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2015年01月30日



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「そのうち日本から子どもが消えちゃうんじゃないか」と思わせる日本をめぐる統計グラフと、それと同じ曲線を描くいくつかの統計



出生時の体重が 2500グラム未満の乳児の割合の各国比較(2013年)
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Viewpoint






 



「どうして日本はこうなった?」への思いは続く

先々週くらいの、

「フランシスコ法王が第三次世界大戦の開始を宣言」という報道よりも中国の食品安全監査報告のヤバさが気になる昨今
 2015年01月19日

という記事で、CNN の「中国の食品の安全性があまりにもひどい理由」というタイトルの記事を紹介する他に、中国の食品事情の問題などを少し書きました。

そして、つい先日、

日本の未来 : 子どもに関しての、そして、高齢者に関しての統計データから受けた衝撃
 2015年01月28日

という記事では、教育関係の施設で目にした冊子の数値に衝撃を受けまして、いくつかのグラフを載せました。

そこには、日本の子どもの数そのものが、この30年くらいで「半減」しているのに対して、特別支援対象の子どもたちは増加していることが示されています。

また、「通級」という学校制度があります。

これは、普通に小学校に通うことに問題はないけれど、発声や耳の聞こえ方などにやや問題がある児童、あるいは、ADHD (注意欠陥・多動性障害)などの子どもなどが、週に一度、教室に通って指導を受けるというものです。

こちらの数も、この 20年間で5〜7倍くらいの急激な増え方をしています。

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舞田敏彦 Twitter


こういうことだけではなく、後でふれますが、日本において、子どもたちのアトピーや食品アレルギーの増加、ぜんそくが増加している、などの原因は決してひとつやふたつの単純なものではないでしょうけれど、「ある現象が急激に増えていく」ということには、何らかの原因はあるはずです。

2009年に、環境省が「子どもの健康と環境に関する10万人全国調査」というものをおこなったそうですが、そこでは、「子どもの健康に関連した不安が提示された因子」などに関して、「一般の人々へのアンケート」と、「専門家へのアンケート」をおこないました。

その結果は、一般の方へのアンケートでは、「1位 農薬」、「2位 食品添加物」、「3位 電磁波」などから始まるものですが、ここでは、専門家のアンケートの順位を取り上げてみます。

子どもの健康に関連した不安が提示された因子

1位 内分泌かく乱物質(環境ホルモン)
2位 ダイオキシン・PCB類
3位 POPs(残留性有機汚染物質)
4位 農薬
5位 水銀
6位 殺虫剤
6位 タバコ
6位 クロム
6位 ヒ素
6位 鉛


そして、この専門家たちが、提示された不安要因によって、子どもの健康に影響があると考えている項目が下のようになります。

不安が提示された子どもの健康影響

1位 アトピー
2位 注意欠陥・多動性障害
3位 低出生体重
4位 早産
5位 ぜんそく
5位 死産
5位 自閉症
5位 先天奇形
5位 生殖器異常
10位 食物アレルギー
10位 発達障害
10位 泌尿器異常


となっています。

まあ、専門家の発言といっても、上に並べられた疾患や状態について、因果関係が明確になっているものは多くないはずです。なので、「そのように考えている専門家たちがいる」という認識を越えるものではないとは思います。

とはいえ、上の様々な疾患や状態の中には、「子どもの総数が減っている中でも、増え続けている」ものが多いことも事実です。

日本における児童生徒のぜんそく被患率の推移
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エコチル調査

私自身、小学2年(昭和40年代)まで小児ぜんそくでしたけれど、上のグラフで昭和53年(1978年)から、子どものぜんそく罹患率が 30数年のうちに小学生で4倍ほどにも達したことがわかります。


日本における先天異常発生頻度の推移
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エコチル調査

このグラフでは、染色体異常で生まれる赤ちゃんの率が 30年間で倍増していることがわかります。

不安が提示された子どもの健康影響の3位に「低出生体重」とありますが、今回の冒頭に載せましたのは、世界各国の「低体重で生まれる赤ちゃん」の率を比較したもので、これを見ると、世界で、低体重の赤ちゃんが生まれる率が最も高い国が日本であることが示されています。

このグラフが掲載されていた Viewpoint の記事には、


過去30年間で低体重児の割合が日本はほぼ倍増した。これは先進国の中で特異な現象という。


とあり、特異な現象として捉えられているようです。

その増加数については、1970年からのグラフがあります。

1970年から 2002年までの低体重児の数の推移
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赤ちゃん通信


ちなみに、日本の出生数の減少は今さら取り上げることではないでしょうが、グラフで見ますと、ある時点から「一方的に減少し続けている」ことがわかります。

1900年から 2011年までの日本の出生率の推移
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20世紀以降の日仏の出生数の推移


生まれた赤ちゃんの総数は 1975年の 190万人から 100万人へと、ほぼ半減。
昨年 2014年の出生数は 100万1000人となりまして、1899年以来最低となっています。

・とにかく、子どもの数はさらに減り続けている。

・しかし、その状況の中で、何らかの問題を抱える子どもの数は増えている。


というのが現実で、その傾向が止まる気配も今のところありません。

どうしてこのようなことになってしまったのか、とは誰でも思うとこでしょうけれど、しかし、誰にもその理由は一概には言えないはずです。

そこで、「似たようなカーブを描く、日本に関しての他のグラフを見てみる」というのはどうかと思いました。

それぞれに何の関係もないように見えても、同じ曲線を描いているもの同士なら、何かの関連が思い浮かぶかもしれない。それで、「似たように急増しているようなグラフ」をいくつか見てみました。




日本で増えてきたもの

ところで、「日本人の食」のデータを見ていると、1950年代から「急激に変化」したものがあります。

それは「動物性脂肪の摂取量」です。
少し古いデータですが、ものすごい急カーブのグラフを描いていることがわかります。そして、これは現在に至るまでも、さほど変化はないはずです。

日本人の栄養摂取の推移
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佐野内科ハートクリニック


この 1955年くらいから、日本人はコメを食べなくなって、肉をたくさん食べるようになった、という図式がおわかりになるかと思います。

現在に至るまで続く、これだけの「激しい肉食化」は、どこまで時代を遡っても、日本人の歴史の中で初めての「状態」かと思われます。

しかし、肉食が増えているからといって、カロリー摂取が増えているわけではないです。
下は、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」をグラフ化したものです。

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family-aoziru


そして、日本人がかつての4倍くらいの肉を食べる生活が定着し始めた 1960年代頃から急速に摂取しなくなっているものが、「植物繊維」です。

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大塚製薬


このような食生活の変化の中で、肉食とばかり関係しているものではないでしょうが、偶然にも、日本人の肉食が激しくなった 1955年頃から急速に増えたのが、「ガンによる死亡者」です。

日本の全ガンでの死亡者数の推移
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東京都健康安全研究センター年報


そして、日本は食糧自給率が低いわけで、肉にしろ野菜にしろ海産物にしろ、食料の多くを輸入に頼っていますが、「急増したの輸入先はどこか」というと、やはり、中国ということになります。

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All About 中国輸入食品のシェア、20年で約2.3倍に

上のデータはやや古いですので、現在に至るまで変化はあるでしょうけれど、拡大の方向には変わりはないかと思われます。

その中国からの輸入食品の内訳(2007年)は、財務省の貿易統計によりますと、上位3位は、

・魚介類 35.0%
・果実野菜 32.1%
・肉類 13.8%


となっていて、これだけの量が輸入されているとしますと、魚にしても野菜にしても、あるいは、肉にしても、自分では買わなくとも、外食などを含む何らかで、どこかで必ず中国産の食品を口にする生活をしていることになりそうです。

そういえば、中国の食品といえば、現在の中国のトップである習近平国家主席の昔のテレビでの発言を思い出しました。




習近平国家主席の14年前の言葉

上にもリンクしましたが、少し前の、中国の食品安全監査報告の記事の中で、中国人ジャーナリストによって記された『中国の危ない食品―中国食品安全現状調査』という本のことを書きました。

この本の中に、習近平国家主席が、今から 14年前に福建省のトップ(省官)になった際に、中国中央テレビで、食の安全についてインタビューを受けた時の習近平国家主席の言葉が載せられていました。

抜粋します。


中国の危ない食品―中国食品安全現状調査より


2001年8月22日、中国中央テレビの司会者、王が福建省長に就任して間もない習近平(2007年に上海市長)を「食品汚染」についてインタビューした番組の中だった。

当時、最年少の省官だった習近平は、1月27日にテレビに向かって率直にこう語っていたのだ。

「私が福建省に着いて最初にしたのは、ちゃんとしたレストランを見つけることでした。正直な話、今、ものを食べたり飲んだりすることはじつに煩わしいことです。コメを食べるときには有毒米かどうか心配し、野菜を食べるときは残留農薬を心配しなければならないんですからね」

司会者は、福建省の肉赤身化剤の問題は、現在どうなっているのかと訊いた。

「この薬品は、当初、科学的な研究を広めるもののひとつとして使われたそうです。私の友人に画家がいるんですが、彼は豚のレバー料理が大好きで、酒の肴はきまって豚レバーでした。ところがあるとき、絵筆を握る手が震えだし、描けなくなったというのです。病院で診察してもらった結果、肉赤身化剤、つまりは塩酸クレンブテロールが原因だとわかりました。その後、豚レバーを食べるのをやめたら、よくなったそうです。肉赤身化剤は非常に危険なものだと思います」



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▲ 福建省の省官に就任する前の1999年、福建省を視察する習主席(左)。 sina.com より。パッと見は、蛭子能収さんですね。


今から 14年前には、後の中国国家主席自身が、自分の国について、「正直な話、今、ものを食べたり飲んだりすることはじつに煩わしいことです」と述べていたことが印象的です。

ちなみに、文中に出てくる「肉赤身化剤」は、動物の見た目をよくして、肉の赤身の見た目をよくする「塩酸クレンブテロール」という薬剤で、気管支系の薬ですが、副作用がきつく、量によってはストレートに人体に有毒な物質です。

豚肉の筋肉をよく見せるということは、「筋肉増強剤」としての副作用もあり、過去に「中国で食事をしたスポーツ選手がドーピング検査で陽性となる」という事件が相次いだことがあります。

下のニュースはそのひとつです。


「中国の豚肉、2度と食べない」…残留成分でドイツ選手が出場禁止
サーチナ 2010.10.27

ドイツ卓球協会と同国のアンチ・ドーピング協会はこのほど、ドーピングの疑いで8月末にオフチャロフ選手(22歳)に科した「2年間、出場禁止」の処分を解除すると発表した。食事に由来する誤摂取と判断したため。中国国内で食べた豚肉に薬物が残留していたとされる。オフチャロフ選手は、「もう中国で、肉を食べる勇気はない」と述べた。チャイナネットが報じた。(略)

中国では、豚の飼料にクレンブテロールを入れる場合がある。禁止されてはいるが、豚が興奮して歩きまわるために赤身部分が多くなり、高値で出荷できるからだ。浙江省では2008年11月、大量にクレンブテロールを含む豚肉が社員食堂の昼食に使われ、70人に手足のしびれ、動悸、嘔吐などの中毒症状が発生する事件があった。




2001年の習近平省官は「肉赤身化剤」が「塩酸クレンブテロール」という薬品であることに言及していて、当局は、当時より食品汚染の知識について豊富であったことがわかります。

それから十数年経って、食品汚染の状況はほとんど改善されていないために、上のようなニュースや、先の CNN のような記事となるわけですが。

『中国の危ない食品―中国食品安全現状調査』の中には、農民の言葉として、

「(飼育場に、見た目のいい豚と、ふつうの豚の2種類がいて)見た目にいいのは肉赤身化剤を食わせたヤツですよ。肉の色つやがいいんで、もっぱらマチの人たちに売るため。ふつうの豚は自分たちで食べるものです」

という証言もあり、「見た目の良いほうが毒」となっていたりしまして、なかなか中国国内の食品問題も複雑なようです。




他に増えているものは

中国の食材で、話が逸れてしまった感もありますが、しかし、中国からの食材輸入の増加と、先に挙げました、日本の子どもたちの問題の増加と、いくつか同調しているような点もあります。

あと、子どもたちの問題と同じような曲線を描くものでは、「水」なんかもありそうです。

下のグラフは、日本の水道の浄水場での「塩素」の投入量の推移を示したものです。

mizu3.png


日本のガン患者の数の拡大のグラフとも似ています。

上のグラフは、「水とアトピー」というサイトの、「日本の水道水について 塩素濃度は世界一」というページにあるものです。

そのページには、


日本の水道水は、微生物の力で水を浄化する「緩速濾過方式」で、戦前はほとんど塩素は使われていませんでした。

これが転換するのが、戦後占領期です。

当時の占領軍GHQが、日本の方式を遅れた「野蛮なもの」とみなして、占領軍の飲料用水用に「塩素」投入を命じたところから始まります。



という記述があります。

そして、真偽は何とも言えないですが、浄水の塩素の増加と、アトピー性皮膚炎が急増していく時期が一致しているということが書かれています。基本的には、アトピー性皮膚炎の原因は正確にはわかっていないですが、上のような考え方もあることをはじめて知りました。

まあ、しかし、世界と比べても、「水道の水をそのまま飲める」ということ自体は、他の国にはほとんどないことでもありまして、塩素を完全な悪者にするというのは良くないかもしれないですが、その程度が激しいということのようです。他の先進諸国の5〜15倍ほどの塩素量だそう。


思いつくままにグラフを眺めていましたら、何だか少し長くなってきましたので、今回はこのあたりまでとしておきたいと思いますが、いろいろ見ていますと、やはり「口から入るもの」の要因は大きいような気はします。

・日本人の食べるものの種類が変化した
・日本人が自分の国や地域の食物をあまり食べていない


ということなどと、病気などを含む様々な疾患とは関係しているように見える部分はあります。

何にしても、最初のほうに載せましたガン死亡者の 100年間での飛躍的な上昇を見ましても、私たちが「病気の時代」に生きていることは確かなようで、そして、今のままだと、この状態はさらに拡大していくとしか思えないです。

私たち自身はもういいとして、次の、つまり、子どもたちの世代…まあ、そういう時代が存在するかどうかはわからないですが、将来に存在するならば、今のような負のループを少しずつでも断ち切らないと、旧約聖書の出エジプト記にある、

「すべての初子を撃つ」

というような厄災、つまり「この世から子どもがいなくなる」というようなことに見舞われてしまいかねない気もします。巨大な自然災害や、ペストやスペインかぜのような世界的な感染症の流行、あるいは戦争で多くの人びとの命が奪われたことは人類史では何度もあったでしょうが、今のような「理由はよくわからないけれど、赤ちゃんが生まれにくくなっていたり、かつてはなかったほど、新しい病気が増えている(ガンも歴史で見れば新しい病気です)」という時代はなかったような気がします。

そして、日本の食糧自給率はご存じのとおり、主要国最下位のままです。

食糧自給率
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農林水産省 食料自給率とは

農家さんたちはどんどん高齢化している現状でもあって……うーん……日本の子どもたちの将来は、どのあたりに希望を探れば良いですかね。



  

2015年01月29日



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2015年1月27日にサウジアラビアを訪問したオバマ大統領の到着を伝えるサウジの現地メディア
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▲ サウジアラビアのテレビニュースでは、オバマ大統領の隣に「ぼかし」が入れられていました。その理由は後に記します。mz-mz より。






 



いろいろな「自由」はあるのでしょうけれど

それまで縁のなかったものが、些細なきっかけでその縁が続いていくというようなことはよくありますが、最近の私では、「サウジアラビア」なんてのがそうかもしれません。

今年 1月12日の「サウジアラビアの大雪報道から辿り着いた…」という記事において、 In Deep で初めて、サウジアラビアという国名が出てきたのですが、その後、

