研究所のページでは、患者数約 5億人としていて、死亡者数に関しては、 WHO の推計で 4,000万人、その後の科学者たちの研究で約 5,000万人となっていますが、どちらの推計にしても、この 「5億人の患者に対して5,000万人の死者」というのは、

致死率 10パーセント前後にも達する

というようなことも意味しそうで、日本の 1パーセント台の致死率とは、ずいぶんとかけ離れていることがわかります。

この「日本人の致死率の低さ」は今まで気づいていなかったことですけど、しかし、なぜ……?。

たとえば、現在の普通のインフルエンザの死者数は、大まかなところでは、日本も他の主要国と同程度だと思われます。

現在のインフルエンザでの死亡者数は、直接的な死因としてだけでなく、間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する「超過死亡概念」という定義に基づいて出されることが多く、こちらの方が実態と近くなりますが、これで日本のインフルエンザでの年間の死亡者を見てみますと以下のようになります。

ちょっと古いものですが、厚生労働省の人口動態統計のグラフを数値化したものです。

2000年 13,845人
2001年   913人
2002年  1,078人
2003年 11,215人
2004年  2,400人
2005年 15,100人


2001年のように非常に死亡者が少ない年もありますが、多い時には「日本では、1年間で普通のインフルエンザが原因で1万人程度の方が亡くなっている」ということが言えます。

ちなみに、全世界のインフルエンザによる死者は、厚生労働省のサイトによりますと、25万人〜50万人という非常に大ざっぱな数が記載されています。変動はあっても、毎年、世界で通常のインフルエンザだけで数十万人が亡くなっているということのようです。

こう見ると、インフルエンザの死亡者というのはかなりのものであることがわかります。




当時の日本人の生活スタイルのどこかに何かのポイントが潜んでいるような気が

それにしても、スペインかぜの日本人の致死率の低さは、どうしてなんでしょうかね。

まあ……これは関係ないことですが、世界で海藻を「常食」しているのは、日本人と韓国人くらいでしょうが、海藻、特にわかめや昆布に含まれる「フコイダン」というのがあって、これがインフルエンザ・ウイルスに対しての抗体の生産を上昇させることが知られています。

下のは「ふえるわかめちゃん」などで知られる理研の2010年のニュースリリース「メカブのねばり成分「フコイダン」のインフルエンザ感染予防作用をヒト試験で実証」から抜粋したものです。

理研ビタミン株式会社は、共同研究で、わかめのメカブから抽出したフコイダンが、ヒトにおいてインフルエンザウイルスに対する抗体の産生を上昇させる働きがあることを確認しました。(略)メカブフコイダンを摂食した人々では対照食を摂取した人々と比較し、全ての インフルエンザウイルス株に対して、抗体の産生が上昇していました。

とあり、フコイダンにはインフルエンザへの抗体を体内に作る働きがあるようですが、「抗体が増える」というのは、インフルエンザの予防とは結びつく可能性はあっても、致死率と関係するものとは思えませんので、致死率の低さとは関係ないでしょうね。

ちなみに、海藻といえば、海藻の中でも海苔に関して、海苔を消化できる酵素を腸内に持っているのは日本人だけで、日本人以外の外国人は海苔を胃腸で消化することができない、ということも思い出します。

nori1.jpg


「どうして日本人だけが海苔を消化できるのか」ということについては、2010年に、フランスの研究所の調査によって、「日本人だけが腸内に持つ微生物の遺伝子」のためだと明らかになっています。

日本人がノリを消化できる理由を発見、仏研究
AFP 2010.04.08

nori-01.jpg

▲ ノリを分解する酵素を持つ海洋性バクテリア。これと同じ働きを持つ遺伝子を持つ微生物が、日本人の腸内だけに存在しています。

日本人の腸が海草に含まれる多糖類を分解できるのは、分解酵素を作る遺伝子を腸内に住む細菌が海洋性の微生物から取り込んでいるためだとする論文が、英科学誌ネイチャーに発表された。

フランスの海洋生物学と海洋学の研究・教育機関「ロスコフ生物学研究所」の研究チームは、ゾベリア・ガラクタニボランという海洋性バクテリアが、アマノリ属の海草に含まれる多糖類を分解する酵素を持っていることを発見した。公開されているDNAのデータベースを調べたところ、ヒトの腸内に住むバクテロイデス・プレビウスという微生物が、同じ酵素を作る遺伝子を持っていることが分かった。

このバクテリアはこれまで、日本人の排泄物からしか見つかっていない。

ということは、世界の中では、韓国の人たちも頻繁に海苔を食べますけれど、韓国人は海苔を消化できて食べているわけではないということになるみたいですね。

いずれにしても、こういうような、

・海藻(ワカメとかコンブ)をかなり頻繁に食べる民族
・世界で唯一、海苔を消化できる遺伝子を体内に持つ民族


などという「海との関係性において他の国とは違う食習慣や遺伝子を持っている日本人」ですが、こういうことと何らかの関係あるのかどうか。

食べ物(日常的な食生活)はかなり関係しているような気はしますが……。

インフルエンザの療養と食べ物の関係といえば、かなり前の記事ですが、

1918年の「死のインフルエンザ」へのケロッグ博士の対処法
 2011年11月22日

では、スペインかぜの際、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士が米国ミシガン州に開いていた富裕層向けのバトルクリーク療養所という非医療機関でおこなった治療のことを書いています。

ケロッグ博士は「医薬品をいっさい使わない治療」によって、この療養所でスペインかぜの死者をひとりも出さなかったことが記録されています。細かい内容は上の記事を読まれていただくと幸いですが、その中に、

ケロッグ博士は、インフルエンザを発病している間に、砂糖、加工食品、ジャンクフードを食べることを避けるように警告している。

としています。

甘いものが悪いのではなく、果物やジュース(果樹だけのもの)以外の「砂糖を使った加工品」はとらない方がいいと記されています。



インフルエンザのシーズンに際して

ところで、今年も大流行するかもしれない通常のインフルエンザですが、日本では病院に行くことが優先されますが、欧米では「安静にしている」ことが最大の治療法だというの常識のようです。

日本で乱れ撃ち気味に処方される抗インフルエンザ薬タミフルは、薬効の基本は「発熱期間を1日短縮する」だけのものの上に、罹患後 48時間後内に服用しないと意味がありません(長く熱が引かないので病院に駆けつけた時にはもう遅いことが多いと思われます)。

大久保医院という病院のサイトでは、「日本で大量のタミフルが処方されているのは、日本の医療環境の特異性と断言せざるを得ません」として、下のように説明しています。

欧米では、「インフルエンザには安静」が常識で、タミフルのような「抗インフルエンザ薬」は、感染症などの合併症の危険性が大きくなる免疫系が弱っている人達、高齢者や慢性の病気などの要因を持つ人達以外には、ほとんど使われていません。

タミフルを服用しなくても、健康な個体では、自己免疫防御力を最大限応用すれば、1峰性または2峰性の発熱で1週間以内にインフルエンザは自然治癒します。

ちなみに、タミフルの製造元のスイス・ロシュ社の数値に基づけば、

過去5年間に日本で約2400万人がタミフルの処方を受け、この処方量は世界の75%を占め、このうち子供は約1200万人で、使用量は米国の約13倍に上ったとのことです。

とのこと。

> この(日本の)処方量は世界の75%を占め

を見ると、インフルエンザでも、抗うつ剤同様、日本は世界の製薬会社の「いいお客さん」とならされてしまっているようです。

このあたりは、過去記事の、

エボラを世界に拡大させるかもしれない神の伝道者や軍人たち。そして、ふと思い出す「世界を支配する医薬品ビジネス」
 2014年10月18日

の最後のほうで、抗うつ剤を例にとって、製薬会社が販売拡大をおこなう具体的な方法を書きました。

しかし実際には、かなり多くの病気に対して、人間は自然の治癒力を持っています。

なので、本来の「医療の方向」というのは、そのような「隠された人間の自己治癒力を高めること」にあると私は思うのですが、現代の医療はなかなかそちらの方向には進んではくれません。

もちろん、そのような試みをされているお医者さんもたくさんいらっしゃると思いますが、製薬会社の存在という「高い壁」を越えるのはなかなか難しいことなのかもしれません。

結局、病気になれば、病院に行き薬をもらうというだけの医療が続いています。

もちろん、適切に投薬しなければならない病気も多くあることは確かですが、過度な薬への依存や、「薬がお守りになっている」状況は、本来の人間の治癒力を落とすだけのような気がします。

まあ、これは自戒の意味もありますが。

それにしても、日本人……少なくとも、1918年当時の日本人の生活スタイルの中に存在していたかもしれない「インフルエンザの致死率を低下させた要素」とは何だったのか。



  

2014年11月17日



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2013年7月にジンバブエに3体落下した所属不明の物体

space-debris-top.gif

▲ 2013年7月22日のジンバブエのメディア Bulawayo24 より。






 


彗星に定住するフィラエのこれからを考えていると

最近は、太陽や彗星などの宇宙関係の記事が多かったんですが、探査機ロゼッタがチュ…………チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に子機を着陸させることに成功しました。

しかし、着陸させるにはさせたんですが、予定していた着陸地点から跳ねてしまって、太陽の光があまり届かない場所に着地してしまい、「休眠状態」となったことを先日の記事「彗星の正体の判明はどうなる?」で書きました。

