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2015年01月07日



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天の川銀河の中心で何かが起きている?:銀河中心部で観測史上最大の爆発現象が観測される



galaxy-explode-top.gif

▲ 2015年1月6日のデイリーメールより。






 


この数年、銀河系の中心部で観測されるいろいろなこと

今回は私たちの銀河系の中心でX線フレアと呼ばれる爆発現象、しかも観測された中では最も巨大なX線フレアが起きたことを NASA が発表したことを、英国デイリーメールの記事からご紹介したいと思います。

その現象について科学者たちが困惑しているという内容ですが、そもそもが、私たちの「天の川銀河」というものについては、実際にはほとんどわかってはいないというのが現状です。

何しろ、「銀河系全体の形状」について、下のようなものであるとわかったのが、ほんの4年ほど前のことなんです。

10galaxy-article2.jpg
New York Times

上の写真は、

銀河系の中心で巨大なことが進行していることに天文学者たちが気づき始めた
 2010年11月11日

という記事で、2010年11月10日のニューヨーク・タイムズに掲載されていた報道をご紹介したものですが、その記事の最初は以下のようなものです。

銀河系の中心部で何か巨大なことが進行している。
天文学者たちはそれが何であるのかわからないと言う。


NASA フェルミガンマ線宇宙望遠鏡からのデータを調査している科学者チームは、2010年11月9日に、銀河系の中心部から噴出している2つのエネルギーの泡を発見したと発表した。

11月10日にリリースされた学術雑誌アストロフィジカルジャーナルによると、NASA の調査チームは記者会見を行い、 この泡が、銀河系の両サイドから各方向に 25,000光年の距離で広がっており、これは超新星 100,000個分にも相当するものだと語ったと記した。

「これは非常に巨大だ」と、今回の現象を発見したハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームのダグフィンク・ベイナー氏は言った。

どこからその泡が来ているのかはわかっていない。

というもので、私たちの銀河系というのは、その中心部から想像もできないほどの強大なエネルギーを噴出しているということが最近になって少しずつわかり始めています。

なお、上の写真は、天の川銀河を「横」(横というのは便宜上です)から見たものですが、今回の記事にも登場します NASA のX線観測衛星チャンドラの観測データから構成した「上」から見た天の川銀河の全景を 2009年に NASA が発表していまして、それは下のようなものです。

銀河の中心から私たちの太陽までの距離は約 26,000光年から 35,000光年です。

X線観測衛星チャンドラのデータから構成した天の川銀河
milkyway-galaxy.gif


それで、この天の川銀河の中心付近に「いて座A*」という「存在」があるのです。

Sgr-blue.gif
Wikipedia


超巨大なX線フレアはこの「銀河の中心」で発生した現象であるわけですが、この「いて座A*」というものが何なのかは、どうもよくわかっていないようなのです。

今回ご紹介するデイリーメールの記事では、「超特大ブラックホール」というようにされていますが、いて座A*- Wikipedia を見てみますと、

いて座A*は、我々銀河系の中心にある明るくコンパクトな天文電波源。より広い範囲に広がるいて座Aの一部分であり、仮説によると多くの渦巻銀河や楕円銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールが、いて座A*にもあるとされる。

と、そこに特大ブラックホールがあることに関しては、「あくまで仮説」であることを記しており、さらに、

結局見ているものはブラックホール自体ではなく、いて座A*の近くにブラックホールが存在するという仮定でのみ観測されるものである。

とあり、あくまでも「ここがエネルギー源ではあるが、それが何かはわかっていない」と、理解して構わないようです。

何かはわからないながらも、「渦」である銀河系の「天体の中心」の意味は大きなものであるはずです。

たとえば、太陽系も「渦」であり、その中心は太陽ですが、「太陽なんか大した意味がない」と考える人は、悪魔的な存在以外ではいないと思います。太陽は私たち人間にとっても何よりも大きな存在です。

太陽系の渦の中心の「太陽」はあまりにも存在としての意味が大きい。
このことは宇宙の他の「渦」にも当てはまることだと思われます。

そして、宇宙の存在は、そのほとんどが「渦」と「円」に支配されています。




「法」に支配され、「奇跡」が具現化しているこの宇宙

下の図は、過去記事の、

NASA の星間境界観測機が初めて「太陽系外の物質の成分」を検知
 2012年02月01日

に載せたもので、2012年1月に、 NASA の探査機ケプラーが新たに特定した 26個の「他の太陽系」です。

ケプラーが特定した26個の「他の太陽系」の形

altenative-sun.gif
Astrobiology Magazine


大きさや惑星の数に違いがあるだけで、基本的にすべてがまったく同じタイプの形をしているといっていいかと思います。宇宙の形式がいかにグリグリの「法」によって支配されているかがわかります。

