<< 1  2 

2015年03月16日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




ファティマの聖母から知る「永遠の地獄」への序章(2) - 毎年5千万人の赤ちゃんが「生まれてこない」現代社会の中のロシア由来のカタストロフ



「世界は恐るべき深淵の縁にいる...人々は人類が決して見たことがなかったようなそのような苦しみのために準備を整えなければならない」
− ピオ十二世の1945年の言葉

「私たちは、それほど遠くはない未来に大きな試練、それは私たちの生命を放棄する準備をするように私たちに要求するであろう試練を堪え忍ぶ準備をしなければならない」
− ヨハネ・パウロ二世の1976年の言葉






・前記事:ファティマの聖母から知る「永遠の地獄」への序章(1) - 「地獄」は神話ではなく、事実として存在する

fatima-three-angels.gif






 




ファティマ第三の秘密

昨日の記事で、1917年の「ファティマの聖母」といわれる出来事について簡単にふれました。

ポルトガルのファティマにおいて、ルシア、フランシスコ、ヤシンタの3人の少女少年が、「聖母」と名乗る女性から6回(それぞれの個別ではさらに何度も)に渡り、「メッセージ」を受け取った事象のことです。

メッセージの内容は、大きく4つ(3つの予言+ロシアについて)の内容でしたが、予言の3つ目は「 1960年まで公表してはいけない」と聖母マリアから命じられて、その内容を記したメモはバチカンに預けられることになります。

しかし、 1960年になっても、バチカンはこの「3つめの予言」を発表しませんでした。

そのあたりの経緯は、ファティマの聖母 - Wikipedia に以下のようにあります。


ファティマ第三の秘密

教皇庁は聖母が発表を命じた1960年になっても啓示の第三部について公表せず、メッセージの中身について多くの憶測を呼んだ。過去の予言が世界大戦などで60年代当時は東西冷戦真っ只中であることから、核戦争や第三次世界大戦ではないかと危惧する者もいた。

1981年5月2日にアイルランド航空164便がハイジャックされたが、犯人はカトリック修道士で要求は「ファティマ第三の秘密を公開せよ」であった。

1960年代に閲覧したローマ教皇ヨハネ23世は内容に絶句して再度封印し、次代教皇パウロ6世も再度封印を解くもあまりの内容に数日間人事不省になったという。こうした経緯を経て、教皇庁は2000年5月に1960年以来40年間発表を先送りにしてきたファティマ第3のメッセージを正式に発表した。



というように、その内容は、

> 閲覧したローマ教皇ヨハネ23世は内容に絶句して再度封印し、次代教皇パウロ6世も再度封印を解くもあまりの内容に数日間人事不省になった

というほどのものだったようで、大の大人、しかも、いろいろな意味で百戦錬磨のローマ法王たちが「その記述内容を読むだけで人事不省に陥る」というのは、中途半端な内容ではないことが伺えます。

しかし、バチカンが 2000年に発表した「第三の秘密」の内容は、

「1981年5月13日の教皇ヨハネ・パウロ二世の暗殺未遂事件についてだった」

というものでした。

この程度の記述を読んで、絶句したり、人事不省に陥ったりするほど法王はヤワではないはずです。そういうこともあり、「この内容は真実ではないのでは」という憶測が一般的になっています。

ちなみに、この 2000年の発表の時に、公開された文書の作成を担当したのは2人で、そのうちのひとりは、後のローマ法王ベネディクト16世となるラッツィンガー枢機卿でした。

そのラッツィンガー枢機卿は、ポール・クレイマー神父という方が書かれた文書の訳文があるこちらのページには、

ラッツィンガー枢機卿は、2000年6月26日、教皇ヨハネ・パウロ二世の個人的な友人との私的な会話の中でこう訊ねられた:「第三の秘密全体はあなたの記者会見の中で明らかにされましたか?」

ラッツィンガー枢機卿は「確かにあれは秘密のすべてではなかった」と認めた。

とあり、ベネディクト16世は「これをそのまま公開するべきではない」として、言い方は良くないかもしれないですが、改変して発表したということになりそうです。

しかし、この「第三の秘密」に関しては、聖母からの言葉を直接聞いたルシア自身の表現から想像できる部分があるのです。



ヤシンタがルシアに諭した言葉

1917年にファティマで聖母と主に話をしたのは、3人の少女少年たちのうちのルシアでしたが、共に聖母との出会いの現場にいたフランシスコ( 10歳で逝去)とヤシンタ(9歳で逝去)が若くして亡くなった後は、97歳で亡くなるまで修道女として生きます。

lucia-virgen.jpg

▲ 修道女時代のルシア。 corazones.org より。


そのルシアが長い期間信念を貫き通せたのは、亡くなる直前の9歳のヤシンタから言われた言葉による部分が大きかったように思います。

このあたりのことは、ヤシンタ・マルト - Wikipedia に亡くなる少し前の病床でのルシアとの会話の記録が記されています。


1920年、9歳になる直前に彼女は、12歳であったルシア・サントスとイエズスと聖母の信心について議論し、こう言っている。

「これを言う時は、逃げ隠れしてはいけません。聖母の無原罪の御心を通して、神からの救いがもたらされる、ということをみんなに伝えなさい」

「そして、イエズスの御心は、傍にいる聖母の汚れなき御心が崇敬されることを願っている、と。また聖母の汚れなき御心に祈り、願うように伝えなさい、神様はマリア様にそれを委ねたのだから」



当時、12歳だったルシアは、9歳のヤシンタから上のように「命じられ」て、それがルシアの長きにわたる心の糧でもあったのかもしれません。

実際、ヤシンタはファティマでの出来事以外に、非常に頻繁に未来のヴィジョンを見続けています。もしかすると、ルシア以上に聖母からのヴィジョンを受け続けていたかもしれません。

そして、ヤシンタは、

「どのようなことが地獄に導くことなのか」

なども多く語っています。

その記録が Wikipedia にもいくつか載っていますので、記しておきます。




jacinta-onger.jpg

「戦争は世の罪に対する神の罰以外の何物でもない」

「他のどの罪より人を地獄に招いてしまうのは肉欲の罪です」

「死後の地獄は一度そこに落ちたら永遠に抜けられず、永遠の意味を理解したら人は自分の生き方を変えるためになんでもするでしょう」





話がヤシンタの方に逸れてしまいましたが、ルシアに戻します。

ファティマの3人の中でひとり長く生きて、聖母のメッセージを残し続けたルシアは「第三の秘密」を当然知りながら修道女として成長します。

ルシア修道女は、 1957年にフエンテス神父という人に、その内容と関係すると思われることを語っています。

これは、フエンテス神父が、ファティマの司教の承認を得て公表された記録です。

悪魔の最後の戦い - われわれの時代のための黙示録的解答

というページに記されています。

全体は長いですので、要所要所を抜粋しています。




シスター・ルチアの啓示
1957年12月26日

「神父様、神は世界を罰せられるでしょう。そしてこれは恐るべき仕方でなされるでしょう。天からの懲罰は間近に迫っています」

「神父様、彼らに告げてください。聖なるマリアは、フランシスコとヤシンタ、そして私自身に、多くの国家が地の面から消え失せるでしょうと告げられました」

「聖母は、もし私たちが前もってあの可哀相な国[ロシア]の回心を手にしていないならば、ロシアが世界を罰するために神によって選ばれた懲罰の道具となるでしょう、と言われました」

「神父様、悪魔は聖なるマリアに対する決定的な戦いに参加する気になっています。そして悪魔は最も神に背くことが何であるか、そして短期間に彼にとって最大多数の霊魂を獲得するものがどれであるかを知っています」

「聖なるマリアの汚れなき御心とイエズスの聖心を苦しめているのは、修道者や司祭の霊魂たちの堕落です。悪魔は彼らの美しい使命から転落した修道者や司祭たちが無数の霊魂たちを地獄に引きずって行くことを知っています」





ルシア修道女は、この中で、「これは、1960年まで秘密のままに留まるでしょう聖母のメッセージの第三の部分です」と述べています。

ですので、第三の秘密は、この内容と近いものであるだろうことは考えられますが、それでもまだ、

> ローマ教皇ヨハネ23世は内容に絶句し

というほどのものなのかどうか。

しかし、ルシア修道女が「多くの国家が地の面から消え失せるでしょう」と述べたり、「悪魔の戦い」への言及があったり、あるいは、1982年5月13日にヨハネ・パウロ二世がファティマでおこなった演説の中で、法王は、ファティマのメッセージに対して、

「私たちの救いの基礎そのものが掘り崩されているという聖母の警告」

という表現をしたりするものがあるというあたりから、いろいろと考えてみると、非常に大ざっぱに、第三の秘密は「起きることの具体的な状況は別として」次のようなことなのではないでしょうか。

・世界の霊魂(生命)の危機
・信仰と教会の崩壊
・悪魔との戦争での敗北


というあたりのことなのではないかという気はします。

これ以上いくら予想しても、意味があるものではないですけれど、一種の「この世の終わり」のようなことを聖母は少女少年たちに述べたのかもしれません。

もちろん、「人々(とロシア)が心を変えなければ」ということが前提ですが。

ちなみに、ルシアは聖母マリアから、

「3つめの秘密は主要なひとつの大戦の間に明らかにされるでしょう」

と告げられていたことがこちらに書かれています。

公表してもいいとされた 1960年は、第一次大戦も第二次大戦も終わっていた年ですので、この「主要なひとつの大戦」はその次の大戦、すなわち「まだ起きていない世界大戦」を意味していると思われます。

ルシア修道女は、

「あの可哀相な国[ロシア]の回心を手にしていないならば、ロシアが世界を罰するために神によって選ばれた懲罰の道具となるでしょう」

と述べていますが、それが 1957年12月26日。

それから、58年後の 2015年3月16日、これを書いている時点で今日なんですが、下のような報道がなされていました。

russia-nuclear.jpg

▲ 2015年3月16日の NHK ニュース「ロシア大統領 クリミア併合で核兵器準備を指示」より。


これは、ロシアのプーチン大統領が 1914年にクリミアを併合する過程で、核兵器使用に向けた準備を指示していたことが明らかになったというものでした。

そして、ファティマの予言の成就は「ロシアに大きく左右されそう」なのです。




ロシアは世界の人々を地獄へと引き連れていくか

ファティマの予言とロシアの関係については、ファティマの聖母 - Wikipedia の「ロシアの奉献」というセクションに以下の記述があります。

ロシアの奉献

ファティマの啓示の第二部にあるロシアの奉献はファティマでの聖母の主要な要請の一つであり、ローマ教皇は数度にわたる奉献式を行った。

とあります。

1917年7月13日、少女少年たちの前に姿を現した聖母は以下のようなメッセージを伝えます。


「神様はいろいろな罪を戦争、飢餓、教会と教皇の迫害の形で罰されるでしょう。それを阻止する為に、私はロシアが私の汚れない心に奉献されることを望みます」

「もし人々が私の望みに耳を傾けるなら、ロシアは回心し、世界に平和が訪れるでしょう。もしそうしなかったら、ロシアは世界中に誤謬を広めて戦争と教会の迫害を推し進めることになるでしょう」

「罪のない人達が殉教し、教皇様には多くの苦しみが訪れます。いくつかの国はもう無くなってしまいます」



書いてあることは何となくはわかるのですが、ここに「奉献」という言葉が出てきます。

普通の日本語の意味としては、コトバンクでは、

> 社寺、貴人などに、物をたてまつること。

とあり、献金や貢ぎ物をするというような意味のようで、これだと今ひとつよくわかりませんので、「キリスト教的な意味での奉献」とは何なのかと調べて見ますと、こちらのページに、

「奉献は、元来の順序で行くと、これは陪餐の前に行われていました。ここで、「感謝」が捧げられ、「祈り」が捧げられ、「愛」が捧げられるのです。しかし、それだけではありません。パンと葡萄酒が運ばれて捧げられ、同時に、「キリストがご自身を捧げられた」ことを見るのです。

とありまして、奉献とは、物などを献ずることではあっても、そこに自分自身の犠牲と感謝を奉じるというような意味でよいのではないかと思われます。

あるいは「回心する」というような意味でも良さそうです。

そこから見ますと、上の聖母の言葉は、

ロシアが回心しない限り、今後の世界は(主や聖母から見て)悪い方向へと進んでいく。

ということを聖母マリアは言っていたということのようです。

その後、ロシアは、共産主義のソ連を経て現在に至りますが、1917年のファティマの聖母出現以来の約 100年の間に、ロシアが「回心」したかどうかは、いろいろな意見があるとはいえ、南山大学の三上茂教授の訳した「ファチマ:世界平和への唯一の道」などを読むと、

「回心していない」

という考え方は根強いようです。

このあたりのことは、世界情勢的な問題とも絡んで、それらに詳しいわけではない私にはまったく何とも言えないことではあるのですが、現在「ロシアを巡るいろいろ」は、世界の最大の懸念のひとつであることは事実だと言えると思われます。

もし、1917年のファティマの予言が今に至るまで続いているものなのだとすれば、そして、ロシアがいまだに、「聖母マリアが望まれていたような奉献をしていない」とした場合、世界は・・・ヨハネ・パウロ二世の 1976年の言葉をお借りしますと、

「われわれは今、人類が経験した最大の歴史的対決に直面している」

というような状況に陥りかねないというところにいるのかもしれません。
あるいはもうその段階に入っているのかもしれません。

まあ・・・何となく、個人的にはそういう予感はずっとし続けてはいたのですけれど、ファティマの聖母のメッセージなど知らなかったですので、このことを知って、むしろスッキリした感じです。

そういえば、偶然ほんの少し前に、ロシアの声の記事に「ロシアを悪魔視することこそ世界の脅威」なんていうタイトルの記事がアップされているのを見かけました。

あまりにタイミングがいいので、ちょっと苦笑しました。




2年で1億人ずつ消えている命

ところで、上で抜粋しました三上茂教授の「ファチマ:世界平和への唯一の道」の中に、2008年までのデータとしてですが、下のような表記がありました。


・今日、ロシアは世界で最高の中絶率を持っています。ロシアに8年間過ごしたダニエル・マウラー神父は、統計的に平均的なロシア女性はその出産年の間に8回の中絶をするであろうと言っています。現在ロシアにおいては中絶は無料ですが、しかし出産はそうではありません。

・ロシアの出生率は急落しています。そしてロシアの人口は毎年70万人の割合で下落しています - これは「平和時」の間の文明化された国においては先例のない出来事です。



他にいろいろと書かれてあるのですが、このロシアの中絶数を読んだ時に、「平均的なロシア女性」の数字は、いくら何でも誇張だろうと思い、資料を調べていましたら、下のグラフに行き当たりました。

abortion-russia-2006.gif
社会実情データ図鑑

ロシアの総数(茶色のほう)は、2位のスウェーデンの倍より多く、「 1000人に 40.3人」ということですから、100人に 4人の女性が中絶しているということになります。

上の表現は大げさかもしれなくとも、ロシアが突出して多いことは事実のようです。

・・・と、ここでふと「それにしても、全世界ではどのくらいの数に?」と思いましたが、そのことについて考えたことがないことに気づきました。

調べてみますと、こちらのサイトには、国連の『世界人口白書(2000年)』に、

推定で年間 5000万件の中絶が行われている

とあるそうで、その後に関しては、2012年1月19日の AFP 「世界の妊娠中絶、減少傾向が鈍化」という記事によりますと、

2008年の世界の中絶件数は 4380万件

とのことです。

とはいえ、データが存在しないも同然の国、あるいは、データに上がりようがない施術などが多々あると思われ、この数値は漠然としたものだと思いますが、いずれにしても、

毎年 4000万人から 5000万人の赤ちゃんが生まれてくることができない。

ということになりそうです。

この「この世に出現しなかった」人たちの数は紛れもない「死者数」となると思うのですけれど、そう考えると、21世紀になって 15年目で、6億人から7億人の死者が出ているということになります。

20世紀まで遡ると、ものすごい数となりそうです。

ちなみに、私はここで、中絶ということ自体について憤ったり、何が誰が悪いというようなことを書きたいのではないです。今までこのような数を知らなかったので驚いただけです。

中絶というものに関しての倫理的な問題ではなく、毎年 5000万人前後というおびただしい数の「命が生まれてこない」という実数に驚いたのです。

いろいろな状況はあるでしょうけれど、少なくとも日本の一般的な女性で、喜んで中絶する女性などいないはずです。個人個人の、場合によっては深刻な事情によって、そうせざるを得ない女性が多いと思います。