眠れる彗星上のフィラエ(名称の由来は、ナイル川のフィラエ島という島の名前だとか)は、現在は下のようなまま眠りについているようです。

rosetta-landing-machine.jpg
・ESA


この写真は、フィラエが休眠前に自身に搭載されているカメラで自画撮りしたもので、この後しばらくして、フィラエは眠りにつきます。

……と、ふと思ったのですが、仮にこの後、フィラエが眠りから目覚めることがなかった場合、

「ずっとこのチュ何とか彗星の上に居続ける?」

と思ったのです。

地球の人類の探査機を表面にくっつけたまま秒速 30キロメートルで宇宙空間を突き進む彗星……。

ちなみに、フィラエの投下以降の探査機ロゼッタのミッション予定を Wikipedia で見てみますと、

2014年11月12日:彗星への着陸機フィラエの投下および着陸。
2014年11月-2015年12月:太陽を周回する彗星の活動状況を観測。
2015年12月31日:ミッション終了予定。


となっていて、「フィラエを回収」という項目はミッションにはないようですので、眠っていようが起きていようが、フィラエは彗星に置きっ放しということになるようです。

しかし、ふと「これまで、人類は、太陽系の様々な惑星にどれだけいろいろなものを放置させてきているんだろう」と思いまして、宇宙探査機の一覧 - Wikipedia を見てみますと、1966年に旧ソ連の「ベネラ3号」という無人着陸機が、ミッション自体は金星に衝突して交信が途絶したために失敗ということになるのですが、「地球以外の惑星に衝突した初の宇宙探査機」となりまして、それ以来、どれだけの惑星に衝突したり、着陸したりしてきたことか。

初めて地球以外の惑星に接触(衝突)したソ連のベネラ3号

venera_3.jpg
NASA SSDC Master Catalog Search


なお、惑星ではなく、「天体との初の接触」であるならば、ベネラ3号より7年前に、やはり、ソ連が「ルナ2号」という月面無人探査機の着陸(というか月面に衝突)に成功しています。

初めて月に接触(衝突)したソ連のルナ2号の着陸艇

Luna_2.jpg
Luna 2


このルナ2号が「月の表面に到達した最初の宇宙船」ということになるのですが、その衝突の破壊の規模にもよりますが、機体の破片や部品は今でも月面に散らばっているのかもしれません。

月着陸に関係するミッションは歴史も古く、数も非常に多いのですが、月へのミッションのうち、

月面に衝突した機体の破片や、探査機そのものが月面にいまだに残されていると考えられるミッション

月の探査の歴史 - 月探査機より抜粋してみました。

なお、アポロ計画は含めていません。
有人月着陸計画については、先日の記事、

人類は本当に「ヴァン・アレン帯を通過して月に行ったことがあるのだろうか?」という疑問を各地で噴出させている NASA の次世代宇宙船オリオンのミッション
 2014年10月31日

を書いているうちに、どうも「有人宇宙旅行」というものへの疑念というのか、モヤモヤしたものが心の中に広がっていますので、アポロ計画については除外します。

月探査のうち、実際に月面に着陸するミッションの種類としては、

インパクター(その天体の成分などを分析するために衝突させる)
ランダー(着陸して天体を探査する)
サンプルリターン(着陸した天体の試料を採取して地球に持ち帰る)


があります。

ここに抜粋したものは、ミッションが成功しようが、失敗に終わろうが、「月面に機体そのものか、あるいは衝突などで破壊したのなら、その断片などが残っている可能性のあるミッション」だけを抜粋しています。




月に人工物を残したままの可能性のあるミッション一覧

ルナ2号 ソ連 1959年9月14日
インパクター 成功 月に初衝突。

レインジャー4号 NASA 1962年4月26日
インパクター 失敗 月の裏側に衝突。データは地上に送られなかった。

レインジャー6号 NASA 1964年2月2日
インパクター 部分的成功 衝突したが、電力の問題により写真は地上に送られなかった。

レインジャー7号 NASA 1964年7月31日
インパクター 成功 衝突まで画像を地上へ送信。

レインジャー8号 NASA 1965年2月20日
インパクター 成功 衝突まで写真を地上に送信。

ここまで抜粋して、あとの数も大変なものがあることに気づきまして、ここからは羅列とさせていただきます。

・レインジャー9号 NASA 1965年3月24日 インパクター
・ルナ5号 ソ連 1965年5月12日 ランダー 月に激突
・ルナ7号 ソ連 1965年10月7日 ランダー  月に激突
・ルナ8号 ソ連 1965年12月6日 ランダー 月に激突
・ルナ9号 ソ連 1966年2月3日 ランダー 世界初の月への軟着陸
・サーベイヤー1号 NASA 1966年6月2日 ランダー アメリカ発の軟着陸
・サーベイヤー2号 NASA 1966年9月23日 ランダー 月に衝突
・ルナ13号 ソ連 1966年12月24日 ランダー 成功
・サーベイヤー3号 NASA 1967年4月20日 ランダー 成功
・サーベイヤー4号 NASA 1967年7月17日 ランダー 月に衝突
・サーベイヤー5号 NASA 1967年9月11日 ランダー 成功
・サーベイヤー6号 NASA 1967年11月10日 ランダー 成功
・サーベイヤー7号 NASA 1968年1月10日 ランダー 成功
・ルナ15号 ソ連 1969年7月21日 サンプルリターン 月に衝突
・ルナ17号 ソ連 1970年11月17日 ランダー 成功
・ルノホート1号 ソ連 1970年11月17日 ローバー 成功 10 km走破
・ルナ18号 ソ連 1971年9月11日 ランダー/サンプルリターン 月に激突
・ルナ21号 ソ連 1973年1月15日 ランダー 成功
・ルノホート2号 ソ連 1973年1月15日 ローバー 成功
・ルナ23号 ソ連 1974年11月6日 サンプルリターン 着陸時に損傷
・ルナ・プロスペクター NASA 1998年1月 オービター(水の存在を確かめるため極に意図的に月に衝突させる)
・MIP インド宇宙研究機関 2008年11月14日 インパクター 成功
・エルクロス NASA 2009年10月9日 インパクター 成功
・嫦娥3号 中国航天局 2013年12月2日 ローバー 成功



ソ連とアメリカが、それぞれ初めて月に着陸を成功させた無人探査機は以下のような形状のもののようです。

luna9-surveyor1.gif


このように形が残っている着陸機や走行機が、昨年の中国の月探査機「嫦娥3号」を含めて、そして、仮にアポロの着陸機があるなら、それも含めると十数台のこういうようなものが月面に放置されていると思われます。

他にも、月に衝突して破壊された機体も多いようで、地球の宇宙計画はいろいろな置き土産を広範囲にばらまいているようです。

それにしても、上のような探査計画すべてを合わせると、一体どれだけの費用が使われたのだろうと思うと共に、「これらの探査から人類は何を得たのだろう」とも少し思います。

果たして、これらの、特に月探査の成果とは一体何だったのか。

月の探査を何度も何度も繰り返したことが、数十年後の今の私たちの生活に何か役に立っているのかなあ……とは思います。これに関しては「いろいろな考えや想像」も湧いてきますが、しかし、その話は今回はいいです。

そういえば、11月16日のロシアの声の「宇宙の謎の前に人類はまだ無力」というタイトルの記事は「宇宙には3つの謎がある」という奇妙な記事なんですが、最初のふたつの謎は記事をお読みいただくとして、この記事に下のような奇妙な記述がありました。

「宇宙の謎の前に人類はまだ無力」より

3つ目の謎は、月の表面に送られたロシアの探査機だ。このロシアの探査機は、すでに25年にわたって活動を続けている。探査機のバッテリーの寿命は6ヶ月のはずだった。探査機は反応しなくなったが、その後、再び稼働のシグナルを発信し、未だに月の表面を移動し続けている。誰が、そして何のためにバッテリーを交換したのだろうか?

「25年前の月の探査機?」と、計算してみると、25年前は 1989年頃で、その頃はドイツではベルリンの壁が崩壊していたりして、そろそろソ連崩壊(1991年)への道を辿り始めている頃で、もはやソ連に宇宙計画などなかったのではないかと思って見てみますと、ソ連の無人月探査計画は「ルナ計画」と呼ばれていて、このルナ計画の最後の月探査計画は、 Wikipedia によりますと、

> 1976年8月にルナ24号が月の土壌を地球に送り届け、これをもってルナ計画は終了した。

とあり、38年前にはソ連の月探査計画は終わっていたことになります。

さらに、このルナ24号は「月の土壌を地球に送り届け」とありますので、地球に戻ってきているようですのでロシアの声の記事の内容には該当しません。

また、ロシアの声の記事には、「未だに月の表面を移動し続けている」という表現がありますが、月面を走行させたソ連の探査機は、月の上を10キロメートル走行したローバー「ルノホート1号」となると思いますので、ロシアの声はこのことを言っているのかなあ……。

ルノホート1号 - Wikipedia

ルノホート1号は、ロシア語で「月面を歩く者」という意味を持つ、ルノホート計画の一環としてソビエト連邦により史上初めて月に送られた2機の無人ローバーのうちの1機である。ルナ17号によって月に運ばれた。ルノホートは、史上初めて他の天体の上に到着した遠隔操作可能なロボットである。

とありますが、「ルノホート1号が今でも動いている」というようなニュースは、自分で探した分には見当たりませんでした。

ロシアの声の奇妙な記述は一体何を指しているのですかね。

ただ、このルノホート1号に関して、 NASA の 2010年 6月のニュースで、下のような記事を見つけました。この写真の昔のSF映画に出てきそうな、あるいは未来のベビーカーみたいな乗り物が、無人走行機ルノホート1号です。

Lunokhod1-laser-beam.gif

▲ 2010年6月3日の NASA サイエンスニュース Old Moon Rover Beams Surprising Laser Flashes to Earth より。


