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2015年01月04日



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「霊」はどこにいるのか。あるいはいないのか : 大量死の時代に思う生と死と「その後」



ghost-live-our.gif

▲ 2014年11月7日の Discovery News より。




その死者を愛した者だけが幽霊を見るという語句に誘われて

河北新報に興味深い記事が出ていました。

霊、時には癒やしに 男性、被災地で幽霊話取材
 河北新報 2015.01.04

miyagi-ghost.jpg


全文は上のリンクからお読みいただくとして、内容としては、奥野修司さんというジャーナリストの方が、東日本大震災の被災地で、「犠牲者の霊を見た家族や知人から聞き取りを進めている」というものでした。

そのジャーナリストの方が、幽霊の取材を始めたきっかけについては、以下のように答えていました。

「岡部医院(名取市)の看取り医療の取材で『お迎え』の重要性に気付いた。いまわの際に、亡くなった両親や親類を見る人は死に方が穏やか。その延長線で霊を見た人が被災地に多いと聞いた。『うちの患者は2割くらい見ている』と言う医師もいた。もう特殊な現象ではないと感じた」

とのことで、「もう特殊な現象ではない」というのは「被災地で故人の幽霊を見ること」が特殊な現象ではないということです。現地のお医者さんによっては、患者さんの「2割ほど」が幽霊を見ているということもあるのだそう。

そして、実は興味を持ったのは、ここまでの部分ではなく、以下の下りでした。

なぜ幽霊を見る遺族がいるのだろう」という質問に対して、ジャーナリストの方は、

「亡くなった家族への強い思いが霊を見させるのかもしれない。殴られたり怒鳴られたりした、憎悪の対象だった家族の霊を見たという話は聞かない」

と述べています。

> 憎悪の対象だった家族の霊を見たという話は聞かない。

ここに興味を持ったのですね。

つまり、「愛されて死んでいった人が、その人を愛した人によって見られる幽霊の話だけが存在する」ということだと思います。

逆にいえば、憎悪の対象だった家族が亡くなっても、その故人を憎悪していた人たちはその人の幽霊を見ない。

こうなりますと、幽霊の存在の有無はともかくとして、

「見る方(故人を愛した生きている方)にも、幽霊を見るメカニズムが働いているのでは?」

ということが言えそうな気がします。

そういえば、私がまだ中学生くらいの時だったと思いますが、父親が、父方の祖父の幽霊を見た時の話を私にしてくれたことがあります。

父方は、祖父が先に亡くなったのですが、亡くなってすぐ後のお葬式前後だったと言っていたと記憶していますが、実家の廊下を歩いていた祖母の背中に亡くなった祖父がおぶさっていた(あるいは、寄り添うようにしていた)のだそうです。

祖母自身は、自分が祖父の幽霊(のようなもの)が背中におぶさっていることには気づいていなかったようで、私の父親だけが後ろからその光景を見ていたそうです。

うちの父親は非常に真面目な人物で、変な冗談を言うような人ではないので、本当に見たのだと思いますが、その時にも私は今回の東北での幽霊と同じような「出る方(幽霊)ではなく、見る方(送る家族・知人など)が主体なのではないのかな」と感じたことがあります。

というのも、その時、私は父に、

私 「今までも幽霊を見たことがあるの?」

と聞いたのですが、父は、

父 「いや、ない」

と言っていたからです。

幽霊など1度も見たことのない父親が(その後も見ていないとすれば)、唯一見たのが、自分の父親が母親の背中に寄り添っている幽霊だったとすると、「幽霊の存在って、出る方じゃなく、受け手にあるのでは?」と何となく思いました。

もっと、極論として書きますと、

幽霊という存在が存在しているのではなく、私たちの心や体の中に《それを存在させる》メカニズムがあるのではないか。

というようなことを思ったりもします。




幽霊の存在する場所

そして実は、そのことについての実験についてを報道したのが冒頭に貼った「幽霊たちは私たちの脳の中に存在している?」という昨年のディスカバリーのニュースなのです。このニュースは、昨年の11月に BBC などでも報道されまして、その時にご紹介しようかどうか迷いました。

結局、その時はご紹介しなかったのですが、今回の河北新報の記事を読みまして、この記事を思い出しました。

この実験は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校という大学の実験室で行われた「脳の感覚に干渉する実験」で、その結果として、被験者は、「実際にはその実験室には存在していない対象の存在を感じた」ことが確かめられたもので、被験者の中には、4人の幽霊の存在を感じた人もいたそうで、この実験により、