その場合、女性そのものが受ける精神的・肉体的ダメージは相当に大きいはずです。

願わくば、むしろ、そのような女性たちこそ、ファティマの聖母が言う「天国」へと行けるようにしていただければとも思います。

今の世の中、地獄行きの人たちに関しては事欠かないでしょうし、私自身も、自分の人生を振り返っても、天国へ行けるような要素がほとんど見当たらないですので、せめて、この世の傷ついた女性たちは天国へと行けますように願わせていただきます。

しかしながら、自分自身が罪深いとしても、ヤシンタが言っていた、

「永遠の意味を理解したら人は自分の生き方を変えるために何でもするでしょう」

の言葉を少し考えてみたいと思っていたりはします。

このヤシンタや、あるいはフランシスコやルシアのような子どもたちがこの世にたくさん出現するためには、もしかすると、一度、学校制度も社会制度も何もかも崩壊するカタストロフを経なければ、もうダメな段階にまでこの世界は来てしまっているのかもしれません。



  

2015年03月15日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





1917年にポルトガルのファティマで聖母マリアと名乗る女性と会い続けた3人の少女少年
fatima-three-angels.gif
ファチマの真実Traditioninaction






 


ファティマいう言葉そのものは聞いたことがありました。

簡単な概要は、ファティマの聖母 - Wikipediaから冒頭部分を抜粋しますと、


ファティマの聖母は、カトリック教会が公認している、ポルトガルの小さな町ファティマでの聖母の出現譚の一つ。他の伝説との違いは、これをローマ教皇庁が奇跡として認め、第三の予言を長年にわたり秘匿したことである。


というものですが、何というか、一種のキリスト教の信仰上での伝説みたいなものなのだろうと勝手に思っていて、特に興味を持ったことはありませんでした。

しかし今回、ふとしたキッカケで、そのことについて調べているうちに、この話は大変に興味深い……というより、感動的なものであることを知りまして、それと共に、どうも今の時代は(地獄という概念を考えると)かなり「やばい段階に突入している」という感じもしたわけでありまして、どのくらいのことが書けるのかわからないですが、書いてみたいと思いました。




キッカケは世界で唯一のバチカン認定の涙を流す秋田県のマリア像

ファティマの聖母を調べることに至った理由なんですけれど、今朝、いくつかニュースを見ていましたら、マレーシアのニュースで、「マレーシアのコタキナバルの涙を流すマリア像」についての報道を知りました。

mary-malysia-002.jpg

▲ 2015年3月13日の asia one より。


報道の内容そのものは、昔から数多くある「血や涙を流すマリア像」の話と同じで、特にご紹介するようなものではないと思われます。

この「目から涙などを流すマリア像」という現象は、非常に多く報告されていることで、このブログでも過去何度か取り上げたことがあります(こちらのリンクに一覧があります)。

そして、この現象は、日本語版の Wikipedia では項目としては存在していませんが、英語版には、Weeping statue (涙を流す像)という Wikipedia 項目があります。

そこには、


ほとんどの場合は、「涙を流す像」は、カトリック教会から認定されないか、あるいは、デマやニセモノであることが証明されている。


とあります。

ところが、そこに続いて、


ただし、バチカンが唯一その現象を認めた例も存在する。それは、日本の秋田県にある涙を流す聖母マリア像だ。


とあるのでした。

何と、バチカンが認定しているひとつだけの「涙を流すマリア像」は日本にあるのでした。

さらに、英語版の Wikipedia には、


この秋田の場合で珍しいのは、他のケースと異なり、テレビを通じて、日本国民の全体が涙を流す聖母マリア像の姿を見ることができたことだ。


とあります。

「秋田にそんなのあったの?」

と調べてみますと、こちらは、日本語の Wikipedia にありました。


秋田の聖母マリア

秋田の聖母マリアとは、日本の秋田県にあるカトリックの在俗修道会「聖体奉仕会」で起きたとされる一連の奇跡現象を意味する呼び名。「秋田の聖母マリア」は、教区司教によって認可された数少ない聖母出現の一つであり、日本より海外での知名度の方が高い。


涙を流す秋田の聖母マリア
mary-tears.jpg
秋田の聖母マリア


さらに続けますと、

発端は1973年に、同会所属の修道女の手の平に、出血を伴う十字架型の傷が現れたことである。

そのほかにも、木製の聖母マリア像からの101回に渡る落涙および芳香現象、3つのお告げなどの奇跡があったと言われている。これらの奇跡は1984年まで続いたとされている。

そして、ここにある、

> 3つのお告げ

の内容なのですが、これが、

修道女は天使を何度も目撃し、6月29日には天使は彼女にファティマの祈りを教え(略)

この祈りは、1917年にポルトガルのファティマで3人の少年少女を前に聖母が教えたものだったが、当時は日本ではまだ和訳されておらず、天使が教えたその祈祷文は、後に和訳されて日本に広まるものと一字一句違わぬものだった。

と、ここで、「ファティマ」という文字と出会ったのでした。

つまり、最初に載せましたポルトガルのルシア、フランシスコ、ヤシンタの3人の少女少年が「聖母マリアと名乗る存在」から教えられた祈り(ファティマの祈り)の内容と、この秋田の修道女が「天使」から教えられた祈りの文の内容が同じだったというのです。

ちなみに、そのファティマの祈りは日本語では以下のものです。


ああイエズスよ、我らの罪を赦し給え、我らを地獄の火より護り給え。
また、すべての霊魂、ことに主の御憐れみを最も必要とする霊魂を天国に導き給え。アーメン。


ちょっと難しいですが、簡単な日本語にしますと、

主イエス・キリストよ、私たちの罪をお許し下さい。
私たちを地獄の火からお守り下さい。
すべての人々、ことに御憐れみを最も必要としている人々を天国にお導き下さい。

というような感じだと思います。

なお、この「声」を受けた秋田の修道女の方は、笹川さんという方で、こちらのページに詳しく書かれていますが、天使というより、聖母マリアそのものからの声を受けていたように読み取れ、その点でも、ファティマの3人の少女少年たちと似た状況だったようです。

ところで、この「秋田の聖母マリア」について、カトリック新潟教区の司教は、

「これらの一連の現象が詐欺的、病的、異端的、邪教的なものではないと確認された」

ということを意味する声明、つまり、「聖なる現象と認定する」という内容の声明を出しました。

これを 1984年にバチカンに伝えた際に、バチカンでこの状況を正式に受理した方はどなたかというと、時のラッツィンガー枢機卿で、この人こそ、私が「最後のローマ法王」と信じてやまない後のベネディクト16世でした。

Ratzinger.jpg

▲ ラッツィンガー枢機卿時代のベネディクト16世。Cardinal Ratzinger - Pope Benedict XVI より。


調べると、ベネディクト16世が枢機卿になった時の最初の仕事が、秋田の聖母マリアの声明の受理だったのでした。ベネディクト16世は、今に至るまで「涙を流す聖母マリア」の中で、唯一バチカンの受理を受けている秋田の聖母マリアの認定者でもあったようです。




地獄は現実として存在する

秋田の笹川修道女が「聖母から受け取った祈り」と「ファティマの祈り」が一致したことで、「秋田からファティマ」へとつながったわけですが、なぜ、私がこのファティマの出来事に興味を持ったか

私はキリスト教徒ではありませんので、聖母が出現したということ自体に驚きや感動をおぼえるものではありません。現象そのものではなく、「聖母のメッセージそのもの」に興味を持ったのです。

ファティマのメッセージは「3つの予言」というようにも言われているのですが、その中に、

地獄の実在。

についての下りがあるのです。

そのことにとても興味を持ったのでした。

そして、「地獄の光景」には「悪魔の実在」も登場します(3人の子どもたちは地獄の様子を一瞬だけ、聖母に見せられていますが、そこには悪魔もいます)。

私は「悪魔」について、たまに考えたり、 In Deep でも書くことがありました。
そのあたりは、カテゴリー「悪魔の輪郭」などをご参照いただけると幸いですが、基本的に、

悪魔は実在する。

というスタンスというか思い込みを持っている部分もあるわけですが、その中でも、過去記事、

「悪魔 vs キリスト教」の戦いが世界中でエスカレートしている
 2014年01月29日

で書いていますが、ベネディクト16世が法王を退任して以来、世界の「悪魔化」の傾向が著しくなっていると感じています。

しかし、それを長々と書き出すと、違う方向に行きそうですので、まずは「ファティマの3つの予言」の概要を Wikipedia から抜粋して編集したものを載せます。




ファティマでの聖母からのメッセージ


第1のメッセージ

死後の地獄が実在することについて:多くの人々が罪深い生活や傾向によって、死後地獄へ導かれている。肉欲や傲慢など現世的な罪から回心しないままでいることにより、人は死後、永遠の地獄へと行く。

具体的に、聖母はこの少女ら3人に、地獄のビジョンを見せ、彼らはそのあまりの光景に戦慄した。

地獄は神話ではなく実在し、そこは全ての人が死後行く可能性のあるところで、入ったが最後、二度と出ることはできない。



となっていて、「地獄は神話ではなく現実に存在するもの」で、大変に多くの人々が死後地獄に行っていると聖母と名乗る人物は、子どもたちに語っています。

そして、「地獄に行くと、永遠に出られない」とも聖母は述べています。

2つ目は下のようなもので、大きな戦争に関してのものです。

ファティマのメッセージの年は、第一次世界大戦中の 1917年のことですので、終わる戦争のほうは第一次大戦、始まるのは第二次大戦と考えるのが妥当かもしれません。


第2のメッセージ

大戦争の終焉と勃発:第一次世界大戦は、まもなく終わる。しかし人々が生活を改め罪を悔い改めないなら、さらに大きな戦争が起き、沢山の人が死に、そしてその多くが地獄に落ちてしまう。その前兆として、ヨーロッパに不気味な光が見えるだろう。


この中の、

> ヨーロッパに不気味な光が見える

というのは、1938年1月25日にヨーロッパの極めて広い範囲で、オーロラが観測されたことがあったのですが、そのことを予言したと言われることがあります。

基本的に、フランスだのポルトガルだの、ヨーロッパの内陸部でオーロラが観測されるということは、ほぼあり得ないことです。そんなこともあり、当初は、「ヨーロッパのどこかで大火事が起きている」というように報道されたようです。

daily-mirro-1938.jpg

▲ 1938年1月26日のデイリー・ミラー紙(多分イギリスの新聞)の一面。「北部の空すべてが光っており、大火事の懸念」とあります。Luisa Piccarreta より。


これはきちんと調べてみないとわからないですが、太陽活動が活発な時だったとすれば、太陽フレアや CME (コロナ質量放出)の異常に大きなものなどが発生していたのかもしれませんが、いずれにしても、この異常なオーロラが現れた頃から、第二次世界大戦が始まっています。

ファティマの3つめのメッセージは「ファティマ第3の秘密」などとして知られていることのようですが、今に至るまで、「どうやらバチカンはすべてを公開していない」ようです。

Wikipedia からの抜粋です。


第3の秘密

聖母マリアは、1960年になったら公開するように。それまでは秘密に、とルシアに厳命した。

その内容は「ファティマ第三の秘密」と呼ばれ、ルシアを通じて教皇庁に伝えられたが1960年が過ぎても教皇庁は公開せず、2000年になってから発表に踏み切った。

教皇庁によれば教皇暗殺の危機だとされる。(これを)疑問視する意見もある。



この「疑問視」については、この「第3の秘密」に関して、1960年代にそれを読んだ当時のローマ法王が絶句して具合を悪くしたり、あるいは、40年もの間、歴代の法王が発表を見合わせるほどの内容であったわけで、「極めて衝撃的なもの」である可能性が高いわけです。

それが、上のような「軽いもののであるわけがない」というのが、バチカンの発表が疑問視されている理由ですが、もうひとつの理由は、聖母マリアからメッセージを受け取った少女ルシア自身が 2000年代に(ルシアはすでに 90歳代)に、

「それはほんの一部で、バチカンは嘘をついている」

と司法省へ提訴したということがあったからのようです。

もっとも、ルシアは 2005年に 97歳で亡くなっていて、このあたりはうやむやなままのようです。

ヨハネ・パウロ二世(右)と面会する晩年のルシア
Sister-Lucia-JP2.jpg
The Children of Fatima


この「第3の秘密」については、今回はそこまで行き着けないと思いますので、別の機会に書こうかと思いますが、先ほど出ましたベネディクト16世も枢機卿時代に「確かにあれは(第3の秘密の内容の)すべてではなかった」と認めています(ソース)。




天使の声を受けて若くして旅立ったふたり

ところで、この 1917年にファティマでメッセージを受けた3人の少女少年のうち、このルシアだけは、97歳という長寿で人生を全うしますが、冒頭に示したように、男の子のフランシスコは 10歳、最も年下のヤシンタは9歳という若さで、共にスペインかぜが原因となってからの長期の病気で亡くなっています。

この3人について、南山大学の三上茂教授による

ファチマの聖母マリア・ファチマの真実

という非常に膨大な、論文とも言えるウェブサイト上に詳細に書かれているのですが、この3人の子どもたちの行動や生き方は、私が思わず涙ぐんでしまったほどのものでした。

この3人のうち早くに亡くなった2人の子どもたちは、自分がもうすぐ天国に行くこと、つまり「自分がもうすぐ亡くなること」を、聖母のメッセージによって察知するのですが、それでも、死ぬ瞬間まで、主と聖母、そして、「救われない他の人々を救うための祈りと犠牲のために」生きていくのです。

9歳と10歳ですよ?

この子どもたち3人のファティマ後のそれぞれについては、「ファチマの真実(2)」というページの最後のほうにあります。

こちらは、フランシスコ(男の子)についての記述からの抜粋です。


1917年6月13日の御出現のとき、ルシアは聖母に天国に連れて行ってもらえるかどうかを訊ねていますが、聖母はそれに対して「ええ、フランシスコとジャシンタをまもなく連れて行きます」と答えておられます。

このときからフランシスコとジャシンタは自分たちの生命がそれほど長くないことを知っていました。(略)

フランシスコは自分の役割がイエズスの聖心と聖母マリアの汚れなき御心を慰めることであるということをよく知っていました。彼が病床に臥していちばん残念だったことは、教会に行って御聖体の前で長い時間を過ごすことができなくなったことでした。



Fatima_Children-Jucinta-Lucia-Francisco.jpg

▲ 左からヤシンタ、ルシア、フランシスコ。The Children of Fatima より。


最も若いヤシンタ(ジャシンタ)は、ファティマの聖母からのメッセージとは別に、頻繁にヴィジョンを見ており、三上教授のサイトでは、

> ジャシンタは6回の聖母御出現が終わった後にも、1920年2月に亡くなるまでの間、絶えず聖母の御出現を受ける恵みを神から戴いていました。

くどいようですが、まだ「9歳」だったヤシンタは、霊的な友人となっていたフランシスコの死に際して、以下のような事を述べた記録が残っています。


1919年4月4日にフランシスコが亡くなる少し前に、ジャシンタはルシアのいる前でフランシスコにこう頼んでいます。

「わたしの愛のすべてを主と聖母に捧げます。罪人の回心とマリアの汚れなき御心に対する償いのために主と聖母がお望みになるだけ、わたしは苦しみます、と二人に伝えてちょうだい」



この時のヤシンタの状態は、スペインかぜに続いて、気管支肺炎と肋膜炎を併発して、ベッドから起き上がることもできない状態でした。

9歳といえば、今のうちの子と同じ年齢ですが、まるで比較などできません。

ところで、ヤシンタの見たヴィジョンの中には(これは聖母との会話ができていたルシアにも見えなかった)、

「バチカン、あるいはキリスト教信仰の崩壊」

とも取ることのできるような「光景」も含まれていて(法王が人びとから石を投げられている)、後述しますが、どうも「第3の秘密」は、そのあたりとも関係しそうです。

バチカン、あるいはキリスト教信仰の崩壊が含まれているならば、歴代の法王が倒れるほどのショックを受けたり、公開をためらう理由も理解できます。




ファティマのメッセージの根幹は「ロシア」のこと

やはり、だいぶ長くなってきていて、1回で書くのは難しくなってきた感じです。
2回くらいにわけたいと思います。

というのも、

ファティマのメッセージで最も重要なもののひとつが「ロシア」の意志と動静

ということがあるのです。

ロシアの存在や考え方次第によっては、「世界(の人類の霊魂)は地獄に叩き落とされる」とも解釈できる部分があるのです。

もちろん、この「地獄」は例えとしての地獄ではなく、「現実の地獄」です。
次にはそのことと、あるいは、第3の秘密にふれたいと思います。


ところで・・・。

ファティマで、聖母は子どもたちに、

「地獄は実在し、そこに一度入ると永遠に出られない」

と述べています。

ここに疑問もあります。

天国は永遠なのか
あるいは、そうではないのか。

もし、地獄と同じように天国も永遠の場所なら、死んだ人々は二度と肉体を持つ世界には戻って来ないことになります。

輪廻や転生の概念は存在しない?