「法」

これがすべてを貫いています。

そして、たとえば、太陽系の中心にある「太陽」。

この完ぺき性は、過去記事の、

私たちの太陽が「宇宙の中で最も完全な球体」であったことが判明してショックを受ける科学者たち
 2012年08月18日

でご紹介したことがありますが、科学者たちの計測によって、

太陽は、この世にあるものの中で最も完ぺきな球状をしているものだった。

ことがわかったのです。

perfect-sun7.jpg


そして、さらに驚くのは、太陽系で最も大きなものが太陽だとすれば、「最も小さなもののひとつ」といえる「電子」も「完全な球体」だったのです。

電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった : 英国の研究者たちの10年間に渡る執念の研究が突き止めた「宇宙の奇蹟」
 2011年05月27日

という記事で、そのことを書いたことがあります。

atom-electrons.gif

上の原子の中で回っている、この世で最も小さなもののうちのひとつである電子も太陽と同様に、「最も完ぺきな丸を持つ形状」だったのです。

これらのことに「奇跡」を感じないでしょうか。

もちろん、様々なことについて、奇跡を感じるか感じないかは人それぞれではあるのですけれど、宇宙の存在とこの現実の世の中について、上のような事実を知ることは、私たちが、

宇宙を貫く「法」の中に生きていて

そして、

そこには多くの「奇跡」を見ることができる

こととつながっているように思うのです。

「法」と「奇跡」のふたつが、この宇宙存在の基本だと私は考えていて、それはすべてを貫くものなのだと思っています。


話が逸れたかもしれないですが、天の川銀河の中心に何が「存在」していて、「何をおこなおうとしている」のかはわかりません。しかし、今後の宇宙に変化があるとしても、その「法」の中で進行していくはずです。

そして、天の川銀河ほど巨大な存在の中心、マヤ族が「フナブ・クー」と呼び、そこには「巨大な意志が存在している」と考えたような場所には確かに何か「巨大な存在」があるのかもしれません。

それは物理的な意味でのエネルギー源の意味もあるでしょうし、「精神的な意味でのエネルギー源」という意味も含まれる可能性もあるとも思います。

そして、この数年、次々と観測される銀河中心での変化は、銀河すべてを巻き込んだ巨大な変化の予兆でもあるのかもしれません。

なお、私たちの近隣銀河の「うお座極環状銀河 NGC660 」は、2012年に、

銀河の中心部が爆発的崩壊を起こした

ことが観測されています。

これについては、

[重要] 私たちの銀河系の近隣銀河の中心が突然の爆発的崩壊! この事態に困惑する天文学者たち
 2013年01月09日

という記事に書いていますが、最近、他にも銀河の形状が変化する事象が相次いでいて、広い範囲で何かが同時に進行しているのかもしれません。

ここからデイリーメールの記事です。

記事には、天文学者たちがフレアの原因として考える「2つの説」が記されていますが、どちらでもないように思います。



What is happening at the heart of our galaxy? Largest X-ray flare ever detected explodes from supermassive black hole at the centre of the Milky Way - and scientists are baffled by it
Daily Mail 2015.01.05

私たちの銀河の中心部で何が起きているのか? 天の川銀河中央付近にある超巨大ブラックホールから過去最大のX線の爆発が観測され、科学者たちは困惑している


SgrA-01.gif


天文学者たちは、天の川銀河の中心にある、太陽の 450万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールから、過去に検出されたどの爆発よりも規模の大きなX線フレア(爆発現象)を観測した。

NASA のX線観測人工衛星チャンドラによって検出されたこの出来事は、私たちの銀河系がどのように働いているのかについての疑問を提示する。

この超巨大ブラックホールは、「いて座A*」あるいは、略号の「 Sgr A* 」と呼ばれており、このブラックホールは私たちの太陽の 450万倍の質量を持つと推定されている。

この銀河系の中心部に存在する超大質量ブラックホールの周辺には、「 G2 」と呼ばれる公転するガス(星雲)が存在するが、天文家たちは、この G2星雲の動きを観測している時に、大爆発という予想外の発見をした。





今回の研究のリーダーである米国マサチューセッツ州にあるアマースト大学のダリル・ハガード( Daryl Haggard )教授は、

「自然現象はしばしば私たちを驚かせます。そして、今回、私たちが目撃したものは、何か非常に興奮を呼ぶものなのです」

と言う。

2013年9月14日に、ハガード教授と研究チームは、「いて座A*」から、通常での静謐な状態の 400倍もの強さのX線フレアを検出した。この「超特大フレア( megaflare )」は、それまで最も明るかった 2012年に観測されたフレアより3倍も明るかった。

その後、2014年10月20日にも、チャンドラ衛星は、通常よりも 200倍明るい別の巨大なX線フレアを観測した。

天文学者たちは、2014年の春、G2星雲がブラックホールから最も近かった時で、その距離は 240億キロメートルあったと考えている。チャンドラは、2013年9月にもフレアを観測しているが、その際には G2星雲はブラックホールまで、その何百倍も近い場所にあった。なので、フレアと G2星雲との関係はあまりないように考えられる。