幽霊の存在は、私たちの脳の中にある感覚把握機能に異常が生じた場合に、自らの脳の中で作り出されている可能性がある。

ことを述べています。

今回は後でこのディスカバリーの記事をご紹介したいと思います。

このスイスの実験の主張では「幽霊存在そのものはない」というようなことになっていますが、しかし、私自身は、先の父の幽霊目撃の話を聞いた時にも思いましたように、幽霊の存在の有無が大事なのではなく、「幽霊を見る」ということが重要なことのような感じはするのです。

「愛した人が見ることのできる存在」ということが重要だと言い換えてもいいかもしれません。

先ほどの河北新報の記事で、被災地で幽霊取材をしている奥野修司さんは、取材に以下のようなことを答えています。それぞれ抜粋です。

「幽霊がいるかいないかを議論すると泥沼に入る。その人が見たという事実だけを素直に受け止めようと考えた。」

「お迎えもそうだが、科学的に証明できない体験はすぐに、せん妄とか幻覚とかで処理され、病気扱いされる。人間には科学で説明できない領域がたくさんある。幽霊がマイナスの作用をしない限り、分からないけれど、そういうものがあってもいいと受け止めることが大事ではないか」

「これまで否定されてきたこと、いかがわしいと切り捨てられてきたものを再評価したい気持ちが、私の仕事の根本にある。新しい価値観を見つけることで、新しい世界が生まれる。社会の選択肢が多くなる」

私はこの方の言う「新しい価値観を見つけることで、新しい世界が生まれる」ということはとても正しいことだと思います。

私自身に関していえば、回りくどく書きますと、幽霊の存在は実質的にはあると思います。

「実質的には」と書いたのは、「存在はしないかもしれない」と考えているからです。

しかし、存在しようがしまいが、故人を愛した人々は、その故人の霊を確かに見ている。
この意味で、「実質的には存在している」ことに異論の余地はないと思われます。

過去記事の、

人類は宇宙へは行けないし、異星人たちも地球には来られないことを悟る中、人々から「神の存在が消えていっている」ことも知る
 2014年10月29日

では、ロンドンの調査会社が、イギリスの成人 1,500 人と、子ども 500 人を対象として「スピリチュアルなものの何を信じるか」という調査をしたことを記事にしました。

成人に関しての結果は以下のようになりました。

英国の成人が信じる超自然的な存在トップ5

1位 幽霊( 55 %)
2位 エイリアン( 51 %)
3位 UFO( 42 %)
4位 天使( 27 %)
5位 神( 25 %)

信じるものの成人のトップは「幽霊」でした。
この数程度の調査なら、イギリスの全国民を調査しても、それほど誤差は出ないと思われます。

さらに、

2600年前のブッダが語った「無数の宇宙 / パラレルワールド」が現代の量子論の中で蘇る中で感じること
 2014年11月05日

という記事では、アメリカの成人 2500人を対象としたさまざまな現象を信じる割合」を調査した結果を記しましたが、「幽霊」に関しては、アメリカでは、成人全体の 52% が幽霊の存在を信じているという結果とななっていました。

この比率はイギリス人成人の

「幽霊( 55 %) 」

と、さほど変わらない割合ですので、英米に関しては、どちらも約半数程度の人が幽霊の存在を信じているということになりそうです。

ちなみに、日本に関しては、2013年7月に調査されたものがあります。

幽霊の存在を信じる57.4% 女性の5人に1人は心霊体験あり
DD News 2013.07.23

インターネット調査のネオマーケティングが「ホラーに関する調査」を実施、その結果を発表した。調査は2013年7月4日〜8日の5日間、20歳〜59歳の全国の男女500名を対象に行われた。

幽霊の存在を信じるか、という質問には、全体で57.4%が「はい」と回答し、半数を超える人が幽霊の存在を信じていることがわかった。

また男女別の集計では、「はい」と回答した男性が50.8%に対して女性は64.0%と差が生まれたことから、男性よりも女性の方が幽霊の存在を信じている割合が高いと言えそうだ。

日本人の場合は男女差があるようですが、総計では、やはり大体半数くらいのようです。

ところで、私自身は、先ほど書いたよりも正確に書きますと、幽霊というものは実質的には存在するにしても、それは受け手(見る側)の事象であり、外部的なものとして存在するとは思っていません

なぜかというと、「死後の霊の外部的存在」を肯定してしまうと、「死にも邪魔されることのない人間の意志の永遠性」を否定してしまうことになるような気がするからです。

ジョン・レノンの曲に DNA を修復するといわれるソルフェジオ周波数 528Hz コード「だけ」で作られていたものがあることに気づいた日
 2014年08月26日