これは、40年経った今でもルノホート1号がレーザー光線を発している……という意味ではなく、「反射光」のことなのですが、

> 驚いたことに、月面上のどの部位よりも高い反射率を測定した。

というほど激しく月の上で反射光を発し続けているようです。

まあしかし、いずれにしても、ミッションが終わったこれらの探査機たちは、科学的な過去の資料としての意味は大きくても、その多くは廃棄物ではあります。

回収できるものではないし、これらの月探査機も、あるいは火星のローバーたちにしても、その星で朽ちるまで放置されているということになりそう。

でも、最近の探査機は頑丈に出来ていて、下手すると数千年単位で残るものもありそうです。

そんなわけで、チュ……(がんばれ)チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の上の無人着陸機フィラエの「これからの人生」を考えているうちに、いろいろと変な展開となってしまいました。

ところで、冒頭のニュースもそうですが、この宇宙からのゴミというのか、場合によっては正体不明の落下物は地球の上でも非常に多く見られます。




地球へ落ち続ける宇宙ゴミ

2011年12月にはアフリカのナミビアで奇妙なものが空から落ちてきたというニュースを記事でご紹介したことがあります。

2011年にナミビアに落下した物体

1-namibia-3.jpg


そして、2012年の 2月には、ブラジルで同じような形のものが落下してきました。
そのことについては、

ブラジルで謎の物体が爆発音と共に落下
 2012年02月27日

という記事でご紹介させていただいたことがあります。

このような形状をした落下物は、多くが、人工衛星などに搭載されている「複合外装圧力容器」 (COPV)いうものだと思われています。COPV の形状は様々ですが、下のような丸い形のものが落下すると、上のナミビアのような物体になるのかもしれません。

copv-circle.jpg
・NASA


COPV の落下例は多く、普通は落下すると下のような感じとなることが多いようです。

copv-brazil.jpg


このような例が、COPV だけではなく、世界では非常に頻繁に起きています。

不思議なことに、宇宙からの落下物での負傷などの報道を聞かないですが、今回は過去に実際にあった「宇宙からの落下物」の写真を英国ガーディアンOobject などの記事からご紹介します。

基本的に場所と写真だけとなりますが、本当によく落ちています。

南アフリカ ケープタウン 2000年

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米国ユタ州 2004年

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米国テキサス州 2003年

Space-debris-Spherical-ob-003.jpg


フランス領ギアナに落下した宇宙ロケットの破片

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サウジアラビアに落下したCOPVっぽい物体

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まあ、キリがないんですが、どうしてこういう落下物が気になるかといいますと、今、地球の周りには宇宙ゴミが下のように、無数なようにも見えるほど地球の周囲を飛び回っているのです。

Space-debris-Objects-in-o-005.jpg
Guardian


欧州宇宙機関によればその数は1万2000個とのこと。人工衛星などの、日々の生活に重要なもののための宇宙ゴミも多いとはいえ、よくぞここまで増やしたものだと思います。

地球とか太陽系とかの「重力」が何かおかしなことになった場合、上の写真のような浮遊物体たちが「雨あられと降ってくる」……なんてことはないですよねえ。

今でも降ってはいるわけですけれど。



  

2014年11月16日



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sun-gone-sleep.gif

▲ 2014年1月17日の英国 BBC Has the Sun gone to sleep? より。






 




彗星着陸艇フィラエのその後

前回の記事、

彗星の正体の判明はどうなる?:彗星に着陸した探査機ロゼッタの着陸機フィラエが電力不足により稼働できなくなる可能性
 2014年11月14日

で心配されたロゼッタの着陸機フィラエですが、その後、欧州宇宙機関から「休眠状態」となったことが発表されました。

電池切れ…彗星着陸機「フィラエ」が休眠状態 観測・通信ストップ、太陽光乏しく充電できず
産経ニュース 2014.11.15

欧州宇宙機関(ESA)は15日、世界で初めて彗星に着陸した探査機「ロゼッタ」の着陸機「フィラエ」の内蔵電池が切れ、休眠状態になったと発表した。太陽光発電による充電を試みるが、再稼働できるかは不透明。

観測機器やシステムが停止、通信も途絶えた。彗星の内部物質を調べるため表面を約20センチ掘るなどした初期観測のデータは地球に届いており、今後詳しく分析する。

ということで、通信も途絶えてしまったようです。

現在のフィラエの予想される位置

Rosetta-Philae-LandingSite.jpg


ところで、フィラエの親機であるロゼッタも今年1月まで「3年間」休眠していました。
当時の CNN の報道からです。

彗星探査機「ロゼッタ」が再起動に成功、3年ぶり地球と交信
CNN 2014.1.21

宇宙空間で冬眠状態に入っていた欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」が1月20日、約3年ぶりに再起動し、地球に信号を送信した。8月にはチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)に接近して探査を開始する。

ロゼッタは2004年に打ち上げられ、現在は太陽から約8億キロ、木星の軌道を通過した付近にある。かすかな太陽光しか届かない区間での電力を節約するために、2011年6月以来、ほとんどのシステムの電源を落としていた。


このような「休眠」は NASA の探査機や観測衛星ではあまり聞かないですが、その理由は NASA は動力に太陽電池ではなく、原子力電池を使っている探査機が多いためで、欧州や日本は基本としては原子力電池を使用していませんので、こういう可能性は常にあるようです。

太陽電池は、文字通り太陽頼みの動力ですが、今回の記事は、その太陽自身が「休眠」に入ったかもしれないということについてです。




過去1万年で最も速く太陽活動が低下している

現在の太陽活動周期であるサイクル24が異常なほど弱いということ自体については、たとえば、過去記事の、

太陽活動が「過去200年で最も弱い」ことが確定しつつある中で太陽活動は復活するか
 2013年10月21日

など何度か記したことがあるのですが、今度は 200年というような単位ではなく、「1万年」という大きな単位が出てきています。これは冒頭の BBC の記事の中で、イギリスの科学者たちなどが「現在の太陽活動は過去1万年で最も速く低下している」というようなことを言っているのです。

この BBC のニュースは動画ですので、言っていることを正確に書けているかどうかわからないですが、マイク・ロックウッド(Mike Lockwood)教授という方や、英国ラザフォード・アップルトン・ラボラトリーという科学研究所の宇宙物理学部門局長のリチャード・ハリソン(Richard Harrison)という方などが、現在の太陽活動の状況は過去1万年で最も速く低下し続けているとして、

「今後、40年以内にマウンダー極小期と同じような活動状態となる可能性は 20%」

と述べています。

さらに、

「太陽は異常な小康状態にあり、眠っていると表現してもいい」

として、そのことに多くの科学者たちが戸惑いを見せているというものです。

これらの主張は現在の太陽活動そのものが過去1万年で最も弱いという意味ではなく、「低下する勢いが異常に速い」ということを述べているのだと思われます。

下の図は、太陽黒点の正確な観測が始まった 1755年から 2013年までのすべての太陽活動周期の太陽活動の強さを比較したものです。

ss-1-24-com-03.gif
太陽活動が「過去200年で最も弱い」ことが確定しつつある中で太陽活動は復活するか


過去の約 260年間では、1823年から 1833年までの太陽活動周期サイクル6が最も太陽活動が弱かったことを示していて、現在のサイクル24は 1800年代の初めころから 200年ぶりほどの活動の弱さを見せている(黒点が少ない)ということになっています。

つまり、現在の黒点活動だけからいえば、「過去1万年で最も弱い」というようなことはまったくないのですが、「活動の低下の速度が過去1万年で最も急激だ」ということのようで、このままのペースでいくと、マウンダー極小期のような、太陽活動が極めて弱い時代が訪れても不思議ではないということのようです。




マウンダー極小期の時代を改めて振り返る

ちなみに、マウンダー極小期という言葉は、 In Deep に、わりと頻繁に出てくる単語ですが、私本人も年代とか起きたことを忘れがちですので、 Wikipedia の説明を抜粋しておきます。

マウンダー極小期とはおおよそ1645年から1715年の太陽黒点数が著しく減少した期間の名称で、太陽天文学の研究者で黒点現象の消失について過去の記録を研究したエドワード・マウンダーの名前に因む。

マウンダー極小期中の30年間に、観測された黒点数は、たった約50を数えるだけであった。通常であれば4万〜5万個程度が観測によって数えられるであろう期間である。

というもので、もしこの研究者の名前がエドワード・マウンダーでなく、チュリュモフ・ゲラシメンコとかいう名前だった場合、大変に覚えにくい極小期となっていた可能性があります。

それはともかく、その 30年間の地球の気候がどのようなものだったかというと、

> この時期のヨーロッパ、北米大陸、その他の温帯地域において冬は著しい酷寒に震え、暦の上では夏至であっても夏らしさが訪れない年が続いた。

日本の場合は、

> この時期の日本(江戸時代初期)は周期的に雨が多い湿潤な気候であった。

というような曖昧な説明しかないのですが、北半球の平均気温は、通常より 0.1 〜 0.2度低下したとされているようで、この 0.1度などという小さな数値を見るかぎりは、そんなに激しい寒冷期でもなかったようにも感じます。

というより、実は「地球の気温は太陽活動と関係なくあがったり下がったりしているのではないか」というような、やや暴論気味のことも言えるのではないかと思える部分もあるのです。

それは、最近の記事、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類
 2014年11月08日

に載せました「 2000年間の気温の推移(加重平均)グラフ」を見ても、そう思える部分があります。

1750-up-001.gif
Climate Audit


西暦が始まって以来、何の影響によるものなのかはわからないですが、1700年代にかけて、どんどんと気温は落ちていき、そして、1700年代中盤に「突如」として気温は上昇を始めるのです。