ハッシュタグは「私は雪だるま」:サウジアラビアで宗教的な禁止勧告を出された「雪だるま作り」への反発とか…
 2015年01月17日

という記事では、サウジアラビアでの雪だるま作りに対して、サウジの高名な宗教指導者シーク・ムハンマド・サラハ・アル=ムナッジド師により、

「雪だるま作りへのファトワー(イスラム教の見地からの禁止勧告)」

が宣言され、いろいろともめていたことなどを取り上げました。

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al-mlab


イスラム教の厳密な解釈では、「偶像や擬人化はすべていけない」とされているので、雪だるまであっても、上のように「人格」を持つようなタイプの雪だるまを作ってはいけないという理由によるファトワーでした。

とはいえ、確かに宗教的意味のある動議だとはいえ、「雪だるま作りを国の宗教の最高権威筋が禁止する」というのは聞いたことのないことで、珍しいニュースだと思い、取り上げたのでした。

しかし、それからほんの数日後に、このサウジアラビアのアブドラ国王(正式名:アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード国王)が逝去されるという事態が起きています。

このアブドラ国王は、サウジアラビアの初代国王であるサウード国王(正式名:アブドゥルアズィーズ・ビン・アブドゥルラハマーン・ビン・ファイサル・アール・サウード国王)の第8夫人のファハダ・ビント・アル=アースィー・アッ=シュライム夫人との間に生まれ……(サウジの王室の歴史はもうこのあたりで)。

そうですか。

この際、アブドラ国王の兄弟(全部で 36人)などもフルネームでご紹介しようと思いましたが、それは今度にしておきます。

さて、アブドラ国王の死去に伴い、新国王が就任したのですが、そのため、急遽、アメリカのオバマ大統領が、サウジアラビアを訪問するということになりました。

そのオバマ大統領が到着した際のサウジアラビアの現地メディアの報道が、冒頭に貼りました「なぜかオバマ大統領の隣にぼかしが入っている映像」なのでした。

何がぼかされているかは、下のウォール・ストリート・ジャーナルの記事で明確かと思います。

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▲ 2015年1月28日のウォール・ストリート・ジャーナル「オバマ大統領がサウジ訪問、サルマン新国王と会談」より。


テレビ報道では、オバマ大統領のミッシェル夫人が消されていたのでした。

下が実際の報道の動画です。
時間は 10秒ほどですが、雰囲気はご理解いただけるかと思います。

オバマ大統領のサウジアラビア訪問時の現地報道メディア



なぜ、ミッシェル夫人が「修正された」のかというのは、

・サウジアラビアがイスラム教国であること
・現在は国家最大の喪中であること


などを考えると、改めて書くまでもないことかもしないですが、まずは、「髪を隠していない」ことが問題のようです。

アラビア語圏のイスラム国では、ベールのことをヒジャブと呼びますが、それをしていない。

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inayahcollection


さらに、「喪に服している期間なのに青い服」。

これに関しては、確かに私も「いくら何でも派手なのでは」とは思いました。

喪中、あるいはそれに類した場では、どの国であろうと、大体は「黒の系統の服」と決まっていると思いますが、サウジアラビアの現地の高官たちも黒い服を着ている中、ミッシェル夫人だけ、華やかな柄の衣装で登場しています。

確かにこれをこのままテレビで放映してしまいますと、サウジアラビアの保守層の人たちなどから、かなりの反感を買う可能性もあり、そのこともあり、「修正して放映した」ようです。

しかし、このことはすぐにサウジアラビア内で広がり、サウジの一部の人々は、「 #Michelle_Obama_NotVeile (ベールをしていないミッシェル・オバマ)」というハッシュタグで、ツイッター上に、怒りを表明したりしているそうです。

また、サウジアラビアのメディアでは、「ミッシェル・オバマ夫人は、かつての他の国への公式訪問の際にはベールをつけていた」ことなども報じられています。

前ローマ法王ベネディクト16世と謁見したバチカン訪問時のオバマ大統領夫妻
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mz-mz.net


2010年のインドネシア訪問時のオバマ大統領夫妻
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mz-mz.net


今回もベネディクト16世と会った際の格好のような出で立ちでサウジアラビアに赴けば、何の問題もなかったと思うのですが、なぜ今回はこのようなことに?

実はこのことに関しては、欧米の多くのメジャーメディアでも報じていますが、ヒジャブをせず、派手な服装で、喪中のイスラム国家に望んだ、というミッシェル夫人の行動の理由はわからないですが、しかし、サウジアラビアのメディアは、それ以上に、

「あまりにも終始、不機嫌な様子のミッシェル夫人の様子」

を報じています。

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▲ 2015年1月28日の mz-mz.net より。


喪中なので、「悲しんでいる」様子なら問題はないのでしょうけれど、今回のサウジアラビア訪問のミッシェル夫人の表情は、不機嫌そのものに見えます。上の2枚目の写真の表情はちょっとひどいかも…。

ベール(ヒジャブ)や服装よりも、むしろ、この「表情」が、多くのサウジアラビアの人たちの反感を買ってしまったのかもしれません。

服装の問題だけなら、過去を見ますと、ファーストレディや指導者レベルの女性たちも、サウジアラビアを訪問する際、ベールをしていない人は多かったようです。

これについては、Think Progress というメディアの記事で、「過去にサウジアラビアを公式訪問した女性たち」が、特集されていますが、政治家では、ドイツのメルケル首相の 2010年の訪問、2012年のヒラリー・クリントン国務長官、2007年のライス国務長官などは、すべて、ベールをしていません。

ファーストレディでは、ブッシュ元大統領夫人のローラ・ブッシュさんが、2007年の訪問ではベールをしていましたが、2008年の訪問ではベールをしていませんでした。

2008年のローラ・ブッシュ夫人のサウジアラビア訪問時
Laura-Bush-Saudi.jpg
Think Progress

過去にはそんなに大きく問題となったことはないようなのですが、今回のミッシェル・オバマさんのサウジアラビア訪問は、国民の間でそれなりの問題となっているようで、先ほどのタグ「 #Michelle_Obama_NotVeile (ベールをしていないミッシェル・オバマ)」でのツイッターへの投稿は、すでに「 240万」に上っているそうです。




微妙な「イスラムと西側諸国」の対峙の中で

今は、ここ何十年の中でも、最も「イスラム教の国々、あるいはイスラム教の人々」と、そうではない主要国との間の、軋みのようなものが強くなっています。

そういう中での、今回のファースト・レディの態度というのは、これはこれで十分に「何か」を投じている感じもします。

「第三次世界大戦が侮辱画から始まるとは誰が想像しえたか」
 2015年01月14日

に書きました、アメリカ南北戦争時の南部連合将軍であり、当時のフリーメーソンの最高位である 33位のアルバート・パイクが、1871年に手紙に書いたとされる、


第三次世界大戦は、政治的シオニストとイスラム世界の指導者たちとの間で、「エージェント」と「イルミナティ」によって引き起こされる両者の意見の相違を利用することによって助長されなければならない。

戦争はイスラムと、政治的シオニズムが相互に破壊し合うような方法で行われなければならない。(略)

そこら中にいる市民たちに、世界の少数派の革命家たちから市民各々が自らで守ることを義務づけることによって、市民たちは文明の破壊者たちを駆逐するだろう。



というようなことを思い出したりするわけです。

にも書きましたけれど、今の中東では下のようなことになっていて、中東の問題が、さらに「 33度線のあたりで混乱しつつある」といえそうな感じでもあります。

midwest-2015-cahos.gif
・過去記事「中東のカオスと英国エコノミスト誌の表紙を見て思う…」より。

そして、このあたりの国は最近の原油価格の急落で、大なり小なり損害を受けている国が多いと思われ、そのあたりにも混乱の要素はあります。

今回のオバマ夫人の行動そのものは些細なことでも、これは「中東とイスラムとアメリカが絡んでいる出来事」であるということに気づきます。

しかし、基本的に、たとえば、多くの日本人のように宗教的なこととは無縁で生きているとした場合、クレアの記事に書いたことがあります「アメリカ先住民の倫理の規範」にあります、


他の人々の宗教的な信念を尊重しなさい。あなたの信念を他の人々に押しつけてはならない。


ということだけでOKなのではないかとも思います。



  

2015年01月28日



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Reddit






 

理由はどこにあるのか

昨日、教育関係の施設に行く用事がありまして、待ち時間のようなものが生じ、何となく待合室のようなところにある冊子などをぺらぺらとめくって読んでいたりしました。

教育関係や福祉関係の冊子が並んでいる中で、「全国心身障害児福祉財団」全国難聴児を持つ親の会という会が発行されている『べる』という季刊誌を読んでいましたら、そこに、少なくとも、その具体的な数値を今まで知らなかった私には非常にショッキングなデータが出ていました。

それは、2006年(平成18年)から 2013年(平成25年)までの、「日本の小中学生全体の数の推移」とその中での「特別支援教育対象の小中学生の数の推移」を示したものでした。

待ち時間でしたので、それをメモしたものが下の数値です。
現物は表組みで示されていました。




我が国の子どもの人数(小学生・中学生)

義務教育段階の児童生徒(小中学生の総数)
2006年  1086 万人 
2007年  1082 万人 (前年比 マイナス 4 万人)
2008年  1079 万人 (前年比 マイナス 3 万人)
2009年  1074 万人 (前年比 マイナス 5 万人)
2010年  1063 万人 (前年比 マイナス 11 万人)
2011年  1055 万人 (前年比 マイナス 8 万人)
2012年  1040 万人 (前年比 マイナス 15 万人)
2013年  1030 万人 (前年比 マイナス 10 万人)





となっていて、2006年から 2013年まで、小中学生の総数は 56万人の減少となりました。

そして、もうひとつの統計が下となります。




特別支援教育対象の児童生徒
2006年  22.0 万人(1.86% ← 全児童に占める割合)
2007年  22.0 万人(2.00%) (前年比 プラス 2万人)
2008年  23.0 万人(2.13%) (前年比 プラス 1万人)
2009年  25.1 万人(2.34%) (前年比 プラス 2.1万人)
2010年  27.0 万人(2.54%) (前年比 ブラス 1.9万人)
2011年  28.5 万人(2.71%) (前年比 ブラス 1.5万人)
2012年  30.2 万人(2.90%) (前年比 ブラス 1.7万人)
2013年  32.0 万人(3.10%) (前年比 ブラス 1.8万人)





数字の羅列でわかりにくいかもしれないですが、2006年から 2013年までの8年間で、小中学生の数は 56万人減少したのに対して、「特別支援教育の対象の小中学生の数は 12万人増加した」ということです。全体の子ども人口と真逆の動きとなっています。

小中学生全体の数が、この8年間、1度も前年を上回ったことがないというのは、少子化という現実からわかるとしても、「特別支援教育の対象の子どもの数」に関しては、これと逆に、

すべての年で前年を上回り続けている

のです。

したがって、全体の子どもの数に対しての、特別支援対象の児童生徒の率も毎年上がっているということになります。

2006年には特別支援教育の対象だった児童生徒は、全体の 1.86%だったのが、2013年には 3.1%を占めるまでに増加しています。現在では、約 30人に 1人の子どもが特別支援教育の対象となっているということになるという計算だと思います。

なお、ここでの特別支援教育は、後でグラフで示しますが、そのほとんどが知的な障がいを持つ子どもたちのことを意味します。

「それ以前はどうだったんだろう」

と、家に戻った後に、ネットで調べてみましたら、この傾向は、この 20年から 30年くらいのあいだ、ずっと続いていたことを知りました。

文部科学省などにも多くのデータがありますけれど、下の畿央大学教育学部の大久保賢一准教授の twtrland のグラフがわかりやすいかと思います。

文部科学省の資料の特別支援学校数と在籍児童生徒数をグラフ化したもの
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2007年のところで一端、切れているのは、その年に「学校教育法」が大きく改訂されたことによってのものだと思います。学校教育法 - Wikipedia によりますと、


2007年には、前年の教育基本法改正を受けて、大きな改正があった。小学校と中学校などについて、義務教育を行う学校との位置づけが明示され、盲学校・聾学校・養護学校は特別支援学校に一本化された。長らく特殊学級は「75条学級」と呼ばれてきたが、75条ではなくなった。


とあります。

いずれにしましても、特に 1995年以降くらいは、上のグラフで緑で示される知的障がいを持つ児童生徒の数が、毎年増え続けていて、一度も「前年より低かった年はない」ことがわかります。

もっとわかりやすいグラフとして、下のようなものもありました。

toku-01.jpg
朝日新聞


結果として、今から 20年前くらいまでは、全国で約 5万人ほどの数だった特別支援教育の対象の子どもの数が、2013年には 12万人と倍増、あるいはそれ以上の数となっているのです。

そして、子ども全体の数は、これはグラフを見るまでもないでしょうけれど、1981年頃から一直線に下がり続けています。下は小学生の数ですが、中学生の数の推移もほぼ同じです。

shougaku-20140915.gif

▲ 2014年9月16日の Garbage NEWS より。


上の記事では「半世紀前からほぼ半減した小学生数」という見出しがついていますが、1981年に 1200万人ほどいた小学生が、2014年には 660万人と、文字通り半減しています。

日本のように1億人以上の人口のある国において、たった 30年で、子どもの数が「半分になった」というのは、冷静に考えれば、脅威的なことにも思えます。

そんな異常なほどの少子化の中で、障がいを持つ子どもの数のほうは増え続けているという現実を、私は今回初めて知りました。

大ざっぱに書けば、この 20〜30年のあいだで、「小中学生全体の数は半減」して、「特別支援教育の対象の小中学生は倍増」したということになります。

「なぜ日本はこんなことになっている?」

と、さすがに思わざるを得ない事態に陥っていることに初めて気づき、ショックを受けた次第です。

いや、「日本」と書きましたが、アメリカでも、子どもに関して大変な状況になっていることが以前から知られています。

下のグラフは、アメリカ疾病予防管理センター( CDC )による 2010年までの、アメリカの自閉症の子どもの率の推移の統計グラフです。

aut-us-2009.gif
What is Causing the Increase in Autism Prevalence?


