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2014年12月31日



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小惑星の地球への突入から始まった2014年の最後の日々に「世界の海氷面積が観測史上最大」に



lovejoy-2014-top.jpg

▲ 2014年12月30日のスペースウェザーより。






 



5つ目のラブジョイ彗星

大晦日となりましたが、何だか最近は「年末年始感」を感じないですね。20年くらい前までは、まだお正月が近い日には「特別感」というものを感じていましたけれど、最近は何も感じないです。

ところで、上のラブジョイ彗星(正式名称は C/2014 Q2 )が、現在、肉眼でも見える位置を飛行していることが、スペースウェザーの記事で説明されていました。

この Love Joy(愛と楽しみ)という名を持つ「ラブジョイ彗星」は、2011年から 2013年まで何度か取り上げたことがありますので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれせん。

史上最大の太陽接近型彗星「ラブジョイ」の太陽からのサバイバル
 2011年12月16日

アイソンより明るく光るラブジョイ彗星が見られる地球上では…
 2013年11月14日

など、過去何度か記事にしたことがありますが、実は「これらはそれぞれが別のラブジョイ彗星」なのです。

彗星の名称には一般的に、最初に発見した人の名前がつけられます。

最初の発見者が複数だった場合は、「それぞれの名前がひとつの彗星に同時につけられる」こともあります。

たとえば、今年秋に、彗星探査機ロゼッタが着陸に半分くらい成功して話題になりましたチュ…………(頑張れ)チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星がありますが、この覚えにくい彗星の名前の由来を、

探査機ロゼッタがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から受信した「謎の信号」をめぐり展開する様々な説
 2014年11月12日

という記事に書いたことがあります。
この彗星は、

・クリム・チュリュモフ
・スヴェトラナ・ゲラシメンコ


というお二方によって発見されたために、このような名称の彗星となっています。

そして、ラブジョイ彗星も人の名前で、オーストラリアのアマチュア専門家のテリー・ラブジョイ( Terry Lovejoy )さんによって発見されたものですが、このラブジョイさんは「すごい彗星ハンター」なのです。

2007年以来、ラブジョイさんが発見して、「ラブジョイ彗星」と命名された彗星は5個もあります。後ろの英数字が正式名称です。

2007年3月 ラブジョイ彗星 C/2007 E2 発見
2007年5月 ラブジョイ彗星 C/2007 K5 発見
2011年11月 ラブジョイ彗星 C/2011 W3 発見
2013年9月 ラブジョイ彗星 C/2013 R1 発見
2014年8月 ラブジョイ彗星 C/2014 Q2 発見


なぜ、こんなに彗星を発見できるのかというと、ラブジョイさんは情報技術者で、デジタルカメラを天体写真用に改造する方法を編み出したのです。Wikipedia によりますと、

ラヴジョイがそれらのフィルタを改造するための方法を発表した後、アマチュア天文家の多くが遠距離天体の写真撮影技術を向上させることができた。

というように、アマチュア天文家全体への貢献度も高い方なのでした。

今年8月に発見されたラブジョイ彗星は、ちょうど今の時期の年末年始あたりにもっとも明るく見えるということのようです。

年の初めに「愛と楽しみ」というような響きの彗星が地球から見えるというのは、そんなに悪いことでもないかもしれないですね。




ついに海氷面積が観測記録史上で最大に

というわけで、本題なのですが、タイトルにある「小惑星の地球への突入から始まった2014年」というのは、今年はじめの記事、

「元旦に発見された小惑星はその翌日に地球を直撃した」 : そんな始まりを告げた 2014年
 2014年01月04日

に書きました「 2014年 1月1日に発見された小惑星が 1月2日に地球の大気圏に突入した」ことをご紹介したものでした。

2014aa-0102.gif
Sky and Telescope

それが今年の始まりの出来事で、それでは、今年の終わりの「大きな出来事」は何かというと、

地球の海氷面積が観測史上最大になった

ことだと思います。

南極の海氷面積はずっと観測史上最大のままだったのですが、北極のほうは平均より氷の面積が少なく「南極と北極で状況が二分している」というような状態のため、世界全体の海氷面積は 10月くらいまでは「平年よりやや面積が広い」程度だったのですが、12月に入り、状況は一変しました。

南極の海氷量が急激に上昇したことに伴って、世界全体の海氷面積がどんどん上昇しました。そして、12月15日には、観測史上4番目の海氷面積となりました。

下のグラフは、

全世界の海氷面積が1988年以来最大に
 きたるべき地球のかたち 2014年12月17日

に載せたものです。

2014年12月15日の世界の海氷面積
sea-1215.gif
Sea Ice Extent – Day 348 – Highest Global Sea Ice Since 1988


そして、下が 12月29日の世界の海氷面積です。

2014年12月15日の世界の海氷面積
sea-ice-1229.gif
Sea Ice Extent – Day 363 – Highest Global Sea Ice and Highest Antarctic Sea Ice For The Day


このように、2014年のほぼ最後になって、海氷観測が始まって以来、最大の海氷面積が記録されたわけですが、最近の増え方を見ますと、しばらくは最大面積のままを維持するように思えます。

ところで、海の氷が多いということは、海水面の温度が「低い」と考えるのが妥当だと思うのですが、過去記事、

北半球の雪で覆われた面積が観測史上最高を記録。なのに、気温と海水表面温度は観測史上で最も高いという異常な矛盾
 2014年12月06日

の中でご紹介しましたワシントンポストの記事から引用しましたように、現在、海水の表面温度は平年と比べて「異常に高い」ことが確認されているのです。

ちなみに、海の氷の面積が過去最大を記録しているだけではなく、北半球では「雪で覆われた地域」も2014年は過去最大を記録しています。

Northern-Hemisphere-snow3.gif

▲ 1967年から2014年までの雪で覆われた面積の推移。 ラトガース大学 全球降雪研究所( Rutgers University Global Snow Lab ) より。




地球の海水表面温度は高いまま

海には観測史上最大の氷が広がり、陸地にも観測史上最大の積雪と面積が広がるというようなことになっている中で、海水表面温度はどのようになっているのか。

アメリカ海洋大気庁( NOAA )の最新のデータは下のようになっています。

2014年12月29日の海水面温度の平年との差異
sea-temp-1229.gif
NOAA


縮小していますので、わかりにくいと思いますが、しかし、全体をパッと見ても、「黄色からオレンジの海域が多い」ことに気づかれると思います。

黄色以上は、平年より海水表面温度が高い海域です。

赤で示される場所は「平年より非常に海水温度が高い海域」となりますが、細かく見ますと、以下のような場所が、異常なほど海水温度が高いです。

海水温度が高いと、大気中の水分量が増えたり、あるいは荒れた天候の気圧が発達しやすいというようなこともありますので、気温などとの兼ね合いもありますが、この赤い海域の周辺は「大雨や大雪が降りやすい環境」となっていると言える場所かもしれません。

america-sea-teperature.gif


japan-sea-temperature.gif


norway-sea-temperature.gif


これを見ると、今現在、日本海の海水温度も平年と比べて異常なほど高いことがわかります。

いろいろな要素がありますので、何ともいえないですが、この高い海水温度が、この地方周辺での長期間の大雪や荒れた天候につながる可能性もないではないかもしれないです。

いずれにしましても、こんなように、

氷も雪も多くて、各地で寒波の記録が続出しているのに、海は暖かい。

という、何となくアンバランスな状態のまま、2014年が過ぎようとしています。

来年がどのような年になるかは、なってみないとわからないですけれど、楽な部分よりは厳しい部分が多いような気配はあります。

それでも、世の中がどのようになっても、自分の気分や感情を決定するのは最初から最後まで「自分の意志」ですので、つまり、来年がどのような年かというのは、結局、個人個人の心が決めるものだとは思います。

むやみに周囲に飲み込まれないように平常心で進めば、波があっても乗り越えられるはずだと信じたいです。

そして、今年も大変にお世話になりました。
ありがとうございます。



  

2014年12月30日



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▲ 2014年12月29日の Epoch Times より。






 


お礼といっては変なのですが

今日は物騒な記事なんですが、その前に、お礼という表現でいいのかどうか迷いますが、書いておきたいことがあります。

1週間ほど前に、

純正のオリーブオイルの味の衝撃を教えてくれた瀬戸内海の小豆島の施設の人びとから「ほぼ100%」に入ることのできない子どもたちの世界を思い出す
 2014年12月22日

という記事を書かせていただきましたが、その後、この記事を見て、このオリーブオイルを作っている社会福祉法人「ひまわりの家」にお問い合わせがたくさんがあったのだそうで「突然、お問い合わせが増えた原因は?」というようなことになったのでしょうが、問い合わせされる方々が上の記事を見てらっしゃる方だったことがわかったのだそうです。

そのことについて、私がオリーブオイルを購入したグループ展に参加されていた方のひとりから、うちの奥さんにお礼のメールがありました。

extra-virgin-oliveoil2.jpg


私は関係者ではないですので、「お礼」というのは厚かましい書き方なのですが、オリーブオイルの売り上げは全額、作っている障がい者の方々本人の給料になるそうですので、施設で働く人たちの給料が少しでも増えればいいなとは思って書いた部分はあります。

なので、お礼として書かせていただきたいと思った次第です。

それにやっばり、この「ひまわりの家」の理事長さんの名前が、

岡 裕 さん

ということになっているのに対して、うちの子の名前が、

岡 裕 〇

ということにもちょっと思うところがあったりしました。

私の子どもは、〇のところに一文字漢字が入るわけですが、これは偶然とはいえ、ややシンクロを感じないわけにもいかないところでした。

しかし、このオリーブオイル、価格はややお高いですけど、この味なら普通に高級系スーパーなんかに置けば、売れると思うんですけどね。

現在流通しているエキストラバージンオイルのほとんどが「限りなく偽物に近い」ことがわかってしまった以上、「どれが本物か」を探る基準はなかなか難しいものがあるわけで、「1から生産して作っている」と証明できる、このような商品なら、福祉云々の冠がなくとも、必ず売れると思います。

というわけで、書いてよかったなと思いました。


さて、ここから物騒な話です。




2014年1年間だけで「3機」も消滅したマレーシア機

エアアジア機の失踪は、ご存じかと思われますが、今年1年間だけで、マレーシアの航空機に起きた事件は以下のようになります。

3月8日 マレーシア航空370便 消息を絶つ(乗客乗員 239名)

melaysia370.jpg

マレーシア航空370便は、マレーシアのクアラルンプールから中国の北京に向かっていたマレーシア航空の定期旅客便である。2014年3月8日、タイランド湾上空で消息を絶ち、現在行方不明となっている。

Wikipedia より。

7月17日 マレーシア航空17便 撃墜(乗客乗員 298名/全員死亡)

malaysia17.jpg

マレーシア航空17便 (MH17)は、2014年7月17日にオランダ・スキポール空港からマレーシア・クアラルンプール国際空港に向かっていたマレーシア航空の定期便。17時15分頃、ウクライナ・ドネツィク州グラボヴォ村に墜落した。

Wikipedia より。

12月28日 エアアジア8501便 消息を絶つ(乗客乗員 162名)

air-asia8501.jpg

インドネシアなど東南アジア諸国の当局は29日、インドネシアのスラバヤからシンガポールに向かう途中で消息を絶ったエアアジア 機の捜索を再開した。同機には乗客155人、乗員7人が搭乗していた。

エアアジアのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は記者会見で、「非常にショックを受けているが、まだ何が起きたか分かっていない」と語った。


ブルームバーグより。

ここに至って、もうこれは異常な出来事の連続だというように考えても構わないのではないかと感じることもあるのですが、今回のエアアジア8501便の場合は、「エアアジア機の残骸確認」(時事通信 2014.12.30)という報道もあり、墜落である可能性が高いわけですけれど、事故は事故として、本当に「通常の事故」なのかということに焦点があるような感じもします。

ウクライナ上空で撃墜されたとされるマレーシア航空17便にしても、今でも、撃墜したことを認めた国や組織はないわけで、結論が出ることもなさそうな雰囲気にもなっています。

このような異常な航空機の消失や墜落が続いている中で、冒頭に載せました記事のように、

「この出来事を予測していたような書き込み」

が、中国のインターネット上の投稿サイトに記されていたことが判明しました。
それは 8501便の失踪事件が起きる 13日前に書かれたものでした。

下がその「マレーシア航空だけではなく、エアアジアにも黒い手が迫る」というタイトルの書き込みです。

冒頭の Epoch Times の記事タイトルには「中国人ブロガー」とありますが、中国語で書かれてあるというだけで、中国人であるかどうかまではわかりません。

ch-blog.gif

▲ 2014年12月15日の BBS Ianya より。


内容は、わかりづらい部分も多いのですが、

・国際的な「黒い手」がマレーシア航空307便の失踪とマレーシア航空17便の撃墜を起こすことにより、世界第6位のマレーシア航空を崩壊させた。

・次はマレーシアのエアアジアが狙われている。

・背後にいる勢力はあまりにも強大だ(なので防ぐことはできない)。

・さらに、その勢力は極めて悪質な心を持つ勢力だ。

・中国の人々は、当面、エアアジア機に乗らないようにしてほしい。

というような感じのことが書かれてあるようです。

この書き込みの13日後の 12月28日に、エアアジア8501便が失踪します。

冒頭の Epock Times は、このことについてふれた記事でした。
先に記事の概要をご紹介しておきたいと思います。




Chinese Blogger Warned of Pending AirAsia Disaster
Epoch Times 2014.12.29


中国人ブロガーがエアアジア機に差し迫る危機を警告していた


エアアジア機が消息を絶った 13日前に、中国人ブロガーが「黒い手」と表現する組織が、エアアジア機をターゲットにしているとネット上に記していたことが判明した。

12月15日に、ブロガーは、マレーシア航空、および、エアアジア機には乗らないように警告し、「命の危機と関係することですので、注意して下さい」と書いた。

そして、12月28日、エアアジア機 QZ8501便は、乗員乗客 162人を載せたまま、午後 7時17分にジャカルタの管制塔との接触を失った。

投稿者は、失踪事件が起きた後には書き込みをしていない。
現在までに、この書き込みは 250万回以上閲覧された。

この投稿者は、マレーシアの航空会社の出来事には国際犯罪組織が関与していると主張する。その組織について、投稿者は「黒い手」と表記するが、これは、中国では一般的にはギャングやマフィアなどの組織を意味する。

投稿者は、コメントの中で、「手に負えない米国」( stubborn U.S )という言葉も残している。

この書き込みに対しては、様々な反応があるが、最も妥当な考えは「単なる偶然」という可能性が最も高いのではないかというものだ。





ここまでです。

現状では「書き込んだら、その通りになってしまった」という単なる偶然説が有力なようです。

しかし、上の Epoch Times ではふれられていませんが、実は、マレーシア機に「危機が迫っている」ことについて、今年の7月、ベトナム人女優もネット上に「警告」の書き込みをしていたのでした。

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7月のマレーシア機17便の撃墜の前にベトナム人女優がネットに記した警告

mh17-prediction.gif

▲ 2014年7月21日のベトナム Sao Onlin より。7月17日にウクライナ上空でマレーシア航空17便が撃墜されたとされる事件のすぐ後の頃の記事です。


上の記事のタイトルに名前が出てくるズーン・イエン・ゴック( Duong Yen Ngoc )さんというのはベトナム人女優であり、モデルでもあります。検索すると、写真やページなどが相当出てきますので、少なくとも,ベトナムではそれなりに著名な方だと思われます。

