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2015年04月14日



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中村天風師の語る「極微粒子=気=創造主」の概念で 25年間持ち続けた「神様の正体のモヤモヤ」が少し晴れた日



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Daily Inspiration






 



二十数年前の下北沢のロックバーにて

昨日、一昨日と、本を読んでいました。

少し前、

健康ブームの中でガンが増え続ける理由 : 世界でもダントツの「薬」消費国である日本は「薬に人間の自己治癒能力を奪われながら」滅ぼされつつあるのかもしれない
 2015年04月10日

という記事を書きましたが、そこでご紹介した松本光正医師の『高血圧はほっとくのが一番』にある、松本医師の、

「人間の体の働きで無駄なものは一切ない」

という言葉に多少感銘を受けたのですが、この方は、中村天風という人に師事していたことが何度も書かれていました。

その人を私は知りませんでしたので、Wikipedia を見ましたら、ひとことで書いてしまえば、「日本初のヨガの行者」ということなんですが、その人生の凄まじい波乱ぶりに圧倒され、この中村天風という人に興味を抱きました。

中村天風( 1876 - 1968年)
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Healing Network

それで、Amazon を探しましたら、中村天風関係の本はいくつもあるのですが、とりあえず最初に出てきた『運命を拓く』というものを買ってみました。

これは中村天風が書いたものというわけではなく、中村天風が創設した「天風会」という場所での講演や修行の場で語っていた言葉がまとめられているものです。

タイトルだけ見ますと、どこかの実業家が書いたような感じですが、この本の巻末の付記に天風会の会員だった堀尾正樹さんという方が書かれたものによりますと、


本書の原典の『天風瞑想録』は、天風会の創始者中村天風が、夏期修練会において、ご自身の悟りを中核として宇宙・生命・人間・人生について講述されたものを、私が十五年かけて心魂を注いでまとめ上げ、昭和六十三年に発表致したものであります。


という「 15年」の歳月をかけてまとめられたものという執念の作品ともいえます。
どんな書籍でも、15年などの時間をかけて編纂されるものは珍しいと思います。

読みますと、中村天風は明治生まれの男性ですから、その口調は激しいものがありますが、この本を読んで、

「腑に落ちる」

部分が最初からたくさんあったのです。

それで、いつものような飛ばし読みではなく、私にしては珍しく、ちゃんと最初から読んで最後まで順番に読んだのでした。

もっとも腑に落ちたのは、中村天風が、この世のすべてを作り、今でもその基本的全存在であるもの(宗教でいう創造主とか)の名称を、仮称として

宇宙霊

と名づけている部分でした。

この言葉からかなり昔のことを思い出したのでした。

もう二十数年前ですが、私が二十代半ばから後半あたりの頃は、よく東京の下北沢あたりでダラダラと飲むことが多かったのですが、その頃、私は酔っぱらうと歩きながら空を眺めて、

「なんか全体にいるんだよな、きっと」

などと思いながら生きていました。

ある日、下北沢の、今はないでしょうけれど、ガソリンアレイというロックバーで飲んでいた時、どういうキッカケか覚えていないですが、お店の人と、

「神はいるかいないか」

というような話になったんですね。

お互いに酔っていて、加えて、当時の私は人生の中で最も「イラついていた」のか、あるいは、今思えば、その頃、サイクル22(第22太陽活動周期)の太陽活動最大期だったことも関係しているのかもしれないですが、当時は喧嘩っぽい流れとなることがとても多かったのです。

ここ 20年くらいは怒るとか喧嘩とかとは無縁ですので、あの頃の状態が自分でも信じられないですが、考えれば、周囲の誰もが喧嘩っ早い時期で、太陽活動の影響が大きかったかもしれません。

ちなみに、サイクル22は、1989年7月が活動最大期でしたが、このサイクル22の黒点相対最大値は 158(太陽活動の観測が始まった 1755年からの平均値は 114 )と、黒点活動が比較的大きな太陽活動周期でした。

まあ、太陽の話は置いておいて、そのガソリンアレイでも、お店の人と喧嘩のようなことになったんですね。そのお店の人は筋金入りの無神論者でした。

「神様なんていない」と。

私は、無宗教ではありますけれど、「無神論者ではない」という部分はあります。

しかし、今もですが、当時も「神とは何なのか」と尋ねられた場合、成立した言葉では対応できないのですよ。

その時も、私は最初は、「まあ、神っぽい感じのはいるんじゃないすかね」みたいな感じだったのが、店の人に、「それはどんなもんだよ」とか言われているうちにイラついてきて、

(ろれつの回っていない状態での会話と思って下さい)

 「名前なんかあるわけないじゃない」
 「名前も言えねえようなものが存在するってのがおかしいだろ」
 「存在するものすべてに名前があるって考えるほうがおかしいだろ」
 「じゃあ、どんなもんか説明しろよ」
 「しいて言えば宇宙全体だよ」
 「あ?」
 「宇宙全部がその存在だって思ってんだよ、オレは」
 「なんだそりゃ?」
 「宇宙神でも宇宙霊でもなんでもいいが、そういうもんだよ」


というような、問答をしたことを思い出します。

もちろん正確なやりとりは覚えていませんが、このような「宇宙神」というような言葉を使ったことは確かで、しかし、その言葉は酔った勢いで口から出ただけで、その後は使ったことはありません。

というのも、わからないものに名称をつけるよりも、その正体は「曖昧なものでいい」と今でも思っているからです。

話を戻しますと、店の雰囲気が怪しくなり、友人が私を引き連れて店を出ました。

友人「ロックバーで神様を巡って喧嘩してんのかよ(苦笑)」
 「いやまあ・・・確かに喧嘩するのはおかしいわな」
友人「オカは、宇宙が神様だと思ってんのか」
 「いや違う。宇宙が神様ってのは便宜上だよ」
友人「じゃあ、何なの?」
 「この世全体的な感じなんだけど、なんか言葉ではうまく表せないんだよな」
友人「神様じゃなくて、奈美様はどうよ」
 「まあ、それでもいいけど」


思えば、この友人って、クレアの「J氏の異次元との接触体験」など、たまにブログに出てくるジローさんなんですけどね( 30年以上も飲み友だちやってんですね・・・)。

そして、中村天風さん・・・いや、「さん」ではなく、日本のヨガの始祖ですから、天風師と表記させていただきましょう。

その天風師の言葉が収められている『運命を拓く』の序章には以下のような記述があるのでした。



中村天風『運命を拓く』序章より抜粋


我々人間ならびにすべての生物は、宇宙が出来てから後に宇宙が創ったのではない ----- ということをはっきりとわからなければいけない。

宗教には、唯神論と汎神論というのがある。唯神論というのは、初めに神がいて、神がこの宇宙を創ったのだということである。

汎神論は、宇宙が出来てから、その中に神が現れたのだということである。

いずれも、神を相手に考えようとする考え方で、これは、今のように、まだ科学が発達していなかったときの人間としては、無理のない考え方である。私がいつもいっているとおり、今から千年二千年経つと、今あるような宗教という宗教は、地上から姿を消してしまうでしょう。

それは、人間の理智が、既成宗教などに頼らなければ活きられないような、哀れで無自覚なものではなくなるからである。

純粋哲学の立場から観察すると、この宇宙というものは、形ある宇宙以前に、すでに形のない宇宙が在った、という真理の探究というものが、行わなければならないのだ。

神とか仏とかいうのは、人間が便宜上、付けた名前だから、このようなものにとらわれてはいけない。

あなたがたは、抽象的で、あまりにも漠然としたものを、やれ、神だ、仏だ、と思っているが、では「神とはどんなものか」と聞かれたら、何と説明するか。「仏とはいかなるものか」と聞かれたら、どう説明するか。見たことも聞いたこともないものに、説明の与えられるはずがない。

(略)

本当の真理から論壇すれば、何も神だの仏だのと頼らなくてもよろしい。

先祖を敬い、先祖を忘れないための、追善供養は必要である。だが、あなた方の神仏に対する信仰は、いつも自己本位な自分の生命や、自分の運命の安全ばかりをこいねがうだけが、目的になっていはしないか。

これを第二義的信仰というのであるが、そのような信仰を持っている人間は、何となく神があり、仏があるように思い、その神や仏がこの宇宙を創っているように思っているが、それは違う。

さきほど、形のある宇宙が出来る前に、すでに、形のない宇宙があったのだ、といったが、形のない宇宙とは何か、まず科学的に考えてみよう。

この宇宙の中に、我々が感覚できるいろいろな森羅万象がある。この森羅万象も、一番初めはいったい、何から出来たんだろうということを、つきつめて考えるという方法で考えてみよう。

一番根本は何か、というと、ただ一つの実在から産み出されたものである。

その実在とは何であろうか。

哲学では、”根本的本源自在”と呼び、科学では、これを極微粒子的なものとして、”エーテル”と名づけている。

哲学のほうでは、人間の感覚では、捉えることの出来ない、茫漠たる、見えざる、一つの”気”であるといっている。これを中国では”霊気”と呼び、日本の儒学者は”正気”といっている。中国の宋代の儒教哲学では、これを”先天の一気”といっている。

いずれにしても、このただ一つのエネルギーを産み出す元が、宇宙を創り出したのである。





ということで、この宇宙観が、二十数年前に私が下北沢で言いたかった感じと似ていたのです。

当時の私には(まあ今もですが)このように言葉で説明することはできなかったのでした。

この天風師の語る宇宙の正体が腑に落ちたと同時に、ここに、

> 形のない宇宙

とあり、これもまたとても腑に落ちたのです。

私がビッグバン理論を受け入れることができない理由が、

突然、存在(モノ)が出現するということはあり得ない。

という点で、たとえば、ビッグバン理論も「式」で示すことができますが、まだ物理の法則ができていない時に「物理の式に乗っ取った運動が存在した」という変な話となってしまいます。

それがどうしても納得できないのでした。

このことは何度か記していますが、最近では、

量子論が導いた「宇宙には終わりも始まりもない」というビッグバン不在の新しいモデルと、ミチオ・カク氏の書く「超反骨のフレッド・ホイル卿」を知った昨今
 2015年02月27日

という記事で書いたことがあります。

しかし、「形のない宇宙」という概念があるのであれば、どのような宇宙論でも、一応は大丈夫なのかなあとも思います。

要するに、ビッグバンでも、天地創造神話でも何でもいいのですが、「宇宙が創られる前は何もなかった」では科学的にも概念的にも、何だかおかしなことになってしまうので、「形のない宇宙」であっても、「何か存在があった」のなら、どんな天地創造の話でも、あるいはどんな科学論でも納得できるのかもしれないと思ったのでした。

ちなみに、天風師は、先ほどの本の中で、

初歩の物理学の定義は、こういうことを我々に教えている。
”同じきものは、どこまで行っても、同じである”


と述べたことが記されています。

ところで、この天風師の述べることは、ジョルダーノ・ブルーノの宇宙と神の理論と似ている部分を感じます。




創造主の正体

上の抜粋部分ではないですが、天風師が、「人間の心は宇宙より広い」ということを理論的に説明している下りがありますが、ずいぶん以前の、

バチカンの希望の砦は「宇宙人という神」の登場
 2011年11月01日

という記事で、ジョルダーノ・ブルーノ - Wikipedia から「ジョルダーノ・ブルーノの宇宙観」の下りを抜粋したことがあります。


GiordanoBruno-Statue-CampoDeFio.jpg
ジョルダーノ・ブルーノ像

ジョルダーノ・ブルーノの宇宙観

ブルーノは無限宇宙が「純粋気体」で満たされていると考えた。これは後に創案される「エーテル」概念のはしりであり、この気体は惑星や恒星の動きに一切影響を及ぼすことはないとされた。

ブルーノの宇宙論で特筆すべきことは、それまで信じられていた宇宙が特定の中心から広がる階層球によって成り立っているという考え方を否定し、地球も太陽も宇宙の一つの星にすぎないと主張したことにあった。

地球だけが特別な星であるという当時の常識に挑戦するかのように、ブルーノは神が宇宙の一部だけに特別に心を配ることはないと考えた。彼にとって神とは心の中に内在する存在であって、宇宙のどこかにある天国にいて地球を見ているものではなかった。



というようにありますが、この

> ブルーノは無限宇宙が「純粋気体」で満たされている

といっていて、この純粋気体というのは、天風師のいうエーテルのことでしょうが、ただ、すごいと思ったのは、ブルーノは「宇宙の姿の現実」を述べていたのに対して、天風師は、