そのあたりのことも含めて、何が何やらわからない、といったような疑問もありますが、今回はここまでとしておきたいと思います。

--
・次記事:ファティマの聖母から知る「永遠の地獄」への序章(2) - 毎年5千万人の赤ちゃんが「生まれてこない」現代社会の中のロシア由来のカタストロフ




  

2015年03月13日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





イギリス産婦人科学会は妊娠10週までのエコー検査を行わないガイドラインを策定中、アメリカ食品医薬品局は、必要のない超音波検査を「推奨しない」と勧告






 

超音波で「胎内の赤ちゃんの記念画像」を欲しがる人々が多い中

最近は子どもや赤ちゃんに関しての記事をたまに書きますが、

胎内で200種類以上の汚染物質に包まれながら成長して生まれてくる赤ちゃんたちのサバイバル…
 2015年02月01日

という記事で書きました内容など、現代生活の中では、生まれてからというよりも、むしろ「生まれる以前」から、子どもたちは様々な外部の要因と戦いながら生まれてきます。

そして、中には問題を抱えて生まれてくる赤ちゃんたちもいて、あるいは、喘息やアレルギーの子どもたちの率も増え続けています。

ここ十数年の子どもたちに起きている様々な問題が「もしかすると、生まれる以前のお母さんの胎内にいる時から始まっているかもしれない」というような感覚は、最近は多少は持っていますが、そんな中、イギリスのデイリーメールに下のようなニュースがありました。

scan-baby-top.gif

▲ 2015年3月12日の英国デイリーメールより。


今回、この記事をご紹介しようと思っていますが、先に概要を書きますと、イギリスの産婦人科学会や、アメリカ食品医薬品局( FDA )などが相次いで以下のような主張をしているという内容です。


胎児への超音波(エコー)での画像取得の安全性について、イギリス産婦人科学会では、妊娠10週以前の妊婦へのエコー検査を見直す動きを見せており、アメリカ食品医薬品局も、胎児が最も脆弱である妊娠初期に過剰な超音波診断、あるいは、3Dや4Dの高負担の超音波スキャンはお薦めすることができないとしている。



アメリカ食品医薬品局が発表したのは昨年 12月ですが、そのページが下です。

avoid-ultrasound.gif

▲ アメリカ食品医薬品局ウェブサイト Avoid Fetal "Keepsake" Images, Heartbeat Monitors より。

上の見出しの英語に「ドップラー」という単語はなく、「 Heartbeat Monitors (心拍モニター)」となっていますが、本文にこれがドップラー心音計(あるいは、ドップラー胎児超音波心音モニター)というものだと書かれてありましたので、そうしました。

ところで、「ドップラー心音計」とは一体何なのか?

知りませんでしたので、ちょっと調べてみますと、こちらに、

妊娠9~12週以降のお母さんのお腹にいる赤ちゃんの心音などが聞ける聴診器心音計

とありました。

そして、これも「超音波」を胎児に当てる器具ということになるようです。

エコーも、このドップラー心音計にしても、このような超音波を使う医療器具について、アメリカ食品医薬品局が上のページで問題としているのは、以下のことのようです。


超音波はわずかに組織を加熱する可能性を持ち、場合によっては、それにより、いくつかの組織に対して非常に小さな気泡(キャビテーションと呼ばれる)を生成する懸念がある。しかし、組織の加熱と気泡の生成が胎児に与える長期的な影響はわかっていない。


ということで、胎児の組織がわずかに加熱されることで、組織に気泡が作られる可能性があることが最近わかってきたということのようですが、ただ、それが胎児に何らかの影響を与えるのかどうかはわかっていません。

ただし、すでに現時点で、アメリカ食品医薬品局は

「使用しないことを推奨する」

としています。

ところで、この「エコー」なんですが、今はいろいろとあるようで、デイリーメールの記事には、3D とか 4D という言葉が出てきます。

今は平面の 2D だけではなく、3D とか 4D とかのエコーがあるようです。
しかし、3D (立体)まではわかるとして 4D とは?

これについては、クリムフ夫津子マタニティクリニック臨床胎児医学研究所という診療所のサイトに「2D, 3D, 4Dって何?」という記述があります。


2D, 3D, 4Dって何?

技術開発により最近では三次元超音波(3D)や四次元超音波(4D)などといった機能を搭載している機器も普及してきました。

簡単に言うと、普通に赤ちゃんの断面を見ている超音波法は二次元(2D)法です。これに対して3Dというのは、羊水中に浮かぶ赤ちゃんの表面をリアルに表現するものです。4Dはこの立体表現に時間軸をプラスして「動く立体画像の赤ちゃん」をリアルに表現するものです。

これらの3D, 4D超音波法というのはお母さんに「まだ見ぬ赤ちゃん」を見てもらう絶好の機会を与えてくれ、精神的に安定したマタニティライフを送っていただくことに貢献しています。

(略)

付け加えておきたいのは、3D/4D超音波がないと診断ができないのではなく、ほとんどの胎児診断は2D超音波で可能なのです。



ということで、

> ほとんどの胎児診断は2D超音波で可能なのです。

とありまして、どうやら 3D や 4D という立体写真は、医学的な見地からの必要性の大きさからというより、デイリーメールの記事の見出しにも、アメリカ食品医薬品局サイトのタイトルにもある、

「記念に」

という言葉が出てくるように、「お腹の赤ちゃんの姿を記念に残しておきたい」という目的を持つ親御さんたちが比較的多いことに起因しているようにも感じます。

あるいは、現実として、今の世の中は、病気や障害を持って生まれてくる赤ちゃんの比率が昔と比べて劇的に増加していますので、お母さんの気持ちとして、「病気がないかどうか確かめたい」という心境があることはしても理解できます。

上の、クリムフ夫津子マタニティクリニック臨床胎児医学研究所のページにも、


少子化の現在、お母さん、お父さんは赤ちゃんが健康であるかとても心配されています。数十人にひとりはなんらかの病気があるといわれています。


という記述があります。

これは、WHO の報告にある「現在は、出生児の4-5%が何らかの生まれつきの疾病をもつ」( 出生前診断 - Wikipedia )という数も、この「数十人にひとりはなんらかの病気がある」という率と大体一致します。

いずれにしても、

・記念のため
・心配を解消するため


という理由などによって、頻繁におこなわれる超音波での画像スキャンについて、「それを避けることを強くお勧めします」と、アメリカ食品医薬品局は述べているということになります。

デイリーメールでは、英国の医学博士の見解として、「妊娠 10週以前の妊婦は避けるべき」としていますが、アメリカ食品医薬品局に関しては、妊娠の経過週についての言及はありません。

ちなみに、私の子どもが生まれた病院は、東京の西荻窪で現在残っている産婦人科の中では最も古くからある病院で、外観も内観も簡単に書くとボロボロの、しかし、昭和を彷彿とさせる風情のある病院で、最新機器などはほとんど見かけませんでした。

(……と思って、久しぶりにその病院の様子でも見てみようと検索してみましたら、新築されてキレイになっていました)

そんな古典的な病院でもエコーは何ヶ月かに1回かは撮影していたと記憶していますが、エコー(超音波検査)って、いつ頃から普及したのですかね。




エコー検査の歴史

現在の日本の産婦人科医で、3D や 4D はともかくとして、エコー検査そのものがないという病院は多分ないと思うのですが、いつ頃から普及したものなのかを調べていましたら、川崎医療福祉学会誌に「超音波診断を含む妊婦健診の導入と普及要因」という研究論文がありました。

そこにある歴史を箇条書きにしますと、




日本における胎児の超音波検査の歴史

・1960年代までは妊婦検診は一般診察、外診、聴診、骨盤計測などで、当時は医師も助産婦も妊婦に対しての検診項目は同じようなものだった。また、定期検診も特にはなかった。

(私が生まれたのは 1963年でしたので、このあたりです)

・1965年に「母子保健法」が制定され、医師の定期的な妊婦検診が奨励された。

・1968年に超音波ドップラー法を応用した分娩監視装置の普及が進み、1,000台以上が市販される。

・1970年代になり、早期妊娠診断に超音波診断が有効であるとされ、この頃から普及が始まる。

・1980年代になって、胎児の詳細な形態診断や臓器の診断のための超音波検査機の開発が進む。

・1990年代になり、3D 超音波診断が臨床の現場に登場する。





という感じのようです。

超音波応用機器の市場の拡大は下のグラフのようになるようで、太い線が現在まで続く系統の超音波機器だと思いますが、このような大きな伸びを見せてきました。数百億円規模の市場ですから、小さくはないです。

1969年から2001年までの超音波検査機器の市場規模の拡大
echo-market.gif

まあ……このグラフを何かと関連させたくはないですが(エコー検査そのものには、大事な面があるとは思いますので)、最近の記事に載せたグラフで年代などと比較的連動しているものをふと思い浮かべてしまいます。

日本における低出生体重児の1970年から2000年までの推移
t-baby-number2.gif

▲ 2015年01月30日の記事「「そのうち日本から子どもが消えちゃうんじゃないか」と思わせる日本をめぐる統計グラフ…」より。元グラフは赤ちゃん通信より。


日本におけるおける先天異常発生頻度の1974年から2004年までの推移
dna-anomaly-5.gif

▲ 2015年02月01日の記事「胎内で200種類以上の汚染物質に包まれながら成長して生まれてくる赤ちゃんたちのサバイバル…」より。グラフはニコチル調査より。


うーん……まあ、いろいろと考える部分もないではないですが、ちなみに、最初のほうにも書いていますけれど、イギリスの産婦人科学会は、「妊娠初期の超音波検査と医療的な根拠のない過度な超音波使用は避けるべき」と言っているわけで、エコー検査そのものを否定しているわけではありません(ただ、アメリカ食品医薬品局は基本的にすべての妊婦に「非推奨」としています)。

しかし、たとえば、エコーで赤ちゃんの病気や異常が実際に見つかるケースは多いと思われ、また、お母さんにしても、今のこの時代に、お腹の中の赤ちゃんの様子を少しでも詳細に知りたいと思うのは、ある程度は当然だと思います。ですので、なかなか難しい問題ですよね。

自分のお腹の中の状態をまったく知らないまま、すべての妊娠期間を過ごすというのも、今の時代ではやや勇気がいることだと思います。

結局、イギリスの産婦人科学会の言うように「妊娠初期には(できるなら)控える」ことや、あるいは、例えば、超音波ドップラー心音計などを個人で「医療上の根拠のないまま何度も使う」というようなことは慎んだほうがいいということなのかもしれません。

ただ、日本ではこの理論は通用しないと思いますが。

ところで、関係ないんですが、昨日の朝日新聞に、

島から子どもが消える 「その日が来てしまったんじゃ」
 朝日新聞 2015.03.12

というタイトルの記事がありまして、内容は、高齢化が進む広島県福山市の走島(はしりじま)という小さな島で、今月、島に一つずつあった小・中学校と幼稚園が閉じて、島から「子どもがいなくなる」ことが記されたものでした。

このような光景そのものは、今では日本のあらゆる地方で見られていると思うのですが、この記事の最後の文章が「まるで未来の日本で誰かが呟く言葉のようだ」と感じてしまいました。

それは、島の公民館の副館長の高橋松美さんという方が述べた以下の言葉です。


「ずっと前から『このままじゃ子どもがいなくなる。何とかしよう』と思っていたのに、その日が来てしまったんじゃ。でも、もう遅い」


何だかこの方の言葉がとても切なく響いてしまいました。

これが未来の日本という国の単位で、

> でも、もう遅い。

となるような日が来ないといいのですけれど……。

そんなわけで、脱線しながら来てしまいまして、何だかわからくなってきましたが、デイリーメールの記事をご紹介いたします。

なお、この記事にある「危険性」には現時点では医学的なエビデンスはなく、この意見は英国でも米国でも「統一した見解ではない」ということは書いておきたいと思います。




Souvenir scans 'should be banned for first ten weeks of pregnancy': Ultrasound used to capture photos could expose foetus to unknown risks
Daily Mail 2015.03.12


記念のための胎内スキャンは「妊娠初期10週は禁止されるべき」。超音波での画像撮影は胎児が未知のリスクに晒される可能性がある


お腹の赤ちゃんの記念のスキャンは妊娠の初期 10週以内で行われるべきではないと医師たちは言う。

今はこれから両親になる人々が、記念のために妊娠のあらゆる時期的段階において胎児の画像を超音波で撮影し、それらを記念として部屋に飾ったりする人々も多い。

そのような中で、英国産婦人科学会は、医学的な理由がない場合の妊娠初期の妊婦に対してのエコー検査はおこなわない方向でのルール作りを進めている。

胎児の画像撮影には高周波数の超音波を使用するが、これによって、胎児が未知のリスクにさらされる可能性があることが新たな科学レビューで述べられているのだ。

現時点で、超音波が胎児に有害であるというエビデンス(医学的証拠)はない。
しかし、レビューは「予防原則は適用されるべきだ」だと述べる。

レビューの主筆の英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの胎児医学者であり産婦人科医のクリストフ・リーズ( Christoph Lees )博士は、特にそれは妊娠 10週以内では顕著に見えたと語っている。

本来なら、エコー検査は、臨床医によって潜在的な問題を識別された場合に使用されるものであったが、クリニックの数が増え、今では妊娠6週目から画像提供をおこなう場合もある。

リーズ博士はこのように述べる。

「胚の期間での超音波検査は、いくつかの重要な筋書きから、胚に対してのリスクを持つ可能性があるのです。もっとも、現在、超音波診断の安全性に対しての問題があるという根拠はありません」

「しかし、現実として、超音波画像診断が、ますます明白な医療的な目的ではないことでも使用されるようになっており、胎児が胚という脆弱な妊娠初期の時期におこなわれる超音波の長期的な悪影響を認識する必要があると考えます」

アメリカ食品医薬品局( FDA )は、昨年 12月、妊娠のどの段階であっても、必要のない超音波検査をするべきではないという勧告を出した。

リーズ博士は、有害性の可能性とひとつとして、超音波によってわずかに発生する過熱効果をあげる。博士は、記念の胎児の画像がほしい場合、妊娠 20週以降にしたほうが良いと述べている。

また、同時に、超音波を使用するドップラー心音計も、妊娠初期 10週以前に使うことは全くお勧めできないと博士は言う。

さらに、3D 、 4D の超音波エコーに関しては、特に4D 超音波は、リアルタイムで、スキャン時間が長く、また、通常より高い電力放出を伴うことにも言及している。



  

2015年03月12日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





new-island-tonga.gif

▲ 2015年3月11日のデイリーメールより。






 


たった3ヶ月ほどで完全な島となったトンガの海底火山

今年 2015年の最初の記事は、元旦に書きました、

全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日:トンガの海底火山フンガ・ハーパイと、イタリアのエトナ島の大噴火で終えた2014年
 2015年01月01日

というものでした。

これは、昨年の12月、トンガから北西方向に 60キロメートルくらいの場所に位置する「フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ」( Hunga Tonga-Hunga Ha’apai )という名前の海底火山が噴火していることが地元の漁師たちに目撃され、空中撮影により噴火が確認されたことを記事にしたものでした。

さらに、この海底火山の噴火が「新しい島」を形成し始めていたことは、

大陸の隆起の時代 : トンガ沖の「新しい島」や西之島が急拡大している中、アトランティスやレムリア大陸の幻想は現実になる?
 2015年01月27日

という記事に記したことがあります。

しかし、1月時点では、フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ・・・うーん、ちょっと火山名が長いので、以下、「トンガの海底火山」ということで話を進めさせていただきます。

