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2014年12月19日



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フランシスコ・シリーズ(3):神学上でも啓示学上でも難解な「動物の魂と動物の死後の問題」に気軽に介入した法王の発言で巻き起る議論



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▲ 2014年12月11日のニューヨーク・タイムズより。




万能の神を否定し、悪魔を公認した後に

いやまあ、実際には、過去記事に「フランシスコ・シリーズ」とか、まして、その(1)とか(2)とかがあるわけではないんですが、現ローマ法王であるフランシスコ法王の発言や行動は、ここしばらく大変に興味を持って追っています。

今回は、フランシスコ法王が「犬の魂も天国に行ける」と述べた発言が世界で論争を起こしている件についての米国ニューヨーク・タイムズの記事をご紹介します。

それにしても、思い起こしてみれば、昨年の法王選出会議(コンクラーベ)の前には、ベネディクト16世の次の教皇の有力候補は次の3人だったのですよ。

2013年のコンクラーベで時期法王としての有力候補だった3人
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▲ 2013年02月17日の記事「最後の法王と呼ばれ続けたベネディクト16世(2): 予言では存在しない 112代法王…」より。


つまり、フランシスコ法王は有力候補でも何でもなく、それどころか、その名前さえ取り上げられてはいなかったのです。そういう意味では、「神がかり的な(あるいは逆の存在がかり的な)」パワーが働いての法王選出だったともいえなくもないかもしれません。

そんな現法王の最近の「フランシスコ・シリーズ」と言える記事としましては、たとえば、シリーズ(1)に相当するのが、

「神の敵の登場」:神による天地創造を否定し、ビッグバンと進化論を演説で肯定したフランシスコ法王
 2014年10月30日

かもしれません。

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ODN

上の写真は、2014年10月27日のフランシスコ法王の公式な演説で、法王は以下のように述べました。

世界は、何か他に起源を持つようなカオス(混沌)の中から始まったのではありません。しかし、愛から作られた至高の原則を直接的に派生させます。

現在では世界の始まりとされているビッグバン理論は、神の創造的な介入と矛盾するものではありません。逆に創造論はビッグバンを必要としているのです。

自然の進化論は、神による創造の概念の逆にあるものではありません。なぜなら、進化論には「生物の創造」が必要とされるからです。

要するに、

この世は(神の創造ではなく)ビッグバンで生まれ、そして、地球の生物は(神の創造物としてではなく)ダーウィンの進化論的な進化を遂げて現在に至る。

とおっしゃったわけですね。

上言葉の中に「なぜなら、進化論には生物の創造が必要とされる」とありますけれど、その後に、ダーウィンの言うように、自然選択的に生物が「偶然」進化するならば、そこは神の手の及ばない領域のわけで、「これもまた神全能ではない」ということを言っているに過ぎないことになります。

そういう意味で、このフランシスコ法王の発言は、どう釈明しても「神の絶対性の否定」の部分が覆ることはありません。




子どもとフランシスコ法王を対談させたい

話は唐突に変わるのですけれど、19世紀から 20世紀の神秘思想家ルドルフ・シュタイナーによる 1922年の『いかにして高次の世界を認識するか』という著作には、以下のような下りがあります。

たとえば、ある観点から見ると自分よりもはるかに程度が低いと思われるような人の意見を聞くときにも、「私のほうが、よくわかっている」とか、「私のほうが、すぐれている」といった感情を、「すべて」抑えるようにしなくてはなりません。

このような態度で、子どもが話す言葉に耳を傾けるのは、すべての人に有益な結果をもたらします。すぐれた賢者ですら、子どもたちから計り知れないほど多くのことを学ぶことができるのです。

この中にある、

> すぐれた賢者ですら、子どもたちから、はかりしれないほど多くのことを学ぶことができるのです。

のようにシュタイナーは言っているわけで、フランシスコ法王が賢者かどうかはともかくとしてしましても、法王でも、きっと子どもたちの発言からは多くのことを学ぶことができるのだと思います。

先日、私が子ども(9歳)とふたりでいた時に、ふと子どもが、

子ども 「おとーさん、宇宙のはじまりってさ・・・あれは・・・」

と言ってきました。

わたし  「・・・(うッ、この質問キタ)もしかして・・・ビッグバンのこと?」
子ども  「あーそうそう。そのビッグバンだけどさ」
わたし  「はい」
子ども  「ビッグバンの前にも宇宙はあったんだって。だから別に始まりじゃないみたいだよ」
わたし  「……そんなことどこで聞いた? 学校?」
子ども  「いや・・・えーと、忘れたけど。おとーさんはどう思うの?」
わたし  「あー、それね。まー、そういうことをきみたちの世代が調べていくと」
子ども  「もうわかってるんじゃないの?」
わたし  「いや。何にもわかってないんだよ」
子ども  「なんにも?」
わたし  「そう。何にも」


こういう子どもと、フランシスコ法王の対談(通訳付きでOK)をさせてみたいですね。

ビッグバン仮説と現在いわれる状態の前にもずっと宇宙は存在し続けていたと信じる子どもに対して、「ビックバンが宇宙の始まりだ」と主張する法王は、子どもに対して、どのように語るのか。

あるいは、話に飽きた子どもから「妖怪ウォッチ」について質問されたらどうなるのか?

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そういうようなことも思ったりもしますが、まあ、これらの対決はともかくとして、ローマ教皇の中でも、まれに見る、「神の万能性の否定」を明確に打ち出しているフランシスコ法王のアクション(2)は下の記事です。

フランシスコ法王が 300 人からなる悪魔払い師の団体「国際エクソシスト協会」をパチカンの組織として正式に支持することを表明
 2014年11月01日

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Livescience

神の万能性を否定

した直後に、

悪魔払いを公式に支持

ということになっているわけです。

この件については今回のこととは関係のないことですので、今回は特にふれませんが、このあたりのことは昨年の記事、

この世は悪魔で一杯: 歴史に出てくる「最初のエクソシスト」がイエス・キリストだと知った夜
 2013年05月04日

という記事に、

・1990年のアメリカ映画『エクソシスト3』の台詞
・聖書の記述
・オックスフォード大学による悪魔憑きの2008年の研究論文


などを羅列して、朧気ながらキリスト教的世界で理解できるのは、「この世は何万人も何百万人も悪霊に取り憑かれているかもしれない」という概念かもしれないということだったりします。

そして、その行動を注意深く拝見させていただき続けていますフランシスコ法王が、今度は、「犬の魂も天国も行ける」ということを公共の場で発言して、論争となっていることが報じられています。

そして、この発言が全世界の動物愛護団体などから大歓迎されているという話です。




なぜ、犬の魂が天国に行ってはいけないのか?

ペットを飼われる方の多い現在の社会で、「死んでしまった犬の魂も天国に行ける」というようなフレーズは、私たち一般人にとっては別に、

「それはそれでいいんじゃないの?」

と思うところですが、しかし、神学的にはそう簡単なものではないようなのです。このフランシスコ法王の気軽な発言は、「カトリックの歴史的な論争の根幹と関わる」ことに抵触しているのです。

つまり、「人間以外に魂があるのか」という議論です。

これはカトリックの長年の議論の的でした。

また、それ以前の問題として、そもそも、「聖書の記述は犬に冷たい」という事実も存在します。

ジョン・ホーマンズ著『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』には、以下のような下りがあります。

旧約聖書には、犬に関するかなり手厳しい記述が目立つ。はっきり言えば、すべての動物の中でも特に愚弄の対象として槍玉に挙げられているようにさえ思える。

聖書に登場する犬には「名誉人類」に値するようなところがまったく見られない。ほとんどの場合、犬は汚物や腐敗とかかわるかたちで語られる。

また、聖書の中の動物たちというサイトでは、

箴言26章11節 「犬が自分の吐いた物に帰って来るように、愚かな者は自分の愚かさを繰り返す」

とか

詩篇22篇16節 「犬どもが私を取り巻き、……私の手足を引き裂きました」

を引き合いに出しています。ここでは、「イエスを十字架に付けた者たちを犬と表現」しています。

なぜ、聖書では犬がこのような扱いなのかは定かではないですが、実際の犬がどうこうはともかく、少なくともキリスト教の世界においては、このような扱いをされているようです。そして、「人間以外の魂についてカトリック保守派は認めていない」という問題があります。

そこが今回の問題点となっているようです。

人間と、人間以外の生物の関係というのは本当に難しいことだと思います。

「動物を愛する」ということと「生命やこの世の真理」がイコールであるのかどうかは私にはわかりません。

それだからこそ、今回のような「フランシスコ法王の発言が一般の人々から歓迎された」というだけでの判断は難しいものがあります。

宇宙の中での本当の「それぞれの生物の立場」というものについて、ビッグバンの存在を認めるような人に本当に理解できているのか、私には疑問です

この記事の最後に出てくるアメリカの大学の宗教学教授の以下の言葉が、「それぞれの生物の死後の存在についての難しさ」を現していると思います。

「蚊は死んだら、神の目的のためにどこに行ったらいいのですか?」

これに対して合理的な答えを出すことの難解さは大変なものだと思います。

それでは、ここから記事をご紹介します。



Dogs in Heaven? Pope Francis Leaves Pearly Gates Open
NY Times 2014.12.11


天国に犬? フランシスコ法王は天国の門は開いていると言い残した


最近は、同性愛者や未婚のカップル、そして、ビッグバン支持者たちに希望を与え続けているフランシスコ法王だが、今度は、犬愛好家や、動物権利の活動家たちにも慕われる発言を行った。

可愛がっていた犬が死亡して取り乱していた少年を慰めようとするためだったとは思われるが、フランシスコ法王は、サンピエトロ広場の公共の前において、

「天国は神の創造物すべてに開放されています」

と述べた。

この言葉が少年を落ちつかせたかどうかはわからないが、この発言は「アメリカ動物愛護協会」や、「動物の倫理的扱いを求める人々の会」のようなグループに歓迎された。

そして、このフランシスコ法王の発言は、保守的なカトリック神学への否認として捉えられている。保守的なカトリック神学では、動物は魂を持たないので天国に行くことはできないとされる。

アメリカ最大の動物愛護団体「アメリカ動物愛護協会」のシニアディレクターであるクリスティン・ガトレベン( Christine Gutleben )氏は、「私のメールボックスはたちまちメールで一杯になりました。誰もがすぐに、そのことについて話していました」と語った。

イエズス会系のフォーダム大学のキリスト教倫理学のチャールズ・カモシー( Charles Camosy )教授は、フランシスコ法王が何を意味して語ったのか正確に知ることは難しいとしながら、「学者によって解剖されるものではないということを、宗教的というより精神的な意味で述べたもので、現実に対応したものではないのではないか」と述べる。

しかし、この発言が、「動物が魂を持ち、天国へ行く」という発言が、新たな論争を引き起こすのではないかと尋ねると、カモシー教授は、

「ひとことでいうと、論争が起きるのは間違いない」

と言った。

ベネディクト16世から教皇職を引き継いで以来、世界の10億人のカトリック教徒の指導者として在位してから、比較的短い期間の中で、フランシスコ法王は教会の保守派の間で物議を醸す発言を多く行っている。

たとえば、フランシスコ法王は、同性愛に関して、前任者ベネディクト16世よりもはるかに寛容な立場をとっている。シングルマザーや未婚のカップルなどに対しても同様だ。

そういう意味でも、この発言も驚きではない。

そして、フランシスコという名前は、フランシスコ会の創設者として知られるアルゼンチンのイエズス会士「アッシジのフランチェスコ(1182 - 1226年)」から取られているいるが、アッシジのフランチェスコは、ペットを失った子どもの来世の動物の守護聖人でもある。

フランシスコ法王は、聖書のくだりを引用し、動物たちは単に天国に行くだけではなく、お互い仲良く行くとして、イタリアのメディアに以下のように語った。

「いつの日か、私たちは永遠のキリストの中に、再び私たちの動物を見ることになるでしょう。天国は神が造られたすべての生き物に開かれているのです」

これについて神学者たちは、フランシスコ法王が、これらのことを何気なく語っており、教義上の声明を行っていないことを警告している。

カトリック・マガジンの編集も行うジェームス・マーティン牧師は、保守的な神学者たちが、天国は動物たちのためにあるものではないとしているにも関わらず、フランシスコ法王は「神は愛し、キリストは創造物のすべてを救う」ことを主張したのだと確信していると言う。

動物が天国に行くのかどうかの問題は、教会の歴史の中で長く議論されてきた。

1846年から 1878年まで 31年 7ヶ月というバチカン史上で最長の教皇在位記録を持つピウス9世は、他のどの教皇より、犬や他の動物は意識を持たないという教義を強く支持し、イタリア動物虐待防止協会の創設を阻止しようとした。

ヨハネ・パウロ2世は、1990年に、動物は魂を持っており、「それは人間のように神の近くにいる」と、ピウス9世と逆に聞こえる内容を宣言した。

しかし、バチカンはこのヨハネ・パウロ2世の言葉を広く公表しなかった。これはおそらく、ピウス9世とまったく逆のことを言ったためだと考えられる。

後継であるベネディクト16世は、2008年の説法において、ヨハネ・パウロ2世の見解を否定するような発言をおこなった。ベネディクト16世は、動物が死んだ時、「それは地球上での存在の終わりを意味します」と強く主張した。

動物愛護協会のガトレベン氏は、フランシスコ法王の発言は、ベネディクト法王とは非常に大きく転換したものだと述べた。

「教皇がおっしゃったことが、すべての動物が天国に行くという意味ならば、動物は魂を持っているということです。そして、それが本当なら、私たちはその事実をどのように扱うかを真剣に検討するべきです。私たちは、動物が感覚的な生き物であり、神に対しての何かだということを認めなければなりません」

テキサス州にあるサウスウェスタン大学の宗教学と環境学のローラ・ホブグット=オスター( Laura Hobgood-Oster )教授は、今回のフランシスコ法王の発言は保守派からの反発があると考えている。そして、その解決には長く時間がかかるだろうと言う。

「カトリック教会は、あるゆる場において、この問題を長い間明確にしていませんでした。なぜなら、ここには非常に多くの質問と疑問が含まれるからです」

そして、ホブグット=オスター教授はこう述べた。

「蚊は死んだら、神の目的のためにどこに行ったらいいのですか?」





(訳者注) この記事には、他にも屠殺業者や食肉加工業団体の談話、あるいは,ビーガン(動物製品の使用を完全に行わない最も厳密な菜食主義者)などの反応についても書かれてあるのですが、あまりにも長く、割愛しました。

しかし、この「肉食」や「菜食」、あるいは「動物愛護」を語る時にも、どうしても湧いてしまう概念が先ほどのホブグット=オスター教授と同じような思いなのです。

それは、

「植物には魂はないのですか?」

というものです。

こんなこと考えてもどうしようもないこともわかってはいるのですけど。

なんとなく、埴谷雄高さんの『死霊』から抜粋して、締めたいと思います。もっと広い抜粋は、過去記事の「イスラエル・ガリラヤ湖の水面下で年代不明の謎の古代構造物が発見される」にあります。