「このエーテル(気)こそがこの世の存在のすべてだ」

と述べているというように理解できるところです。

さらには、「宇宙存在は、すべての人間と常に関係している」ことを繰り返し言っています。

たとえば、下のように述べています。


中村天風『運命を拓く』序章より抜粋

「この現象界に存在する一切の事物の根底は、科学的にのみ見れば、物質的なものであるが、哲学的に観察すれば、どこまでいっても非物質的な、精神的なものである」

すなわち、眼にも見えないし、観念で想定しなければ想定できない”宇宙霊”という一つの気が、全宇宙を支配し、それが宇宙の本質になっている、ということである。とすれば、運命も、健康も、自分の心の思い方、考え方で、良くも悪くもなるのだということがすぐわかるはずである。



の中の、

> 運命も、健康も、自分の心の思い方、考え方で、良くも悪くもなるのだ

というように、人間は自分の考え方次第で、宇宙はそれに呼応した状態をもたらすということを述べているのが、この本の内容のすべてです。

そして、天風師が主張することは、言葉上は難しいものではなく、

・積極的な考えであること(否定的・消極的な考えを持たない)
・口から出る言葉を大事にすること(否定的・消極的な言葉は使わない)
・何にでも感謝すること
・信念を発布すること
・笑うこと


このあたりです。

あとは、「利他(自分の利益ではなく他人や全体などの利益)を考える」ことを徹底するということですね。

これがインドでのヨガの修行で得た悟りのようです。

しかし、これは一見簡単そうですが、よく考えると、非常に難しい。

つまりは、商売で失敗しようが、病気になろうが、イヤなことがあっても、何でも「そのことに感謝して積極的に考える」ということですから。

しかも、偽りの心ではなく、「本心」で。

この「口から出る言葉」に関しては、言霊(コトダマ)という概念とも似ていますが、天風師のヨガの師匠カリアッパ師は、


「創造主によって便利な言葉を我々人間だけに与えられているが、言葉というものが、積極的に表現されたときと、消極的に表現されたときでは、直接的にその実在意識が受ける影響は非常に大きな相違がある」


と言っていたそうで、口に出した言葉は、健在意識から潜在意識へと影響を与えて、つまり、「発した言葉は、現実的に、その人に作用する」ということを何度も何度も言っていたそうです。

下のようなやりとりもあり、これはちょっと笑いました。

天風 「しかし本当に具合が悪いとき、具合が悪いといっちゃいけないんですか」
先生 「具合が悪いとき、具合が悪いといって治るか?」


そりゃそうだなあと思います。

私も体が強いほうではないですので、子どもの頃からかなり多くの病気をしてきましたが、これは真理です。つまり、「具合が悪いとき、具合が悪いといっても病気は治らない」じゃあ、具合が悪い時に「具合が良い」といえば治るかというと、「これはウソになる」ので、これでも治りません(笑)。

なので、具合が悪い時は、具合が悪いままの状態を(命に別状がない場合)「できるだけ気にしない」より他はないということになりそうで、これは、「気になることから気をそらせる」という意味では、神経症治療のひとつである森田療法にも通じるような感じもあります。

そのあたりを考えますと、前回、ベンゾジアゼピン系の薬についての記事を書きましたが、神経症や不安障害の方には、この天風師の本は特に良いものなのかもしれません。

それにしても、あまり意識したことがなかったですけれど、私たちは「」がつく言葉を毎日のようによく使っていますね。「元気」なんてのは「元(もと)の気」ですものね。

今さきほど書きました、

・気にする
・気にしない


なんて、直接的に「気」が使われていますが、言葉の構造上ヘンな連語であることにも気づきます。

要するに「気」というのは名詞ですから、これが例えば、「土」だとすると、

・土にする
・土にしない


と何だかおかしなことになります。
「水」でも、

・水にする
・水にしない


どんな単語でも、この文脈では言葉として成立しないです。
なのに、「気」だけは成立していることに、今、気づきました。

お、気づきました、も「気」だ。

この「気づく」なんてのは、「気」が「くっくつ」わけですかね。

ということは、天風師の言う「気=エーテルが創造主そのもの」であるならば、「気づき」なんて単語は、「人間に創造主がくっついた状態」と考えてもいいのですかね。

無意識で使っていましたけど、「気」のつく言葉はなかなかデカイ話ではあります。




宇宙存在は美と調和の存在で「悪」は含まれない

ところで、天風師の言う「口から出る言葉を積極的・肯定的にすれば、いろいろと良くなる」というのはあまりにも単純な理論に見えますが、それを徹底している人は少ないはずです。

これまで「言霊」という意味を少し難しく考えすぎていましたが、

・言葉と宇宙がつながっている
・宇宙と自分もつながっている


と考えると、ネガティブな言葉がダイレクトに自分にネガティブに返ってくるということは、それほど不自然ではないのかもしれません。

そして、重要なことは、天風師は、

この世は本質的に調和した美しい世界であり、宇宙という存在は否定的な部分を持たない

としていて、否定的な面は「悪魔」がもたらすものだとしています。

私自身は、いわゆるポジティブ・シンキング的な思想はあまり好きではなかったですが、これは好きとか嫌いの問題ではなく、「人類としての責任」のようなもののようです。

なぜなら、口から出た言葉は、自分だけでなく、周囲の人にも響いていくからです。

同時に、言葉の内容はともかくとしても、

宇宙の創造…ひも理論…432Hz…528Hz…ライアー…:数々のシンクロの中で、この世の存在は「音そのもの」であるかもしれないことに確信を持てそうな春の夜
 2015年03月22日

という記事以来、たまにふれることがありますが、

「この世は音そのものかもしれない」

という概念や、聖書の、

「はじめにことばがあった」

という記述など、口から出る言葉には音声周波数を含めて、確かに人格や社会全体の形成に大きく関わるものが含まれていると最近思っています。

まだ解明されていない極微粒子(エーテル)がもしこの宇宙に存在しているのなら、言葉と、そして音の周波数がその微粒子から様々なものを形作り、そこに性格を与えるという図式が生き生きとした状態で頭の中に広がります。

それら、全然ジャンルの違う様々な概念すべてが「まっすぐ一本の線上にある」ということは驚くべきことなのか、あるいは、それが真理なら当たり前のことなのか、それはわかりませんけれど。

それにしても、今までまったく知らなかった中村天風さんですが、ジョルダーノ・ブルーノやフレッド・ホイル博士あたりの宇宙観を知ってからではないと、この「創造主と人間」とか「形のない宇宙」だとかを理解できなかったとも思いますので、今まで知らなかったことはむしろラッキーだったと思います。

中村天風さんに至るまでの道のりが「降圧剤」だったというのは、何だかおもしろい道のりでしたが、とても充実したこの2日間でした。



  

2015年04月12日



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▲ 2015年04月10日のサイエンスより。






 



相変わらず何だかいろいろとおかしなことが起き続ける春に

なんだかこう・・・何となく変な出来事が多いですね。

今日、東京の山手線で、「支柱が倒れて」電車が止まっているみたいなんですが、

「そんなもん普通倒れる?」

と誰しも思うものではないでしょうか。

報道を見ると、結構派手に根こそぎ倒れています。

yamanote-line.jpg
朝日新聞

倒れた支柱のある架線は使われていないものだったようですけれど、もし、こんなことが走行中の架線で突然起きたら・・・

今月の始めに書きました、

テトラッドの3回目の皆既月食がやってくる中で何だかいろいろとおかしい…
 2015年04月01日

というタイトル通りに、相変わらず「何だかいろいろとおかしい感じ」に包まれているような。

4月10日には、茨城県にイルカが 160頭打ち上げられていて、原因はわからないですが、読売新聞によりますと、

11日夕までにほとんどが衰弱死し、砂浜に埋められるなどした。

ということで、助かったイルカはほとんどいなかったようです。このイルカの大量座礁は海外でも広く報道されましたが、何だか変な方向の報道も目にしたりしました。

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▲ 2015年04月11日の米国 Yahoo ! News より。

記事によりますと、東北の震災があった 2011年にも、地震の1週間ほど前の 3月4日に茨城県でクジラ 52頭が打ち上げられていたのだそう。

さらには、2011年 2月20日には、ニュージーランドで 100頭以上のゴンドウクジラが打ち上げられたことがあったのだそうで、今年もニュージーランドで、2月13日に 200頭以上のゴンドウクジラが打ち上げられていまして( CNN 日本語版)、そのあたりが事象としてはリンクするということで、日本で騒ぎになっている…という内容の記事でした。

日本で騒ぎになっているのは知りませんでしたが、確かに事象としてはリンクしていますね。

まあしかし、地震は起きるまではわからないですので、いつ起きてもいいような準備をしておく以外は対策はなさそうです。

他にもいろいろと「何だかおかしい」というように感じる状態が続いています。

そんな中、キプロスで「黒いフラミンゴが発見された」という冒頭のニュースを見かけました。

これはもう本当に珍しいものだそうで、英国のインディペンデントの記事には「多分、世界でこの1羽だけだろう」という記述があります。この黒いフラミンゴは、昨年、イスラエルで目撃されたこともありますが、それと同じものもだろうと。

黒い鳥で珍しいものとしては、ブラック・スワン(黒い白鳥)があり、そこから「ブラック・スワン理論」というような言葉もあります。

ブラック・スワン理論

ブラック・スワン理論は、「ありえなくて起こりえない」と思われていたことは、いったん急に起きる場合、予測できない、非常に強い衝撃を与える、という理論。とりわけ予測できない金融危機と自然災害をよく表している。

ヨーロッパでは白鳥は白い鳥だけと思われていたが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥が発見される。以来、ありえなくて起こりえないことを述べる場合、“ブラックスワン”という言葉を使うようになった。

ブラック・スワンより珍しいと思われるブラック・フラミンゴが突然現れたというのは何となく象徴的な気がしないでもないです。

いずれにしても、何となくおかしい空気の中で、春は淡々と進んでいます。

今回は、前回の、

健康ブームの中でガンが増え続ける理由 : 世界でもダントツの「薬」消費国である日本は「薬に人間の自己治癒能力を奪われながら」滅ぼされつつあるのかもしれない
 2015年04月10日

の補足的な記事ですが、自分自身の過去にも関係することでもあります。

そして、このことも「日本の未来」に深刻な影響を与えかねないことと関係していると思っています。




世界一の処方量を誇る日本のベンゾジアゼピン系薬剤

前回の記事では、冒頭に、松本光正医師の著作『高血圧はほっとくのが一番』の中にある


日本は、世界の 40 %もの薬を消費している。その量は、アメリカに次いで第2位だ。一人当たりに換算すれば、日本が1位である。


という文章を抜粋しました。

そして、その日本の中で最も消費されている薬が降圧剤で、今では1兆円を超える市場規模であることも記しました。

今回は、やはり「世界で一番、日本人が消費している薬」であり、また、日本で「徹底的なまでに」処方されている「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる向精神薬についてのことです。

下のグラフは、ベンゾジアゼピン系の国別の「 1000人あたりの消費量」のグラフです。

Benzo-Consume.gif
ベンゾジアゼピン薬物乱用 - Wikipedia

1位はベルギーとなっていますが、グラフ中に記しましたように、このグラフでは、日本で最も重複処方されているベンゾジアゼピン系の「デパス」という薬が含まれていませんので、事実上、日本は1位だと思われます。

また、「処方の実数」となりますと、ベルギーの人口が約1千1百万人であるのと比較して、日本は約1億3千万人となりますので、日本での消費量の実数はベルギーの 10倍はありそうです。

意外だったのは、薬大国のアメリカとか、最近、メンタルヘルスの病気がクローズアップされることの多い韓国での処方量がかなり少ないことです。

いずれにしましても、消費量の実数としては、日本は比較できる国がないほどダントツの「メンタル病国家」だと言えます。

ともかく日本では、 1000人中 50人以上にベンゾジアゼピン系が処方されている。

この5%を日本の人口に当てはめますと、結構とんでもない数になることがわかります。

ところで、「ベンゾジアゼピン系」という言葉を使うとわかりにくいかと思いますが、睡眠薬や抗不安剤では、最もポピュラーなもので、多分、成人の方でしたら、5人に1人とかの割合で、「人生で一度は処方されたことがある」と思われるほど一般的な精神薬です。