話を戻しますと、上の記事の時点では、トンガの海底火山ではまだ下のように激しい噴火が続いていました。

new-island-tonga5.jpg
THE WATCHERS

上の状態からまだ1ヶ月半ほどしか経っていないのですが、冒頭のデイリーメールの記事は、何と、

「すでにこの島に上陸した人がいる」

ということと、その人たちが撮影した写真を掲載して記事でした。

噴火の収束から、たった1ヶ月半後に見せた光景は「まさに新しい島が作られた」という雰囲気のする感動的なものでした。

遠くから「島」を撮影した光景

tonga-island-01.jpg



船で近づく

tonga-island-02.jpg



上陸

tonga-island-03.jpg



2つの島をはじめて陸上から撮影

tonga-two-islands.jpg



人物との比較で島の高さがわかる写真

island-mass.jpg


すごいと思えるのは、昨年の 12月に海底火山の噴火が確認されてから、たった3ヶ月ほどで、これほどの規模の島になったということもありますが、同時に、

「ほんの1ヶ月ほど前まで噴火が続いていた場所に人が立っている」

ということです。
しかも、上陸した人たち(3人)は短パンにTシャツというラフな格好です。

つまり、どれだけ激しい噴火や近く変動で新しい島や大陸が出現しても、

「わりとあっという間にそこは人間の生存可能な空間となってしまう」

ということに対して、感慨というほどのものではないですが、少し思うところがあります。

上の写真の感じですと、鉄腕!DASH!! の DASH 村のごとく開拓すれば、あっという間に住むことができる場所にできてしまうような雰囲気さえあります。

この2年くらいは「新しい島」に関係した報道をよくご紹介した気がします。




2013年頃から目立ち始めた「新しい島」の誕生

ここ2〜3年で、海の異変関連で取り上げた記事などを少し振り返ってみたいと思います。

海の異変として取り上げたものとしては、大体、下の地図に記載したような感じでしょうか。

absea-03.gif


この中でも印象深かったのは、2013年にパキスタンに「地震と共に」浮上した島です。


パキスタンの新しい島と西之島の今

new-island-pakistan-2.jpg

▲ 2013年09月25日の記事「パキスタンでの「クリスチャン追放活動」の渦中で発生した大地震と共に海底から浮上した「新たな島」」より。


この島は、現地では「ザルザラ・コー( Zalzala Koh )」と呼ばれていますが、日本語では単純に「地震島」という名称となっています。

そして、上の小見出しに「パキスタンの新しい島の今」としたのですが、これが実はよくわからないのです。その後に関しての報道が全然ないのです。

地震島 - Wikipedia には、


パキスタン国立海洋研究所所長アリ・ラシード・タブリーズ博士は、この島が出現した原因は海底のメタンガスの噴出である、と話した。タブリーズ博士は「このような島は過去にも現れたことがある…この新しい島もまた、長期間は存在しないだろう」と語った。



とありますが、英語版 Wikipedia には、このタブリーズ博士の談話は現在は見当たらず、しかし、現状についての具体的な記述はありません。

加えて、英語版 Wikipedia には、


島の表面には生物は住んでいないが、島の周囲の海域は、海洋生物たちの新しい生態系を作り出している。これは地元の漁師たちの手助けともなっている。


とあり、この島は健在していて、「新しい生物たちの生態系を作り出す場」となっていることを感じさせます。

また、List of islands of Pakistan (パキスタンの島のリスト)からも、地震島は削除されていませんので、まだ存在しているようです。


2013年11月に誕生した西之島も、新島の登場から1年以上を過ぎた今でも、なお拡大を続けているというのは、こちらも「将来の大陸」の予感をいまだに感じさせる存在です。

今はこの島は「西之島」と呼ばれていますが、最初、この新しい島は、「本来の西之島の隣に出現した小さな島」に過ぎませんでした。

それが「親島であった西之島を飲み込み吸収してひとつになる」という遊星からの物体X的な成長を続けています。

2013年11月から2015年11月までの西之島の拡大の様子

nishinoshima-2015b.gif

▲ 2014年11月19日の産経新聞「西之島「新島」出現1年 面積は8・6倍、体積は400倍超 専門家「数百年残るのでは」」より。


そして、最近の報道、たとえば、3月5日の朝日新聞「西之島で溶岩のトンネル確認 噴火間隔は10秒前後に」などを読みますと、火山活動はますます活発化しているようです。




地質学的に繰り返されてきた地球の大きな変化は「いつ」起きるか

基本的に、今は陸地の方でも、いろいろ不安定な状態が続いているわけでして、たとえば、先日の「シベリアに新たに数多くのシンクホールができている」ことをご紹介した記事などや、あるいは、少し前の話ですけど、スウェーデンのとんでもない規模のシンクホールを含めた巨大なシンクホールだとか、規模の大きな地質変化の報道をよく目にします。

とにかく、いろいろと「地質の変化」の兆しはあるわけですが、それは海底の地質でも同じような状態になっている可能性があるのかもしれません。

それに、先日の、

イヌイットの長老たちが NASA に地球の地軸がズレたと告げる
 2015年03月09日

にも書きましたが、イヌイットの長老たちが、「地球の軸が大きくズレた」と感じていたり、あるいは、2011年3月11日の地震で、地球の軸が 10センチメートル程度ズレたと共に、過去 100年で地球の磁極が大きく移動しているということなどもありまして、「地球に大規模な地質変化の時代が迫っている」と考えても、それほど無理でもないということも言えなくもないです。

そして、今回のトンガの島で思うのは、

地殻変動にかかる時間は短い。

ということです。

私たちの地球というのは、何千万年とか、何億年とかいう期間などを経て、その形が変わっていくのではなく、おそらく、どれだけ巨大な地球上の変化でも、その開始から終了までは、ほんの数日から数ヶ月程度で完了してしまうもののように思うのです。

その場合、どうしても極端な変化を伴いやすいということにはなりそうで、人類を含めた多くの生物が死滅することもあるでしょうけれど、その代わりに、別の多くの生物が住みやすくなるのかもしれないですし。




文明は常にリセットされてきた

人類の文明は、たとえば、日本だけでも、この数千年程度の比較的短い期間でも、何度か大きな環境変化を経験しています。

たとえば、破局噴火(カルデラ噴火)で「西日本の文明が消えた」のは、7300年前とされています。
当時、西日本では、華やかな文明が栄えていたと思われます。

kikai-7300.gif
NHK 「カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?」

東大名誉教授で、火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣氏によれば、この 7300 年前の噴火後、九州から四国にかけては以下のような状態になったと予測されています。


南九州から四国にかけて生活していた縄文人は死滅するか、食料を求めて火山灰のない地域に移動し、1,000年近く無人の地となったようです。

というのも、この火山灰層の上下から発見される縄文遺跡の土器の様式が全く異なっているからです。



栄えていた縄文文明が一瞬で途絶え、次の 1000年間ものあいだ、そこに文明が発生することもなかったというのです。

破局噴火のことと「地球の文明のリセット」については、過去記事の、

カルデラ破局噴火の報道で「地球には同じ系統の文明を継続させないメカニズムがある」ことに気づき、同じ日に「新たに数千以上の海底火山の存在が確認された」ことも知り
 2014年10月25日

という記事に、わりと長く書かせていただいたことがあります。

また、同じ記事には、2014年10月3日のロサンゼルス・タイムズの記事の「何千もの海底火山の存在が新しい海底地図で明らかに 」という記事の翻訳を載せています。

その中には、


研究を主導したカリフォルニア大学サンディエゴ校のデヴィッド・サンドゥエル( David Sandwell )教授は、「海底には 5,000 以上火山の海底火山があると思われていましたが、今回の解像度の地図では、10,000 以上の古い海底火山を見ることができます」と述べた。


というように、海底は「火山だらけ」ということが最近になってわかったということです。

これだけの海底火山があるということは、今回のトンガの新しい島の出現のようなことは、いつでも、あるいは次々と起きる可能性もあるのだと思います。

陸上の火山噴火は明確に増えているのですから、海底での火山活動が増加しても不思議ではないです。

ところで、今回のトンガの島は南太平洋にありますが、その言葉や「日本に近い太平洋」という言葉なども出て来る「コナン・ドイルの予言」と言われて伝わっているものを、ふと思い出しました。

これは 2013年2月13日の「聖マラキの予言とコナン・ドイルの未来感の時間軸」という記事に載せたものですが、今いちど記しておきたいと思います。




A period of natural convulsions during which a large portion of the human race will perish - Sir Arthur Conan Doyle


「人類の大部分が滅びる間の自然の激動の期間」
 アーサー・コナン・ドイル

doyle-03.jpg


人類の大部分が滅びる間の自然の激動期間。
ひどい規模の巨大地震、そして巨大な津波が発生するだろう。
戦争はその期間の初期の段階でのみ現れるが、これが危機の信号となるように思われる。
危機は瞬間的に訪れるだろう。
文明生活の破壊と転位は信じられないほどのものとなる。
多少の復興が続く中、短い混沌の期間があるだろう。
この激動の合計期間は概ね3年となる。
激動の中心地は地中海の東部沿岸となるだろう。
少なくとも、5つ以上の国家が完全に消滅してしまうだろう。
また、大西洋上に巨大な大陸が浮上し、アメリカとアイルランド、そして西ヨーロッパの沿岸に大きな災害を招くだろう。この際、イギリスの低地はすべて波に飲み込まれると思われる。
南太平洋でも非常に大きな変動があり、日本に近い太平洋でも大きな変動がある。
人類は、自らの精神的な存在に戻ることによってのみ、生き残ることができる。



  

2015年03月11日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





cape-cod-ice.gif

▲ 2015年3月9日のアメリカ CBS ニュースより。






 


この2月から3月は、場所によって、とんでもない気候や現象が相次いだ時期でもありました。

上の写真は、記録的な寒波がいまだに続いているアメリカ東部にあるケープコッド湾の海岸に、ご覧のような巨大な氷の塊が多数打ち上げられている光景です。下のような、ちょっとアメリカの海岸とは思えない光景が広がっているようです。

iceberg.jpg


CBS の報道では「一生に一度あるかどうかという出来事だ」と記されていますが、ここ数年はわりとそういう「一生に一度あるかどうかという出来事」が、いろいろな現象として、世界各地で起きている感じがあります。

それらのいくつかをダイジェスト的にご紹介したいと思います。


ところで、今日は 3月11日なのですね。


少し思い出すことを書きたいです。



2011年3月11日に気づかせてくれたこと

4年前の地震の日からの数ヶ月間は、毎日いろいろと考え続けて、そして、あてもなく毎日いろいろなところを歩き回りました。東京の風景をいろいろと見ておきたかったのです。

そして、被災された東北の方々を見ている中で、その頃は毎日「日本と日本人」のことを考え続けていました。それは愛国的な意味での考えではなく、むしろ、生物学的な意味や、地質学的な意味で「日本人の歴史」というものをよく考えました。

そして、地震によって、自分の曖昧な感覚から脱出できた感じもありました。

震災2日目の3月13日に書いた「決意の涙: 東京 DAY3」に私は下のように書いています。


こういう現実の災害の圧倒の前には、私たちは異常に現実的になる必要があると思っています。

すなわち、あらゆる宗教、あらゆる神様、あらゆるオカルトを排除しながら進む他はないように思います。



そして、しばらくは、異常なほど現実だけの思考で生きていました。

その頃は、「ほんの少し先のことも予測や推測しない」ということもつとめていました。
予測や推測も、現実に起きていない限りはオカルトだからです。

実際に体験していること以外は信じない。
そんな数ヶ月でした。

そして、当時はそれは大事なことでもあり、たとえば、インターネット上では、様々な煽りや奇妙な噂話が次々と噴出していたという事実もありました。

ただ、予想や予測とは違いますが「ちょっとした不安」は現実にはありました。

地震の起きた当日に書いた記事にも少し書いているのですが、東北の震災が起きる少し前に書いた記事で取り上げていました名古屋大学の論文を思い出して、直感的に不安を感じてしまっていたことは事実です。

それは、名古屋大学大学院の古本宗充教授の「東海から琉球にかけての超巨大地震の可能性」という論文で、詳しいところは、リンクからお読みになっていただければよろしいかと思いますが、2004年のスマトラ地震の発生が「これまでの地震学の常識を覆した」というところから、従来の地震学の見地を越えて考察したものでした。

この論文では、特に、地域としては、今でいう南海トラフ地震と重なる場所(ただし、もっと広範囲)での地震の話が展開されます。

従来の南海トラフ地震説と違うのは、たとえば、一般的に南海トラフ地震は、

約 90年から 150年間隔、あるいは 200年などの周期で起きる。

とされているものに対して、名古屋大学の論文では、

南海トラフから琉球海溝まで全長1000kmにも及ぶ断層が連動して破壊されることで、非常に細長い領域におけるM9クラスの連動型地震、あるいはM9クラスの二つの超巨大地震が連動して発生する可能性。

を、海底の化石の年代決定などから突き止めたものでした。

そして、この周期は、150年や 200年といった短いものではなく、

「 1700年〜2000年の周期」

という、比較的長い周期を持つ海底の地殻の変動のようですが、過去には周期的に「必ず起きていた」ものでもあるようです。

その論文にある図は下のものです。
日本語はこちらで入れています。

1700年 - 2000年の周期での海底の隆起があったとされるされる断層
nankai-trough-01.gif


このことは科学誌ニュートンの 2011年9月号でも取り上げられていて、そこに見やすい図が載せられています。

eq_west.gif
Newton

もちろん、上の図に示したような地震は、「過去には起きた」ものではあっても、今後起きるのかどうかはわからないですし(ただ、いつかは必ず起きるとするほうが合理的ですが)、また、仮に起きても、それが私たちの今の人生の時間の中で起きるかどうかはわかりません。

しかし、4年前の 3月11日に「まったく想定されていなかった超巨大地震が起きた」という事実は大きく、そのために、上のことがふと頭に浮かんだのでした。

ニュートンの記事は、


「そのとき」がいつになるのか誰も知る由はないが、次の東海地震、東南海地震、南海地震が超巨大地震となる可能性も考慮に入れた議論がはじまろうとしている。


としめくくられています。

ちょっと前置きのつもりが長くなってしまいました。




2015年2月の世界各地の光景

気づけば早いもので、今年もすでに3月ですが、3月ですと、北半球の多くでは一応は「春」という方に近いことになると思いますが、冒頭のアメリカ東部などを含めて、非常に厳しい気候が続いているところが多いです。

今現在は、ヨーロッパのギリシャからブルガリアなどが暴風雪などで激しい天候となっていまして、ブルガリア中部の各地で大雪による非常事態宣言(参考記事)、ギリシャでは降雪と洪水で非常事態宣言が出されています。

ブルガリア中部では、各地で雪による孤立、停電、道路の閉鎖が相次いでいて、今日現在も6つの自治体で非常事態宣言が出されたままとなっているようです。

この冬は、特に寒波と大雪に関しては、場所により極めて荒れている感じが強いですが、この2月に世界でどんな気候や現象が起きていたかということがまとめられているニュースがありました。

その中のいくつかをご紹介したいと思います。




February 2015 - Extreme Weather, Earth Changes, and Fireballs
SOTT 2015.03.08

2015年2月 - 極端な天候、アースチェンジ、そして火球

2015年2月1-3日
フランス・ピレネー山脈で3日間で3メートルの積雪

Pyrenees-3-snow.jpg



2月2日
トルコで激しい強風。5名が犠牲に

turkey-wind-02.jpg



2月2日
ロシアで「オレンジ色の雪」が降る(原因不明)

russia-orange.jpg



2月-3日
北極からの大気「極渦」によりアメリカの1億人が寒波の中に

us-feb-snow.jpg

このアメリカの極渦による寒波は、2月中旬にもアメリカの広範囲に大寒波をもたらし、また、現在もアメリカは同じような状況となっています。



2月6日
米国フロリダ州ジャクソンビルで謎の巨大な轟音と震動で警察への通報が相次ぐ

911-call.jpg

いわゆる「ソニックブーム」といわれるような轟音と震動が広範囲で感じられて、警察への電話が殺到しましたが、原因はわかっていません。フロリダ州では、この後も何度も同じような轟音が報告されていて、住民たちの中には「何かの前兆なのではないか」と話している人々もいるようです。



2月9日
オーストラリアのクィーンズランドで記録的な豪雨

au-heavy-rain.jpg



2月13日
200頭のイルカがニュージーランドのゴールデン湾で座礁

golden-bay.jpg

これについては、「ニュージーランド中部で同地域としては過去数十年で最大の約200頭のクジラが座礁し、すでに数十頭が死亡」という記事に詳しく書いています。

ところで、何の関係もない話ではあるのですが、4年前の震災があった日の3週間前にも、同じニュージーランドでイルカが多数打ち上げられたことがありました。


2011年2月21日の AFP の記事
2011-nz-dolphins.jpg


ニュージーランドのイルカの座礁と日本の地震に関係あるはずもないでしょうが、先ほど 311のことを書いた時にふと思い出しまして、今年もその時と同じような時期に、同じニュージーランドでイルカの座礁があったのだなあと気づいた次第です。