という記事で、ビートルズの 528Hz ワンコード進行となった「トゥモロー・ネバー・ノウズ」という曲のことを書いたことがありますが、トゥモロー・ネバー・ノウズの歌詞の最初の部分の日本語訳は下のようなものです。

こころのスイッチを切って、
リラックスして
流れに任せなさい

死んでいくのではない
死んでいくのではない


この歌詞は、ティモシー・リアリーという人の書いた『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』に触発され、ジョン・レノンが書いたものですが、その中に、以下のような下りがあります。

『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』より

このことを覚えておいてもらいたい。
休みない生命電気の向こうに、究極のリアリティ、空(くう)があることを。
形や色をもったものに形成されないあなた自身の意識は本質的に空なのだ。
最終的なリアリティ。
完全な善。
完全な平和。
光。

この空(くう)は無ではない。
カオスであり、混沌なのだ。
カオスは始まりであると同時に終わりであり、絶え間なく変化しながら輝き、脈動し、至福をもたらす。

これは「死」というものは、宇宙が生まれた時と同様の「カオス」に戻るということを示していそうな感じで、そのカオスは「絶え間なく変化しながら輝き、脈動」しながら、次の生(誕生)に輪廻するという考えが、この書で説かれているわけですが、まあ、私もおおむねそのようなものだろうとは思いますけれど、そうなると、

「死んだ後に、生前の姿形を持っていることは許されない」

はずです。

人間が死んだ瞬間に、その意識は、「形や色をもったものに形成されない」自分自身の意識に転換していくのだとすると、目に見えるような生前の痕跡はあってはならないことです。

それが「死という現象」なのだとすると、幽霊というものは「死者からの関わりではなく、生きているものの働きによって出現する」と思えて仕方ないのです。

もちろん、そうではないかもしれませんし、これはあくまで私の考えです。

しかし、このことを思ってからは、むしろお墓参りなどに行くことが多くなりました。生きている自分と死後のカオスを結ぶ接点が、「死者に対しての強い思い」であるように思うからです。

このあたりは、ちょっとうまくお伝えできなくて、すみません。




大量死の時代に

そういえば、河北新報の記事には、ジャーナリストの方が、

「長年取り組んだ沖縄の取材でも、沖縄戦の直後、たくさんの幽霊話があったと聞いた。今後も何か大きな災いがあった時、霊を見る人間が増えるかもしれない。」

と述べている部分がありますが、ふと思えば、現在は、

赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ…
 2014年04月06日

などをはじめとして何度か記している「犠牲の時代」になるかもしれない、ということがあります。

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2014年4月15日から 2015年9月28日までの期間が、「大量死の時期」になる予感というようなことを書いたりしていました。その理由については、上の記事などをご覧いただければ幸いです。

そして、2014年に起きた様々な災害や事故や病気を見ていますと、あながち、それも単なる思い込みだけとも思えない部分もありました。

しかし、ここでふと「 20世紀という時代そのものが、かつてない大量死の時代だった」ことを思い出したのでした。

それを思い出したのは、作家の埴谷雄高さんと、長編小説『死霊』(しれい)を、 NHK 教育が「5夜連続」で取り上げた 1995年のテレビ番組『埴谷雄高・独白「死霊」の世界』という番組の中での以下のナレーションを思い出したことによるものでした。

『埴谷雄高・独白「死霊」の世界』より

20世紀は革命と大量死の時代である。『死霊』の作者埴谷雄高氏の出発を支えたものは、こうした死者たちの犠牲の上に生きのびてきたという認識であり、死者たちへの責任を果たすという悲壮な決意であった。

『死霊』の扉には次のような言葉が掲げられている。

 悪意と深淵の間に彷徨いつつ
 宇宙のごとく
 私語する死霊達

つまり、生者に見捨てられた死者たちがこの小説の主人公なのである。

その 20世紀がどれだけ凄まじい大量死の時代だったかというと、戦争と共産主義による粛正と病気だけをとりましても、以下のようになります。

これらの死者数はどれも正確な数はわからなく、資料によりまちまちですが、1900年代以降だけで、

戦争の死者数

・第1次世界大戦の死者数  852 万人 
・第2次世界大戦の死者数 5565万人(8500万人とする統計もあり)
・ベトナム戦争 236万人
・朝鮮戦争 300万人
・アフガン内戦 150万人
・スーダン内戦 150万人