種類としては、大きく、

・抗不安薬(不安障害、パニック障害の他、あらゆる科で処方)
・睡眠薬(不眠に処方)


とわけられていて、たとえば、ベンゾジアゼピンの一覧 - Wikipedia には、おびただしい種類のベンゾジアゼピン系の薬の名称が載せられていますが、ソラナックス、デパス、メイラックスなど、精神科や心療内科だけではなく、内科、外科、あるいは、耳鼻咽喉科をはじめ、どこかで処方されていたことのある薬名が多いと思われます。

場合によっては、「肩こり」を訴えて病院に来た人に出される場合さえあります。これは、ベンゾジアゼピン系に、筋肉の緊張を和らげる作用があるからですが、そのくらい気軽に処方されている。

神経内科医だけではなく、どの科の医者も気軽に出します

そして、日本の特徴として、「尋常ではなく長期間服用している人が多い」ことが挙げられます。

何より、私自身が若い時から二十代、三十代と長く飲んでいたレキソタンという薬は、まさにベンゾジアゼピン系で、私はそれを毎日ではないですが、十数年単位で服用していた時期があります。

検索中に「精神科の「薬」をやめたら「病気」が治った!」というブログを見かけたのですが、このブログの作者の方は、


僕は、このベンゾジアゼピン系の薬を13年間(676週間)以上も、毎日、1日もかかすことなく飲み続けていました。
いつでもやめられると思っていました。
しかし、薬を止める、断薬は大変なものでした。



と書かれていますが、このような可能性の人が、日本には数百万人規模でいる可能性があるのです。

なお、他の国では、このベンゾジアゼピン系は、日本のように気軽に処方されないですし、まして、長期間に渡って処方することは禁じられています。ベンゾジアゼピン薬物乱用 - Wikipedia によりますと、欧米の主要国のガイドラインを見ますと、2週間から4週間以上の処方は禁じられていて、処方自体にも慎重です。

そのような薬が、日本では「肩こり」にまで処方されています。

たとえば、私が服用していたレキソタンという薬を「おくすり110番」で調べますと、タイトルには「気分をリラックスさせるお薬です。不安や緊張感をやわらげたり、寝つきをよくします」とあり、


実際の処方例としては、心身症や不安神経症、パニック障害など各種の不安障害を中心に(略)。

さらに、筋肉をほぐす作用があるので、緊張型頭痛や頸椎症、腰痛症、肩こり、けいれん性の病気などに応用されることも多いです。このように、この系統の薬は副作用が少なく安全性が高いこともあり、各診療科でいろいろな病気に幅広く使われています。



と書かれていて、なんだかやさしい感じで、「何もコワイ感じがしない」し、「想像以上の厳しい離脱症状を示すことがある」ことも想起させないと思います。

そのように「気軽に処方され」て、「気軽に飲む」ベンゾジアゼピン系ですが、私や先ほどのブログの方のように、10年、20年と飲み続けるうちに、本格的な依存となっていく。

そして、そのまま離脱症状(禁断症状)のため薬をやめられなくなっていく。

人によっては、最終的な断薬のゴールが自死であることは珍しくはないと思います。

そして、世の中には、20年、30年などの服用歴になっている人はたくさんいると思われます。

下は3年前の読売新聞からです。


抗不安薬依存 深刻に
読売新聞 2012.11.20

医師が漫然処方/使用量 アメリカの6倍

欧米では、治療指針で処方期間を4週間以内とするなど、早くから対策が講じられた。英国ではベンゾ系薬剤をやめるための専門施設もある。

ところが日本では、多くの精神科医や内科医が「飲み続けても安全」と、漫然と使い続けた。国連の国際麻薬統制委員会の2010年報告では、日本はベンゾ系睡眠薬の使用量が突出して多く、同一人口当たりの使用量は米国の約6倍だ。10年以上の服用者も多く、常用量依存患者は相当数に上ると見られる。



こんなことになっているんですよ。

このようなものが、日本では、不眠や「何となく不調な人」なども含めて、全国で何百万人もに処方されているというのは、やはり異常だと最近初めて感じだしました。

私自身が長くベンゾジアゼピン系を飲んでいたので、その異常性を傍から眺められなかったためでしょうけれど、こんなことが「異常」だということにさえ気づいていなかったのです。しかし、この問題は「処方の気軽さ」と比較すると、その結果は、たとえば、ベンゾジアゼピン依存症 - Wikipedia には、


ベンゾジアゼピンへの依存および離脱は、自殺や自傷行為に結びついており、特に若年層に顕著である。


という記述があるように、かなり深刻なものです。

なぜ、こんな状況になってしまっているかというと、現実、今の日本の精神医療には、ほぼ「薬」しかないのが現状で、他の方法を模索していません。

そして、もうひとつは、このベンゾジアゼピン系という薬は、

「効く」

のです。

特に、不安障害、神経症、パニック障害と、呼び名は様々でも、それらと関係する症状に、「最初は」場合によっては劇的に効果があります。

私がはじめて心療内科に赴いたのは、つまり、ベンゾジアゼピン系の薬を処方されたのは、23歳の時でした。

今から約 30年前です。

その頃で、パニック障害となって1年以上経っていましたが、その日、パニック発作で、「これはもうダメだ。死ぬか他の選択をするか」と考えた末に、自分の街の心療内科に飛び込んだのでした。

そして、処方されたベンゾジアゼピン系のレキソタンという薬を飲んですぐに、

「今までの苦しみは何だったんだ?」

というほど劇的に効いたのです。

これが問題のふたつめで、実際に苦しみから解放される瞬間を経験してしまうと、問題解決の他の選択肢を放棄してしまうのです(ちなみに、ベンゾジアゼピン系は、うつ病に処方されることもありますが、後述するように、うつ病には効果がありません)。

言い方を変えれば、その人はその瞬間から「薬の精神的奴隷」となっていくのです。

そういう意味では「実際に効果がある」ことが「薬をやめることへの不安」につながっている面はあると思われます。

しかし、効果は最初のうちだけで、次第に効かなくなります。
そうなると、どうなるかというと、「薬の量が増えていく」のです。

そして、当時は知る由もないですが、このベンゾジアゼピン系も、脳や体に多大な影響を与えます。

前回の記事で、


薬というのは、「望んだ箇所だけに効くのではなく、体のすべてに影響を与えてしまうものが非常に多い」ことが問題


と書きましたが、さらに書けば、「効果の高い」ものほど「体の他の部分への影響も強い」傾向があると思われます。

ですので、作用効果の高いベンゾジアゼピン系も他に大きく影響を与え続けているはずですが、最も影響を受けるのが「脳」です。

精神安定剤や睡眠薬からの離脱を希望する人たち向けにベンゾジアゼピン離脱専門クリニックを運営していたという方のサイトの「ベンゾジアゼピン系薬剤: 体内でどう作用するか」というページには、


ベンゾジアゼピンを止めることに苦労している人なら誰もが、薬は治療効果だけでなく、精神や身体に計り知れない影響を及ぼすことに気付くことでしょう。ベンゾジアゼピンは、直接的あるいは間接的に、事実上ほとんど全ての脳機能に影響をもたらします。


とあり、さらには、


正常な注意力、記憶、筋緊張、協調運動、情動反応、内分泌作用、心拍数・血圧のコントロール、その他多くの機能に欠かせないものですが、これら全てがベンゾジアゼピンによって損なわれる可能性があります。


とあります。

また、腎臓、結腸、血球、副腎皮質もベンゾジアゼピン系から悪い影響を受ける可能性があることが書かれています。

自分でも、こんなものを何十年も続けて飲んでいたことに愕然としますが、ただ、一応書いておきますけれど、パニック障害の方で、激しい発作や、あるいは「それが起こりそうな時」に緊急的に飲むことは否定できないと思います。代替えとなり得るものが存在しません。

ただ、パニック障害の方でも、「発作の起こらない状態に少しずつ持って行くこと」、つまり「結果的に薬を飲まなくてもいい状態にする」ことは可能です。

何より、私自身が、そういうようにしてこられています。

そしてまた、「薬をやめない限り、どんどんひどくなる」ということも、他の薬と同じで、あるいは、「基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです」という記事に書きましたように、ほとんどすべての西洋薬が「緊急時の対応」以外に関しては、むしろ体の免疫を下げて、体を弱くしている可能性があります。

とはいっても、今、日本にある精神科や心療内科には「薬物療法以外の治療をしている病院はほとんどない」という現実があります。

まったく存在しないとは言いませんが、探し出すのは並大抵のことではないような気がします。

苦しい、死にたい、パニックが起きる、こういう症状に対応している病院に行けば、どこでも処方されるのがベンゾジアゼピン系で、共に抗うつ剤を処方されることもあります。

いずれにしても、薬物療法以外の治療法をおこなう病院は大変少ないと思います。




医学的アプローチは何か間違っているのかもしれない

薬も、あるいは、もしかすると「医学的見地の健康的生活」というものも、むしろ体に悪いものである可能性を示す研究はいくらでもあります。

例えば、下は「うつ病」に対してのものですが、 WHO の 1998年の調査は「薬の効果のなさ」を露呈します。

benzo-who-1998.gif
精神科薬物治療の暴走

上の図の「回復」を見れば、

「うつ病に対しては何の治療もしないことが、最も治療効果がある」

ことがわかります。

神経症やパニック障害に同じことを当てはめるわけにはいかないかもしれないですが、ただ、自分の体験からいえば、神経症やパニック障害は、病院で治すものではなく、「自分で治すもの」です。病院は薬を処方する以外の治療法を持ちませんので、それは根本的治療ではないです。

ベンゾジアゼピン系の薬を長期連用していると、大なり小なり必ず依存に陥ることになります。

これは私の体験でもあります。

多分、長期連用すれば、ほぼ全員が依存に陥るのではないでしょうか。




フィンランドの調査が示すもの

そういえば、「健康」に関係して、興味深いグラフがあります。

1970年代にフィンランドで 18年間に渡って行われた調査のグラフです。

これは、38歳から 54歳までの男性会社員に健康診断を行い、そこから、高血圧や高コレステロール、喫煙、など健康に危険な要素を持っている人を 1222人抽出し、それらの人々を、

Aグループ(健康指導グループ)

食事、運動などに関して医療の専門家が細かい健康指導を行い、それでも血圧やコレステロールが下がらない場合、薬を投与されたグループ。

Bグループ(何もしないグループ)

積極的な治療や指導は何もしないで、放っておかれたグループ。

の2つのグループにわけて、18年間に渡り経過を観察したのです。

おそらくは、当初の目的は「医師や専門家による健康指導がどれだけ大事なものか」というものだったと思いますが、その結果は、皮肉なものとなります

finland-experiment-18.gif
・松本光正『高血圧はほっとくのが一番』

結果は上の通り、健康指導を受けていたグループの人たちの死亡率が、常に「何にもしないグループ」を上回り続けてしまったのです。「何の健康指導も治療も受けなかった人たちの方が健康だった」という結果となってしまいました。

正確には、

調査開始後5年後の死亡累積数
Aグループ 10人
Bグループ 5人


調査開始後18年後の死亡累積数
Aグループ 95人(そのうち心筋梗塞は 39人)
Bグループ 65人(そのうち心筋梗塞は 19人)


となり、指導を受けていたグループでは、心筋梗塞で死亡した人が倍多かったことがわかります。

なぜ、このような結果となったか、はっきりとしたことはわからないですが、調査について、上のグラフを掲載していた松本医師は、常に自分の体をことを気にかけて、食べるものや飲み物にもいちいち気を遣い続けるような生活を送ること自体がストレスに直結する可能性について書いています。

ちなみに、私が、この『高血圧はほっとくのが一番』の著者の松本医師が好きなのは、

「人間の体の働きで無駄なものは一切ない」

と明確に語っているところです。

人間の体の働きに無駄なものがないのだとすれば、神経的・精神的な病気にもすべてに、何か原因と「対策」があるはずです。これに関しては、現代の精神医学が薬物治療オンリーの状態である限りは見出されることは難しいかもしれませんが、いつかは何かが出てくるはずだと信じたいです。



  

2015年04月10日



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日本は、世界の 40 %もの薬を消費している。その量は、アメリカに次いで第2位だ。一人当たりに換算すれば、日本が1位である。