2月19日
オーストラリアをカテゴリー5の2つのサイクロンが直撃

au-cate-5.jpg



2月18-21日
アメリカのナイアガラの滝が凍結

niagara-freezing.jpg



2月24日
カリフォルニアの海岸に数百頭の死亡したアシカが打ち上げられる

ca-sealion.jpg



2月28日
テネシー州で「空から大量の死んだ鳥が落ちてくる」という現象

us-bird-2015.jpg



2月28日
アメリカとカナダで2月の積雪の観測史上の記録が塗り替えられる

snow-feb-record.gif



2月27日
マサチューセッツ州で「波が瞬間凍結する」という現象が起きる

wave-freezing.jpg

上については、「アメリカ北東部のナンタケット島で、あまりの低温のために「海の波が瞬間凍結」したような状態に」という記事でふれています。


今回のオリジナルの記事では、他にも多くの2月の出来事が取り上げられていて、上のはその3分の1程度となります。

今回はご紹介しなかったのですが、特徴的だったのは「この2月は巨大な火球の目撃数が全世界で多かった」ということもあります。隕石の突入が増えているのかもしれません。

また、そのうち記事にしたいと思っていますが、アメリカでの謎の振動や轟音は、過去記事の、

世界中で響き渡る「謎の轟音」の正体は?
 2012年01月17日

などを始めとして、過去何度か取り上げたことがありますが、アメリカでは、今年に入ってから「謎の振動と轟がアメリカ中に拡大している」ということがあるのです。

下は、今年の 1月1日から 3月1日までに、轟音が報告された場所です。

Booms-us-0301a.gif
Earthfiles

これは興味深いことでもありますので、近いうちに記事にできたらと思っています。

とにかく、この2月は、

・悪天候
・地質の不安定
・火球


というものが多かった時といえそうです。

そして、今後も荒れた状況がそうすんなりとは収まりそうにもない感じはあります。



  

2015年03月09日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





そして、このズレは、311の後に「地球の軸が10センチ移動した」時から一貫して拡大しているのかもしれない。


Inuit-Earth-Axis.gif

▲ 2015年3月8日の Natural News より。






 


2011年3月から加速している地球の軸の変化

もうずいぶん以前の記事となりますが、

「太陽の位置がずれてきている」と語るイヌイットたち
 2011年07月11日

という先住民族イヌイットたちのドキュメンタリーのインタビュー動画を翻訳してご紹介したことがありました。

イヌイットのうち、主にカナダに住む長老たちへのインタビューが収録されているものですが、インタビューを受けた全員が「太陽や星や月の位置が変化した」と言っているものでした。

太陽や星、月の位置、そして、風向きなどに頼って猟生活をしている彼らにとっては、それらの変化は生死に関わる問題です。

たとえば、下はカナダのヌナブト準州のイヌイット長老のサムエリ・アマックさんの言葉です。

inuit-interview-01.jpg
YouTube


最近、星がいつもと違って見える。
もはや星は以前の位置とは変わってしまったんだよ。
私の世界は変わってしまった。空も大地も自然も。



Sponsored Link




冒頭の記事は、最近、このイヌイットの長老たちが、この「地球の軸がズレた」ということに関して、 NASA に手紙を書いたというものでした。

このことについては、かなり以前からイヌイットたちの間で語られていたことのようで、たとえば、2010年11月3日のヤスの備忘録では、カナダのドキュメンタリー映画「イヌイットの知識と環境異変」の内容にふれられていて、そこに以下のような記述があります。


地軸が傾いた?

実はこのドキュメンタリーが注目されているのは、環境異変が生々しく報告されているからだけではない。実は、イヌイットの長老の証言に注目すべき内容が含まれていたからだ。それは、地軸の傾きが変化したのではないかという証言である。

イヌイットの長老はいう。

「われわれは5歳ぐらいになると、毎日朝起きるとすぐに外に出て天気を確認するように親から言われて育った。だがいま空を見ると、太陽は本来沈むべき位置からなんキロもずれた位置に沈んでいる。さらに、夜空の星の位置も本来あるべき場所とは大きく異なっている

映画では、北極圏に住むどのイヌイットの部族も「太陽が沈む位置が大きくずれている」と同じ証言をしていることが紹介されている。



そんなわけで、このことについては、ずいぶん以前から知られてきたことですが、今回ご紹介する記事には、

2011年3月11日の日本の地震以来、地球の軸がさらに大きくズレた可能性

について、アメリカ地質調査所、日本の国土地理院、イタリアの地球物理学火山研究所などの報告を引用して、記されています。

そして、今回初めて知ったのですが、いわゆる「磁極のポールシフト」に関して、「 2005年まで南向きに移動していた北極が、その年から東向きへ移動した」ということが確認されたことなどが書かれてあり、何だか

最近の地球は激しく大地が移動したり動いたり、地軸がズレたりしている。

というようなことも言えるのかもしれません。

ごく最近はどのようなことになっているのかわからないですが、

アメリカ海洋大気庁( NOAA )が発表した「驚異的」な近年のポールシフトの加速
 2011年01月16日

という記事など、これまで何度か磁極のポールシフトについて書いたことがありましたが、現在は、さらに「極の移動距離とスピードが加速している」可能性は高いと考えています。

その理由は、

急速に消えていく地球の磁場 : 地球の「磁場の反転」は今すぐにでも起きる可能性を示唆する ESA の科学者の言葉
 2014年07月15日

などで書きましたように、現在、地球の磁場が全体として弱くなっていて、それが磁極の移動の加速と関係しているのではないかと思っているからですが、磁極の移動に関しては、どういうわけか、最近のデータを見つけることができません。

それはともかくとしても、磁極とか、あるいは「大地の移動」のような現象が大きくなれば、必然的に地質的な出来事も増えやすくなりそうな気はします。

簡単にいうと、地震や火山噴火、あるいはシンクホール現象などが増えるかもしれないということですけれど、これらはもう増えていますし・・・まあ、地震の予測はできないということを前提として、

「もしかすると、巨大地震と巨大火山噴火がさらに唐突に増え始める」

という可能性を考えて生きるのも悪くはないような気もします。

ちなみに、世界全体で見まして、過去 100年くらいで顕著に増えているのは、マグニチュード 5〜マグニチュード 6.9の地震です。

最新のデータではないですが、西暦 1900年からの 、

110年間の1年間の地震の発生数の平均
・過去 10年の1年間の地震の発生数の平均
・2010年の1年間の地震の発生数


を比べますと、明らかに、過去 100年の中で増え続けてきていることがわかります。

a-2010-earthquakes-magnitude-5.gif

b-2010-earthquakes-magnitude-6.gif
Modern Survival Blog


あまり関係ないことかもしれないですが、太陽活動も現在は縮小に向かう一方で、場合によっては、わりと近いうちに、また「黒点ゼロ」の状態も見られるかもしれません。

太陽活動の縮小と地震に関係はないだろうとは思われるかもしれないですが、直接的には関係なくとも、「全般としては関係があるかもしれない」ということについては、

太陽活動と地震・噴火の活動に関しての2つの考え方
 2011年02月17日

という記事で「太陽活動が弱いほうが地震や火山噴火が起きやすいかもしれない」というメカニズムを書いています。

しかし、地震のことについては、今回の記事と関係があるわけではないですので、あまり話がそれないうちに、冒頭の記事をご紹介したいと思います。

ところで、翻訳記事中に、イヌイットの長老の話として、

> ホッキョクグマの個体数が増加しており

という部分があります。

そのために、イヌイットの生活の場までホッキョクグマたちが入ってくるような危険なことにも遭遇するようになってしまったと。

しかし、何となく私は、

「ホッキョクグマって減っているのでは?」

と勝手に思いこんでいました。

勝手というか、今でも報道を見れば、下のように「減った」というニュースばかりを目にしていたため、自然とそう考えるようになっていたようです。


北極圏のホッキョクグマ、今世紀の10年で個体数4割減 研究
AFP 2014.11.19

polar-bears.jpg

北極圏のホッキョクグマは、今世紀の最初の10年で急速に減少し、個体数の約4割が失われたとの米国とカナダの科学者チームによる研究論文が、米国生態学会の学術誌「エコロジカル・アプリケーションズ」に掲載された。(略)

海氷消失への懸念を背景に、ホッキョクグマは地球規模で絶滅危惧種とみなされている。



しかし、イヌイットの人たち(彼らが住んでいるのは、カナダ北極圏やグリーンランド、シベリア、アラスカなど北極圏です)は「増えた」と言っているので、どうも妙だなと思いまして、「Polar Bear Science (ホッキョクグマの科学)」というサイトの 2013年7月15日のホッキョクグマの数に関しての記事は以下の通りでした。

polar-beas-increase.gif
Polar Bear Scienc

これは、国際的な自然保護団体の国際自然保護連合( IUCN )のホッキョクグマ専門家グループ( PBSG )の調査結果ですので、ある程度は信頼していい数字だと思います。

ただ、記事をよく読んでみますと、2001年も2013年もどちらも最大値で 25,000頭で変化していないので、どうやら、

「過去 10年でホッキョクグマは、それほど減っても増えてもいない」

というのが実際に近いところなのかもしれません。

ただ、原因はわからないながらも、今年の北極の海氷量が観測史上で最も少ない面積であることは、データからは事実で(しかし、南極の海氷量は過去最大レベルなので「地球温暖化」という言葉では説明がつかないです)、イヌイットの長老たちも語っていますが、北極圏が大きな気候変動の渦中にあることは事実のようです。

そして、イヌイットの人たちは、その気候変動は人為的原因による地球温暖化によるものではなく、「地球の地軸がズレたため」と考えているようです。

それでは、ここからです。



Inuit Elders tell NASA Earth Axis Shifted
Natural News 2015.03.08


イヌイットの長老たちが NASA に地球の地軸がズレたと告げる


イヌイットは、カナダ北極圏やグリーンランド、シベリア、アラスカの地に住む先住民族だ。

そのイヌイットの長老たちが、アメリカ航空宇宙局( NASA )に手紙を書いた。
内容は「地球の軸が移動している」ことを NASA に告げるためのものだ。


イヌイットの長老たちは「空が変化してしまった」と主張する

長老たちは、北極圏の気候変動について記している。それは、氷河が溶け、シールスキン(アザラシの毛皮)の質が落ち、そして、海氷が消えていっている状況だ。

しかし、長老たちは、この気候変動の原因が人間活動による炭素排出によるものだとは考えていない。

部族の長老たちは、これらの変化の原因は「空の変化」にあるとしている。長老たちは、太陽が「かつて昇った場所に昇っていない」と語っているのだ。

そのため、イヌイットたちの地は日中の気温が上がり、そして、太陽の照る時間が長くなったという。

夜の星と月も、以前とは違う位置に照っていると彼らは言う。
そして、このことも気温に影響を与える。

イヌイットは、1年間のうちのいくつかの期間を完全な夜(極夜という太陽が沈んだが続く期間)の中で生活しており、星や月の位置を把握することは生きるための手段だ。

かつては、イヌイットたちは、風をナビとして天気を予測をすることができた。
しかし、もはや長老たちにも天気の予測もできないのだという。

暖かい風が積雪を変化させており、陸上での天気の予測をすることができなくなったと述べる。

そして、ホッキョクグマの個体数が増加しており、イヌイットたちの生活圏でホッキョクグマが彷徨う原因ともなっている。


科学者たちの報告

2011年に、日本列島の主な島が地震によって8フィート(約 2.5メートル)動き、そして、地球の軸が移動したことが米国 CNN で報じられたことがある。

報道では、アメリカ地質調査所の地球物理学者ケネス・ハドナット( Kenneth Hudnut )氏による「この時点(2011年4月20日)で、ひとつの GPS が、2.5メートル移動していることを知りました」という言葉を引用している。

また、日本の国土地理院の地図は、日本が巨大な面積に渡って一貫して移動していることを示す。

CNN は、イタリアの地球物理学火山研究所による「日本でのマグニチュード 8.9の地震が、地球の軸を、ほぼ10センチメートル移動させた」という推定を取り上げている。

天文学者たちは、地球の自転軸にはズレがなかったことには同意したが、しかし、この最近の 10年間では微妙な極性の移動(地球の磁極の変化)があったことを報告している。

これは、形状軸の変化と呼ばれるものであり、これらの変化は、大陸移動によって引き起こされる。
大陸移動は、過去100年の間、北極の位置を南に向けて年間約 10センチメートルずつ移動させてきた。

地球の重力場を詳細に観測している NASA の人工衛星グレース( GRACE )を使った観測を続ける米国テキサス大学の研究チームは、2005年に、北極点の通常の移動が変化していることを発見した。

それまで南に向けて移動していてものが、東に向けて移動していたのだ。

テキサス大学の研究チームは、2005年から 2013年までに 1.2メートルの変化を検出した。
彼らは、気候変動による変化が起きていると結論づけた。



  

2015年03月07日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





china-mental-illness.gif

▲ 2009年4月28日の英国テレグラフより。






 

年間100万人の先天障がいを持つ赤ちゃんが生まれる中国

早いもので、今年も3月を過ぎていることにようやく気づきましたが、1月の終わりの記事、

日本の未来 : 子どもに関しての、そして、高齢者に関しての統計データから受けた衝撃
 2015年01月28日

以来、身体的な健康も精神的な健康も含めて「健全性が損なわれつつある(かもしれない)今の社会」について書いたりすることが何度かありました。

そして、上の記事なども含めて、特に世界で最も少子化の著しい日本の将来に何となく悲観的になったりしていました。

世界191カ国の年齢の中央値(数値が高いほど高齢化の国家)
age-japan5.gif
MEMORVA

上の調査では、世界191カ国の中で「 15歳以下の人口比率が最も少ない」のも日本で、現在の日本の異常な少子化(世界で単独で一番ですので、「異常」と表現しても構わないと思います)は、そろそろ「国家の存続の限界値」ともいえそうですが、解消する目処もなさそうです。

そんなわけで、日本は日本で非常に将来の存続の展望が見えにくいことは確かなのですが、今や人口でも経済でも世界最大に迫ろうとしている中国に関して、下のような報道を見ました。




中国:「捨て子」が重大な社会問題に、毎年10万人=専門家
newsclip.be 2015.03.06

中国では「捨て子」が年間で10万人を数えるまでに増加し、すでに重大な社会問題となっている。

正確な統計はないものの、年間の「捨て子」人数は、1980年代が約5000人、90年代が5万人で推移していた。ただ、国の救済制度不備などを背景に、近年になって段階的に増加しつつあるという。

先天的な障害を持って生まれてくる赤ちゃんが捨てられる例が多い。先天的な障害を持った赤ちゃんの出生比率は、年を追うごとに増えてきた。

これに対処するために、中国では2011年6月に、河北省石家荘市に国内初の「赤ちゃんポスト」が設けられた。その後も、江蘇省、陝西省、貴州省、福建省、内モンゴル自治区、黒竜江省、広東省などに相次いで試行的に設置されている。

ただ、広東省広州市の「赤ちゃんポスト」では、運営わずか50日あまりで大量の嬰児を収容。保護スペースが限定されるなか、運営休止に追い込まれる異常事態も発生した。多くが「脳性マヒ」を抱えている。

「赤ちゃんポスト」に収容された嬰児、幼児は、全体の99%が身体や機能に障害を持っていたという。





というように、中国で「捨て子」が増えているという報道ですが、従来から理由として挙げられることのあった経済的な理由からなどではなく、「捨て子の 99パーセントが先天性の異常を持って生まれた赤ちゃん」だということが書かれています。

先天異常を持って生まれる子どもは、日本を含めて、世界的に増加傾向にあると思われます。
日本でも下のように、1996年頃から急激に増えています。

anomalies-graph.gif
先天異常モニタリング:わが国と 世界の取り組み


上のグラフは 2002年までのものですが、2014年4月の朝日新聞の報道などからみますと、全体の先天異常の数も 2002年以降も上昇し続けていると考えていいようにも思います。

しかし、中国はさらにその比率と増加ぶりが激しいようで、2013年9月19日のサーチナの「障害児の出生率が年々増加=50人に1人、多岐にわたる誘発原因―北京市」という記事には、

2012年に北京市で誕生した新生児は20万人以上だが、そのうちの4000人(50人に1人)以上が障害児である。

中国では障害児の誕生率が比較的高く、毎年80万〜120万人の障害児が誕生している。

とあり、毎年 100万人前後の障がいを持つ赤ちゃんが生まれている。

100万人というのは、当然ながら少ない数ではありません。

たとえば、比較として、日本の 2013年の総出生数は 102万 9816人でしたので、日本で1年間で生まれたすべての赤ちゃんと同じ程度か、あるいはそれより多くの障がいを持つ子どもが中国では1年間で生まれているということになります。

そして、その 100万人の赤ちゃんのうちの 10万人の赤ちゃんが「捨てられる」という社会。

中国の出産数のうち、障がいを持つ赤ちゃんが生まれる割合の推移は WHO によれば、

・1996年 0.87%
・2012年 5.6%


と、十数年で6倍以上になったそうですが、正確なデータはないながらも、これを 30〜 50年前からと比較すると、おそらくは大変な増加となっていると思います。その根拠は、ガンなど他の疾病も、中国では凄まじい増加を示しているからです。