文中の「サッカ」とは釈迦のことです。

釈迦が自分が食べた豆(チーナカ豆)の死後存在から弾劾されている描写です。



埴輪雄高『死霊』 第七章「最後の審判」(1984年)より
 
「サッカよ、すべての草木が、お前に食べられるのを喜んでいるなどと思ってはならない。お前は憶えていまいが、苦行によって鍛えられたお前の鋼鉄ほどにも堅い歯と歯のあいだで俺自身ついに数えきれぬほど幾度も繰り返して強く噛まれた生の俺、すなわち、チーナカ豆こそは、お前を決して許しはしないのだ。」



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2014年12月18日



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▲ 2014年12月14日の英国インディペンデントより。




6度目の大量死時代

今年になってからは、「大量絶滅」という言葉が出てくる報道をよく目にします。
上のものは、先日、科学誌ネイチャーに掲載されたもので、

現在、両生類の 41%、哺乳類で 26%、鳥類で 13%が絶滅の危機に瀕しており、今の率で進めば、次の 100年か 200年の間に、全生物種の 75%以上が絶滅するような、いわゆる「大量絶滅」の状態となる可能性がある

ことについて書かれています。

今年7月にも、科学誌サイエンスで、スタンフォード大学による同じような研究論文が発表されていて、それによりますと、

・西暦 1500年から現在までに 320種類の脊椎動物が絶滅している
・その期間に、生物種の個体数も平均して 25%減少している


ということで、こちらではその大きな原因のひとつは人間によるものだと主張されています。

原因は何であるにしても、多くの科学者たちが、現在の地球が6度目の大量絶滅に瀕しているという可能性を述べているわけですが、昨年や今年の記事では、特に海洋生物の大量死について、ずいぶんと書きました。

昨年は、アメリカ東部でイルカの大量死が続いていることを何度か記したことがあります。

下のように、2013年は平年と比較して異常な数のイルカがアメリカ東海岸に打ち上げられました。

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▲ 2013年12月02日の記事「東の海ではイルカの大量死、西の海ではザトウクジラの狂乱の渦中にあるアメリカ」より。


このイルカの大量死については、2014年に入ってからは落ち着いています。

dolphine-noaa-2014.gif
NOAA

あるいは、アメリカ周辺で、ヒトデが地域的には絶滅状態となっていることもご紹介したこともありました。これについては、

米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味
 2014年06月06日

などに書いています。

また、今年は、「海洋生物全体の大量死」というものも、世界中でよく報じられました。

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

では、ロシアのプラウダの下の記事をご紹介したことがあります。

Emergency: Our planet is dying
ブラウダ 2014.06.01

非常事態:私たちの星は死にかけている

魚が世界中で前例のない数で死んでいる。米国カリフォルニア州では5月に6トン以上の魚が突然水上に浮かび上がった。また、やはり5月、米国では50万匹のコイが、ケンタッキー州のカンバーランド川で死んでいるのが発見された。

ミネソタ州では、35,000匹の魚が死んだ。ニュージャージー州のベルマーでは数千匹の魚の大量死。 カリフォルニア州マニフィーでも数千匹の魚の大量死が起きた。バーモント州のフェルズポイントでは、突然、湖に何百万匹の魚が死んで浮くという驚異的な出来事も起きている。

他の国では、メキシコ湾で、死んで打ち上げられるカメやイルカの数が記録的となっており、シンガポールでは 160トンの魚の死骸が浮いた。

中国ではフヘ川で、40キロメートルに渡り、魚の死体が浮かび上がった。
ギリシャのコモティニでは、10トンの魚の大量死が見つかった。

他にも、この2ヶ月ほどの間に、アルメニア、インド、カナダ、オーストラリア、北イングランド、イギリス、コロンビア、コスタリカ、ブルガリア、ホンジュラス、アルゼンチン、デンマーク、ブラジル、パナマ、イラン、アイルランド、スリランカなどで魚の大量死が発生している。

いったい何が起きているのか?

今年は、通常と比べても、海洋生物の大量死が多い年だったかもしれません。

そんな年の瀬ですが、ニューヨーク・タイムズの記事で、

「アメリカ東部のケープコッド湾という沿岸部に座礁するウミガメの数が驚異的な数に上っている」

という記事を目にしましたので、ご紹介したいと思います。
アメリカの海では、イルカ、ヒトデの大量死があり、今度はウミガメです。




アメリカ東部で増える異常な数のウミガメの座礁

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▲ 2014年12月12日の米国ニューヨーク・タイムズより。


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この場所は、平年は1年間で数十頭の座礁するカメが保護される程度らしいのですが、今年は現時点で、すでに 1,200頭が座礁しているのだとか。しかも、今も連日、その状態が続いているので、今年の終わりまでに発見されるカメたちの数がどのくらいになるのかわかっていません。

多くは救助されていますが、助からなかったカメたちも多いようです。

しかも、そのほとんどが下のような「子どものカメ」なのです。
このカメたちは救助され、水族館で治療を受けているカメたちです。
どういうわけか、大人のカメはほとんどいないようです。

turtles-01.jpg
New York Times


アメリカのウミガメは秋になると、カニなどのエサを求めて、暖かい南部から東部の北側の海にやってくるのだそうで、海が冷たくなる冬にはまた暖かい南部に戻るのですが、理由は不明ながら、今年は、南部に戻ることができないカメたちが激増しているのだそう。

本来は、カメたちは「本能」として元の海域に戻るわけですが、その本能が欠落した子どものカメが激増しているという言い方でもいいかと思われます。

戻ることができないウミガメたちはこの地域の冬の海の温度には耐えられず、そのため、連日、ボランティアなどによる賢明な救出が続いているとのことです。

しかも、この 1,200頭という数は発見、あるいは救出されたカメの数であり、発見されないまま死亡している数はこれよりはるかに多いことが想像されます。

そういえば、つい先日も、デンマーク、ドイツ、スウェーデンなで、アザラシが合計 4600頭程度が鳥インフルエンザによって死亡するという記事があったりしまして、原因は様々ですが、海洋動物の危機は続いているのかもしれません。

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▲ 2014年12月17日の Press TV より。日本語の記事は AFP の「北欧のアザラシ大量死、鳥インフル原因か」で読むことができます。


それでは、ここから、ウミガメに関してのニューヨーク・タイムズの記事です。



Cape Cod Mystery: A Surge of Stranded Turtles
New York Times 2014.12.12


ケープコッド湾のミステリー:座礁するウミガメが急増


若いウミガメたちが、カニなどのエサを獲得するために暖かい海から離れ、アメリカの東海岸におもむくことはよく知られている。しかし、それらの中の一部が、その場に長く居座り続けてしまって、寒い季節になるまで残ってしまうことがある。

そのため、毎年この時期は、ウミガメたちを救うために、ボランティアたちがケープコッド湾を巡廻して監視を行っている。

それは絶滅の危機に瀕している6種類のウミガメで、彼らが、満潮時に海岸に打ち上げられた際に救出し、リハビリして体調を回復させた後、アメリカ南部の暖かい海へと移送する。

ところが、今年は、異常な数のウミガメたちが座礁しているのが見つかっているのだ。
しかも、その理由が誰にもわからない。

11月の中旬以来、パトロールのボランティアたちは、1,200頭に近い数の座礁したウミガメを発見している。ほとんどが子どものケンプヒメウミガメ( Kemp's ridley turtle )で、この種は絶滅が危惧されている。


turtles-02.jpg


この 1,200頭という数は、以前に記録的な数のウミガメの座礁があった際の3倍に達していて、毎年の平均数とは比較できないほど多い。

現在も毎日、多くの座礁したカメが発見され続けている。

そのうちの数百頭はボランティアたちに救助され生き残るが、しかし、他の数百頭はそうではない。

座礁したカメは、多くが、ディナープレート程度の大きさの2歳から3歳のカメたちで、救出された後は、遠く離れたテキサス州にある水族館で、獣医やボランティアたちによってリハビリをされた後に、海へ放たれる。

ケープコッド湾で救出されたカメの治療にあたるマサチューセッツ州のニューイングランド水族館( New England Aquarium )の病院では、今年、寒さに打ちのめされた数百頭のウミガメたちが運びこまれた。

野生動物の専門家で、32年間、ウミガメの救出に携わってきた、ボブ・プレスコット( Bob Prescott )氏は、その 32年間のあいだに、このような事態とは遭遇したことがないと語る。

プレスコット氏が毎年発見する座礁したウミガメは、普通だと年間に1頭から2頭だという。

しかし、今年は違った。

プレスコット氏は、すでに 157頭の座礁したウミガメを発見しているのだ。

水族館の海洋生物の保護とリハビリテーションの責任者であるコニー・メリゴ( Connie Merigo )保護監督官は、「私は言葉を失っています」と言う。

「通常の年ですと、救助されるカメの数は年間を通して 70頭から 90頭です。それが、今年は今の時点で 1,200頭という数になっているのです」

水族館の獣医師やボランティアたちは、11月中旬以来、毎日 12時間から 16時間をカメの救助と治療に費やしている。

そして、今年、このような事態が突如として起きたことについて、事前には、何の兆候もなかった。

以前、ウミガメの大量座礁が記録されたのは、1989年に約 100頭、1999年には 163頭、そして、2012年には 413頭のウミガメが救出されたことがある。

この理由についてはよくわかってはいない。

オレゴン州立大学の生物学者、セリーナ・ヘッペル( Selina Heppell )教授は、「これらのカメの冬の座礁の理由について説明することはとても難しいのです」と言う。

「地域の状況の変化、たとえば急激に気温が下がったことなどが関係しているかもしれないですが、カメの行動については十分にはわかっていません」

そして、教授はこのように言う。

「今回のような出来事の長期的な影響について予測することもまた難しいです。なぜなら、救出されているカメは一部であり、実際には、私たちが発見していない数の多くのカメたちが死亡している可能性があるからです」

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2014年12月16日



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▲ 2014年12月8日のカナダ Mayerthorpe Freelancer より「スノーマゲドン」というタイトルの大雪の報道。カナダのアルバータ州にあるメイヤーソープという町。アルバータ州などでは、11月の終わり頃から激しい雪と、場所によって、マイナス 30度クラスの寒波が続いているのだそう。




「雪よ降れ!」と歌えた時代を懐かしんで

アルマゲドンをもじった言葉は「オバマゲドン( Obamageddon )」などを含めて、いろいろとありますが、最近の欧米のメディアでは、上にあります「スノーマゲドン( Snowmageddon )」とか、「アイスマゲドン( Icemageddon )」など、雪や寒さに関してのものをたくさん目にします。

そのくらい「アルマゲドン的な大雪」が早い時期から各地を襲っています。

ところで、12月25日生まれの近代物理学の祖アイザック・ニュートンの誕生日を祝う祭典として有名なクリスマスが近いですが(やめろって)、クリスマス・ソングとして有名な曲のひとつに、ヴォーン・モンローというアメリカの歌手による 1946年の「レット・イット・スノー!」(原題は Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow! )という曲があります。

確かに名曲ではあっても、やや古いこの曲が広く知られているのは、 1988年のアメリカ映画『ダイハード』と続編の『ダイハード2』の両方で、ラストシーンに流されたことが影響しています。

Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!



そんなこともあり、1980年代のアクション映画が好きだった中年世代は、ほぼ全員がこの曲を知っていて、クリスマスに暗い顔でこの歌を口ずさんだり、あるいはこの曲を聴くと、「血が騒ぐ」という人も多いです。

まあ、映画のダイハードの話はともかくとして、この「レット・イット・スノー!」は下のような感じの歌詞なんです。

外は吹雪いて寒いけれど、家の中は暖炉で暖かい
行くところがあるわけでもなし
雪よ降れ! 雪よ降れ! 雪よ降れ!


こんな歌を歌われてしまったせいなのかどうか、曲の発表後の 68年後の北半球の 12月は下のような有り様となってしまいました。ヴォーン・モンローさんにも現在の地球の光景を見ていただきましょう。

Vaughn-Monroe.jpg
・ヴォーン・モンロー(1911-1973年)


世界各地の2014年12月

トルコ

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▲ 2014年12月13日のトルコ英字メディア Daily Sabah より。



韓国

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▲ 2014年12月15日の韓国 kado より。



ロシア

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▲ 2014年12月12日のロシア Vesti より。



インド

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▲ 2014年12月14日のインド英字メディア Indian Express より。



イギリス

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▲ 2014年12月12日のイギリス Pressand Journal より。


他にもいろいろとあり、キリがないんですが、日本を含めて、とにかく「大雪の報道」は多いです。

この大雪の責任を、ヴォーン・モンローさんに押しつけるのは酷な気もしますが、それにしても今年はすごい。

何がすごいかというと、量もですけど、

時期が早い

のです。

たとえば、日本も、すでに地域的にはとんでもない大雪に見舞われていますが、特に激しい新潟の下の報道などで、今年の大雪の「時期的な異常性」がわかります。

記録的大雪で死者 16日は東京も雪の恐れ
YTV 2014.12.15

15日、積雪が全国1位となった新潟県津南町へ。町には、いたるところに大量の雪が積もっていた。道路脇に積まれた雪の高さを測ってみると、約180センチ。15日、津南町では最大で積雪190センチを記録。12月の中旬としては、最も多い積雪となった。

住民「12月中にこれだけ降るのは初めてですね」
「初雪から短い期間で、これだけ積もるのはすごい」
「(車の)ワイパーが1本折れました。こんなの初めてですよ」

日本海側を中心に各地で降った激しい雪。寒波の影響で、12月としては記録的な豪雪となった。週末から続く大雪で、82センチの積雪(平年の約4.6倍)となった青森市。

地元の住民「本当に困りますよね。今年、早くって」

この記事に出てくるような、

12月の中旬としては、最も多い積雪」とか「平年の約 4.6倍」という文字や、地元の人々の「12月中にこれだけ降るのは初めてですね」という言葉などで、今年の雪の量と早さがおわかりになると思います。

そして問題は、

「大雪が早い時期から始まったからといって、春が早くやって来るわけではない」

ということで、一般的には、北海道や東北の雪国でも、本格的な雪のシーズンは1月から2月くらいで、つまり、この冬は「平年より長い期間、雪と直面し続けなければならない可能性が高い」という状況になりそうだ、ということです。