他にも 100万人単位で死者が出ている戦争は、ナイジェリアのビアフラ内戦とか、カンボジア内戦とか、モザンビーク内戦とか、いろいろとあります。


共産主義政権の粛正による死者数

・スターリンによるソ連の大粛正 最大で 700万人
・毛沢東による中国の文化大革命 5000万人から 8000万人(実際は不明)
・ポル・ポトによるカンボジアでの粛正 200万人(実際は不明)
・北朝鮮 200万人
・ベトナム 100万人
・東欧 100万人



病気の死者数

・スペインかぜ(1918年〜)での死者 4000万人〜5000万人
・エイズでの死者(累計) 2500万人〜3300万人


もうキリがないですが、20世紀というのは、このような時代でもあったんですね。

これからの世の中でも、たくさんの死者が発生する可能性もあり、そして、多くの「幽霊」たちが、私たちの存在と共に地上に現れるのかもしれません。

それでは、ここから、ディスカバリー・ニュースの記事です。



Do Ghosts Live in Our Brains?
Discovery 2014.11.07

幽霊は私たちの脳の中にいる?

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目隠しをされた研究の参加者たちは、彼らの背後のロボット装置によって、参加者たちに幽霊の錯覚につながる歪んだ認識をもたらされた。

この研究が、幽霊を信じる人たちの考えを変えることはないかもしれないが、しかし、研究者たちは、幽霊存在は「私たちの心の中にだけ住んでいる」とする証拠を得たと語る。

生物学専門誌カレント・バイオロジー( Current Biology )で発表された研究によると、科学は、人々が「実際には存在しない存在」の感覚を取得することを説明できるとしている。

研究では、参加者たちの脳の感覚入力を妨害することによって、研究室内で幽霊の感覚を再現することに成功した。相反する感覚運動信号に直面した時、参加者たちは最高で4人の幽霊を感じたと語った。

参加者の中には、実験を停止するかどうかを尋ねた時に、取り乱した人もいた。

参加者たちは目隠しをされ、体の前に手をもっていき、動かすように求められた。ロボット装置は、彼らの動きを再現しながら、彼らの背中に触れた。

参加者の動きに対して、ロボットのタッチが遅れた場合に、それが歪んだ空間認識を作り出し、それが幽霊の錯覚へとつながったと研究者たちは言う。

MRI による解析で、実験の参加者たちの脳は、3つの空間位置と関係する感覚と、自己認識に関しての領域が干渉を受けたことを確認した。

スイス連邦工科大学ローザンヌ校 認知神経科学研究所の所長オラフ・ブランケ( Olaf Blanke )博士は、「今回の私たちの研究は、実験室において、人間ではない存在の感覚を誘発した初めてのものとなります」とプレスリリースで述べている。

そして、「これ(存在しない幽霊の存在を感じること)は、競合する感覚運動信号を通して、通常の条件下でも(実験室ではなくとも)発生する可能性があることを示すものです」と述べた。

この感覚は、精神障害を持っている患者で発生する可能性があると同時に、正常で健康な精神の人々でも、異常な状況下に置かれることで発生する可能性があると、ランケ博士は言う。

研究をおこなったギウリオ・ロッニニ( Giulio Rognini )氏は、「私たちの脳は、空間の中の体に、いくつかの描写を持っています」と述べる。

そして、以下のように語った。

「通常の条件下では、これらの描写から自己の統一した自己認識を組み立てることが可能です。しかし、病気の時や、あるいは今回の実験のように、ロボットなどによって、この自己認識が正しく働かない場合、自分の身体のふたつめの描写が自分の中に作られる可能性があるのです。この場合は、(自分の動きにも関わらず)それを自分だとは認識せず、何か他の『存在』として認識するのです」




(訳者注) ここまでです。

あまりわかりやすい内容とはいえないですが、つまり、

脳の自己認識と空間認識をつかさどる場所の認識を妨害すると、自分の動きを自分の動きとして認識せず、「他の何かの存在」として認識する。

ということだと思います。

また、ブランケ博士は「この状態は精神に障害のある人に発生しやすい」というようなことを言っていますが、一部の精神疾患や一部の認知症で多発する幻覚もこのような仕組かもしれません。

また、博士は、

「正常で健康な精神の人々でも、異常な状況下に置かれることで発生する可能性がある」

と言っていますが、人々が経験する可能性のある中で、最大の「異常な状況下」は、やはり「災害」だと思ってしまいます。

ジャーナリストの奥野修司さんが、記事で、「今後も何か大きな災いがあった時、霊を見る人間が増えるかもしれない。」と述べていましたが、確かにそうかもしれません。

この世に生きていて最も自分の精神が混乱することは、愛する人の死や負傷であるのは多くの人びとに共通だと思います。

もちろん、幽霊の存在に関して、今回のこのひとつの実験で語られるというものではないです。
ただ、このスイスの実験のようなタイプの「霊体験」は、私も存在すると思います。