研究者たちは、「いて座A*」からこのような激しいフレアが発生した原因について、2つの説を持っている。

第1の説は、小惑星が超巨大ブラックホールに接近しすぎて、ブラックホールの重力によって引き裂かれたという説だ。

このように破壊された場合、その破片はブラックホールの中に永遠に消滅していく前に極端な高温となり、X線を放出する。

この説が正しい場合、天文学者たちは「いて座A*」によって引き裂かれた中で最大のX線の放出をおこなった小惑星を目撃したという証拠となる。

第2の説は、「いて座A*」に向かって流れるガスの中の磁力線が、固く密封され、絡まったことにより起きたとするものだ。これらの磁力線は、時折、自分自身を再構成し、明るいX線の爆発を作り出すことができる。

これと同じタイプの磁気フレアは、私たちの太陽でも見られる。「いて座A*」のフレアは同じようなパターンを持っていた。

しかし、この現象の原因は今でも根本は理解されていない。

今回の論文の共同執筆者でもある、ドイツのマックス・プランク天文学研究所のガブリエル・ポンティ( Gabriele Ponti )博士は以下のように述べる。

「このような珍しくて極端な現象は、ブラックホールへと流れて落ちていく物質の観測により、私たちの銀河系で実際に起きている最も奇妙な現象の物理学的な理解への良い機会となると思います」。



  

2015年01月05日



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▲ 2014年12月26日のロシア 3dnews より。






 


連鎖する世界の大噴火

今年の最初の日に書きました、

全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日:トンガの海底火山フンガ・ハーパイと、イタリアのエトナ島の大噴火で終えた2014年
 2015年01月01日

という記事で、トンガの海底火山「フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ」と、イタリアのエトナ火山が年末に大噴火を起こしたことを書きました。

そして、2015年に入り、すぐの 1月3日に、インドネシアのシナブン山が、近年最大クラスの噴火を起こし、現在の警戒レベルが最高の「コードレッド」となっています。

sinabung-01.jpg
The Watchers


sinabung-02.jpg
Twitter


下のほうの写真で、地面のほうにある煙は火砕流が発生していることを示していると思います。

何かこう、わりと人々が携帯で写真撮ったりして、のんびりと眺めているんですけど、火砕流は時に、かなりの距離をものすごいスピードで進みますから、ちょっと危うい感じがしないでもないですね。

年末から年始は、大規模な噴火が相次いでいます。

なお、トンガの海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイの噴火ですけど、昨年の3月にも噴火を起こしていたようで、その時の動画を見つけました。音は本当の音声ではないです。




そして、最近知ったのですけれど、このあたりの海域には、このフンガ・ハーパイのような海底火山が 36 もあるのだとか。

ひとつの噴火だけで上の状態ですからね。

複数、あるいは全部噴火したらどんな状態になるのか。

海底火山の噴火が増えると、どうしても海水温は局地的で、なおかつ一時的であっても上がると思われるのですけれど、最近、

北半球の雪で覆われた面積が観測史上最高を記録。なのに、気温と海水表面温度は観測史上で最も高いという異常な矛盾…
 2014年12月06日

などの記事で書いていますように、ただでさえ、現在は世界中の海水温度が上昇しているというのに、海底火山の噴火も相次いだ場合、さらに海水温度が上昇していくようなことも考えられないわけでもなさそうで、そうなった場合は、世界の天候はさらに荒れることになるような気もします。

西之島などを含めて、最近は海底の地質的な変化がはっきりとわかる形で現れることも多く、今年あたりは、もっと大きな「大陸の浮上」なんかも起きても不思議ではなさそうです。

それでは、ここから「終末」と関係する本題です。




ロシアで始まる「すべての生物種の生体バンク」構築計画

よく「世界の終末に備えた種子貯蔵庫」( 2011年10月14日の Wired )というような呼ばれ方をされることが多い、地球上の種子を冷凍保存している巨大施設である「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」というものがあります。

これは、

スヴァールバル世界種子貯蔵庫 - Wikipedia

スヴァールバル世界種子貯蔵庫は、ノルウェー領スヴァールバル諸島最大の島であるスピッツベルゲン島に位置する種子銀行である。

2008年2月26日、ビル・ゲイツ主導のもと、地球上の種子を冷凍保存する世界最大の施設がスピッツベルゲン島の中心地・ロングイェールビーン近郊にて操業開始した。

施設は、今後さまざまに予想される大規模で深刻な気候変動や自然災害、(植物の)病気の蔓延、核戦争等に備えて農作物種の絶滅を防ぐとともに、世界各地での地域的絶滅があった際には栽培再開の機会を提供することを目的としている。

という施設で、最大 300万種の種子の保存が可能な地下貯蔵庫を持ちます。

スヴァールバル諸島が選ばれたのは「寒い場所だから」で、

地下貯蔵庫の温度はマイナス18〜20°Cに保たれ、万が一、冷却装置が故障した場合にも永久凍土層によってマイナス4 °Cを維持できる環境に置かれている。

というものです。

場所は、ノルウェー北部の海域にあるスヴァールバル諸島の下の星印の位置にあります。

svalbard-map.gif


内部は下のような感じで、現在は、50万種以上の植物の種子が収められているそうです。

svalbard-1.jpg
Glamox Svalbard Global Seed Vault

このスヴァールバル世界種子貯蔵庫は「植物だけの種子バンク」ということになりますが、これに対して、ロシアのモスクワ大学は、冒頭にありますように、

地球の数百万種の生体組織バンクを構築する計画を今年 2015年から開始する

ということが、ロシアの各メディアで伝えられていました。

植物から哺乳類まで、入手可能な限りの生物種のマテリアルバンクを作る試みということなのだと思います。報道では、絶滅危惧種をはじめとして、その目標数が「 430万種」と書かれています。