こうなってきますと、いかな大国である中国とはいえ、次第に問題となっていくと思います。

何しろ、(日本もそうですが)国の基盤を作る労働力も、あるいは軍を担う兵士たちも、若者によって構成されるわけで、高齢者がそれに代わることは基本的にはできません。

そして実は、現在でも中国では、大都市で「労働力が足りていない」という現実があったりします。




すでに都市での労働力が不足

何となく、「人口の多い中国では労働力などいくらでもあるだろう」と考えてしまいがちですが、実際には、たとえば、首都北京では下のような状態のようです。


北京で人手不足深刻、建設作業員は月給18.3万円
newsclip.be 2015.03.05

北京市の人手不足は全国で最も深刻だという。北京などの大都市は家賃や物価の高騰など生活面のプレッシャーも大きいことから、地方からの出稼ぎ労働者が避ける傾向にあるためだ。

なかでもドライバー、建設、宅配、救命、メイク、チケット予約サービスといった業種で人手不足が顕在化しているという。うちドライバーの求職倍率はわずか0.22で推移している。

一方、供給不足の業種のうち、最も平均給与水準が高いのは建設作業員で、月額9621人民元(約18万3227円)となっている。同額は全国トップの上海市(5825人民元=約11万934円)など1線都市を上回っている。またホワイトカラーの平均も超えている。



ということで、労働力が足りていない上に、建設労働者が「月給 18万円」という給与水準であることにも驚きます。ちなみに、北京のホワイトカラーの月収は、こちらによれば、平均 5453元ということで、10万円くらいでしょうかね。

要するに、現在の北京では、若いエリート・サラリーマンの2倍ほどの月収を建設作業員が得ているという構造になっているようなのです。

しかも、「それでも人が集まらない」と。

理由は上にもありますように、中国の大都市は家賃や物価が高いということもあるのでしょうけれど、ホワイトカラーを上回る給料をもらっていれば、住めないということもなさそうです。

しかし、実際の理由はともかくとしても、都市部での労働力が不足しだしているのは事実のようで、今後もさらに激しい高齢化社会となっていく中国では、このような状態が続くのかもしれません。

ただ、少子化の問題は主要国ではどこも同じような問題ではあります。

1940年から 2013年までの7カ国の出生数の推移
born-1940-2013.gif
厚生労働省 人口動態統計

日本(黒い折れ線)は、1960年くらいからずっと出生数2くらいからそれ以下ですが、 1950年以前を見ますと、日本でも一人のお母さんが4人くらいの子どもを産んでいたというようなことが普通だったことがわかります。

韓国なんて「6」などという数字がありまして、どの国もこの数十年間で、いかに子どもの数が減ってきているかがよく現れています。

少子高齢化というのは主要国全体としての問題となりつつありますけれど、とりあえず、話を中国に戻しますと、先天異常などを抱えて生まれる赤ちゃんが劇的に増えているだけではなく、若者や成人で精神疾患を抱える人の数も飛躍的に増えています。




数億人の精神疾患予備軍を持つ中国

冒頭に載せました「中国では1億人が精神疾患を抱えている」という報道は、2009年のものですが、そのデータはかなり大ざっぱな統計をもとにしているとは思われます。なぜなら、 2014年の報道でも1億人という数が見出しで見られるからです。

下の記事は、2014年6月11日の日経ビジネスの記事からの抜粋です。


精神疾患1億人、心病む中国 本当の患者は病棟の中か外か
日経ビジネス 2014.06.11

13人に1人が心の病、2分に1人が自殺

中国には精神疾患者が1億人以上いるとわれている。13人に1人が心の病という計算になる。何をもって精神疾患というかはあいまいながら、これは中国衛生部疾病コントロールセンターの推計だ。

このうち重篤な精神疾患は1600万人をこえるという。また鬱病の生涯有病率は人口の4%で約5500万人。

自殺者は多い。自殺大国と言われている日本よりも、比率は若干高いだろう。推計には諸説あるが、世界自殺予防デーなどで繰り返し報道されているのは、「2分ごとに1人自殺、8人が自殺未遂、1人自殺するごとに平均6人の家族・友人を直接的間接的に被害に巻き込んでいる」。



というようなことで、実数は曖昧ですが、以前と比べて、どのくらい増えたかということについては、

「中国でのメンタル系の薬の売り上げ」

のグラフで推移を見るという方法があります。

下は 2010年11月の科学誌ネイチャーに掲載された「中国のメンタルヘルス薬剤市場の拡大」をグラフにしたものです。

china-mentalhelth-market.gif
nature

1999年から 2010年の 10年間で、抗精神剤も抗うつ剤もどちらも十倍から十数倍という爆発的な伸びを見せていて、2010年には、

・抗精神薬剤の中国での売り上げ 約 360億円
・抗うつ剤の中国での売り上げ 約 240億円


と、ものすごい規模となっていて……まあ、これらの薬剤を作っているのは欧米の製薬会社だと思いますが、いずれにしても、とんでもない規模のマーケットになっていることがわかります。

ただ、上のグラフのうち、「抗うつ剤」に関しましては、過去記事、

うつ病だらけの世界の中…
 2014年10月01日

の中の、

うつ病が増えた本当の原因は「うつ病を治す薬」かもしれないという現実

というセクションに書きましたように、「うつ病と抗うつ剤の関係」には、いろいろなカラクリがある世界ではありまして、つまり、抗うつ剤に関しての事実として、

うつ病の薬が本当によく効くものであるならば、本来なら、うつ病の患者はどんどん減っていくのが正しいはずなのに、実際には薬の普及と共に、うつ病患者がどんどん増えている。

ということが、世界のいたるところで見られているということがあります。

ですので、うつ病患者の増加を、市場規模の拡大のグラフだけから見るわけにもいかないのですけれど、それでも、精神疾患と共に、10年で十数倍の増加というのは、ちょっと他の国では見ないです。

ところで、今回の記事のタイトルに、「集団的・無意識的に自殺を進めている大国」という言葉を入れているのですが、これは私が考えた言葉ではありません。

そのことを少し書いて締めたいと思います。




現在の中国人の資質

現在の中国に関しての「健康」に関して、他のいくつかのデータは、例えば、ほんの一部ですが、

2010年に中国で大気汚染が原因で亡くなった人は約 120万人(Record China

中国の1歳未満の赤ちゃんの死亡数は1日平均 573人(Record China

中国では1日に 8550人の新しいガン患者が発生(Global Voice

など、いろいろと壮絶な数字が並ぶわけですが、中国の「健全」が崩壊しつつある原因のひとつは、環境や食の安全などがあるでしょうけれど、それらすべてに通じる「現在の中国の人々の考え方」というものに本質がありそうです。

それを知ったのは中国人作家の方の書いた一冊の本によってでした。

中国の食の状況について書かれ、日本語でも出版された『中国の危ない食品―中国食品安全現状調査』(原題:民以何食為天)という著作の作者である周勍という人は、インタビューの中で、以下のように述べています。




中国の危ない食品 - 著者インタビューより

中国は、旧ソ連からプーチン政権下のロシアに代わったのと同じように、集権先制に資本が加わって闇社会化した典型です。すなわち、少数の利権利益配分グループが、言われているところの社会転換型の期間に、国家機構を利用して権力に変え、しかるのち、この権力を使ってブラックマネー資金を獲得し、この資金でもって絶対多数の民衆に対処、対応しているのです。

中国の食品汚染は人心の汚染から来ています。中国人のこの民族全体は知らず知らずのうちに、集団的に無意識的に自殺を進めているのです。

ですから私は、中国の悲惨さを増しつつある事態を救えるのは、国内にあっては中国人みずからしかいないと考えています。中国人自身が魂の救済運動を起こす。





というように、

> 集団的に無意識的に自殺を進めているのです。

とまで言っています。

作者ご本人も中国人ですから、中国人みずからが「心の汚染を排除する」ことに気づくことを願っているようですが、現状ではなかなか厳しいようです。

それにしても、日本、韓国、中国を含めた東アジアの 50年後の姿が想像しにくい世の中になってきています。どれかは消えて無くなっているかもしれないですね。



  

2015年03月05日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





usa-organized-religion.gif

▲ 2015年3月2日の RAW STORY より。






 

神のいる場所

今回は、「宗教に関わらないアメリカ人が劇的に増えている」という記事をご紹介しようと思います。

アメリカで彼らは「ノンズ」(発音としては「ナンズ」が近いです)という言い方をされているようですが、その数はすでに政治政策的にも甘く見られないほど増加していて、宗教的グループとして、プロテスタントの次に多い第2位の位置を占めるまでの率となっているのだそう。

ただ、宗教を持たないとはいっても、「信仰を持たない」という意味ではないようで、今回の記事の中に、

彼らを「無信仰者」と呼ぶのは正確ではない。

なぜなら、彼らの中には感覚的なものの中に信仰とスピリチュアリティを持ったり、あるいは他の何かの中にそれらを見出していることがあるからだ。

とあり、ノンズのうちの約 30パーセントは「神や宇宙に存在する普遍的な精神性」を信じていて、約 20パーセントほどは、「毎日、お祈りを捧げている」という調査結果が示されていて、信仰が消えたというより、

「信仰の対象を他に見つけた」

ということになるようで、そして、それは権威化した既成の宗教ではなく、多分は、多くの人たちが

・自分の中
・宇宙
・自然などの森羅万象


に神を見ているということかもしれません。

ただまあ、現在のアメリカ人は「信じる対象」も、なかなか多彩でありまして、過去記事の、

2600年前のブッダが語った「無数の宇宙 / パラレルワールド」が現代の量子論の中で蘇る中で感じること
 2014年11月05日

の中で、2014年10月24日のワシントンポストの記事にあった、

「アメリカ人たちはどんなものを信じていて、どんなものを信じていないか」

という調査の結果のグラフを日本語でご紹介したことがあります。

us-belief2.gif
Washington Post

グラフは文字がどうしても小さくしか収められず、あまり見やすくないですが、

「ポジティブな思考を通じて物理的な世界に影響を与えることができると信じているアメリカ人成人は全体の 70パーセントもいる」

ことがわかり、また、続けて、

「かつて、アトランティスのような文明が存在したことを信じる」
「夢が未来を予言できることを信じる」
「幽霊の存在を信じる」


などの人が 50パーセントを超えているということになっています。

考え方は人それぞれですが、アメリカ人の 70パーセントが信じている「ポジティブ・シンキング」をはじめとして、上のグラフのいくつかは、過去記事の「閑話休題 : スピリチュアルとは何か」という記事などで書いた、やや不安な部分もないではないジャンルと触れるところがありまして、「内なる神」という存在も、方向性を間違うと、「妄想の表象」というようなことにもなりかねないところはあるのかもしれません。




ローマ法王の発言を思い出し

宗教の否定ということについては、たとえば今は、ローマ法王自らが「天地創造を否定している」という時代でもあります。

pope-speech-2.jpg

▲ 2014年10月30日の記事「神の敵の登場:神による天地創造を否定し、ビッグバンと進化論を演説で肯定したフランシスコ法王」より。映像は ODN にあります。

上は 2014年10月のバチカンの公式会議の場で、その内容の冒頭は以下のようなものでした。


2014年10月27日 バチカンでのフランシスコ法王の演説

世界は、何か他に起源を持つようなカオス(混沌)の中から始まったのではありません。しかし、愛から作られた至高の原則を直接的に派生させます。

現在では世界の始まりとされているビッグバン理論は、神の創造的な介入と矛盾するものではありません。逆に創造論はビッグバンを必要としているのです。

自然の進化論は、神による創造の概念の逆にあるものではありません。なぜなら、進化論には「生物の創造」が必要とされるからです。



神の使いのトップがこのように言うのなら、そりゃ神はいないかもしれないと考える人が増えるのも仕方がない気もしますが、その以前より、アメリカでは加速度的にキリスト教を含む宗教信者の数が減少し続けているようです。

ところで、未来予測プロジェクトのウェブボットには、5〜6年前のレポートで「宗教の死」という言葉が何度も登場しました。

今回の記事と関係あるわけではないですが、本文記事の前に、少しその中のひとつをご紹介しようと思います。2010年のもので、その後、実際に起きたことも起きていないことも含まれています。


ウェブボット ALTA レポート
2010年8月15日配信

・多くの人々の意識の覚醒が進み、影の支配勢力と、現実の実態に気づく人々が多くなる。この覚醒は主要メディアでも話題となる。

・多くの宗教は影の支配勢力が民衆を洗脳しコントロールするために作り出したものだが、覚醒が本格的に進むにしたがって、宗教の多くが信者から放棄されるようになる。宗教的指導者やグールーが捨てられるのだ。

・宗教にとっては厳しいときが迫っている。カトリックとモルモンで大規模なセックススキャンダルが明らかになる。聖職者のスキャンダルがさらに発覚する。この発覚によって、多くの聖職者は処罰の対象になる。

・こうした事件が明るみで出ることで、かつての信者は暴動を起こす。この暴動で政治家も圧倒される。

・このようにして、人々の意識は、宗教に対する奴隷状態から、向こう側の世界の存在の認識へと変化していく。

・宗教のこのような没落は、「時間感覚の変容」を体験する人々が多くなるにつれ加速する。新しいクロノスとカイロスの体験から、これまで宗教が与えてきた概念がまったくのウソであることを実際に知る人々が増えるのである。



というように、ウェブボットにおいては、宗教からの離脱は「覚醒によるもの」とされていますが、ただ、先ほどの「アメリカ人の信じるもの」を見ていますと、現在のアメリカで起きている宗教からの離脱が覚醒といえるのかどうかわからない面もないではないです。

では、ここから翻訳記事です。




Americans are turning away from organized religion in record numbers
RAW STORY 2015.03.02


記録的な数のアメリカ人たちが組織化された宗教から離脱している


炎を吹くような宗教が新たな国際紛争の懸念となり、家庭での政治的な議論は多くの場合、キリスト教の右派の人々によって支配されている状況の中、ともすれば、あなたは、街のいたるところで誰かの神によって襲われるような感覚に陥るかもしれない。

しかし、あなたが既成の宗教の前でひざまずくタイプの人間でないのなら、少しは良いニュースかもしれない − アメリカではあなたのような人が増えているのだ。

現在のアメリカは、以前と比較すると、既成宗教と関係しない人々が劇的に増加している

1980年代以降の、さまざまな種類の異なった世論調査の結果は、すべて「特定の宗教に帰依していない人々の増加」の結果を示している。そして、多分、その数はこの期間内で倍増している。

彼らはいかなる特定の宗教的なグループとも関係を持たないため、「ノンズ( nones / 無信仰者 )」と呼ばれることもあり、不可知論、無神論者、自然神教信奉者、世俗的なヒューマニストなどとも呼ばれることがある。

しかし、彼らを「無信仰者( nonbelievers )」と呼ぶのは正確ではない。

なぜなら、彼らの中には感覚的なものの中に信仰( faith )とスピリチュアリティを持ったり、あるいは他の何かの中にそれらを見出していることがあるからだ。

アメリカのシンクタンク「ピュー研究所」が 2012年に調査したところによれば、これら特定の宗教を持たない人々の約 30パーセントが「神や宇宙の普遍的な精神性(スピリチュアリティ)」を信じていて、ノンズの約 20パーセントの人々は毎日お祈りをする。

最近の研究によれば、彼らのようなノンズ、すなわち「どの宗教にも該当しないアメリカ人たち」が、国において重要な力を占めるようになってきている。他の宗教的グループ、たとえば、新生福音派のようなグループも数として成長してはいるが、ノンズは数の上で彼らを圧倒している。

米国議会超党派で作られている公共宗教研究所( Public Religion Research )は、3月4日、アメリカ人のこの急激な価値観の変化を文書化し発表した。この魅惑的な研究は、人口統計、宗教的データ、政治的なデータに基き、2014年を通して実施された。

公共宗教研究所のダン・コックス所長は、この調査結果について、

「アメリカの宗教的な光景は、劇的な転換期を迎えている。これは、基本的にアメリカの政治や文化を再形成するほどのものだ」

と述べている。

2014年には、アメリカでの調査において史上初めてプロテスタントが主流派からマイノリティとなった。調査ではプロテスタントの数は 50パーセントを下回り、アメリカ人の 47パーセントだった。

そして、2番目の規模となったのが、宗教と関係していない人々(ノンズ)で、その率は 22パーセントにのぼり、アメリカのカトリック信者などの主要な宗教団体と同等の数となった。