下の方です。

Duong-Yen-Ngoc3.jpg
ngoisao.net

お美しい方ですが、この方が、 SNS に下のような「警告的な書き込み」をしていたことがわかったのです。

Duong-Yen-Ngoc2.jpg
Sao Onlin

ベトナム語で書かれていまして、内容を正確に把握することは私には不可能ですが、大体の意味としてなら何とかなりそうです。以下のようなことが書かれてあるようです。

ズーン・イエン・ゴックさんの SNS の書き込み

これを読まれている方の中で、飛行機で海外に行こうとしている方がいた場合、私がこれから書く内容を思い出して下さい。

それは、マレーシア航空、そして、もうひとつのマレーシアの航空会社の旅客機に乗ることはやめてほしいということです。

これは、私が1年前に諜報関係から得た情報源を元にして書いています。

(私はこのことを利益や便宜のために書いているのではありません)

あなたがたは「なぜ?」という疑問を持たれるかと思います。
しかし、私がその答えを口にすることはできないのです。

ただ、彼らが言うには、今度の出来事はさらに多くの痛みをもたらします。

そして、今月( 2014年7月)はとても不幸なムードが漂っています。

そのため、私はあなたがたに述べることにしましたが、すべての情報を共有できるわけではありません。

また、どうして私がそのような情報源を持っているかと疑問に思われるかもしれませんが、それについても私が述べることはできないのです。

神の恩寵という言葉は、たとえば、死のような悲しみに沈んでしまわないためにあると言われています。

戦争以来、死は主の特権です。

というような感じのようです。

具体的なことは何も書いてはいないとはいえ、マレーシアの航空会社の飛行機に「何か起きるかもしれない」ということを書いているようです。

そして、抽象的な表現ながら、それが「死」や「悲しみ」と関係することであることも何となく伝わります。

この場合は、中国人ブロガーのように匿名ではなく、また、彼女自身が有名人であるわけですから、コメントなどにも、営業妨害的な意味で航空会社から訴えられるのでは、というような書き込みがあったりするようですが、その「今月はとても不幸なムードが漂っています」と書き込みした7月に、ウクライナ上空でマレーシア機17便が撃墜されるということが起きてしまったわけで・・・。

うーん、どうなんでしょうかねえ。

中国人ブロガーのほうは単なる偶然の可能性はあるかと思いますが、ズーン・イエン・ゴックさんは、ベトナムでは署名な方であるようで、そんなにいい加減なことは書かない、あるいは書けないと思いますし、そもそも、彼女に何のメリットもないばかりか、マレーシアの航空会社からクレームが来ることも考えられるわけで、酔狂で書くようなものではないとは思います。

それにしても、彼女の文面にある、

どうして私がそのような情報源を持っているかと疑問に思われるかもしれませんが、それについて私が述べることはできないのです。

というあたり、いろいろと想像が働きます。

真相はわからないながらも、中国人ブロガーが言う「黒い手」と表現されている存在。

そして、ベトナム人女優が記した、「戦争以来、死は主の特権です」という意味深な言葉で締めくくられる記述。

想像だけは膨らみますが、その「本体」に辿り着くことは難しいのでしょうね。

何しろ、中国人ブロガーの言うことが正しければ、

その勢力はとんでもなく強力で、しかも非常に「悪い心」を持っている

ということですので、そんな勢力の活動が大きくなれば、まだまだ世界は荒れそうです。

今、世界では航空機などだけではなく「原発」でもいろいろなことが起きています。

数日前には、韓国の原発がサイバー攻撃を受けて、そのサイバー攻撃は今でも継続していたり、ウクライナの原発が緊急稼働停止となったり、何が起きているのか、あるいは偶然の連鎖なのかわからないですが、何とも、こう世界の「裏」から何か音が聞こえてきています。

もうすぐ始まる 2015年はどんなスタートをきるのでしょうかね。

「死は主の特権です」というような言葉を思い出すような年の始まりにはなってほしくないですが、「いい年になる」とはどうも考えにくいのが正直なところです。



  

2014年12月29日



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▲ 2014年12月27日のロシア・トゥディより。






 



新年あけましておめでとうございます(どんな時間軸に生きてるんだよ)。

・・・ああ、まだでしたか。

昨日のジョン・レノンの記事の中に書き忘れていたことがあり、それを先ほど書き足していました。それは、

ドキュメント映画での当時のスタッフの証言では、ジョン・レノンはこれらの歌詞をあらかじめ書くということはなかったようです。

スタジオのセッションの中で「自然とこれらの歌詞が口から出てくる」のだそう。

音楽版の自動書記みたいなもののようで、確かに彼は「何か」に取り憑かれていたのか、あるいは好かれていたのかもしれません。


というもので、ジョン・レノンは、あれらの曲の歌詞の多くを、あらかじめ歌詞を書くこともなく、「スタジオで口から出るままに曲を作り上げていった」のだそう。

そういう意味では、天才というより悪魔憑きですね(悪魔かよ)。
いや違う、神がかりだったんでしょうね。

私もジョン・レノンを真似して、書く内容を何も考えずに記事を書き始めましたら「あけましておめでとうございます」となってしまった次第です。

天才への道は遠いですね。




クリスマス・イヴにメキシコに出現した「カオス」

それにしても、世界中で荒れた天候のまま年末から年始を迎える地域が多いようです。日本もそのひとつかもしれません。

今回はそんな現在の世界の天候の状況を書こうと思っているのですが、なぜ、冒頭に、メキシコに突然現れたクロップサークルの記事を貼ったのかと申しますと、

まさに「カオス」だから

です。

普通はクロップサークル(あるいは、ミステリーサークル)といえば、誰が作ったのかはともかくとして、大体は「美しい形をしている」わけです。

crop-circles.jpg
Google 画像検索 crop circle より。


しかるに何ぞや、メキシコのクロップサークルは。

上空から見ますと、下のような形です。

crop-mexico-02.jpg


大きさそのものは、右を走る車との比較でおわかりかと思いますが、決して小規模なものではないです。緑の薄くなっている部分が、大麦が倒れた状態となっています。

というか、そもそも「サークル(円)」でさえないので、クロップパターンというべきなのでしょうが、よくもここまで「デタラメで巨大なもの」が一夜にして出現したものだと思います。

ロシア・トゥディの記事も、タイトルに「チュパカブラ」と入れていたりしていますが、下のようなジョークめいた写真も掲載しています。

expectativa-realidad.jpg


どうせなら、写真上のようなものが出現してほしかったのに、現れたのは写真下のような、よくわからないものだったと。

ちなみに、写真上にある英国のシルバリーヒル( Silbury Hill )というのは、クロップサークルの出現で有名な場所のようで、写真検索をしますと、何十種類というクロップサークルの写真が表示されますので、頻繁にクロップサークルが出現する場所のようです。

しかも、その多くが非常に美しい形をしています。

ところが、メキシコに出現した巨大なクロップパターンは、まるで規則性をつかむことができないカオス・パターンなのでありました。

しかも、これが出現したのが 12月24日の夜。

すなわち、「クリスマス・イヴに現れたカオス」だったわけです。

なお、このメキシコの町は、テスココという場所で、メキシコシティのすぐ近くにあり、また、テスココ - Wikipedia によりますと、

いわゆるアステカ王国(三都市同盟、エシュカン・トラトロヤン)を構成するの中心都市の一つであった。中央メキシコ高原地域において、アステカ帝国の都テノチティトランに次ぐ大きさであった。

という、アステカ文明( 1428年頃から1521年)の中心都市のひとつだった場所のようです。

このアステカ文明そのものも、かなりカオスな文明で、アステカ - Wikipedia には以下の記述があります。

人身御供

アステカ社会を語る上で特筆すべきことは人身御供の神事である。

メソアメリカでは太陽は消滅するという終末信仰が普及していて、人間の新鮮な心臓を神に奉げることで太陽の消滅を先延ばしすることが可能になると信じられていた。そのため人々は日常的に人身御供を行い生贄になった者の心臓を神に捧げた。

生贄は、祭壇に据えられた石のテーブルの上に仰向けにされ、神官達が四肢を抑えて黒曜石のナイフで生きたまま胸部を切り裂き、手づかみで動いている心臓を摘出した。シペ・トテックに捧げられた生贄は、神官達が生きたまま生贄から生皮を剥ぎ取り、数週間まとって踊り狂った。

> 神官達が生きたまま生贄から生皮を剥ぎ取り、数週間まとって踊り狂った。

うーむ。

まあしかし、文化や文明はいろいろあって当然ですので、それ自体はともかくとして、このアステカの文明も、他のアメリカ先住民文明同様にスペイン人の侵略によって滅亡いたします。

この侵略の過程でどのようなことがおこなわれたのかは、過去記事の、

虐殺の祝日コロンブス・デー:彼らは「理想的な人類像」を破壊し、そしてそれは「4回続く皆既月食」の渦中で起きた
 2014年10月14日

で、コロンブスたちがおこなったことなどから想像できる気もします。

コロンブスの航海に同行し、その虐殺を目のあたりにしたキリスト教宣教師のバルトロメ・デ・ラス・カサスという人の日記には以下のようにあります。

彼ら(コロンブス一行)はインディアンたちの手を切り落として、それが皮一枚でぶらぶらしているままにするでしょう、そして、『ほら行け、そして酋長に報告して来い』と言って送り返すのです。

彼らは刀の切れ味と男ぶりを試すため、捕虜のインディアンの首を斬り落とし、または胴体を真っ二つに切断し、賭けの場としました。彼らは、捕えた酋長を火炙りにしたり、絞首刑にしました。

話が逸れ始めていますが、いずれにしても、2014年のクリスマス・イヴに現れたメキシコのクロップ・パターンは、来年の波乱、あるいはカオスそのものを予感させるものかもしれません。

ところで、この「カオス」という言葉、現在のヨーロッパの天候に関する報道で、多く出てきます。




世界の気候パターンそのもののカオス化が進んでいる

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▲ 2014年12月27日の英国テレグラフより。


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▲ 2014年12月27日の英国 EXPRESS より。

写真上は、フランスのアルプスのスキー場に続く道路で 1万5000人余りが豪雪のため立ち往生していることを伝えるニュースです。当局は臨時避難所を設けるとともに、現地への旅行を見合わせるよう呼び掛けています。

下はイギリスでの大雪を報じるニュースですが、フランスとイギリスだけではなく、現在ヨーロッパの多くの地域が雪と寒波に見舞われています。

バルカン半島からトルコにかけても大雪被害が出ている地域が相次いでいて、やはり、交通などの混乱が発生しているようです。

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▲ 2014年12月22日のトルコの英字メディア Daily Sabah Turkey より。


そして、日本も年末年始は地域により厳しいお正月となりそうです。

年末年始も大雪の可能性 気象庁が警戒を呼びかけ
goo ニュース 2014.12.25

気象庁は25日、東北から近畿にかけて「大雪に関する異常天候早期警戒情報」を発表しました。それによると、12月30日頃からの約1週間、大雪になる確率が30%以上になるとして、警戒を呼びかけています。

としていて、気象庁は、12月30日頃からの約1週間のあいだ、

・東北地方の日本海側で、平年比 161%以上の降雪量
・長野県北部と群馬県北部で、平年比 174%以上の降雪量
・北陸地方全域で、平年比 210%以上の降雪量
・岐阜県山間部で、平年比 213%以上の降雪量
・近畿地方の日本海側(で、平年比 273%以上の降雪量


となることを予想しています。
近畿の日本海側では、平年の3倍近い雪が降る可能性が示されています。

このような状態なのに、「過去2番目に遅い台風が発生」したりしています。

台風23号発生 過去2番目に遅い記録
NHK 2014.12.29

typhoon-23.jpg

29日午前、フィリピン南部付近で台風23号が発生しました。

12月29日の台風発生は、気象庁が台風の統計を取り始めた63年前の昭和26年以降、平成12年12月30日に発生した台風23号に次いで2番目に遅い記録となりました。

予想進路を見ますと、日本への影響はなさそうなのですが、どうもマレーシアなどの東南アジアに影響がありそうな感じです。

そのマレーシアは、過去数十年で最悪の洪水の真っ只中にあります。

malaysia-flood.jpg

▲ 2014年12月28日の TIME より。


上のタイムの報道によりますと、現在までに、少なくとも 24名の方が死亡していて、16万人が家を失ったとされています。しかも、大雨は今後数日は続くと見られている上に、台風がどうもマレーシアのあたりに接近しそうにも見えるという非常に災難なことになっているようです。

下の動画はマレーシアのクランタンの現地の人が携帯で撮影したものだと思いますが、ものすごいですよ。車が「水の上」を流されていったりしていて、その様子はすさまじく、被害の全容はそう簡単に把握できるようなものではないことが予測されます。




きたるべき地球のかたちの

マレーシアとタイ南部で過去数十年で最悪の大洪水が発生
 2014年12月28日

に書いたのですけれど、現在の世界的な異常気象(異常気象と呼んで構わないと思います)は、

地球の大気の大きな循環のシステムが変化しているためかもしれない

という感じはあります。

ジェット気流の流れも変化していて、そのために、今までは考えられなかった地域や、考えられなかった時期に、壮絶な量の雨や雪が降ったり、あるいは、地域によっては「考えられないほど降らない」ということが起きる。

実際、中国では、中国最大の淡水湖であるハ陽湖(ポーヤン湖)が、消滅に向かっているかのように、水域の減少が続いています。

中国で進行する砂漠化:中国最大の淡水湖「ハ陽湖」がこの2ヶ月間で水面積が半分に
 来たるべき地球のかたち 2014年12月27日

あるいは、下みたいに、ハワイに雪が降ったりする現象が起きたりもしているわけで。

hawaii-snow-top.gif

▲ 「ハワイ島に雪が降り、現在ブリザード警報が発令中」より。




2014年の最後まで

そういえば、マレーシアといえば、また航空機が「失踪」しています。

またミステリー、エアアジア機が消息不明に マレーシア航空で2度、今度はエアアジア
東洋経済 ONLINE 2014.12.28

またもや東南アジアのエアラインで大きな事故が発生した。12月28日、162人を乗せたエアアジア便が、出発地であるインドネシアのスラバヤと目的地のシンガポールの間で消息を絶ったのだ。(略)

2014年にマレーシアの航空会社に関連して発生した大きな事故としては3件目である。マレーシアのフラッグキャリアであるマレーシア航空のMH370便は、3月8日にクアラルンプールから北京に向かっている途中に行方不明となり、別のMH17便はウクライナ上空で撃墜され、搭乗していた298人全員が死亡している。

これが事故なのか、また3月のマレーシア機 MH370 便のような「ミステリー」なのか、今はわからないですが、年の最後の最後まで「大量死」というようなキーワードがこびりつく部分はあります。

ギリシャ沖では、乗員上記約470人を載せたフェリーで火災が発生し、現在(12月29日午前)まだ、数百人の人々を船内に残したまま、いまだに鎮火していません。

フェリー火災:船上なお300人超 救助難航、ギリシャ沖
毎日新聞 2014.12.28

greek-01.jpgアドリア海に浮かぶギリシャ西部コルフ島の沖で28日午前4時(日本時間同11時)ごろ、乗客乗員計478人を乗せ、イタリアに向かっていたフェリー「ノーマン・アトランティック」で火災が起きた。

ギリシャのテレビよると、28日夕までに140人が救出されたが、300人以上が船上に残されている。強風で現場の海は荒れ、救助作業が難航しているという。(略)

ギリシャのバルビチオティス海運相は強風と火災のため「これまでで最も難しい救助作業となる」と述べた。

間違っても「平穏」とは言えない年の瀬を迎えているわけですが、2015年の初めもこの混乱が続いていくのかどうかというと・・・個人的な予測に過ぎないですが、先日の記事、

数秘術と西洋神秘学から考えれば「2014年」は世界の終わりの年だったことに気づき、そして、来年からの2年間は「存在しない年」であることも知る
 2014年12月23日