しかし、その一方で、「それともまた違う存在」というような可能性もあるわけでして、そのあたりは、結局、私たちひとりひとりの霊といったようなものに対しての考えや、スピリチュアルに対しての考え方によるものなのかもしれないです。

そして、ひとりひとりが違う認識でいいのだと思います。

愛する人に絡む問題の「霊」に関して、何かひとつの概念に断定する必要はないはずです。

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2015年01月03日



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snowball-earth-top.jpg
Frozen

今回のタイトルの「どのみち、私たちは氷河期の中で生まれて、氷河期の中で死んでいく」というのは奇妙な響きだと思われるかもしれないですが、このあたりは、スノーボールアース - Wikipedia の下の記述で納得していただけるのではないかと思います。

地球はその誕生以来何度か氷河期と呼ばれる寒冷な気候に支配される時代があった。現在判明しているもっとも古い氷河期は南アフリカで発見された約29億年前のポンゴラ氷河時代で、最も新しいものは現在も続いている「新生代後期氷河時代」である。最近約一万年は氷河期の中で比較的温暖な間氷期とされる。

というように、

> 現在も続いている

の表記がありますように、現在の地質科学では、現在を氷期と氷期の間の「間氷期」という位置にあるとしているようで、つまり、結局は「今の有史時代というのは、ずっと氷河期の中だった」といえそうで、そのことをタイトルに記したのでした。

そういえば、冒頭に、アナと(省略)の光景からお借りしたものを載せていますが、先月、奥さんが DVD を借りてきて、初めて家族で見たんですね。

それなりに面白かったですけれど、ああいう「サイキック氷攻撃能力を持つ姉と、平凡な妹の話」だとは予想していませんでした。

それにしても、こういうミニ氷河期っぽい映画がヒットするのも、人々の心の中に「来たるべく氷河期時代への心の準備」と関係あるのかな、と思ったりもした次第です。そもそも映画の原題「 FROZEN 」は、名詞だと「氷結期」ですしね。タイムリーだと思います。

映画ではエルサ王女は心を開きましたが、人生はいろいろとありますから、今はまた心を閉ざしてしまっているのかもしれず、そんなエルサ王女が「氷アターック!」と叫びながら(そんなかけ声はなかっただろ)、地球を凍らせているのかもしれないですね。

そして、そのせいということもないのでしょうが、日本も世界も天候が大変なことになっています。




日本の大雪。そして世界の大雪

日本各地でえらい大雪が続いていることが報じられているのですが、これが平年の同時期と比べて、どのくらい激しいものなのかを示す図が気象庁のウェブサイトに掲載されています。

snow-anomaly-2015.gif
積雪の深さ 平年比 2015年1月3日7時00分

地図上の四角いドットのうち、

赤の部分が平年の 200パーセント以上の積雪量

紫の部分が平年の 300パーセント以上の積雪量

を示しているのですが、日本海側は、赤と紫ばかりとなっていて、通常の2倍から3倍の大雪が降っている地域が多いことがわかります。通常の3倍というのは尋常なことではないです。

というより、気象庁の区分の最高値が「 300パーセント以上」までしかないので、もしかすると、400パーセントだとか、あるいは 2000パーセントだとかの地域もあるかもしれません。

というのも、「普通だと積雪があまりない場所」も各地で大変な雪となっているからです。
京都などでは、60年ぶりの大雪となっているようです。

京都市中京区で61年ぶり21センチの積雪
産経ニュース 2015.01.03

kyoto-20150103.jpg

冬型の気圧配置が強まり、元日から3日未明にかけて京都市内は大雪に見舞われた。京都地方気象台によると、京都市中京区では3日午前0時、昭和29年に41センチを観測して以来、61年ぶりに20センチを超える21センチを記録した。

市内で観測史上歴代4番目の積雪という。

とのことですが、この地域の方向にお知り合いがいるのですが、

「正月休みのはずなのに、雪かきで終わり……(T_T)」

と嘆いてらっしゃいましたが、同じような方々もたくさんいらっしゃるかもしれないです。

私の住む埼玉でも、昨年の2月に歴史的な大雪が降り、その時には自分の住む建物の雪かきは(他の住人の方々が誰もやらなそうでしたので)私がやったんですが、「雪かき道具がない」ことに、その時にはじめて気づいたりしました。