1975年には、アメリカの自閉症の子どもの数は、子どもの総数の「 5000分の 1」の率だったものが、2009年には、「 100人に 1人」となっていて、約 50倍の増加を示しています。

アメリカの場合も 1990年代中盤くらいから急激に上昇しているような感じを受けます。

アメリカの子ども(14歳より下)の人口は、アメリカ国勢調査のグラフから見ますと、大ざっぱに約 3000万人くらいのようです。

そのうちの 100人に 1人。

実数としても、かなりのものになりそうです。

日本にしても、アメリカにしても、このようなことになっている原因は様々に言われてはいても、どの原因だとしても、グラフの上昇の度合いがあまりに急激であることと、何より、今後を考える上のこととして、日本もアメリカも「率が減る気配がない」ことは重いと感じます。




高齢者の中の介護人口も

グラフといえば、日本では「少子高齢化」という言葉がよく使われますけれど、日本の「高齢化」という言葉に含まれる人々の中には、元気のいい高齢者もいらっしゃれば、病気、あるいは、「介護される高齢の方」もいらっしゃるわけですけれど、こちらのグラフも上のいくつかのグラフ同様に、「急激に上昇」しています。

下のグラフは、「介護が必要な人は 10年間で倍増。要介護認定者数の推移」という記事にあるグラフです。

kaigo-2012.gif


ぱっと見ると、緩やかな曲線に見えますが、介護が必要な高齢者は「過去 12年間で約 300万人も増えている」のです。そして、この介護が必要な高齢者の方々の数も「今後、減るということはまず考えられない」ということがいえると思われます。

現在、約 550万人いらっしゃる介護の必要な方々には、やはり、同じ程度の人数の「介護する人」が必要で、つまり、「介護される側と、介護に携わる人」の数だけで、1千万人単位に近い数の人々が、そのために日々の時間と行動を費やしている・・・という社会。

この問題については、「これからどうなるんだ、この問題は」と私はいつも思いますが、どなたでもそのように思っているのではないでしょうかね。

しかし、解決策が見当たるとも思えず。

ちなみに、この「高齢の問題」に関しても、アメリカはものすごいグラフを描きます。

理由はわからないですが、アメリカは、とにかくアルツハイマーが多いのです。

神経系疾患(アルツハイマー病など)による死亡者の推移と国際比較
compare-alz.gif
アルツハイマー病 知識が欠落していく病気

上はアメリカ人の男性のデータですが、女性もほぼ同じです。

また、上は死亡数で、患者数となりますと、認知症・アルツハイマー病の基礎知識というページによりますと、アメリカのアルツハイマー病患者は 500万人いるとのことで、アメリカの死亡原因の第6位となっています。

日本では、こちらのサイトによりますと、推定 100万人。

どちらの国でもすさまじい数ですが、人口比からは、アメリカが突出して多い感じはします。


しかし、他の国はともかくとして、日本。


高齢者の問題も重いですが、子どもたちに何が起きているのかということは、本当に思いますね。

どうして、こんなことになっているのかと。

まあ、原因は私が考えたところでわかるはずもないですけれど、それでも、人口の純増が続いているアメリカは、まだ先のことを考える余裕もあるのかもしれないですけれど、日本はどうなんですかね。

「なんか積んでるのでは……」

という言葉が何となく脳内でリフレインしたり。




日本が持つ最高位と最下位

ちなみに、WHO が 2012年に 191カ国で統計した「子供(15歳以下)高齢者(60歳以上)の人口の割合ランキング・国別順位」というデータがあります。

これは、

・国の人口に対しての子どもの比率
・国の人口に対しての高齢者の比率
・年齢の中央値(高いほど少子高齢化ということ)


の3つの項目についてのランキングなのですが、これは日本は見事です。
1位と 191位(最下位)しかないからです。

まず、60歳以上の高齢者の人口の比率。

over-60.gif
(単位は%)

単独の1位です。

そして、年齢の中央値。
高ければ高いほど、その国が高齢化していることを示します。

age-japan.gif
(単位は%)

こちらも、単独の1位です。

そして、上のデータによって、日本が「世界最高の高齢者国家」であることが、あらためて確認されます。

次に、15歳以下の子どもの数。

under-15.gif
(単位は%)

こちらは、ドイツ、カタールと並んで、191カ国中の 191位の最下位。

いつのまにか、日本はこんなすさまじい年齢構成の国家となっていのです。

ちなみに、上位にはアフリカ諸国が多いのですが、これは「子どもが多くて健全」ということではなく、「大人の多くがエイズで死んでしまうから」だと思われます。

それにしても、高齢化は東アジア諸国の方が圧倒的に深刻かと思っていましたけれど、ランキングを見ると、60歳以上の比率が多い国は、上から、

日本
イタリア
サンマリノ
ドイツ
フィンランド
スウェーデン
ブルガリア
ギリシャ
ポルトガル
オーストリア
ベルギー


と、軒並みヨーロッパの国で、その他のヨーロッパ諸国も、ほとんど上位にあります。

そして、「子どもの率が少ない国」も、日本の上にはヨーロッパの国々が並んでいて、どうやら、あまり私たちが知らないだけで、ヨーロッパの少子高齢化も実は結構深刻なことになっているのかもしれません。

まあしかし、他の国の心配はともかく、日本は本当にどうなっちゃうんだろうかと。

そして、最初に書きました特別支援の児童生徒のことなどを含めて、やはり、「どうしてこんなことになってしまったのだろう?」と、昨日はしばらく考えていました。

現世人類の歴史が 16万年くらいだとすると、その間に現在みたいな状態は多分なかったはずで、まさに現代社会は、現世人類にとっても「未知の領域」といえる時代なのかもしれません。



  

2015年01月27日



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new-island-tonga3.jpg

▲ 2015年1月17日の THE WATCHERS より、トンガ沖に作られた新しい島の光景。この記事の内容は、きたるべき地球のかたちの記事「トンガの海底火山「フンガ・ハーパイ」の噴火によって「新しい島」が形成されていることが判明」にあります。






 



さまざまな場所で起きる海底の目覚め

今年 2015年は、トンガ沖の海底火山の噴火を含めたことなどを書きました、

全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日:トンガの海底火山フンガ・ハーパイと、イタリアのエトナ島の大噴火で終えた2014年
 2015年01月01日

という記事から始まりました。

そのトンガ沖なんですが、海底火山「フンガ・トンガ-フンガ・ハーパイ」の噴火によって、冒頭のように「新しい島」が作られていることを、こちらの記事の後半で少しふれたのですが、最近、詳細な衛星写真が公開されまして、それによって、「極めて急速に島が拡大している」ことがわかりました。

なお、撮影したのは、フランス国立宇宙研究センター ( CNES ) の地球観測衛星プレアデスです。

下の写真は、トンガ沖のフンガ・トンガ島とフンガ・ハーパイ島というふたつの島の周囲の 2014年7月2日の様子と、2015年1月19日の様子を比較したものです。

tonga-2014-07.gif


tonga-2015-01.gif
Airbus Defence and Space

最近できたばかりの新しい島が、あっという間に、もともとあった2つの小さな島の面積を超えていることがおわかりかと思います。

この新しい島の大体の面積は、トンガ土地・天然資源省の下の地図に示された面積などから見て、直径2キロくらいはあるかと思われます。

Tonga-eruption-03.gif
・Lands, Survey and Natural Resources Ministry


ちなみに、この海底火山が、どうして「フンガ・トンガ-フンガ・ハーパイ」( Hunga Tonga - Hunga Ha'apai )などという長い名前なのかというと、上のように、そこにある島の名前からつけられているようです。

ちなみに、この海域には「 30以上」の数の海底火山があることがわかっています。

それにしても、2013年の11月に噴火した日本の西之島などに比べても、拡大のスピードがものすごいです。

噴火が始まったことが確認されたのが、昨年の12月の下旬のことですので、非常に早く、あるいは「唐突に」新しい島の面積が拡大していることがわかります。

面積だけではなく、海底から隆起してきているわけですから、その体積の増加ぶりもすさまじい速度を持つ勢いだと思われます。

また、トンガのニュージーランド高等弁務官事務所のスタッフが、今年 1月14日に、新しい島の様子を撮影しています。

トンガ沖の新しい島の噴火の様子



地球環境観測サイト THE WATHERS には、トンガ土地・天然資源省の副長官の言葉が載せられていますが、

「フンガ・トンガ島とフンガ・ハーパイ島の木の葉は枯れた。おそらく、火山灰と火山ガスによるものだろう」

と述べています。

周辺には酸性雨も降り続けているのだそう。




そして西之島は

先ほどもふれました日本の西之島の現在ですが、こちらも、当初予測したスピードほどではないですが、着実に拡大しています。

2013年11月から2015年11月までの西之島の拡大の様子

nishinoshima-2015.gif
産経新聞。撮影は海上保安庁

2013年11月の新しい島の出現から4ヶ月後には「 70倍」に成長しましたので、そのペースのまま拡大を続けた場合の島の面積については、

イエローストーンについての奇妙な報道、西之島を侵略する新島、そして異常な回数の地震・・・。あちこちから伝わってくる「カタストロフ的」な気配
 2014年03月27日

という記事に書きましたが、今頃は下のようになっていたらすごいなあと思っていました(苦笑)。

new-japan-2015.gif


あるいは、来年あたりには、

pangea.jpg
Ancient Earth

だとか。

まあ、冗談はともかく、実際には、新しい島と西之島が「合併」してからの、先ほどの写真では 2014年2月の頃からは「約8倍」に拡大しているそうです。

西之島「新島」出現1年 面積は8・6倍、体積は400倍超 専門家「数百年残るのでは」
産経新聞 2014.11.19

小笠原諸島の西之島付近の海底火山が噴火し、新島が出現してから20日で1年。新島は西之島と合体した後も拡大を続け、最新の観測によると、面積は元の島の8・6倍、体積は400倍超となっている。専門家は今後さらに面積が膨らむ可能性を指摘している。

上の記事で、東京工業大の野上健治教授は、

「1年間にわたり大量の溶岩を出し続けているのは非常に特異。面積はさらに2〜3倍になり、数百年は島として残るのではないか」

と述べていて、この西之島の噴火の「異常性」を語っています。




新しい「超大陸」は出現するか

2013年の記事、

パキスタンの新しい島を見て、最近の海底の異変の場所を思い返してみました
 2013年09月26日

の中で、2010年〜2013年までに In Deep で取り上げた海底に関係する異変の場所について、地図の上で示したことがあります。

absea.gif


上には、パキスタンの新しい( 2013年9月)や、消滅したかもしれないサンディ島という島のことなどの過去で記事して取り上げた場所を示したいます。

その後、西之島や、トンガの新しい島などが関わってくることになります。

上の地図に、「2013年2月に『失われた大陸』と発表された場所」という項目がありますが、これは、

アトランティスの伝説に結びつく「失われた大陸」をアフリカ沖のインド洋海底に発見したと国際科学者チームが発表
 2013年02月25日

という記事でご紹介したもので、

ノルウェー、南アフリカ、ドイツ、英国の科学者から構成される国際研究チームがアフリカ沖のインド洋上の海底の大陸棚に失われた大陸の痕跡を発見した。

というニュースをご紹介したものです。

その大陸があった可能性があると研究チームが発表した場所については、記事の文章から推測すると、下のようになります。

continental-map-01.gif


ところで、上の記事では「アトランティス」ということにふれています。

アトランティス - Wikipedia

アトランティスは、古代ギリシアの哲学者プラトンが著書『ティマイオス』及び『クリティアス』の中で記述した、大陸と呼べるほどの大きさを持った島と、そこに繁栄した王国のことである。強大な軍事力を背景に世界の覇権を握ろうとしたものの、ゼウスの怒りに触れて海中に沈められたとされている。

atrantis-2.gif

▲ 大西洋の中央にアトランティスが描かれたアタナシウス・キルヒャーによる地図。南が上のため、右側がアメリカ、左側がアフリカである。1699年 アムステルダムで出版

こういうような概念が、実際なのかどうかということについては、想像だけで確信しても意味があるとも思えませんし、

今、生きている世界の中で、こういうようなことを想像させる出来事が起きるかどうか

ということに依存している面があると思います。

理論や想像だけでは、どうしても、そこで終わってしまうもののような気もしまして、「現実で起きること」は、やはり重要だと思います。

古代の超大陸といえば、先日、松果体のことについて書きました、

日月神示の「額で見る」の意味 : 生物学的に「目と松果体」は細胞レベルで元は同じものであり、語義通りの「第3の目」であることを知った日
 2015年01月22日

という記事の中で、シュタイナーが松果体について、


松果体は、地上の人間の最初の感覚器官であり、レムリア時代には、熱を知覚する器官であり、受精器官であった。レムリア時代には照明器官でもあり、一眼巨人の伝説の元にもなった。

アトランティス時代にエーテル体頭部にあった知覚の中心点が、今では松果体であり、これが発展すると人類は霊視力を取り戻す。


というようなことを述べていたことを書きましたが、

「アトランティス」

と共に、

「レムリア」

という言葉が出てきます。

この「レムリア」という超大陸という概念が存在しまして、ここには大きくわけて、

・生物学上でのレムリア大陸
・神秘学の上でのレムリア大陸


の2つの概念があります。

レムリア - Wikipedia によりますと、生物学上でのレムリア大陸は、イギリスの動物学者が、アフリカのマダガスカル島や東南アジアでの生物種の分布の説明がつかないことから、5000万年以上前のインド洋に巨大な大陸が存在したのではないかとする説です。

さて、一方、神秘学のほうは、説明をそのまま抜粋します。

レムリア大陸説は、神智学協会創設者の1人、ブラヴァツキー夫人によって1888年に刊行された著書『シークレット・ドクトリン』において登場した。レムリアは大陸であり、大陸が存在した位置はインド洋ではなく太平洋にあると発表し、神秘学者達の間では高い支持を得た。

また、レムリア大陸における文明が地球上の他の文明より盛んであった時代は、第3根本人種、レムリア時代などと呼ばれるなどと述べた。

天帝サナト・クマラが金星より、地球における神(ロゴス)の反映になる任を司るために、1850万年前に「大いなる犠牲」としてエーテル界に顕現されたのが、このレムリア時代であると主張した。サナト・クマラが地球に顕現された事により、動物人間の状態であった人類は、本当の意味での魂のための器として完成し、この時代に、肉体とエーテル体は完全に結び付いた、などと主張した。


とあります。

上に出て来るサナト・クマラというのは、もともとは、ヒンドゥー教の神話に登場する賢人ですが、ブラヴァツキー夫人が言うのは、

「 1850万年前に金星からやって来て、人類の進化を促した存在」

のようなもののようです。

完全に理解することは困難ですが、まあ、たとえば私などに、シュタイナーやブラヴァツキー夫人を正確に理解することは難しいことですので、わからないことはわからないことでいいのだと思います。

理解なしには、肯定も否定もできないですが、それもまたいいのだと思っています。

神秘主義のほうでのレムリアの場所については、曖昧であることを前提としまして、下のような説があります。

lemuria-map2.gif
LEMURIA

でかいですが、日本の隣国ですね。

ちなみに、Wikipedia には、続けて下の記述もあります。


レムリアは、現在においては、オカルトおよびニューエイジ界に幅広く影響を与えており、プレアデス星団の人々との関わりや、レムリア人の現代への転生、レムリア人が水晶として転生した「レムリアン・クリスタル」等が信じられている。


今回、トンガの新しい島の詳細な衛星写真を撮影した衛星の名前が「プレアデス( Pleiades )」だったということなども含めて、この神秘学でのレムリアのことを思い出した次第です。

今後も海で何かが起きていくことは間違いないような確信はありますが、それが「超大陸」のようなことと関係してくるのかどうかはわからないです。

それを教えてくれるのは現実の現象だけなのだと思います。



  

2015年01月24日



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▲ 『エコノミスト - 2015 世界はこうなる』日本語版の表紙より。






 



サウジの地獄と中東のカオス

少し前の記事の、

満開する軍事カオス:サウジアラビアの大雪報道から辿り着いたタイ軍による「子どもたちへの武器開放日」。そして世界的「扇動」の始まりの予兆
 2015年01月12日

と、その後に書きました「ハッシュタグは「私は雪だるま」…」などで、サウジアラビアでの大雪のことについてふれると同時に、サウジアラビアのアブドラ国王のことを取り上げまして、国王の正式なお名前が、

アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウード

という、普通の日本人では何年くらいで覚えられるかどうかというような大変に長いご本名であることを知ったりしたのですが、初めてこのブログでアブドラ国王にご登場いただたばかりなのに、昨日、ご逝去されてしまいました(ロイター)。

1923年前後の生まれらしいですので、90歳を越えていたんですね。

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▲ 2015年1月23日の中東カタールのアルジャジーラより。


先日の「雪だるま」の件あたりまでは、サウジアラビアに興味を持ったことがなかったのですが、アブドラ国王は、周辺国だけではなく影響力のある人だったようで、ウォールストリート・ジャーナルには、「サウジと米国の関係、アブドラ国王死去で一層不透明に」というようなタイトルの記事がありまして、全体の内容はタイトルの通りですが、このウォールストリート・ジャーナルの記事の中の、

アブドラ国王は就任当初こそ改革派で、どちらかといえば親米寄りと見なされていたが、徐々に国内では抑圧的な姿勢を強め、米国からも離れていった。最近ではイスラム教を侮辱したとして有罪判決を受けたブロガーにむち打ち1000回の刑を言い渡したことで、米国務省を含む西側諸国から激しい非難を浴びた。