に書きました、

2015年と 2016年は数秘術から見ると「存在しない」年

という概念から考えますと、たとえば、よく神話などに書かれてあります「世界はカオス(混沌)から始まった」という描写を持ち出せば、存在しないという状態は、神話でいうところの「世界が生まれる前の状態」であり、それは「カオスの状態」だと考えられなくもなさそうで、

2014年と 2015年はカオスの状態

であり、2017年に新しい世界が生まれるための準備期間ともいえるのかもしれません。

そんなわけで、世界のカオスはさらに拡大すると私は考えます。

本当は気候について、もう少し書きたかったのですけれど、そろそろ出なければならない時間になってしまいましたので、ここまでとさせていただきます。



  

2014年12月28日



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友人の命日を前に

今日も昨日の記事に引き続いて、時事ネタではなく、雑談のような、日記のような曖昧な記事となってしまいました。体調ではなく、メンタル的にボーッとした感じから抜けきれません。

まあその・・・今年の始めの記事、

地球サイズの黒点を眺めながら「必ず今年終わるこの世」を神(のようなもの)に誓って
 2014年01月09日

の中に少し書かせてもらったことがありますが、私が人生の中で、最もお世話になった友人の田中くんという人が昨年の暮れに 48歳で亡くなったんです。私にとっては、本当の意味で緊密だった人(ほんの数人)の中での、初めての死でした。

そして、明日(12月29日)が田中くんの命日なんですよね。

田中くんは下の写真のスタンリー・キューブリック監督とよく似た顔立ちと体型の人でした。

cp-2014.jpg

▲ 2014年02月23日の過去記事「スタンリー・キューブリックとT氏のふたりの亡霊に私はまたも月の世界へ引き戻される」より。






 



明日、一周忌のお墓参りに行くのですが、ここ数日、何だかいろいろと考えることが多いです。

ところで上の記事に、私は以下のようなことを書いていました。

「個人的な宇宙の部分的な崩壊」という意味では、今年 2014年という年は異常なほど鮮明に記憶される年であることが確定して、そして、第5宇宙だか第6宇宙だか忘れましたけれど、ホピ族のいう「現在の宇宙の終わり」であり、あるいはアステカの人々が、現在の太陽神トナティウの時代が終わる時とした「その年」にいる自分を感じます。

sun-god-2014b.jpg

▲ 過去記事「アステカ神話の過去4つの世界と太陽。そして、現在の太陽トナティウの時代の終わりは」より、アステカ文明の暦に刻まれる過去の4つの太陽の時代。

・第1の太陽アトルは、水の太陽。
・第2の太陽オセロトルは、ジャガーの太陽。
・第3の太陽キアウトルは雨の太陽。
・第4の太陽エヘカトルは風の太陽。
・第5の太陽(現在の太陽)オリン(トナティウ)は地震の太陽。

と書いていまして、そういえば、「 2014年で現在の太陽(第5の太陽)の世界は終わる」というようなことを、かつて書いていたことを思い出しました。

スピリチュアル系の話に過ぎないと言われればそれまでなんですが、ここらあたりの概念からは、

2015年は、まったく新しい世界へ突入する最初の年となる可能性がある

ということなのかもしれません。

序盤は荒れて始まる時代のような気もしますけれど。




言葉が宇宙を突き進んでいく

昨日からうちの子どもが奥さんのほうの実家に遊びに行っていまして、そういう日は、奥さんと飲みに行くか、部屋で映画を見たりすることが多いんですが、昨日、

「こんなのテレビでやってたんで録画したんだけど」

と、奥さんはテレビで放映されていたという映画を再生し始めました。それは『ジョン・レノン, ニューヨーク』(原題: Lennon NYC)という、2010年のドキュメント映画でした。

1971年から 1980年に殺されるまでの9年間、ジョン・レノンが過ごしたニューヨークでの生活を周囲の人々の証言や残された映像を元に構成したものでした。

映画自体は面白かったですが、オノ・ヨーコさんがいろいろ語る度に「カチン」と頭の中で小さく弾けるものがありまして、まあ別に、ビートルズが解散した原因がヨーコさんにあるというわけではないんでしょうけれども、私はビートルズ時代のジョン・レノンは神がかっていたと思っていますが、ソロ以降はどうもあの「後光的ともいえる音楽性」がやや見出しにくくなっていたことがあります。

ビートルズ時代のジョン・レノンの曲は、たとえば、過去記事の、

ジョン・レノンの曲に DNA を修復するといわれるソルフェジオ周波数 528Hz コード「だけ」で作られていた…
 2014年08月26日

で取り上げました、ジョン・レノンが、『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』という書に触発されて書き上げた 528Hz ワンコード進行の「トゥモロー・ネバー・ノウズ」とか、基本はメロウなポップスなのに、そこに実験的な要素を詰め込みまくった「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」などの「神がかり性」は、ちょっと異常なほどだったと思いますが、しかし、これらをなし得たのも、ジョン・レノンひとりの力ではなく、ビートルズの他のメンバーとその演奏があったからこそのものだとも思います。

そして、今回のタイトルに入れました、

我らが導師(グル)、神に勝利あれ

というのも、ビートルズ時代のジョン・レノンの「アクロス・ザ・ユニヴァース - Wikipedia」 ( Across the Universe )という曲の中の一節なんです。

この曲は英語の歌詞ですが、その中で、繰り返し出てくる、

Jai Guru Deva Om(ジャイ・グル・デイヴァ・オム)

というフレーズだけは「サンスクリット語」で、その意味が「我らが導師、神に勝利あれ」を意味するのだそうです。

この曲に対して、ジョン・レノンは、

「本当に良い歌は、メロディーがなくても歌詞だけでその価値を見出せる歌であり、それに該当する曲こそが、『アクロス・ザ・ユニヴァース』である」

と述べたということが Wikipedia に書かれています。

jai-guru-deva.jpg

▲ アクロス・ザ・ユニヴァースのプロモのようなもの(下に動画があります)より、ビートルズのメンバーのが「 JAI GURU DEV 」と書かれた服を着ている光景より。


歌詞の最初の方は以下のようなものです。


アクロス・ザ・ユニヴァース(1969年)

終わりのない雨が紙コップに降り注ぐように
言葉が飛び出してくる
宇宙を横切り、言葉は滑るように進んでいく
喜びが波のように私の開いた心を漂う
私を捕らえて私を優しく包み込む

Jai Guru Deva Om(我らが導師、神に勝利あれ)

何も私の世界を変えようとはしていない
何も私の世界を変えようとはしていない





ちなみに、ドキュメント映画での当時のスタッフの証言では、ジョン・レノンはこれらの歌詞をあらかじめ書くということはなかったようです。

スタジオのセッションの中で、「自然とこれらの歌詞が口から出てくる」のだそう。

ビートルズ時代の後記のジョン・レノンの多くの曲はそんなものだったようです。

音楽版の自動書記みたいなもののようで、確かに彼は「何か」に取り憑かれていたのか、あるいは好かれていたのかもしれません。

そして、この曲の歌詞のこの部分だけ見ますと、「存在」が宇宙を突き進んでいくのではなく、「言葉」が進んでいくというような概念を語っているようで、言葉から宇宙が始まったという聖書の記述などを連想させるものでもあります。

ヨハネによる福音書 1章 1-3節

初めに言があった。言は神と共にあった。
言は神であった。
この言は、初めに神と共にあった。
万物は言によって成った。
成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。

こういう神がかった曲を作ったジョン・レノンですが、しかし、私がこのドキュメント映画『ジョン・レノン、ニューヨーク』で、もっとも印象的だったのは、「ジョン・レノンが、専業主夫として子育てに専念していた数年間があった」ということでした。

それが冒頭の写真です。




オムツ替えの中で謙虚さを取り戻す男性たち

ジョン・レノンは、息子のショーン・レノンが下の写真くらいになるまで、というより、1980年に射殺されるまで主夫として子育てを続けたのですね。

john-lennon-1980.jpg


その当時の数々の写真やフィルムなどが残っているのですが、ミルクをあげ、おんぶして、多分おむつの世話もしていたのだと思います(オノ・ヨーコさんが育児している写真はありません。笑)。

私も育児は小さな頃から奥さんと交代でおこなってきましたが、男の人は子育てをやると結構「傲慢さが消えていったりして」なかかないいものだと思いますよ。

どんなに偉ぶっても、「あかちゃんの泣き声とうんちには勝てない」ということで、最初から赤ちゃんに対して勝てないことがわかりますので、「この世には自分の力ではどうにもならないことがある」というような瞑想の境地さえ獲得することができる人もいるかもしれません。

まず、おむつを替えるあたりで、自分の自尊心が一皮剝けていきますからね。

「どうやっても、俺が赤ちゃんのうんちから逃げられる日はない」

と思いつつ、気づけば、そういう時代もいつのまにか過ぎていたりする。

それに、赤ちゃんの頃から緊密に接して育てていると(人によるでしょうけれど)、子どもの言うことにわりと真面目に耳を傾けることが多くなるような気がします。

先日の、

フランシスコ・シリーズ:神学上でも啓示学上でも難解な「動物の魂と動物の死後の問題」に気軽に介入した法王の発言で巻き起る議論
 2014年12月19日

の中に、ルドルフ・シュタイナーの『いかにして高次の世界を認識するか』の中の以下の下りを書いたことがあります。

子どもが話す言葉に耳を傾けるのは、すべての人に有益な結果をもたらします。すぐれた賢者ですら、子どもたちから計り知れないほど多くのことを学ぶことができるのです。

「子どもの話を謙虚に聞きなさい」ということのようですが、そういえば、経営の神様とも言われた、パナソニック創業者の松下幸之助さんも同じ考えを持っていたことを最近知りました。

私のお知り合いが、若い頃、松下幸之助さんの会社にいたそうなのですが、新人研修中に松下さんご本人が新人たちの前に直接やってきて会話をしたのだそうですが、その中で、松下さんは、

「小さい子供の言う事をよく聞くんやで。子供やからと適当に相手にしてたらあかん。小さい子供は時々、なるほどなあと思うような勉強になる事や、仕事の参考になる事を言うからな」

とおっしゃっていたのだそうです。

経営の神様は、子どもの言うことに真摯に向きあっていたようです。

そういえば、先日、子どもと一緒に散らかったものを片付けていた時に、「ややさびしい夏の思い出」が出てきました。

夏休みに知人から立派なメロンを頂いたのですね。

下の写真は適当なものですが、こういう感じに切って食べていました。

melon.jpg
kitanogurume

食べ終わった時に、子どもが、「これ・・・」と呟いて、メロンの皮をじっと見続けています。何事かを考えているようです。

そして、

「これ、船のかたちだよね」

と言いました。

さらに、

「乾かしたら・・・水に浮くかな?」

と訊いてきます。

「うーん、どうだろう」と私は答えるだけで、何しろ、確かに食べ終えたメロンの皮など干したことがないので、どうなるのかよくわかりません。

しかし、どうやら子どもの頭の中には、下のようなイメージが広がっているらしい。

melon-dream.jpg
Writing Your Destiny


「まあ、実際に乾かしてみないとわからないから、乾かしてみよう。今は太陽の光がすごいから、あっという間にカラカラに乾燥するよ」

というように私は言いまして、ベランダで乾かすことにしました。

食べた後のメロンの皮は果肉が残されている部分がわりとあるせいか、強力な太陽の下でも、1日では完全には乾燥せず、2〜3日放置していました。

そして、何日後かに乾燥した、食べた後のメロンの皮。

上の美しいボートのイメージのようになったかどうかというと。

melon-after.jpg

(笑)

あからさまに彼の想像とは違ったものになってしまったようで、「乾いたよ」と見せにいくと、この奇妙なものを見た途端に興味を失ったようです。

しかし興味は失ったとはいえ、紙には「すてないでね」と書いてあり、これは今でもそのままですので、勝手に捨てるわけにもいかず、今でも「夢のメロン船」は、何となく部屋に置かれたままになっています。彼も数ヶ月に一度ほど、これを手に取り、感慨深げに何事かを考えたりしています。

もしかすると、「若気の至りよのう」などと考えているのかもしれません。


今日も雑談で申し訳ありませんでした。

明日は午後からお墓参りですが、行き先は東京の田町で、天気予報では、どうやら明日の東京は天候が大荒れとなる模様です。



  

2014年12月26日



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flu-virus.jpg
・インフルエンザ・ウイルス。Medical News Today






 



インフルエンザワクチン効果60%の実相

クリスマスイヴの翌日から子ども(小3)の学校の冬休みが始まったのですが、何しろ私の住む埼玉県は以下の状況。

flu-saitama.jpg

▲ 2014年12月25日の NHK 「全国で初 埼玉県でインフルエンザ警報」より。


子どもに、

「昨日、クラスでどのくらい休んでいる子がいた?」

ときくと、

「3人くらい。助さん(仮名)と角さん(仮名)と、お銀ちゃん(仮名)」

とのこと。

 「え? お銀ちゃんも?」
 「そう」
 「クリスマスの日にインフルエンザだなんてかわいそうに」


お銀ちゃん(仮名)は、近所に住むうちの子どもと同じクラスの女の子で、うちの子が、学校を休む時に連絡や宿題などを伝えてくれるために家に来てくれるため、わりとよく話をする子です。

それで、私が「え?」と言ったのは、1ヶ月くらい前、うちに連絡帳を届けにきた時に下のような会話をしたことがあったからでした。

 「インフルエンザが流行ってるけど、大丈夫?」
お銀「昨日、予防注射したから大丈夫」
 「予防注射したんだ」
お銀「私、注射すっごく嫌いなんですよ。でも、頑張ってやってきた」
 「それじゃ、大丈夫だといいね」


しかし、結局、インフルエンザにかかってしまったようです。

インフルエンザワクチンの効果は、「スタンリー・キューブリックとT氏のふたりの亡霊に…」という記事に「注射タイプのインフルエンザ・ワクチンの有効率」についてのわかりやすい図を載せたことがあります。

flu-vactine2.gif
インフルエンザワクチンの発症予防効果について


まあ、その効果云々はともかく、わりといつもうちの子のことを気にかけてくれている女の子が、せっかくのクリスマスの日にインフルエンザとはなあ、と思った次第です。

男の子でも女の子でも、小学3年生くらいだと、クリスマスは楽しみで楽しみで仕方ないはずですし。

そういえば、ワクチンに関して、先日、下のような報道がありました。

インフル:ワクチン、小児に効果大 流行のA香港型で6割
毎日新聞 2014.12.25

この冬に流行中のA香港型インフルエンザについて、15歳以下の小児でワクチンの効果が予想以上に高いことが、慶応大の研究グループの調べで分かった。接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。

グループ代表でけいゆう病院小児科の菅谷憲夫医師は「予想外の結果だ。未接種の人は早めにワクチン接種を受けてほしい」と呼び掛けている。

この記事の中の、

> 接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。

というのは、何だかものすごく効果の高い感じに見えるのですが、グラフで見れば、その「実相」がわかります。

それこそ、製薬会社のグラフを用いたほうが信用性があると思いますので、アステラス製薬の「インフルエンザワクチンの接種」というページからご紹介します。

そこに「インフルエンザワクチンの有効率60%とは」ということについて、グラフで示されています。

flu-astral.gif

・上段の1組が 40人全員がワクチンを「接種しなかった」グループ
・下段の2組が 40人全員がワクチンを「接種した」グループ


となっていて、その差は上のグラフの通りなんですが、これを「ものすごい効果だ」と感じるか、「大した効果ではない」と感じるかは、各自で違うと思いますので、そのことには言及しませんが、いずれにせよ、これが「予防効果 60パーセントの実相」です。

もちろん、統計の取り方はいろいろとあり、実際に効果的なのかもしれないですし、「ほとんど意味のないものかもしれない」ですし(高齢者にはほとんど効果がないことはわかっています)、個人の判断に委ねられているものだと思います。