北海道に住んでいた頃には、当たり前にどの家にもあった、スノーシャベルや、「ママさんダンプ」と呼ばれる除雪道具が用意できずに苦労しました。ママさんダンプは下のようなものです。

mamasan-dump.jpg
tenki.jp

この「ママさんダンプ」は通称ですが、それが正式名だといっていいほど、それ以外の呼称を聞いたことがありません。私の子どもの頃から雪国での必需品です。「一家に1台」と言いたいですが、実際には、一家に2台や3台あるのが普通でした。

もっとも、最近は高齢化が進んだせいもあり、北海道などでは、力の不要な電気やガソリン駆動の除雪機が多く使われているようです。


そして、この各地の大雪なんですけど、とりあえず直近は雪が収まっても、この冬全体として考えてみますと、まだまだ続きそうな感じはあります。

これは気象予測的な考えに基づくものではないです。

少し前の記事、

小惑星の地球への突入から始まった2014年の最後の日々に「世界の海氷面積が観測史上最大」に
 2014年12月31日

でもふれましたように、以下の3つの理由などにより、雪にしても寒さにしても、今後増していくのではないかというような気配はあります。あくまでも「気配」であって、予測でも断定でもありません。

1. 北半球全体の積雪面積が過去最大で、現在も増加し続けていること

Northern-Hemisphere-snow5.gif
・ラトガース大学 全球降雪研究所( Rutgers University Global Snow Lab

2. 海水の表面温度が高いままなこと

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NOAA

3. 太陽活動の低下と火山噴火の増加で地球の寒冷化が進行していること

下は 2012年 1月29日のデイリーメールの記事で、 次の太陽活動周期である「サイクル25」は極めて弱い太陽活動となり、そのため、「地球がかつての極小期のような寒冷化に向かう可能性が高い」と、NASA の科学者が主張しているという内容のものです。

nasa-frozen.gif

▲ 2014年12月29日の英国デイリーメールより。


NASA の科学者の予測では、次の太陽周期は、1790年から1830年まで続いたダルトン極小期と呼ばれる寒冷化を伴った極小期より太陽活動が弱くなる可能性が 92パーセント以上あるとしているのだそう。

このデイリーメールの記事にある予測グラフは、かなり衝撃的なものです。

cycle25-level.gif


グラフの右端の下に「 25」とあるのがサイクル25で、ほんのちょっとだけ山型になっていますが、デイリーメールで紹介される科学者たちは、次の太陽活動周期のサイクル25は全体を通してほとんど活動しないと予測していることがわかります。

この科学者の予測が正しい場合、私たちは今後、「経験したことのない寒冷期」に突入する可能性があります。

火山噴火と寒冷化については、過去記事、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
 2014年11月08日

などに記したことがありますが、そこで、

火山灰の分子が、太陽光の地球への到達を遮る

ということが研究によりわかったことを書いたりしています。

そして、現在、大雪は日本だけではなく、北半球の非常に広い範囲に影響を与えています。

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雪に覆われる北半球

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▲ 2014年12月31日のリビアのメディア alwasat より。


上の報道は、リビアの首都のトリポリで大晦日に雪が降ったということを報じているものです。
リビアは北アフリカの下の位置にあります。

n-africa-2015.gif


そして今、この北アフリカのリビア、チュニジア、アルジェリアや、あるいは地中海に面したギリシャ、そして、トルコなど、本来温暖な地域の各地で、雪、あるいは大雪が降り続いています。

turkey-snow-2015.gif

▲ 2014年12月30日の Hurriyet Daily News より。


上の記事は 12月30日のもので、まだ予測の段階でしたが、年明けに実際にトルコでどのくらい雪が降ったかといいますと、1月2日の現地メディアによりますと、多い地域で 53センチの積雪があった場所もあったりと、かなりの大雪となっているようです。

そして、トルコの雪は現在も継続しているようですので、さらに積雪が増える見込みのようです。

また、北アフリカに関しては、気温が通常では考えられないほど低い上に、天候も荒れていて、雪が降らない場所でも、大雨による洪水が起きていることが、アルジャジーラなどで報じられています。

北アフリカの悪天候に関してのアルジャジーラの記事をご紹介いたします。



Cold and wet in North Africa
Aljazeera 2015.01.01


寒くて雨の多い北アフリカ


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▲ 12月31日にトリポリでは 12月の平均雨量の 20パーセントに相当する雨が1日で降った。


ギリシャ、トルコ方面から周回してきた強い寒気を含む大気が、地中海沿岸の北アフリカに季節外れの寒さと荒れた天候をもたらしている。この数日、リビアとチュニジアでは、気温が二桁に届かない状態が続いている。