世界一薬好きな日本人が、最も多く飲んでいるのが降圧剤であることは、あまり知られていない。降圧剤は、医療市場のトップを占める。私たち日本人はものすごい量の降圧剤を飲んでいるのだ。


(松本光正医師著『高血圧はほっとくのが一番』)


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▲ 2013年8月7日の医学メディア Medical News Today より。






 



病気が増え続けている理由がややわかってきたような

少し前に、

基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです
 2015年04月02日

という記事を書きました。

抗コリン剤と呼ばれる一群の薬の作用が神経伝達物質を遮断してしまうため、結果として、薬を飲めば飲むほど自己免疫力が大幅に下がり、病気が治りにくくなるだけではなく、悪化させ得るということについて書いたものです。

私は、このことを知った日以来、

人間は強い自己治癒能力を持つ

と確信するようになりましたが、それはともかく、その「抗コリン剤」というのがどのような薬かといいますと、かぜ薬、花粉症などのアレルギーの諸症状を緩和する薬から、抗うつ剤や不安障害など非常に多岐にわたっていて、日常使われる大半の薬が含まれます。

そういえば、市販のかぜ薬について、下のような報道がありました。

市販薬で死亡15例…風邪薬が8・解熱鎮痛剤3
読売新聞 2015.04.09

消費者庁は、2013年度までの5年間に、市販薬の服用で起きた副作用の報告が1225症例に上ったと発表した。このうち15症例は死亡例で、後遺症が残ったケースも15症例報告された。

副作用の報告が最も多かったのは総合感冒薬(風邪薬)で400症例。解熱鎮痛消炎剤が279症例で続いた。

これはこれで問題なのかもしれないですが、「薬の問題の本質はこの部分ではない」です。

実際の問題は「多くの西洋薬は、症状を軽快させていると同時に、人間の免疫を落としている」という、もっと重大な部分にあると考えるようになりました。

安易に薬を服用することにより、「人間が本来持っている自己治癒力が下がっていく」ということが問題で、そのあたりから考えまして、ずっと疑問に思っていた下のグラフの理由が理解できます。

主な死因別にみた死亡率の年次推移
dr-01.gif
厚生労働省

疑問に思っていたこととは、すなわち、

「健康ブームと呼ばれる時代が始まった頃から、どんどんガンが増えている」

ことの理由です。

そして、今はこの謎は、それほど「謎」ではなく、「多くの人が健康のために、すぐ医者に行き、すぐ薬を服用するようになった」こととリンクしているように思われるのです。

そして、薬の服用の連続による「自己治癒力の低下」が現在の日本人全体のあいだで起きているのではないかという懸念です。

さらにいえば、主要国を中心とした、

人類全体の免疫能力が低下している

と考えることのできる根拠がたくさんあります。

実際には、それほど飲む必要がないような薬を常飲している方は、特に高齢の方には多いと思われますが、これによって、「毎日毎日、自己治癒能力が落ちた状態」になっている人たちが、かつてない数でいるということなのではないのかなと。

後で専門家の主張をご紹介しますが、いつも免疫能力が低い状態なら、どんな病気にもかかりやすくて当たり前で、その中にガンが含まれても不思議ではないです。

そして、何かの病気になった時に、病院に行って、また薬をもらって服用する。
症状が良くならず、さらに薬が増える・・・。

自分自身で自分の免疫力を破壊し続ける怒濤の輪廻の中にある日常生活。

これが現代社会の現状だと思います。

そして、私も人生ではたくさん薬を飲んできた人でした。

上にリンクしました「すべての薬…」を書いたキッカケとなった、新潟大学の安保徹名誉教授が監修された『免疫を高めると病気は勝手に治る』という冊子を読むまでは、「薬が人間本来の免疫能力を落としている」というメカニズムにまったく気づきませんでした。

しかし、その後、白血球の働きを中心とした人間の免疫システムを多少学ぶにいたって、「人間の自己治癒能力は非常に高度」であることを知り、そして、西洋薬の多くは、その能力を削いでいる、ということを知りました。

私も、胃の調子が悪いといっては市販の胃薬を飲み、めまいがするといっては、何かの薬を飲み、かつては神経症の薬を長く常用していたような生活をしていた人です。

先日、散歩の際に先ほどの冊子の表紙が偶然、目に入ってこなかったならば、同じような生活を続けていたはずで、そして、「極限まで免疫力が落ちた人間となっていた」可能性が非常にあります。

そういう意味では、この冊子との偶然の出会いには感謝したいです。

そして、私もそうでしたが、薬を飲むのは、すべては「体に良いと思って」やっていたことですが、

「すべて間違いだった」

ことが今わかります。

幸い、私は毎日服用している薬はないですので、薬断ちそのものはすぐできます。

「抗コリン剤の作用」を知ったからこそ、そう思うようになりました。知らなかったら、今まで同様、何か調子が悪ければ、すぐに薬を飲むようなことを続けていたと思います。

ちなみに、うちの奥さんは花粉症で、この季節は薬を服用していますが、続ければ、花粉症が悪化するのは明らかですので(花粉症の薬は抗コリン剤)その旨を言いましたら、自主的にやめていました。

(注)私は医療従事者ではないですので、読者の方々に「常用している薬をやめた方がいい」とは決して言いません。どんなことでも「自分自身で心からそう思う」ということで始めなければ何事もむしろ悪いほうに向かうように思います。ただ、後半にいくつかの医学研究などを載せたいと思いますので、読まれて判断くだされば、と思います。




人間の本来の自己治癒能力を信じること

ところで、上の方で、ほんの1週間ほど前とはいえ、「人間には強い自己治癒能力がある」と確信したことを書きましたが、最近読んでいた本の中で、同じことを言っていた人物にふれている部分がありました。

関東医療クリニックの松本光正医師による『高血圧はほっとくのが一番』という本なのですが、著者の松本医師は、中村天風という人に師事していたそうなのですが、その中村天風という方が、

「人間は強い。自然治癒力を信じなさい。薬なんかは飲まないほうがいい。平常心があれば、生きる力がどんどん湧いてくる」

と言っていたそうです。

ところで、中村天風って誰だろうと・・・と、中村天風 - Wikipedia を見てみますと、

中村 天風(1876年 - 1968年)は日本の思想家、実業家、諜報員。日本初のヨーガ行者で、天風会を創始し心身統一法を広めた。

ということですが、この Wikipedia で、この方の人生を見て、驚いたこと!

中村天風
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beingmercury

何が驚いたかって・・・今までいろいろな人の人生や経歴を読んできましたが、ここまで波瀾万丈な人生はちょっと普通では見かけないです。

全部は無理ですが、おおよその経歴を書きますと、

・1876年 大蔵省初代抄紙局長の息子として出生
・高校時代は柔道部のエースとして活躍をするが、練習試合に惨敗した相手に闇討ちされ、その復讐の過程で誤って生徒を刺殺(正当防衛で不起訴)
・16歳の時に帝国陸軍の諜報員(スパイ)となり満州へ
・1902年 満州に潜入し、破壊工作等、大きな活躍
・1906年 悪性の肺結核に罹る
・アメリカの作家の著作を読み感銘を受け、病気のために弱くなった心を強くする方法を求めてアメリカへ密航
・アメリカでコロンビア大学に入り、自らの病の原因を尋ねて自律神経系の研究
・イギリス、フランス、ドイツなどで著名人と会い続ける
・しかし、アメリカとヨーロッパでは自分が納得の行く答えを得ることはできず
・1911年 日本に帰国する途中、エジプトでインドのヨガの聖人カリアッパ師と「偶然出会う」
・そのまま弟子入り
・ヒマラヤ山麓の村で2年半に渡りヨガの修行
・ヨガの修行中に結核は完治
・1913年 日本に帰国途中、中国の第2次辛亥革命に巻き込まれ、そのまま「中華民国最高顧問」として協力
・日本に帰国後は、銀行頭取などを歴任し実業界で活躍
・1919年 突如思うところがあり、すべての社会的身分、財産を処分して「統一哲医学会」を創設。街頭にて心身統一法を説き始める


なんという人生・・・。

この「統一哲医学会」というのは、後に「天風会」という大きな組織となっていくようなんですが、それはともかく、唸りましたね。

高校生で刺殺事件、16歳で軍のスパイ、そして、満州で数々の破壊活動・・・という、どちらかというと荒い人生だったものを変えたのは「病気」だったようです。

その後、アメリカに飛び、ヨーロッパに飛び、しかし西洋では何も得られず、その後に、「偶然」インドのヨガの聖人と出会い、そのまま弟子入りして修行に。

そこまでだけでもすごいですが、修行の後の帰国途中に中国の革命に「巻き込まれる」など、もう何だかすごい人がいたもんなんですね。

その中村天風は、「人間は強い。自然治癒力を信じなさい。薬なんかは飲まないほうがいい」と言っていたとのことですが、そのお弟子さんだった松本医師のこの『高血圧はほっとくのが一番』という著作にも興味深い事実がたくさん書かれています。




降圧剤がもたらす著しい「自己治癒力低下」作用

これは本のタイトル通り、高血圧についてのものなのですが、ほんの10年くらい前までは、高血圧の基準は上が 160 以内であれば問題ないというようなことだったと思いますが、今では 120とか 130とかになっている。

そして、高血圧の基準のガイドラインが示されれば、医師たちは従うしかないですので、血圧を下げる治療が始まります。

その治療の多くで「降圧剤」が使われています。

この降圧剤が、

・寝たきり老人を増加させている可能性

・脳梗塞を増加させる

・ガンを増加させる可能性


などと大きく関係している可能性があることが示されています。


ひとつは、厚生労働省が1万人を対象にして 14年間にわたる追跡調査をおこなった大規模なものがあります。石原結實医師の著書から抜粋します。

降圧剤と高齢者の自立の関係


石原 結實『高血圧の9割は「脚」で下がる』より

1980年に実施された厚生労働省「循環器疾患基礎調査」対象者1万人(無作為に抽出された30歳以上の男女)に対して、その後 14年に及ぶ追跡調査が行われた。

14年後、脳卒中や心筋梗塞、骨折その他の理由により、人の助けを借りなければ、自分の身の回りのことができない人と、ずっと健康であったか、あるいは病気にかかっても自立できないほどの後遺症が残っていない人について調べられた。

すると、上(収縮期)の血圧が 119 〜 180 mmHg、下(拡張期)の血圧が 69 〜 110 mmHg のいずれの血圧の人も、降圧剤を飲んでいる人のほうが、飲んでいない人よりも自立度が低いことがわかった。

また、降圧剤を飲んで、上の血圧が 120 〜 140 mmHg 未満の「正常血圧」を保っていた人は、降圧剤を飲まずに 160 〜 179 mmHg もある人より、自立度が低かったという結果が出た。

こうした疫学調査や血圧の意義から考えると、頭痛、めまい、吐き気、肩こりといった、いわゆる高血圧にともなう症状がひどくない限り「 160 / 100 mmHg くらいまでは無理に下げる必要がない」という結論になりそうである。



この厚生労働省の調査の結果を簡単に書きますと、

「どれだけ血圧が高かろうが、降圧剤を飲まない人は、降圧剤を飲んでいる人より健康でいられることがわかった」

というものです。

ところで、「血圧とは何か」ということなんですが、上の石原医師の文章の中に

> 血圧の意義から考えると、

という部分がありますが、「血圧の意義」とは、同じ著作から抜粋しますと、

脳、心臓、肺、胃腸、肝臓、腎臓など、ありとあらゆる臓器が、血液を運んでくる水、酸素、様々な栄養素、免疫物質などを糧にして、それぞれの臓器特有の働きを遂行している

ということになります。

つまり、「血圧が高い人は、何かの器官が大量の血を必要としていると体や脳が判断するから、多くの血を送る。そのために、血圧が高くなる」ということです。

よく「高血圧は様々な病気の原因」といわれることがありますが、高血圧は「原因ではなく、結果」といえそうです。体が高い血圧を必要としているから高血圧になる。

その必要な高い血圧を自然な形ではなく、降圧剤で無理に下げると、「体内の器官で必要としている血液が届かなくなり、臓器や器官が弱っていく」という解釈でいいのだと思います。

もうひとつの「降圧剤が脳梗塞の発症リスクを増加させる可能性」のほうについては、東海大学医学部名誉教授の研究と、厚生労働省の研究が、さきほどの松本医師の『高血圧はほっとくのが一番』に書かれています。