という記述が目に止まりました。

> むち打ち1000回

これはひどい。

CNN の「活動家にむち打ち刑50回を執行、残り950回 サウジ」という報道によりますと、このブロガーはライフ・バダウィさんという男性で、

2008年に逮捕され、昨年むち打ち1000回の刑を言い渡された。むち打ちは50回ずつ、20回に分けて執行される。その初回が9日、サウジ西部ジッダで公開された。

とありますが、全部で 1000回というのもすごいですが、「 1度に 50回のむち打ち」なんて、聞いたことないです。

使用するむちの種類にもよりますでしょうけれど、むち打ち刑のダメージというのが「ものすごい」ものだということが、最近知られてきていて、たとえば、実際にどんなものかというのは、現在、むち打ち刑が存在しているシンガポールの例が、シンガポールの鞭打ち刑、執行というページに書かれてありますが、シンガポールの場合は、最高刑でも「むち打ち 12回」です。要するに、そのあたりが「生命的な限度」だと考えていいと思います。

そんなシンガポールでも、むち打ちを受けた受刑者は、

受刑者は1週間は寝たきりになるそうだ。
そして、痛みは1ヶ月経っても抜けないのだという。

ということになるのですから、1日 50回のむち打ちで、しかも、今後も期間は開けるとしても、何度も行われるのだとすると、これは生存に関わるもの……というより「緩慢な死刑」という感じがします。

他の例として、カリフォルニア大学元教授であり医学博士であるアレクサンダ−・メテレルという方が、「イエス・キリストが十字架にかけられた際の苦しみ」について、医学的見地から聖書の記述を述べたものを翻訳したものだと思われる「キリストが十字架で受けた痛みとは」という記事には、以下のように書かれてあります。

ロ−マの鞭打ちは、特にその残酷さで有名でした。打つ回数は39回が普通ですが、処刑担当兵士の気分によってはそれ以上になることも日常茶飯事でした。(略)

この鞭打ち刑を研究した医者がいます。その医者によると、鞭打ちが続くと、裂傷が皮膚の下にある骨格筋にまで到達し、裂傷を受けて紐状になった筋肉が震えてくるのだそうです。

エウセビオスという三世紀の歴史家は、この鞭打ちの様子を、『鞭打たれた者の血管がむき出しになり、筋肉、腱、内臓までもが飛び出しかねない』 と表現しています。ですから、十字架にかかる前に、この鞭打ちで死んでしまう人もたくさんいました。

とのことで、むち打ち刑の苦痛の凄まじさは、以前から多少は知ってはいましたけれど、このサウジアラビアのブロガーへの判決の回数は明らかに常軌を逸しています。

最近のサウジアラビアでは下のような出来事もありました。

サウジで斬首刑に処せられたミャンマー人女性、死の間際まで無実訴え
AFP 2015.01.18

イスラム教の聖地であるサウジアラビアのメッカで今週、幼い継娘を暴行し殺害した罪に問われたミャンマー人女性が、路上で斬首刑に処せられた。17日にインターネットに投稿された動画では、女性が刑執行の数秒前にも無実を訴え続けている様子が明らかになっている。

インターネットの動画ニュースサイト「ライブリーク」に掲載された動画で、バシムさんは数人の警官に取り囲まれた状態で路上でひざまずいているとみられる。

黒い布で覆われたバシムさんは「わたしは殺していない。神のほかに神はいない。わたしは殺していない」と叫び、「禁止」を意味する「ハラム」という言葉を繰り返した後、「殺人は犯していない。わたしはあなた方を許さない。これは不当な仕打ちだ」とアラビア語で訴えている。

というようなこともありました。

事件の流れを見ても、この女性が犯人である可能性はほとんどないように見えます。

何というか「地獄の渦中のサウジアラビア」という側面を見ている感じもしまして、そのような中でアブドラ国王は亡くなったわけですが、このような出来事の中で、サウジアラビアでは「雪だるまの是非」で、国民と宗教指導者が対立していたりするわけで、「対立する軸が何か違うような・・・」と、いろいろと考えさせられるところであります。


そして、中東では、イエメンの政権が崩壊して、そして、どんなことになる可能性があるかといいますと、下のような可能性があります。CNN の報道ですが、アメリカなどでは「イスラム国」という名称を認めていないようで、今でも ISIS を使っていますので、それに従います。

ISIS、アルカイダ系がイエメンで勢力争い 武装衝突も
CNN 2015.01.22

isis-syria.jpg中東イエメンの政府当局者は22日までに、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がイエメン内で新たな構成員の勧誘を加速し、南部や中央部の少なくとも3州で地歩を固めていることを明らかにした。

同当局者はCNNの取材に、イエメンに本拠を構える国際テロ組織「アラビア半島のアルカイダ」とISISの勢力争いが現実のものになっていると指摘した。

東部の複数の州では先月、両組織間の銃撃戦も発生したという。

また、イラクでは「クルド人部隊 vs イスラム国」の戦いも激しくなっています。

クルド部隊「イスラム国」要衝奪還…イラク北部
読売新聞 2015.01.22

イラク北部のクルド人部隊は21日、イスラム過激派組織「イスラム国」の実効支配下にある主要都市モスルの近郊で、イスラム国に対する大規模な地上攻撃を行った。これにより、モスル西方約40キロ・メートルにある交通の要衝少なくとも1か所を制圧した。

中東は、もう、どこでもここでも戦争やらクーデターの連続ですよ。

地図で中東の位置関係などを見ますと、下のようになります。

midwest-2015.gif


イスラム国の支配地域に関しては、イスラーム国 - Wikipedia の 2014年 11月2日現在の勢力分布地を参考にしてアバウトに囲んだものです。

アラブ首長国連邦( UAE )の「観測史上初めて平地で雪が降った」というのは、紛争とは関係ないですが、珍しいといえば珍しいことなので、一応加えてみました。

詳しいことは、

アブダビの雪 : 平地で雪の降ったことのないアラブ首長国連邦で雪とひょう
 来たるべき地球のかたち 2015年01月21日

をご参照下さい。

uae-snow-top.gif
Masala


中東の「イスラムの国々」がとても荒れてきている、あるいは、今後さらに荒れる要素を含んでいるわけですけれど、このあたりで、ふと、

「第三次世界大戦が侮辱画から始まるとは誰が想像しえたか」
 2015年01月14日

の中に書きました、アメリカ南北戦争時の南部連合将軍であり、当時のフリーメーソンの最高位である 33位のアルバート・パイクが、1871年に手紙に書いたとされる、

第三次世界大戦は、政治的シオニストとイスラム世界の指導者たちとの間で、「エージェント」と「イルミナティ」によって引き起こされる両者の意見の相違を利用することによって助長されなければならない。

戦争はイスラム(アラビア世界のムスリム)と、政治的シオニズム(イスラエル)が相互に破壊し合うような方法で行われなければならない。

という手紙の始まりを思い出します。

先ほどの中東の地図に、あえて北緯 33度線を重ねたのは、アルバート・パイクの胸に輝く「 33 」の数字を思い出したからです。

33-pike.jpg
・アルバート・パイク。Wikipedia より。

北緯 33度線については、ここではふれませんが、過去記事で頻繁に出てくる概念でもあります。

フリーメイソンと高知に導かれて Google Earth 上で北緯 33度の旅をする
 2012年08月29日

という記事から始まり、キーワード「北緯 33度線」で検索される過去記事一覧は、こちらにあります。

ちにみに、中東地域の北緯 33度の陸地部分の最後、つまり海へ「飛び出す位置」は、エルサレムとベイルートの中間です。

33-reb.gif


ところで、最初から、やや混沌として始まっている 2015年ですが、最近、この「 2015年」について、話題となっている雑誌の「表紙」があります。




恐怖の支配の崩壊は一体いつなされるのか

イギリスの週刊新聞に『エコノミスト』というのがあります。
日本の毎日新聞社の経済誌「エコノミスト」とは関係ないです。

この英国エコノミストは、毎年、「世界はこうなる」という雑誌を前年に出版するのですが、『2015 世界はこうなる』( The World in 2015 )の表紙が話題となっていたりします。

その表紙は下のものです。

これは日本語版ですが、各国語版共通です。

economist-2015-2.jpg


世界の指導者がずらりと並んでいます。

先日の記事、「フランスのデモ行進で、各国首脳は市民とは交わらず「安全な別の場所で映像を撮影して編集」していたことが露呈」を彷彿とさせる光景です。

写真中央には、エチオピアの国民的英雄であり、東京オリンピックでも金メダルを獲得した伝説のマラソンランナーの……あ、違う。

まあ、ひとりひとりはともかく、かなり雑然と世界の指導者たちや、あるいは正体不明の人物たちがコラージュされているのですが、話題のひとつとしては、安倍総理の姿がないのですね。

主要国の指導者で載っていないのは安倍総理くらいだと思われます。

写真では、最前面には左から、ロシアのプーチン大統領、ドイツのメルケル首相、アメリカのオバマ大統領、中国の習近平国家主席、右端はインドのモディ首相だと思います。

なぜ、安倍首相が載っていないのか、というのは、編集者にしかわからないですが、しかし、そのことよりも、この周囲に様々に配置されていることが話題となっていたりするのです。

ピックアップすればキリがないのですが、下のようなことが話題となっています。

economist-2015-point.jpg


冒頭に貼りました「核爆発をイメージさせる写真」は表紙の右の中段あたりにあります。

これらの解釈は人それぞれでしょうし、解説ができるようなものではないですが、この表紙が最近話題になっているのです。まあ、営業的な意味もありそうですが。

上で、「力士」と書いているのは、見えにくいかもしれないですが、下のようになっています。

china-panda-sumo.jpg


中国の国旗デザインのパンツをはいた「マッチョ・パンダ」の横に電池のようなものを持った「小さな力士」がいます。

また、「パニックの文字」の部分は拡大すると、下のようになっていて、パニックの文字の下には「 FEDERAL RESERVE 」(連邦準備)とあり、その横に「 CHI 」とあります。

panic-frb.jpg

CHI は、中国の CHINA を連想しそうですが、辞書を見てみますと、CHI から始まる英単語は、チキンとかシカゴとか数多くあり、2単語以上も入れれば、「米国海軍最高責任者」( Chief of Naval Operations )なんてのもあり、 CHI だけでは、何かうかがうことは難しそうです。

ちなみに、辞書には「 CHI 」だけの意味も出てています。
ギリシャ語のアルファベットをあらわすようです。

chi
[名]キー,カイ(Χ, χ):ギリシャ語アルファベットの第22字

とのこと。

ギリシャとパニックという言葉の組み合わせは何だかとてもしっくりときます。

いろいろと読者に想像させるという意味では遊び心のある表紙ですが、ここに何か含まれた意味があるかどうかは、見た人それぞれの考え方だと思います。

ちなみに、昨年の『2014 世界はこうなる』の表紙は下です。

world-2014.jpg


ここでは、安倍首相は小さめながらも中央に写真があります。

この『2014 世界はこうなる』の表紙を見て、昨年の 2014年に起きたことと何らかの類似性が見られるのなら、表紙に暗示性もあるのかもしれないですが、私はあまりわかりませんでした。

ただ、左から5コマ目の下段から2コマにあるのは、「イスラム過激派が旗などに使用するタイプのデザイン」と似ています。

さらに遡りまして、『2013 世界はこうなる』の表紙は下です。

win2013.jpg


こちらは世界の指導者は数人しか出ていません。

アメリカのオバマ大統領は見当たらず、そのかわりアメリカ国旗のデザインの椅子があります。
日本からは政治家ではなく、かわりに芸妓さんが出ていますね。

ここで、赤ちゃんが地球儀を指でどこか押そうとしていますが、その場所が中東あたりにかけてのようにも見えます。

mid-2013.jpg


しかし、2013年と 2014年の『世界はどうなる』と比較すると、今年の 2015年の表紙は確かに異常なほど細かくコラージュされているとは思います。冒頭に貼った写真のようなことは勘弁してほしいですが、それを勘弁しないような人たちもいるのかもしれないですし。


いずれにしても、現時点で 2015年は荒れていますが、そのことは別として、

「もう1月の下旬なんだっけ」

ということに気づき驚いたりします。

お正月がほんの数日前のような。
いや、昨年の1月もほんの少し前のような。

気づいてみれば、ものすごい速度で毎日進んでいる感覚がします。

2013年の過去記事で、

2013年夏:カオスに突入するかもしれない世界を前に
 2013年06月18日

という記事で、ウェブボットの 2009年の「予測」を抜粋したことがありました。

それは 2009年の予測でしたので、もう遠い昔には「外れて」いるものですが、それを前提にして再度書きますと、ウェブボットは、近い将来に、「変容」をキーワードとしながら、世界と地球環境には、

「海洋の異常」
「社会崩壊」
「経済危機」
「食糧危機」
「政治危機」
「内部告発者」
「統制の崩壊」
「恐怖による支配の崩壊」
「宇宙からの未知のエネルギー」
「エイリアンテクノロジーを持ち出す2人の男」
「太陽の病気」
「太陽の異常が人間に及ぼす影響」
「通貨の喪失」
「戦争の脅威」


などが起きるとしていました。

「エイリアンテクノロジーを持ち出す2人の男」などは難解ですが、私が最も希望しているのは、「恐怖による支配の崩壊」だったりいたします。

しかし、今回は中東の話から始まりましたけれど、世界のどこを見ましても、この「恐怖による支配」は、まだ崩壊の兆しを見せてはいないです。



  

2015年01月22日



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Shiva.jpg
Wikipedia






 


「額の目で見る」という意味

今回は昨日の記事、

動物の大量死のリンクから思う現在の「異常の真実」から改めて松果体の意味を考えている時に…
 2015年01月21日

の補足的なものとなりそうなんですが、上の記事で、ルドルフ・シュタイナーが「松果体」について、どのような考えを持っていたかを『シュタイナー用語辞典』という著作から抜粋として記しました。

それによりますと、シュタイナーは、松果体について、

地上の人間の最初の感覚器官。レムリア時代には、熱を知覚する器官であり、受精器官であった。レムリア時代には照明器官でもあり、一眼巨人の伝説の元にもなった。

アトランティス時代に、エーテル体頭部にあった知覚の中心点が、今では松果腺であり、これが発展すると人類は霊視力を取り戻す。

松果腺は目の平行器官として発達し、目が作るイメージに現実性を与える。

と考えていて、「目と松果体は平行器官」、つまり、目も松果体もどちらも「見る」器官ではあるけれども、「実体」を見ているのは目ではなく、松果体だと解釈できるようなことを書いています。

その後、お知り合いから、日月神示の中にも、何度も何度も繰り返し、「額の目」という言葉が出て来ることを教えていただきました。

たとえば、「黄金の巻 第七十三帖」には、

もの見るのは額で見なされ、ピンと来るぞ。
額の判断間違いなし、額の目に誤りなし。

という表現があったり、「夏の巻 第十九帖」には、

額に先ず気集めて、ハラでものごと処理せねばならんぞ。
形ある世界では形の信仰もあるぞ。
偶像崇拝じゃと一方的に偏してはマコトは分からんぞ。

だとか、何度か出てくるようです。

きわめつけは、「地震の巻 第06帖」で、この部分自体かなり長いもので、そこからの抜粋ですが、

各自の眼前に、それ相応な光があり、太陽があり、太陰があり、歓喜がある。それは、霊人たちが目でみるものではなく、額で見、額で感じ、受け入れるのであるが、その場合の額は、身体全体を集約した額である。地上人に於ても、その内的真実のものは額でのみ見得るものであって、目に見え、目にうつるものは、地上的約束下におかれ、映像された第二義的なものである。映像として真実であるが、第一義的真理ではない。

と、ここには、

> 目でみるものではなく、額で見、額で感じ、受け入れる

とあり、さらに、「目に見え、目にうつるものは、第一義的真理ではない」として、日月神示においては、「真理を見るのは目ではなく額」となっていて、これは、シュタイナーの言う、

「松果体が発展すると人類は霊視力を取り戻す」

「松果体は目の平行器官として発達し、目が作るイメージに現実性を与える」


というあたりと非常に概念としては似ているものです。

松果体の位置は下の図が示すように「額と平行で、かつ脳の最も奥深い場所」にあります。

pineal-glands-map.jpg
Nikon | 光と人の物語 | 第3の眼の進化




細胞から見ると、松果体は「眼」になるはずの器官だった

ところで、上の図を拝借したのは、カメラで有名なニコンのサイトなのですが、ニコンのサイトの中には、企業ページだけではなく、「光と人の物語」というコーナーがあり、その中に「第3の眼の進化」というページがあります。

その中に以下のような記述があります。

脳の中の「眼」

カマキリなど昆虫の一部やトカゲの仲間であるカナヘビには、「頭頂眼」と呼ばれる第3の眼を持つものがいる。頭頂眼は他の二つの眼と同じように水晶体や網膜を持つ。像をとらえる機能はないが、光を感じて体温の調整やホルモンバランスの調整を行っていると考えられている。

驚くことに、私たちの遠い祖先も第3の眼を持っていた。

その痕跡は今も私たちの脳の中にある。その器官、「松果体」は脳の中にありながら、細胞レベルでは驚くほど眼、特に網膜の細胞と構造が似ている。

松果体になる細胞がごく若い胚の時期には、レンズ、色素上皮、網膜ニューロンなど、眼をつくる細胞になる可能性(分化能)を持っている。

つまり松果体は眼になる可能性を持ちながら、眼とはまったく別の器官に発達しているのだ。

なんと!