それにしても、上の毎日新聞の報道で、医師の方が、

「予想外の結果だ」

と言っているのは、ややアレですが。
よほどワクチンは効かないものだと自覚してらっしゃったというような雰囲気が……。

以前、近所の小児科の先生が、

「どうやったって、(インフルエンザに)かかる時にはかかりますよ」

と言っていましたけれど、これが真実に近いのかもしれません。

あと、日本では、RSウイルスというものも5週連続で過去最高の患者数を記録しています。

RSウイルスの患者増続く…4週連続で最悪更新
読売新聞 2014.12.24

乳幼児の重い肺炎や気管支炎の原因となるRSウイルスの流行の拡大が続き、国立感染症研究所は24日、1週間あたりの患者数が4週連続で過去最悪を更新した、と発表した。

小児科のある全国約3000医療機関が報告した患者数は今月8〜14日で8180人に達し、前週の6851人を大きく上回った。2003年の調査開始以降、初めて8000人を超えた。

この RSウイルスは、小さな子どもや、高齢者などでは重症化することもあるものらしいんですが、流行期はまだまだ続きますから、今シーズンは記録的な患者数となり、先月の日刊ゲンダイにあった「インフルより怖い 「RSウイルス」パンデミック秒読み危機」などという派手な表現も、あながち間違いではない状況になりつつあるのかもしれません。




少しも上昇グラフは衰えていないエボラ出血熱患者数

最近はあまりメディアなどでは報道されなくなりましたが、西アフリカのエボラ出血熱の流行は、その主要流行地がリベリアからシエオラレオネに移っただけで、下のグラフように、患者数の発生上昇の曲線はまったく衰えることなく上がり続けています。

ebola-2014-129.gif
Ebola virus epidemic in West Africa


このグラフは、人数ではなく、「その国の人口に対して、エボラ患者が何パーセントいるか」を示したもので、その国家に与える影響を考える上では、実数よりもわかりやすい面があります。

グラフでは文字が小さくなっていて見えにくいですが、2014年4月1日時点では、エボラ患者の人口に対する比率は、ギニア、リベリア、シエオラレオネで、共に「 0.001%」程度か、それ以下でした。

しかし、12月9日の時点では、

・リベリア 人口比患者数 0.19%
・シエオラレオネ 人口比患者数 0.13%
・ギニア 人口比患者数 0.02%


となっています。

大したことのない比率に見えるかもしれないですけれど、リベリアの 0.19%というのは、日本の人口約 1億2700万人の場合にたとえると、25万人程にのぼる率となるわけですが、たとえばですが、

「日本で致死率 50パーセント以上の感染症が 25万人に感染する」

というようなことになれば、これは「国家レベルの厄災」といえるものとなるわけだと思いますが、リベリアやシエオラレオネはそのような事態に陥っているということになりそうです。

WHO 集計の 12月14日時点の世界(ほとんどが西アフリカの上記3カ国)でのエボラ患者数は 1万 8,590人となっています。10月17日は 9,668人でしたから、2ヶ月間で倍増している計算になります。

死者は 7,288人となっていますが、集計には曖昧な部分があり、患者数、死者数共に、実際の数はこれよりもかなり多いとされることが WHO から公式な声明として出されています。

特に、現在はシエオラレオネがひどい状態で、時には数日で 500人くらいずつ患者が増えていっているという状況になっているようです。

sierra-leone-12.gif
Ebola virus epidemic in West Africa

もっとも、アフリカは、

タイムリーな黒点の姿と「 X 100,000 クラス」の超特大スーパーフレアの存在
 2014年10月21日

という記事にも書いたことがありますが、さまざまな国で「国家的レベルの厄災」としての感染症が、エイズを筆頭に他に多々あることも事実です。

death-causes-africa2.gif
Vox

アフリカでの2012年の死亡原因

1位 エイズ 108 万 8000人
2位 呼吸器疾患 104万 9000人
3位 下痢症 60万 3000人


病気といえば、先月の、

ブルガリア政府が国家機密を解除し公開された「ババ・バンガの2015年の予言」の内容
 2014年11月24日

という記事で、ブルガリアで機密指定文書とされている、著名な予言者ババ・バンガの 2015年の予言のうちの一部が公開されたことを記しました。

その中に、

ウイルスの蔓延が収まらない。ワクチンが作り出され、「最悪期は脱した」とする騒がしい声明が出されるだろうが、逆にウイルスはそこから突然変異による新しいウイルスの形態を獲得し、ウイルスが勝利する。

シベリアとオーストラリア以外の全世界がウイルスで汚染される。

という記述があったことを思い出しました。「ウイルス」とあるだけで、それがどんなウイルスなのかはわかりませんが、相変わらず感染症に関しての報道は連日のようにあります。

アメリカでは、「リステリア症」という感染症の患者が発生していることが大きく報道されています。




年間500名が死亡しているアメリカのリステリア症と患者数が100万人を超えたチクングニア熱

Listeria-Outbreak.gif

▲ 2014年12月25日の Empire State Tribune より。


アイスクリーム会社の製品とありますが、正確には「キャラメルアップル」というもので、リンゴの周囲にキャラメルがかかっている下のようなお菓子ですね。

caramel-apples.jpg
Fox News

アメリカ疾病予防管理センター( CDC )の報告によりますと、アメリカ 10州で、29人が発症して入院しているとのこと。

ところで、私はこの、リステリア症という病気がどんなものなのか、よく知りませんでしたが、調べてみると、

妊婦とその胎児を主として狙うバクテリア

という、ちょっとイヤな感じのバクテリアであることを知りました。

下は、横浜衛生研究所の「リステリア症について」というページからです。

アメリカ合衆国では、毎年約2500人が重症のリステリア症となり、そのうち、約500人が死亡していると推定されています。アメリカ合衆国では、毎年約5000人が食物由来の感染症で死亡していると推定されていますので、そのうち約10%がリステリア症によることになります。

ということで、アメリカの食品関連の死者としてはかなりの部分を占めるものであるようです。

横浜衛生研究所のこのページでは、リステリア症にかかりやすい人を挙げていますが、その一部は下のようになります。

リステリア症になりやすいのは、以下に示す人たちです。 リステリア症になりやすい人がリステリア症になった場合の致死率は20-30%と高いです。

・妊娠している女性 : 健康な成人より20倍リステリア症になりやすいです。

・胎児・新生児 : 妊娠中の感染は、妊娠している女性よりもおなかの中のこども(胎児)に深刻な影響を与えます。

・エイズ患者 : 正常な免疫機能の人たちより300倍リステリア症になりやすいです。

などがありまして、エイズ患者など免疫の弱っている人たちや高齢者などを除くと、若い年齢でリステリア症になりやすいのは「妊婦」が主のようです。

日本での患者発生は少ないようですが、食品安全委員会の資料によりますと、日本の重症リステリア症の発症数は「年平均 83例」とあり、少ないながらも、発生はしているようです。

妊娠されている方などで気になる方は、横浜衛生研究所のページや厚生労働省のサイトに、予防のための方法などが記載されていますので、ご覧になっておいてもいいかもしれません。

それにしても、今回のアメリカのリステリア症の流行の源は「キャラメル・アップル」で、とても細菌に汚染されていることを気にして食べるようなものではないです。

今年 2014年は、本当に様々な感染症が拡大した年で、東南アジアや中国などで、過去最大クラスのデング熱の流行があったり、また、中南米を中心として、やはりデング熱と同じ蚊を媒介して起きるチクングニア熱の患者数が 100万人規模のとんでもない大流行となったりしています。

chikungunya-fever.jpg

▲ 2014年12月24日の withnews より。


チクングニア熱はデング熱より症状が重く、場合によっては、関節痛などが「1年間以上」も続くことがあるそうですので、海外旅行に行く方で、中南米や、アメリカでも南部のほうに行かれる方は蚊に刺されない注意は必要だと思われます。

現在の中南米のチクングニア熱の流行は、2013年の暮れ頃から始まっていますので、約1年間、拡大し続けているということになるわけですが、日本などの場合では「冬になれば、蚊が生息できなくなり、流行は終わる」という状況があるわけですが、中米のように、年中、蚊が生息でき得る地域では、流行の終結がいつになるのかわからない面があります。

そして、同じように、「この1年間拡大し続けている病気」として、

病気の時代 : 致死率が 20パーセント台となっている中国の H7N9 の真相の謎。そして、カザフスタンで感染が拡大する謎の眠り病にタラビッチの予言した「未来」を思う
 2014年01月30日

という記事で、今年1月のカザフスタンの報道で、

「眠り続ける奇妙な病気」が人々に蔓延している村がある

ということをご紹介したことがあります。




この1年間増加し続けていたカザフスタンの「原因不明の眠り病」の患者数

それは下のような出だしの報道でした。

カザフスタンの小さな村の住民たちは、日中、突然深い眠りに入ってしまう奇妙な病気の流行に直面している。医師たちもこの不思議な現象を説明することができないでいる。

この病気にかかると、文字通り「人々は歩きながら眠りに落ちる」というような状態になることをロシアのタス通信は伝えている。

この疾患は、14歳から70歳までの、少なくとも十数人が、医療センターに赴き、それぞれが同じ症状を訴えたことが昨年から報告されている。それぞれに接触はなかったという。


原因も治療法もわからないこの病気の患者の数が顕著になり、1年経とうしている現在、なお、患者は増加し続けているということを知りました。

kazakhstan-sleeping-disease.gif
IB Times


その記事をご紹介して締めたいと思います。

1年前は、「十数人」だった、この病気の患者が「 600人」にまで増えています。

病気の原因はわかっていませんが、地元の人は、この村の近くにかつてあった旧ソ連の秘密施設であったウラン採掘場と関係があるのではないかと考えているそうです。

しかし、そのウラン採掘場が閉鎖となったのは今から 20年以上前で、今になって、しかも、この1年間で唐突に患者数が増える理由がわからず、どうも複雑な原因がありそうですが、やはり「謎の奇妙な病気」としか言えない部分があります。

インターナショナル・ビジネス・タイムズの記事となります。




600 in Kazakhstan Village Suffer from Strange 'Brain' Disease that Makes Them Fall Asleep for 'Days'
International Business Times 2014.12.16

カザフスタンの村で、「何日間も眠ってしまう」奇妙な「脳」疾患により人々が苦しめられている

最近、ロシアで放映されたロシア・トゥディのドキュメンタリーによれば、カザフスタンの小さな村で、「眠りに落ちてしまう」奇妙な病気に苦しめられている人たちの数が 600人以上と、予想外に多いことがわかった。

カザフスタンの小さな村カラチ( Kalachi )では、10人に 1人の村民が、予期せぬ白昼の眠りに落ちていることがわかった。その中には何日間も眠り続ける人たちもいる。

ドキュメンタリーによれば、この病気は無差別に村民たちに襲いかかり、現在のところ、いかなる治療法も存在しない。

この「眠り病のパンデミック」が最初に村に現れたのは数年前のことだった。

しかし、現在では、カラチのほぼすべての家庭がこの病気による影響を受け始めている状況になってきている。

9月の始めの新学期の初日には、子どもたちが次々と眠りに落ち始めた。少なくとも、その日の1日だけで、8人の子どもが眠りに落ちた。

別の例では、少なくとも 60名がほぼ同時に眠り、救急隊員により搬送された。

この不可解な疾患の原因を見つけるための試みは長きにわたり続けられているにも関わらず、現時点でも原因はまったくわかっていない。

これまで、ウイルス学者、放射線科医、毒物学者を含む科学者や医療専門家たちのグループが村を訪れ、研究を続けているが、原因の特定には至っていない。

もし、このまま治療法が見つからない場合、二度と目を覚ますことができなくなる日が訪れるのかもしれないと、地元の人たちは恐れている。

この症状に苦しむ少年の父親は、以下のように語る。

「たとえば、彼を起こそうとするとします。すると、目を開けたがっているようなのに、目を開けることができないのです」

眠りにつくだけではなく、記憶喪失、めまい、吐き気などの症状がある人もいる。
中には、幻覚を見る人もいる。

症状をもつある女性は、「まるで、鉄のブーツを履いているかのように足が重く感じて、しかも、足の力が弱まっていて、足を動かすのが難しいのです。それに、めまいがして、酔っている時のように舌がもつれるのです」と言う。

ある患者は1週間以上眠り続けたという。

原因は突き止められていないとはいえ、村人たちは、20年以上前に閉鎖された旧ソ連の極秘施設だったウラン採掘場に関係があると考えている。



  

2014年12月22日



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olive-oil-top.jpg
Akademia Witalnosci



まさかの場所での「本物」のエキストラバージンオリーブオイルとの出会い

今日の記事は時事とは関係ないですが、ぜひ書かせていただきたいと思いました。

最近まったく更新していない日記ブログのクレアなひとときですが、夏前に、

ツバメへの愛とラモーンズへの愛
 2014年06月16日

という記事を書いたことがありました。

私の奥さんの高校からの友人に版画家の小川美奈子さんという方がいらして、個展やグループ展などをおこなう際には、私もたまに行かせていただいています。

最近も、『きもちをかたちに-展』というグループ展をされていて、昨日(12月21日)が最終日ということで、東京の高尾というところに家族で行きました。

十人ほどの方々のグループ展ということで、1人1人のブースはかなり小さなものだったのですが、それぞれの作家さんの作品を展示して、また、販売もしていました。

その一画のテーブル上に、オリーブの実とオリーブオイルが置いてあることに気づきました。
オリーブオイルはとても小さな瓶に入った商品です。

実は私はオリーブオイルが大好きなので、興味を持って眺めていると、近くにいた女性が、

「こちらの方、小豆島(しょうどしま)からいらっしゃったんですよ」

と、そのテーブルの横に座っている二十代と思しき素朴な感じの女性を紹介してくれました。

「ああ、小豆島ですか・・・って、えーとそれは確か・・・」

と、私がすぐには思い出せないでいると、

「瀬戸内海にあるんです」

とその女性。

後で調べましたら、小豆島は下の場所でした。

shoudo-shima.gif
小豆島で暮らそう


 「えーと、じゃあ、このオリーブオイルは小豆島で作ったもので?」
女性「はい。うちの実家が小豆島でオリーブを栽培しているんです」
 「じゃあ、完全な自家製のオリーブオイルなんですね」
女性「小豆島に障がいを持つ方々の働き場としてオリーブオイル工場施設があるんです」
 「へえ、じゃあ、これは混じりけなしの小豆島産の本物なんですね」
女性「はい」


私が、

> 混じりけなしの本物なんですね

などと言ったのには訳があって、最近、

「市場に出回っているエキストラバージンオリーブオイルの9割はニセモノ」

というような情報というのか、そういう話が広く出回っているからです。
たとえば、下のような報道です。

オリーブオイルの「エキストラバージン」は「偽物」ばかり スーパー陳列の8〜9割は国際規格に合っていない 
J-Cast ニュース 2014.10.20

健康志向から需要が拡大しているオリーブオイル。なかでも、生の実から油分だけを搾り取った「バージンオリーブオイル」の最高品質、「エキストラバージンオリーブオイル」は大人気だ。

ところが、最近は世界規模でエキストラバージンオリーブオイルの偽装がまん延しているそうなのだ。(略)

偽装オリーブオイルの多くは、低級の植物油に植物エキスで香りや色づけしたり、瓶などに規格基準の違うラベルを貼ったり、架空の生産者の名前やそれらしいブランド名をつけたりといった手口で販売。とくに高値がつくエキストラバージンオリーブオイルでは、安物のオイルから不快な味とにおいを取り除き、わからないように精製加工する方法がまん延しているそうだ。