その一方で、マウンダー極小期には「地球の受ける日射量は非常に少なかった」ということも、過去記事の、

太陽活動の過去と現在のデータが示す「新しい極小期」の到来の可能性と、新しい小氷期時代の始まりの可能性
 2014年11月11日

に載せました東京大学宇宙線研究所の科学者の書かれた論文の中にあるマウンダー極小期の地表の日射量のグラフを見ると、確かにこの時期の地球は、通常に比べて受ける太陽光量が非常に低かったことがわかります。

maunder-sun-beam1.gif
中世の温暖期と近世の小氷期における 太陽活動と気候変動


この論文では、気候変動(10年変動)の要因として、

・日射量 0.1%
・紫外線 3%
・宇宙線 15%


となっていますが、他の部分が示されていないことからもわかるように、結局のところ、「気温の変動の理由はよくわかっていない」という面は強いようです。

火山噴火の影響もありますでしょうし、あるいは地熱の変化や海水温の変化などの関係もあるかもしれないですし、地球の気温の変化の仕組みを完全に解明するのは不可能に近いことのように思えます。

ただ、天候の話としては、

「宇宙線が増えると、雲が増える」

ということは理論はともかく、データでは科学的に間違いないはずで、そうなると、自然に、

「宇宙線が増えると、雲が増え、雨が増え、晴天が減る」

ということになり、上のマウンダー極小期の時代の説明にあった「この時期の日本は周期的に雨が多い湿潤な気候であった」というのも納得できます。湿潤というと、農作には良さそうな響きですが、マウンダー極小期は日照が決定的に少なかったのですから、農作は大変だったと思われます。

それは当時の飢饉の多さなどでもわかります。




当時の飢饉と気温の関係

江戸時代の飢饉のうち、マウンダー極小期(1645年から 1715年)に起きたものとしては、

寛永の大飢饉 1640年から 1643年
元禄の飢饉  1691年から 1695年


がありますが、ただ、江戸四大飢饉と呼ばれる、

寛永の大飢饉 原因は全国的な異常気象(大雨、洪水、旱魃、霜、虫害)
享保の大飢饉(1732年) 原因は冷夏と虫害
天明の大飢饉(1782年〜1787年) 原因は浅間山、アイスランドのラキ火山の噴火等による冷害
天保の大飢饉(1833年〜1839年) 原因は大雨、洪水と、それに伴う冷夏


のうち、寛永の大飢饉以外は「マウンダー極小期の後に起きている」ということもあり、太陽活動の著しい減少と冷夏の関係、あるいは、それによる飢饉の関係は必ずしもシンクロしているというものでもないようです。

ただ、上のほうに載せました加重平均による気温の推移のグラフを見ますと、江戸の四大飢饉の時期は、「過去 2000年間の気温の最低期間」のあたりであることがわかります。

area-average-2.gif


この江戸四大飢饉の中でも、天明の大飢饉は本当に凄まじいものだったようで、Wikipedia によりますと、最も被害が多かった東北他方を中心として、

飢餓と共に疫病も流行し、全国的には1780年から86年の間に92万人余りの人口減をまねいたとされる。

とあります。

ちなみに、当時の日本の人口は、

・1780年 2,601万人

・1786年 2,509万人
(6年間で約 100万人減)


となっていて、当時なら通常増え続けていたはずの人口が「6年間で 100万人減る」ということになっているのですが、飢餓と病気の流行による死者が多く含まれていると思われます。

また、上のグラフに西暦 500年代の中頃にマルをつけていますが、この時期は、過去記事、

21世紀も「太陽が暗くなる時」を経験するのか? : 全世界が地獄の様相を呈した6世紀と酷似してきている現在に思う
 2013年07月15日

などで記したことがある、西暦 535年から数十年に渡って続いた世界中での飢饉と感染症の流行の時期です。

英国のジャーナリスト、ディヴィッド・キースの著作『西暦535年の大噴火―人類滅亡の危機をどう切り抜けたか』は、その時期の地球に何があったのかを追求した著作ですが、当時の地球上は、この著作から引用すれば、

資料、年輪、考古学資料のすべてが6世紀中期は、異常な悪天候に見舞われた時期だったことを指し示している。日光は薄暗くなり、地球に届く太陽熱は減少し、干ばつ、洪水、砂嵐が起こり、季節外れの雪と特大のひょうが降った。

これがほぼ世界中で起きていたようです。

そして、この現象は徐々に起きたのではなく、記録では西暦 535年を境に唐突に始まったという感じがあり、その理由として、

・インドネシアのクラカタウ火山の大噴火
・小惑星の地球への衝突
・彗星の地球への衝突


のどれかではないかということを上げていて、中でも西暦 535年のクラカタウ火山の大噴火が原因だったのではないかと著作では述べられています。

この時期の太陽光の様子がどのようなものだったのかは当時の東ローマ帝国の歴史家の記述からもわかります。

歴史家プロコピオスの西暦 536年の記述より

昼の太陽は暗くなり、そして夜の月も暗くなった。太陽はいつもの光を失い、青っぽくなっている。われわれは、正午になっても自分の影ができないので驚愕している。太陽の熱は次第に弱まり、ふだんなら一時的な日食の時にしか起こらないような現象が、ほぼ丸一年続いてしまった。月も同様で、たとえ満月でもいつもの輝きはない。

それでも、気温の推移を見る限りは、西暦 1200年頃からは「そんな6世紀よりも寒い時代になっていった」ということになりそうで、中世というのはなかなか厳しい時代だったのかもしれません。

それにしても、マウンダー極小期の気温の低下が 0.1度などのものだったことを考えますと、「本当の氷河期」というのはやはりすごいと思います。下のグラフは、フレッド・ホイル博士の著作『生命はどこからきたか』にあるものです。

iceage-2000.gif
・過去記事「良い時代と悪い時代」より。


1万年前より先の氷河期は平均気温として今より 10度以上も低いという時代だったようで、こうなると、「生きるか死ぬかという時代」というフレーズも馴染みます。




約1,000年のサイクルで大きく上下にふれる平均気温

ところで、上のグラフで、氷河期が終わった1万年前から現在に至るまでは、約 1,000年の周期で平均気温が5〜6度近くも上下していることがわかります。

マウンダー極小期の 0.1度などの変動を考えると、これは大変な気温の変動ですが、フレッド・ホイル博士は、この原因に「彗星」を挙げています。

著作より抜粋します。

『生命はどこから来たか』 エピローグより

氷河期が終わった紀元前八〇〇〇年(一万年前)頃からの地球の気温の変遷を調べてみると、約一〇〇〇年周期の変動があることがわかる。図に示すように気温は三〜六度Fの間で変動している。

地球だけ考えていてこのパターンを説明するのは難しいが、彗星の衝突を考えるときれいに説明できる。地球上空もしくは地球の近くでバラバラになった彗星は成層圏に塵をまき散らし、太陽光線を錯乱するようになる。

その結果、太陽光線の届く量が減少し地表温度が下がる。計算によると温度を五〇度F(※ 摂氏で約10度)下げるために必要な塵の量は現在の一〇〇〇倍も必要ではなく、これは今まで述べてきた彗星の衝突を考えれば可能である。

そんなわけで、地球の気候の変動の要因というのは、複雑でそのシステムはいまだに多くのことがわからないわけですが、しかし、現在の太陽活動が、英国の科学者たちが言うするように、「過去1万年クラスでの低下を見せ続ける」というようなことになっていった場合、それなりに社会生活に影響は出るものだと思います。

太陽活動が長く弱いままだと、地球へ到達する宇宙線が太陽からの磁気などに遮断されずにどんどんと地球へ到達するので、とりあえず、曇と雨天が増えると思うのですよね。

晴天の日が減っていく。

そんな時代が何十年も続けば、まず農作が厳しくなります。

農作はいつの時代でも基本的にすべての食糧の根源、つまり「人間が生きていく根幹」ですので、そこに問題が生じると、それだけでも社会は混乱するように思います、

そして、「病気」も増えると思います。

病気に関しても、人間の感染症への抵抗力を牛耳っているものは数多くあるでしょうけれど、代表的なものに、ビタミンDと白血球(好血球)があります。

その中でも、ビタミンDは、

ヒトにおいては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週に2回、5分から30分の間、顔、手足、背中への日光浴で、十分な量のビタミンDが体内で生合成される 。

ビタミンD - Wikipdia

というように「太陽だけで」人間に必要な分が作られ、ビタミンDの感染菌への抵抗力は侮れないほど強いものだとされていて、太陽が人間に与えてくれた「病原菌への対抗物質」だと言えると思います。

風邪やインフルエンザが冬に流行しやすいのは「冬は紫外線量が少ないためヒトの体内のビタミンDが減る」ということもひとつの原因であることが最近の医学でわかってきたことが、医療ニュースなどにも普通に掲載されるようになってきています。

ですので、太陽光が減ると、人間は感染症にかかりやすくなると言ってもいいのかもしれません。

ただ、白血球(好血球)と太陽の関係は逆となり、「世界中で蔓延する「謎の病気」の裏に見える太陽活動と白血球の関係」という記事などで書いたことがありますが、データでは、「太陽活動が活発になると、白血球が減少する傾向にある」ということになりまして、その原因はともかくとして、データだけを見ると、太陽活動が強い時には、免疫をつかさどる好血球が減少気味になり、病気が流行しやすいことが示されています。

ちなみに、現在の太陽活動は、全体としては弱いながらも、ある程度強い黒点活動が続いているといえる時ですので、今年はずっと「病気の時代」的な状態が続きましたが、これから紫外線が減っていく中で「さらに感染症が増えそう」というような可能性もあります。

風邪とかインフルエンザとか、あと、いろいろな感染症が世界中で流行した今年でしたが、これからの冬もそれは継続、あるいは拡大しそうです。

そして、少し長いスパンで見た場合、これからの地球が、マウンダー極小期の時のような、あるいは、江戸時代の飢饉の時代のような天候となっていった場合、私たちは今とは少し違う生活をしていかなければならない未来を迎えるかもしれません。