私は今回初めて知りましたが、上にありますように、

松果体は、細胞レベルでは網膜の細胞と構造が非常によく似ている

わけですが、しかし、「松果体は眼になる可能性を持ちながら、眼とはまったく別の器官に発達した」ということで、脳の中の別の器官になったということのようです。

つまり、松果体は、細胞レベルで「基本的には、目と同じもの」だといえるようなのです。

どうして、松果体が眼にならなかったかということがわかってきたのは最近のことのようで、上のニコンのページには、奈良女子大学教授の荒木正介さんという方が、「眼と松果体は、発生の初期には同じ可能性を持ちながら、なぜこれほどまでに異なった形に変化するのか」ということを追求するため、 20年にも及ぶ実験を繰り返したことなども書かれています。

その結果としては、「脳の中という特殊な環境が、眼になることもできる細胞を、眼ではなく松果体にする」ことを明らかにしたとのことです。

また、上の記述で、これも初めて知ったのですが、カマキリなどにある第3の目である「頭頂部」の説明の、

> 頭頂眼は他の二つの眼と同じように水晶体や網膜を持つ

というように、カマキリなどの第3の目は、水晶体や網膜などを持つ「目そのもの」であるようです。

mantis-5.jpg

▲ カマキリの「第3の眼」の頭頂眼は触角の間にあります。


カマキリなどの第3の眼には「像をとらえる機能はない」とありますが、

> 光を感じて体温の調整やホルモンバランスの調整を行っている

というのは、第3の目が、メキシコの眼のない魚の松果体同様に「光を見ている」ことを示している上に、シュタイナーが述べていた「松果体は、レムリア時代には、熱を知覚する器官であった」という部分ともリンクしそうで、昆虫たちも、第3の眼で「光のナビ」を見ているのかもしれません。

この眼と松果体の細胞についての生物学的な特徴がわかったのは最近のことで、少なくとも、シュタイナー(1861年-1925年)が多くの著述をしていた今から 100年ほど前とか、あるいは、岡本天明氏(1897年-1963年)が、日月神示を自動書記したとされる 1944年頃とかに、松果体の細胞の生物学的な見識が彼らにあったとは思えず、この

松果体と目は、ほぼ同一の細胞構成

であることが生物学的にも言えるということは、いわゆるスピリチュアリズムや、神秘学の上でいわれる第3のビール……じゃねえや、「第3の目」の概念にも、かなりの信頼性が出て来るのではないかという気もしないでもないです。

ニコンのページには、以下のような下りがあります。

最近では、ヒトは眼や皮膚だけではなく、多くの種類の細胞で光を感じることがわかってきた。細胞を培養すると、それらは独自にリズムを刻む。それらをまとめて統括するのが松果体や視床下部の役割で、いわば生物時計の司令塔ということができる。第3の眼は、私たちの行動をコントロールしているのだ。

何と私たちは「行動を松果体にコントロールされている」ようです。

そのような「第3の目」について、日月神示では、「額の目」として、

もの見るのは額で見なされ
額の判断間違いなし、額の目に誤りなし。


のように述べていることになるわけですね。

とはいえ、「額の目で見よ」と言われても、具体的にどうすればよいのやら。

そのあたりのことはわからないのですが、松果体の役割を生物学的な意味でも合理性を持つ表現をしたシュタイナーが「高次の世界を認識する具体的な方法論」として記した著『いかにして高次の世界を認識するか』について、過去記事の、

人工 DNA から生命が作られる物質科学の時代に考え直したい 100年前にシュタイナーが唱えた「人類が高次へ移行する方法」
 2014年05月12日

の中で、高次の世界を認識するための、その本に記されているいくつかの条件や特性を書きました。

これらはシュタイナーの言うところでは、世界を「霊的に見る」ことにつながっているとのことですから、「第3の眼」、つまり「額」で見るということと関係することかもしれないですので、記しておきます。

実際に著作を読むと、一朝一夕で何が変わるというものではなく、何年も何十年も、場合によっては「何世代も(転生が存在すると仮定した場合)」続いていくような実践ではあるようで、簡単なことではありません。




神秘学の学徒になるための条件

第一の条件

「あなたの体と霊の健康を促進するように注意を払いなさい」

第二の条件

「自分自身を生命全体の一部分と感じること」

第三の条件

「私の行動だけではなく、私の思考と感情も、同様に世界に対して重要な意味をもっている」と考えることができる境地にまで上昇しなくてはならない」

第四の条件

「人間の真の本質は外見にではなく、内面にある」

第五の条件

「一度自分で決めたことは、確固とした態度で守り通す」

第六の条件

「自分に与えられるすべてのものに対する感謝の感情を育てる」

第七の条件

「つねにこれらの条件が求められるとおりに、人生を理解する」



霊学において高次の認識に上昇するために身につけなければならない四つの特性

第一の特性

「思考において真実と仮象のものを、真理と単なる意見を区別すること」

第二の特性

「仮象のものと向き合ったときに、真に実在するものを正しく評価すること」

第三の特性

「思考の制御、行動の制御、ねばり強さ、寛大さ、信じること、冷静さを実践すること」

第四の特性

「内面的な自由に対する愛」




などです。

どれも、箇条書きにしただけではわかりにくいですが、私に詳しい解説ができる能力があるわけでもなく、そのあたりはシュタイナーの著作をお読みいただければ幸いです。

ただ、お読みいただければおわかりかとも思いますが、神秘学の訓練というのは、おどろおどろしい修行のようなものではなく、

この世の真実とは何かを常に理論的に考え、それに基づき、世の中の真偽を見極め、また自分を見極め、その上で日常生活を大事にして冷静に生活していく日々の考え方と生活の仕方。

というもののようです。

たとえば、「瞑想」という言葉がありますが、眼をつぶって「頭を空」、あるいは「無念無想」したような行為は、シュタイナーに言わせると瞑想ではないようです。

瞑想とは、「論理的に突きつめて真剣に考えること」だと、私は解釈しています。

そういう意味では、「無念無想」というよりは、むしろ、アニメの一休さんのように、「問題の対処を考え続ける」姿が真実の瞑想かもしれません。

まあ、一休さんのモデルなった「本物の一休さん」である一休宗純(いっきゅうそうじゅん)さんは下のような顔だったようですが。

実際の一休さん
ikkyu.jpg
・Wikipedia

しかし、一休さんの Wikipedia のページを初めて読みましたが、漫画とは違って、むしろ「破戒僧」で、「超奇人」の側面の強い人だったようですね。

本物の一休さんが悟りを得たのはこのような感じだったようです。

応永27年(1420年)、ある夜にカラスの鳴き声を聞いて、にわかに大悟する。華叟(師匠)は印可状を与えようとするが、一休は辞退した。華叟は、ばか者と笑いながら送り出したという。以後は詩、狂歌、書画と風狂の生活を送った。

そして、奇行もかなりのものだったようで、

正月に杖の頭にドクロをしつらえ、「ご用心、ご用心」と叫びながら練り歩いた。

など、いろいろなことをしていた模様。

しかも、僧なのに、

釈迦といふ いたづらものが世にいでて おほくの人をまよはすかな
(釈迦といういたずら者が世に出でて、多くの人を迷わすかな)

という詩や、

南無釈迦じゃ 娑婆じゃ地獄じゃ 苦じゃ楽じゃ どうじゃこうじゃと いうが愚かじゃ

というようなアヴァンギャルドな詩を残しているようです。

ちなみに、一休さんの享年は 88歳と長寿でした。

しかも、死因はマラリアだったそうで、この病気にかからなければ、まだまだ生きたのかもしれません。むしろ「怪僧」というおもむきさえある人物だったようです。




なぜ今、「額で見る」ことが必要なのか

話が変な方向に来てしまいましたが、いずれにしましても、こんな時代だからこそ、現代社会では「当然と考えられている様々なこと」について、考え直す時であるようには思うのです。

上にシュタイナーのことを書いていますが、シュタイナーの『我が人生の歩み』という自伝には、以下のような記述があります。

自然科学の時代は、人間および民族の生命に及ぶ影響において凋落を意味している。人類がこれから先も発展していくためには、精神的な側面からのまったく新しい価値観が必要とされるだろう。

これは今から 90年くらい前に書かれたもので、その後の 90年の時代も、この「自然科学の時代」は続いていて、さらに肥大しています。

「自然科学の時代」という書き方ではわかりにくい面もありますが、要は「現在は精神的な時代ではない」ということです。

以前、

最後の法王と呼ばれ続けたベネディクト16世: 聖マラキの予言とコナン・ドイルの未来感の時間軸
 2013年02月13日

という記事に、コナン・ドイルの予言といわれる文章をご紹介したことがあります。

doyle-02.jpg

▲ アーサー・コナン・ドイル(1859年 - 1930年)。


非常に激しい将来を予言したものですが、実際にこの地球がそんな極端なことになるかどうかはともかくとしても、確かに今後いろいろな面において、厳しい状況が出現する可能性は高いと思われます。

そして、そのコナン・ドイルの文章は、

「人類は、自らの精神的な存在に戻ることによってのみ、生き残ることができる」

で締められています。

だからこそ、「真実と真実ではないもの」を見極めることができる第3のビール、じゃない(その間違いはいいかげんにせえ)第3の目、すなわち、額で見るという概念はとても重要になってくる時代だと思います。

アーサー・コナン・ドイルのその文章を再度、掲載しておきます。




A period of natural convulsions during which a large portion of the human race will perish - Sir Arthur Conan Doyle

人類の大部分が滅びる間の自然の激動の期間

人類の大部分が滅びる間の自然の激動の期間。
ひどい規模の巨大地震、そして巨大な津波が発生すると思われる。
戦争はその期間の初期の段階でのみ現れるが、これが危機の信号となるように思われる。
危機は瞬間的に訪れるだろう。
文明生活の破壊と転位は信じられないほどのものとなる。
多少の復興が続く中、短い混沌の期間があるだろう。
この激動の合計期間は概ね3年となる。
激動の中心地は地中海の東部沿岸となるだろう。
少なくとも、5つ以上の国家が完全に消滅してしまうだろう。
また、大西洋上に巨大な大陸が浮上し、アメリカとアイルランド、そして西ヨーロッパの沿岸に大きな災害を招くだろう。この際、イギリスの低地はすべて波に飲み込まれると思われる。
南太平洋でも非常に大きな変動があり、日本に近い太平洋でも大きな変動がある。
人類は、自らの精神的な存在に戻ることによってのみ、生き残ることができる。





(訳者注)ちなみに、「南太平洋でも非常に大きな変動があり」とありますが、南太平洋のトンガ沖にある海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイの噴火域に「新しい島」が出現しています。

tonga-hunga-island.gif

▲ 2015年1月17日のきたるべき地球の形 トンガの海底火山「フンガ・ハーパイ」の噴火によって「新しい島」が形成されていることが判明 より。


詳しくは上の記事をご参照いただくと幸いですが、日本の西之島も拡大を続けていて、ちょっと近年見られていないような「海と噴火が連動しての大変動」が続いていて、こちらも多少気になります。



  

2015年01月21日



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alien-radio-signal.gif

▲ 2015年1月20日の英国テレグラフより。発生源は「55億光年先」と推測されるものの、それが何かは不明のままです。






 


ふたたび大量死の世界的なリンクが発生しそうな予感の中

最近、私の住むあたりでは、「カラスの大量死」なんてのが起きているんですね。

天変地異の前触れなのか 埼玉カラス大量死の不気味
日刊ゲンダイ 2015.01.10

埼玉県で昨年12月30日から今月6日までにカラス111羽の死骸が見つかり、騒ぎになっている。カラスの死骸が見つかったのは入間市、狭山市、所沢市にまたがる半径3キロ内と熊谷市。

県でも「今までにこれほどの数の死骸が見つかったことはなく、何が原因か分からない」(略)

奇妙なのが、カラスの胃の中が空だったことだ。

ここにあります「入間市、狭山市、所沢市」というのは、完全に私の生活圏でして、「身近な大量死の現場」にいるという形となっています。

もっとも、この大量死については、それほどミステリアスな出来事ではないようで、専門家によれば、カラスはそのイメージとは違い、寒さにとても弱い鳥なのだそうで、越冬できないカラスがとても多いのだそう。

とはいえ、気になったのが、

> カラスの胃の中が空だった

の部分です。

つまり、「餓死」だった可能性があるということです。

この何が気になったかといいますと、埼玉のカラスの大量死があったのと同じ頃、アメリカからカナダにかけての北米大陸の西海岸全域で、数万羽のウミドリが、やはり「餓死」が原因の大量死を起こしています。

westcoast-birds.gif

▲ 2015年1月9日のカナダのメディア Global Research より。


これに関しては、

米国オレゴン州の海岸でウミドリが謎の「餓死」での大量死。推定では「数万羽」が死亡
 来たるべき地球のかたち 2015年01月09日

という記事で、科学メディア、パーフェクト・サイエンスの報道をご紹介したことがあります。

そのパーフェクト・サイエンスの記事から部分的に抜粋しますと、以下のようなものでした。

1,200羽の海鳥が海岸に打ち上げられる

現在、カリフォルニア州北部の沿岸からワシントン州北部の沿岸に至る広い範囲で、何千もの死んだ海鳥が打ち上げられている。専門家たちはその原因がわからず困惑している。専門家たちは、この 1,200という数は氷山の一角に過ぎないとし、実際の死亡数は、数万以上に上ると考えているという。

打ち上げられている海鳥の多くは、アメリカウミスズメという小型の海鳥だ。オレゴン州魚類野生生物局の生物学者の報告では、これらのアメリカウミスズメはの大半は「飢餓」が原因で死亡していることがわかっている。

科学者たちは、原因を見出そうとしているが、現在のところは明確な理由はわかっていない。

原因はわからないながらも、これらのウミドリも、ほとんどすべてが「胃が空」の状態で死亡していて、埼玉のカラスと同様に「餓死」なんですね。

しかし、海には普通にエビやプランクトンなどのエサはあり、また、このアメリカウミスズメ以外では大量死は見られないわけで、「この種だけに何かが起きた」と考えられます。