国際オリーブ協会というものがあって、エキストラバージンオイルとして認められる判断基準として定められているのは、

・オリーブの実だけを原料に使用していること
・精製されていないこと
・酸化していないこと
・風味に悪臭などの欠陥がひとつもないこと

だそうですが、上の記事によると、

> 関係者によると「国内のスーパーなどに出回っている8〜9割は『エキストラバージン』とは言えません」という。

というようなことになっているのだそう。

確かに、最近のスーパーでのオリーブオイルの「安さ」は気になっていました。

大手スーパーなら、どこでも 700ミリリットル程度の量のサイズの「エキストラバージンオイル」と銘打っている商品が 600円とか 700円とかで売っています。

上の記事にありますように「8割から9割がニセモノ」だとすると、多分、私が今まで使っていた格安のエキストラバージンオイルは、すべてニセモノだった可能性があるのですが、しかし「比較基準がない」ので、どうにもならない面はありました。

要するに、Aという商品とBという商品を比べてみても、「どちらも違うテイストのニセモノ」であった場合、「どちらがより本物に近いニセモノか」ということ自体もわからないわけです。

ただ、上の4つの条件を見てみますと、今まで使っていた格安の「エキストラバージンオイル」で、

・酸化していないこと
・風味に悪臭などの欠陥がひとつもないこと


に関しては、差として感じる商品はありました。

特に「酸化している」と感じることはとても多いです。

まあ、何にしても、どうやら、それが外国産であろうと日本産であろうと、スーバーなどに格安で並べられているものは、ニセモノとは言わないまでも、厳密な意味でのエキストラバージンオイルでないものがほとんど、という可能性は高いようです。

そんな報道を最近見たことなどもありまして、先ほどの「混じりけなしの本物なんですね」という言葉が出たわけですが、当然、次の行動として、

「日本産のピュアなエキストラバージンオイルかあ」

と、オミヤゲとしてひとつ買ってみようかと、ひとつ取り上げて、値段を見て、私は、

「な……」

と一瞬たじろぎました。

・ 182グラム 4,000円
・ 45グラム 1,200円


とあるのです。
グラムはミリリットルとほぼ同じと考えていいと思います。

4,000円のほうは諦めましたが、45グラムでも 1,200円。

45グラムの瓶というと、コショウなんかの入った小さな瓶を少し長くした程度のとても小さな瓶です。

グラムをミリリットルと置き換えますと、これはスーパーで売っているエキストラバージンオイルの「数十倍の価格」となります。

具体的には、 700ミリリットル程度の量に換算しますと、大体ですけれど、

1本 18,000円くらいの商品

というような計算になります。

「うーむ」

と私は心の中で唸りながら、そういえば、先ほど説明してくれていた女性が、「障がい者の方々が」と言っていたことに気づきました。

下は、買ったオリーブオイルの商品についていたパンフレットからの抜粋ですが、

ひまわりの家では、障がいを持つ人たちの就労の場の確保と工賃増加をめざして小豆島の特産物であるオリーブを使った事業に取り組む独自の活動を行っています。

ということは、少なくとも利益先行ということはなさそうです。

 「もしかすると、この価格でも採算ギリギリなくらいとかですか?」
女性「そうだと思います」
 「ということは・・・スーパーあたりで売っているあの数百円という価格は・・・」
女性「あれはまあ・・・(苦笑)」
 「普通に作ると、エキストラバージンオイルってこのくらいになるのですね」


そんなわけで、結局その 1,200円の小さな瓶のエキストラバージンオイルを買ったのです(今となっては大きいほうを買っておけば良かったと後悔しています)。

下の写真が実物大くらいです。

extra-virgin-oliveoil.jpg




これまで使っていたエキストラバージンオイルがすべて純正でなかったことに気づいた瞬間

家に帰った後、試してみようと思いましたが、

「料理に使ったら、サラダなんかでも一瞬でなくなる量だしなあ」

と、スプーンに少し注ぎ飲んでみました。

「なんと!」

kaibara.gif


ここで私は悟りました。

私が今まで買って使っていた「エキストラバージンオリーブオイル」とされていたものは、そうではなかったことを。

本当のエキストラバージンオリーブオイルというものは、油というより、むしろ、オリーブのジュースに近い感じのもののようです。

オリーブの香りはそのままで、スーパーなどの商品によくある酸化したスカスカの香りはまったくありません。加えて、市販されているエキストラバージンオリーブオイルにありがちな「喉を通る時に痛みさえ感じるほどのえぐみ」はなく、爽やかで穏やかな苦みがあるだけです。

うちの子どもなども興味を持ち、スプーンでそのまま飲み、「おいしい」と言っていました。

それにしても、本当のエキストラバージンオイルの味を知ったことに加えて、今回わかったことは、

本来の製造方法で国際基準に合わせて作った場合、エキストラバージンオリーブオイルというものはものすごい高価で貴重なもの

ということです。
特別なものであって、日常的にドバドバと使うようなものではないということでした。

かといって、オリーブオイルそのものはいつでも使いたいですけれど、スーパーに1本2万円のオリーブオイルが置いてあったとしても、買う人がいるとも思えません。

ということを考えますと、現状の「純粋とはいえないエキストラバージンオイル」の存在は、それはそれでいいのだと思います。1本数百円で買えるからこそ、使い放題使えるわけであって、特に加熱する料理の場合だと、さほど差はないと思います。

ですので、普段のオリーブオイルはそのままで、こういう純正のものも、たまに、少し贅沢して買うということでよいのだと思います。

私の買ったこのオリーブオイルがオンラインで購入できるのかどうかを今、問い合わせていますが、購入したオリーブオイルの箱に入っていた紙には、URL が記されています。それを辿りますと、「社会福祉法人 ひまわり福祉施設 ひまわりの家」のウェブサイトが表示されました。

ここで作られているようです。

購入方法は今のところわからないですが、商品紹介ページには「オンラインショップ」という文字も見えますので、多分、何らかの方法で購入できると思われます。ちなみに、サイトの方には、私の買った 45グラムのものはなく、182グラム 4,000円のものだけが掲載されていました。

商品紹介ページには、

利用者のみんなでオリーブ苗木から育て、摘み取り、実を絞った 100%小豆島産のオリーブオイルです。加熱処理や化学処理は一切おこなっていない、まるでジュースのような黄金の滴です。

とありまして、苗木から育てていることも知ります。

182グラムというのは、一般の 700ミリリットル前後のオリーブオイルの4分の1くらい量で、それで 4,000円は、購入するのに勇気のいる価格ですが、今のがなくなった時に、オンラインで購入できるのなら、したいと思っています。

サイトを読みますと、この素晴らしいオリーブオイルを作っているのは、障がいのある方々のようで、昔からですが、私はそのような方々と縁がある人生が続いています。

ふと、このオリーブオイルを作られている「社会福祉法人 ひまわり福祉施設」のサイトの理事長挨拶というページを見てみると、理事長のお名前は「岡 裕」さん!

何が「!」なのかと思われるかもしれないですが、私の名字が岡であることに加えて、「裕」という漢字はうちの子どもの名前の二字の漢字のうちのひとつなのです。うちの子どもは「岡裕〇」という名前なのですよ。

oka-hiroshi.jpg

うーん。なんかシンクロしてる。

ついでに、この法人の設立された 1987年ってのは、私がセルフ23という劇団のようなものを設立した年だなあと思い出します。

いろいろと縁深いなあと思います。




人生の中で連綿と続いていること

私が今住んでいる場所に越してきたのは3年前ですが、ここに来るまで、私はこのあたりに何があるのかとか、どんな場所だかなども知りませんでした。

越して来てすぐに、家の裏手に「所沢通信基地」という米軍の通信基地があることは散歩していて知りました。この所沢通信基地は見かけは地味ですが、所沢通信基地 - Wikipedia によりますと、

近年、米軍資料から所沢通信基地を含む世界14ヶ国にある通信基地を対象にアメリカ大統領もしくは国防長官などから核攻撃実施部隊への「緊急行動メッセージ " EAM " 」を米本土から遠隔操作で伝達可能にする近代化計画がある。

という「全面核戦争」などという事態の際に活躍する通信施設になる計画もあるようです。

同時に、「じゃあ、今住んでいるあたりはアメリカの敵側にとっては最重要攻撃ポイントなわけだ」とも理解しました。日本が戦争に巻き込まれたりした場合は、このあたりは雨あられとミサイルが降り注ぎそうです。

米軍施設のほうはどうでもいいのですが、越して来た時に、もうひとつ気づいたこととしては、この街に「障がいを持つ方がものすごく多い」ことでした。

その理由はわからなかったのですが、しばらくしてわかりました。

これも私の家のすぐ近くなんですが、国立障害者リハビリテーションセンターという「日本で最大」の障害者リハビリセンターがあるのです。

家から徒歩で 10分もかからないところにあります。

その施設面積の広大さは、下の地図でもおわかりかと思います。

shin-tokorozawa-map.gif


ちょっとわかりにくいかもしれないですが、米軍所沢通信基地と指している長方形の部分が、米軍基地の面積で、国立障害者リハビリテーションセンターはそこと防衛医大と隣接していて、所沢通信基地の4〜5分の1ほどの面積を占める広大なリハビリセンターです。

地元では「国リハ」と呼ばれています。

そんなわけで、私の住む最寄りの駅は、日本の各地から障がいを持つ方々が集まる場所でもあったことを、その時に知ったのでした。

私の家から駅までは徒歩5分くらいですが、その道の途中で杖を持つ方(目に障害のある方)や車椅子の方と会わない時はありません。

学校も多いせいか、小中高の学生さんたちと、障害者の方々と、そこに私たちのような住人が常に同居しているといえる街です。

また、このあたりの食べ物屋、あるいは居酒屋なども、車椅子の人たちなどが入ることのできるようにしている店が多く、障がいのある方の宴会などもよく目にします。

全部の店ではないですが、わりと地域全体として、そのような感じの共同意識が存在します。

私も、ここに越してきてからは、必然的に、生活の上で障がいを持つ方の手助けをすることが多くなりました。

私は小学生の子どもを持ちますが、「ここに越してきてよかったなあ」と思うのは、そのあたりのこともあります。何がよかったかというと、障がいのある方々と共存している風景がごく普通である、という経験をできているからです。

このあたりの小学生(中学生も高校生もですが)たちは、障がいを持つ人を毎日数多く見ているわけで、自然と「この世の中にはそういう人たちがいる」ことを「日常」と思って生きているはずです。

もちろん、だからといって、特に優しい子が多いとかそういうことではないです。

人間社会はそんな単純なものではありません。たとえば、この街は「日本で最も振り込め詐欺被害が多い地域のひとつ」でもあります。ただまあ、これは逆にいえば、人のいいお年寄りが多いことが原因でもありそうですが。

話を戻しますと、普通だと、こういう形で「障がいを持つ方々と地域が自然と共存している街」の中で生活するということはないわけで、住む都市によっては、「障がいを持つ人を見たことがない」ような子どもたちだっているはずです。

そういう子どもたちにとって、障がいは何か特別なものというような見方となってしまうもののように思います(もちろん、それはその子どもが悪いのではないです)。

しかし、この街では、障がいと共存している風景が普通なのです。繰り返し書きますけど、だからといって、良い子が多いとか、そんな意味ではないです。でも、このあたりの子どもちは、ほんの少しだけ「他人に対しての偏見が少ない」という面はあるかもしれません。

思えば、私自身が幼い頃からいろいろな人たちと付き合ったり、見ていたりしている中で、これは自分自身にも言いたいですけど、「あらゆる偏見がなくなればいいのになあ」という理想みたいなものがあります。




ほぼ 100パーセントに入ることのできなかった子どもたち

幼稚園の頃(今から四十数年前)、私は小児ぜんそくで、ほとんど幼稚園に行っていなかったのですが、仮病で休んだ時も多く、そういう時はひとりで散歩するか、あるいは家の裏のほうにあった、今では児童養護施設と呼ばれますが、当時は「孤児院」と言われた施設に遊びに行っていました。

幼稚園児でしたので、孤児院が何かについては理解していなかったかもしれません。

しかし、当時の私は、幼稚園の友だちより孤児院で知り合った友だちと遊んでいる方が楽しくて、また、当時の孤児院は「外から施設と関係のない子どもが勝手に入っても何も言われない」のでした(ただし、「孤児たちは施設から外にはなかなか出られない」ということもありました)。

でも、孤児院に遊びに行った日は、親や周囲にはそのことを言いませんでした。

地域的なものかもしれないですが、なぜか、その頃には「そんな子どもたちと遊んじゃいけません」的な雰囲気があったのです。

でも、「どうして遊んじゃだめなんだろう」という、その理由がわかりませんでした。だから、「遊びに行ったという事実を言わない」という方法しかありませんでした。この頃から私は親に「ウソ」を言うようになったのでしょうね。

他にもいろいろなことがありましたけれど、長くなりますので、話を大人になるまで飛ばします。

今度は、私に子どもが与えられて、また「新しい世界」を知ることになります。

ずいぶん以前ですが、

3歳までことばを持たなかった私の子どものこと
 2012年05月08日

という記事を書いたことがありますが、タイトル通り、うちの子は3歳まで発語がなかったんです。

赤ちゃんの言語機能通過率(何歳までに意味のある言葉を話すようになるか)というのは、わりと基準が厳密に決まっていまして、下のようになっています。

language-01.gif
厚生労働省調査 - 乳幼児の言語機能通過率

赤で囲んだ部分は、「1歳7ヶ月までには約 98パーセントの子どもが言葉を話すようになる」ということを示します。

これが2歳までとなりますと、ほぼ 100パーセントに近くなります。

これを越えて意味のある言葉が出ない場合、つまり、「ほぼ 100パーセントに入ることのできなかった子どもたち」は、言語コミュニケーション能力が年齢相応に達していない状態と判断されます。

こうなると、必然的に療育と呼ばれるものを受けるために、何らかの施設に通う子どもたちが多くなります。

ちなみに、2歳を過ぎた後は、日本版デンバー式発達スクリーニング検査などによりますと、

・3歳で単語 800語を習得し、三語文以上の複語文が出始める
・4歳では習得単語は 1700語


と、加速度的に言葉を体得していきます。

これらは教えなくとも自然と習得していくものなのですから、幼児期の習得力というのはものすごいものだと思います。

何にせよ、うちの子はその3歳になる頃でも発語がなかったのでした。

そして、私は自主的な行動として、東京杉並区にある、たんぽぽ園という療育施設に相談をして、2歳半の頃から週に一度、通いました。連れて行くのは最初の半年は私で、後に奥さんと交代でおこないました。

そこでは基本的に先生と親と子どもたちが全員でひとつのことを行うので、自分の子ども以外の子どもたちとの交流も多くなり、また、子どもを連れてくるのはほとんどお母さんばかりで、お父さんは珍しかったので、私はちょっとした人気者でした(笑)。

その療育施設で、私は、この世にはこんなにたくさんの「ほぼ 100パーセントから外れた子どもたちがいる」ことを知ることになります。発達障害の子どももいれば、他の障がいを持つ子、あるいはうちの子のように言葉を発さない理由がわからない子どもたちもいました。

そういう子どもたちの世界は「知らなければ知らないまま」だったと思いますが、私は、うちの子どものお陰で、その世界や、あるいは、懸命に子どもたちの自立の手助けをしている人々がたくさんいることを知ります。

うちの子は、3歳を過ぎて突然普通に話を始めて、幼稚園に行く頃には、大体、年齢相応の会話をするようになりました。

そういえば、今の家からいちばん近い小児科の医師は、小児科医師であると共に、この近所では他にはあまりいない「小児神経科専門医」でもあり、この病院にもさまざまな子どもたちがやってきます。

何だか長く書いてしまいましたが、自分とその周辺を含めて、小さな頃から、いろいろと障がいを持つ人々との関わりが強い中で生きてきた感じがあります。他人目線としての接触ではなく、うちの子どものことなども含めて、当事者的な立場で関わることも多かったです。