  

2014年11月14日



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史上初の彗星への着陸を果たした欧州宇宙機関の探査機ロゼッタの子機が着陸したチュラメシンコ・グラメサテ彗星・・・・・ああ何か違う、と資料を見てみると、ああ惜しい。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星でした。

ところで、この難しい名前の彗星、「漢字だけの中国語ではどう書くんだろう」と思い、香港のメディアを見てみますと「楚留莫夫 格拉希門克 彗星」と書くようです。こちらも覚えるのに苦労している中国人が多いと見ました。

p67-top.gif

▲ 2014年11月14日の香港メディア apple.nextmedia.com より。






 


この記事のタイトルの「探査機が停電に陥る可能性」については後のほうで書きますとして、この「彗星への着陸」という(多分)記念すべき出来事に際して、これまでの In Deep の「彗星との関わり」をしみじみと思い出します。

見たり観測する対象としての彗星ではなく、「地球に生命をもたらした天体としての彗星」として、何度も書かせていただいたことがあります。

それにしても、上の香港の報道の写真のキャプションにある「生命の起源の謎の解明へ」というようなものを見ますと、結局は「彗星と地球の生命の関係」は、現代宇宙学の「隠れスタンダード」になっているのだなあと改めて思います。




彗星の意味を改めて振り返る

このブログの初期からのメインテーマのひとつに、

地球の生命は彗星が運んできた。

という説に対しての理論的な追求というものがありました。

しかし、長らく、その証明法は地球上からの観測と分析によるものでしかなかったのですが、この数年の間に状況は変わってきました。

2010年 11月4日には、NASA の探査機ディープインパクトが、ハートレー第2彗星( 103P/Hartley 2 )の中心核から約 700 キロメートルまで近づき、史上初めて「彗星の中心核の正確な写真」を撮影することに成功しました。

103P-Hartley2-7.jpg
Spaceweather


このハートレー第2彗星は、地上から観測すると、下のように青く光って見えます。

hertley2.jpg
GITZO


この青い光の「核」はさきほどのような不思議な形をしたものだったのでした。

彗星が実際にはどのようなものなのかということに関しては、核の形状も、その組成も含めて、長い間、正確なところはわからないままでした。

しかし、科学者たちの推測としての「何か無機的な氷のかたまり」というような考え方が長く主流で、たとえば、彼らが彗星を「汚れた雪だるま」という呼び方をしていたこともそれをあらわしていると思います。

どうしてそのように呼ばれるかという理由は、国立天文台の彗星とはどのような天体かに下のようにあります。

彗星の主成分は水(氷)で、表面に砂がついた「汚れた雪だるま」にたとえられます。太陽に近づくと、その熱で彗星本体(核)の表面が少しずつとけて崩壊します。

しかし、これはあまり正しい表現ではないことが、今回、チュ何とか彗星(省略すな)に着陸した欧州宇宙機関( ESA )の探査機ロゼッタの過去の観測でわかってきていました。

下は、2005年、つまり今から9年前の ESA のサイトの記事です。

comet-2005.gif

▲ 2005年10月12日の欧州宇宙機関ウェブサイトより。


ロゼッタは 2004年に打ち上げられましたが、上の記事では、2005年にロゼッタが、テンペル第1彗星という彗星から放出された「ダスト(塵)と水の質量の比率」の計測について記されています。

その観測結果は、ダストの比率が氷より多いことを示し、「汚れた雪だるま」というより「凍った泥の玉」というほうが適していることを示していました。

ちなみに、英国カーディフ大学の研究チームのハレー彗星の観測と分析により、「彗星のダストの成分は、大腸菌と近い性質」だと判明しています。

fred2-025d7.jpg

▲ チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士らのチームによる 1986年のハレー彗星の際のスペクトル分析データ。2011年05月07日の記事「宇宙塵自身が生命であることに言及した 100年前のノーベル賞学者の実験」より。


しかし、このことは書くと長くなりますので、上にリンクした記事をご参考いただければ幸いです。

その5年後、さきほどご紹介しましたように、NASA は、彗星の「核」に撮影に成功します。科学者たちは、その時に初めて彗星の核の詳細な画像を目にしたのでした。

過去記事の、

NASAの探査機ディープインパクトがハートレー彗星の中心核の近影に成功
 2010年11月05日

には、NASA の担当者たちの会見の内容を以下のように記しています。

彗星は、ダンベル形をしており、端側には起伏が多く、中央部分は滑らかになっていることに注目した。起伏の多い部分は、地球での間欠泉などが噴射している特定の地形などと似ているような感じだ。

比較的滑らかな表面の彗星の中央部は、広い地形の上に何かほこりのような細かい物質が集まり、それで覆われているかのように見える。

研究者たちは、彗星が活発な活動を継続し続けていることに驚きを表明した。彗星は、夜側の面でさえガスが激しく噴出しており、氷が太陽の熱から彗星を保護する役割を持っていた。

上の説明からわかるのは、彗星は「激しい活動を続ける天体」であり、「動的」で「生命的」である天体であるということです。そこが小惑星との決定的な違いです。




地球の生命は彗星が運んできた

この「地球の生命は彗星が運んできた」という説は今はそれほど特別な説ではなく、ここ数年で数多くの研究論文などが出されていまして、たとえば、米国エネルギー省が所有するローレンス・リバモア国立研究所の科学者たちは、2010年に「原始の地球に衝突した彗星がアミノ酸を生産した可能性」についての論文を発表しました。

このことは、

[彗星が地球に生命の素材を持ってきた]米国ローレンス・リバモア国立研究所でも地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表
 2010年09月16日

という記事に、デイリーギャラクシーの記事を翻訳していますので、ご参考いただければ幸いです。

この記事には、パンスペルミア説(地球の生命は宇宙に由来するという考え方)研究の第一人者だったフレッド・ホイル博士(2001年に死去)と共に 1980年代から彗星と生命の研究を続けた人物で、現在は英国カーディフ大学の教授であり、アストロバイオロジーセンターの所長であるチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士の以下の言葉が掲載されています。

「彗星に関しての驚くべき発見が続いているが、これらは、パンスペルミア説に対しての議論を補強している。我々は、それがどのようにして起きるのかというメカニズムも解明しつつある。土、有機分子、水 、の生命に必要な要素がすべてそこにある。数多くある彗星たちは確実に地球の生命に関与している」

2013年9月には、英国シェフィールド大学の研究チームが、「上空 25キロメートルの成層圏に気球を上げ、生物の存在の有無を確かめる」という実験をしました。上空 25キロという高さは、地上から上昇される生物の存在を考えがたい高さとなります。

この実験の報道については、

パンスペルミア説を証明できる実験が数十年ぶりにおこなわれ、成層圏で宇宙から地球への「侵入者」が捕獲される
 2013年09月23日

という記事を書きました。

その実験では上空 25キロメートルの成層圏で、下の写真の珪藻(ケイソウ)という単細胞生物などを回収しました。

keisou-2013.jpg


この上空25キロメートルというのは、火山噴火でも、そこまで気流を浮上させるのは無理な高さで、シェフィールド大学の分子生物学者のミルトン・ウェインライト教授は、

「このような大きさの粒子が地球から成層圏まで運ばれることが可能なメカニズムは地球には存在しないため、この生物学的存在は宇宙由来であると結論付けることができます。私たちの結論は、生命が絶えず宇宙から地球に到達しているということです」

としています。

この時は上空 25キロメートルの実験ですが、実は 1960年代にはアメリカで、そして 1970年代には旧ソ連で、「さらに高い上空において微生物を回収」しているのです。

下の図が示しますように、地球の大気構造は下から上へは上がりにくいということを考えますと、上層大気で「生きたバクテリア」が回収されるという理由は、当時の科学的定説(宇宙から地球に生命などは来ていない)では説明が難しいところです。

kousou-bacteria-03.gif
過去記事より。


アメリカは高度 40キロメートルの上空で回収実験を行い、ソ連は高度 50キロメートルの上空で回収実験を行っていますが、そのうちのアメリカ NASA の実験について記されているフレッド・ホイル博士の著『生命(DNA)は宇宙からやってきた』から抜粋します。

『生命(DNA)は宇宙からやってきた』 第2章「地球大気へ侵入する彗星の物質たち」より

1960年代には、アメリカの科学者たちが高度 40キロメートルまで気球を飛ばして、成層圏にバクテリアがいるかどうか調査した。その結果、ごく普通のテクニックで培養できる生きたバクテリアが回収され、実験者を当惑させた。

さらに問題だったのは、バクテリアの密度分布だった。成層圏の中でも高めのところでは、1立方メートルあたり平均 0.1個のバクテリアがいて、低めのところでは 0.01しかいないという結果になったのだ。

高度が高いほど多くのバクテリアがいるという結果は、バクテリアが地上から吹き上げられたと考える人々が期待していたのとは正反対の傾向だった。不思議な結果に、研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。

これは、要するに、

高度が高くなればなるほど(宇宙に近くなればなるほど)バクテリアが多く回収された

上に、

それらは生きていた

ということを示し、今思えば、その時代の科学的概念を覆すような実験結果だったのにも関わらず、

> 不思議な結果に、研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。

のでした。

当時の NASA が、科学的な新しい発見よりも、「当時確立されつつあった既成観念(生命は地球の原始の海で偶然発生した)」を優先していたことがわかります。

この NASA の態度は今でも続いているように思います。

ただ、これに関しては陰謀論で語られることも多いですが、まあ、それもあるのかもしれないですけれど、私自身は、陰謀というより「保身」という面を強く感じます。 NASA に在籍している多くが科学者という「職業」を持つ人たちであり、学会的常識に逆らう結果は出したくないはずです。