この大量にエサがある海の上での大量の「餓死」というのは、確かに現象だけ見ればミステリーではありますけれど、「鳥という生き物が何によって行動しているか」ということを考えると、それほど謎でもない可能性もあります。

そのことは後に書くとしまして、最近はとにかく「大量死の時代」が続いています。In Deep の過去記事でも、「大量死」というキーワードで検索しますと、多数の記事が表示されます。

その中でも印象深い記事は、昨年6月の、

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

で記した一連の出来事で、2014年の 4月から 5月にかけての約2ヶ月間に、

アメリカ(カリフォルニア州、ケンタッキー州、ミネソタ州、ニュージャージー州、バーモント州)を始めとして、シンガポール、中国、ギリシャ、アルメニア、インド、カナダ、オーストラリア、北イングランド、イギリス、コロンビア、コスタリカ、ブルガリア、ホンジュラス、アルゼンチン、デンマーク、ブラジル、パナマ、イラン、アイルランド、スリランカ

などの国で魚の大量死が発生しました。

不思議なのは、「その後、大量死は拡大しなかった」ということです。

通常、魚の大量死は、藻などが繁殖することでの海水中の酸素が減少しやすい夏を中心とした頃に多発するものですが、上の「地獄の2ヶ月間」の後は、正確な数はわからないですが、平年と同様の魚の大量死の状況だったように思います。

上の時期だけ、まるで、「世界で大量死がリンクした」かのように、「唐突に世界中で魚が死んだ」ということになります。

魚の大量死といえば、東京の臨海水族園でマグロの大量死が起きていますが、こちらは「全滅」の方向に進んでいるようです。

葛西臨海水族園での大量死、マグロはあと6匹に
TBS 2015.01.19

東京・江戸川区の「都立葛西臨海水族園」で展示しているマグロなどが大量死している問題で、またクロマグロが死に、残るはあと6匹になりました。今月中に全滅する可能性があります。

葛西臨海水族園をめぐってはドーナツ型水槽で展示していたクロマグロのほか、カツオの仲間のスマやハガツオを展示していましたが、去年11月1日時点であわせて159匹だったのが10匹に減少しました。

これらのマグロの一部からウイルスが検出されたそうですが、ウイルスの種類は特定できていないという以上に、そもそも、これまで起きたことがない事態であるわけで、もしかすると、今もまた「世界的な大量死のリンクの始まり」の時期でもあるのかもしれません。




動物たちの「生きるためのナビ」に異変が起きている

鳥にしろ、魚にしろ、「大量死の原因」は不明なままであることも多いですが、イルカやクジラが行き先を誤って座礁してしまったり、渡り鳥が方向性を失って大量死を起こしたり、あるいは、すぐ下の海にエサがあるのに、ウミドリたちが「餓死」を起こしてしまうというあたりには、

通常、彼らの行動のナビとなっている「何か」に異変が起きている

ということが関係しているかもしれません。

最近では、鳥には「磁場を見る」器官があることがわかり、鳥に飛ぶ方向を与えているもののひとつが磁場であることが示唆されています。

2011年2月3日の WIRED の「鳥は量子もつれで磁場を見る」:数学モデルで検証という記事には、

鳥類に限らず、一部の哺乳類や魚類、爬虫類、さらには甲殻類や昆虫も含む多くの生物は、地球の磁場の方向を感知して移動の手がかりとしている。

という記述がありますが、特に、鳥には、クリプトクロムという視覚細胞が存在していることがわかり、これで「磁場を見ている」と考えられるのだそう。

磁場を感じるのではなく「磁場を見ている」。

こういう器官に異変が起きているのか、あるいは磁場のほうに異変が起きているか、そのどちらかはわかりませんが、磁場でナビされている数多くの生き物たちの「奇妙な行動」が増えていることは事実のように思います。

そして、この「見る」ということに関しては「光を見る器官」についての話もあります。




器官としての「松果体」の本当の役割

これは、ずいぶん以前の記事になりますが、クレアなひとときの、

ペアである自分(2) 宇宙の場所
 2011年01月28日

の中で、「メキシコの眼を持たない魚が松果体で光を見ている」という米国メリーランド大学での実験の報道記事を訳したことがあります。

pene-mexico-fish3.jpg
Epoch Times


これは、眼のある魚と、眼を持たない魚を比較研究したもので、結論として、

光を感知するための「目の役割は 10パーセント程度」しかなく、残りの 90パーセントは、「松果体を通して光を感知している」

ことがわかったという論文でした。

光は目を通して見るものだという認識が一般的ですが、少なくとも、このメキシコの魚に関しては、「光の 90パーセントを松果体で見ている」のでした。

これらは「魚」の話ですが、しかし、上の実験とは関係ないですが、その後、米国ロチェスター大学がおこなった実験は「衝撃的な推測」をもたらします。その推測とは、「私たち人間が持つ脳にも目からの光以外の空間認識能力がある」ということです。

端的にいえば、「人間は完全な真っ暗闇でも見えている」ことが実験で示されたのでした。

詳しくは、過去記事の、

ほぼすべての人間が「完全な真っ暗闇の中で物を見ることができる」という米国の大学が突き止めた驚異の事実
 2013年11月01日

で、ニュースリリースを訳していますので、ご参照下されば幸いです。

この実験の結果で、「人間は自らの認識を生み出す際に、別の感覚からの情報を組み合わせている」という可能性が示されたのですが、この「別の感覚」が何なのかはわからないとしても、それでも、私などは、松果体「的」なイメージを持ちます。

私自身は、人間の松果体は、「現在は、松果体を活性化させる能力を失っているだけ」だと考えています。同時に、訓練や、何らかの方法で、松果体を再び活性化させることができるとも考えています。

現在の人間も松果体で光を感じている状態であるのに、その機能が「何かの理由でオフになっている」のだとも考えています。

たとえば、松果体 - Wikipedia には、器官としての松果体の役割と共に、哲学やスピリチュアル思想との関連についても記されています。

それによれば、近世哲学の祖である 17世紀のフランスの哲学者デカルトは、

この世界には物質と精神という根本的に異なる二つの実体があるとし、その両者が松果体を通じて相互作用するとした。デカルトは松果体の研究に時間を費やし、そこを「魂のありか」と呼んだ。

としたり、あるいは、松果体は、

ヨーガにおける6番目のチャクラ、または7番目のチャクラと結び付けられることもある。松果体は眠っている器官であり、目覚めるとテレパシーが使えるようになると信じる人もいる。

という記述もあります。

「チャクラ」という言葉は、サンスクリット語で「光の輪」を意味するという以外、私はよく理解していませんが、上にある6番目のチャクラと7番目のチャクラは下の部分に該当するそうです。

chakra-6-7.gif
中庸からだ研究室

6番目のチャクラは眉間にあり、元素は「光」

7番目のチャクラは頭頂部にあり、元素は「宇宙のエネルギー」

だそう。

6番目のチャクラである眉間は、ヒンドゥー教徒の女性が、眉間にビンディーと呼ばれる装飾を施す場所だったり、あるいは、日本の仏像や大仏には、多くが眉間に何かありますね。昔は千昌夫も(それはまあいい)。

眉間にビンディを施しているインド人女性
bindu.jpg
itimes

鎌倉の大仏
kamakura-daibutsu.jpg
treep.jp

確かに、松果体は、この6番目のチャクラの「眉間」の位置と、7番目のチャクラである「頭頂部」を結んだあたりにあります。

松果体の位置
pineal-glands-map.jpg
Nikon | 光と人の物語 | 第3の眼の進化

ところで、シュタイナーは松果体について、どのように考えていたかというと、シュタイナーの松果腺というページに、『シュタイナー用語辞典』からの抜粋が記されています。

少し長くなりますが、抜粋させていただきます。

(松果体は)地上の人間の最初の感覚器官。レムリア時代には、熱を知覚する器官であり、受精器官であった。レムリア時代には照明器官でもあり、一眼巨人の伝説の元にもなった。

太陽の力に刺激された器官で、月が地球から分離したころは、寒暖を知覚する感覚器官であった。

アトランティス時代に、エーテル体頭部にあった知覚の中心点が、今では松果腺であり、これが発展すると人類は霊視力を取り戻す(幼児の頭の柔らかい部分が、その名残である)。

松果腺は、心臓から流れてくる精妙なエーテルの流れに取り巻かれており、脳に認識の可能性を与えている。松果腺という回り道をして、エーテル化された血液は脳に作用するのである。

松果腺は目の平行器官として発達し、目が作るイメージに現実性を与える(熱器官である松果腺が退化したことによって、目が発達できた)。将来、松果腺は使用された血液を新鮮な血液に変える内的器官になる。死後、心臓は松果腺に変わる。

と記されているのだそうで、これがシュタイナーの松果体に対しての考え方だったようです。

レムリア時代とかアトランティス時代とか、そのあたりのことはちんちんかるがるですが、あ、違った、ちんぷんかんぷんですが、シュタイナーは、松果体の本来の機能について、

・地上の人間の最初の感覚器官
・寒暖を感知する器官
・受精器官
・照明器官(?)
・脳に認識の可能性を与えている
・松果体が発達すると霊能力が高まる
・目が作るイメージに現実性を与える


というようなことを考えていたようです。

「照明器官」というのは意味がよくわからないですが、昔の人類は「自分から光って」いたのでしょうかね。

また、「霊視力」という記述があり、これは何だか大仰な響きですが、そこに同時に「幼児の頭の柔らかい部分が、その名残である」と書いてあります。これは自分の子どもが、まだ幼児期までの頃を思い出すと実感できます。

確かに、子どもは幼児期までは非常に不思議な感覚を持っていることを常に感じていました。

そして、赤ちゃん時代まで遡りますと、「私たち大人と同じ空間にいるけれど、赤ちゃんたちは私たちとはまるで別のものを見ている」という気にさえさせることが多かったことなどを思い出します。

そして、非常に興味深い記述が、松果体の役割として、シュタイナーが述べていたとされる、

「目が作るイメージに現実性を与える」

という表現です。

「目で見えるイメージ」

ではなく、

「目が作るイメージ」

としている。

この表現だと、私たちは現実を見ているわけではなく、自分の目が作り出した何かが「松果体によって現実性を与えられているもの」を見ているというニュアンスにも感じます。

ちょっと人間の松果体の概念について長くなってしまいましたが、昨今の社会の混乱を見ていますと、人間は「本質的」に変化する必要があると、どなたでも感じているのではないでしょうか。

松果体だけではないですが、人間の隠された機能や能力が発露することで、人間はかなり変わることができるように思うのです。

もちろん、ただボーッとしてしているだけで本質的な変化など起きるわけもなく、人間が変化(シュタイナーの言うところの「高次の世界に進む」こと)するためには、生半端ではない思想と生活行動の変化が必要のようではあります。そのために、シュタイナーは、著作で「人間が本質的に変化する方法論」を述べていたのだと思いますが、著作などを読む限り、その方法は決して楽なものではありませんし、危険も伴います。

なので、私などは何となく諦め気味となっていますが、しかし、「いつまでも諦めていていいものか」とも、また思ったりもすることがあります。




そして、地球は大きく動き始め、遠い宇宙からは「謎の電波」が届く

さて、動物の大量死から、何だか変な話に逸れましたが、次回あたりから、また少し「現在の地球の激変状況」について書きたいと思っています。そして、それを見ていると、世界の様々な場所で、「本格的に地球の地下が動き始めている」ことを感じます。

同時に、この地球の変化は「地球が人間に本質的な変化を促している」ようにも感じます。

確かに、この世の中はいろいろなものが連動しています。それは自分と他者、あるいは、地球と人間、あるいは宇宙と人間の連動も含まれているかもしれません。

そして、冒頭に貼りましたように、最近、地球では「宇宙の未知の発生源」からの強力な電波信号が検出されるということが起きています。

テレグラフの記事によりますと、この「未知の電波信号」は、2007年頃からデータ上で存在が確認されていたのですが、はじめて「リアルタイム」で電波を検出したのだそう。

その電波信号は、55億光年先という途方もない遠くから地球に向かってきたものですが、科学者たちも発生源については、見当がつかないとしています。

アメリカのカーネギー天文台のジョン・マルチェイ( John Mulchaey )氏が、この出来事は宇宙で最大の謎だと述べているほど、この現象は天文学者たちにとって不可思議なもののようです。

しかしまあ、何はともあれ、地球も宇宙も大きく変化していく中で、実は最も早急に変化しなければならないのは、私たち人間なのかもしれないと、つくづく思います。

でなければ、世界中で「ナビを失って死んでいく動物たち」のように、私たち人間も、「ナビを失って」次々と死んでいく・・・ということもないとは言えない感じもいたします。

今ほど変化が求められ、自分でも変化への希求が強い時はあまり経験がない気がします。



  

2015年01月14日



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タイトルの「第三次世界大戦が侮辱画から始まるとは誰が想像しえたか」というフレーズは、最近、ネット上の掲示板で見かけた日本語の書き込みです。

世界中で似たような想いを持つ人たちは多いらしく、どちらかというと陰謀系の英語サイトでそのような主張のサイトを数多く見かけます。

ww3-top.gif
Story Leak

私は、上の記事を少し読んで、下のような手紙が存在している(と言われている)ことを知りました。内容が私にはなかなか難解でして、正確ではないでしょうが、おおよその内容ということでお読み下されば幸いです。






 





Albert Pike and Three World Wars
Three World Wars ThreeWorldWars

南北戦争時の南部連合将軍アルバート・パイクが 1871年8月15日に書いたとされる手紙の「第三次世界大戦」に関しての記述


Albert-Pike-33.jpg第三次世界大戦は、政治的シオニストとイスラム世界の指導者たちとの間で、「エージェント」と「イルミナティ」によって引き起こされる両者の意見の相違を利用することによって助長されなければならない。

戦争はイスラム(アラビア世界のムスリム)と、政治的シオニズム(イスラエル)が相互に破壊し合うような方法で行われなければならない。

一方、他の国家においては、この問題に関しての分割は、完全に物質的で、道徳的で精神的で、そして経済的な疲弊などを焦点として戦うことに制約される……。私たちは、無神論者と無政府主義者(アナーキスト)たちを解放してやる。

そして、私たちは、無神論が野蛮と最たる流血の混乱の起源であり、明らかに国家に恐ろしい社会的大変動を引き起こすものだと人々を扇動しなければならない。

次に、そこら中にいる市民たちに、世界の少数派の革命家たちから市民各々が自らで守ることを義務づけることによって、市民たちは文明の破壊者たちを駆逐するだろう。

そして、群衆はその時に、何の指示も方向性も示さず、観念的な心配をするだけの理神論のキリスト教に幻滅を感じるだろう。しかし、崇拝を描き出す場所を知らなくとも、教義の普遍的顕現を通じて、ルシファーの真の光を受け取ることが、公共の視点にもたらされるだろう。

この徴候は一般市民たちの反動的な動きの結果として現れる。

そして、キリスト教と無神論の両方を破壊する動きに続くだろう。共に征服され、この世から消滅するのだ。





ここまでです。

上の写真のアルバート・パイクという人は、Wikipedia によりますと、

アルバート・パイク( 1809年 - 1891年)は、南北戦争時の南部連合の将軍。

秘密結社フリーメイソンに所属していたと言われている。「メイソンの黒い教皇」とも呼ばれている。古代や東洋の神秘主義を研究して、構成員を増やした。

また1871年、イタリアのフリーメイソンのジュゼッペ・マッツィーニ(イタリア建国の父)に送った手紙には、第一次世界大戦と第二次世界大戦、更に第三次世界大戦についての計画が記されていたという説が陰謀論者の間で広がっている。

という人だとのこと。

冒頭に記しましたのは、Wikipedia の記述にもあります 1871年に、イタリアの建国の父と呼ばれる人に書いた手紙の内容とされているものの中での「第三次世界大戦」の部分です。

上の Wikipedia に、

> 計画が記されていたという説が陰謀論者の間で広がっている。

とありますように、この手紙の内容が正しいものかどうかは多分誰にもわかりません。というか、手紙の存在自体の真偽がまずわかりません。

ただ、このアルバート・パイクという人が、フリーメーソンであることは、上に載せました写真で、フリーメーソンの正装をしていますので、そうだったのだと思われます。

というか、この人は、「トップか、それに準じた地位の人」だったのでは?