何より私自身が現実としては「健常者ではない」です。

そして、今回初めて口にした「本物のエキストラバージンオリーブオイル」は瀬戸内海にある小さな島で、そのような人々によって作られていることを知りました。

ちなみに、もうそのオリーブオイルは瓶の3分の1くらいしか残りがありません。つД`)
無理してでも 182グラムの買っておけば良かった。

[追記] オンライン注文の問い合わせに対して、社会福祉法人ひまわり福祉会の管理人の方からご返信がありました。

その中に、

当施設で搾油していますので、大量販売することはできませんが、ご理解のある小さな店舗や、島内の土産物店で販売しているところです。最近、岡様のようなご支持が少しずつ広がり、直接ご注文いただくことが増えてまいりました。大変ありがたいことと感謝しております。売り上げはすべて障害者の給料になります。

とありまして、少しの注文でしたら、電話又はメール、FAXで送料着払いで送ってくださるようです。

売り上げはすべて障がい者の方の給料となるようです。

お勧めしたいですが、しかし、大量に注文するのはご勘弁を。



  

2014年12月18日



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sixth-extinction.gif

▲ 2014年12月14日の英国インディペンデントより。






 


6度目の大量死時代

今年になってからは、「大量絶滅」という言葉が出てくる報道をよく目にします。
上のものは、先日、科学誌ネイチャーに掲載されたもので、

現在、両生類の 41%、哺乳類で 26%、鳥類で 13%が絶滅の危機に瀕しており、今の率で進めば、次の 100年か 200年の間に、全生物種の 75%以上が絶滅するような、いわゆる「大量絶滅」の状態となる可能性がある

ことについて書かれています。

今年7月にも、科学誌サイエンスで、スタンフォード大学による同じような研究論文が発表されていて、それによりますと、

・西暦 1500年から現在までに 320種類の脊椎動物が絶滅している
・その期間に、生物種の個体数も平均して 25%減少している


ということで、こちらではその大きな原因のひとつは人間によるものだと主張されています。

原因は何であるにしても、多くの科学者たちが、現在の地球が6度目の大量絶滅に瀕しているという可能性を述べているわけですが、昨年や今年の記事では、特に海洋生物の大量死について、ずいぶんと書きました。

昨年は、アメリカ東部でイルカの大量死が続いていることを何度か記したことがあります。

下のように、2013年は平年と比較して異常な数のイルカがアメリカ東海岸に打ち上げられました。

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▲ 2013年12月02日の記事「東の海ではイルカの大量死、西の海ではザトウクジラの狂乱の渦中にあるアメリカ」より。


このイルカの大量死については、2014年に入ってからは落ち着いています。

dolphine-noaa-2014.gif
NOAA

あるいは、アメリカ周辺で、ヒトデが地域的には絶滅状態となっていることもご紹介したこともありました。これについては、

米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味
 2014年06月06日

などに書いています。

また、今年は、「海洋生物全体の大量死」というものも、世界中でよく報じられました。

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

では、ロシアのプラウダの下の記事をご紹介したことがあります。

Emergency: Our planet is dying
ブラウダ 2014.06.01

非常事態:私たちの星は死にかけている

魚が世界中で前例のない数で死んでいる。米国カリフォルニア州では5月に6トン以上の魚が突然水上に浮かび上がった。また、やはり5月、米国では50万匹のコイが、ケンタッキー州のカンバーランド川で死んでいるのが発見された。

ミネソタ州では、35,000匹の魚が死んだ。ニュージャージー州のベルマーでは数千匹の魚の大量死。 カリフォルニア州マニフィーでも数千匹の魚の大量死が起きた。バーモント州のフェルズポイントでは、突然、湖に何百万匹の魚が死んで浮くという驚異的な出来事も起きている。

他の国では、メキシコ湾で、死んで打ち上げられるカメやイルカの数が記録的となっており、シンガポールでは 160トンの魚の死骸が浮いた。

中国ではフヘ川で、40キロメートルに渡り、魚の死体が浮かび上がった。
ギリシャのコモティニでは、10トンの魚の大量死が見つかった。

他にも、この2ヶ月ほどの間に、アルメニア、インド、カナダ、オーストラリア、北イングランド、イギリス、コロンビア、コスタリカ、ブルガリア、ホンジュラス、アルゼンチン、デンマーク、ブラジル、パナマ、イラン、アイルランド、スリランカなどで魚の大量死が発生している。

いったい何が起きているのか?

今年は、通常と比べても、海洋生物の大量死が多い年だったかもしれません。

そんな年の瀬ですが、ニューヨーク・タイムズの記事で、

「アメリカ東部のケープコッド湾という沿岸部に座礁するウミガメの数が驚異的な数に上っている」

という記事を目にしましたので、ご紹介したいと思います。
アメリカの海では、イルカ、ヒトデの大量死があり、今度はウミガメです。




アメリカ東部で増える異常な数のウミガメの座礁

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▲ 2014年12月12日の米国ニューヨーク・タイムズより。


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この場所は、平年は1年間で数十頭の座礁するカメが保護される程度らしいのですが、今年は現時点で、すでに 1,200頭が座礁しているのだとか。しかも、今も連日、その状態が続いているので、今年の終わりまでに発見されるカメたちの数がどのくらいになるのかわかっていません。

多くは救助されていますが、助からなかったカメたちも多いようです。

しかも、そのほとんどが下のような「子どものカメ」なのです。
このカメたちは救助され、水族館で治療を受けているカメたちです。
どういうわけか、大人のカメはほとんどいないようです。

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New York Times


アメリカのウミガメは秋になると、カニなどのエサを求めて、暖かい南部から東部の北側の海にやってくるのだそうで、海が冷たくなる冬にはまた暖かい南部に戻るのですが、理由は不明ながら、今年は、南部に戻ることができないカメたちが激増しているのだそう。

本来は、カメたちは「本能」として元の海域に戻るわけですが、その本能が欠落した子どものカメが激増しているという言い方でもいいかと思われます。

戻ることができないウミガメたちはこの地域の冬の海の温度には耐えられず、そのため、連日、ボランティアなどによる賢明な救出が続いているとのことです。

しかも、この 1,200頭という数は発見、あるいは救出されたカメの数であり、発見されないまま死亡している数はこれよりはるかに多いことが想像されます。

そういえば、つい先日も、デンマーク、ドイツ、スウェーデンなで、アザラシが合計 4600頭程度が鳥インフルエンザによって死亡するという記事があったりしまして、原因は様々ですが、海洋動物の危機は続いているのかもしれません。

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▲ 2014年12月17日の Press TV より。日本語の記事は AFP の「北欧のアザラシ大量死、鳥インフル原因か」で読むことができます。


それでは、ここから、ウミガメに関してのニューヨーク・タイムズの記事です。




Cape Cod Mystery: A Surge of Stranded Turtles
New York Times 2014.12.12


ケープコッド湾のミステリー:座礁するウミガメが急増


若いウミガメたちが、カニなどのエサを獲得するために暖かい海から離れ、アメリカの東海岸におもむくことはよく知られている。しかし、それらの中の一部が、その場に長く居座り続けてしまって、寒い季節になるまで残ってしまうことがある。

そのため、毎年この時期は、ウミガメたちを救うために、ボランティアたちがケープコッド湾を巡廻して監視を行っている。

それは絶滅の危機に瀕している6種類のウミガメで、彼らが、満潮時に海岸に打ち上げられた際に救出し、リハビリして体調を回復させた後、アメリカ南部の暖かい海へと移送する。

ところが、今年は、異常な数のウミガメたちが座礁しているのが見つかっているのだ。
しかも、その理由が誰にもわからない。

11月の中旬以来、パトロールのボランティアたちは、1,200頭に近い数の座礁したウミガメを発見している。ほとんどが子どものケンプヒメウミガメ( Kemp's ridley turtle )で、この種は絶滅が危惧されている。


turtles-02.jpg


この 1,200頭という数は、以前に記録的な数のウミガメの座礁があった際の3倍に達していて、毎年の平均数とは比較できないほど多い。

現在も毎日、多くの座礁したカメが発見され続けている。

そのうちの数百頭はボランティアたちに救助され生き残るが、しかし、他の数百頭はそうではない。

座礁したカメは、多くが、ディナープレート程度の大きさの2歳から3歳のカメたちで、救出された後は、遠く離れたテキサス州にある水族館で、獣医やボランティアたちによってリハビリをされた後に、海へ放たれる。

ケープコッド湾で救出されたカメの治療にあたるマサチューセッツ州のニューイングランド水族館( New England Aquarium )の病院では、今年、寒さに打ちのめされた数百頭のウミガメたちが運びこまれた。

野生動物の専門家で、32年間、ウミガメの救出に携わってきた、ボブ・プレスコット( Bob Prescott )氏は、その 32年間のあいだに、このような事態とは遭遇したことがないと語る。

プレスコット氏が毎年発見する座礁したウミガメは、普通だと年間に1頭から2頭だという。

しかし、今年は違った。

プレスコット氏は、すでに 157頭の座礁したウミガメを発見しているのだ。

水族館の海洋生物の保護とリハビリテーションの責任者であるコニー・メリゴ( Connie Merigo )保護監督官は、「私は言葉を失っています」と言う。

「通常の年ですと、救助されるカメの数は年間を通して 70頭から 90頭です。それが、今年は今の時点で 1,200頭という数になっているのです」

水族館の獣医師やボランティアたちは、11月中旬以来、毎日 12時間から 16時間をカメの救助と治療に費やしている。

そして、今年、このような事態が突如として起きたことについて、事前には、何の兆候もなかった。

以前、ウミガメの大量座礁が記録されたのは、1989年に約 100頭、1999年には 163頭、そして、2012年には 413頭のウミガメが救出されたことがある。

この理由についてはよくわかってはいない。

オレゴン州立大学の生物学者、セリーナ・ヘッペル( Selina Heppell )教授は、「これらのカメの冬の座礁の理由について説明することはとても難しいのです」と言う。

「地域の状況の変化、たとえば急激に気温が下がったことなどが関係しているかもしれないですが、カメの行動については十分にはわかっていません」

そして、教授はこのように言う。

「今回のような出来事の長期的な影響について予測することもまた難しいです。なぜなら、救出されているカメは一部であり、実際には、私たちが発見していない数の多くのカメたちが死亡している可能性があるからです」



  

2014年12月15日



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▲ 米国ワシントン州沖の海底からメタンが噴出している様子をソナーで記録した画像。ワシントン大学ニュースリリースより。






 


今回のタイトルの「太平洋は爆発する?」とは何とも派手でいい加減ですが、今回ご紹介させていただくワシントン大学の研究による「太平洋の海底からおびただしいメタンが噴出している」という記事を読んで思い浮かんだのが下のようなイメージだったもので。

実際にはこういう光景とは関係のない記事です。

methane-fire.jpg
ATS

上の写真は、湖での爆発なんですけれど、海よりも水深の浅い湖などでは、メタンガスや二酸化炭素などの爆発というのはないことでもないようです。

しかし、今回この「太平洋の海底からおびただしいメタンが噴出している」ということをご紹介したかったのは、上のようなイメージのようなこととの関連ではなく、最近記事にしたことのある

世界の大気温度は下がっているのに、なぜ、海水温度は上がり続けているのか

ということと関係するかもしれないからです。

その「最近の海水面温度の異常」について再び少し書いておきます。




異常に暖かい海水表面温度

少し前に、アメリカ海洋大気庁( NOAA )が発表した「世界の海水面温度の平年との差異」の図を載せたことがあります。

sea-temp-high2.gif

▲ 2014年12月06日の記事「北半球の雪で覆われた面積が観測史上最高を記録。なのに、気温と海水表面温度は観測史上で最も高いという異常な矛盾」より。


世界全体として、今年の海水の表面温度が平年(1981年から2010年の平均値)より高いのがわかるのですが、特に、太平洋のアメリカ側の海水温の高温が際立っています。

ちなみに、世界全体の海水表面温度は、7月の時点では、平年より 0.2℃ほど高かったそうですが、1981年からのグラフで示しますと、2014年は、以下のように観測史上最高の海水温度となり、その海水温度の上昇は現在も続いています。

sea-temperature-02.gif
Bob Tisdale – Climate Observations

しかし、この「全体が高い」という数字は、世界全体の海水温度が均等に高いというより、「太平洋の海水温度が高いことによって全体の平均値が押し上げられている」と言っていいかと思います。

もう少しわかりやすい図を見つけましたので、そちらを見ますと、この状態がはっきりとわかります。

sea-3.gif
Bob Tisdale – Climate Observations

ちなみに、日本列島の周辺はグレー(平年とほぼ同じ)かグリーン(平年よりやや低い)が多いですが、北海道の周辺の海域は黄色(平年よりやや高い)というようになっています。

そして、オホーツク海の樺太の周辺の海域は「平年より異常に高い」となっています。

japan-sea-temperature.gif


この日本の北部の海水温度の異常な高さも不気味ですが、今回の記事には、このオホーツク海域は、海水表面ではなく、海底の海水温度がもともと高いことが記されています。

そして、そのオホーツク海の暖かい海水が太平洋からアメリカ沿岸部にまで流れて、太平洋全域の深海の海水温を上昇させているというような推論が書かれています。

しかし、その推論が正しければ、海流は基本的に世界中を回りますので、

いつかすべての海底が暖かくなり、世界中の海底からメタンが放出され始める

ということになったりはしないのですかね・・・。

記事には、「いまだにメタンの最終的な行き先はわかっていない」というようにあり、つまり、放出されていることは確認できても、その膨大なメタンがどこに行っているのかは明確にはわからないのだそうですが、太平洋上での「メタンによる気泡」の目撃が確認されていて、どの程度かはわかりませんが、大気中へのメタンの放出もかなり起きているように思われます。

何よりも、「海洋表面の温度の変化は気候に大変な影響を与える」ということがあります。

エルニーニョなどを含めて、海水の表面温度の変化は、異常気象の発生に非常に大きな影響を与えているわけですが、ここ数年の異常な天候の原因のひとつに、現在の「海洋温度の上昇」というものもあるかもしれません。

西暦 1910年頃から海水表面温度は上昇する一方で、そして、今年9月には「一気に上昇」して、観測史上最高を更新しています。

1880年から2014年までの海水表面温度の推移
sea-temp-2014b.gif
・NOAA

もっとも、今回の記事で書かれていることは「海底の水温」であるわけで、深海の海流システムと表面の海流システムは違うのでしょうから、海水表面温度の上昇と、海底の海水温度の上昇の現象を同じように考えるのは間違っているのかもしれないですが、どうやら、

現在、海は表面も深海もどちらの温度も上がっている

と言えそうで、これは今後の地球環境にかなりのインパクトを与える事実だと思います。

何よりも、メタンがどんどん海中と大気中に放出され続けているというのは、どうにもいろいろと想像してしまいます。

そんなわけで、ここから記事をご紹介します。

なお、記事に出て来る「ワシントン沖」というのは、ワシントンD.C. のことではなく、ワシントン州という西海岸にある州のことです。

washington-map.gif

このワシントン州の沿岸を中心として、すさまじい量のメタンの放出が確認されているとのことです。




Warmer Pacific Ocean Could Release Millions Of Tons Of Seafloor Methane; 'We Looked At The Amounts, It's Significant'
Underwater Times 2014.12.09


暖かい太平洋は海底から数百万トンのメタンを噴出している可能性がある。「私はその量を見た。それはおびただしいものだ」


アメリカの西海岸沖では、海底の凍結層にメタンが閉じ込められている。

ワシントン大学の最新の研究によれば、その海底層の中間ほどの深さの場所の海水温度は、凍結層の炭素堆積物を溶融させるのに十分な温度があり、結果として、堆積物中にメタンを放出し、海水を取り囲む可能性があることが示された。