どのような保存形態となるのかはわからないですが、下のようなイメージもありましたので、このような感じの保存になるのかもしれません。

bio-bank.jpg
REGNEWS


スヴァールバルでの植物の種子保存に低温環境が必要なのと同様に、他の生物マテリアルも「細胞などが生きたままの状態」で保存するのであれば、かなりの低温を必要とするはずです。

通常は電気で保冷しても、「停電などにより電気が使えない状態になっても保存できる場所」というのが必要だと思われますが、極寒の場所なら豊富なロシアだからこその計画かもしれません。

そして、このプロジェクトにつけられた名称が「ノアの方舟」なんですね。

アメリカ主導のスヴァールバルの種子貯蔵庫も「終末の日に備えたプロジェクト」だと言われることが多い中、ロシアの計画も自ら「ノアの方舟」とつけるあたり、終末準備プロジェクトの香りがします。

ところで、「ノアの方舟」とはどんなお話だったのか、念のために記しておきます。ノアの方舟 - Wikipedia には、

・シュメルの洪水神話における記述
・ギルガメシュ叙事詩における記述
・旧約聖書『創世記』における記述


が記されていますが、ここでは旧約聖書のものを載せます。

旧約聖書『創世記』による「ノアの方舟」の記述の概要

神は地上に増えた人々が悪を行っているのを見て、これを洪水で滅ぼすと「神と共に歩んだ正しい人」であったノア(当時500〜600歳)に告げ、ノアに箱舟の建設を命じた。

箱舟はゴフェルの木でつくられ、三階建てで内部に小部屋が多く設けられていた。箱舟の内と外は木のタールで塗られた。ノアは箱舟を完成させると、妻と、三人の息子とそれぞれの妻、そしてすべての動物のつがいを箱舟に乗せた。

洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかった。その後、箱舟はアララト山の上にとまった。

この中に、

> 地上に生きていたものを滅ぼしつくした。

とありますように、やはり「全滅の神話」のわけです。

(ところで、40日間、動物たちのエサをどのように調達?)

まあ、細かいところはともかく、ノアの方舟の時には、実際の動物の雄雌を連れていかなければなりませんでしたが、モスクワ大学の「ノアの方舟」は、助けたい生物に用意するものは、ひとつの種の生物に対して小さな試験管2本で済むのですから、便利になったものです。


ところで、実は最近の生物科学関係のニュースの中では、こロシアの「生物種保存計画」よりもさらに驚いた「終末的な報道」がありました。

それは、「人工の精子」と「人工の卵子」の作成に成功したというニュースでした。




人の手で作り出された精子と卵子

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▲ 2014年12月24日のガーディアンより。


これは、ケンブリッジ大学の研究者たちが、ヒトの胚性幹細胞を培養し、成人の皮膚細胞を使用することで、「人工的に作られた精子」と、初期段階ながらも「人工的に作られた卵子」を作り出すことに成功したというものです。

ここに出てくる「胚性幹細胞」というのは、いわゆる ES細胞と呼ばれるものです。

こういう「何とか細胞」の報道は最近よく目にするのですが、私がほとんど理解していないのと同時に、「そこまで人体の細部まで人の手が入り込むってのもどうなのかね」と思う部分もないではないということで、「何とか細胞」という名前のつくニュースは一切見てきませんでした。

何とか細胞でノーベル賞を受賞された方の報道も一切目にしませんでしたし、久保さんだったか何だったか女性のニュースも、ウェブでは見出しも見ないし、テレビのニュースなら、その報道が出た途端に消していました。

ということで、これまでは興味がなかったのですが、

「人工の精子と卵子を作り始めた(しかも人間の)」

というところまで来たとなると、話も違ってきます。

ES 細胞の説明で最もわかりやすかったものとなると、やはり少年少女向けサイトで、「生物史から、自然の摂理を読み解く」というサイトの、ES細胞って何?(基礎編)に説明があります。

ES細胞は人体を形づくるあらゆる細胞にへと変ぼうすることのできるおおもとの細胞であるとともに、変ぼうする前の状態のまま自らをいくらでも分裂させて増やすことができる特性を持っています。

そのようなES細胞を手に入れることができるようになったということは同時に、ES細胞を上手に誘導してやれば目的とする必要な細胞、組織、器官を意図的に作り出し、さまざまな治療に生かせる可能性が大いに広がったということを意味します。

おぼろげでしか理解できないですが、要するに、

様々な状態に変貌して増殖することのできる ES細胞を使って、人間の体内の組織や臓器などを新たに作り、「細胞レベル」で医療に応用する。

という試みのようです。

この「大義名分」がどうもアレなんですよ。
上でいえば、「さまざまな治療に生かせる可能性」の部分。

これは、今回の「人工の精子と人工の卵子」についても、「不妊治療への応用」という大義名分が述べられています。また、これは確かに不妊に悩む方々には朗報であることも事実だと思います。