フリーメーソンは 33階級となっていて、そのトップが「最高大総監」という名の役職だったと記憶していますが、写真では、胸に「 33 」の数

そして、フリーメーソン - Wikipedia で、「最終階級の最も偉大な監察官」の装飾品だという、双頭の鷲のシンボルをいくつか付けています。

pike-03.gif

なお、Wikipedia によれば、 33階級(最高大総監)は功労者に与えられる名誉階級だそうですので、トップかどうかはわからなくても、かなりの高位にいたと考えられます。

それにしても、フリーメーソンの教義はよく知らないですけれど、

「無神論者とキリスト教の双方を消滅させる」

というようなことを書いているというのは、残るは「あちら」ですかね。




誰が扇動し、誰が何に向かって扇動されているのか

真偽はわからないながらも、この人が書いたとされるこの手紙の内容には、たとえば、

戦争はイスラムと、政治的シオニズムが相互に破壊し合うような方法で行われなければならない。

とか、

そこら中にいる市民たちに、世界の少数派の革命家たちから市民おのおのが自らで守ることを義務づけることによって、市民たちは、文明の破壊者たちを駆逐するだろう。

というのは、先日のパリの襲撃事件と、それ以降の「数百万人の」フランス国民と世界の動きを思い出させるところです。

もちろん、先日のパリの事件の本当の実行者の背景はわからないままですが、911と同様に、形としては「イスラム 対 西洋社会」というようなことになっているように見えます。

そして、その後がまた……。

銃撃された仏紙、最新号表紙にムハンマド風刺画
AFP 2015.01.13

先週、仏パリにある本社がイスラム過激派の男らに銃撃された仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)が、14日に発行予定の銃撃後初となる最新号の表紙で、「すべては許される」とのメッセージの下で「私はシャルリー」と書かれたカードを掲げながら涙を流すイスラム教の預言者ムハンマドを描いた風刺画を掲載することが分かった。

同紙は、発行に先立ち表紙をメディアに公開。

「生存者号」と銘打ったこの特別号の発行部数は300万部で、諸外国から引き合いがあったことから16言語に翻訳され、25か国で発売される予定。


と、またも、ムハンマドの風刺画を載せて発行するようなのです。

それにしても、「発行部数 300万部」に対して、どう言えばいいのか。

たとえば、世界で最も売れている雑誌は、アメリカの英字ビジネス誌フォーチューンですが、これの発行部数が 100万部。

フランス人はデモ行進に 370万人参加していたわけですから、300万部は、さばける部数なのでしょうけれど、通常のシャルリー・エブドの発行数は、 Wikipedia によれば、4万5000部とのこと。

それが今回は 300万部と、数十倍近い増刷となるようです。

しかも、上に「 16言語に翻訳され、25か国で発売される」とありますが、時事通信によりますと、

> アラビア語とトルコ語版も作成すると発表した。

ときたものです。

挑発してどうする・・・。

「追悼」は(彼らにとっては)必要かもしれなくとも、「挑発」が必要とは思えません。
別の形の風刺画で十分に追悼の気持ちは表現できるはず。

パリの襲撃事件のことは、先日の、

満開する軍事カオス:サウジアラビアの大雪報道から辿り着いたタイ軍による「子どもたちへの武器開放日」。そして世界的「扇動」の始まりの予兆
 2015年01月12日

でも少し書きましたけれど、フランス側がさらに強い対応をとると、相手(基本的には相手は不明ですが、一応、「イスラム教のジハード主義関係者」と、バーチャルな仮定をしておきます)もさらに強い対応をとってくることは明らかなはずです。

上の記事に、作家の山本七平さんの 1974年の著作『ある異常体験者の偏見』から、「扇動の方法」について、

原則は非常に簡単で、まず一種の集団ヒステリーを起こさせ、そのヒステリーで人びとを盲目にさせ、同時にそのヒステリーから生ずるエネルギーが、ある対象に向かうように誘導するのである。

という部分を抜粋していますが、今、フランス国民(の一部)や、ある種の人々がこの状態( 911の後のアメリカ国民の一部とある種の人々もそうでした)の中にあることは間違いなく、そこに、フリーメーソン最高位くらいだったアルバート・パイクが書いたとされる、

そして、私たちは、無神論が野蛮と最たる流血の混乱の起源であり、明らかに国家に恐ろしい社会的大変動を引き起こすものだと人々を扇動しなければならない。

の「無神論」を「イスラム教過激派」などに置き換えれば、そういう状態にさえ入りつつあるかのようにも見えます。

そもそも、フランスの首相自身が、国会で下のようなことを述べています。

fr-war.jpg

▲ 2015年1月14日の毎日新聞 仏首相:「テロとの戦争に入った」…治安強化を表明 より。


今、全世界で起きている「女性や子どもを人間爆弾にしての自爆テロを強要していること」だとか、あるいは、フランスでは、昨年以来、「原子力発電所に『正体不明の無人機』が飛来し続ける」というようなことも起きていて、いろいろと不穏で不安な要素だらけの時に、こういうことを言ったり、風刺画を再度発表したり……。

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▲ 2014年11月10日の記事「フランスの原子力発電所に「正体不明の謎の無人機」が飛来し続ける中、メキシコの原発上空にも謎の無人飛行体が出現」より。


もちろん、今回のような「挑発」とか「扇動」が、そのまま大きな戦争につながるというものではないでしょうけれども、フランス側の挑発的な態度と、そして、「必ず」報復に出るであろう正体のわからない敵との泥沼が、そう簡単に収まるとも思えないのも事実です。

サイバーの世界では「聖戦」が始まってますしね。

フランスでは、数百件のウェブサイトがイスラム主義者を名乗るハッカーたちに乗っ取られ、アメリカ中央軍のツイッターと YouTube のアカウントが「イスラム国」を名乗る組織に乗っ取られたりしています。

cyber-war-france.jpg

▲ 2015年1月13日の AFP 仏で「サイバー聖戦」相次ぐ、サイト数百件が乗っ取り被害 より。


us-cyber-2015.jpg

▲ 2015年1月13日の NHK 米中央軍に「イスラム国」がハッキング より。


ああ……ダメだ。

この記事を書いていて、さきほどからずっとなんですが、実は今日、「めまい」がひどいのです。




「表現の自由」と「異論を許さない空気」の中で

本当は書きたかったことはもうひとつあって、フランスが口にする「表現の自由」という概念についてなのです。しかし、今はめまいでどうもフラフラでして、書きたいことを全部書くのは無理そうです。

1月13日の THE PAGE の「イスラムを侮蔑する風刺画、どこまで許される?」徳山喜雄という記事の「異論を許さない空気が蔓延」という見出しのセクションに、フランスの歴史人類学者のエマニュエル・トッド氏という方の以下の言葉が載せられています。

「私も言論の自由が民主主義の柱だと考える。だが、ムハンマドやイエスを愚弄し続ける『シャルリー・エブド』のあり方は、不信の時代では、有効ではないと思う。移民の若者がかろうじて手にしたささやかなものに唾を吐きかけるような行為だ。ところがフランスは今、誰もが『私はシャルリーだ』と名乗り、犠牲者たちと共にある」

「私は感情に流されて理性を失いたくない。今、フランスで発言すれば、『テロリストに、くみする』と受けとめられ、袋だたきに遭うだろう。だからフランスでは取材に応じていない。独りぼっちの気分だ」

扇動に巻き込まれない人は、この方のように「独りぽっち」になってしまうわけですが、それでも、これからの時代というか、特に今年と来年は、この方の言う、感情に流されて理性を失いたくない」という考えを保つことは、とても大事なことだと思います


そんなわけで、どうもめまいがひどくて、座って書き続けるのもきつい感じですので、中途半端ですけれど、ここまでとさせていただきます。めまいも数十年の長い付き合いなんですが、時期的に波があるんですよ。

めまいとは関係ないでしょうが、昨日( 1月13日)、Mクラスの太陽フレアが発生して、スペースウェザーの記事によりますと、下の範囲で、ラジオやアマチュア無線の通信が途絶したそうです。

色の付いた部分が影響があった場所で、赤が最も強く影響を受けた地域です。

2015年1月13日の太陽フレアでラジオ電波が途絶えた範囲
flare-0113.gif


日本もそれなりの影響を受けていたみたいで、もちろん、この太陽フレアとめまいに直接の関係はないでしょうけれど、なにがしかの体調の変化とかは少し関係したかもしれません。

昨日は、うちの奥さまの職場の女性が「今日は、めまいがひどい」と嘆いていたそうですが、そういうような時期なんですかね。

ポールシフトでも起ころうとしているんじゃ(妄想しすぎ)。

皆様も体調のほうお大事にして下さい。
これからの世の中、少しは体力的にも強くないと厳しいかもしれませんですしね。



  

2015年01月13日



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philae-missing-top.gif

▲ 2015年1月6日の UPI より。






 


「忽然と消息を絶った」着陸機フィラエ

アメリカの科学誌サイエンスは、毎年、前年の科学ニュースのベスト 10を選びますが、「 2014年の科学的10大ニュース」のトップは下のように、チュ(略)彗星への着陸成功が輝いています。

breakthrough-2014.gif
Science


サイエンスの10大ニュースは1位だけが順位付けされ、他は順不同ですので、グリグリの1位だったことになります。

ところが、今年になって、冒頭の記事にありますように、彗星探査機ロゼッタの着陸機(ランダー)であるフィラエが「行方不明」となっていることが ESA (欧州宇宙機関)の発表によって明らかになりました。

正確に書けば、発表は「接近写真でフィラエの痕跡を確認できなかった」とのことです。

フィラエは、着陸時に書きました記事、

彗星の正体の判明はどうなる?:彗星に着陸した探査機ロゼッタの着陸機フィラエが電力不足により稼働できなくなる可能性
 2014年11月14日


などに書いていますが、フィラエは、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸に成功はしたものの、当初の着陸予定ポイントからずれてしまい、太陽光のあたり当たらない場所に着陸してしまいました。

フィラエの「着陸予定地点」と「実際の着陸地点」

Rosetta-Philae-LandingSite2.jpg
Earthfiles

そのため、太陽電池の充電がうまくいかず、フィラエはその後に、「休眠」に入ります。

しかし、着陸地点は特定しているために、「そのままの状態」であれば、フィラエの位置は、その後にロゼッタから送信される写真からでも特定できるはずですが、2015年になってから送信されてきた写真には、「フィラエが写っていなかった」のでした。

探査機ロゼッタが送信してきた最新の彗星のクローズアップ写真

Philae-lander-still-missing-comet.jpg
UPI/ESA/ROSETTA


もしかすると、フィラエに「何か」が起きたかもしれません。


着陸機フィラエは、大きさが「家庭用の食器洗い機くらい」のサイズの小さな探査マシンです。下の GIF 動画は、ロゼッタから切り離されたフィラエが、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に向かう時の様子です。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸に向かうフィラエ
Philae lander
Daily Mail


それにしても、ほとんど重力のない彗星の上に、特に完全に地表と固定しているわけでもないのに、このくらいの小さなものが、「秒速」10キロメートル程度の超高速で飛行していて、しかも真空の彗星表面に居続けられるのか、私は着陸時より疑問ではありました。

この環境だと、宇宙空間を飛んでいる何か非常に小さなもの、たとえば、2〜3センチくらいの小さな隕石がぶつかるだけで吹っ飛んでしまうのでは? とは思います。

ちなみに、欧州宇宙機関( ESA )は、この「フィラエの行方不明発表」の少し前に、下のように希望を持たせる発表をしていました。

欧州の彗星探査、休眠中の実験機「フィラエ」は3月復活か
AFP 2015.01.06

世界初の彗星着陸に成功したものの電池切れで休眠状態にある欧州宇宙機関の実験機「フィラエ」が、3月にも十分な日照を得て復活しそうだという。

フランス国立宇宙センターのジャンイブ・ルガル所長は5日、パリで記者会見し、彗星周回探査機「ロゼッタ」の実験用着陸機について、「フィラエの冒険物語は終わらない」と述べた。

このフランス国立宇宙センターの所長は、「フィラエの冒険物語は終わらない」と、は述べていますけれど、この 1月5日には、実はすでに、フィラエが行方不明となっていることはわかっていた時で、なかなか心苦しいものはあったと思います。

あるいは、フィラエの冒険物語が終わってしまった可能性が少し浮上したともいえます。

とはいっても、単に画像上で発見できないだけで、チュ彗星の上の存在している可能性はもちろんあります。通信が再開した場合、自ら居所を伝えてくる可能性は残されています(機体が存在するならば、ですが)。

冒頭の UPI の記事をご紹介しておきます。




Philae lander still missing on comet
UPI 2015.01.06


着陸機フィラエはいまだに彗星上の行方がわからず


科学者たちは新しく送信された写真にフィラエの位置を把握できない状況のままとなっている。

科学者たちは、彗星探査機ロゼッタが撮影して送信してきた新たなクローズアップ画像に、着陸船フィラエの存在を確かめることができなかった。

ロゼッタよる最近の偵察活動では、現在休眠中の着陸船フィラエの所在についての新しい情報を得ることはできなかった。食器洗い機ほどの大きさの小型のローダーが、現在、67P- チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の上のどこにあるのか、その行方がわからなくなっている。

今月はじめ、欧州宇宙機関( ESA )のロゼッタ・ミッションの科学者たちは、ロゼッタに、彗星上のフィラエの位置情報を掴むための調査を指示した。ロゼッタは、彗星上空約 20キロメートルの高さから、指示された地域のクローズアップ画像の撮影に成功した。

しかし、この努力は実らなかった。

その新しい画像にフィラエの痕跡を確認することができなかったのだ。

それでも、ESA のスタッフたちは、フィラエが休眠から目覚めた時に、自らの存在を信号として伝えてくると確信している。科学者たちは、フィラエが、早ければ、2月にも休眠から目覚めて再稼働を始める可能性があると述べる。





ここまでです。

最も遅い場合でも、3月の終わりくらいまでにフィラエから信号、あるいは再稼働した証拠の画像が得られなければ、理由はともかく「フィラエは消滅した」ということになるのかもしれません。

先にリンクした過去記事「彗星の正体の判明はどうなる?…」の最後は、

人類という存在は、「自然摂理の真実」を知らずに生きていたほうがいいと考える「見えざる力」が、フィラエにかかったりしたのかもしれませんけれど。

というような文章で締めくくったのですが、やや皮肉な感じもいたします。

この「消える」という同じキーワードで、火星探査機オポチュニティが「記憶喪失」に陥りつつあるというニュースも報道されていました。




火星で過ごした「 11年間の記憶」が消えていく

oppotunity-amnesia.gif

▲ 2014年12月31日の BBC NASA to hack Mars rover Opportunity to fix 'amnesia' fault より。