また、このノンズのクループは、ワシントン州、オレゴン州、ニューハンプシャー州では3分の1以上を占め、全米 13州で最も数の多いグループとなった。

ミシシッピ州は最もノンズの比率が低いが、それでも全体の 10パーセントを占める。

また、今回の調査では、特定の宗教と関わりを持たないグループが2番目の数となっている州が 15に上ることがわかった。

これら特定の宗教と関わりを持たない「ノンズ」はどのような傾向を持つのか。

ノンズは政治的にリベラルになる傾向があり、たとえば、ノンズの4分の3が同性愛結婚を支持し、法的中絶を支持している。また、ノンズは他の宗教的グループより教育や収入が高い傾向がある。

現在のアメリカでは5人に1人が宗教に属していないが、若い世代では、この数がかなり高くなる。ピュー研究所の調査では、30歳未満のアメリカ人の3分の1が特定の宗教を持たないことを示す。

昨年、ワシントン・ポスト紙は、オリン大学のコンピュータサイエンスの専門家アレン・ダウニー( Allen Downey )教授によっておこなわれた研究を引用した記事を掲載した。

教授によれば、人々がノンズになる理由は主にふたつだと主張する。

ひとつは、親による宗教的なしつけの不足。
そして、もうひとつはインターネットだという。

ダウニー教授によると、無信仰の 20パーセントは、インターネットの利用に起因しているという。

宗教を持たないアメリカ人の比率は 1990年には 8パーセントだったが、 2010年には 18パーセントになった。同期間、インターネットを利用するアメリカ人の率は 0パーセントから 80パーセントに急上昇している。

しかし、ノンズの増加とインターネットの関係性は、他の専門家も指摘しているように、その関係に明確な因果関係はないことは教授も認めている。

ただひとつ確実にいえることは、ノンズたちの投票は現在の政治を形作っている。彼らはオバマ大統領が二期目に勝利することの手助けとなりたいと考えている。

しかし、それでも、アメリカの人口の 18パーセントに過ぎないながら大きな影響力を持つ白人福音派の影響の低下の徴候は見られていないようだ。

大統領候補のスコット・ウォーカー( Scott Walker )氏は進化論についての質問に答えることを拒否した。それはまるで、広く受け入れられている科学を許諾することが背信者となるかのようであった。




  

2015年03月04日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





toothpaste2.jpg
Fluorine

アメリカではフッ素化によって、1億2千万人以上の者が慢性中毒の危険にさらされており、4千万人の者が関節炎に、2千万人以上の者が「歯が変色する」という悪しき中毒に、また、およそ2百万人の者がフッ素によるアレルギーないしはアレルギー様症状を示している。

− 米国の医学博士ジョン・イアムイアニス氏の1991年の論文の翻訳より。







 




528Hzと頭痛

私は寝る前に 528Hz の音叉を聴くことが多いのですが、めまいが続く中、まだ少しフラフラすることなどもありまして、昨晩も夜、チーンと鳴らしていると、奥さまの「お経でも読みたくなるね」という発言に続きまして、うちの子どもが、

「この音は良い音なんだよ。それがわかったの」

と奥さんに言いました。

奥さん「どうして?」
子ども「この間、頭痛が治ったの」


3日ほど前、子どもが吐き気と共に軽い頭痛を訴えていまして、これ自体は自家中毒の気があるうちの子どもには、たまにあることなんですが、基本的に薬だとか、あるいは何か即物的な対症療法があるわけではなく、そういう時には眠るのが一番なんです。

ところが、その時は、子どもは頭痛のために眠れないと言っておりまして、その際、「おまじない」程度のつもりで、528Hz の音叉を鳴らしたり、子どもにあてたりしていたのです。

というのも、うちの子どもは、この音叉やその音自体をわりと気に入っていて、自分で鳴らしたりしていたので、気休め程度にはなるかもしれないと思ったのですが、しばらく鳴らしたり頭のほうにあてたりしているうちにスーッと眠ったのでした。

528hz-7.jpg


しかし、私はその時に子どもの頭痛が消えていたとは知らなかったので、「あの時、あれで頭痛が消えたの?」ときくと、子どもは、

「うん」

と言いました。

鳴らしていたのは、ほんのわずかな時間でしたので、心理的な効果が半分だったのだとは思いますが、頭痛などには(人によっては)効果があるのかもしれないなあとは思いました。




人間の口内の物質の「吸収率」は、あなどれない

最近は、いくつかの記事などで、「フッ素」のことを取り上げることがありました。

そんな中、先日、実家から荷物が送られてきた際に、その中に「歯磨き粉」が入ったいたのです。コメとか野菜とかはよく送ってくれることがあるのですが、

「なんで歯磨き粉?」

と思いましたが、成分を見てみると、それはフッ素の入っていないものでした。そこにその歯磨き粉の製品チラシみたいなものが入っていて、フッ素と共に「ラウリル硫酸ナトリウム」というものも入っていないと書かれてありました。

そのチラシに、下のような文章が書かれてあったのです。


口内の有害化学物質の吸収倍率は14倍

腕の内側を1とすると、他の箇所は 3.6〜 42倍と、皮膚が柔らかい箇所や粘膜を中心に、吸収率が高くなっています。食物を摂取する口内は 14倍で、そのまま食道や胃などの内臓器官にも進むため、口に入れるものは安心・安全なものを選ぶ必要があります。


口内の吸収率の 14倍という数値が正確なのかどうかはわからないですが、「口内の吸収率がいい」のは、狭心症など心臓の発作に使われるニトログリセリンが舌下剤であることなどでもわかります。それだけ体内への吸収が速やかで吸収効率もいい。

ということは、他のどんな物質も、口内は吸収率が良く、吸収速度も速いということが言えそうです。

口に入れるものなら何でもそうでしょうが、たとえば歯磨き粉などに、少量にしても何らかの体に有害(かもしれない)物質が含まれていた場合、それで歯を磨くたびに「速やかに、しかも、効率よく」吸収されていくということにもなりそうです。

飲み込んだりしなくとも、口内自体が物質の吸収率の良い環境ですので、どんなものでも、他の皮膚からの吸収以上の影響がありそうです。

ちなみに、皮膚から身体に入る経皮吸収の毒というページに、「腕の内側を1とした場合」の、他の部位の吸収率がイラストで示されていました。キュートなバスタオル姿の女性で示されています。

体の部位による吸収率

Percutaneous-absorption.gif

ちょっと文字が読みづらいかと思いますが、腕の内側と比較して、

・頭 3.5倍
・後頭部 3.5倍
・ほお 13倍
・あご 13倍
・背中 17倍
・手のひら 0.83倍
・性器 42倍


となっています。

口内の数字は出ていませんが、本文のほうに、

口の中や肛門などの粘膜部分は、角質層がないためバリアー機能は働かず、吸収率は非常に高い部分です。

とありまして、さきほどの歯磨き粉のチラシには「 14倍」とありましたが、ほおなどで 13倍もあるようですので、角質層がさらに少ない口内は14倍より高い気もしないでもないです。

それと、上の吸収率は成人の場合で、

年齢による吸収率の違いで最も注意してほしいのは、赤ちゃんです。
とりわけ生まれたての新生児の皮膚は、角質層が未発達なため、皮膚バリアー機能が働きません。

ということらしくて、当然ではあるでしょうけれど、小さな赤ちゃんになればなるほど、その全身の角質層が未発達であるために、様々な物質をストレートに吸収しやすいもののようです。

そして、ここに付け加えますと、こういうように「吸収した物質」は、赤ちゃん時代に影響がすぐ出るというものではないかもしれない、ということがあります。

たとえば、松果体の話の場合ですと、フッ素、カルシウム、アルミニウムなどは、

「少しずつ蓄積していく」

もののようなんですが、これらの影響が出るのがいつ頃になるのかの予測はできません。

極端な話、ある人の若年性アルツハイマー病の原因が赤ちゃん時代からの蓄積された物質だったというようなことだって、「それは全然関係ない」とは誰にも言えない部分はあるわけで。

現代社会では、赤ちゃんの頃から、いろいろな化学物質を口内や皮膚から吸収しています。

その「いろいろなもの」が、その赤ちゃんが何歳くらいまで成長した時に、どんなような影響として出てくるかの予測はできないはずです。

もちろん、そんなことは的外れな考え方かもしれません。

しかし、確実に言えそうなこととして、過去記事の、

日本の未来 : 子どもに関しての、そして、高齢者に関しての統計データから受けた衝撃
 2015年01月28日

などで書きました、この数十年くらいの様々な統計やデータから、

「多くの子どもたち、あるいは大人たちも、心身ともに健全とは言えなくなってきている」

ことを示しているとは思うのですよね。


日本における先天異常発生頻度の推移(1974年 - 2004年)
Congenital-anomaly-2004.gif
エコチル調査


アメリカの自閉症の子どもの率の推移の統計グラフ(1975年 - 2009年)
autism-prevalance-2009.gif
What is Causing the Increase in Autism Prevalence?


子どもの問題だけではなく、「蓄積」は文字通り「蓄積」ですから、むしろ、高齢になっていくほど、問題も深刻になっている部分もあるのかもしれません。

それでも、こういう言い方は良くないかもしれないですが、お年寄りよりも、赤ちゃんや若い人たちの病気や心の問題の方が悲劇に見えてしまいますし、そして、それが増えている。

今は、花粉症も含めて、何らかのアレルギーを持つ人たちが多いですが、たとえば、小学生になってからアレルギーになってしまったり、あるいは比較的若い年齢でガンなどの病気になってしまうことが「ずっと続いてきた何かの蓄積によるもの」と関係がないとは誰にも言い切れないようにも思います。

私なども生まれつきからだが弱いですが、私みたいな人は「めいっぱい蓄積されている」のかもしれません。そして、こうやって生きている間に、さらにいろいろなものが脳やらに蓄積していっているかもしれない。

赤ちゃん時代からどころか、

胎内で200種類以上の汚染物質に包まれながら成長して生まれてくる赤ちゃんたちのサバイバル。そして、生まれてからはフッ素で松果体を破壊される子どもたちのサバイバル
 2015年02月01日

という記事にも書きましたけれど、現代の文明的な生活の中では、お母さんのお腹の中にいる間から、赤ちゃんたちはすでに様々な物質にさらされている。生まれる前から蓄積が始まっている。

以前の記事で、英語版の松果体の Wikipedia をご紹介したことがあります。

そこには、

> 松果体の石灰化は成人では典型的だが、2歳児のような年齢の低い児童で観察されることもある。

という文脈がありました。

普通は、ある程度の年齢を経過しないと、松果体にしても、他の器官にしても、石灰化は起こらないと思うのですが、2歳の子などで石灰化の例が見られるということは、若ければ若いほどその影響も強く出るものなのかもしれません。

それまでの私は、フッ素を含めて、こういうようなことについて無関心でしたが、調べれば調べるほど、いくつかの物質については、その影響を無視して生きることは「あまり良いこととは言えないかもしれない」と思うほどのものがあります。

そのうちのひとつはやはりフッ素だと思います。

最近では、フッ素添加という概念には、変な陰謀論より強烈感を感じる部分もあります。




フッ素についての学術論文からの抜粋

メッドライン( MEDLINE )というインターネット上の世界最大の医学論文データベースがあります。

medline.gif
Medline - fluorine

これは、Wikipedia の説明をお借りいたしますと、


MEDLINE(メッドライン)は、医学を中心とする生命科学の文献情報を収集したオンラインデータベースである。2007年現在、月に7000万回程度のアクセスがある世界で最もよく使用される生物医学系データベースである。

米国およびその他80カ国以上の国で出版される、37の言語の5,000以上の学術誌に掲載された1500万を超える文献情報を網羅する。



というもので、ほとんどが英語の論文ですが、たとえば「フッ素( fluorine )」で検索すると、250以上の論文が結果として示されます。

パッと見だしを見る限りでは、多くは歯科衛生に関しての「フッ素推進系」のものが多いのですが、中には、そうではないものもあり、しかし、200も 300もの英語の論文の中身をチェックするのは難しい話です。

しかし、日本の医学博士で、これらの中から「フッ素の有害性」についての医学論文を検索して調べていた方がいらっしゃることを知りました。それは、歯科医であり、医学博士の村上徹医師で、村上医師のサイトには、数多くの論評や論文の翻訳等が載せられていますが、その中にメッドラインから検索した医学論文の中から、歯学的な観点からではなく「脳とフッ素」の関係に的を絞った論文の概要がいくつか翻訳されています。

村上医師が、それらをまとめた「フッ化物による脳機能障害について - 関係文献(抄録)の紹介」というページから少しその内容をご紹介したいと思います。

医学論文というものは当然ながら難解なものでして、そのまま抜粋しましても、私などにもちんぷんかんぷんな部分が多いですので、わかりやすいラインだけを抜粋する形でご紹介したいと思います。専門的にお知りになりたい方は、該当ページをお読み頂ければと思います。

ちなみに、どの論文も新しいものではないですが、それだけ昔からフッ素の有害性は公になっていたということなのかもしれません。

それにも関わらず、アメリカの水道水へのフッ素添加の世帯数は以下のように伸び続けているというのは、謎なのか、謎ではないのか、というのは難しいところです。

us-fluoridation-2008b.gif
tuberose


ちなみに、その「フッ化物による脳機能障害について」というページは大変に長いものですが、「はじめに」というセクションの最初の部分で、村上医師は、以下のように記しています。これは今から 15年前以上前に書かれたものです。


1 はじめに

最近、化学物質による脳機能の障害が、世界的スケールで問題となっている。どうも昔と比べて、何か子供がおかしいのじゃないか。そう考えなければならないような異様な事件が続出している。いわゆる「キレル」子供の問題であるが、その異常きわまる行動の動機や心理が、どう考えても理解できない所から、子供の頭の中身(脳機能)が、以前とは少し違ってきているのではないかと真剣に考えられているのである。


と村上医師は書かれていましたが、それから十数年。

ここにある「何か子供がおかしいのじゃないか」と思う状況は減っているのか、あるいは増しているのか……というご判断はお任せいたします。

以下、翻訳論文から抜粋しながら進みます。小見出しは、こちらで付けているもので、論文のタイトルとは関係ありません。


フッ素が影響を与える部位 - 海馬
論文「細胞内のフッ化物はカルシウム電流の促進の運動特性を変化させることと、海馬神経細胞におけるシナプス事象の調査(1986年)」より。

・細胞内に様々な作用剤を導入することで、海馬領域におけるニューロンの電位依存性のコンダクタンス(電気伝導力)を抑制しようと試みた。

・細胞内にフッ素が存在するとカルシウム電流の動態は加速され、この電流の持続的な成分は大きく抑制された。

・電極がセシウム、QX314(麻酔薬)、フッ素で満たされている時には、神経細胞膜が脱分極へと向かう非直線的な反応がブロックされること示した。

箇条書きで抜粋しても大変に難しいのですが、

「さまざまな物質を脳に入れて、脳の電流の流れ方の変化を測定する」というヴォルテージクランプという実験方法で、脳の海馬(かいば)領域の電流の持続性がフッ素(あるいはセシウムなど)によって抑制されたということのようです。

海馬は、以下のような部分です。
図の赤い部分が海馬です。


海馬 - Wikipedia

hippocampus.gif

海馬は、大脳辺縁系の一部である、海馬体の一部。特徴的な層構造を持ち、脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官。

その他、虚血に対して非常に脆弱であることや、アルツハイマー病における最初の病変部位としても知られており、最も研究の進んだ脳部位である。



というように、海馬が、

> アルツハイマー病における最初の病変部位

とあり、その海馬が、上の実験のようにフッ素からの影響を受けるということは、アルツハイマーとの関係は置いておいても、フッ素が「脳の認知能力の阻害すること」と関係する可能性もあります。

下のほうの論文にありますけれど、多くの調査で、フッ素症などの若年層での知能の低下が示されていますが、こういうことも何かの関係があるかもしれません。



胎内の赤ちゃんへのフッ素の影響
論文「生育期のヒトの脳に対するフッ素の影響(1992年)」より。

・フッ素症の流行地域において、疾病治療のため妊娠5−8月で中絶した胎児15例を、非流行地域のそれと比較した。

・脳の立体解析学的研究の結果、ニューロンの平均容積は減少していた。容積の数的密度と、容積密度およびミトコンドリアの表面密度は著しく減少していた。

・この結果は、(妊婦の)慢性フッ素症は、胎内の胎児の脳の発達に有害な作用を及ぼすという事を示した可能性がある。

これは、母親がフッ素症の場合の体内の胎児の「脳の発育」に関しての調査で、胎児の脳の様々な神経系統や容積などが「減少」していたというものです。

要するに、フッ素症の妊婦の胎児は、通常の胎児より「脳の機能も大きさも小さく育った」というとらえ方で構わないのではないかと思います。

次のものは、環境や井戸水にフッ素の含有量が多い中国での研究です。

環境中のフッ素量による子どもたちの知能の比較

論文「子供たちへのフッ化物曝露による知能の影響(1995年)」より。

環境中のフッ素量が異なった地域に生活する8-13歳の子供907人について知能を計測した。中度または重度のフッ素症が流行している地域の子供たちの知能指数(IQ) は、軽度もしくはフッ素症が全く発生していない地域の子供たちより低下していた。