研究者たちは、ワシントン州沖の海水が、500メートルの深さで徐々に暖かくなっていることを発見した。海底 500メートルというのは、メタンが個体からガスへと気化するのと同じ深さだ。

この研究では、海水の温暖化は、強力な温室効果ガスの放出に繋がる可能性があることを示す。

今回の研究結果を、アメリカの地球物理学専門誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ( Geophysical Research Letters )」に共著した、海洋学のエヴァン・ソロモン( Evan Solomon )助教授は、以下のように語った。

「私たちの計算では、その量は、2010年のディープウォーター・ホライゾン(2010年のメキシコ湾原油流出事故)の原油の流出が『ワシントン州の沖で毎年起きる』ほどの量と同等のメタンであることを示します」

科学者たちは、地球温暖化はガスハイドレートからのメタンの放出によって起きるだろうと確信しており、現在その焦点は北極にあてられている。

今回の論文では、1970年から 2013年まで、約4万トンのメタンがワシントン州沖からハイドレート分解物として放出されたと推定している。

「メタンハイドレートは、非常に巨大で崩壊しやすい炭素の貯留地です。そして、それは温度の変化により放出され得るのです」と、ソロモン助教授は述べる。

メタンは天然ガスの主成分であり、低温及び高い海洋圧力によって、海水とメタンハイドレートと呼ばれる結晶が結合する。

アメリカの太平洋岸北西部は、生物学的な生産性のある海域であることと強い地質活性を有するため、異常な量のメタンハイドレートの貯留地となっている。

しかし、他にも、世界中の海岸線に、同じように温暖化に影響を与える貯留地がある可能性がある。

ワシントン州沿岸の海水温度について、初めて歴史的な量のデータをとったのは、この論文の共同著者であるポール・ジョンソン( Paul Johnson )教授だ。

そのデータは、予期していなかった海水の表面温度の上昇の徴候を明らかにした。

「データが精錬されておらず、また雑然としたものだったにも関わらず、私たちはその傾向を見出すことができたのです。何しろ、それは飛び出すようなデータだったのですから」

この 40年間のデータは、深海の海水は、おそらく驚くべきほど温められ続けていたことを示唆しており、それは気候変動の一因となっていると考えられる。

暖かい海水は、おそらく日本とロシアの間にあるオホーツク海から来ている。この場所は、海水表面が非常に濃い。そして、暖かい海水はそこから太平洋に広がった。

オホーツク海は、過去 50年間暖かくなり続けていることが知られており、他の研究では、この水が大西洋からワシントン沿岸にまで到達するには、10年から 20年かかると考えられている。

そして、これと同じ深海の海流は、北カリフォルニアからアラスカまで到達しているとソロモン助教授は確信している。

ハイドレート分離により、今世紀に今後放出されるガスの量の推定値は、毎年4億トン( 0.4 million metric tons )、あるいは、メキシコ湾原油流出事故の4倍が毎年放出される量だ。

しかし、いまだに、放出されたメタンガスの最終的な行き先は不明だ。

海底堆積物中のバクテリアによって消費されているか、あるいは、その場所の海底は酸性化したり、酸素欠乏状態となっているかもしれない。

または、メタンのいくらかの部分は海水の表面にまで上昇しているかもしれない。その場合、温室効果ガスとして大気中に放出され、気候変動に影響を与えているかもしれない。

ジョンソン教授とソロモン助教授は、放出されたメタンの最終行き先を分析している。

そして、2人が示唆する点で重要なのは、上昇したメタンガスによる海面の気泡の目撃情報について注意している点だ。海底からのガスの一部は表面に達し、大気に入っていることを示唆する。





ここまでです。

ちなみに、上の記事に「海底の酸素欠乏状態」というような言葉が出てきますが、この「海底の酸素欠乏状態」は、デッドゾーンと言われる、生き物が住めない「死の海」を作り出す原因となります。

また、上の記事には、 2010年のメキシコ湾での原油流出事故のことが出ていますが、これによっても、デッドゾーンが発生していて、もしかすると、現在もまだ拡大しているのかもしれません。

この事故は原油そのものより、その原油を散らすために使われたコレキシット9500 ( Corexit 9500 ) という薬剤が大量に使われたためだとも言われています。

下は3年くらい前の、

新年のノルウェーでの魚の大量死で思い出す「メキシコ湾の原油流出と海流の関係」
 2012年01月04日

という記事に載せた海流の地図です。

belt-03.jpg


どんなに小さな海流でも最終的には大きな海の循環システムである「大海洋コンベアベルト」に海流は結びついていくわけで、時間はかかっても、「どんなものでも世界中の海を回る」ことになります。

なので、メタンによる「酸素欠乏状態の海」が広がっている可能性があるのだとすれば、世界中の海がデッドゾーンだらけになるという可能性もあるのかもしれません。

参考までに、「メキシコ湾のデッドゾーン化」についてずいぶん前に翻訳して、ご紹介した記事の一部を抜粋します。

原油流出によるメキシコ湾の「デッドゾーン」が平均よりかなり大きくなると研究家たちが予測
2010年06月29日

ミシガン大学の水生生態学の教授ドナルド・スカヴィア氏らの研究グループによると、今年のメキシコ湾の「デッドゾーン」(生物が棲息しない死の海域)は、通常年の平均よりかなり大きくなると予測され、また、6億5900万ドルにのぼる米国の漁業生産を今後数十年に渡って脅かす可能性があるという。(中略)

「デッドゾーンの範囲が拡大していくことは、生態的な時限爆弾ともいえる。我々は今後、深刻な漁業被害の脅威にさらされる可能性があるということを踏まえて、デッドゾーンの拡大を制御するために、地方、地域、国家の意志決定が不可欠だ」とスカヴィア氏は語った。


ここに、

> 今後数十年に渡って脅かす可能性

とあるように、デッドゾーンが発生しますと、回復するのは簡単ではないようなのです。
海中のメタンの増加も同じようにデッドゾーンを増やす可能性はあります。

なるほど・・・。

ここ数年の「海での海洋生物の大量死」、あるいは「生息する魚類の変化」などは、確かに原因は単純なものではないとはいえ、海底からの膨大なメタンの放出がそれらの理由の一部(たとえほんの少しの要因であっても)となっている可能性はあります。

地球の海のデッドゾーン化が進行しているのかどうかは、今後起きることを見ていれば、わかることなのかもしれません。



  

2014年12月13日



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デマ・ストーリーを報道大手が躍起にして否定した理由

今年10月の終わり頃に、下のような報道が、海外のツイッターや、フェイスブックに拡散されたことがありました。

nasa-6days-darkness.gif
Huzlers






 


12月16日(日本時間17日)から22日まで「6日間、地球は暗黒となる」というものです。

とはいえ、そのタイトルを読まれるだけでおわかりかと思いますが、これはもちろん作り話で、虚実混ぜた「ニュースのような記事」を発信する Huzlers.com が掲載したものです。

しかし、こういうような「虚実ミックス報道サイト」は英語圏には数多くありますし、それ以外にも、インターネット上での作り話やホラ話はどこにでも満ち溢れているわけで、普通、このようなものを大手の報道メディアが「否定する報道をする」というようなことはあまりないはずです。

ところが、この報道が出て、しばらくして、

「この記事はデマだ」

とする内容の報道が、非常に多くのメジャー報道サイト、たとえば、英国のインディペンデントや、インターナショナル・ビジネス・タイムズ、あるいは、ロシア・トゥディ、といったメディアが記事にしていたのでした。

普通だと相手にするようなものとも思えないのに、真剣に記事で否定した」という出来事が相次いだのです。

independent-hoax.gif

▲ 2014年10月28日の英国インディペンデントより。


参考までに、最初の発信元となった Huzlers.com の報道(のようなもの)の概要をご紹介します。

NASA Confirms Earth Will Experience 6 Days of Total Darkness in December 2014!

2014年の12月に地球は6日間の完全な暗闇に包まれることを NASA が確認!

NASA は、12月15日から 22日まで、地球がほぼ完全な暗黒の6日間を経験することを確認した。塵やスペースデブリが太陽嵐によって満たされることによって、太陽光の 90%が遮られる。その太陽嵐は過去 250年間で最大のものとなる。

この発表を行った NASA のチャールズ・ボールデン( Charles Bolden )長官は、人々に冷静さを保つよう求めた。

当局は、地球は6日間の暗闇に包まれても、何か特別な問題や被害が起きるということはないと述べる。

このような記事を間に受けることもないでしょうが、一応書かせていただきますと、

・太陽嵐により宇宙空間が数日間も塵や宇宙ゴミで満たされるという状態はあり得ない(太陽嵐の速度は桁違いに高速)
・そもそも、2カ月も先の太陽嵐を予測することはできない
・仮に、過去250年間で最大の太陽嵐が起きたとすれば、「問題や被害が起きるということはない」ということはない(必ず磁気嵐による被害が起きる)


などがあり、このような記事を高級メディアが相手にすることはない・・・とは思ったのですが、しかし、これを躍起に否定する、その「背景」は、まったく理解できないというものでもないのです。




2011年の NASA 長官の緊急メッセージ

3年前の 2011年 9月6日に、NASA のウェブサイト上に、唐突に、NASA のチャールズ・ボールデン長官の、「自然災害に対して、来たるべき事態に備えて下さい」といった内容の緊急非常事態に関するメッセージを述べるビデオがアップされて、憶測を呼んだことがあります。

その後、日本語吹き替えをしてくださった方がいらっしゃいまして、日本語で見ることができます。それが下の動画です。




最後のフレーズなどは、

「まずは、とにかくこれ以上ないというような準備を整えて下さい」

となっていて、何となく緊急性の漂うメッセージです。

内容の全体としては「いつ、どんな自然災害が来るかわからないので、日頃からその準備をしておいて下さい」という、どこの国でもよくあるメッセージですけれど、しかし、

「自然災害への準備を促すことは NASA の職務上の分担ではないのでは?」

とは思ってしまうわけです。

アメリカには、連邦緊急事態管理庁( FEMA )を始めとして、自然災害を担当する部署は多くあり、メッセージが出るのなら、そういう方面から出るのが自然な気がします。

というより、予測される何らかの自然災害に対しての、こういうメッセージは「アメリカ大統領が言うべきことなのではないのか」という気もします。

NASA は地球関連の調査も数多くおこなっていますが、それでも、

基本としては NASA の担当部署は「宇宙」

であるわけで、そのことなどもあって、人々のあいだに、

「何か宇宙からの災害が起きることを予測しているのじゃないだろうね」

というような憶測が流れたのでした。

幸い、NASA の長官が緊急メッセージを掲載した 2011年10月から現在まで、特別に大きな「宇宙からの災害」はなかったわけですが(強いて言えば、2013年チェリャビンスク州の隕石落下くらいだと思います)その「緊急メッセージ」の記憶が、いまだにある部分もあるのかもしれません。

A_trace_of_the_meteorite_in_Chelyabinsk.jpg
・チェリャビンスク州の隕石落下。Wikipedia

実際、ロシア・トゥディでは、このホラニュースを取り上げた際に、2011年の NASA 長官の緊急メッセージを引き合いに出していましたので、結構多くの人がこの時の NASA 長官の緊急メッセージを覚えているのかもしれません。

rt-nasa-hoax.gif
RT

このロシア・トゥディの記事もご紹介しておきたいと思います。




Earth to face a 6-day blackout, viral hoax cites NASA as saying
RT 2014.10.29


地球が6日間の暗転に直面するという NASA の発言を引用したホラ話がウイルスのように広がる


NASA が「地球は 12月に6日間の完全な暗闇」に包まれることを確認したことを暴露したとする主張は完全な「宇宙デマ」だった。

しかし、この話がデマだとわかる前に、この内容はツイッターを通して、全世界に広がっている。

オリジナルのレポートは、風刺的なニュースサイト Huzlers.com に掲載され、内容のソースとして、NASA のチャールズ・ボールデン長官の発言を引用したとされていた。

タイトルは「2014年の12月に地球は6日間の完全な暗闇に包まれることを NASA が確認」というもので、12月15日から 22日まで、太陽嵐による塵やスペースデブリよって、太陽光の 90%が遮られ、地球がほぼ完全な暗黒の6日間を経験することを確認したとしている。

ボールデン長官の 2011年の緊急事態への準備に関してのビデオは、このレポートの内容に重みを追加するために文脈に付け加えられた。


nasa-bolden.jpg
Youtube

しかし、全体として見た場合、このビデオは、地震やハリケーンが起きた時のための防災の準備について語っているものにすぎない。





というものですが、先ほども書きましたように、「 NASA の職務上の分担というのは、地震やハリケーンに対しての防災上の意識をアメリカ国民に促すものなのだろうか」という疑問が出るのも不思議ではない気がします。




暗黒になるはずの12月18日には地球外生命体まで地球に来訪

なお、Huzlers.com は最近の記事(のようなもの)で、

地球外生命体が、12月18日に地球に到着することを NASA が報告した

というストーリーを載せています。

nasa-extraterrestrial-beings .gif
Huzlers.com


この記事(のようなもの)でも、 NASA の科学者の名前を挙げ、その人物の言葉を引用して書かれています。

記事によれば、

NASA のハップル宇宙望遠鏡により6機の宇宙船が地球方向に移動していることが観測された。6機の宇宙船のサイズは、それぞれがサッカー場の半分ほどもある。地球へ向かっている目的は今のところ不明。

とのことですが、Huzlers.com の記者たちは、「その 12月 18日は地球が真っ暗になるって記事を書いた」ことを忘れたのですかね・・・。

それとも、意図的にその日に合わせて書いたのでしょうかね。

いずれにしても、人騒がせなニュースサイトではありますけれど、「地球が真っ暗になる」という話題にそんなに多くの人びとが惹きつけられるということは、そのような現象を「願う人々」、あるいは、願わないまでも、「そういう現象を経験したい人」が多いということなのかもしれません。

もちろん、私も経験してみたいです。

しかし、そうなる状況というのは、普通の考えではどうしても現実として想像することが難しい。

特に「地球全体が暗黒に陥る」という状況は、太陽が一方向から光を照らしている以上、太陽そのものが消えてしまう(あるいは太陽の光が消えてしまう)」ということにならない限り無理だと思いますが、太陽や、その光そのものが突然なくなるというのも、それもまた考えづらい。

そういえば、私の NASA の太陽写真コレクションの中で最も好きなものに「太陽が消えた」ものがあります。下の一枚です。

2010年1月29日1時26分19秒に NASA の太陽観測衛星 SOHO が撮影した「太陽」の写真

20100129_no-sun3.jpg


消えてますでしょう(笑)。普通は真ん中に太陽が写っているのですが、理由はわからないですけど、この時の写真には太陽が写っていなかったのでした。

この写真は、過去記事の、

「太陽騒動」から3年目の 2012年に再び太陽の周囲に集まる「巨大物体」たちを前に無視もできずに呆然と見つめる私
 2012年12月18日

にあります。

ちなみに、2012年の 12月18日に「太陽の光が消えていた」ように見えた観測のことについて記事でふれたこともあります。




2012年の暮れに「光が消えていた」太陽

このことは、

「暗黒の3日間」を実際に NASA の太陽観測衛星で見た日: そして、12月21日から突如として「凶暴化し始めた地球」
 2012年12月24日

という記事に、

「太陽は3日間消えていた」かもしれないことを示す NASA の写真

として下の写真を載せたことがあります。

sun-black3.jpg


写真は、NASA の太陽観測衛星 SOHOのものです。

この時の現象も合理的に説明がつくものなのだろうとは思いますが、見た目には、確かにその数日間、「太陽の光は消えていた」ようにしか見えなかったのです。

まあ、「地球が数日間の暗黒に包まれる」というフレーズは、さまざまなところで語られることでもありまして、それが「地球の変化のきっかけとなる」としているものも多いわけで、確かに現実感はあまりないですが、魅力を感じる現象でもあります。

何はともあれ、 「暗黒の6日間が来る」とされた 12月16日はもうすぐです。

日本には「ひょうたんから駒」なんて言葉もありますしね。

故事ことわざ辞典より「瓢箪から駒が出る」の意味

瓢箪から駒が出るとは、思いもかけないことや道理上ありえないことが起こること。また、冗談半分で言ったことが現実になること。




  

2014年12月09日



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dna-top.jpg
CoEXIST






 



「DNAが宇宙から地球の大気圏内突入に耐えられるか」を確かめる実験が行われていた

先日、タイトルだけ読むと、英語だろうが、日本語にしようが、どうにも意味のわからないタイトルの下の科学論文が掲載されました。

dna-return-01.gif

▲ 2014年11月26日の科学雑誌 PLOS ONE より。

直訳といっていいのか、そういう感じなのですが、それにしても、この「地球の大気圏に突入後のプラスミドDNAの機能は活性。弾道宇宙飛行実験のための新しいバイオマーカー安定性アッセイ」という日本語は、自分で書いていて、まるで意味がわかりません。

このページにはその論文の概要が載っているのですが、それも難解ではありながらも、おぼろげにわかるのは、実験の主旨は、

DNA が大気圏突破の熱と衝撃に耐えられるか?