まあしかし、その話はいいとして、上記した英国シェフィールド大学の高層大気圏での生物回収実験の少し前、米国カリフォルニア大学バークレー校の化学者たちが、「生命の分子などの構造は、宇宙の星間での氷の塵の中で形成された後、地球へともたらされたかもしれない」という観測結果を発表し、

「彗星は、複雑な分子の温床となりうる。そして、彗星は地球に衝突した際に、これらの分子、あるいは「生命の種」を地球にばらまいている可能性がある」

と発表しました。

カリフォルニア大学の科学者たちが「星間雲で形成され得る可能性がある物質」としたものは以下の通りです。

dnablock.gif
Daily Galaxy

それぞれ文字に起こしますと、

メチルトリアセチレン
アセトアミド
シアノアレン
プロペナール
プロパナール
シクロプロペノン
メチルシアノジアセチレン
ケテンイミン
シアノメチレン


となり、何がどういう作用の物質だかわからないですが、これらはアミノ酸を作り出すために必要なものらしいです。

これらを含めた様々な「生命の部品」を彗星が運んでいるという学説が、最近では亜流ではなく、主流となってきているのが現実ですが、教科書が書き換えられるところにまでは至ってはいません。

それには「明確な証拠」が必要です。

今回のロゼッタのミッションはその可能性を「多少は」帯びたものだと思います。「多少は」と書いたのは、「彗星の内部深くまでは調べられないため」です。

彗星にバクテリアなどが生きた状態で存在するとすれば、凍結した上に温度変化の少ない彗星の内部でなければ無理です。基本的に微生物は、絶対零度(マイナス 273℃)などの超低温になっても死にませんし、むしろ長く保存されます。

これは、たとえば、精子の保存を考えるとわかりやすいと思います。これは動物の精子の保存についでてすが、高知大学農学部のサイトの、

細胞や組織を−196℃の液体窒素の温度に冷却すると、(略)生存させたまま半永久的に保存することができます。

というように、大型生物は無理でしょうが、気温が低い中では微生物なら事実上永久に保存されます。

幸い宇宙空間はそのような気温(マイナス 270℃)の場所で、「小さな生命の保存場所としては最適」の空間ですが、太陽などの近くを通る時には、彗星の表面温度が激しく変化しますので、彗星の表面は生命の居場所としては適しません。

そんなこともあり、表面だけの調査は、パンスペルミア説の証明にとってはそんなに意味があるわけではないというのが正直なところですが……それでも、探査機ロゼッタをチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に向かわせたミッションに、彗星と生命の関係の調査が含まれることは確かだとは思います。

もっとも、昨日の、

探査機ロゼッタがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から受信した「謎の信号」をめぐり展開する様々な説
 2014年11月12日

の中でご紹介した Examiner の記事のように「彗星から発信されている信号とエイリアンの存在に関しての陰謀論」的な話もあるわけですが、そういうことについては私には何ともわかりません。

ただ、彗星というのは、一般的に秒速30キロメートルという途方もないスピードで飛行しているわけで、30キロメートルを1秒間で進んでいるような小さな物体の表面で高等生物がどうのこうのしようとするのは難しいかなとも思います。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は直径が最長部分で4キロメートルしかなく、そのように小さな天体ですので、重力は「地球の10万分の1」しかなく、ロゼッタの子機もそんなところによく着陸などできたなあと思いますが、日本のはやぶさが 2005年に着陸した小惑星イトカワはさらに小さな天体だったわけですし、できるものなのだなあと。




しかしミッションがうまくいかない懸念が発生

さきほど、パソコンに「ちゅ」と打ち込めば、「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」と変換される単語登録をしまして、順調に彗星の名前も書くことができていますが、こういう便利な機能を使えば使うほど、「本質的にはいつまでも覚えない」ということもわかってはいます。

さて、いずれにしても、無事、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に子機を着陸させたロゼッタですが、最初のほうの香港の記事にありますように、太陽電池の充電がうまくいかず、探査に影響が出る可能性が出ています。

ロゼッタは、フィラエという名前の子機を着陸させたのですが、フィラエの着陸の際、機体がバウンドしてしまって、そのため、機体は崖状になったクレーターの縁に着陸してしまいました。

予定していた着陸点と、現在の位置としては下のような状況になっていると考えられています。

Rosetta-Philae-LandingSite.jpg
Earthfiles


この位置は陰に入る時間が多いため、現状、太陽電池で十分に発電できていないということのようです。 ESA によりますと、本来、このロゼッタの子機フィラエは、毎日6〜7時間の太陽光を必要とするらしいのですが、現在の位置では日に1時間半程度の太陽光しか受けられないのだそう。

フィラエのオペレーション責任者のコーエン・ゲウルツ( Koen Geurts )博士は、会見で、

「現在、私たちはこれが近い将来のミッションにどのように影響するのかを計算しているところです。今のところ私からは多くを語ることはできませんが、ただ、残念ながら、これは私たちの期待していた状況ではありません」

と語っています。

フィラエがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星からデータを送信できなければ、彗星の表面の詳細な分析データは得られない可能性もあります。

この彗星の成分に関しては、過去記事にも書きましたように、匂いなどでも多少想像つく部分がありますが、その詳細がわかれば、彗星という存在に対しての考えが変わる転換点になる可能性もあると思うのですけれど、多少、微妙な状況となってきているようです。

それとも、人類という存在は、「自然摂理の真実」を知らずに生きていたほうがいいと考える「見えざる力」が、フィラエにかかったりしたのかもしれませんけれど。



  

2014年11月12日



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rosetta-signal-top.gif

▲ 2014年11月11日の Examiner より。






 


クリム・チュリュモフさんとスヴェトラナ・ゲラシメンコさんのお二方に恨みはないですが

最近、物忘れが激しくて、今回の「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」なんてのも、今まで何度も記事でその名前を書いているのに、どうしても覚えることができません。

チュリ……くらいまで覚えるのに数日かかっているのが現状で、こんなことになったのも「彗星は第1発見者の名前がつけられる」という決まり事のせいでもあるんですね。この彗星を 1969年に最初に発見したのが2人の天文家で、その2人の名前が、

・クリム・チュリュモフさん
・スヴェトラナ・ゲラシメンコさん


という、どこの国の人だかしらないですが、もともとが難解な名前を持つふたりが発見したせいで、このようなことになっています。

もうこうなったら、2人のフルネームを全部くっつけて、

「クリム・チュリュモフ・スヴェトラナ・ゲラシメンコ彗星」

とでもしたらどうだ? ああ?(誰に怒ってるんだよ)

……とかも思ったりもいたしますが、まあしかし、この「発見者の名前がつけられる」ということで、オーストラリアのアマチュア天文家テリー・ラブジョイ( Terry Lovejoy )さんが見つけた4つの彗星はすべて「ラブジョイ( Lovejoy )彗星」なんて素敵な名称がついたという過去もあります。

love-joy-12-15-01.jpg


ラブジョイ彗星に関しては、

史上最大の太陽接近型彗星「ラブジョイ」の太陽からのサバイバル
 2011年12月16日

など何度か取り上げたことがあります。
ラブジョイ彗星は興味深い動きをするものが多かったです。

しかし、今回の主役は、エコエコアザラク系の名称を持つチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星です。

まあ何度も書いていれば、覚えるかもしれないですしね。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星

(意地にならなくていいから)




「歌」をうたっていたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星

欧州宇宙機関( ESA )の探査機のロゼッタが、そのチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の軌道に到達した頃、

「彗星は強烈な悪臭を放っている」ことが観測されたことから改めて思う「宇宙塵も彗星の母体も生き物」で、さらに言えば宇宙はすべてが生き物かもしれないという感動
 2014年10月27日

という記事を書いたことがあります。

comet-smell-002.gif

▲ 2014年10月14日の米国ニュー・サイエンティストより。



このチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、名称も難解ですが、形も難解というか奇妙で、下のような形をしています。

Churyumov-Gerasimenko-003.jpg
・ESA


この彗星は形状も興味深いですが、上の過去記事にあるように「強烈な匂い」を放っているということもロゼッタに搭載されている ROSINA と呼ばれ分析計のデータによりわかりました。

このチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、

・硫化水素
・アンモニア
・シアン化水素
・ホルムアルデヒド
・メタノール
・二酸化硫黄


などが混合した「すさまじい悪臭」を発しているのです。

そして、無機物と有機物が混合しているという点で、「ただの無機的な氷のかたまりなどではない」ということもわかります。

そして、今度は、匂いだけではなく、この彗星は「音」を発していたことがわかったのでした。

正確にいうと「信号」です。

そして、探査機ロゼッタは、今日 11月12日に、人類史上初めてとなる「彗星への着陸」を試みます。以下は、ITmedia ニュースの記事です。

人類初の彗星着陸へ 探査機「ロゼッタ」、12日に着陸機投下
ITmedia ニュース 2014.11.11

欧州宇宙機関の彗星探査機「ロゼッタ」は日本時間の11月12日午後5時半ごろ、着陸機「フィラエ」をチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に向かって投下する。成功すれば人類史上初の彗星着陸となる。

ロゼッタは2004年3月に打ち上げられ、途中で電力を節約する「深宇宙ハイバネーション」に入り、今年1月に2年7カ月ぶりに再起動。総距離60億キロという旅を経て8月に同彗星に到着した。

ロゼッタは周回しながら同彗星の観測を続け、いよいよ着陸機・フィラエの投下に挑む。着陸ポイントは公募によって「アギルキア」と名付けられた。

さて、着陸に関してはともかく、この「信号」なのですが、欧州宇宙機関は、ロゼッタから送信されたデータを受信して、すぐにこの音を、サウンドクラウドというインターネット上で音楽などを公開するサイトにアップしました。