しかし、この研究がさらに進めば、

親がいなくとも、人間を作ることができてしまう。

ということが現実となるわけで、男女が子どもを作り出す、という構図は不要となってしまうばかりか、まず、

人を増やすために男性は完全に不要になる

ことは確定するわけですが、同時に、

施設が進化すれば、母体そのものも不要になる

という可能性もありそうです。

そりゃまあ、実際そんなようなことを試みた場合、倫理的にいろいろと問題を指摘されるのでしょうけれど、「発表しないで研究を続ける分には誰もわからない」ということがあります。

このガーディアンの記事の内容に対しての反響はコメント数の多さでも理解できます。

comment-648.gif

12月24日の記事で、今日 1月5日までに 648件と、かなりの数です。

それぞれの内容や賛否の比率まではわからないですけれど、どうにも、生体科学は「ある線を越えつつある」というような感じもしないでもないです。

そんなわけで、植物や生物の生体バンクの構築が進められる一方で、「人工物だけによる人間の誕生」に近づきつつあるという方向に科学は向かっているようです。

これを「科学の進歩」と感じるか、「終末感漂う時代」と感じるかは人それぞれなのでしょう。

それでは、ここから、ロシアの生物バンクのニュースの翻訳です。
記事そのものは短いものです。




ru-bio-bank.gif
3dnews.ru 2014.12.26

モスクワ大学が 10億ルーブルをかけ「ノアの方舟」を創造する


モスクワ国立大学に世界初の生体材料貯蔵庫(バイオマテリアル・バンク)が作られる計画が、サドヴニチイ学長によって明らかにされた。

このプロジェクトは「ノアの方舟」と命名された。

学長によれば、長期的な保管の後でも再生できる形での細胞材料の低温保存をおこない、さらに、蓄積した材料の分析のための最新のコンピュータ・ブラットフォームの設置もおこなわれるという。

この特別なコンピュータ・システムは、ロシアの他の研究拠点と、また、海外の生体バンクともネットワークを持つ予定だ。世界には、今のところ、このような形式での生体材料の統一した低温貯蔵システムは存在しない。

費用は 10億ルーブル(約 20億円)で、2018年の稼働を目指す。

完成したバイオバンクには、世界中の絶滅危惧種と共に、全世界の 430万種類の生物種の生体材料が貯蔵される予定だ。




  

2015年01月03日



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Frozen

今回のタイトルの「どのみち、私たちは氷河期の中で生まれて、氷河期の中で死んでいく」というのは奇妙な響きだと思われるかもしれないですが、このあたりは、スノーボールアース - Wikipedia の下の記述で納得していただけるのではないかと思います。

地球はその誕生以来何度か氷河期と呼ばれる寒冷な気候に支配される時代があった。現在判明しているもっとも古い氷河期は南アフリカで発見された約29億年前のポンゴラ氷河時代で、最も新しいものは現在も続いている「新生代後期氷河時代」である。最近約一万年は氷河期の中で比較的温暖な間氷期とされる。

というように、

> 現在も続いている

の表記がありますように、現在の地質科学では、現在を氷期と氷期の間の「間氷期」という位置にあるとしているようで、つまり、結局は「今の有史時代というのは、ずっと氷河期の中だった」といえそうで、そのことをタイトルに記したのでした。

そういえば、冒頭に、アナと(省略)の光景からお借りしたものを載せていますが、先月、奥さんが DVD を借りてきて、初めて家族で見たんですね。

それなりに面白かったですけれど、ああいう「サイキック氷攻撃能力を持つ姉と、平凡な妹の話」だとは予想していませんでした。

それにしても、こういうミニ氷河期っぽい映画がヒットするのも、人々の心の中に「来たるべく氷河期時代への心の準備」と関係あるのかな、と思ったりもした次第です。そもそも映画の原題「 FROZEN 」は、名詞だと「氷結期」ですしね。タイムリーだと思います。

映画ではエルサ王女は心を開きましたが、人生はいろいろとありますから、今はまた心を閉ざしてしまっているのかもしれず、そんなエルサ王女が「氷アターック!」と叫びながら(そんなかけ声はなかっただろ)、地球を凍らせているのかもしれないですね。

そして、そのせいということもないのでしょうが、日本も世界も天候が大変なことになっています。




日本の大雪。そして世界の大雪

日本各地でえらい大雪が続いていることが報じられているのですが、これが平年の同時期と比べて、どのくらい激しいものなのかを示す図が気象庁のウェブサイトに掲載されています。

snow-anomaly-2015.gif
積雪の深さ 平年比 2015年1月3日7時00分

地図上の四角いドットのうち、

赤の部分が平年の 200パーセント以上の積雪量

紫の部分が平年の 300パーセント以上の積雪量

を示しているのですが、日本海側は、赤と紫ばかりとなっていて、通常の2倍から3倍の大雪が降っている地域が多いことがわかります。通常の3倍というのは尋常なことではないです。