マルタ共和国では、豪雨と雹(ひょう)を含む非常に激しい悪天候に見舞われ、浸水被害、雹による凍結の被害が起きている。

マルタ南東部のルアでは大晦日の最高気温が 7℃までしか上がらないという記録的な低温となった。
最低気温は 2℃まで下がった。

チュジニアのチュニスでは、気温が 6℃にまで下がった。それに加えて、チュニスでは、深刻な強風が吹き荒れていて、体感気温はそれよりもはるかに低かったと思われる。

リビア北部では、過去最悪級の悪天候による大雨のために洪水が発生している。
また、最高気温も 11℃までしか上がらなかった。




他にもアメリカや、ヨーロッパの各地で大雪や寒波の報道が相次いでいますが、日本を含めて、今シーズンの冬の今後が気になるところです。場合によっては、ママさんダンプ購入という悲壮な決意もしなければならないかもしれません。

いずれにしましても、新年早々、日本各地が雪の混乱で大変で、予想外の大雪に見舞われている地域の方々は、お正月休みどころではない方もいらっしゃると思いますが、お体など気をつけて作業されて下さい。

エルサ王女がまた心を開きますように。

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(T_T)

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2015年01月01日



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2009-hunga-haapai.jpg

▲ 海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイの2009年の噴火。2014年12月30日の THE WATCHERS より。



新年になりました。

明けて、おめでたいのかどうかは微妙ですので、そちらの挨拶は控えさせていただきまして、今年もよろしくお願いいたします。

ところで、昨日の記事、

小惑星の地球への突入から始まった2014年の最後の日々に「世界の海氷面積が観測史上最大」に
 2014年12月31日

に、2014年のラストの大きな出来事が「海氷面積が観測史上で最大になったこと」としたのですけれど、今日になって、もう少しいろいろと起きていたことを知りました。

12月の終わりに、世界の有名な2つの火山が大規模な噴火を起こしていたのです。




ここ数年活動の激しいインド・オーストラリアプレート周辺で起きた大噴火

ひとつは冒頭の写真の海底火山です。

トンガの首都ヌクアロファの北西 63キロメートルに位置する「フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ」( Hunga Tonga-Hunga Ha’apai )という、これもまたやや覚えにくい名前の海底火山が噴火していることが地元の漁師たちに目撃され、空中撮影により噴火が確認されたのでした。

Tonga-volcano.jpg
WIRED

上の空中撮影写真を見ると、海水の変色は 20キロメートル以上にわたっているように見え、海底でかなり激しい活動が起きているようです。

冒頭の写真は 2009年に噴火した時のものですが、当時のニュース映像で、その激しさがわかります。
下は AP通信が撮影した当時の噴火の様子です。




この場所なんですけど、地図に示すと下の位置になります。
以下、名称を「フンガ・ハーパイ」と記載します。

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この地図だけで見ましても、この場所の「意味」がわかりにくいと思いますが、実は、ここは、「「太平洋プレート」と「インド・オーストラリアプレート」の境界」のあたりにありまして、このインド・オーストラリア・プレートの周囲では、ここ2、3年、いろいろなことが起きているのです。

たとえば、過去記事、

地図から消滅した南太平洋のサンディ島: 古代の超大陸が分裂したと考えられる海域での「異変」
 2012年11月23日

でご紹介した「地図から消えた島」の位置なども加えて、プレートを同時に示したものが下の地図となります。

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地図にある「2日間で400メートル海底が隆起したことが示された場所」というのは、

インド・オーストラリアプレートの境界で急速な「海底隆起」が起きているかもしれない: NOAA のグラフが示した異常な水深変化
 2012年12月05日

という記事でご紹介しました、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の水深グラフに下のような異常がいくつか見つかった場所です。

2012年8月20日〜9月3日の水深の変化
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また、「 2010年に海域に突然、山が隆起した場所」というのは、

インドネシアのバリ島海域に新しい島が突如隆起
 2010年11月14日

という記事でご紹介したもので、

大量の岩か、あるいは山のような隆起がバリ州ジュンブラナ県の海域に突然現れた。住民たちはこれを「山の子ども」と呼び、地区の住民たちの間には、火山が現れたのではないのかとして不安が広がっている。


という内容のインドネシアの報道をご紹介したものでした。

西之島のような現象が起きたのだと考えられますが、続報の有無がわかりませんので、出現した山が今どうなっているのかはわかりません。

あと、地図に「海底火山モノワイ」というのがありますが、これは、2012年に、「南太平洋に大量の軽石が浮かんでいる」ことが報道されたことがあり、海底火山モワイの活動と関係しているのではないかとされていました。