火星探査機については、キュリオシティと共に、よく記事で取り上げさせていただいて、オポチュニティも何度か取り上げたことがあります。

最近で驚かせてくれたこととしては、過去記事の、

最近の火星では何かが起きている:火星の環境が激変しているかもしれない証拠になり得るかも知れないさまざまなこと
 2014年05月25日

でご紹介しました、「オポチュニティの自己クリーニング」のことでした。

砂の嵐が吹き荒れる火星では、探査の期間が長くなればなるほど、機体は砂まみれとなっていきます。

火星探査機オポチュニティが火星に到着したのは、2004年1月のことですが、下の写真は、左が 2005年 8月にオポチュニティを上から撮影した写真で、右は9年後の 2014年 1月の写真です。

oppotunity-2005-2014b.jpg
・NASA

砂まみれになってしまったオポチュニティの姿が写っていますが、ところが、それから3ヶ月後の 2014年4月に、オポチュニティは、少しではありますが、「きれいになっていた」のです。

oppotunity-before2.jpg


どんどん汚れていくのは理解できますが、少しではあっても「突然きれいになったのはなぜ?」と話題になりましたが、 NASA 発表では「風によるもの」と明確な答えでした。

しかし、これまでこんなに唐突に機体が清掃されたことはなかったわけで、これが風だとした場合、火星でも「この 10年間になかったような突風が吹き荒れた」という可能性を考えたりもして、火星でも環境の激変が起きているのかもしれないとは思います。

そんな火星で 11年間探査活動をおこなってきたオポチュニティが、 BBC の報道のタイトルのまま書きますと「記憶喪失」となりつつあります。

これは、ちょっと面倒くさい単語かもしれないですが、

「不揮発性メモリが故障した」

ということで、不揮発性メモリというのは、パソコンになどでは ROM とかフラッシュメモリとかにあたるものようですが、これが完全にダメになると、家庭のパソコンであっても火星探査機であっても、「データの保存は不可能」という状態なるだけではなく、これまでのデータも消えてしまうことになりそうです。

こうなりますと、オポチュニティは、その後も火星上を走り続けたとしても、自身のデータ保存能力がなくなった場合は、探査機としての使命は基本的に終わることになるのかもしれません。

現在は、 NASA が、地球上からオポチュニティの再プログラミングの試行をおこなっているようです。

しかし、BBC の記事によれば、オポチュニティは、すでに当初の予想した耐用年数を越えて働き続けていて、これも一種の「寿命」だと NASA のプロジェクトマネージャーは述べています。

宇宙のいろいろなものが消えていきそうな 2015年ですが、それこそ、「見えざる力」の、何かの示唆なのかもしれません。



  

2015年01月12日



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▲ 2015年1月11日のサウジアラビア mz-mz.net より。






 


冒頭の報道は、タイに関するものですが、アラビア語なんですね。

偶然見つけたもので、

「サウジアラビアで大雪が降ったらしい」

という天の声(苦笑)で、ネットでいろいろと検索していましたら、確かに、1月10日頃、サウジアラビアで雪が降っていたのでした。

それも結構な量です。

普通、あまり雪が降らない場所で雪となりますと、子どもたちが大喜びで雪だるまを作ったり雪合戦をするわけですが、サウジアラビアでは主役はオジサンたち……。

サウジの中年紳士が雪と戯れる様子をご覧下さい。

saudi-arabia-snow1.gif

▲ 2015年1月10日の mz-mz.net より。


上の写真のうち、下の雪だるまなどは、他の地域では、なかなか作られない雪だるまでしょうね。

hussein-snow-ball.jpg


論評できないものではありますが、ところで、このサウジアラビアといえば、国王の「ご本名」もなかなかでありまして、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星同様に、多分、日本人でソラで完全に言える人はあまりいないのではないかと思います。

そのご本名。

saudi-oh.jpg
Google

しかし、これでも、まだ略していまして、全名は、アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウード国王となるようです。

外交などで失念した際にはどうするのか? と心配になりますが、アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ - Wikipedia によりますと、

日本では「アブドラ国王」と表記されることが多い。

という姿勢で対処しているようです。

アブドラ国王には5人の奥様がいらっしゃるのですが、第二夫人までのお名前は、それぞれ、ハサ・ビント・アブドゥッラー・ビン・アブドゥッラフマーン・アール・サウードさんと、ハサ・ビント・トラード・アッ=シャアラーンさんという方で、アブドラ国王のお母様は、ファハダ・ビント・アル=アースィー・アッ=シュライムさんという…(もうええわ)。

まあ、このように、国によっては、完全な敬意を表したくとも難しいこともあります。

えーと……話がよくわからなくなっていますが、ああ、そうです、最初はこのアブドラ国王のいらっしゃる「サウジアラビアの雪」の報道を見たことから始まったのでした。

サウジアラビアの雪のニュースを見ていましたら、その横にある「今日のニュース一覧」みたいな欄に、子どもたちが実物らしき武器を構えている写真がありまして、それで、「これは何か」と開いて、訳してみましたら、冒頭の、「タイ軍は子どもたちに武器や軍備装備の使用を許可した」というページに行き着いたわけで、そこには以下のような写真が出ていたのでありました。


thai-army-001.jpg


thai-army-002.jpg
mz-mz.net


他にも、たくさんの写真が掲載されています。

小学生くらいから、下は、どう見ても幼稚園児くらいの男の子や女の子が、実物の対戦車砲や重機関銃とふれている姿は確かにある種の感情を誘います。

「スターシップ・トゥルーパーズの世界かよ」

などとも思いますが、サウジの報道の本文は大体以下のようなものでした。

タイ軍は子どもたちに武器や軍備装備の使用を許可した

これらの画像は一見奇妙で、非倫理的に見えるかもしれないが、現在のタイは、明らかに「何でもあり」の状態になっている。

これらの写真は、タイの「子どもの日」のイベントの写真だ。バンコク南部にあるタイ王国海軍アカデミーで、子どもたち、場合によっては幼稚園児にも機関銃や自動小銃を触れさせ、武器と親しませていると指摘されている。英国デイリーメールが報じた。

タイの子どもの日は毎年恒例の大きなイベントで、議会や軍事機関を含む多くの機関が参加し、国家を維持することの重要性を子どもたちに認識させるイベントとして知られる。

とのことで、どうやらタイの「こどもの日」というのは、愛国主義的な意味合いを持つ祭日のようで、毎年ここまで武器とふれさせているのかどうかはわからないですが、ある程度の恒例行事のようでもあります。

実際、タイでも普通に報道されていました。

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▲ 2015年1月10日のタイ字メディア「タイラット」より。


北朝鮮などでも、小学校や幼稚園の運動会の時などに「軍事要素が折り込まれた競技」がおこなわれることはあるようですが、上のように、どう見ても幼稚園児みたいな子にまで「本物の武器」をさわらせるというのは、アフリカの内戦国などを別にすれば、あまり見たことがない気がします。

北朝鮮の幼稚園の運動会の風景

north-korea-kids1.jpg
Daily Mail

何だかんだ言っても、今のタイは軍事政権であることは事実ですしね。




スターシップ・トゥルーパーズのような世の中へ?

上のほうで「スターシップ・トゥルーパーズかよ」と書きましたが、これは 1959年に書かれた同名小説が、1997年に映画化されもので、私の好きな映画のひとつです(おすすめはしません)。

内容は、スターシップ・トゥルーパーズ - Wikipedia の説明をお借りすれば、

民主主義崩壊後の新政府、地球連邦では軍部を中心とした「ユートピア社会」が築かれていた。社会は清廉で、人種・男女の差別なくまったく平等に活躍しているが、軍歴の有無のみにより峻別され、兵役を経た「市民」は市民権を有し、兵役につかなかった「一般人」にはそれがない。

という社会の中で、別の銀河系の昆虫型宇宙生物の侵略を受け、「虫と人類」との全面戦争が始まるという内容です。

この社会は、軍歴がなければ、どれだけのエリートでも、参政権、出産権などの「市民」としての権利を有さない社会で、そのシステムが地球全体を支配している時代を描いたものでした。

starship-troopers.jpg

▲ 映画『スターシップ・トゥルーパーズ』より、地球連邦軍のテレビCMが流れる場面。


映画そのものは「全体主義の賞賛」的な扱いを受け、酷評が多かったのですが、そのような映画にしたことには理由があって、監督のポール・バーホーベンが、幼少時にオランダでナチスの侵略下での生活を経験していて、 Wikipedia によれば、

幼少期を第二次世界大戦下のオランダのハーグで過ごした。その中で、自分達オランダ人の味方であるはずの連合軍がナチスの軍事基地があるハーグを空爆し、死体が道端に転がっているという日常を過ごしている。

ということもあり、全体として「ナチスに対してのパロディ映画」として作られ(具体的には、ナチ党の全国党大会を記録したレニ・リーフェンシュタール監督の 1934年のドキュメンタリー映画「意志の勝利」のパロディ)、そのために、「全体主義の賞賛」的な出来となり、それが批判されたのだとすれば、監督にとっては成功だったのかもしれません。

描写が残酷な映画ですが、それでも、私はこの映画『スターシップ・トゥルーパーズ』は「戦争とそれに関わる社会の本質」を理解するためにはいい映画だと思っています。でも、おすすめはしません。




そして世界はどちらに向かう?

それはともかく、今のご時世・・・。

前回の記事、

シャルリー・エブドは最初の聖戦:1000人の「フランス人イスラム国戦闘員」が過激思想と戦闘スキルを携えて母国に帰還する時
 2015年01月10日

では、アメリカの2人のテロ専門家の言葉を記事にしたニュースをご紹介したのですが、その中に、テロ専門の言葉として、

「テロリズムに対しての国際社会がおこなう独特な行動は、襲われた国だけではなく、民主主義国家が合同して、テロに対して攻勢に出る可能性があることです」

というような部分がありますが、今朝のニュースを見ましたら、まさに「すぐに」その通りの展開となっていることを知ります。

フランス銃撃事件 大規模追悼デモに50カ国首脳が参加へ
FNN 2015.01.11

フランスで起きた新聞社銃撃など、一連の事件。
パリ市内では11日、市民や各国首脳が参加する、大規模な追悼デモ行進が行われる。

日本時間11日夜、大通りをメーンに行進が行われ、17人の犠牲者を追悼し、テロに屈しない姿勢を示す。

50カ国!

そして、テロ専門家は下のような発言もしていました。

「テロリストたちは、フランス政府のイスラム教徒たちへの過剰な反応を望んでいます。フランス国民によるイスラム教徒への排斥運動が起きてほしいとさえ考えています。そうなる方が、フランスのイスラム教徒たちのコミュニティが過激化しやすいからです」

とも述べていました。

そして、昨日のパリは…。

フランス全土で反テロ集会、史上最多の370万人参加
AFP 2015.01.12

フランス各地で11日、テロに反対するデモ行進や集会が行われ、仏国務省によると同国全土で史上最多の370万人が参加した。首都パリ(Paris)では、世界各国の首脳ら数十人が率いるデモ行進などに、約160万人が参加。「自由」や「シャルリー」などと叫びながら街を練り歩いた。

370万人!

これらが過剰な反応なのかどうかということは何も言えないですけれど、記事には、

パリの行進では、フランソワ・オランド仏大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長を含めた世界の指導者らと腕を組み、歴史的な団結の決意を示した。

とありまして、さながら、スターシップ・トゥルーパーズの「地球連合国家」的なパレードだったのかもしれません。

しかし結局は、これらのことが示すことは、単に、

フランス(あるいはヨーロッパ主要国)で何か起こせば、こんなに全世界で大騒ぎになり、そして、全世界で報道される。

という事実でしかないように思います。


「扇動」・・・という言葉が、ふと頭をよぎります。


ずいぶんと以前ですが、「殺され続ける詩人シナ」という記事の中に、作家の山本七平さんが、自らの太平洋戦争時の軍隊経験などを記した 1974年の著作『ある異常体験者の偏見』から抜粋したことがあります。

そこには、現実の戦争や戦争裁判で繰り広げられた「扇動の方法」が記されています。

その原則について以下のように山本さんは記しています。

原則は非常に簡単で、まず一種の集団ヒステリーを起こさせ、そのヒステリーで人びとを盲目にさせ、同時にそのヒステリーから生ずるエネルギーが、ある対象に向かうように誘導するのである。

これは 9.11 のひとつの例を思い出すだけでもご理解いただけるかと思います。

そして、山本さんは、「 扇動者自身は決して姿を現さない」とした上で、

扇動された者は騒々しいが、扇動の実体とはこれと全く逆で、実に静なる理論なのである。

と記します。

この意味から見れば、パリのデモに参加した 50カ国にも及ぶ各国の首脳たちも、すでに扇動者でも何でもないコマにしか見えないわけですが、上の記事で私は、

確かに扇動された者の騒がしいこと!
扇動する側の見えないこと!

のように書いていまして、今でもそれは思います。

デモにしても、何にしても、その行為そのものはお祭りのように騒がしいですが、その「本当の原因」が何かはまるでわからないし、見えもしない。


何となく「扇動と無縁でいるためには」・・・と考えていまして、ふと、昨日、クレアの、

2015年からの未来を考えるために知っておきたいアメリカ先住民の倫理の智恵
 クレアなひととき 2015年01月11日

に書きました「アメリカ先住民の智恵(資料によっては「アメリカ先住民の倫理規定」)」というものを思い出しました。

作者・時期不明ですが、アメリカでは広く知られているものです。

全部で 20条の「規律」がありまして、すべてに関しては、上のリンクからお読みいただければと思いますが、その中で下のようなものの大切さを思います。




「アメリカ先住民の智恵」より

2. 行き先を見失った人々への寛容さが必要だ。魂を失ってしまった彼らの無知、うぬぼれ、怒り、嫉妬と強欲。あなたは、彼らが道を見いだせるように祈りなさい。

3. 自分自身で自分を探しなさい。他の人々にあなたの行き先を作ることを許してはならない。その道はあなたの道であり、あなたひとりの道だ。他の人々があなたと一緒にその道を歩くことはできても、誰もその道をあなたのために歩くことはできない。

7. 他の人たちの考え、希望、言葉を尊重しなさい。決して、その言葉を遮ったり、笑ったり、無礼な態度で接してはいけない。ひとりひとりのすべての人間が、その人自身の表現を持つ権利がある。

13. 他の人の心を傷つけることを避けなさい。その痛みの毒はあなたにかえってくる。

16. あなたがどのように在るか、あるいはどのように反応するかの意志決定を意識的に行いなさい。あなたの行動のすべてにあなたが責任を持ちなさい。





今は何ひとつ達成されていない・・・未熟というよりは、むしろ「退化した」世の中だと思えて仕方ないですが、ただし、これは、「アメリカ先住民の理想」であり、現在の白人西洋社会には「ずいぶん昔からなかったかもしれない」理想でもあります。

たとえば、シェイクスピアの 1599年の戯曲『ジュリアス・シーザー』には、すでに、「アントニーの詐術」という扇動の方法論が書かれており、西洋社会においては、随分以前から、「行き先を見失った人々への寛容さ」はなかったどころか、「人々に行き先を見失わせる方法論さえ確立していた」ことが漠然とですが、わかります。

それが実践できていたかどうかというのはともかくとして、素晴らしい理念を持っていたアメリカ先住民たちですが、しかし、たとえば、1492年のコロンブスの侵略以降は、急激に彼らも西洋人同様の「争いでの獲得」や「自己主張と自己所有の世界」へと転落していくわけで、現在も世界の多くの国でその価値観の時代が居座っています。

アメリカ先住民の智恵の中に、

ネガティブなエネルギーは、宇宙で増殖して、自分たちにかえってくる

という記述があります。

この数百年間の、あるいは数千年間の「地球社会のネガティブ」が宇宙からかえってくる時には、それはものすごい「巨大な憎悪」としてバックラッシュしてきそうな感じです。

そして、おそらく 2015年から 2016年に、私たちはその「宇宙から返された巨大な憎悪の嵐」の中に立ち尽くさなければならないのかもしれないと覚悟しています。