そして、12月16日午前、気象庁は、北海道などを中心として「数年に一度の猛吹雪の恐れ」があると会見で述べています。

気象庁会見 “ 数年に一度の猛吹雪 ” の恐れ
YTV 2014.12.16

met-japan-snow.gif気象庁は16日午前、緊急の会見を開いて、急激に発達する低気圧の影響で大荒れの天気になるとして、警戒を呼びかけている。

気象庁は会見で、急激に発達する低気圧の影響で、17日にかけて北海道地方を中心に猛烈な風が吹いて、「数年に一度の猛吹雪」になる恐れがあるとしている。

車の運転が困難になるほどの猛吹雪となる他、最大瞬間風速が30メートルを超える地域もあり、交通機関に大きな影響が出る恐れもある。

気象庁によりますと、下のように、北海道に向けて2つの低気圧が進んだ後、「1つにまとまって」非常に勢力が強くなるという気象現象を見せようとしているようです。

blast-hokkaido.jpg
北海道新聞


何となく私の実家の位置を地図にマーキングしてみましたら、直撃コースですね。

うちの実家は一昨年の大雪で屋根が破壊されていて(ヒーター付きの屋根でしたが、降雪の速度に溶ける時間が追いつかず、屋根が崩壊)、そのような被害があちこちでありました。

そんな冬でも、こんな早くから「猛吹雪」なんてことはなかったわけで、東北と北海道の今回の冬にはかなりの懸念を持ちます。

そして、もし、このような大雪の状態が冬の終わりまで間断なく続くようなことがあったとすれば、いかな雪国でも、経済を含めて、必ず疲弊します。

激しい大雪というのは、流通を含めて、一時的に経済的な動きがほぼ止まる状態となるわけで、そんな状態が数ヶ月間の冬のうちに何度もやってくれば、いろいろな意味で、「ミニ崩壊」に至りかねないとさえ思います。

どうするよ? ヴォーン・モンローさんよ。(もう許してやれよ)

いや、そう簡単には許せない理由もあります。

それは、私は「この大雪の状態は多分続く」と考えているからです。





世界で大雪が続くと考えられる理由

どうして、「大雪の状態が多分続く」と考えるのかというと、それは昨日の、

太平洋が爆発する? あるいは地球の海がデッドゾーンと化す?: 海水温度の上昇で膨大な量のメタンが太平洋の海底から噴出している
 2014年12月15日

とも関係することですが、

現在、海の表面温度が高い

からです。

sea-temperature-003.gif
・Bob Tisdale – Climate Observations

吹雪のような激しい雪が降るためには、

・雪となるための水分
・低い気温
・低気圧


などの条件が必要かと思われます。

海水の温度はそれらのいくつかと関係します。

たとえば、海水温 - Wikipedia には、

海水温が水の蒸発量に非常に関わりが深いことから、気象学の観測対象とされ、気候学においても重要視される。

という記述や、

海水温は、台風などの熱帯低気圧の発生とその勢力に関係しているとされている。

などがあり、確定した学説ではないにしても、海水温が天候に大きく関係している可能性は非常に強いと思われます

そして、海水の表面温度が上がると、「蒸発によって大気中の水分量が増える」ので、雨量が多くなる傾向になるとも思われます。

実際に、ここ数年の洪水の多さはすさまじいもので、過去記事で、世界や日本の「歴史的な洪水」に関する記事を何度くらい書いたことかと思います。

また、今年は日本に関しては、特に雨の多い年でした。

気象庁に「日本の異常気象」というページがあり、そこによりますと、今年の11月から12月は平年より雨量が多い地域が大変に多くなっています。

rain-2014-11.gif
気象庁

上の分布で、白、水色、青の地域は、平年比 100%以上雨量が多かったことを示します。

これを見ると、東北の一部と北海道が平年より雨量が少なかった以外は、日本列島の多くが、平年比で 100%以上の雨量があったことがわかります。

今年の夏はもっと極端で、気象庁の「平成26年8月の不純な天候について」というページもあり、

2014年8月は、西日本を中心に記録的な多雨・日照不足になった。また、7月30日から8月26日にかけては各地で大雨が発生した(「平成26年8月豪雨」)。

と記載されています。

そんなわけで、少なくとも、日本では多くの地域で「雨が降りやすい状況」となっているということが言えるかと思います。ただし、全世界を見れば、アメリカのカリフォルニアや、ブラジルなど激しい干ばつが続いているところもあります。

そして、たとえば、台風の勢力は「海水温が高いほど発達しやすい」ということを考えても、「荒れる天気」というのは、海水温が高いほうが起きやすいと考えてもおかしくはないかとも思います。

その海水温は、過去 100年くらいの間に年々上がっていて、今年 2014年は、1880年からの観測史上で最高の海水温平均値を記録しました。下は海水面温度の平年比を示したもので、黄色、オレンジ、赤は、すべて平年より海水の表面温度が高い海域です。

sea-temperature-777.gif
Science Daily

そして、昨日の記事に書きましたように、海の表面だけではなく、海底の海水温度も高く、そのために大量のメタンが海中にも大気中にも放出されていることがわかりました。

もう、これはですね……気候に関しては荒れる要素が満載だと思います。

さらに、これに追い打ちをかける事象があるとすれば、

太陽活動が急速に弱くなる

ことがあります。

太陽活動が弱くなりますと、地球に到達する宇宙線の量が増えるため、「雲」が発生しやすくなり、すなわち、くもりの日が多くなり、日射量が減った場合は、

・雨
・低い気温


という条件がさらに整いやすくなります。

これは、「宇宙線がある場合に大気中の雲粒が大きなまま保たれる」ことをデンマーク工科大学の研究で突き止められたことなどもあり、宇宙線が雲を形成するメカニズムのほうはわからなくとも、事実として、宇宙線と雲の生成に関係があることは明確だと思えます。

cosmicray-cloud-007.gif

▲ デンマーク工科大学のヘンリク・スヴェンスマルク( Henrik Svensmark )教授の実験データ。2013年9月5日の記事「銀河からの宇宙線が直接地球の天候を変化させている : デンマーク工科大学での実験で確定しつつある宇宙線と雲の関係」より。


ですので、ただでさえ弱い太陽活動ですが、これから太陽活動が一気に弱くなっていきますと、雨や雪が今より多くなる要因となると考えられます。

地球の気候にはいろいろなものが関与していて、そのシステムは複雑であり、単純なことは決して言えないものですが、

・高い海水温度
・弱まる太陽活動


このふたつだけでも、十分に、地球の天候が大荒れになる要素となりうると考えることは、それほど的外れでもないのではないかとも思います。

そして、それに加えて、

・世界中で火山活動が増えていて、広範囲での気温の低下が予測される

ということもあります。

先日の記事、

「2015年は地獄の真っ只中」:デンマークの投資銀行サクソバンクによる 2015 年の「アウトレージな予測」から見る来年の世界
 2014年12月12日

のデンマークの投資銀行サクソバンクの大胆予測には、「火山噴火が穀物生産を直撃」という項目があり、これは、1日に3万5千トンの火山ガスを噴出し続けているアイスランドのバルダルブンガ火山の火山ガスの二酸化硫黄の影響で、ヨーロッパの天候が寒冷化していく可能性について書かれてあります。

火山の噴火は、世界でも、そして、日本でも増えています。
今年はもしかすると、近年で最多クラスの火山噴火の起きた年となっているかもしれません。

火山噴火の多発は、雪の要因のひとつである、「低温」と関係します。

これで、前のほうに書きました、吹雪などの荒れた雪模様を作り出す条件である、

・雪となるための水分
・低い気温
・低気圧


が出そろったのではないでしょうか。

そんなこともあり、もしかすると、私たちは今シーズンの冬、あるいはその先の冬も、経験したことのないような雪や、あるいは寒さを経験することになる可能性が高いと思います。

そして、春になり、雪が雨に変わる頃には、今度は洪水。

考えると気が滅入りますが、こういう時こそ、「レット・イット・スノー!」でも歌ってリラックスしたいところです(もっと降ったらどうすんだよ)。

そんなことはともかく、猛吹雪が警戒されている地域の方は本当にお気をつけ下さい。昔は雪に慣れている人々が住む雪国ではあまりなかった「吹雪による死」というのが昨年あたりから発生していて、もう今までとは吹雪の度合いが違うと考えられるとよろしいかと思います。

もはや地球は完全に変わりました。

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2014年12月15日



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methane-top.jpg

▲ 米国ワシントン州沖の海底からメタンが噴出している様子をソナーで記録した画像。ワシントン大学ニュースリリースより。


このタイトルの「太平洋は爆発する?」とは何とも派手でいい加減ですが、今回のワシントン大学の研究による「太平洋の海底からおびただしいメタンが噴出している」という記事を読んで思い浮かんだのが下のようなイメージだったもので。実際にはこういう光景とは関係のない記事です。

methane-fire.jpg
ATS

上の写真は、湖での爆発なんですけれど、海よりも水深の浅い湖などでは、メタンガスや二酸化炭素などの爆発というのはないことでもないようです。

しかし、今回この「太平洋の海底からおびただしいメタンが噴出している」ということをご紹介したかったのは、上のようなイメージのようなこととの関連ではなく、最近記事にしたことのある

世界の大気温度は下がっているのに、なぜ、海水温度は上がり続けているのか

ということと関係するかもしれないからです。

その「最近の海水面温度の異常」について再び少し書いておきます。




異常に暖かい海水表面温度

少し前に、アメリカ海洋大気庁( NOAA )が発表した「世界の海水面温度の平年との差異」の図を載せたことがあります。

sea-temp-high2.gif

▲ 2014年12月06日の記事「北半球の雪で覆われた面積が観測史上最高を記録。なのに、気温と海水表面温度は観測史上で最も高いという異常な矛盾」より。


世界全体として、今年の海水の表面温度が平年(1981年から2010年の平均値)より高いのがわかるのですが、特に、太平洋のアメリカ側の海水温の高温が際立っています。

ちなみに、世界全体の海水表面温度は、7月の時点では、平年より 0.2℃ほど高かったそうですが、1981年からのグラフで示しますと、2014年は、以下のように観測史上最高の海水温度となり、その海水温度の上昇は現在も続いています。

sea-temperature-02.gif
Bob Tisdale – Climate Observations

しかし、この「全体が高い」という数字は、世界全体の海水温度が均等に高いというより、「太平洋の海水温度が高いことによって全体の平均値が押し上げられている」と言っていいかと思います。

もう少しわかりやすい図を見つけましたので、そちらを見ますと、この状態がはっきりとわかります。

sea-3.gif
Bob Tisdale – Climate Observations

ちなみに、日本列島の周辺はグレー(平年とほぼ同じ)かグリーン(平年よりやや低い)が多いですが、北海道の周辺の海域は黄色(平年よりやや高い)というようになっています。

そして、オホーツク海の樺太の周辺の海域は「平年より異常に高い」となっています。

japan-sea-temperature.gif


この日本の北部の海水温度の異常な高さも不気味ですが、今回の記事には、このオホーツク海域は、海水表面ではなく、海底の海水温度がもともと高いことが記されています。

そして、そのオホーツク海の暖かい海水が太平洋からアメリカ沿岸部にまで流れて、太平洋全域の深海の海水温を上昇させているというような推論が書かれています。

しかし、その推論が正しければ、海流は基本的に世界中を回りますので、

いつかすべての海底が暖かくなり、世界中の海底からメタンが放出され始める

ということになったりはしないのですかね・・・。

記事には、「いまだにメタンの最終的な行き先はわかっていない」というようにあり、つまり、放出されていることは確認できても、その膨大なメタンがどこに行っているのかは明確にはわからないのだそうですが、太平洋上での「メタンによる気泡」の目撃が確認されていて、どの程度かはわかりませんが、大気中へのメタンの放出もかなり起きているように思われます。

何よりも、「海洋表面の温度の変化は気候に大変な影響を与える」ということがあります。

エルニーニョなどを含めて、海水の表面温度の変化は、異常気象の発生に非常に大きな影響を与えているわけですが、ここ数年の異常な天候の原因のひとつに、現在の「海洋温度の上昇」というものもあるかもしれません。

西暦 1910年頃から海水表面温度は上昇する一方で、そして、今年9月には「一気に上昇」して、観測史上最高を更新しています。

1880年から2014年までの海水表面温度の推移
sea-temp-2014b.gif
・NOAA

もっとも、今回の記事で書かれていることは「海底の水温」であるわけで、深海の海流システムと表面の海流システムは違うのでしょうから、海水表面温度の上昇と、海底の海水温度の上昇の現象を同じように考えるのは間違っているのかもしれないですが、どうやら、

現在、海は表面も深海もどちらの温度も上がっている

と言えそうで、これは今後の地球環境にかなりのインパクトを与える事実だと思います。

何よりも、メタンがどんどん海中と大気中に放出され続けているというのは、どうにもいろいろと想像してしまいます。

そんなわけで、ここから記事をご紹介します。

なお、記事に出て来る「ワシントン沖」というのは、ワシントンD.C. のことではなく、ワシントン州という西海岸にある州のことです。

washington-map.gif

このワシントン州の沿岸を中心として、すさまじい量のメタンの放出が確認されているとのことです。




Warmer Pacific Ocean Could Release Millions Of Tons Of Seafloor Methane; 'We Looked At The Amounts, It's Significant'
Underwater Times 2014.12.09


暖かい太平洋は海底から数百万トンのメタンを噴出している可能性がある。「私はその量を見た。それはおびただしいものだ」


アメリカの西海岸沖では、海底の凍結層にメタンが閉じ込められている。

ワシントン大学の最新の研究によれば、その海底層の中間ほどの深さの場所の海水温度は、凍結層の炭素堆積物を溶融させるのに十分な温度があり、結果として、堆積物中にメタンを放出し、海水を取り囲む可能性があることが示された。

研究者たちは、ワシントン州沖の海水が、500メートルの深さで徐々に暖かくなっていることを発見した。海底 500メートルというのは、メタンが個体からガスへと気化するのと同じ深さだ。

この研究では、海水の温暖化は、強力な温室効果ガスの放出に繋がる可能性があることを示す。

今回の研究結果を、アメリカの地球物理学専門誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ( Geophysical Research Letters )」に共著した、海洋学のエヴァン・ソロモン( Evan Solomon )助教授は、以下のように語った。

「私たちの計算では、その量は、2010年のディープウォーター・ホライゾン(2010年のメキシコ湾原油流出事故)の原油の流出が『ワシントン州の沖で毎年起きる』ほどの量と同等のメタンであることを示します」

科学者たちは、地球温暖化はガスハイドレートからのメタンの放出によって起きるだろうと確信しており、現在その焦点は北極にあてられている。

今回の論文では、1970年から 2013年まで、約4万トンのメタンがワシントン州沖からハイドレート分解物として放出されたと推定している。

「メタンハイドレートは、非常に巨大で崩壊しやすい炭素の貯留地です。そして、それは温度の変化により放出され得るのです」と、ソロモン助教授は述べる。

メタンは天然ガスの主成分であり、低温及び高い海洋圧力によって、海水とメタンハイドレートと呼ばれる結晶が結合する。

アメリカの太平洋岸北西部は、生物学的な生産性のある海域であることと強い地質活性を有するため、異常な量のメタンハイドレートの貯留地となっている。

しかし、他にも、世界中の海岸線に、同じように温暖化に影響を与える貯留地がある可能性がある。

ワシントン州沿岸の海水温度について、初めて歴史的な量のデータをとったのは、この論文の共同著者であるポール・ジョンソン( Paul Johnson )教授だ。

そのデータは、予期していなかった海水の表面温度の上昇の徴候を明らかにした。

「データが精錬されておらず、また雑然としたものだったにも関わらず、私たちはその傾向を見出すことができたのです。何しろ、それは飛び出すようなデータだったのですから」