というより、気象庁の区分の最高値が「 300パーセント以上」までしかないので、もしかすると、400パーセントだとか、あるいは 2000パーセントだとかの地域もあるかもしれません。

というのも、「普通だと積雪があまりない場所」も各地で大変な雪となっているからです。
京都などでは、60年ぶりの大雪となっているようです。

京都市中京区で61年ぶり21センチの積雪
産経ニュース 2015.01.03

kyoto-20150103.jpg

冬型の気圧配置が強まり、元日から3日未明にかけて京都市内は大雪に見舞われた。京都地方気象台によると、京都市中京区では3日午前0時、昭和29年に41センチを観測して以来、61年ぶりに20センチを超える21センチを記録した。

市内で観測史上歴代4番目の積雪という。

とのことですが、この地域の方向にお知り合いがいるのですが、

「正月休みのはずなのに、雪かきで終わり……(T_T)」

と嘆いてらっしゃいましたが、同じような方々もたくさんいらっしゃるかもしれないです。

私の住む埼玉でも、昨年の2月に歴史的な大雪が降り、その時には自分の住む建物の雪かきは(他の住人の方々が誰もやらなそうでしたので)私がやったんですが、「雪かき道具がない」ことに、その時にはじめて気づいたりしました。

北海道に住んでいた頃には、当たり前にどの家にもあった、スノーシャベルや、「ママさんダンプ」と呼ばれる除雪道具が用意できずに苦労しました。ママさんダンプは下のようなものです。

mamasan-dump.jpg
tenki.jp

この「ママさんダンプ」は通称ですが、それが正式名だといっていいほど、それ以外の呼称を聞いたことがありません。私の子どもの頃から雪国での必需品です。「一家に1台」と言いたいですが、実際には、一家に2台や3台あるのが普通でした。

もっとも、最近は高齢化が進んだせいもあり、北海道などでは、力の不要な電気やガソリン駆動の除雪機が多く使われているようです。


そして、この各地の大雪なんですけど、とりあえず直近は雪が収まっても、この冬全体として考えてみますと、まだまだ続きそうな感じはあります。

これは気象予測的な考えに基づくものではないです。

少し前の記事、

小惑星の地球への突入から始まった2014年の最後の日々に「世界の海氷面積が観測史上最大」に
 2014年12月31日

でもふれましたように、以下の3つの理由などにより、雪にしても寒さにしても、今後増していくのではないかというような気配はあります。あくまでも「気配」であって、予測でも断定でもありません。

1. 北半球全体の積雪面積が過去最大で、現在も増加し続けていること

Northern-Hemisphere-snow5.gif
・ラトガース大学 全球降雪研究所( Rutgers University Global Snow Lab

2. 海水の表面温度が高いままなこと

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NOAA

3. 太陽活動の低下と火山噴火の増加で地球の寒冷化が進行していること

下は 2012年 1月29日のデイリーメールの記事で、 次の太陽活動周期である「サイクル25」は極めて弱い太陽活動となり、そのため、「地球がかつての極小期のような寒冷化に向かう可能性が高い」と、NASA の科学者が主張しているという内容のものです。

nasa-frozen.gif

▲ 2014年12月29日の英国デイリーメールより。


NASA の科学者の予測では、次の太陽周期は、1790年から1830年まで続いたダルトン極小期と呼ばれる寒冷化を伴った極小期より太陽活動が弱くなる可能性が 92パーセント以上あるとしているのだそう。

このデイリーメールの記事にある予測グラフは、かなり衝撃的なものです。

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グラフの右端の下に「 25」とあるのがサイクル25で、ほんのちょっとだけ山型になっていますが、デイリーメールで紹介される科学者たちは、次の太陽活動周期のサイクル25は全体を通してほとんど活動しないと予測していることがわかります。

この科学者の予測が正しい場合、私たちは今後、「経験したことのない寒冷期」に突入する可能性があります。

火山噴火と寒冷化については、過去記事、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
 2014年11月08日

などに記したことがありますが、そこで、

火山灰の分子が、太陽光の地球への到達を遮る

ということが研究によりわかったことを書いたりしています。

そして、現在、大雪は日本だけではなく、北半球の非常に広い範囲に影響を与えています。

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雪に覆われる北半球

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▲ 2014年12月31日のリビアのメディア alwasat より。


上の報道は、リビアの首都のトリポリで大晦日に雪が降ったということを報じているものです。
リビアは北アフリカの下の位置にあります。

n-africa-2015.gif


そして今、この北アフリカのリビア、チュニジア、アルジェリアや、あるいは地中海に面したギリシャ、そして、トルコなど、本来温暖な地域の各地で、雪、あるいは大雪が降り続いています。

turkey-snow-2015.gif

▲ 2014年12月30日の Hurriyet Daily News より。


上の記事は 12月30日のもので、まだ予測の段階でしたが、年明けに実際にトルコでどのくらい雪が降ったかといいますと、1月2日の現地メディアによりますと、多い地域で 53センチの積雪があった場所もあったりと、かなりの大雪となっているようです。