以下も中国での研究論文です。

論文「子どもの知能への高いフッ素添加水の供給の影響(1996年)」より。

中国山西省にあるSima村はフッ素症流行地帯であるが、そこの住民のIQの平均(97.69) は、一般の平均(105.21)より著しく低下している。フッ素は胎児の血液脳関門を透過し、胎児の脳に蓄積することが報告されており、従って子供の知能に明らかな影響を及ぼす。


フッ素は脳全体に浸透する

上の中国の論文に「血液脳関門」(けつえきのうかんもん)というものが出てきます。
これは、「血液 脳 関門」と分けて読めば、「血液と脳の関門」ということで、わかりやすいかと思いますが、Wikipedia の説明では、

血液と脳の組織液との間の物質交換を制限する機構である。

とあります。

そして、フッ素はこの血液脳関門を通過(透過)しないとされていましたが、1994年の論文「フッ化物の精神薬理学( Psychopharmacology of fluoride )」には、

血液脳関門は、フッ素に関しては比較的不透過的であるとはいえ、絶対的な障壁ではなく、フッ素は脳中に侵入する。

ことがわかったことが記されています。

口内でも他のどこからでも「血中にフッ素が入った場合は、血液脳関門を透過して、脳組織に入る」ということになるようです。

また、さきほども出てきましたが、この影響は赤ちゃんになればなるほど強いこともわかっているようで、東京都神経科学総合研究所の黒田洋一郎氏という方の「環境化学物質の脳神経系への長期影響」によりますと、

論文「環境化学物質の脳神経系への長期影響 − 何がわかっているか、何がわかっていないのか」より。

脳の発達で一番重要な時期・胎児-乳児期に化学物質は脳に入りやすい。脳の機能発達過程で最も環境化学物質の影響を受けやすい時期は、胎児期から母乳の影響をうける乳児期のあいだである。

成熟した脳では、このような環境からくる化学物質による攪乱から脳を守るために、血液脳関門が発達し、有害な化学物質の血液系を通しての侵入を“関所”のように防いでいる。

ところが胎児期にはこの防御システムはないといわれ、乳児、幼児期でもこの関門の機能は未発達で多くの有害物質を通してしまう。

ということで、どんな物質でも、赤ちゃんの脳へストレートに入りやすいことがわかります。

他にもいろいろと論文が載せられているのですが、アメリカのダートマース大学のロジャー・D・マスタース名誉教授は、「井戸の汚染:金属の神経毒性、飲料水の処理、人間の行動」という1999年の論文を以下のように結んでいます。

「環境汚染や危険な水道水のフッ素添加は、経済的に高くつき、倫理的な正義にも反する行為である。純粋無垢な子供たちが水道水によって汚染されるようなことは、決してあってはならぬ事だ」

アメリカのフッ素化計画は、原子爆弾開発のためのマンハッタン計画と、その人物が関係していることが事実のため、そちらの陰謀論的な話としても取り上げられやすいですが、誰かを責めることには今さら意味がないと感じます。

それよりも、日常的なサバイバルを考えるほうが先決だと思われます。つまり、現在の環境の中で起こりうる様々な「蓄積」を、個人個人のレベルで止める方向で考えることのほうが大事な気はします。

特に小さな子どものいらっしゃる方は。

多分、子どもが若ければ若いほど、そのサバイバルは有効になると思います。

妊娠している方なら、「妊婦である自分自身に対してのサバイバル」が、結果として、お腹の赤ちゃんへの蓄積を防ぐことになるはずです。

アメリカを始めとして、水道水にフッ素が添加されている国にお住まいの場合は、サバイバルの方法もなかかな困難な部分もありそうですが、日本では(現時点では)水道水にフッ素は添加されていませんから、特に力む必要もなく、歯科衛生のジャンルで少しだけ気をつければ何とかなる範囲です。

今の日本で描かれる様々な、ある意味では絶望的にも見える子どもに関してのデータや、高齢者に関してのデータが少しでも良いほうに書き換えられるようになればいいのですけれど。

しかし、いろいろと、もはや時間も足りないような気もして、複雑な心境ではあります。



  

2015年03月02日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





Scholzs-Star.jpg

▲ 2015年2月20日のナショナル ジオグラフィック・ニュース「7万年前に恒星が最接近、地球に彗星の嵐か」より。






 


めまいのその後

少しは改善してきているとはいえ、回転性めまいは相変わらずです。めまい発作からもう1週間ほど経っているのですが、激しくフラつくので、ごく近く以外への外出は厳しいです。

今日は、奥さんが花粉症の薬をもらいに耳鼻科に行くというので、奥さんに付き添ってもらって、私もその耳鼻科に行きました。病院は、歩いて5分ほどのところにあります。

地元で人気の上に、今は花粉症の人たちが多く、大変混んでいるのですが、花粉症の方々に対しての診察は非常に早く、それほど待つこともなく診察に。

メニエール病などの疑いを含めて、めまいの場合にはおこなわれる一通りの検査である、聴力検査や、眼振(がんしん)といって、眼球が意志に反して動く状況の検査など、めまいのいくつかの検査をしました。眼振は予想以上に強かったようです。

医師 「これはあれですよ。あなたはめまいに慣れているから、立っていられるのかもしれないですが、普通の人なら立てる状態ではないです」
わたし「確かに慣れてはいますね。キツいのはキツいすけど」


というわけで、点滴みたいな、どでかい注射を打たれて、戻ってきました。
(これは効きましたが)

原因については、結局はっきりしようがないのですよね。
ただ、一度、首のレントゲンを撮ってみてほしいと言われました。
このお医者さんには言ってないですが、確かに私の首の骨は古傷というか、変形箇所があるのです。

まあ、もう仕方ないので、おこなえるところから自己リハビリをするしかないです。




7万年前の地球に何が起きていたか

そんなわけで、戻ってきてから、なんとなくニュースをいくつか見ていましたら、冒頭の記事を見つけました。

その記事の抜粋です。


7万年前に恒星が最接近、地球に彗星の嵐か
ナショナル ジオグラフィック・ニュース 2015.02.20

今から7万年前、太陽系の内側に、ある星が飛来した。現生人類がアフリカからの移動を始めようとしており、ネアンデルタール人も絶滅していない時代である。

学術誌『Astrophysical Journal Letters』に発表されたレポートによると、地球から1光年未満の距離をかすめ去ったその星は、史上もっとも接近した、恒星と地球のニアミス事故だった。

彗星の嵐が地球を襲った?

恒星のような巨大な物体がオールトの雲を通過したと仮定するなら、もっとたくさんの彗星が地球に飛来したはずだ。

彗星の嵐は、地球上の生命に壊滅的な被害をもたらしただろう。



というものでした。

このナショナル ジオグラフィックの記事によりますと、「7万年前」に、「地球上の生命に壊滅的な被害をもたらしただろう」という出来事(ここでは彗星による爆撃)が地球上で発生していた可能性があるいうのですが、「7万年前」で思い出すことがあります。

過去記事、

私たちが経験している現在の気候変動は次の数万年の人類史への扉かもしれない
 2012年07月13日

の中で、米国スタンフォード大学が 2008年に発表した研究のことを思い出したのです。
研究チームが、ミトコンドリアDNA の解析をしたところによれば、

7万年前に人類は「 2000人程度」にまで減ったかもしれない

ことが判明したというものでした。

2000万人ではなく、たった 2000人です。

当時の記事を翻訳したものを載せておきます。


Study says near extinction threatened people 70,000 years ago
AP 2008.04.24

人類は7万年前に全世界でわずか2000人にまで減少し、絶滅しかけていたことが研究で判明

遺伝学研究によると、ミトコンドリア DNA の追跡により、現在の人類は約 20万年前にアフリカに住んでいたミトコンドリア・イブと呼ばれる単一の母親の子孫であることがわかっている。

そして約6万年前から全世界へ人類の分散が始まった。

しかし、この「人類の全世界への分散までの間に何が起きていたか」については今までほとんどわかっていなかった。

最近のスタンフォード大学の研究によると、南アフリカのコイ族とサン族が 9万年前と 15万年前にほかの人々から分岐した形跡がミトコンドリア DNA の解析で判明した。

そして、今から7万年前には極端な気候変動によって人類の数は一時 2000人にまで減少し、絶滅の危機に瀕していた可能性があることがわかった。



というものでした。

仮にこの 2000人という数が、ある程度でもいいので正しければ、人類は「絶滅寸前」にまで追いつめられていたことになります。

上の AP の記事の中に、

> 極端な気候変動によって

とありますが、この部分は、ミトコンドリア DNA の解析研究とは関係ない部分で、つまり「推定」ということだと思われます。そんなに極端に人口が減ったその理由については、これまで分かっていなかった部分があります。

しかし、今回のナショナル ジオグラフィックの「7万年前に地球を彗星の嵐が襲ったかもしれない」ということがあったとするならば、これは十分に、7万年前に人類が極端に少なくなった理由となる気がします。

そして、当時、現世人類と共にいたネアンデルタール人(約2万数千年前に絶滅)も壊滅的な被害を受けていたと考えられます。仮にこの7万年前に、まるで小規模な「後記重爆撃時代」みたいなことがあったとするならば、

「現世人類」も「ネアンデルタール人」も、共に滅亡する可能性があった

はずです。

しかし、それから数万年後に絶滅したのはネアンデルタール人の方で、現世人類は大変少数ではあっても、生きのびたのでした。




理由が単に「ツキ」か他のことかはわからないけれど、現世人類は生きのびた

このことについても、判明していないことだらけではあるようですけれど、

「現世人類はややツイていた」

という部分はあります。

それは、当時の生息域や移動ルートの問題と関係します。

ネアンデルタール人 - Wikipedia の「絶滅」という項目には、以下のように記されています。


テキサス大学アーリントン校の人類学者ナオミ・クレッグホーンは、約4万年前の、現在のイタリアやコーカサス山脈に相当する地域で火山が相次いで噴火したことを絶滅の理由として説明している。

このような環境的要因を指摘する説は以前にも発表されていたが、約4万年前の噴火はその種の災害とは規模が違っており、例えば、複数の火山がほぼ同時期に噴火していたという。

「ネアンデルタール人のほとんどがヨーロッパに居住していたのに対し、現生人類はアフリカやアジアにより大きな人口を抱えていたため絶滅を避けられたようだ。」と同氏はいう。



この約4万年前の噴火は、北半球での過去 20万年で最大の火山噴火だったイタリアでの超巨大噴火を含んでいると思われ、このために、ヨーロッパ中心に住んでいたネアンデルタール人は、壊滅的な被害を受けたと考えられます。

ちなみに、この「約4万年前」に地球に起きていたことについて、過去記事、

[重要]ドイツの科学研究法人が「急速なポールシフトと気候変動と超巨大火山の噴火が同時に発生していた」ことを証明
 2012年10月18日

で、比較的最近のドイツでの研究をご紹介したことがあります。

それは、

・41,000年前の地球で、磁場の完全で急速な逆転が発生したこと
・その時期に急激な気候変動が起きていたこと
・イタリアの超巨大火山噴火もその時期と連動していたこと


というドイツ地球科学研究センターの調査を記したものでした。

サイエンス・コーデックという科学メディアに掲載された、その報道から一部抜粋します。




An extremely brief reversal of the geomagnetic field, climate variability and a super volcano
Science Codex 2012.10.16

極めて急速な磁場の反転と、気候変動・巨大火山との関係

41,000年前の地球で、磁場の完全で急速な逆転が発生したことを、ドイツ地球科学研究センター (GFZ)のチームによる黒海の堆積物のコアの分析の研究論文は示す。

今回の研究で注目に値するのは、地球の磁場の逆転のスピードだ。

研究者のノワクズィク博士は次のように言う。

「磁場の完全な反転はわずか 440年間の移動でなされましたが、そのうちの多くはわずかな移動であり、実際には、両磁場の極の変化はたった 250年でなされたことを示します。この 250年というのは地質学的な変化からみると非常に早いスピードです」。

結果として、地球は磁場を失い、また磁場による宇宙線からの防御を完全に失ったために地球上がほぼ完全な被爆状態に至ったことが、グリーンランドの氷床から回収された放射性ベリリウムの解析によって明らかになっている。

同時に、研究チームは黒海の堆積物の分析から、その当時、突然の気候変動が発生していたことを発見した。





この影響と、関連する火山噴火などによって最終的にネアンデルタール人は滅亡したという説が先ほどのようにあるわけですが、滅亡と関係しているかどうかは別としても、この時期には、

・激しい気候変動
・たった250年で地球の北と南の磁極が入れ替わった(磁極のポールシフト)


ということが起きています。

ネアンデルタール人も現世人類も共にかなりの影響やダメージを受けたことが想像できます。

なぜかというと、後にも書きますが、磁極が入れ替わる時、地球の地磁気がゼロになる期間が生じると考えられるからです。これは人類にも、他の大型動物にもかなり厳しいことだと思われます。

いずれにしても、現世人類とネアンデルタール人は、

7万年前

にも、

4万1千年前

にも、どちらにおいても、彗星の爆撃や、あるいは環境の巨大な変化の影響を受けて、多分、少しずつ数を減らしてきた。火山の影響はともかく、磁極の反転と、彗星の爆撃時代の影響は、地球に住むどんな大型生物にも激しく影響したはずです。

しかし、人類で絶滅したのはネアンデルタール人の方だけでした。

単なる幸運なのか、他の理由があるのかはわからないですが、

・2000人にまで人口が減少したり
・磁場がゼロの状態を経験した


にも関わらず、現世人類はほんの少数ではあれ、何人かは生き残った。

「磁場がゼロ」というのは、北と南の磁極が入れ替わる時にそのようになると言われていて、誰も経験していないので、実際にはわからないことですが、その場合、地球から磁場のシールドが消えるために、宇宙から有害な宇宙線が降り注ぐといわれています。

かつて、秋田大学地球資源学科のウェブサイトに、1880年から2000年までの「地球の磁場の減少」についての、グラフが載せられていましたが、地球の磁場は一直線に減少し続けています。

1880年から2000年までの地球の地磁気の強度変化
poleshift-3.gif

そして、このグラフの掲載されていたページには、


磁極が入れかわるときに地磁気の強度はゼロになるとの予想があります。

地磁気の減少は磁場逆転の前触れかもしれません。

地磁気がなくなると、私たち人間にも大きな影響があります。今まで地球磁場が食い止めていた宇宙線が直接降り注いで人類は危機に直面することになります。



とあり、どうやら、4万1千年前の現世人類とネアンデルタール人は、共にこの「地磁気が消えた状態」の過酷な地球を経験していたと考えられます。

その中で、ネアンデルタール人は滅びましたけれど、しかし、現世人類は絶滅しなかった。

それから数万年後の今、地球の現世人類の人口は 72億人を超えています。

実に7万年前の・・・多分 360万倍くらいに増えたのですかね。

滅亡したネアンデルタール人の人口は、今にいたるまで、当然ながら「ゼロ」のままです。
現世人類がこちらの「ゼロ」になる可能性も十分にあったと思われます。

「ゼロ」になると、そこから「1」になることは生物においてはとても難しいです。

あまりにも当たり前のことかもしれないですが、ここに、

「完全に滅亡することと」



「ほんの少しの人数だけでも生き残ること」

のあまりにも大きな違いを見るのです。

本当に当たり前のことで恐縮ではあるのですがも、しかし、漠然と自分で考えていた以上に、この差は大きいと感じます。

なぜ、ナショナルジオグラフィックの記事からこんなことを書いているかといいますと、まあ、311からそろそろ4年ですけれど、それとは別に、いくつかの観点から、

「いろいろといつ起きてもおかしくない段階にまで来ている」

という気はするのです。

あくまで「気」ですので、あまり深刻にとらえられていただきたくないですし、もちろん、それが具体的に何なのかだとか、まして時期など、私にわかるはずもないですが、「いつ起きるか」とか「何が起きるか」ということではなく、

「何がいつ起きてもいいように、心や、あるいは物質的な準備をしておく」

ということは、今の時、そして今年を含めた数年間は無駄ではないと感じます。

準備が無駄なら、それはそれでいいことですしね。

7万年や4万1千年前のように「ほんの少しだけ」でも生きのびることができるのなら、人類の歴史はまだ続くはすでしょうから。

ネアンデルタール人のように「ゼロ」になったらそれでおしまいなんです。