ということを試すための実験だったようで、そのために DNA を載せたロケットを宇宙空間まで飛ばして地球の大気圏に再突入させて、DNA を回収するという、なかなか大がかりな実験ですが、その結果、

地球の大気圏に再突入し、地上に戻った後、 DNA の何割かは生存して回収され、その後も活動を続けた。

ということ結果となったようです。

つまり、「 DNA は大気圏突破の際の熱を耐えた」ということになるようです。

日本語で記事になっていないか探しますと、ロシアの声に、内容は大ざっぱながら紹介されていました。

DNA、宇宙旅行を生き延びる可能性あり
ロシアの声 2014.11.30

チューリッヒ大の研究グループによれば、DNAは宇宙空間という過酷な環境を生き延びるばかりか、大気圏突入後も生存し、活動することが出来る。

低軌道へのロケット発射実験でこうした結果が得られた。地球の生命の起源や、地球の生命の異星への拡散の可能性といった問題に大きな影響を与える可能性がある実験結果だ。

ロケット「テクサス49」が、北極圏内にあるキルンのエスレインジ発射場から打ち上げられた。

下が実験で使われたロケット「テクサス49( TEXUS-49 )」の構造と、カプセル群のようです。

DNA大気圏突入回収実験に使われたテクサス49

dna-cupsle.jpg


論文に掲載されたグラフのひとつ

dna-recov.png
PLOS ONE

上のようなグラフはいくつかあり、細かい数字の意味はわからないですが、多分これは、ロケットの部位による DNA の回収率を示しているもののよようです。

詳しい率や部位はともかくとしても、どの部位でも、10数パーセントから20数パーセントの DNA が大気圏突入後に回収され、そして、それらは地球に帰還後に「また活動を始めた」ようです。

これは DNA のサイズを考えると納得のできることではあり、やや長くなるかもしれないですが、少し書かせていただきます。



DNA は宇宙空間を旅するのに最適な生命物質

私は「すべての地球の生命は宇宙空間から地球に侵入して進化した」とするパンスペルミア説の支持者でして、その地球の生命の「進化」もまた、宇宙からやってきたウイルスやバクテリオファージといったような、生物の細胞を根本的に変えてしまうような働きを持つものによって起きると思っています。

もちろん、これはフレッド・ホイル博士の説を代弁しているだけで、私のオリジナルの部分などはひとつもありません。

しかし、「宇宙空間から生命が地球内に入る」ためには、地球の大気圏の突破という非常に過酷な条件をクリアする必要があります。

なぜ大気圏突破が過酷かといいますと、宇宙空間は基本的に真空ですので、移動する物体は、無抵抗に加速していきますので、ものすごい速度となります。

宇宙空間を移動する物質の速度は「秒速」何キロメートルという、とてつもない速さで移動します。抵抗がないので、大きな物体でも小さな物体でも基本的には同じはずです。つまり、DNA や細菌のような微小なものでも、そのような速度で宇宙空間を移動します。

その勢いですと、まずは大気のない惑星、たとえば「月」のようなものと衝突した場合は、完全に破壊されてしまい、微生物だろうと DNA だろうと、分子サイズまでバラバラになってしまいます。そして、惑星自身も、壮絶な速度で自転しているわけで、その衝突の破壊力はかなりのものです。

ですので、大気のない星に形が残る姿で生物が着地することは不可能だと思われます。

着陸できるとすると、地球のような大気のある惑星ですが、それでも、大気圏を突破する際には、すさまじい熱を発します。

これに関しては、4年以上前のクレアなひとときの、

地球の成り立ち:宇宙はすべて生き物からできている
 2010年05月09日

という記事の中に、1986年に英国カーディフ大学でおこなわれた「大腸菌の過熱実験」の際の風景を、私が臨場感たっぷりに小説風にしたもの(苦笑)がありますが、そこから抜粋します。

地球大気に秒速 10キロのスピードで物体が突っ込んできた場合、その摩擦熱は物体の大きさ(粒子の直径の4乗根)と比例する。

その場合、物体が針の先くらいのものでも、摩擦温度は 3000度に達し、ほとんどの物質は残らない。あるいは生物なら生き残ることができるものはいないはずだ。

可能性があるとすると、それより小さなものとなる。

たとえば、細菌やウイルスくらいの大きさの粒子なら、突入した際の摩擦温度は約500度となる。

摩擦で加熱される時間は約1秒間と推定される。

この「1秒間の500度の状態」を生き残ることができない限り、生物は彗星に乗って地球に侵入してくることはできない。

というわけで、フレッド・ホイル博士とチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士たちのチームは、「大腸菌の1秒間の、500度での過熱実験」を続けるのです。

そして、大腸菌たちはこの実験をクリアしました。

大気圏突入の際の熱の高さは、上の文章に、

> 物体が針の先くらいのものでも、摩擦温度は 3000度に達し

となり、つまり私たちが目視できるような大きさのものでは、摩擦熱が大きくなりすぎて、それに耐えうる生物は存在しないと思われます。逆にいえば、サイズが小さくなればなるほど摩擦熱は少ないですので、宇宙から地球にやってくるためには「小さければ小さいほど好都合」なのです。

ところで、大腸菌とか DNA の大きさってどのくらいなのかといいますと、そのあたり、私も曖昧でしたので、調べてみますと、下のような大きさの比較となるようです。

bacteria-dna.gif
ナノテクノロジーと医療

大腸菌が 0.001ミリくらいで、 DNA に至っては 0.000001ミリとかいう、もうよくわからない小さな世界なわけです。

実際には、DNA は 0.000002ミリくらいらしいですが、そのあたりの誤差はともかくとして、すごいのは、この非常に小さな DNA の螺旋を全部伸ばしますと「 DNA の長さは2メートルにもなる」のですよ。

イメージとして考えますと、まず、細胞と細胞核があります。

私の頭脳に応じて、ここでは「小学生のための理科の王国 - DNA ってなあに?」から説明をお借りいたしますと、

細胞の一つの大きさは、0.05 mmくらい、核の大きさは0.01 mm くらいといわれています。

ということで、下のようになっています。

cell-dna-01.gif


イメージとしては、毛のようにもわもわと描かれているのが DNA のあるあたりということでいいのだと思われます。そして、ひとつの細胞に含まれすべての DNA を繋げるとすると下のように、2メートルにも達するそうなのです。

dna-2.gif
DNA がもつれないわけとは?


つまり、DNA は非常に小さい存在であるにも関わらず、長さにすれば、細胞の数万倍の長さを持つというもので、それだけにすさまじい情報量を小さな直径の中に収められるのかもしれません。

そして、小さければ小さいほど、大気圏突入の際のダメージが少ない。
すなわち、DNA は宇宙空間の惑星の大気に突入するのに最も適した「生命パーツ」であること。

そして、それ( DNA )が私たち人間を含めた、ほぼすべての生命の根幹をなしているという事実。

何というか、もうやはりこれも一種の「奇跡」であると思います。

そして、今回、その DNA の大気圏突入実験が成功したということのようですが、このような実験を試みるということそのものに、「 DNA が宇宙からやってきた」と考える科学者の意志を感じます。

考えてみると、最近の無人宇宙探査の目的は、かなりの部分で、「地球の生命が宇宙由来である証拠を掴もうとしている」ものが多い気がしますし、報道でも、すでにそのこそが普通に語られています。




生命は宇宙からやって来た方向で固まりつつ科学界

フレッド・ホイル博士の存命中は理解を得られなかった「地球の生命が宇宙からやって来た」ことについて、今ではどのような見解になっているのかというと、それは最近の報道のタイトルを見てもわかります。

先日打ち上げられた日本の「はやぶさ2」のミッションも「生命の起源を探る」というように、明確に記されている報道が多いです。

「はやぶさ2」 生命の起源探る壮大な旅だ
読売新聞 20104.12.06

生命の起源に迫る手がかりはつかめるのか。

小惑星探査機「はやぶさ2」は、3日に打ち上げられて以来、順調に飛行を続けている。目指す小惑星「1999JU3」には、2018年夏に到達する。地球への帰還は20年暮れの予定だ。成果を期待したい。

あるいは、欧州宇宙機関( ESA )の探査機ロゼッタが着陸した彗星チュ……。

まあ、名称不明(勝手に名称不明にすな)のあの彗星にしても「生命の起源」とタイトルにつく報道が当時多くありました。

下はスイス・インフォの報道ですが、もう記者は「チュリ彗星」で済ませていますので、このあたりの表記でもOKのようです。そして、この記事の冒頭には「水と生命がどこから地球にやってきたのかが今解明されようとしている」とあります。

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▲ 2014年11月10日の Swissinfo 「チュリ彗星に探査機着陸か?生命の起源もやがて解明?」より。


また、ロシアでも「ビアンM」という人工衛星と「フォトンM」という人工衛星に、さまざまなバクテリアを積み、宇宙のフライトから大気圏突入の実験を行っています。

vor-photon.jpg

▲ 2014年12月1日の「ロシアの声」より。


この記事には下のように、実験の詳細が記されています。

ロシアの研究グループは生命外来説の真偽に実験によって迫ろうと試みた。

昨年、宇宙に向け、「ビオンM」衛星が打ち上げられた。その外壁には様々な微生物をつめたコンテナーが備えられた。

衛星は軌道上で30日を過ごし、地球に帰還。調べてみれば、全ての微生物のうちで、生き残ったのはわずか一種類のみであった。しかしその一種類は、大気圏突入時の、摂氏数千度という高温を耐え抜いたのだ。

と、ここにも、フレッド・ホイル博士が 1989年に行った実験を裏付ける、

> その一種類は、大気圏突入時の、摂氏数千度という高温を耐え抜いたのだ

というくだりがあります。

また、上の記事には、

ロシア人科学者、アレクサンドル・スプリン氏は、長年にわたり、リボ核酸の研究を行っている。リボ核酸、それは三つある基幹的高分子のうちの一つであり、あらゆる生命体の細胞内に存在するものである。

氏は、その分子がどうやって発生し得たのか、を研究しつづけ、ついに、地球環境ではそれはどうやっても発生し得なかった、との結論にたっした。すなわち、生命は宇宙から来たとしか考えられない、と。

などというような記述もあります。

いずれにしても、多くの科学者たちが、「地球の生命」がどこからやってきたのかということについて、ほぼ「宇宙から」という方向で結論付けている雰囲気が最近はあります。

しかし必要なのは「確証」です。

たとえば、「 DNA が地球の大気圏の突破をなし得た」という結果が、「地球に宇宙から DNA が運ばれている」という推論を確証できるものではありません。

じゃあ、どのようにすれば確証が得られるのかと考えますと・・・てへッ(何だ?)

それを確証する方法は多分、「存在しない」と思います。

その確証には、

生命の発生源
生命の運搬ルート


にまで遡ることを余儀なくされることであって、そんなことを証明できるとも思えないのです。

ふと思ってみれば、晩年のフレッド・ホイル博士は、仏教にでも帰依していたのか、やたらとブッダの言葉を引用していたりしました。

もしかすると、自分が人生を賭けて研究し続けた「パンスペルミア説」というものが、ホイル博士本人が「科学的に納得できる」形で証明されるということがとても難しいことであるということがわかってしまったのかもしれません。




宇宙時代の区切り、あるいはひとつの終焉に進む中で

ホイル博士は晩年の著作で、

「無限の宇宙が存在する」

というブッダの「宇宙の無限と永遠性」について述べていますが、計算式上ではともかく、「永遠」を実験的、あるいは実証的科学で証明することは難しいことだと思います。

もちろん、私は科学とか計算式の詳しいことはわからないですが、もし「計算」でそれが可能だとしても、誰にでも現実にわかる形として証明することは難しいことだと思います。

あと、「宇宙探査の時代がひとつの節目を迎えているという感じがする」ということもあります。

最近の、

太陽系の宇宙線量が異常に増加している : 仮にオリオンが 2020年代に有人火星ミッションをおこなった場合「 300日」で宇宙飛行士たちの身体は被爆の限界値に達する
 2014年12月08日

という記事などでも書きましたけれど、今後、太陽活動が低下し続けた場合、太陽系の宇宙線の量は増え続け、有人宇宙ミッションが厳しい状態にさらされる可能性があります。宇宙線の量が極端に増え続ければ、無人探査機への影響も出て来るかもしれません。

あるいは、宇宙ミッションは、各国の経済状態とも関係します。

もしも、ですけれど、今後、先進国などで途方もない経済崩壊が起きたような場合は、もはや宇宙探査や開発どころではなくなるはずです。

そんなような経済崩壊が来るのかどうかは私にはわかりません。
でも、そのような意見は根強くあり続けます。

そういうことも含めて、あらゆる面で、私は「宇宙時代はひとつの区切りを迎えた」と感じています。
あるいは「宇宙時代の終焉」といってもいいのかもしれません。

そういう時に、次に何が大事か、ということのヒントを、最近、うちの子どもが図書館で借りて家で読んでいた子ども本の最後の1行で知りました。

それは、ロバート・フローマンという人の書いた『もっとはやいものは − スピードの話』という絵本の体裁のものでした。

読んだ後に子どもが、

子ども 「おとうさん、1番早いものは何だったと思う?」
わたし 「ま……いきなり答えを言ってしまうのも悪いが、光」
子ども 「そう思う?」
わたし 「え? そうじゃないの」
子ども 「じゃあ、読んでみて」


と本を渡され、そのページには以下のように書かれていました。
すでに「1番早いものは光」と書かれていた後の下りです。

『もっとはやいものは − スピードの話』最終ページより

宇宙船が、光ほどのはやさでとぶとしても、太陽にいちばんちかい恒星にたどりつくのに、4年以上かかるだろう。

けれども、あっというまに、その星にいける方法がある。

世界一よく見える望遠鏡でみわたせる宇宙のはしから、光がとんでくるのに、何十億年という年月がかかる。

ところが、あなたの心のなかでは、あっというまにそのくらいの距離を、それどころかもっと遠くまで、とんでいくことができる。

あなたの考える力、想像する力は、いつでも、どこでも、すきなところへ、すきなはやさで、いくことができる。

あなたの想像力は、なによりもいちばんはやいのだ。

なんという真理!

目からうなぎ(こわいわ)。

もし、物理的な宇宙時代が終わった時には「あなたの想像力は、何よりもいちばんはやいのだ」という言葉を思い起こしたいと思います。