そして、トルコの雪は現在も継続しているようですので、さらに積雪が増える見込みのようです。

また、北アフリカに関しては、気温が通常では考えられないほど低い上に、天候も荒れていて、雪が降らない場所でも、大雨による洪水が起きていることが、アルジャジーラなどで報じられています。

北アフリカの悪天候に関してのアルジャジーラの記事をご紹介いたします。



Cold and wet in North Africa
Aljazeera 2015.01.01


寒くて雨の多い北アフリカ


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▲ 12月31日にトリポリでは 12月の平均雨量の 20パーセントに相当する雨が1日で降った。


ギリシャ、トルコ方面から周回してきた強い寒気を含む大気が、地中海沿岸の北アフリカに季節外れの寒さと荒れた天候をもたらしている。この数日、リビアとチュニジアでは、気温が二桁に届かない状態が続いている。

マルタ共和国では、豪雨と雹(ひょう)を含む非常に激しい悪天候に見舞われ、浸水被害、雹による凍結の被害が起きている。

マルタ南東部のルアでは大晦日の最高気温が 7℃までしか上がらないという記録的な低温となった。
最低気温は 2℃まで下がった。

チュジニアのチュニスでは、気温が 6℃にまで下がった。それに加えて、チュニスでは、深刻な強風が吹き荒れていて、体感気温はそれよりもはるかに低かったと思われる。

リビア北部では、過去最悪級の悪天候による大雨のために洪水が発生している。
また、最高気温も 11℃までしか上がらなかった。




他にもアメリカや、ヨーロッパの各地で大雪や寒波の報道が相次いでいますが、日本を含めて、今シーズンの冬の今後が気になるところです。場合によっては、ママさんダンプ購入という悲壮な決意もしなければならないかもしれません。

いずれにしましても、新年早々、日本各地が雪の混乱で大変で、予想外の大雪に見舞われている地域の方々は、お正月休みどころではない方もいらっしゃると思いますが、お体など気をつけて作業されて下さい。

エルサ王女がまた心を開きますように。

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(T_T)



  

2015年01月01日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





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▲ 海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイの2009年の噴火。2014年12月30日の THE WATCHERS より。






 


新年になりました。

明けて、おめでたいのかどうかは微妙ですので、そちらの挨拶は控えさせていただきまして、今年もよろしくお願いいたします。

ところで、昨日の記事、

小惑星の地球への突入から始まった2014年の最後の日々に「世界の海氷面積が観測史上最大」に
 2014年12月31日

に、2014年のラストの大きな出来事が「海氷面積が観測史上で最大になったこと」としたのですけれど、今日になって、もう少しいろいろと起きていたことを知りました。

12月の終わりに、世界の有名な2つの火山が大規模な噴火を起こしていたのです。




ここ数年活動の激しいインド・オーストラリアプレート周辺で起きた大噴火

ひとつは冒頭の写真の海底火山です。

トンガの首都ヌクアロファの北西 63キロメートルに位置する「フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ」( Hunga Tonga-Hunga Ha’apai )という、これもまたやや覚えにくい名前の海底火山が噴火していることが地元の漁師たちに目撃され、空中撮影により噴火が確認されたのでした。

Tonga-volcano.jpg
WIRED

上の空中撮影写真を見ると、海水の変色は 20キロメートル以上にわたっているように見え、海底でかなり激しい活動が起きているようです。

冒頭の写真は 2009年に噴火した時のものですが、当時のニュース映像で、その激しさがわかります。
下は AP通信が撮影した当時の噴火の様子です。




この場所なんですけど、地図に示すと下の位置になります。
以下、名称を「フンガ・ハーパイ」と記載します。

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この地図だけで見ましても、この場所の「意味」がわかりにくいと思いますが、実は、ここは、「「太平洋プレート」と「インド・オーストラリアプレート」の境界」のあたりにありまして、このインド・オーストラリア・プレートの周囲では、ここ2、3年、いろいろなことが起きているのです。

たとえば、過去記事、

地図から消滅した南太平洋のサンディ島: 古代の超大陸が分裂したと考えられる海域での「異変」
 2012年11月23日

でご紹介した「地図から消えた島」の位置なども加えて、プレートを同時に示したものが下の地図となります。

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地図にある「2日間で400メートル海底が隆起したことが示された場所」というのは、

インド・オーストラリアプレートの境界で急速な「海底隆起」が起きているかもしれない: NOAA のグラフが示した異常な水深変化
 2012年12月05日

という記事でご紹介しました、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の水深グラフに下のような異常がいくつか見つかった場所です。

2012年8月20日〜9月3日の水深の変化
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また、「 2010年に海域に突然、山が隆起した場所」というのは、

インドネシアのバリ島海域に新しい島が突如隆起
 2010年11月14日

という記事でご紹介したもので、

大量の岩か、あるいは山のような隆起がバリ州ジュンブラナ県の海域に突然現れた。住民たちはこれを「山の子ども」と呼び、地区の住民たちの間には、火山が現れたのではないのかとして不安が広がっている。