『高血圧はほっとくのが一番』 降圧剤は脳梗塞を倍にする より

東海大学医学部名誉教授・大櫛陽一氏の研究によれば、「降圧剤を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて脳梗塞の発症率が2倍になる」という。

大櫛氏は、1990年から 2007年までの、福島県郡山市に住む男女4万人の健診データを全国のものと比較し、降圧剤は脳梗塞を増やすことを発見した。



これについては、そのメカニズムも松本医師の著作には書かれてあり、詳細は省略しますが、「血圧によって、血管の血の塊が飛ばされて脳梗塞を防いでいるシステム」が私たちにはあります。

そもそも、このことが書かれている章のタイトルは「脳梗塞は医者が作っている」と強烈です。

また、厚生労働省が 1992年から、70歳以上の高血圧患者 2000人に対して行った追跡調査では、偽薬を使った調査で、

・降圧剤で血圧を 150 / 90 未満に下げたグループ
・降圧剤を使わず高血圧のままのグループ


にわけた追跡調査では、両者に、脳卒中や心筋梗塞の差はなかったという結果となっています。
つまり、血圧が高かろうが低かろうが、病気の発症率は同じだったと。



ガンを増やす可能性

さらに「降圧剤を飲むとガンになる」という可能性についても言及されます。

そのメカニズムは、現在使われている降圧剤の多くが「カルシウム拮抗剤」というものであることと関係していると松本医師は述べます。

「血圧の上昇」という現象は、あらゆる細胞の表面にあるカルシウムが出入りする穴(カルシウムチャネル)があるのですが、カルシウムがこの穴を通る際に電気的な変化が起こり、血管が収縮します。

血管が収縮すると「血圧が上がる」という現象が起きます。

カルシウム拮抗剤は、「このカルシウムが通る穴をふさいで血圧を下げる」という機能を持ちます。

しかし、果たして、

「血管の細胞だけに作用するものだろうか?」

ということです。

そういうわけにはいきません。

カルシウム拮抗剤は、全身すべての細胞の「カルシウムの通る穴」を閉じてしまうのです。

すべての細胞ということは、「免疫細胞」という人間の自己治癒能力で最も大事な働きをするもののひとつが機能しなくなってしまうようなのです。

ここに関しては、松本医師の文章を抜粋します。


免疫細胞は、体に入ってきたウイルスなどをやっつけてくれる。それだけでなく、体内に出現したガンや、ガンに発展しそうな異常細胞を見つけて、それを消し去ってくれる。

カルシウム拮抗剤は免疫を弱めてしまう。そのため、普通なら摘み取っていたガンの芽を放置してしまうのだ。

1993年の茨城県の調査によると、降圧剤を飲んでいる人は、飲んでいないに比べて、ガンによる死亡危険度が 1.14倍、しかも、男性に限ると 1.3倍大きいという結果が出ている。



もちろん、ガンだけではなく、体の免疫細胞の機能が下がれば、他の様々な病気の発生度も高くなるはずです。

その降圧剤の売上は増える一方です。

今では下のグラフのように売上1兆円を超える巨大市場となっています。

降圧剤の売上の推移
ko-atsu-zai.gif
・松本光正『高血圧はほっとくのが一番』


下のグラフは日本の部位別のガンの発生率の推移です。

ガンの主な部位別死亡率(人口10万対)の年次推移(男性)
can-5.gif
厚生労働省

男性の喫煙率は年々減っているのに、肺ガンが突出して増えているあたりからは、もはや原因が単純なものではないことがわかります。

以前、

うつ病だらけの世界の中、アメリカの「現代の十戒」ジョージア・ガイドストーンに突然組み込まれた「 2014 」という数字の意味
 2014年10月01日

で、「抗うつ剤の売り上げの上昇に伴って、うつ病も増える」ことを書きましたけれど、日本という国は、うつ病薬の大きなマーケット、あるいはターゲットになっています。

そして、冒頭にも書きましたが、「世界で一番、薬を飲んでいる日本人」の中で最も多く飲まれているのが降圧剤なのです。

どのくらいの人が降圧剤を飲んでいるかというと、2011年の国民健康・栄養調査によりますと、

「日本の成人のうちの 27.5パーセント、4人に1人が降圧剤を飲んでいる」

ということで、これは先ほどの一連の降圧剤の様々な作用を知った後では、「脅威的な未来の光景」も想像できなくもないです。日本の成人の4人に1人は、病気に対しての免疫が落ち続けている状態にあるかもしれないからです。

この、今の日本の、特に高齢者の方々にありがちかもしれない、


病気になる → 薬をもらう → 病気が悪化する → 薬の種類が増える → 新しい病気になる → 薬の種類が増える → 全体として悪化する → 薬の種類が増える


という無限ループを脱しない限り、様々な病気のグラフは今後も上昇を示すと考えられます。

これは「日本は少子高齢化の上に、病気の人たちがさらに増える」ことを意味します。

ここまで長くなってしまいましたが、実は他にも、

・国際的な基準を決める WHO は何の力によって血圧基準を決めているか
・日本の血圧ガイドラインの正体
・血圧を下げたい場合にはどうするか


といったようなことも書きたかったのですけれど、今後、機会がある時に書ければと思います。

血圧の国際的な基準に関しては、WHO がどのように運営されているか、ということを考えるとわかりやすいかと思われます( WHO の予算の7割は製薬会社からの寄付金です)。

いずれにしましても、薬というのが、「望んだ箇所だけに効くのではなく、体のすべてに影響を与えてしまうものが非常に多い」ことが問題です。

すべての薬ではないですが、いくつかの種類の薬では、健康になろうと思って飲み続けることが、逆にその人の健康に害を及ぼしている可能性があるということです。

先ほども書きましたように、私は「薬は飲まないほうがいい」と書くことはできません。しかし、この言葉が「お医者さんたちの口から出る」ようになる時代がくればいいなとは思っています。



  

2015年04月09日



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▲ 2015年3月31日のシドニー・モーニング・ヘラルドより。






 



何となく奇妙な事件が続く中

4月7日に、アメリカの首都ワシントン D.C. で大停電が発生するという出来事がありました。

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▲ 2015年04月08日の FNN「米・ワシントンで大規模停電 国務省定例会見も真っ暗に」より。

停電は、ワシントン近郊、メリーランド州の発電所での不具合が原因で、国土安全保障省は「テロとの関連はない」としている。

ということで、テロではないということですが、翌日、今度は、フランスのTV5モンドという国際テレビ局が、テレビ放送、ウェブサイトなどほとんどのメディアをハッキングされるという出来事が起きました。

ハッキングされたTV5モンドのウェブサイト
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▲ 2015年4月9日のフランス 20minutes より。


下は CNN の記事です。


仏テレビ局、サイバー攻撃で放送不能に ISIS関与か
CNN 2015.04.09

フランスのテレビ放送網TV5モンドは8日夜、大規模なサイバー攻撃を受け、系列の11局で放送ができなくなったと明らかにした。

同局のフェイスブックに掲載されたディレクターのビデオメッセージよれば、系列の11局に加えてTV5モンドのソーシャルメディアとウェブサイトも一時的に制御できなくなった。

被害を免れたモバイル版のサイトで同局は、「イスラム系組織にハッキングされた」と説明している。TV5モンドの一部ソーシャルメディアページには、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」のロゴが掲載された。



これを本当に ISIS がおこなったかどうかはわからないですが、それより思ったのは、

「テレビ局ってのはそんなに簡単に乗っ取れるものなのか」

ということでした。

また、昨日は、イギリスで「史上最大の被害額」となる可能性のある強盗事件が起きています。

英国で最悪規模の盗難、360億円被害か 宝飾店街の貸金庫
日本経済新聞 2015.04.09

ロンドンの宝飾店街にある貸金庫で、約70の金庫が荒らされ、現金や宝石が大量に盗まれたことが発覚した。警察は被害額を発表していないが、英大衆紙サンは推定2億ポンド(約360億円)との関係者の情報を伝え、英国で最悪規模の盗難事件だと報じた。

この規模の犯罪となると、個人での犯罪というわけではないでしょうが、しかしまあ、360億円という金額は確かに大きいですが、過去に、

カルバナクの衝撃 : サイバー攻撃での世界の金融システム崩壊が早いか、それとも「預金封鎖」がそれより早いのか
 2015年02月19日

という記事でご紹介しました、数カ国のメンバーから構成される「カルバナク」( Carbanak )と呼ばれる集団によるサイバー銀行強盗の被害額は、判明しているものだけで 1200億円です(そして、おそらく、今現在も、国や地域を広げて被害は拡大している気がします)。

Carbanak-02.gif
IB Times

なんだかこう、今回のフランスのテレビ局のハッキングにしても、カルバナクの犯罪にしても、

サイバー犯罪で実行可能な事の数が広がっている気がする。

という気がします。

アメリカの大停電は「攻撃ではない」ということですが、少し前には、

テトラッドの3回目の皆既月食がやってくる中で何だかいろいろとおかしい : トルコとオランダの大停電…
 2015年04月01日

で取り上げましたように、トルコ全土で停電とか、オランダでも大停電が発生していたり、あまり停電とは縁のなさそうな場所で次々と大規模な停電が続いているというのは、「偶然」ということではあっても、考えるところはあります。

そういう中で、ロシアの地政学の専門家が、「アメリカのイエローストーンとサンアンドレアス断層に核爆弾を打ち込む」ことについて言及したというニュースを知りました。

イエローストーンの噴火と、サンアンドレアス断層での地震の「トリガー」として核兵器を使用する概念について述べたという、なかなか激しい内容です。

掲載されたのは、ロシアの VPK ニュースですが、それを冒頭のシドニー・モーニング・ヘラルドが取り上げたのでした。

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ロシア VPK ニュース

今回はシドニー・モーニング・ヘラルドの記事をご紹介します。

ところで、今回の、

・イエローストーン
・サンアンドレアス断層


は、共に In Deep の記事に何度も出てくるものでもあります。
少し振り返ってみたいと思います。




米国二大脅威のイエローストーンとサンアンドレアス断層

昨年 2014年は、イエローストーンに関する「うわさ」が何度も出た年でした。私もその度に記事にしていたような気がしますので、昨年はイエローストーンに関しての記事は多かったと思います。

アメリカを駆け巡るイエローストーンの噴火に関するウワサを当局自らが打ち消した日に思う「世界中が重複災害の星の下にある」事実
 2014年02月07日

イエローストーン国立公園から動物たちが逃げ出している
 2014年04月02日

yellowstone-2014a.gif
Epoch Times

上の記事は、アメリカのエポック・タイムズというメディアの 昨年 3月 31日の記事ですが、現在はこの記事は存在しません。

エポック・タイムズは、基本的には記事はかなりの長期間掲載され続けるメディアで、1年ほどで記事が消えるということは通常はありませんので、何らかの事情で削除したようです。

まあ、結果的には 2014年はイエローストーンは噴火しませんでしたが(そりゃそうだ)、ただ、アメリカ政府は「イエローストーンの近い噴火をまったく想定していないわけでもない」ということは言えそうで、それは、昨年の記事、

アメリカ政府はイエローストーンが噴火した場合のために、南アフリカ、ブラジル、オーストラリアなどへの「米国人の数百万人規模の大量移住」を要請していた
 2014年05月09日

という記事で、アメリカ政府は、

緊急時の「国外への国民大量移住計画」を策定していた

ことがわかったという記事をご紹介しました。

epoch-2014b.gif
Epoch Times

上の記事もエポック・タイムズのものですが、こちらは今も記事が残っています。

この記事の最初は、

超巨大火山イエローストーンが噴火した場合、アメリカ合衆国の市民数百万人は、ブラジル、オーストラリア、あるいはアルゼンチンでその人生を終えることになる可能性がある。

南アフリカのニューサイト Praag は、イエローストーン噴火の際に、南アフリカに米国人のための仮説住宅を建築するために、南アのアフリカ民族会議は、米国政府から10億ドル(約 1000億円)の資金提供を受けたと報じている。

というもので、仮に、イエローストーンが噴火した時には、被害を受けた地域の米国市民たちが、南アフリカに移住するということをアメリカ政府が政策としておこなっていることを報じたものでした。