欧州宇宙機関は、アップした音源にに下のように「歌う彗星( A Singing Comet )」と名付けています。

singing-comet.gif
Soundcloud

上に書いてある内容は以下のようなものです。プラズマ・コンソーシアム( Plasma Consortium )というのが何かわからなくて、そのままカタカナにしています。

歌う彗星

探査機ロゼッタのプラズマ・コンソーシアム装置( RPC )は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が宇宙空間に向けてミステリアスな「歌」を放っていることを明らかにした。この「歌」の原因だが、彗星の環境での磁場の振動により「歌」が作られているように考えられる。

それらの音は、人間が一般的に聞き取ることができる 20ヘルツから 20キロヘルツよりはるかに下の周波数である 40から 50ミリヘルツの周波数だ。今回アップしたものは、人間の耳にこのサウンドが聞こえるようにするために、録音の際に周波数を増している。

というわけで、ここにアップされている音はそのままのものではないようですが、どんなものか興味のある方もいらっしゃると思いますので、欧州宇宙機関がアップしたものをそのまま貼っておきます。




聴いてみますと、「音程」も「音質」もかなり頻繁に変化していて、欧州宇宙機関が「歌」と表現した気持ちもわかります。

それで、その音の原因は、欧州宇宙機関は、

「磁場の振動により起きているのではないか」

ということを書いています。

この彗星は地球から「4億キロメートル」離れた場所を飛んでいて、そこがどんな環境なのかを想像することは難しいですが、「磁場の振動」という表現が出てくるということは、「磁場が存在する」ということでいいのでしょうかね。

しかし……巨大とはいえ、たかだか4キロ程度の天体に、クリアな信号を出すほどの磁場が存在し得るのですかね。そのあたりの科学的なことはさっぱりわかりませんので、とりあえず、ESA の言うことを素直に聞いておくことにします。




地球や宇宙の音や信号の正体

こういう「音」や、あるいは「信号」、「電波」は巨大な天体ならどこでも発生していて、たとえば地球そのものも様々な周波数の音や信号を発しています。

木星からの信号も有名です。

木星電波 - Wikipedia

1955年、バーナード・バーグとケネス・フランクリンは、木星から発せられた断続的な22.2メガヘルツの電波信号を検出した。研究によって、木星は3種類の電波を発していると判明した。

あるいは、さらに「遠くからの宇宙の信号」といえば、

110億光年の彼方の宇宙から 10秒ごとに正確なサイクルでシグナルが発信されている

ということが判明したこともありました。

これについて、マンチェスター大学での調査が始まったことについて、

銀河系外の宇宙から 10秒周期に発信されている電波信号の存在の探査が始まる
 2013年07月08日

という記事に書いたことがありますが、わりといろいろなところから「信号」は来ているようです。

しかし、その発生源が生じる原因について、正確にわかったことはないようで、いろいろと「謎だらけ」というのが宇宙というもののようでもあります。

今回のチュ…………(考えるんじゃない、感じるんだ)……チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の音に関しても、磁場で説明できるものなのかどうかは今のところ何ともいえないわけで、諸説出てくることかと思います。

謎の音……というと、「地球」の謎の音についても、

世界中で響き渡る音から「ヨハネの黙示録」の天使のラッパを考える
 2012年02月21日

をはじめとして、過去にずいぶんと書きました。

最近はブームも去ったようで、 YouTube などへの投稿は減ったようですが、しかし報道ベースでは、特にカナダとアメリカでは一貫して「謎の音の報道」が常になされています。

insane-noise-top2.gif
Extinction Protocol


しかし、地球の「音」については今回は余談ですので、ここまでとしておきます。

そんなわけで、冒頭の Examiner の記事をご紹介します。

この記事は一種の陰謀論系の内容で、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星彗星から発信されている音は自然のものではなく、この彗星に知的生命体がいる可能性について書いています。

そのあたりの考え方は人それぞれですが、「磁場のない宇宙空間での生物と生命の関係性」についての私の考えは、わりと最近の記事、

人類は本当に「ヴァン・アレン帯を通過して月に行ったことがあるのだろうか?」という疑問を各地で噴出させている NASA の次世代宇宙船オリオンのミッション
 2014年10月31日

に書いていますが、やはり、強力な磁場と大気を持たない天体に(微生物以外の)生命が滞在するということは大変に難しいことではないかと思ってはいます。

それでも、彗星にそのような、知的生命のようなものがいるかもしれないというロマンを持つことも決して悪くないと思いたいところもあります。



Mystery signal from Rosetta comet confirmed by European Space Agency
Examiner 2014.11.11

探査機ロゼッタが着陸する彗星から謎の信号が発せられていることを欧州宇宙機関が確認

欧州宇宙機関(ESA)は本日、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星( 67P/Churyumov-Gerasimenko )から謎の信号を受信したことを確認した。その音はライブストリーミングサイトで公開され、記事で、ESA は、この信号を「謎の歌」と表現した。

以前から探査機ロゼッタには「本来のミッションがある」という噂があった。そのミッションとは、20年前に地球で受信した信号を確認するために、ロゼッタを彗星に派遣したというものだ。

11月12日にロゼッタは彗星への着陸を試みる。この模様はライブストリーミングで世界に公開される。

しかし、今回の ESA の「信号」に関しての発表は、人類初の彗星への着陸ということ以上に驚きであったといっていい。

ESA は以下のように記事で述べている。

「探査機ロゼッタのプラズマコンソーシアム装置( RPC )は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が宇宙空間に向けてミステリアスな「歌」を放っていることを明らかにした。この「歌」の原因だが、彗星の環境での磁場の振動により「歌」が作られているように考えられる」

メディア「 UFO サイトニング・デイリー( UFO Sightings Daily )」は、9月29日に「 NASA はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から 20年以上にわたって、ラジオ信号を受信していた!」と題する記事を掲載した。

記者のスコット・ワリング( Scott Waring )氏は、探査機ロゼッタの本当のミッションは、この NASA が 20年前に検出した信号の調査だと ESA の匿名の内部告発者が語ったことを記している。

ワリング氏と同じような主張をする人たちは他にもいたが、彼らは多くのメジャーメディアから非難された。ハフィントン・ポストの記者、マイケル・ランドル( Michael Rundle )氏は、以下のように述べる。

「もし、彗星が電波を発しているのならぱ、なぜ、これまで誰もそれを拾うことができなかったのか。そして、それが NASA によって傍受されたのなら、なぜ、 NASA は自ら宇宙の調査ミッションを行わずに ESA がそれを行ったのか」

今回、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から信号が出ていることが確認されたことによって、ワリング氏が正しかったことになる。

ESA はこの信号は、磁場の振動によって起きるとしているが、大きな問題は、この音が ESA が主張するように、自然現象として作られたものなのか、それとも、あるいは知的生物によって作られた可能性があるのか、ないかだ。

ロゼッタが 9月10日に撮影した写真には、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面に、無線タワーのようにも見えるものや、 UFO といえる可能性がある物体が写っている。 ESA の匿名の内部告発者はこの彗星の写真の背後にはいくつかの謎があることを示した。

もし、今回の彗星からの信号が、20年前に NASA が検知したもので、そして、探査機ロゼッタがその調査のために向かったのだとすれば、 NASA も ESA も、その信号を自然現象を越えたものだと確信していたと考えることもできなくはない。

もし、知的生命体がこの地球に彼らの存在をアナウンスしたいと思っているのならば、遠く離れた彗星から放たれる美しい歌は「ファースト・コンタクト」の優雅なフォームを現している。



  

2014年11月11日



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サイクル23とサイクル24の「期間」のデータが示すこと

太陽活動のレポートを更新して掲載し続けている Solen.info に興味深いグラフがありました。

下のグラフです。
日本語はこちらで入れています。

cycle-comparison.gif
Solar Terrestrial Activity Report






 


約 11年ごとに繰り返される太陽活動周期(サイクル)の直近の4つのサイクルの黒点数を時系列を同じくして比較したものです。

それぞれのサイクルは以下のようなものです。

サイクル21 1976年6月から1986年9月まで(期間は10年3ヵ月)
サイクル22 1986年9月から1996年5月まで(期間は9年7ヵ月)
サイクル23 1996年5月から2008年12月まで(期間は12年6ヵ月)
サイクル24 2008年12月から現在進行中


上のグラフを見て、まず明らかにわかるのは、現在のサイクル24が、直近の活動の中で全体として最も黒点数が少ない、つまり活動の弱いサイクルだということです。

しかし、そのことについては、過去記事、

太陽活動が「過去200年で最も弱い」ことが確定しつつある中で太陽活動は復活するか
 2013年10月21日

など何度か記したことがあり、現在の太陽活動が最近の数百年では例を見ないほど弱いものだということは、2013年の時点で確定的な事実となっていました。

なので、太陽活動が弱いことはすでに明らかなことだとして、そのこととは別に、グラフの曲線に「興味深い他との違い」が見られるのです。

太陽活動周期は、約 11年のサイクルで黒点数が増えていき、また減っていくということを示すサイクルですが、新しいサイクルのスタートは「最も太陽活動が弱い時(太陽活動極小期)が確認された月」からカウントが始まります。

約 11年とはいっても、1755年に「サイクル1」として番号がつけられ始めてからの太陽活動の周期の時間にはバラツキがあり、最も期間の短かったのは、1766年から 1775年までのサイクル2で、この時には「9年ちょうど」で太陽活動周期が終了しました。