下は当時の CNN の報道です。

南太平洋上に白い巨大物体が浮遊、海底火山噴火が原因の「軽石」か
CNN 2012.08.11

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ニュージーランド海軍は9日、南太平洋上に浮かぶ約2万6000平方キロメートル以上の巨大な軽石を発見した。

火山学者のヘレン・ボストック氏は、この軽石は海底火山の噴火でできたと見ており、今後噴火した火山を特定するための調査が行われるが、最近この付近では海底火山「モノワイ」の活動が確認されており、軽石はモノワイの噴火によって生成された可能性があるという。

こんなように、わりといろいろなことが起き続けている海域なのです。

その海域で、現在、フンガ・ハーパイが大噴火を起こし始めているわけでして、上の地図を見ますと、「ほぼすべての出来事がプレートの境界の近辺で起きている」ということもあり、このあたりのプレートの活動が活発化している可能性があります。

なお、ニュージーランドには、「7つの超巨大火山」のうちのひとつで、1900年前頃に噴火したと考えられる「タウポ」と呼ばれるカルデラ群があります。


火山活動は、たとえ海底火山の噴火であっても、天候の寒冷化に関係することについては、多分同じで、このあたりの地質的変化がさらに激しくなった場合、変化そのものはゆっくりとしたものでも、気候や環境に影響を与え続けていくもののように思います。

また、過去記事、

環太平洋火山帯の目覚め?
 2014年06月23日

という記事などで書いたことがありますが、現在、「環太平洋火山帯」の全体で火山活動が増加しています。

特に、下で丸で囲んだアリューシャン列島付近の噴火活動が激しいのですが、そこに今度はインド・オーストラリアプレート近辺での活動も活発化してきているのかもしれません。

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全宇宙を崩壊させたテュポンが封印された山で

あとは、イタリアのエトナ火山も一昨年の噴火以来、最大の噴火を起こしたことが報じられています。

エトナ火山自体は頻繁に噴火する火山ですが、今回のはかなり強力なもので、写真を見ても、幻想的でありつつ悪魔的にも感じる姿を見せています。

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Twitter


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Twitter


ところで、タイトルに「全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日」という言葉を入れた理由なんですが、エトナ火山 - Wikipedia に以下の記述があったからです。

エトナ火山は、神話において、テュポンが封印された場所だとされる。

この「テュポン」とはどんなものかといいますと、テューポーン - Wikipedia によりますと、

テューポーンは、ギリシア神話に登場する神、あるいは怪物たちの王。体躯は宇宙に到達するほど巨大とされ、地球を焼き払い、天空を破壊し、灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させた。

その力は神々の王ゼウスに比肩するほどであり、ギリシア神話に登場する怪物の中では最大最強の存在である。


という、

> 灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させた。

だとか、

> ギリシア神話に登場する怪物の中では最大最強

というような存在だそうです。

そして、ギリシア神話の主神であり、また、全宇宙や天候を支配し、人類と神々双方の秩序を守護する天空神であるゼウスと、このテュポンは「宇宙最大の死闘」を繰り広げるのです。

死闘は一時は、テュポンの優勢で進みますが、後半に他の神々がゼウスの救援にやって来て、今度は、テュポンが劣勢となります。この続きを Wikipedia から抜粋いたしますと、

敗走を続けたテューポーンは悪あがきとして山脈そのものをゼウスに投げつけようとしたが、激しい雷によって簡単に弾き返され、最後はシケリア島まで追い詰められ、エトナ火山の下敷きにされた。

不死の魔神であったため、ゼウスも封印するしかなかった。以来、テューポーンがエトナ山の重圧を逃れようともがくたび、噴火が起こるという。

ゼウスとテューポーンの全宇宙を巻き込む激闘の後、ゼウスは激しい雷の一撃で世界を尽く熔解させ、そのままテューポーンを全宇宙の奈落にあるタルタロスへ放り込んだとする説もある。


という、もう、地球に住む他の者にとって、迷惑この上ない死闘を繰り広げたわけですが、不死の魔神とありますように、「かつて全宇宙を崩壊させたテュポン」は、神話の上では死んだわけではなく、今もエトナ火山の下に封印されたままということのようです。

もし、封印が解かれたしまった場合、またも、主神ゼウスとテュポンの死闘が始まり、「灼熱の火炎と共に暴れ回って全宇宙を崩壊させる」というようなことになってしまうのですかねえ。

いやあ、いい1年になるといいですね(そう思える話の流れじゃないぞ)。

まあ、冗談は抜きにして、いろいろと大変なこともあるのかもしれないですが、In Deep を読んで下さっている皆様方においては良いお年となることを期待しております。

もちろん、私自身もできるだけ良い年として過ごしたいと思っております。

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