イエローストーンは、「もし、噴火すればアメリカの3分の2の地域は人が住めなくなる」という推測もあり、移住計画にも整合性がなくはないです。



サンアンドレアス断層

いっぽうの、サンアンドレアス断層というのは、アメリカの下の部分を走る巨大な断層です。

san-andreas-2015.gif


この場所は、西暦 1700年に、アメリカ大陸の過去数百年の中で最大だと思われるマグニチュード 8.7から 9.2と推定される地震を起こしたと考えられています。

今後、もしこの断層で同じような地震が発生した場合、過去記事、

想定よりはるかに巨大だったことがわかったイエローストーン。そして、サンアンドレアス断層での壊滅的な大地震の警告報道が相次ぐアメリカの未来
 2013年12月13日

に、下のように記したような可能性になることはゼロではないかもしれません。


「もし」ですが、仮に現在、また、 1700年と同じようなサンアンドレアス断層の地震が起きた場合、それはもう CBS の報道にあるように「アメリカ西海岸の文明自体が消えてしまう」 というようなことになる可能性はあるようです。

建物が崩壊したり、津波での人的被害はもちろんなのですが、アメリカでは多くの主要なインフラが地下にあり、たとえば、 CBS の記事には、

世界とアメリカの通信をつないでいる光ファイバーの3分の2はサンアンドレアス断層を横断している

アメリカの天然ガスのパイプラインはサンアンドレアス断層を横断している

とあり、このようなことだけでも、「文明が消滅する」というような意味合いは少しわかるような気がします。



今読みますと、やや大げさな書き方かもしれないですが、光ファイバーや天然ガスのパイプラインのことなどを考えますと、ひどく大げさというほどではないかもしれません。

そして、今回の記事に出て来るロシアの地政学の分析官は、

「そこを狙いなさい」

と発言しているのでした。

いろいろな意味で「世も末」ということなのでしょうか。

しかし、私個人は、上のほうに少し出てきました、「サイバー攻撃の対象の可能性が拡大している」ということにも脅威を感じます。

全世界で一斉に停電

だとか、

世界の銀行が一斉シャットダウン

だとか、そういうシステム的なアルマゲドンも「意志」があれば可能な時代になってきているのだなあと感じます。

では、ここから、シドニー・モーニング・ヘラルドの記事をご紹介します。




Russian analyst urges nuclear attack on Yellowstone National Park and San Andreas fault line
Sydney Morning Herald 2015.03.31


ロシアのアナリストは、イエローストーン国立公園とサンアンドレアス断層線上に核攻撃することを促している


ロシアの地政学的アナリストは、米国を攻撃するための最良の方法は、イエローストーンを噴火させる、あるいは、カリフォルニアの海岸線にあるサンアンドレアス断層線での地震を誘発させるために、それらの場所で核兵器を爆発させることだと述べている。

モスクワに拠点を置く「地政学問題アカデミー( Academy of Geopolitical Problems )」の代表のコンスタンチン・シヴコフ( Konstantin Sivkov )氏は、ロシアの貿易新聞である VPK ニュースで、ロシアは軍事兵器を増加させる必要があり、また、ロシアの国境に移動している「西」に対して戦略的であるべきだと主張した。

シヴコフ氏は、米国や英国など多数による軍事同盟 NATO は、ロシアに対しての力を増強しており、その理由は唯一、ロシアと戦うことにあるという陰謀論を持っている。

その問題のために「敵の完全な破壊」を目指すべく、アメリカの脆弱な部分を攻撃することを言う。

「地質学者たちは、スーパーボルケーノであるイエローストーンはいつ噴火を起こしてもおかしくないと考えています。火山活動が増加している兆しがあるのです」

「したがって、イエローストーンの噴火を促すために、比較的小さな爆弾、それはメガトンクラスで十分でしょうが、それにより噴火を促すことができるはずです。イエローストーンの噴火は、米国を壊滅的に破壊するでしょう。それは米国という国が消滅することと同じようなことかもしれません」


Sivkov.jpg

▲ 地政学問題アカデミー代表のコンスタンチン・シヴコフ氏。


シヴコフ氏は、このように語り、続けて以下のように言う。

「地球物理学的な観点から見た米国のもうひとつの脆弱な地域に”サンアンドレアス断層”があります。これは太平洋と北米プレートの間に 1300キロメートルに渡り延びる断層で、この断層上で核兵器の爆発を起こした場合、海岸沿いに大規模な津波のような致命的事象を引き起こすトリガーとさせることができるのです」

そして、シヴコフ氏は、イエローストーンが噴火したり、巨大津波が発生しても、ロシアは、地理的にその影響はあまり受けないと言う。また、ロシアではシベリアなどの海岸沿いに住む人々もいるが、地質が玄武岩なので、同様の攻撃を受けても耐えられるだろうと述べる。

2013年のモスクワ経済フォーラムにおいて、シヴコフ氏は、2020年から 2025年には、ロシアは攻撃のための「不釣り合いな兵器」を備蓄しているかもしれないと述べている。

「こんにちのロシアの状況は、半世紀前よりも悪くなっています」と、シヴコフ氏は述べる。

「弱体化するロシアの経済的可能性と、共産主義思想の”精神的なコア”の喪失、そして、ワルシャワ条約機構(1955年から 1991年まであったソ連を中心とした軍事同盟)のようなヨーロッパの同盟国との大きな連合の欠如などにより、現在のロシアは NATO に完全に対抗することはできのません」

昨年 12月、ロシアの軍事戦略家は、新聞プラウダに対して「ロシアと西側諸国の間の距離の差は拡大している」として、アメリカの究極的な目標は「ロシアを破壊することだ」と述べている。

また、シヴコフ氏は、イラクで 120万人の死を引き起こすなど、さまざまな犯罪をおかしている米国の政治家とエリートたちを非難した。




  


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russia-nuclear-top.gif

▲ 2015年3月31日のシドニー・モーニング・ヘラルドより。



何となく奇妙な事件が続く中

4月7日に、アメリカの首都ワシントン D.C. で大停電が発生するという出来事がありました。

washington-outage.gif

▲ 2015年04月08日の FNN「米・ワシントンで大規模停電 国務省定例会見も真っ暗に」より。

停電は、ワシントン近郊、メリーランド州の発電所での不具合が原因で、国土安全保障省は「テロとの関連はない」としている。

ということで、テロではないということですが、翌日、今度は、フランスのTV5モンドという国際テレビ局が、テレビ放送、ウェブサイトなどほとんどのメディアをハッキングされるという出来事が起きました。

ハッキングされたTV5モンドのウェブサイト
je-su-isis.gif

▲ 2015年4月9日のフランス 20minutes より。


下は CNN の記事です。


仏テレビ局、サイバー攻撃で放送不能に ISIS関与か
CNN 2015.04.09

フランスのテレビ放送網TV5モンドは8日夜、大規模なサイバー攻撃を受け、系列の11局で放送ができなくなったと明らかにした。

同局のフェイスブックに掲載されたディレクターのビデオメッセージよれば、系列の11局に加えてTV5モンドのソーシャルメディアとウェブサイトも一時的に制御できなくなった。

被害を免れたモバイル版のサイトで同局は、「イスラム系組織にハッキングされた」と説明している。TV5モンドの一部ソーシャルメディアページには、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」のロゴが掲載された。



これを本当に ISIS がおこなったかどうかはわからないですが、それより思ったのは、

「テレビ局ってのはそんなに簡単に乗っ取れるものなのか」

ということでした。

また、昨日は、イギリスで「史上最大の被害額」となる可能性のある強盗事件が起きています。

英国で最悪規模の盗難、360億円被害か 宝飾店街の貸金庫
日本経済新聞 2015.04.09

ロンドンの宝飾店街にある貸金庫で、約70の金庫が荒らされ、現金や宝石が大量に盗まれたことが発覚した。警察は被害額を発表していないが、英大衆紙サンは推定2億ポンド(約360億円)との関係者の情報を伝え、英国で最悪規模の盗難事件だと報じた。

この規模の犯罪となると、個人での犯罪というわけではないでしょうが、しかしまあ、360億円という金額は確かに大きいですが、過去に、

カルバナクの衝撃 : サイバー攻撃での世界の金融システム崩壊が早いか、それとも「預金封鎖」がそれより早いのか
 2015年02月19日

という記事でご紹介しました、数カ国のメンバーから構成される「カルバナク」( Carbanak )と呼ばれる集団によるサイバー銀行強盗の被害額は、判明しているものだけで 1200億円です(そして多分、今現在も、国や地域を広げて被害は拡大している気がします)。

Carbanak-02.gif
IB Times


なんだかこう、今回のフランスのテレビ局のハッキングにしても、カルバナクの犯罪にしても、

サイバー犯罪で実行可能な事の数が広がっている気がする。

という気がします。

アメリカの大停電は「攻撃ではない」ということですが、少し前には、

テトラッドの3回目の皆既月食がやってくる中で何だかいろいろとおかしい : トルコとオランダの大停電…
 2015年04月01日

で取り上げましたように、トルコ全土で停電とか、オランダでも大停電が発生していたり、あまり停電とは縁のなさそうな場所で次々と大規模な停電が続いているというのは、「偶然」ということではあっても、考えるところはあります。

そういう中で、ロシアの地政学の専門家が、「アメリカのイエローストーンとサンアンドレアス断層に核爆弾を打ち込む」ことについて言及したというニュースを知りました。

イエローストーンの噴火と、サンアンドレアス断層での地震の「トリガー」として核兵器を使用する概念について述べたという、なかなか激しい内容です。

掲載されたのは、ロシアの VPK ニュースですが、それを冒頭のシドニー・モーニング・ヘラルドが取り上げたのでした。

bricks-survive.gif
ロシア VPK ニュース

今回はシドニー・モーニング・ヘラルドの記事をご紹介します。

ところで、今回の、

・イエローストーン
・サンアンドレアス断層


は、共に In Deep の記事に何度も出てくるものでもあります。
少し振り返ってみたいと思います。




米国二大脅威のイエローストーンとサンアンドレアス断層

昨年 2014年は、イエローストーンに関する「うわさ」が何度も出た年でした。私もその度に記事にしていたような気がしますので、昨年はイエローストーンに関しての記事は多かったと思います。

アメリカを駆け巡るイエローストーンの噴火に関するウワサを当局自らが打ち消した日に思う「世界中が重複災害の星の下にある」事実
 2014年02月07日

イエローストーン国立公園から動物たちが逃げ出している
 2014年04月02日

yellowstone-2014a.gif
Epoch Times

上の記事は、アメリカのエポック・タイムズというメディアの 昨年3月31日の記事ですが、現在はこの記事は存在しません。

エポック・タイムズは、基本的には記事はかなりの長期間掲載され続けるメディアで、1年ほどで記事が消えるということは通常はありませんので、何らかの事情で削除したようです。

まあ、結果的には 2014年はイエローストーンは噴火しませんでしたが(そりゃそうだ)、ただ、アメリカ政府は「イエローストーンの近い噴火をまったく想定していないわけでもない」ということは言えそうで、それは、昨年の記事、

アメリカ政府はイエローストーンが噴火した場合のために、南アフリカ、ブラジル、オーストラリアなどへの「米国人の数百万人規模の大量移住」を要請していた
 2014年05月09日

という記事で、アメリカ政府は、

緊急時の「国外への国民大量移住計画」を策定していた

ことがわかったという記事をご紹介しました。

epoch-2014b.gif
Epoch Times

上の記事もエポック・タイムズのものですが、こちらは今も記事が残っています。

この記事の最初は、

超巨大火山イエローストーンが噴火した場合、アメリカ合衆国の市民数百万人は、ブラジル、オーストラリア、あるいはアルゼンチンでその人生を終えることになる可能性がある。

南アフリカのニューサイト Praag は、イエローストーン噴火の際に、南アフリカに米国人のための仮説住宅を建築するために、南アのアフリカ民族会議は、米国政府から10億ドル(約 1000億円)の資金提供を受けたと報じている。

というもので、仮に、イエローストーンが噴火した時には、被害を受けた地域の米国市民たちが、南アフリカに移住するということをアメリカ政府が政策としておこなっていることを報じたものでした。

イエローストーンは、「もし、噴火すればアメリカの3分の2の地域は人が住めなくなる」という推測もあり、移住計画にも整合性がなくはないです。



サンアンドレアス断層

いっぽうの、サンアンドレアス断層というのは、アメリカの下の部分を走る巨大な断層です。

san-andreas-2015.gif


この場所は、西暦 1700年に、アメリカ大陸の過去数百年の中で最大だと思われるマグニチュード 8.7から 9.2と推定される地震を起こしたと考えられています。

今後、もしこの断層で同じような地震が発生した場合、過去記事、

想定よりはるかに巨大だったことがわかったイエローストーン。そして、サンアンドレアス断層での壊滅的な大地震の警告報道が相次ぐアメリカの未来
 2013年12月13日