という内容のインドネシアの報道をご紹介したものでした。

西之島のような現象が起きたのだと考えられますが、続報の有無がわかりませんので、出現した山が今どうなっているのかはわかりません。

あと、地図に「海底火山モノワイ」というのがありますが、これは、2012年に、「南太平洋に大量の軽石が浮かんでいる」ことが報道されたことがあり、海底火山モワイの活動と関係しているのではないかとされていました。

下は当時の CNN の報道です。

南太平洋上に白い巨大物体が浮遊、海底火山噴火が原因の「軽石」か
CNN 2012.08.11

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ニュージーランド海軍は9日、南太平洋上に浮かぶ約2万6000平方キロメートル以上の巨大な軽石を発見した。

火山学者のヘレン・ボストック氏は、この軽石は海底火山の噴火でできたと見ており、今後噴火した火山を特定するための調査が行われるが、最近この付近では海底火山「モノワイ」の活動が確認されており、軽石はモノワイの噴火によって生成された可能性があるという。

こんなように、わりといろいろなことが起き続けている海域なのです。

その海域で、現在、フンガ・ハーパイが大噴火を起こし始めているわけでして、上の地図を見ますと、「ほぼすべての出来事がプレートの境界の近辺で起きている」ということもあり、このあたりのプレートの活動が活発化している可能性があります。

なお、ニュージーランドには、「7つの超巨大火山」のうちのひとつで、1900年前頃に噴火したと考えられる「タウポ」と呼ばれるカルデラ群があります。


火山活動は、たとえ海底火山の噴火であっても、天候の寒冷化に関係することについては、多分同じで、このあたりの地質的変化がさらに激しくなった場合、変化そのものはゆっくりとしたものでも、気候や環境に影響を与え続けていくもののように思います。

また、過去記事、

環太平洋火山帯の目覚め?
 2014年06月23日

という記事などで書いたことがありますが、現在、「環太平洋火山帯」の全体で火山活動が増加しています。

特に、下で丸で囲んだアリューシャン列島付近の噴火活動が激しいのですが、そこに今度はインド・オーストラリアプレート近辺での活動も活発化してきているのかもしれません。

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全宇宙を崩壊させたテュポンが封印された山で

あとは、イタリアのエトナ火山も一昨年の噴火以来、最大の噴火を起こしたことが報じられています。

エトナ火山自体は頻繁に噴火する火山ですが、今回のはかなり強力なもので、写真を見ても、幻想的でありつつ悪魔的にも感じる姿を見せています。

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Twitter


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Twitter


ところで、タイトルに「全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日」という言葉を入れた理由なんですが、エトナ火山 - Wikipedia に以下の記述があったからです。

エトナ火山は、神話において、テュポンが封印された場所だとされる。

この「テュポン」とはどんなものかといいますと、テューポーン - Wikipedia によりますと、

テューポーンは、ギリシア神話に登場する神、あるいは怪物たちの王。体躯は宇宙に到達するほど巨大とされ、地球を焼き払い、天空を破壊し、灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させた。

その力は神々の王ゼウスに比肩するほどであり、ギリシア神話に登場する怪物の中では最大最強の存在である。


という、

> 灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させた。

だとか、

> ギリシア神話に登場する怪物の中では最大最強

というような存在だそうです。

そして、ギリシア神話の主神であり、また、全宇宙や天候を支配し、人類と神々双方の秩序を守護する天空神であるゼウスと、このテュポンは「宇宙最大の死闘」を繰り広げるのです。

死闘は一時は、テュポンの優勢で進みますが、後半に他の神々がゼウスの救援にやって来て、今度は、テュポンが劣勢となります。この続きを Wikipedia から抜粋いたしますと、

敗走を続けたテューポーンは悪あがきとして山脈そのものをゼウスに投げつけようとしたが、激しい雷によって簡単に弾き返され、最後はシケリア島まで追い詰められ、エトナ火山の下敷きにされた。

不死の魔神であったため、ゼウスも封印するしかなかった。以来、テューポーンがエトナ山の重圧を逃れようともがくたび、噴火が起こるという。

ゼウスとテューポーンの全宇宙を巻き込む激闘の後、ゼウスは激しい雷の一撃で世界を尽く熔解させ、そのままテューポーンを全宇宙の奈落にあるタルタロスへ放り込んだとする説もある。


という、もう、地球に住む他の者にとって、迷惑この上ない死闘を繰り広げたわけですが、不死の魔神とありますように、「かつて全宇宙を崩壊させたテュポン」は、神話の上では死んだわけではなく、今もエトナ火山の下に封印されたままということのようです。

もし、封印が解かれたしまった場合、またも、主神ゼウスとテュポンの死闘が始まり、「灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させる」というようなことになってしまうのですかねえ。

いやあ、いい1年になるといいですね(そう思える話の流れじゃないぞ)。

まあ、冗談は抜きにして、いろいろと大変なこともあるのかもしれないですが、In Deep を読んで下さっている皆様方においては良いお年となることを期待しております。

もちろん、私自身もできるだけ良い年として過ごしたいと思っております。