この 40年間のデータは、深海の海水は、おそらく驚くべきほど温められ続けていたことを示唆しており、それは気候変動の一因となっていると考えられる。

暖かい海水は、おそらく日本とロシアの間にあるオホーツク海から来ている。この場所は、海水表面が非常に濃い。そして、暖かい海水はそこから太平洋に広がった。

オホーツク海は、過去 50年間暖かくなり続けていることが知られており、他の研究では、この水が大西洋からワシントン沿岸にまで到達するには、10年から 20年かかると考えられている。

そして、これと同じ深海の海流は、北カリフォルニアからアラスカまで到達しているとソロモン助教授は確信している。

ハイドレート分離により、今世紀に今後放出されるガスの量の推定値は、毎年4億トン( 0.4 million metric tons )、あるいは、メキシコ湾原油流出事故の4倍が毎年放出される量だ。

しかし、いまだに、放出されたメタンガスの最終的な行き先は不明だ。

海底堆積物中のバクテリアによって消費されているか、あるいは、その場所の海底は酸性化したり、酸素欠乏状態となっているかもしれない。

または、メタンのいくらかの部分は海水の表面にまで上昇しているかもしれない。その場合、温室効果ガスとして大気中に放出され、気候変動に影響を与えているかもしれない。

ジョンソン教授とソロモン助教授は、放出されたメタンの最終行き先を分析している。

そして、2人が示唆する点で重要なのは、上昇したメタンガスによる海面の気泡の目撃情報について注意している点だ。海底からのガスの一部は表面に達し、大気に入っていることを示唆する。





(訳者注) ちなみに、上の記事に「海底の酸素欠乏状態」というような言葉が出てきますが、この「海底の酸素欠乏状態」は、デッドゾーンと言われる、生き物が住めない「死の海」を作り出す原因となります。

また、上の記事には、 2010年のメキシコ湾での原油流出事故のことが出ていますが、これによっても、デッドゾーンが発生していて、もしかすると、現在もまだ拡大しているのかもしれません。

この事故は原油そのものより、その原油を散らすために使われたコレキシット9500 ( Corexit 9500 ) という薬剤が大量に使われたためだとも言われています。

下は3年くらい前の、

新年のノルウェーでの魚の大量死で思い出す「メキシコ湾の原油流出と海流の関係」
 2012年01月04日

という記事に載せた海流の地図です。

belt-03.jpg


どんなに小さな海流でも最終的には大きな海の循環システムである「大海洋コンベアベルト」に海流は結びついていくわけで、時間はかかっても、「どんなものでも世界中の海を回る」ことになります。

なので、メタンによる「酸素欠乏状態の海」が広がっている可能性があるのだとすれば、世界中の海がデッドゾーンだらけになるという可能性もあるのかもしれません。

参考までに、「メキシコ湾のデッドゾーン化」についてずいぶん前に翻訳して、ご紹介した記事の一部を抜粋します。

原油流出によるメキシコ湾の「デッドゾーン」が平均よりかなり大きくなると研究家たちが予測
2010年06月29日

ミシガン大学の水生生態学の教授ドナルド・スカヴィア氏らの研究グループによると、今年のメキシコ湾の「デッドゾーン」(生物が棲息しない死の海域)は、通常年の平均よりかなり大きくなると予測され、また、6億5900万ドルにのぼる米国の漁業生産を今後数十年に渡って脅かす可能性があるという。(中略)

「デッドゾーンの範囲が拡大していくことは、生態的な時限爆弾ともいえる。我々は今後、深刻な漁業被害の脅威にさらされる可能性があるということを踏まえて、デッドゾーンの拡大を制御するために、地方、地域、国家の意志決定が不可欠だ」とスカヴィア氏は語った。


ここに、

> 今後数十年に渡って脅かす可能性

とあるように、デッドゾーンが発生しますと、回復するのは簡単ではないようなのです。
海中のメタンの増加も同じようにデッドゾーンを増やす可能性はあります。

なるほど・・・。

ここ数年の「海での海洋生物の大量死」、あるいは「生息する魚類の変化」などは、確かに原因は単純なものではないとはいえ、海底からの膨大なメタンの放出がそれらの理由の一部(たとえほんの少しの要因であっても)となっている可能性はあります。

地球の海のデッドゾーン化が進行しているのかどうかは、今後起きることを見ていれば、わかることなのかもしれません。


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2014年12月13日



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デマ・ストーリーを報道大手が躍起にして否定した理由

今年10月の終わり頃に、下のような報道が、海外のツイッターや、フェイスブックに拡散されたことがありました。

nasa-6days-darkness.gif
Huzlers


12月16日(日本時間17日)から22日まで「6日間、地球は暗黒となる」というものです。

とはいえ、そのタイトルを読まれるだけでおわかりかと思いますが、これはもちろん作り話で、虚実混ぜた「ニュースのような記事」を発信する Huzlers.com が掲載したものです。

しかし、こういうような「虚実ミックス報道サイト」は英語圏には数多くありますし、それ以外にも、インターネット上での作り話やホラ話はどこにでも満ち溢れているわけで、普通、このようなものを大手の報道メディアが「否定する報道をする」というようなことはあまりないはずです。

ところが、この報道が出て、しばらくして、

「この記事はデマだ」

とする内容の報道が、非常に多くのメジャー報道サイト、たとえば、英国のインディペンデントや、インターナショナル・ビジネス・タイムズ、あるいは、ロシア・トゥディ、といったメディアが記事にしていたのでした。

普通だと相手にするようなものとも思えないのに、真剣に記事で否定した」という出来事が相次いだのです。

independent-hoax.gif

▲ 2014年10月28日の英国インディペンデントより。


参考までに、最初の発信元となった Huzlers.com の報道(のようなもの)の概要をご紹介します。

NASA Confirms Earth Will Experience 6 Days of Total Darkness in December 2014!

2014年の12月に地球は6日間の完全な暗闇に包まれることを NASA が確認!

NASA は、12月15日から 22日まで、地球がほぼ完全な暗黒の6日間を経験することを確認した。塵やスペースデブリが太陽嵐によって満たされることによって、太陽光の 90%が遮られる。その太陽嵐は過去 250年間で最大のものとなる。

この発表を行った NASA のチャールズ・ボールデン( Charles Bolden )長官は、人々に冷静さを保つよう求めた。

当局は、地球は6日間の暗闇に包まれても、何か特別な問題や被害が起きるということはないと述べる。

このような記事を間に受けることもないでしょうが、一応書かせていただきますと、

・太陽嵐により宇宙空間が数日間も塵や宇宙ゴミで満たされるという状態はあり得ない(太陽嵐の速度は桁違いに高速)
・そもそも、2カ月も先の太陽嵐を予測することはできない
・仮に、過去250年間で最大の太陽嵐が起きたとすれば、「問題や被害が起きるということはない」ということはない(必ず磁気嵐による被害が起きる)


などがあり、このような記事を高級メディアが相手にすることはない・・・とは思ったのですが、しかし、これを躍起に否定する、その「背景」は、まったく理解できないというものでもないのです。




2011年の NASA 長官の緊急メッセージ

3年前の 2011年 9月6日に、NASA のウェブサイト上に、唐突に、NASA のチャールズ・ボールデン長官の、「自然災害に対して、来たるべき事態に備えて下さい」といった内容の緊急非常事態に関するメッセージを述べるビデオがアップされて、憶測を呼んだことがあります。

その後、日本語吹き替えをしてくださった方がいらっしゃいまして、日本語で見ることができます。それが下の動画です。




最後のフレーズなどは、

「まずは、とにかくこれ以上ないというような準備を整えて下さい」

となっていて、何となく緊急性の漂うメッセージです。

内容の全体としては「いつ、どんな自然災害が来るかわからないので、日頃からその準備をしておいて下さい」という、どこの国でもよくあるメッセージですけれど、しかし、

「自然災害への準備を促すことは NASA の職務上の分担ではないのでは?」

とは思ってしまうわけです。

アメリカには、連邦緊急事態管理庁( FEMA )を始めとして、自然災害を担当する部署は多くあり、メッセージが出るのなら、そういう方面から出るのが自然な気がします。

というより、予測される何らかの自然災害に対しての、こういうメッセージは「アメリカ大統領が言うべきことなのではないのか」という気もします。

NASA は地球関連の調査も数多くおこなっていますが、それでも、

基本としては NASA の担当部署は「宇宙」

であるわけで、そのことなどもあって、人々のあいだに、

「何か宇宙からの災害が起きることを予測しているのじゃないだろうね」

というような憶測が流れたのでした。

幸い、NASA の長官が緊急メッセージを掲載した 2011年10月から現在まで、特別に大きな「宇宙からの災害」はなかったわけですが(強いて言えば、2013年チェリャビンスク州の隕石落下くらいだと思います)その「緊急メッセージ」の記憶が、いまだにある部分もあるのかもしれません。

A_trace_of_the_meteorite_in_Chelyabinsk.jpg
・チェリャビンスク州の隕石落下。Wikipedia

実際、ロシア・トゥディでは、このホラニュースを取り上げた際に、2011年の NASA 長官の緊急メッセージを引き合いに出していましたので、結構多くの人がこの時の NASA 長官の緊急メッセージを覚えているのかもしれません。

rt-nasa-hoax.gif
RT

このロシア・トゥディの記事もご紹介しておきたいと思います。



Earth to face a 6-day blackout, viral hoax cites NASA as saying
RT 2014.10.29


地球が6日間の暗転に直面するという NASA の発言を引用したホラ話がウイルスのように広がる


NASA が「地球は 12月に6日間の完全な暗闇」に包まれることを確認したことを暴露したとする主張は完全な「宇宙デマ」だった。

しかし、この話がデマだとわかる前に、この内容はツイッターを通して、全世界に広がっている。

オリジナルのレポートは、風刺的なニュースサイト Huzlers.com に掲載され、内容のソースとして、NASA のチャールズ・ボールデン長官の発言を引用したとされていた。

タイトルは「2014年の12月に地球は6日間の完全な暗闇に包まれることを NASA が確認」というもので、12月15日から 22日まで、太陽嵐による塵やスペースデブリよって、太陽光の 90%が遮られ、地球がほぼ完全な暗黒の6日間を経験することを確認したとしている。

ボールデン長官の 2011年の緊急事態への準備に関してのビデオは、このレポートの内容に重みを追加するために文脈に付け加えられた。


nasa-bolden.jpg
Youtube

しかし、全体として見た場合、このビデオは、地震やハリケーンが起きた時のための防災の準備について語っているものにすぎない。





というものですが、先ほども書きましたように、「 NASA の職務上の分担というのは、地震やハリケーンに対しての防災上の意識をアメリカ国民に促すものなのだろうか」という疑問が出るのも不思議ではない気がします。




暗黒になるはずの12月18日には地球外生命体まで地球に来訪

なお、Huzlers.com は最近の記事(のようなもの)で、

地球外生命体が、12月18日に地球に到着することを NASA が報告した

というストーリーを載せています。

nasa-extraterrestrial-beings .gif
Huzlers.com


この記事(のようなもの)でも、 NASA の科学者の名前を挙げ、その人物の言葉を引用して書かれています。

記事によれば、

NASA のハップル宇宙望遠鏡により6機の宇宙船が地球方向に移動していることが観測された。6機の宇宙船のサイズは、それぞれがサッカー場の半分ほどもある。地球へ向かっている目的は今のところ不明。

とのことですが、Huzlers.com の記者たちは、「その 12月 18日は地球が真っ暗になるって記事を書いた」ことを忘れたのですかね・・・。

それとも、意図的にその日に合わせて書いたのでしょうかね。

いずれにしても、人騒がせなニュースサイトではありますけれど、「地球が真っ暗になる」という話題にそんなに多くの人びとが惹きつけられるということは、そのような現象を「願う人々」、あるいは、願わないまでも、「そういう現象を経験したい人」が多いということなのかもしれません。

もちろん、私も経験してみたいです。

しかし、そうなる状況というのは、普通の考えではどうしても現実として想像することが難しい。

特に「地球全体が暗黒に陥る」という状況は、太陽が一方向から光を照らしている以上、太陽そのものが消えてしまう(あるいは太陽の光が消えてしまう)」ということにならない限り無理だと思いますが、太陽や、その光そのものが突然なくなるというのも、それもまた考えづらい。

そういえば、私の NASA の太陽写真コレクションの中で最も好きなものに「太陽が消えた」ものがあります。下の一枚です。

2010年1月29日1時26分19秒に NASA の太陽観測衛星 SOHO が撮影した「太陽」の写真

20100129_no-sun3.jpg


消えてますでしょう(笑)。普通は真ん中に太陽が写っているのですが、理由はわからないですけど、この時の写真には太陽が写っていなかったのでした。

この写真は、過去記事の、

「太陽騒動」から3年目の 2012年に再び太陽の周囲に集まる「巨大物体」たちを前に無視もできずに呆然と見つめる私
 2012年12月18日

にあります。

ちなみに、2012年の 12月18日に「太陽の光が消えていた」ように見えた観測のことについて記事でふれたこともあります。




2012年の暮れに「光が消えていた」太陽

このことは、

「暗黒の3日間」を実際に NASA の太陽観測衛星で見た日: そして、12月21日から突如として「凶暴化し始めた地球」
 2012年12月24日

という記事に、

「太陽は3日間消えていた」かもしれないことを示す NASA の写真

として下の写真を載せたことがあります。

sun-black3.jpg


写真は、NASA の太陽観測衛星 SOHOのものです。

この時の現象も合理的に説明がつくものなのだろうとは思いますが、見た目には、確かにその数日間、「太陽の光は消えていた」ようにしか見えなかったのです。

まあ、「地球が数日間の暗黒に包まれる」というフレーズは、さまざまなところで語られることでもありまして、それが「地球の変化のきっかけとなる」としているものも多いわけで、確かに現実感はあまりないですが、魅力を感じる現象でもあります。

何はともあれ、 「暗黒の6日間が来る」とされた 12月16日はもうすぐです。

日本には「ひょうたんから駒」なんて言葉もありますしね。

故事ことわざ辞典より「瓢箪から駒が出る」の意味

瓢箪から駒が出るとは、思いもかけないことや道理上ありえないことが起こること。また、冗談半分で言ったことが現実になること。


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2014年12月12日



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saxo-prediction-top.gif

▲ サクソバンク「大胆予測」表紙。ダウンロードはこちらからできます(英語)。無料です。




「ツケを払うときが迫っている」

デンマークに「サクソバンク」という投資銀行があります。

日本にもオフィスを構えていますが、この投資銀行は、毎年12月に「翌年の 10大予測」を発表していて、それを自ら「大胆予測」( Outrageous Predictions )と呼んでいます。