に、下のように記したことがあります。


「もし」ですが、仮に現在、また、 1700年と同じようなサンアンドレアス断層の地震が起きた場合、それはもう CBS の報道にあるように「アメリカ西海岸の文明自体が消えてしまう」 というようなことになる可能性はあるようです。

建物が崩壊したり、津波での人的被害はもちろんなのですが、アメリカでは多くの主要なインフラが地下にあり、たとえば、 CBS の記事には、

世界とアメリカの通信をつなぐ光ファイバーの3分の2はサンアンドレアス断層を横断している

アメリカの天然ガスのパイプラインはサンアンドレアス断層を横断している

とあり、このようなことだけでも、「文明が消滅する」というような意味合いは少しわかるような気がします。



今読みますと、やや大げさな書き方かもしれないですが、光ファイバーや天然ガスのパイプラインのことなどを考えますと、ひどく大げさというほどではないかもしれません。

そして、今回の記事に出て来るロシアの地政学の分析官は、

「そこを狙いなさい」

と発言しているのでした。

いろいろな意味で「世も末」ということなのでしょうか。

しかし、私個人は、上のほうに少し出てきました、「サイバー攻撃の対象の可能性が拡大している」ということにも脅威を感じます。

全世界で一斉に停電

だとか、

世界の銀行が一斉シャットダウン

だとか、そういうシステム的なアルマゲドンも「意志」があれば可能な時代になってきているのだなあと感じます。

では、ここから、シドニー・モーニング・ヘラルドの記事をご紹介します。



Russian analyst urges nuclear attack on Yellowstone National Park and San Andreas fault line
Sydney Morning Herald 2015.03.31


ロシアのアナリストは、イエローストーン国立公園とサンアンドレアス断層線上に核攻撃することを促している


ロシアの地政学的アナリストは、米国を攻撃するための最良の方法は、イエローストーンを噴火させる、あるいは、カリフォルニアの海岸線にあるサンアンドレアス断層線での地震を誘発させるために、それらの場所で核兵器を爆発させることだと述べている。

モスクワに拠点を置く「地政学問題アカデミー( Academy of Geopolitical Problems )」の代表のコンスタンチン・シヴコフ( Konstantin Sivkov )氏は、ロシアの貿易新聞である VPK ニュースで、ロシアは軍事兵器を増加させる必要があり、また、ロシアの国境に移動している「西」に対して戦略的であるべきだと主張した。

シヴコフ氏は、米国や英国など多数による軍事同盟 NATO は、ロシアに対しての力を増強しており、その理由は唯一、ロシアと戦うことにあるという陰謀論を持っている。

その問題のために「敵の完全な破壊」を目指すべく、アメリカの脆弱な部分を攻撃することを言う。

「地質学者たちは、スーパーボルケーノであるイエローストーンはいつ噴火を起こしてもおかしくないと考えています。火山活動が増加している兆しがあるのです」

「したがって、イエローストーンの噴火を促すために、比較的小さな爆弾、それはメガトンクラスで十分でしょうが、それにより噴火を促すことができるはずです。イエローストーンの噴火は、米国を壊滅的に破壊するでしょう。それは米国という国が消滅することと同じようなことかもしれません」


Sivkov.jpg

▲ 地政学問題アカデミー代表のコンスタンチン・シヴコフ氏。


シヴコフ氏は、このように語り、続けて以下のように言う。

「地球物理学的な観点から見た米国のもうひとつの脆弱な地域に”サンアンドレアス断層”があります。これは太平洋と北米プレートの間に 1300キロメートルに渡り延びる断層で、この断層上で核兵器の爆発を起こした場合、海岸沿いに大規模な津波のような致命的事象を引き起こすトリガーとさせることができるのです」

そして、シヴコフ氏は、イエローストーンが噴火したり、巨大津波が発生しても、ロシアは、地理的にその影響はあまり受けないと言う。また、ロシアではシベリアなどの海岸沿いに住む人々もいるが、地質が玄武岩なので、同様の攻撃を受けても耐えられるだろうと述べる。

2013年のモスクワ経済フォーラムにおいて、シヴコフ氏は、2020年から 2025年には、ロシアは攻撃のための「不釣り合いな兵器」を備蓄しているかもしれないと述べている。

「こんにちのロシアの状況は、半世紀前よりも悪くなっています」と、シヴコフ氏は述べる。

「弱体化するロシアの経済的可能性と、共産主義思想の”精神的なコア”の喪失、そして、ワルシャワ条約機構(1955年から 1991年まであったソ連を中心とした軍事同盟)のようなヨーロッパの同盟国との大きな連合の欠如などにより、現在のロシアは NATO に完全に対抗することはできのません」

昨年 12月、ロシアの軍事戦略家は、新聞プラウダに対して「ロシアと西側諸国の間の距離の差は拡大している」として、アメリカの究極的な目標は「ロシアを破壊することだ」と述べている。

また、シヴコフ氏は、イラクで 120万人の死を引き起こすなど、さまざまな犯罪をおかしている米国の政治家とエリートたちを非難した。




  

2015年04月07日



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細野晴臣さんの曲を 440Hz から 432 Hz に変換したもの

・最初の数秒だけ比較のため 440Hz を入れています。

440Hz と 432Hz のイントロ5秒の比較







 

440Hzより432Hzの方がいいというのでしたら、そうしましょう

以前の記事、

この世の存在は「音そのもの」であるかもしれないことに確信を持てそうな春の夜(2) : シュタイナーが警告した「432Hzではない基本音調の世界は悪魔を勝利に導く」 を体感してみました
 2015年03月28日

では、現在の社会のほぼ全体で使われている基本的な音のチューニングに用いられる 440Hz の倍数というのは、人間にとって、あまりいい音ではなく、人間は 432Hz の調律の音楽を聴いたほうが良いという主張などについて記しました。

シュタイナーをして、

「音楽において、 A=432Hz 以外を使うことは、悪魔の貪欲なパワーを西側にもたらす可能性がある」

と言わせしめるほどのもののようなのですが、上に貼りました曲の最初の部分の比較などでも、おわかりかと思いますが、440Hz と 432Hz を聴き比べますと、少なくとも私に関しては 432Hz で、体の緊張が解ける感覚をかなり明確に体感します。一種の脱力感にも似た感覚です。

あと、何というか「和音が溶けていくような」ものを感じます。

そこから、

440Hz の調律は、「緊張、興奮、闘争心、などをもたらす傾向を持つ」

ことが予測され、

432Hz の調律は「安定、安寧、脱力をもたらす傾向がある」

のではないかと思います。

でまあ、そういうことではあっても、現実問題としては、今の社会では、楽器ライアー以外では、432Hz の調律で演奏される楽器や、あるいは、音楽というものとはなかなか出会うことはありません。

そこで、今回は、パソコンを使って、「 440Hz の曲を 432Hz へと変換する方法」を記したいと思います。

どんな素晴らしいリラクゼーション音楽であっても、基本ピッチが 440Hz である限りは、それは完全な意味でのリラックスのための音楽ではないということになるとも考えられますし、よくお聴きになる曲を「 432Hz に変換して聴く」ということは、悪いことではないように思います。

変換には Audacity (オーダシティ)というパソコンのフリー(無料)ソフトを使います。
14年の歴史を持つ定番の音楽ソフトです。

このソフトは Windows 、 Mac 、Linux に対応していて、操作方法もすべての OS で同じですので、その方法を記します。ここでは、Windows と Mac について記します。



オーダシティをインストールする

インストール後の操作は Windows も Mac も同じですが、インストールは Windows と Mac でやや違います。難しいものではないですが、あまりソフトやアプリケーションをご自分でインストールされたことのない方のために、インストールの方法から書いていきます。

インストールに問題のない方は、その下の具体的な変換の方法からお読み下されば幸いです。

Windows をお使いの場合のインストールの方法

オーダシティのウェブサイトに行きます。ご自分の OS に合ったページが表示されます。

そのページの下で赤線で囲んだ「 Windows向け 8/7/Vista/XP」の文字列をクリックします。

win-1.gif


下の表示が出ましたら、「ファイルを保存」をクリックします。

win-1-1.gif


ダウンロードされたファイルは、どれでもいいので、フォルダなどを開いた際に、左側に表示される「ダウンロード」というところをクリックすると、そのダウンロードフォルダの中に「 audacity-win-数字.exe」と表示されているはずです。

win-2.gif


細かい名称は違っても、「 audacity-win… 」で始まるファイル名ならOKです。

この audacity-win をダブルクリックするなどして開きます。

ここで、下のように「発行元を確認できませんでした。このソフトウェアを実行しますか」という表示が出る場合があります。

win-4.gif


ここで「実行」を押します

その後、

「セットアップに使用する言語の選択」
「 Audacity セットアップウィザードの開始」
「インストール準備完了」


など、いろいろな表示が出ますが、基本的には、ウインドウ下の「 OK 」と「次へ(N)>」、そして、「インストール」をクリックしていれば、インストールは完了します。

win-ok.png


win-next.png


win-install.png


デスクトップ上に、下のアイコンが出ていれば、インストールは完了です。
このアイコンをクリックすれば、オーダシティが起動します。

win-audacity.gif



Mac をお使いの場合のインストールの方法

Mac の場合、インストールは極めて簡単です。

オーダシティのウェブサイトに行きます。下のようなページが表示されます。

そのページの下で赤線で囲んだ「 Mac向け OS X 10.4 to 10.10.x 」の文字列をクリックします。

mac-1.gif


ダウンロード・フォルダに下のように、「 audacity-macosx-ub-数字 」で始まるファイルがダウンロードされます。

mac-2.gif


このファイルをクリックすると、下のウインドウが自動で開きます。

mac-3.gif


このウインドウ上で Audacity を Application フォルダにドラッグすれば、インストール完了です。

Application フォルダとは「アプリケーション・フォルダ」のことで、その中にインストールされています。

mac-install.gif


その中のオーダシティのアイコンをダブルクリックすれば、オーダシティが起動します。

ちなみに、オーダシティは大丈夫だと思いますが、最近の Mac OS X は、App Store 以外からダウンロードしたソフトを起動させようとすると、

「”〇〇〇(ソフトの名称)”は、開発元が未確認のため開けません」

という表示が出て、起動させることができないことがあります。

そのような表示が出た場合は、

App Store 以外からダウンロードしたアプリケーションが実行できない場合の対処と設定

というページをご参照下さい。

これで、インストールは終わりです。

ここから実際の作業です。





オーダシティを使って、440Hz の曲を 432Hz へ変換する

準備は、「432Hz に変換したい音楽ファイル( MP3 など)を、パソコン上の自分でわかる場所に配置しておく」ことです。

iTunes などからデスクトップにドラッグ&ドロップしたりして置いておいてもいいかと思います。

ここでは Mac での作業のスクリーンショットですが、Windows でも同じです。


1. 曲の読み込み

オーダシティを起動させると、下のような画面が表示されます。

au-01.gif


ファイル > 開く を選択します。

au-02.gif


「1つもしくは複数の音楽ファイルを選択してください」というウインドウが表示されますので、そこから変換したい曲を選択します。

au-03.gif


ここでは、冒頭に貼りました、細野晴臣さんの 1985年の曲 Normandia を 432Hz に変換していきますので、上の場合、Normandia.mp3 を選択します。

曲がオーダシティに読み込まれると、下のように曲の波形が表示されます。

au-04.gif



2. 曲のピッチを変更する

曲の波形が表示されている状態で「編集 > 選択」を選び、その横にある「すべて」を選択します。これは、曲全体のピッチを変更するという意味です。

au-05.gif


メニューの「エフェクト」から「ピッチの変更」を選択します。

au-06.gif


「ピッチの変更」のウインドウが下のように表示されます。

au-07.gif

これは曲によって様々に表示されます。
赤で囲んだ部分を変更していきます。

このパネルに「テンポを変えずにピッチの変更」とありますように、 440Hz から 432Hz に変更した場合でも、ピッチが変わる(ほんの少しだけ低くなる)だけで、テンポはオリジナルのままです。