そして、最も長かったサイクルは、1784年から 1798年までのサイクル3で、このサイクルは 13年 7ヵ月も続きました。

なお、今の前の太陽活動周期のサイクル23は「それ以来長い活動周期」で、12年 6ヵ月続きました。

そして、上のグラフを見ますと、次のことに気づきます。

通常のサイクルだと活動周期開始後から 50ヵ月くらいまでに最も黒点が多い活動最大期に達し、そこから徐々に黒点数は減り、60ヵ月頃から加速度的に黒点は減っていく。

しかし、現在のサイクル24は通常だと活動が落ち始める 50ヵ月目あたりからさらに上昇を続けていて、60ヵ月を越えてもまだ上昇し続けている。

他のサイクルのグラフを見ますと、黒点の最大期間が 20ヵ月間くらいの間続いた後に、活動は減少に転じていますので、もし、現在のサイクル24がいまだに太陽活動の最大期に向かっているとすれば、黒点数が落ち始めるまで、もう少し時間がかかることになりそうです。

どうも、このグラフを見る限りは、今回のサイクル24という太陽活動周期は、1784年から 1798年まで、13年 7ヵ月続いたサイクル3のように「長い太陽サイクル」になる可能性があります。

ここで、昨年 2013年 12月の、

地球は黙示録モードに突入:ヨーロッパに「史上最大級の暴風雪」が近づく中で、各地に出現するVサインは何への勝利の意味か
 2013年12月04日

という記事でご紹介した、東京大学 宇宙線研究所の宮原ひろ子さんという方が 2008年に書かれた「中世の温暖期と近世の小氷期における 太陽活動と気候変動」という資料的論文の中にある下のフレーズを思い出します。

cycle-22.gif


つまり、

前回のサイクルの期間が長いと、次のサイクルの太陽活動が弱くなる。

という傾向が過去にはあったのです。

現在のサイクルの前のサイクル23は上にもありますように、「 12.6 年」という長い期間続きました。そして次のサイクル、つまり現在のサイクル24は、宮原ひろ子さんが「長いサイクルの次のサイクルは弱い太陽活動となる」と予測された通りに「過去数百年で最も弱い太陽活動」のまま進行しています。

そして、さらに、過去の小氷期とも重なった、太陽活動極小期もその直前には「サイクルが長かった」と記されています。

下のグラフは 1790年から 1830年まで 40年間続いた「ダルトン極小期」と呼ばれる黒点の数が少なかった際の活動周期で、この極小期の間は、やはりサイクルが 13年に伸びていた時期が続いていたことがわかります。

Dalton-Minimum.gif


そして、続けて下のように書かれています。

11-13.gif


何が言いたいかと申しますと、前回のサイクル23の期間は 12.6年と、過去 200年ほどの間で最も長い活動周期でした。そして、現在のサイクル24が、もし現在のグラフが示しているように「サイクルの期間が長くなる可能性がある」とした場合、さきほどあげました、

「ダルトン極小期のような過去の極小期と似たサイクルの連続となる」

ということになります。

これはつまり、

再び太陽活動の極小期に入る前ぶれといえる可能性がある

ということです。

過去の太陽極小期には、地球上の平均気温は数十年にわたり低下したのですが、ダルトン極小期の場合、その途中で、1816年にインドネシアのタンボラ山の大噴火があり、そのためだけなのかどうかわかりませんが、1816年は「夏のない年」と言われました。

この年に関しては、夏のない年 - Wikipedia で説明されています。

世界中で異常な寒さが観測されただけではなく、

・穀物価格の急騰
・飢餓や伝染病の発生
・死亡率が上昇


などが世界中で起きたことが書かれています。

現在の太陽活動のサイクル24が終了するまでは、あと何十ヵ月もかかりますので、最終的に現在のサイクル24がどうなるのかはわからないですが、サイクル24が 13年間、あるいはそれ以上の長いサイクルになった場合、過去の極小期のパターンとかなり一致してくることになります。

そして、太陽活動と加えて、先日の、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
 2014年11月08日

という記事での、アメリカのマーク・サーカス医師のブログの「なぜこんなに早く寒くなり続けている?」という内容についての記事。

記事の大まかな概要としては、

・ロシア科学アカデミーの科学者たちが 2006年に「地球は 2012年から 2015年の間に寒冷期に入るだろう」という予測をプレスリリースで発表したこと

・その地球の寒冷期の主な要因は太陽活動の縮小にあり、寒冷期は 2055年頃まで続くとしたこと

・しかし、そこには、寒冷化の要因として「火山噴火の増加による太陽光の遮断の影響」は含まれていないこと


などが書かれており、サーカス医師は、最近の大気中への火山灰の分布についての研究結果から、「最近の火山噴火の増大も地球の寒冷化に大きく関係するのではないか」ということを述べています。

このことについては、米国エネルギー省が所有する国立研究所であるローレンス・リバモア国立研究所
の気候科学者も、地球の成層圏のエアロゾル(大気中に浮かんだ微粒子)の最近 10年間の増加により、「すべての温暖化の要因を打ち消して、地球を寒冷化に導く可能性がある」というようなことを述べていたということも書かれていました。




太陽からの放射量そのものは過去からほとんど変化していないという事実

さきほど掲載しました、東大宇宙線研究所の宮原ひろ子さんによる「中世の温暖期と近世の小氷期における 太陽活動と気候変動」の中に下のようなページがあります。
赤いカコミと赤い文字はこちらで入れたものです。

sun-beam-01.gif


気候の変動に関係しているのは、宇宙線が 15パーセント、紫外線が 3パーセント、とあり、日射量は何と 0.1パーセントの関与しかないことがわかります。

紫外線も太陽からのものですので、それが 3パーセントありますが、合わせても、太陽からの直接的放射の影響というのはその程度のようなのです。

太陽の日射量の変動が気候の変動に関わる率は低いということ?

しかし、少し考えまして、この意味を私が取り違えていることに気づきました。

上の「日射量の変動」というのは、「太陽からの地球への日射量そのものの変動」についてのことで、これは「太陽変動」と呼ばれていて、 Wikipedia には、

太陽変動とは、太陽からの放射量の変化を指す。

(長期間の太陽変動について)解釈可能な変化も近年の議論の結果、現在から2000年前まで0.1パーセント前後の幅でしかないことが判明した。

と書かれていて、太陽からの放射量そのものは、長期間で見てもほとんど変化していないものだということがわかってきています。

同時に、2006年に科学誌ネイチャーに発表された報告書によれば、

1970年代の半ばから、太陽の輝度について純増が見られず、太陽の熱出力の変化が過去400年に渡って地球温暖化に対する影響をほとんど与えていない。

という研究結果も出されてもいます。

結局、太陽の放射量そのものは、ずっと過去に遡っても、ほぼ変化していないということのようです。

しかし、地球(地表)が受ける太陽の放射量は確かに変化しているのです。

たとえば、1600年代後半に約 30年間も太陽に黒点がほとんど出なかったマウンダー極小期に地球が受けた太陽の放射量は異常に少ない状態が続いていたことが、先の資料にある下のグラフでわかります。

maunder-sun-beam.gif


Wang とか Lean というのは研究者の名前のようですが、マウンダー極小期は、30年間も日射量が少ない状態が続いていたことが、どちらの研究結果でもわかります。

そして、それらの中でも「影響の大きなもの」として、さきほどの東大宇宙線研究所の資料には、

「銀河宇宙線 15%」

とあります。

宇宙線の量の変化の方が、太陽変動よりも地球の気候に大きな影響を与えているということのようです。これはどうしてかというと、やはり、同じ資料にある下のグラフでわかります。

宇宙線量の変化と地球の「雲」量の変化の相関関係
cosmic-ray-clouds.gif


つまり、

「宇宙線が増えると、地球の雲が増える」

のです。

くもりの日が増えれば、必然的に気温は下がる傾向に向かいます。それに加えて、火山噴火などで大気中の汚染が進めば、さらに気温に影響するはずです。

この「宇宙線と雲の関係」は過去に何度か記事にしたことがありまして、ご参考いただけると幸いです。

「銀河からの宇宙線が直接地球の天候を変化させている」 : デンマーク工科大学での実験で確定しつつある宇宙線と雲の関係
 2013年09月05日

「宇宙線が雲を作るメカニズム」の一部を欧州原子核研究機構 CERN が解明
 2011年08月26日

この「雲と宇宙線」のことに興味を持ったのは、宇宙線が地球の雲を作り出すことに関係しているとした場合、「地球の天候が、宇宙からの直接的なコントロール下にあるということのひとつの証となる可能性がある」からです。

そしかし、この宇宙線の発生源はどこかというと、

「それはわからない」

のです。

宇宙から地球に来ているものや観測されるものの発生源は多くがわからないです。

天文学で知られている中で最も明るい光の現象である「ガンマ線バースト」というものがあります。

このガンマ線バーストの発生源の研究はかなり進んでいますが、それでも、2011年の時点では下の通りです。

fermi-g5.jpg

▲ 2011年09月11日の記事「ガンマ線バーストの発生源の3分の1は完全に不明」より。


ガンマ線バーストはともかくとして、宇宙線は「地球を通り抜けていくほど微小な物質」であるけれど、「物質」ではあり、だからこそ、雲の生成の他にも、地球の多くの現象に影響を与えているのではないかという説は数多くあります。

しかし、それを証明するのは並大抵のことではないと思うと同時に、「宇宙線がどこからやってくるのか」ということも多分ずっとわからないと思われます。

しかし、地球の天候は、(すべてではなくとも)確かに太陽と宇宙からの直接的影響を受けて変動していくものであることは確認できます。

たとえ、私たち現在の人類が「宇宙のことを何もわかっていないのも同然の状態」であるとしても、数千年の(地球規模で見れば短い)データを見るだけなら、この先の地球は、多分、極小期や、それに近い太陽活動に近づいていることが見てとれます。

そして、それらのデータは、結果として、地球は小氷期を含む寒冷化に向かっているかもしれないという可能性がかなり高いことを示唆しているのかもしれません。