投資銀行ということで、予測は経済に関してのものが多いですが、「火山の大噴火による混乱」(アイスランドのバルダルブンガ火山噴火の二酸化硫黄排出によるヨーロッパの気候の変化と農作の大不作から来る混乱)など、経済だけではとどまらず、いろいろとあります。過去はそれなりに当たっていたものもあるようですので、2015年の予測も簡単にご紹介したいと思います。

ちなみに、その3番目には日本が出てきます。

「日本はアベノミクスが抑制不能なミサイルとなり、インフレ率は5%上昇」

というようにあります。

なお、サクソバンクの大胆予測のオリジナルはかなり長いものですが、冒頭部分だけが日本語にも短く訳されていて、それはこちらのページにあります。そのタイトルは、「ツケを払うときが迫っている」で、以下のような記述があります。

将来は常に不確実です。サクソバンクの「大胆予測」は、10のテーマに焦点をあて、今後起こるかもしれないことを、論争を招くことを承知で、文字通り大胆に予想するものです。

ロシアのデフォルト(債務不履行)、火山の大噴火による大混乱、インターネットの終焉であれ、最悪のシナリオや出来事を想定することは、実際に危機が発生してもうまく対応する能力の向上につながります。

2015年は厳しい1年になると予想していますが、後から振り返ると「どん底」の1年になっている可能性もあります。ウィンストン・チャーチルは「もしも地獄の真っただなかにいるのなら、そのまま突き進むがいい」と言っています。

というように、厳しい予測となっているようです。

「インターネットの終焉」などという言葉も出てきて、これはサクソバンクの予測では、主にハッカーの攻撃の増加により、インターネットサービスがかつてない混乱に陥る可能性を指しているのですが、このあたりに関しては、過去記事の、

「インターネットの終末の日」や「パーソナル端末の終末の日」が頭をかすめる秋(Bashバグとかゲームオーバーゼウスとか etc……)
 2014年09月26日

の中に、ロシアのセキュリティ専門家が、時期を明言しているわけではないですが、「全世界の通信網としてのインターネットは消滅する」という予測を立てていたりもします。

そのロシアは、サクソバンクの予測では、来年デフォルトするとなっています。

ところで、上の記事の中に、

> それにしても、今年になって「史上最悪の」という冠がついたセキュリティバグ(脆弱性)がこれで2つ目。

と書いてある部分があるのですけれど、実は現在「3つ目の史上最悪級の脆弱性」が露呈しているのですよね……。今はまだ大きく報道されていないですが、普通の個人ではあまり対応できないものです。なので、どんなものかは今は書かないことにします。

来年の春あたりまでには、その OS (パソコンの基本ソフト)の会社が解決してくれると思いますが。


それでは、ここからサクソバンクによる 2015年の大胆予測です。

オリジナルの文書はそれぞれの項目の説明がかなり長いですが、基本的には、タイトルと簡単な概要を記したいと思います。また、経済問題について私が理解していないものについては、タイトルとサブタイトルのみを記しています。

結構長いですので、先にタイトルだけを書いておきますと、

1.ロシアが再びデフォルトに
2.火山噴火が穀物生産を直撃
3.日本のインフレ率が5%に上昇
4.ドラギECB総裁が辞任
5.ユーロ建て社債:スプレッドが倍に拡大
6.ハッカー集団がオンラインショッピングを攻撃
7.中国が人民元を20%切り下げる
8.カカオ豆先物が1トン=5,000ドルを突破する
9.イギリスの住宅バブルが崩壊
10.イギリスは 2017年にEUを離脱

となります。

それでは、ここからです。




サクソバンクによる2015年「大胆予測」


1.ロシアが再びデフォルトに

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「ロシア経済にパーフェクトストームが吹き荒れ、ロシア経済が終焉すると共に、ロシア政府は、自主選択的にデフォルトに移行する」

ロシアは西側による経済制裁以前から景気後退局面にあり、原油価格の下落、ウクライナとの対立、ルーブルの低下、1340億ドル(約 16兆円)の債務などの要因から、ロシア経済はパーフェクトストームの中に沈む可能性がある。



2.火山噴火が穀物生産を直撃

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「噴火は、ヨーロッパすべての産業排出より多くの二酸化硫黄を排出している」

2014年に噴火したアイスランドのバルダルブンガ( Bardarbunga )火山は現在も活発な噴火を続けているが、2015年は、この噴火による二酸化硫黄ガスの噴出がさらに激化し、ヨーロッパ全域の気象パターンに変化を及ぼす。

そのため、ヨーロッパの穀物生産はダメージを受け、食糧価格は高騰する。

今回のアイスランドのバルダルブンガ火山の噴火は、過去1万年の中で最大の噴火だ。バルダルブンガ火山の噴火の溶岩量は、1783年のラキ火山の噴火以来、最大の溶岩量を記録しており、今後のヨーロッパの環境に大きな影響を与える。


(訳者注) この項目については、環境などとの関連として重要だと思いましたので、「来たるべき地球のかたち」の、

アイスランドのバルダルブンガの噴火の火山ガスは、2015年にヨーロッパ全体の気候パターンを変えるかもしれない

にそのページの翻訳を記しました。

また、アイスランドのバルダルブンガ火山の二酸化硫黄の排出量に関しては、11月に書きました、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
 2014年11月08日

という記事で訳しました記事の中に、このような記述があります。

たとえば、現在噴火しているアイスランドのバルダルブンガ火山( Bardarbunga )が1日に排出している二酸化硫黄の量をご存じだろうか。それは、何と3万5千トンにのぼる。たった1日でだ。

これだけの量の二酸化硫黄の多くが地表よりも、むしろ上層大気で太陽の光を反射する液体粒子を形成していると考えると、この火山ひとつだけとってみても、どのくらいの寒冷化につながっていることかと考える。

もし、これからの冬が、昨年の冬より寒くなった場合、私たちは厳しい時代に突入していくことになるのかもしれない。寒冷化は食糧供給に影響を与え、世界的に重大な局面となる可能性もある。

とありまして、さらに、バルダルブンガだけではなく、世界すべての火山噴火に関しましても、

火山噴火の年間の平均数は 50から 60であり、たとえば、1990年には 55の噴火が記録されたが、 2013年は 12月5日の時点までだけで 83の噴火を記録した。この火山噴火の増加は 2014年も継続している。

というように、火山の噴火自体が増え続けているという現実があります。



3.日本のインフレ率が5%に上昇

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「日銀は麻薬中毒者のように緩和を積み続け」

アベノミクスと、安倍政権による3つの矢は、現在までに経済を復活させるための効果は出ていない。実際に、2016年までの成長見通しは下方修正されている。

外国人投資家による日本資産からの逃避などがあり、日本の状況は厳しさを増す。


(訳者注)これに関して、海外では、アルマゲドンをもじった「アベゲドン( Abegeddon )」という言葉などもよく目にします。

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▲ 2014年11月17日のオーストリア Kleine Zeitung より。



4.ドラギECB総裁が辞任

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「ドラギ総裁の、単に市場へ語るだけのやり方は限界に達すると考えられる」



5.ユーロ建て社債:スプレッドが倍に拡大

「高収率の信用でパーティを楽しむ時は終わりに近づいている」



6.ハッカー集団がオンラインショッピングを攻撃

「このようなハッカー攻撃は異常なほど高度な技術を必要とされる」

この数年、大企業に対してのハッキングの件数は増加し、流出する顧客名簿の数も1度のハッキングで数百万人規模といった流出被害が出るものが多い。

このようなハッカー攻撃はさらに拡大し続け、2015年は、電子商取引(オンラインショッピング)の最大手がターゲットになり、方法も攻撃的になる。




7.中国が人民元を20%切り下げる

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「中国は、2015年を通じて、自国通貨を切り下げるために迅速かつ持続的に行動する」

中国は、国内の住宅と信用のバブルが正される際に、巨大なデフレ圧力からもたらされる大崩壊に結びつかないための方法を模索している。中国の設備過剰での生産者デフレは3年間続いている。

そして、中国人民元が史上最高値となる中で、中国は 2015年に通貨切り下げをおこなうために迅速に動く。




8.カカオ豆先物が1トン=5,000ドルを突破する

「エボラの懸念から2014年初頭に突然値上がりしたカカオ」

(訳者注) このことは、2014年9月のブルームバーグ「エボラ熱の感染拡大懸念、米カカオ豆先物一時3年半ぶり高値」という記事に、

西アフリカでのエボラ出血熱感染が従来予想より急速に拡大するとの見通しが示されたことから、ニューヨーク市場のカカオ豆価格が一時上昇した。世界最大の生産国であるコートジボワールからの輸出に支障が出る可能性があるとの懸念が高まっている。

とありまして、カカオの価格はアフリカのエボラのニュースに反応するもののようです。

ちなみに、現在のカカオの取り引き価格は、2014年11月時点で1トン 3000ドル程度ですが。これが 5000ドルになるというのがサクソバンクの予測です。



9.イギリスの住宅バブルが崩壊

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「イギリスの住宅価格の急激なリバウンドは、ハウスオーナーたちの住宅売却の波を誘発する」

(訳者注) これについては、2014年7月7日の NHK 「イギリスBBC バブル?住宅価格が急上昇」など、日本でも取り上げられています。サクソバンクは、2015年にイギリスの住宅価格が 25%低下すると予測しています。

bbc-bubble.jpg



10.イギリスは 2017年にEUを離脱

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「世論調査によれば、イギリスの大部分の人々は、欧州連合( EU )からの離脱に投票している」




(訳者注) ここまでです。サクソバンクは、デンマークに本社があるため、ヨーロッパの予測が多いですが、その冒頭の概要には、

世界では、中国が台頭する一方で、アメリカ合衆国の力が後退し、大国間の順位も入れ替わるなかで、混乱と戦争が続いています。

ということや、

原油価格は、1バレル=65米ドルと、インフレを考慮すると1970年代の1バレル=20〜40ドルに相当する水準まで値下がりしています。投資家は誤った安心感を抱いていますが、それこそが2015年の市場に混乱をもたらす最大の要因になるかもしれません。

というようなことも書いていて、他にも様々な混乱の要因があることを述べています。

最近の原油価格の下落は、ちょっとした「ミニ・リーマンショック」的なチャートを示していまして、仮にこれ以上、下がっていくと、本当にそっくりとなりそうです。

crude-oil-2014.gif
Chart Park

それと、12月10日の米国のサイト、ゼロ・ヘッジの記事によりますと、アメリカの株式市場のテクニカル的な株価暴落の前兆のシグナルとしてチャート上に現れる「ヒンデンブルグ・オーメン」が、「7日間のあいだに6回も出現している」のだそうです。

Hindenburg-Omen.gif
"Some Market Folks Are Turmoiling..." As 6th Hindenburg Omen Spotted

私はこれらのことについてはよくわからないですが、ゼロ・ヘッジには「近年の歴史でこのような頻度で出現したことは見たことがない」と記されています。

ヒンデンブルグ・オーメンが発生した場合、

・77%の確率で株価は5%以上下落する
・パニック売りとなる可能性は41%と算出されている
・重大なクラッシュとなる可能性は24%と算出されている


とされています。

最近、株式も為替も、上がるにしても下がるにしても振幅が大きいようで、何となく危険を感じさせる徴候が続いているということは素人ながらに感じます。

何にしても、2015年は誰にとっても「楽な年にはならなそう」という予測となっているようで、大変そうではあります。日本は特にそうかもしれません。

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2014年12月11日



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▲ セキュリティ対策をほどこされたウェブサイトがインターネット・エクスプローラーで表示されない場合に出る表示。上はフェイスブックのページ。




従来の設定のままではアクセスできないサイトが次々と増えている

今年10月に、グーグルのセキュリティチームが、古くから使われている古い技術でありながら、現在でも多くのウェブサイトで使われている暗号化技術に深刻な脆弱性があることを発表しました。

グーグルのセキュリティチーム、SSL 3.0の脆弱性「POODLE」を説明
 CNET Japan 2014.10.15

暗号化技術に脆弱性があるということは、「通信の内容が盗まれてしまう可能性がある」ということです。そして、これは現在、Windows(ウインドウズ)の Internet Explorer (インターネット・エクスプローラー)だけが脆弱性に対して問題を持ちます。

そのため、多くの主要サイトで少しずつ、そのSSL 3.0という暗号化技術の使用の停止を進めているという状況となっているのですが、結果として、

ウインドウズのインターネット・エクスプローラーで閲覧できないサイトが次々と出始めている

ということになりつつあります。

すでに 10月の時点で、

FacebookやTwitterがIE経由で繋がらない原因と対処法
 道すがら講堂 2014.10.18

という記事のように、フェイスブックやツイッターなどにインターネット・エクスプローラーからはアクセスできなくなっていたようです。

このように脆弱性に対処するサイトが増え続けています。

たとえば、日本経済新聞の電子版も、12月2日に「日経電子版 「SSL3.0」の利用停止について」という告知をしていて、インターネット・エクスプローラーのデフォルトの設定では、閲覧できなくなっていることを伝えています。

そして、最もアクセスに際してセキュリティが必要な「銀行関係」や「金融関係」のサイトでも、対策が進みつつあるようです。

たとえば、日本年金機構の「ねんきんネット」などは、10月17日に早々にセキュリティ対策として、インターネット・エクスプローラーでは表示できなくなったことを告知しています。

SSL3.0の脆弱性に関するお知らせ
日本年金機構 2014.10.17

日本年金機構では、ホームページの一部及びねんきんネットにおいて、安全性が高いSSL通信を使用していますが、SSL通信で使用する通信方式のひとつであるSSL 3.0に深刻な脆弱性があり、通信の一部が解読されてしまうおそれがあることが判明したため、SSL 3.0を停止いたしました。

SSL通信を使用するページ(アドレスが「https」で始まるページ)が閲覧できない場合は、ブラウザー(インターネット・エクスプローラーなどの閲覧ソフト)の設定を確認して、安全な通信方式であるTLS 1.0以降を使用できるようになっているか確認してください。

とはいえ、このように、

> 安全な通信方式であるTLS 1.0以降を使用できるようになっているか確認してください。

と言われましても戸惑う方もあるかと思います。

そんなわけで、その設定の方法を記しておきたいと思います。

現在、かなりの勢いで、このセキュリティ対策が進められていて、多くのサイトで対策されるようになると思われます。つまり、「インターネット・エクスプローラーのデフォルトの設定では閲覧できないサイトが増える」という可能性があります。

仮に、今後、ブログサービスなどでも、そのような対策をするものが出てきた場合、インターネット・エクスプローラーで表示されないということもあり得るかとも思いまして、記事にした次第です。

ここから設定の方法です。

Mac は OS レベルで対処済みですので、関係ありません。Windows でも、インターネット・エクスプローラー以外のブラウザは問題ありません。




暗号化技術(SSL3.0)の脆弱性への対策


1. インターネット・エクスプローラーを起動します

下のアイコンがインターネット・エクスプローラーです。これをクリックします。

ie-icon.jpg



2. 「インターネットオプション」を開きます

ブラウザの右上の歯車のマークか、「ツール」という選択項目があれば、そこをクリックすると、選択項目の中に「インターネットオプション」というものがあるので、そこを選びます。

ie-01.png



3. インターネットオプションの上部のタブから「詳細設定」を選びます。

中段ほどに「セキュリティ」という項目があり、そこに、

SSL 2.0 を使用する
SSL 3.0 を使用する
TLS 1.0 を使用する
TLS 1.1 を使用する


の並びがあります。

ちょっとややこしいかもしれないですが、下のようにします。

ie-02.png


SSL 2.0 を使用する
SSL 3.0 を使用する


にチェックが入っていると思いますので、このチェックを外します

TLS 1.0 を使用する
TLS 1.1 を使用する


にチェックが入っていれば、そのままで。
チェックが入っていない場合は、チェックを入れます

下のようになればOKです。

ie-03.png


右下の「適用」ボタンをクリックした後、「OK」をクリックして閉じます。

インターネット・エクスプローラーを1度閉じて、再び起動すれば、作業は終了です。

今後、このセキュリティ対策は加速度的に進むと思われますので、ふだんのウェブ利用をインターネット・エクスプローラーでなさっている方は、この設定を行っておかれることを強くお勧めします。

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2014年12月10日



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▲ 科学誌「サウス・アフリカン・ジャーナル・オブ・サイエンス( South African Journal of Science )」掲載の論文より。



地球も宇宙も、あらゆるものは何らかの共通した制御の中にいるかもしれないひとつの証左

私自身はよく理解していないのですけれど、「黄金比」という言葉があることは知っていました。

Wikipedia - 黄金比 では、

線分を a, b の長さで 2 つに分割するときに、a : b = b : (a + b) が成り立つように分割したときの比 a : b のことであり、最も美しい比とされる。近似値は1:1.618、約5:8。

と説明されていまして、コトバンク - 黄金比 では、

線分を一点で分けるとき、長い部分と短い部分との比が、全体と長い部分との比に等しいような比率。1対1.618をいう。古代ギリシャでの発見以来、人間にとって最も安定し、美しい比率とされ、美術的要素の一つとされる。

とあり、要するに、「比率」のことのようなのですね。

golden-ratio-01.png

▲ 黄金比を説明する際によく用いられる「1対1.618」を示した図。黄金比と白銀比より。


この楕円の形は「対数螺旋」というものらしいですけれど、上の論文で示されている、この形の黄金比を持つものの例として、いくつかの写真が示されていまして、オウムガイも挙げられています。

Nautilus-shell.jpg


いずれにしても、この黄金比は単なる「数式」でしかないのですが、コトバンクの、

> 人間にとって最も安定し、美しい比率とされ、美術的要素の一つとされる。

という表現のように、建築やデザインなどに使われることも多いようです。

パルテノン神殿やミロのヴィーナスなど、黄金比から設計された美術造形なども、特にギリシャには数多くあるようです。

ミロのヴィーナス
Milo-Venus.jpg
Science Window

そして、冒頭の「サウス・アフリカン・オブ・サイエンス」の論文の内容なんですが・・・実は内容が難解すぎて、よくわからないのです。

おぼろげに伝わるのは、

「この世は非常に多くのものが黄金比の比率に依存したものかもしれない」

というようなことが書かれてある「よう」なのです。

特に哺乳類との関係が書かれてあるようなのですが、何しろ、論文の途中からは、直訳だと下のような展開になっていくんです。

現存生物種(脊椎動物と無脊椎動物)の標本からの頭蓋および他の測定値の回帰分析において、mは傾きであり、cは試料A(x軸)と同じ種の試料B(y軸)の測定値を使用した断片であり、y=mx+c との回帰式に関連付けられる。

驚くべきことに、絶対値CA1.61のSEM値平均logは、現存脊椎動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)および無脊椎動物(甲虫目および鱗翅目)の同種対比較として得られたのだ。

┐(‘〜`;)┌

言語とさえ思えないような言葉が並びます。

そんなわけで、今回はあまりにも難解な数学用語や科学用語などが出てきて、私には手に負えないもので、途中でギブアップしてしまいました。

翻訳したところまでは後で掲載しますが、でも、実際、私自身が、すごくこの論文の内容の「意味」を知りたいのです。

科学にお詳しい方が、どこかの科学ブログやサイトなどで翻訳してくださればなあ・・・というような期待を込めて、この論文をご紹介しているという部分もあります。

しかし、頭で考えるのは無理でしたが、視覚的に見ますと、いろいろなことがはっきりしましたので、この論文に掲載されている写真や、あるいは論文の文中に出てくるものを写真で示します。

まずは、論文中に掲載されている写真です。




黄金比を持つ私たちの周囲の存在

論文には上のオウムガイの他、子持ち銀河という、りょうけん座にある渦巻銀河、ハリケーン・カトリーナ( 2005年)、アンモナイトの写真が載せられています。

なお、カトリーナではなくとも、台風やハリケーンは多くが「黄金比」の形を持って襲来します。


自然界に見られる対数螺旋の例

M51-NGC5194.jpg


Hurricane-Katrina2.jpg


ammonite.jpg


その他に、文中に出てくるものとしては以下のようなものが黄金比であるようです。

クーズー(ブッシュバック属の動物)の角
Kudu_antelope_.jpg
Kudu


植物の葉の生え方
spiralleaf.jpg
全ての植物をフィボナッチの呪いから救い出す

植物は、互いの葉が重ならないように、「回転しながら生える」のだそう。

上のサイトには、

葉が重なると、上にある葉の影に入ってしまうので、「重ならない」のは、葉が光合成をすることから考えれば、有利な性質である。

では、どんな角度を取ると、この性質が得られるのだろうか?

実は、その答えが、黄金角なのである。

とあり、「植物は、黄金比で光合成に有利な葉の生え方を獲得している」ことになるといえそうです(あるいはコントロールされている)。


DNA の結晶構造
DNA-Crystal.jpg
ジェームズ・ワトソンが語る「DNA構造解明にいたるまで」


銀河系を含む多くの銀河や太陽系などの恒星システム
spiral-galaxy.jpg
There Must Be Something More


哺乳類の頭蓋骨
skull-mokey-01.jpg
こんちゅーぶより。写真はニホンザルの頭蓋骨。


原子核(の安定性)
Sciences-exacte.jpg
原子核

などが出ていました。

他にも調べてみますと、いろいろとあるもののようです。
Google 画像検索で、いろいろと見られます。

ふと気づくと、「指紋」なんてのも黄金比を描いているようですし。

fingetprint-golden-ratio.jpg
Golden Ratio


あるいは、「脳」そのものも黄金比に見えてきたり、その中にある松果体の周辺も黄金比に見えたりもいたします。

brain-1.jpg


赤ちゃんなんかも、黄金比かどうかはわからないですけど、対数螺旋的な、つまりオウムガイのような形で、お母さんから生まれてきますしね。子どもの出産に立ち会った時のことを思い出します。難産でしたねえ。

大人子ども関わらず、コタツなんかで丸くなる時も黄金比っぽい姿勢でダラーッとしたりしますね。


まあ、そういう日常的なことはともかく、この「黄金比」が、この世界の様々な「事物」だけにとどまらず、「時空」とも関係しているのではないかという議論がされているようなのです。

確かに、空を見上げても指先を見ても黄金比はどこにでも溢れていて、「 DNA の結晶」も黄金比だなんてこともはじめて知りました。

では、途中でギブアップした論文の翻訳を掲載します。

専門用語や翻訳部分で間違っている部分が多いと思いますので、本当に興味がある方は下のリンクにある原文を読んでいただければ幸いです。



Number theory and the unity of science
South African Journal of Science 2014.11


数論と科学の結合


この数千年間、ホモサピエンス(現代人類)は、好奇心の感覚から科学を探究し続けてきた。現在では、アフリカだけではなく、世界中の小学生から大学生、そして学術研究者に至るまで、様々なことに関しての疑問や興味を持っている。

それは、相対性、質量、空間、粒子、波動、時空などと、数学、物理学、化学、生物学の分野における定数の性質上の関係性などに広がっている。

最近、非合理な数学定数についての疑問が浮上している。それは、ギリシア文字のφ で示される約 1.618 の値を持つ比が、現代の哺乳類の頭蓋骨の形態学的な分析に基づくと、一定の生物種と関連している可能性があることについての議論だ。

この 1.618 … は「黄金比」と呼ばれるもので、これは、数学の態様に関連するだけにとどまらず、物理学、化学、生物学、時空とも関係し、また、位相幾何学(位置の研究・学問)とも関係している。

黄金比の宇宙での存在を想定した説得力のあるケースは、対数螺旋の遍在に基づいて行うことができ、この壮大な例には、渦巻銀河の子持ち銀河などが含まれる。

他にも、アンモナイト、オウムガイの形状、ハリケーン・カトリーナ。
そして、太陽系の惑星、衛星、小惑星やそれらのリングの分布なども含まれる。

対数螺旋はフィボナッチ数列と整数論の黄金比と強固に関連する。

フィボナッチ螺旋でわかりやすい身近な例としては、植物の葉の生え方がある。

他にも、クーズー(ブッシュバック科の動物)の角の形状、象の牙の曲がり。そして、知られているところでは、DNAの結晶構造、さらには、ナノ材料の応力パターン、原子核の安定性、さらに、原子状物質の周期性に至るまで黄金比に依存している。

黄金比に依存しているそれぞれの構造体には2つ目の共通点が存在する。
それは、これらがすべて自発的な成長パターンを示すことだ。

この驚くべき自己相似性は、湾曲した時空の本質的な特徴から生じる共通の環境制約への応答であり、これについての議論が強いられている。





(訳者注)これって、「地球も宇宙も、あらゆるものは何らかの共通したコントロールの中にいる」ということを物語っているのではないかな、と思ったりもいたします。

これまで、黄金比という概念から世界を眺めたことがありませんでしたが、今後、特に「生命に関したもの」を見たり考える時には、黄金比のことを思い出そうと思います。

そして、また、これらは過去記事の、

むしろ謎が深まる中国の落下体。そして、死者の日の祭典が行われるメキシコ・オアハカに出現したノルウェータイプの「光の渦」
 2014年05月19日

や、

私たちを取り巻く「渦」は何を意味するのか
 2010年12月18日

などに出てくる「地球に出現する渦」とも関係することのように思います。

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2014年12月09日



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CoEXIST



「DNAが宇宙から地球の大気圏内突入に耐えられるか」を確かめる実験が行われていた

先日、タイトルだけ読むと、英語だろうが、日本語にしようが、どうにも意味のわからないタイトルの下の科学論文が掲載されました。

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▲ 2014年11月26日の科学雑誌 PLOS ONE より。

直訳といっていいのか、そういう感じなのですが、それにしても、この「地球の大気圏に突入後のプラスミドDNAの機能は活性。弾道宇宙飛行実験のための新しいバイオマーカー安定性アッセイ」という日本語は、自分で書いていて、まるで意味がわかりません。

このページにはその論文の概要が載っているのですが、それも難解ではありながらも、おぼろげにわかるのは、実験の主旨は、

DNA が大気圏突破の熱と衝撃に耐えられるか?

ということを試すための実験だったようで、そのために DNA を載せたロケットを宇宙空間まで飛ばして地球の大気圏に再突入させて、DNA を回収するという、なかなか大がかりな実験ですが、その結果、

地球の大気圏に再突入し、地上に戻った後、 DNA の何割かは生存して回収され、その後も活動を続けた。

ということ結果となったようです。

つまり、「 DNA は大気圏突破の際の熱を耐えた」ということになるようです。

日本語で記事になっていないか探しますと、ロシアの声に、内容は大ざっぱながら紹介されていました。

DNA、宇宙旅行を生き延びる可能性あり
ロシアの声 2014.11.30

チューリッヒ大の研究グループによれば、DNAは宇宙空間という過酷な環境を生き延びるばかりか、大気圏突入後も生存し、活動することが出来る。

低軌道へのロケット発射実験でこうした結果が得られた。地球の生命の起源や、地球の生命の異星への拡散の可能性といった問題に大きな影響を与える可能性がある実験結果だ。

ロケット「テクサス49」が、北極圏内にあるキルンのエスレインジ発射場から打ち上げられた。

下が実験で使われたロケット「テクサス49( TEXUS-49 )」の構造と、カプセル群のようです。

DNA大気圏突入回収実験に使われたテクサス49

dna-cupsle.jpg


論文に掲載されたグラフのひとつ

dna-recov.png
PLOS ONE

上のようなグラフはいくつかあり、細かい数字の意味はわからないですが、多分これは、ロケットの部位による DNA の回収率を示しているもののよようです。

詳しい率や部位はともかくとしても、どの部位でも、10数パーセントから20数パーセントの DNA が大気圏突入後に回収され、そして、それらは地球に帰還後に「また活動を始めた」ようです。

これは DNA のサイズを考えると納得のできることではあり、やや長くなるかもしれないですが、少し書かせていただきます。



DNA は宇宙空間を旅するのに最適な生命物質

私は「すべての地球の生命は宇宙空間から地球に侵入して進化した」とするパンスペルミア説の支持者でして、その地球の生命の「進化」もまた、宇宙からやってきたウイルスやバクテリオファージといったような、生物の細胞を根本的に変えてしまうような働きを持つものによって起きると思っています。

もちろん、これはフレッド・ホイル博士の説を代弁しているだけで、私のオリジナルの部分などはひとつもありません。

しかし、「宇宙空間から生命が地球内に入る」ためには、地球の大気圏の突破という非常に過酷な条件をクリアする必要があります。

なぜ大気圏突破が過酷かといいますと、宇宙空間は基本的に真空ですので、移動する物体は、無抵抗に加速していきますので、ものすごい速度となります。

宇宙空間を移動する物質の速度は「秒速」何キロメートルという、とてつもない速さで移動します。抵抗がないので、大きな物体でも小さな物体でも基本的には同じはずです。つまり、DNA や細菌のような微小なものでも、そのような速度で宇宙空間を移動します。

その勢いですと、まずは大気のない惑星、たとえば「月」のようなものと衝突した場合は、完全に破壊されてしまい、微生物だろうと DNA だろうと、分子サイズまでバラバラになってしまいます。そして、惑星自身も、壮絶な速度で自転しているわけで、その衝突の破壊力はかなりのものです。

ですので、大気のない星に形が残る姿で生物が着地することは不可能だと思われます。

着陸できるとすると、地球のような大気のある惑星ですが、それでも、大気圏を突破する際には、すさまじい熱を発します。

これに関しては、4年以上前のクレアなひとときの、

地球の成り立ち:宇宙はすべて生き物からできている
 2010年05月09日

という記事の中に、1986年に英国カーディフ大学でおこなわれた「大腸菌の過熱実験」の際の風景を、私が臨場感たっぷりに小説風にしたもの(苦笑)がありますが、そこから抜粋します。

地球大気に秒速 10キロのスピードで物体が突っ込んできた場合、その摩擦熱は物体の大きさ(粒子の直径の4乗根)と比例する。

その場合、物体が針の先くらいのものでも、摩擦温度は 3000度に達し、ほとんどの物質は残らない。あるいは生物なら生き残ることができるものはいないはずだ。

可能性があるとすると、それより小さなものとなる。

たとえば、細菌やウイルスくらいの大きさの粒子なら、突入した際の摩擦温度は約500度となる。

摩擦で加熱される時間は約1秒間と推定される。

この「1秒間の500度の状態」を生き残ることができない限り、生物は彗星に乗って地球に侵入してくることはできない。

というわけで、フレッド・ホイル博士とチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士たちのチームは、「大腸菌の1秒間の、500度での過熱実験」を続けるのです。

そして、大腸菌たちはこの実験をクリアしました。

大気圏突入の際の熱の高さは、上の文章に、

> 物体が針の先くらいのものでも、摩擦温度は 3000度に達し

となり、つまり私たちが目視できるような大きさのものでは、摩擦熱が大きくなりすぎて、それに耐えうる生物は存在しないと思われます。逆にいえば、サイズが小さくなればなるほど摩擦熱は少ないですので、宇宙から地球にやってくるためには「小さければ小さいほど好都合」なのです。

ところで、大腸菌とか DNA の大きさってどのくらいなのかといいますと、そのあたり、私も曖昧でしたので、調べてみますと、下のような大きさの比較となるようです。

bacteria-dna.gif
ナノテクノロジーと医療

大腸菌が 0.001ミリくらいで、 DNA に至っては 0.000001ミリとかいう、もうよくわからない小さな世界なわけです。

実際には、DNA は 0.000002ミリくらいらしいですが、そのあたりの誤差はともかくとして、すごいのは、この非常に小さな DNA の螺旋を全部伸ばしますと「 DNA の長さは2メートルにもなる」のですよ。

イメージとして考えますと、まず、細胞と細胞核があります。

私の頭脳に応じて、ここでは「小学生のための理科の王国 - DNA ってなあに?」から説明をお借りいたしますと、

細胞の一つの大きさは、0.05 mmくらい、核の大きさは0.01 mm くらいといわれています。

ということで、下のようになっています。

cell-dna-01.gif


イメージとしては、毛のようにもわもわと描かれているのが DNA のあるあたりということでいいのだと思われます。そして、ひとつの細胞に含まれすべての DNA を繋げるとすると下のように、2メートルにも達するそうなのです。

dna-2.gif
DNA がもつれないわけとは?


つまり、DNA は非常に小さい存在であるにも関わらず、長さにすれば、細胞の数万倍の長さを持つというもので、それだけにすさまじい情報量を小さな直径の中に収められるのかもしれません。

そして、小さければ小さいほど、大気圏突入の際のダメージが少ない。
すなわち、DNA は宇宙空間の惑星の大気に突入するのに最も適した「生命パーツ」であること。

そして、それ( DNA )が私たち人間を含めた、ほぼすべての生命の根幹をなしているという事実。

何というか、もうやはりこれも一種の「奇跡」であると思います。

そして、今回、その DNA の大気圏突入実験が成功したということのようですが、このような実験を試みるということそのものに、「 DNA が宇宙からやってきた」と考える科学者の意志を感じます。

考えてみると、最近の無人宇宙探査の目的は、かなりの部分で、「地球の生命が宇宙由来である証拠を掴もうとしている」ものが多い気がしますし、報道でも、すでにそのこそが普通に語られています。




生命は宇宙からやって来た方向で固まりつつ科学界

フレッド・ホイル博士の存命中は理解を得られなかった「地球の生命が宇宙からやって来た」ことについて、今ではどのような見解になっているのかというと、それは最近の報道のタイトルを見てもわかります。

先日打ち上げられた日本の「はやぶさ2」のミッションも「生命の起源を探る」というように、明確に記されている報道が多いです。

「はやぶさ2」 生命の起源探る壮大な旅だ
読売新聞 20104.12.06

生命の起源に迫る手がかりはつかめるのか。

小惑星探査機「はやぶさ2」は、3日に打ち上げられて以来、順調に飛行を続けている。目指す小惑星「1999JU3」には、2018年夏に到達する。地球への帰還は20年暮れの予定だ。成果を期待したい。

あるいは、欧州宇宙機関( ESA )の探査機ロゼッタが着陸した彗星チュ……。

まあ、名称不明(勝手に名称不明にすな)のあの彗星にしても「生命の起源」とタイトルにつく報道が当時多くありました。

下はスイス・インフォの報道ですが、もう記者は「チュリ彗星」で済ませていますので、このあたりの表記でもOKのようです。そして、この記事の冒頭には「水と生命がどこから地球にやってきたのかが今解明されようとしている」とあります。

swiss-3.jpg

▲ 2014年11月10日の Swissinfo 「チュリ彗星に探査機着陸か?生命の起源もやがて解明?」より。


また、ロシアでも「ビアンM」という人工衛星と「フォトンM」という人工衛星に、さまざまなバクテリアを積み、宇宙のフライトから大気圏突入の実験を行っています。

vor-photon.jpg

▲ 2014年12月1日の「ロシアの声」より。


この記事には下のように、実験の詳細が記されています。

ロシアの研究グループは生命外来説の真偽に実験によって迫ろうと試みた。

昨年、宇宙に向け、「ビオンM」衛星が打ち上げられた。その外壁には様々な微生物をつめたコンテナーが備えられた。

衛星は軌道上で30日を過ごし、地球に帰還。調べてみれば、全ての微生物のうちで、生き残ったのはわずか一種類のみであった。しかしその一種類は、大気圏突入時の、摂氏数千度という高温を耐え抜いたのだ。

と、ここにも、フレッド・ホイル博士が 1989年に行った実験を裏付ける、

> その一種類は、大気圏突入時の、摂氏数千度という高温を耐え抜いたのだ

というくだりがあります。

また、上の記事には、

ロシア人科学者、アレクサンドル・スプリン氏は、長年にわたり、リボ核酸の研究を行っている。リボ核酸、それは三つある基幹的高分子のうちの一つであり、あらゆる生命体の細胞内に存在するものである。

氏は、その分子がどうやって発生し得たのか、を研究しつづけ、ついに、地球環境ではそれはどうやっても発生し得なかった、との結論にたっした。すなわち、生命は宇宙から来たとしか考えられない、と。

などというような記述もあります。

いずれにしても、多くの科学者たちが、「地球の生命」がどこからやってきたのかということについて、ほぼ「宇宙から」という方向で結論付けている雰囲気が最近はあります。

しかし必要なのは「確証」です。

たとえば、「 DNA が地球の大気圏の突破をなし得た」という結果が、「地球に宇宙から DNA が運ばれている」という推論を確証できるものではありません。

じゃあ、どのようにすれば確証が得られるのかと考えますと・・・てへッ(何だ?)

それを確証する方法は多分、「存在しない」と思います。

その確証には、

生命の発生源
生命の運搬ルート


にまで遡ることを余儀なくされることであって、そんなことを証明できるとも思えないのです。

ふと思ってみれば、晩年のフレッド・ホイル博士は、仏教にでも帰依していたのか、やたらとブッダの言葉を引用していたりしました。

もしかすると、自分が人生を賭けて研究し続けた「パンスペルミア説」というものが、ホイル博士本人が「科学的に納得できる」形で証明されるということがとても難しいことであるということがわかってしまったのかもしれません。




宇宙時代の区切り、あるいはひとつの終焉に進む中で

ホイル博士は晩年の著作で、

「無限の宇宙が存在する」

というブッダの「宇宙の無限と永遠性」について述べていますが、計算式上ではともかく、「永遠」を実験的、あるいは実証的科学で証明することは難しいことだと思います。

もちろん、私は科学とか計算式の詳しいことはわからないですが、もし「計算」でそれが可能だとしても、誰にでも現実にわかる形として証明することは難しいことだと思います。

あと、「宇宙探査の時代がひとつの節目を迎えているという感じがする」ということもあります。

最近の、

太陽系の宇宙線量が異常に増加している : 仮にオリオンが 2020年代に有人火星ミッションをおこなった場合「 300日」で宇宙飛行士たちの身体は被爆の限界値に達する
 2014年12月08日

という記事などでも書きましたけれど、今後、太陽活動が低下し続けた場合、太陽系の宇宙線の量は増え続け、有人宇宙ミッションが厳しい状態にさらされる可能性があります。宇宙線の量が極端に増え続ければ、無人探査機への影響も出て来るかもしれません。

あるいは、宇宙ミッションは、各国の経済状態とも関係します。

もしも、ですけれど、今後、先進国などで途方もない経済崩壊が起きたような場合は、もはや宇宙探査や開発どころではなくなるはずです。

そんなような経済崩壊が来るのかどうかは私にはわかりません。
でも、そのような意見は根強くあり続けます。

そういうことも含めて、あらゆる面で、私は「宇宙時代はひとつの区切りを迎えた」と感じています。
あるいは「宇宙時代の終焉」といってもいいのかもしれません。

そういう時に、次に何が大事か、ということのヒントを、最近、うちの子どもが図書館で借りて家で読んでいた子ども本の最後の1行で知りました。

それは、ロバート・フローマンという人の書いた『もっとはやいものは − スピードの話』という絵本の体裁のものでした。

読んだ後に子どもが、

子ども 「おとうさん、1番早いものは何だったと思う?」
わたし 「ま……いきなり答えを言ってしまうのも悪いが、光」
子ども 「そう思う?」
わたし 「え? そうじゃないの」
子ども 「じゃあ、読んでみて」


と本を渡され、そのページには以下のように書かれていました。
すでに「1番早いものは光」と書かれていた後の下りです。

『もっとはやいものは − スピードの話』最終ページより

宇宙船が、光ほどのはやさでとぶとしても、太陽にいちばんちかい恒星にたどりつくのに、4年以上かかるだろう。

けれども、あっというまに、その星にいける方法がある。

世界一よく見える望遠鏡でみわたせる宇宙のはしから、光がとんでくるのに、何十億年という年月がかかる。

ところが、あなたの心のなかでは、あっというまにそのくらいの距離を、それどころかもっと遠くまで、とんでいくことができる。

あなたの考える力、想像する力は、いつでも、どこでも、すきなところへ、すきなはやさで、いくことができる。

あなたの想像力は、なによりもいちばんはやいのだ。

なんという真理!

目からうなぎ(こわいわ)。

もし、物理的な宇宙時代が終わった時には「あなたの想像力は、何よりもいちばんはやいのだ」という言葉を思い起こしたいと思います。

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2014年12月08日



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太陽活動の低下によって太陽系内の宇宙線量がかつてないほど増大している

先日のスペースウェザーに、米国ニューハンプシャー大学の研究者たちが発表した論文の概要が記事となっていました。

その論文は、

「太陽系内の宇宙線量が増えている中、月や火星などへの有人宇宙ミッションは可能なのか」

という内容のものです。

先日、 NASA のオリオンという新型の宇宙船の試験飛行が成功しました。

Orion.jpg
・オリオンのイメージ図。Wikipedia より。

オリオンは、将来的に火星への「有人」ミッションのために計画が進められているものです。

新型宇宙船オリオン打ち上げ成功 米、有人火星探査照準
朝日新聞 2014.12.06

米航空宇宙局(NASA)は5日午前7時すぎ、2030年代の火星有人探査を目指して開発中の新型宇宙船「オリオン」の無人試験機を、フロリダ州のケネディ宇宙センターに隣接する空軍基地から初めて打ち上げた。地球をほぼ2周して約4時間半後に太平洋に着水した。

とあり、「乗り物」のほうは順調に計画が進んでいるようなのですが、

しかし、乗り物は大丈夫でも、「有人飛行ミッション」となりますと、中の人間のほうが無事でなければどうにもならないわけですが、ニューハンプシャー大学の研究者たちの研究では、現在の、つまり 2014年の宇宙線の状況での宇宙線からの被曝量を計算した結果、

30歳の男性の宇宙空間滞在の限界日数は 700日

と計算されました。

ここでの「限界」というのは宇宙線からの放射線被爆で生命維持に重大な影響が出るまで、という意味での限界のことです。

1960年代などでは、「滞在可能日数が 1100日」もあったのですが、現在そのようになっている理由は「太陽系での宇宙線量が増えている」ことにあるそうです。

宇宙線が増えている理由は、太陽活動がかつてない弱さを見せていることと関係します。

まずは、そのスペースウェザーの記事をご紹介します。



GROWING PERIL FOR ASTRONAUTS?
Spaceweather 2014.12.06


宇宙飛行士に危険なほど(宇宙線が)増えている?


12月5日、 NASA のオリオンの試験飛行が無事に成功した。しかし、同じ日に発刊された科学誌スペース・ウェザー( Space Weather )は、将来の深宇宙探査にとっての危険因子が成長していることを指摘している。

それは「宇宙線」だ。

この記事は、ニューハンプシャー大学のネイサン・シュワドロン( Nathan Schwadron )氏と研究チームによって書かれたもので、記事のタイトルは、

「悪化し続ける銀河宇宙線環境は、深宇宙への有人飛行探査を妨げる要因となるのだろうか?」

というものだ。

NASA の月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービター( Lunar Reconnaissance Orbiter )に搭載されている宇宙線望遠鏡から送信されたデータを使用した結果、シュワドロン氏たちは、増加し続ける宇宙線の流れは、長期間にわたる宇宙ミッション(たとえば、月や火星など)のショーストッパーになるもの「ではない」と結論付けた。

銀河宇宙線は、宇宙ミッションの期間を制限し、宇宙飛行士に悪い影響を与える重要な要素だ。

下のグラフは、その論文にあるもので、30歳の宇宙飛行士が放射線の被曝量の限界に達する前に、宇宙空間で過ごすことのできる可能滞在日数を示している。


mission-duration.gif


このブロットによれば、2014年に、1平方センチメートルあたり 10グラムのアルミニウムのシールドで保護された中で、30歳の男性の場合、被曝量の限界に達するまで、深宇宙で 700日過ごすことができることを示している。

しかし、1990年代初めでは、同じ年齢の男性宇宙飛行士は、深宇宙で 1000日過ごせていた可能性をも示している。

何が起きているのか?

実は、宇宙線が激化しているのだ。

銀河宇宙線は、高エネルギー光子と素粒子の混合物のようなもので、超新星爆発のような暴力的な出来事によって、光速近くまで加速されている。

宇宙飛行士たちは、太陽の作用によって部分的に宇宙線から保護されている。

太陽の磁場と太陽風が結合すると、浸透性のある「シールド」が作られるため、太陽系外からのエネルギー粒子を避ける作用を持つ。

シュワドロン氏のチームの論文は、現在、問題が存在していることを指摘する。

「太陽と太陽風は、現在、非常に低い密度と弱い磁場強度であり、このような弱い状態は宇宙時代には観察されたことがなく、前例のない状態だ。非常に弱い太陽活動の結果として、我々は現在、宇宙時代に観測されたものとしては最大の宇宙線の流れを観測している」

宇宙線の太陽活動による遮断作用は、11年周期の太陽活動最大期には強くなり、太陽活動最少期には弱くなる。現在は太陽活動の最大期なので、本来ならば宇宙飛行士が飛行するのに最も適した時期であるはずだが、そうなってはいない。

なぜなら、2011年から2014年までのサイクル24の太陽活動最大期は歴史的な太陽活動の弱さとなっており、そのため、太陽系に侵入する宇宙線の量が異常な数値となっているのだ。

この状況に対して、一部の研究者たちは、この太陽の挙動が、太陽が長期的な太陽活動極小期への変化を特徴づけるものなのではないかと疑っている。

仮に、太陽活動と太陽磁場がさらに弱くなった場合、宇宙飛行士が地球から遠く離れた宇宙空間へ行くことのできる日数は減り、宇宙ミッションの状況はさらに悪化するだろう。





以上がその記事です。

翻訳中に「長期間にわたる宇宙ミッションのショーストッパーになるもの「ではない」」とした部分があるのですが、ショーストッパー( show stopper )の大体の意味はわかるのですが、それでは、どう訳しても、

「宇宙線はミッションの妨げにはならない」

というようなニュアンスになってしまいまして、上でもそのような感じとなっているのですが、シュワドロン教授は、「宇宙線はミッションの妨げになる」という主張を持つ人です。

それはともかく、NASA はオリオンの「有人飛行」をいつ頃行おうとしているかというと、12月6日の CNN の「宇宙船「オリオン」、初の無人試験飛行に成功」によれば、

今回の試験飛行で、オリオンは、1972年に月に到達したアポロ17号以来、有人飛行向けに設計された宇宙船としては、地球から最も遠い場所に到達した。2021年にオリオンで初の有人宇宙飛行を目指すNASAは、試験飛行の成功に自信を強めた。

ということで、

> 2021年にオリオンで初の有人宇宙飛行を目指すNASA

ということを踏まえて、上の記事に出てきたグラフをもう1度別の観点から見てみます。

cosmic-ray-2020.gif


2020年代は太陽活動の最少期に当たるため、予測では、最大のシールドを使った場合でも、300日以上、宇宙空間にいた場合は、宇宙飛行士たちは被爆による被害を免れない(「致命的」と表現されていますので、生死に関わるという意味かとも思います)という予測となっています。

それでは、もし火星に行くとした場合、その有人火星ミッションにはどの程度の時間がかかるのか。

つまり、「どのくらいの期間、宇宙飛行士たちは宇宙線に曝露され続けるのか」ということなんですが、これに関しては、とてもわかりやすい答えが、JAXA などが子ども向けに開設している「宇宙科学研究キッズサイト」の

人が乗ったロケットは宇宙のどの辺まで行ったことがあるんですか?

という質問に対しての答えにこうあります。

答え

月です。地球から月までは約38万キロメートル。月面に人類最初の一歩をしるしたアームス卜ロング船長たちをのせた「アポロ11号」では、月に着くまで、約102時間(4日と6 時間)かかりました。

人類が次に目指しているのは、火星です。NASA(アメリ力航空宇宙局)は2025年ごろを目指して有人火星探査を計画しています。

しかし、火星まではもっとも接近したときでも、約5500万キロメートルもはなれています。月の140倍以上です。現在の技術では、もっとも燃料を使わない方法で飛行すると、約250日(8ヵ月)かかります。1年くらい火星で調査を行うと、地球を出発してからもどってくるまで3年近くもかかってしまいます。

とありまして、

> 地球を出発してからもどってくるまで3年近くもかかってしまいます。

もう何をどうしても「無理」という気もするのですが……。

それに加えて、過去何度となく取り上げていることではありますけれど、過去記事、

現実化する「太陽活動の休止」 : 現在の太陽活動は「過去1万年で最も急速な減衰」を見せている
 2014年01月18日

などにありますように、現在、ただでさえ弱い太陽活動は、さらに加速度的にその活動が弱くなっていくという予測が多く出されています。

sun-sleep-2.gif
BBC

この太陽活動が、地球の寒冷期と関係するかもしれないことは、先日の、

元 NASA の気候学者が「地球はすでに今後30年以上続く寒冷期、あるいはミニ氷河期に突入した」と断定
 2014年12月04日

でふれたばかりですが、これが「宇宙計画」とも関係してくるかもしれないという話でもあります。

上にあります BBC の「太陽は眠りについてしまったのだろうか?」という記事では、英国の科学者が「現在の太陽はマウンダー極小期に向かった時のステップと似ているように感じます」と語ったことが記され、続いて、マイク・ロックウッド( Mike Lockwood )という科学者の考えが以下のように記されます。

現在の太陽活動の減少の速度は過去1万年で最も急速だという。そして、「今後 40年以内にマウンダー極小期と同じ状況となる可能性は 20パーセント程度の確率だ」と語る。

また、ロックウッド氏は、太陽活動の減少はジェット気流の動きに影響を与えると考えているという。これは長期間に渡って寒い冬が訪れる可能性を示唆している。特に、ヨーロッパ北部は暖かな大気が遮断されるため、数十年にわたって非常に寒く凍結した冬になる可能性がある。

これが、今年のはじめ頃の 2014年1月17日の記事で、そして今、実際に、寒冷化の兆しのような状況が各地で見られるわけですが、今回は寒冷化のことは置いておいて、問題は、

「今後、さらに太陽活動が弱くなる」

という可能性を指摘する科学者たちが多くなっているということです。

太陽系の外から太陽系の中に飛び込んでくる宇宙線は、太陽磁場によって、太陽系への侵入を少なくしている面があります。

現在の太陽活動がさらに弱くなっていった場合、太陽系内の宇宙線量はさらに増えることになり、宇宙飛行士たちの宇宙滞在可能期間はさらに短くなっていくということになります。

数日で到着する月ならともかく、上にありますように、火星のミッションは、「行ってすぐ帰ってきても 500日間も宇宙線の曝露を受ける」ことになり、有人火星計画というのは、ほとんど絶望的に無理なミッションなのではないでしょうかね。

火星へ向かう途中で宇宙飛行士たち全員の被爆限度量が限界に達してしまいます。

そもそも、火星より 140倍近い距離にある「月に行く」ということに関してだけでも、世の中ではいろいろな意見の対立が存在するわけです。

過去記事、

人類は本当に「ヴァン・アレン帯を通過して月に行ったことがあるのだろうか?」という疑問を各地で噴出させている NASA の次世代宇宙船オリオンのミッション
 2014年10月31日

でも書きましたが、宇宙空間に行くということは、磁場で保護されている地球表面とはまったく違う環境に行くことになり、宇宙線だけではなく、太陽からも太陽風と呼ばれる電子と陽子の嵐が、秒速数百キロメートルなどという速さで飛び交っています。

それでも、宇宙船内にいる限りは、シールドもありましょうが、「月面着陸」ともなると、大気のない月面などは、「立っているだけで即死するレベルの放射線が存在する」という意見もあります。(なので、月面に立ったアポロの乗員たちが着用していた宇宙服は現在でも開発不可能なくらい高度な技術が使われたシールドだったのだと思います

どうも、この「有人宇宙計画」というものには、すべてにおいて「無理感」が感じられるのですが、そのあたりの実際のところはどうなんでしょうかね。




オリオン計画が『カプリコン1』化するのは勘弁してほしい

この「火星ミッションは宇宙線量から考えて無理」という意見は、以前から報道で目にしていました。

今年10月に書きました、

人類は宇宙へは行けないし、異星人たちも地球には来られないことを悟る中、人々から「神の存在が消えていっている」ことも知る
 2014年10月29日

の中に、以下の記事をご紹介したことがあります。

mars-mission-radiation2.gif
Daily Mail

あれ? 今読み直しましたら、この記事で紹介されているのは、今回のスペースウェザーに出てくるニューハンプシャー大学のネイサン・シュワドロン教授その人でした。

どうやら、論文発表前に語っていたということになるようです。
上のデイリーメールでの教授の発言の内容は、

・現在、太陽活動が減少しており、宇宙放射線量が増えている。

・今後さらに太陽活動が減少した場合、その場合での放射線の推定値から計算すると、30歳の男性の宇宙飛行士を想定した場合、約 320 日で放射線量が生命に危険が及ぶレベルに達する計算となる。

・この計算から、火星に到着する前に身体が破壊される可能性がきわめて高い。

というもので、主張としては、やはり「人類は火星には行けない」となっているようです。

国際宇宙ステーション(ISS)などは、ヴァン・アレン放射線帯という、放射線帯の内側にあるわけで、地球の磁場の保護下にある場所にありますが、それでも、JAXA の放射線被ばく管理というページには、

> ISS滞在中の1日当たりの被ばく線量は、地上での約半年分に相当することになります。

とあるように、かなりの被爆を受けているのですが、ヴァン・アレン帯の外の深宇宙にいくと、こんなものでは済まないはずで、しかも「それが2年くらい続く」わけです。

そのことに関しては、当然、 NASA は知っているはずです。

そして、これは時間をかけて研究すれば解決するという問題ではないと思われます。

NASA が宇宙線の宇宙飛行士への影響を考えていないということはないでしょうし、そして今後、太陽活動が低下して、宇宙線がさらに増加していくであろうことも予測しているはずです。

しかも、太陽活動の極小期である 2020年頃から有人試験飛行をおこなうとしているわけですが、上のような「無理な条件」が重なっていくことを考えていると、 NASA は本気で火星に人類を送り込む気があるのだろうか・・・と、さすがに考えてしまいます。

それとも、それこそ私が中学2年の時に映画館で観た『カプリコン1』そのままの世界になってしまうのか。下の太字は私によるものです。

カプリコン・1 - Wikipedia

人類初の有人火星探査宇宙船カプリコン1号が打ち上げられる事になった。しかし、その打ち上げ数分前、乗組員たちは突如として船内から連れ出され、砂漠の真ん中にある無人となった古い基地へと連れて行かれた。

そこで、本計画の責任者から、カプリコン・1の生命維持システムが故障したため有人飛行が不可能になった事を告げられ、政治的な問題で計画が中止出来ないので、火星に行ったという事実の捏造を行う事を命じられた。

人々と科学を裏切る結果になる事を嫌った飛行士達は最初は拒否したが、家族の安全を人質に取られ、やむなく承服した。こうして、火星往復の間や火星探査の様子などを、この基地で収録するという大芝居が始まった。

capricorn-one.jpg

▲ 米国映画『カプリコン1』(1977年)より。砂漠に立てられたスタジオで、「人類初の火星着陸」を演じさせられている乗組員たち。


ちなみに、『カプリコン1』は、普通に面白い映画です。
中学2年の私でも楽しめたのですから、対象年齢も広いと思います。

こんなことにはなってほしくないですけれど、かといって、「生命維持不可」というようなミッションを無理矢理おこなうというのも人道的なことではない気もしますし。




宇宙線は悪いだけではないことも確かですが

しかし、ここまで「宇宙線は人体に良くない」という部分ばかり書いてきたような気もしますけれど、思い出すと、「宇宙帰りの種や植物が驚異的な成長をした」とか、そういうこともありました。

過去記事、

私たち人類も他のあらゆる生命たちも「宇宙線にコントロールされている可能性」を感じて
 2012年06月13日

では、

宇宙帰りのサクラ異変…なぜか発芽・急成長
読売新聞 2011年02月21日

sakura-3.jpg

地上350キロメートルの国際宇宙ステーション(ISS)で2008年11月から8か月半、保管した桜の種を、地上へ持ち帰って植えたところ、発芽しないはずの種が芽を出すなど、異変が相次いでいることがわかった。

原因は不明だが、無重力で放射線の強い宇宙環境で、遺伝子の突然変異や、細胞が活性化したなどの見方もある。

というニュースと、

宇宙アサガオ、異常早咲き
京都新聞 2012年06月13日

asag-03.jpg

宇宙空間を旅した種子から育った、京都産業大付属高の「宇宙アサガオ」が、通常は夏至以降とされる開花時期より大幅に早く、10日に咲き始めたことが、12日に分かった。

帰還2世代目は異常に多くの花をつけたことが確認されており、開花したのは3世代目にあたるアサガオ。同高は、宇宙放射線の影響を裏付ける事象だとみて、さらに研究を進める。

というニュースをご紹介したことがあります。

記事では全文抜粋していますので、ご興味のある方はお読み下されば幸いです。

そういう過去の出来事などの「生命力と直結した何か」を思いますと、それが宇宙線の影響なのか、他の何かの影響なのかはわからないないですが、宇宙空間には人体に有害な放射線が大量に存在していると同時に、

宇宙空間には生命力の強化と関係する何かの作用が存在する

ということは否定できない気もします。

しかし、それはそれとしても、このことと、人間の身体が放射線から受けるダメージは別のことであって、オリオンの有人飛行を始めると計画されているという 2020年頃には、

「宇宙滞在日数 300日程度で被爆の限界値に達する」

ということがはっきりとしはじめている中、今後この計画はどうなっていくのですかね。

ちなみに、宇宙空間の宇宙線量がいくら増えても、地表に達する宇宙線は、地球の磁場の保護などがあり、それほど変化するわけではないと思います。ただし、これに関しても、地球の磁極の移動などで「磁場の保護がなくなった場合」は、宇宙空間と同じように、私たち地表の人類も銀河宇宙線に直接曝露されるようなことになるのかもしれません。

ただ、先日書きました、

新たに発見された「地球を保護する見えないシールド」は私たち地球の生命の新しい保護システムなのだろうか、と磁極の逆転が迫る中で考えてみる
 2014年12月01日

にあるように、最近、「見えないシールド」が地球上空で見つかったりしていまして、案外、地球はいろいろなシステムのもとに守られているものなのかもしれないなあ、という考え方も最近はあります。


いずれにしましても、今回のシュワドロン教授の研究は、わりと長らく曖昧に考え続けてきた「人類は深宇宙には行けない」という概念について、それはかなり現実に近いということを知らせてくれるものでした。

そして、その原因が太陽活動の影響が大きいということは、太陽は「人類が深宇宙に行くことを望んでいない」のかもしれません。

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