上の赤で囲んだ部分を以下のように変更します。

・上部タブを、どちらも「A 」に変更
・「周波数」の部分を、左に「 440 」、右に「 432 」と変更(必ず「半角数字」で)
・変更率が -1.818 になっていることを確認


au-pitch-change.gif


上と同じようになりましたら、右下の「 OK 」をクリックします。



3. 曲を書き出す

ファイル > オーディオの書き出し を選択します。

au-09.gif


ここで「保存」ウインドウが表示されますが、Format というタブから、音楽ファイルの形式を選択します。

この一覧には MP3 もあるのですが、オーダシティのみでは MP3 への変換はできませんので、ここでは、

・Windows の方は WAV という形式で
・Mac の方は AIFF という形式で


で、それぞれ保存します。

Windows
au-11.gif

Mac
au-10.gif


この Wav や AIFF は、 iTunes を使って MP3 に変換できます。

このように選んだ後、「保存」をクリックします。

保存の際に「メタデータを編集」というウインドウが表示されますが、何もしないで、右下の「OK」をクリックします。

これで作業は終了です。
作業を終える場合はオーダシティを終了します。

au-hozon.gif


次の新しい作業をする場合は、「ファイル > 新規」から新しいウインドウを開きます。

なお、 Audacity を終了したり、作業していたウインドウを閉じようとする際に、「変更を保存しますか?」と訊かれますが、これは保存しても意味がないですので、「いいえ」を選択して下さい。

au-hozon2.gif


かなり長くなりましたので、大変そうに見えるかもしれないですが、実際には作業は非常に簡単です。慣れれば、ひとつの曲を変換するのに、1分もかからないと思います。

その保存された音楽ファイルをダブルクリックなどすれば、「 432Hz に生まれかわった音楽」として楽しむことができます。元の 440Hz のものと聞き比べてみるなどもいいかもしれません。



MP3への変換について

この音楽ファイルを MP3 にする場合、iTunes で簡単におこなうことができます。

Windows の方は、

簡単!iTunesでWAVをMP3に変換する方法

Mac の方は、

Mac の iTunes で音源を MP3 に変換する方法

などのサイトをご参照いただければよろしいかと思います。



  

2015年04月06日



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数日前、下のような「南極大陸で観測史上最高気温か」というような報道が、ほとんどの報道メディアでいっせいに報じられたことは、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

antarctic-175-top.gif

▲ 2015年4月2日の CNN 南極大陸で観測史上最高気温か 17.5度を記録より。


さて、下はその1年4ヶ月ほど前の 2013年12月の英国ガーディアンの報道です。

こちらも「南極の気温」に関しての報道です。

antarctic-minus-90.gif

▲ 2015年12月10日の Guardian Coldest temperature ever recorded on Earth in Antarctica: -94.7C より。


どちらの報道が正しいとか正しくないとかの話ではないのですが、単純に上のふたつの報道を見比べますと、

「南極って、1年半で 100度以上も気温が上がったのか!」

と、つい思ってしまうような印象があるかと思います。

そういう意味も含めて、どうも違和感を感じざるを得ません。

そして、記事を冷静に読むと、カラクリというのか、「南極で観測史上最高気温」報道は、「方向性の意志」を持っている記事であることが見えてきました。

今回の南極の記事に、やはり同じような違和感をもたれた方もいらっしゃるのではないかとも思いまして、今回はそのことを書こうと思いますが、その前に、別の気象現象で、カラクリとはいいえないものの「考えていた状況と違った」ものがあります。

それは「カリフォルニアの歴史的な干ばつと深刻な水不足」です。

先に、そのことを書いておきたいと思います。




カリフォルニアの「世紀の大干ばつ」の本当の原因

california-pray-01.jpg

THP より。下に「 1 THESS. 5:17」とあるのは、新約聖書『テサロニケの信徒への手紙一』 の 5章 17節のことのようです。その節のフレーズは、「絶えず祈りなさい」です。


カリフォルニアの干ばつは 2013年頃から「過去最悪」と言われ続けていましたが、2014年も今年 2015年も「過去最悪」という表現がされています。

最近の報道では「カリフォルニアの水はあと1年で枯渇する」ということも言われています。


「水は残り1年分」NASA警告 米カリフォルニア州の干ばつ深刻
日本経済新聞 2015.03.20

全米最大の人口を抱えるカリフォルニア州で水不足が深刻さを増している。今年で4年目に入った干ばつは、野菜や果物、アーモンドの主要産地である同州の農家を直撃。米航空宇宙局(NASA)は「州内の水源に残された水はあと1年分」と警告する。非常事態を宣言した州政府による水の利用制限が強化される中、海水を飲み水に変える技術に注目が集まっている。


その後、非常事態宣言の下で、節水に関しての行政命令が発令されています。

カリフォルニア州は、アップル、グーグル、フェイスブックなどの巨大 IT 企業が集まるシリコンバレーを有していますが、IT 企業とはいっても、動かしているのは「人間」ですので、カリフォルニアが「飲む水がまったくなくなってしまうような場所」になれば、何らかの影響もあるかもしれません。

それ以上に、

産経新聞の記事によれば、このカリフォルニアという場所は、

> 野菜と果物の全米収穫量の約半分がカリフォルニア州で生産されている

という場所でもあり、カリフォルニアはワインの輸出でも有名で、それらの価格の高騰を含め、今後急速に悪い影響が出始める可能性があります。

さて、この結構大変な状況となっているカリフォルニアの干ばつですが、私も、そして多分、多くの人々も、異常気象、あるいは気候変動のために起きたというように思われているように思います。

たとえば、昨年 12月の「来たるべき地球のかたち」の記事で、アメリカ地球物理学連合( AUG )の科学者たちの研究についての記事を載せています。その記事のタイトルは、

カリフォルニアの干ばつは過去1200年で最悪であることがアメリカ地球物理学連合の調査で判明
 2014年12月18日

というもので、翻訳した記事の中には以下のような部分があります。

最新の研究データによれば、カリフォルニア州は、過去数世紀で最悪の干ばつに陥っていることがわかった。

気温の影響について研究しているアメリカ地球物理学連合( AUG )の科学者たちは、降水量などの低さや、その他の状況と照らし合わせて、この干ばつが、過去 1,200 年で最悪のものであることを見出した。

研究者たちは、カシの木の年輪などから、過去の降雨、河川や貯水地の状態などを計算した。

これだけ読むと、

「何と激しい地球の変化!」

とか、

「まさに荒れ狂う地球の姿!」

などのように思えてしまうかもしれないですが、実際はそうではなく、

カリフォルニアの水不足は「人災」であることがハッキリした

のです。

この「ハッキリした」というのは、そのような報道があったわけではなく、データ上で、それが比較的明らかになったということです。報道はなぜかほとんどありません。

そのデータは、アメリカ海洋大気庁( NOAA )にある「降水量」の公式データです。

NOAA には、クライメート・アト・グランス( Climate at a Glance / ひとめでわかる気候) というデータページがあり、1895年から 2014年までの気温や降雨量などについて、アメリカのすべての州についての「 NOAA が保管する気候データ」を検索できます。

そして、1895年から 2014年までの 119年間のカリフォルニアの「降水量」のデータを調べてみますと、意外なことがわかります。

カリフォルニアで水不足が最もひどかった 2014年の降水量は「平年よりさほど低くはなかった」

のです。

数値でいうと、平年より 2.46インチ(約 6.3センチ)少ないだけで、率でいうと、「平均の降水量より11%少なかっただけ」でした。

下のグラフは、その推移を示したもので、これを見ると、2014年より降水量の少ない年がたくさんあったことがわかります。


1895年から2014年までのカリフォルニア州の降水量
precipitation-california.gif
sunshinehours

その前年の 2013年は確かに記録的に雨が少なかったですが、カリフォルニアの干ばつはそれ以前から始まっています

そして、2010年頃からの降水量は普通か、普通より多かったことがわかります。少なくとも、アメリカ建国史上最悪の水不足のような状態になるほどの降水量不足ではなかったのです。

では、一体何がこの歴史的な水不足の原因なのか?

これは下のグラフが表していることが、ひとつの大きな原因であることは間違いないと思われます。

1900年から 2013年までのカリフォルニア州の人口の推移
population-california.gif
Orange County Register

何とカリフォルニアの人口は、約 110年間で 30倍近くにまで増えたのです。

アメリカ全体でも人口は増えていますが、1900年のアメリカの人口は 7621万人で、現在は 3億2000万人ほどすので、4倍ほどの増加です。

ここから見ますと、カリフォルニアの人口の増加はすさまじいものです。

人間は何よりも水がないと生きていけない生物です。

それに加えて、カリフォルニアは水を大量に使う農業や工場なども多いことなどを考えますと、この現在の状況になることは「かなり以前から予測できていたもの」だと考えられます。

そして、もうひとつの原因は、水不足が起きることは予測できていたであろうに、「大きなダムが 1982年以来建設されていない」のだそう。

こうなりますと、カリフォルニアには、必ずいつかは深刻な水不足がやってきていたということになります。

人口の増加のグラフを見ますと、人口 3000万人を越えた 2000年より以前から対策をとっていれば、こんなひどいことにはならなかったと思われます(今から対策しても多分もう遅いです)。

陰謀論とかではないですけど、何となく「意図的に起こされてしまった水不足」という感じも受けないではないです。

あまり関係ないですが、カリフォルニアでの海岸には、「飢餓に陥って」いる状態のアシカの子どもたちが次々と打ち上げられています。

カリフォルニアに打ち上げられたアシカの子どもの数が1800頭に達する
 2015年03月25日


さて、このカリフォルニアのことを先に書きましたのは、報道の傾向に「南極の最高気温の話」と、やや似た部分があることを感じたからです。

例えば、カリフォルニアの干ばつの報道も、気候変動や地球温暖化などの面が強調されて報道されていますが、降水量のグラフを見る限り、この 100年間でどちらかに向かう「方向や傾向」というものは特にはなく、「雨の多い年があったり、雨の少ない年もあったり」というだけのことです。

確かに今は、世界中で、気候そのものがおかしいことは確かですが、何もかも「気候変動」という言葉に含めてしまうのはどんなものかなと。




南極「最高気温」のカラクリ

数日前の、南極の過去最高気温報道も、例えば、下のような見出しで報じられることもありました。


南極で過去最高気温を観測か 17.5度、温暖化の影響も
日本経済新聞 2015.04.03

南極大陸の半島部分で、南極としては過去最高の可能性がある気温17.5度が観測されていたことが分かった。英紙ガーディアンなどが報じた。

これまでの最高気温は1961年に同じ地点で観測した17.1度とされている。今回の観測気温が正式に確認されれば、地球温暖化の影響を示すとの見方が出そうだ。



「温暖化」という言葉が出てきます。

この最高気温を観測したとされる基地は、エスペランザ基地というアルゼンチンが管理する南極基地ですが、場所は下の位置にあります。

エスペランザ基地の場所
esperanza-base.gif
Esperanza Base, Antarctica

地図でおわかりのように、この基地は、南極点よりアルゼンチンに近い場所にありで、実際、ここは南極圏ではありません

先ほどの日経新聞にも、


エスペランサ基地は南米大陸に向かって突き出た半島の先端部分にあり、南極圏の外に位置することから、同基地の気温を「南極の気温」とみなすのが妥当かどうか議論の余地もあると同紙は伝えている。


とあり、ここは「南極基地」という名の基地ではあるけれど、「南極圏にある基地ではない」ということです。

それを「南極」と言葉で一括りにしてタイトルで見てしまうと、まるで南極の中心点で 17.5度の気温が記録されたかのような錯覚をもたらします。

しかし、その最高気温が記録されたとされる 3月 24日のエスペランザ基地の気温を見てみますと、確かに高い気温が記録されていたことがわかります。

エスペランザ基地の2015年3月24日の気温
esperanza-1.gif
Esperanza Base

ただ、上の気温の推移で少しだけ奇妙に思うのは、唐突に 10度以上も気温が上がっているところです。

気温の推移を見ると、この時期の南極は1日のうちでそんなに大きく気温の変動がないことが多いように感じられます。たとえば、下のような日が多いです。

esperanza-2.gif

もちろん、例外はあるのでしょうけれど、この日、確かにこのあたりで「何かがあった」のかもしれません。

地球ではいろいろなことがあるわけで、たとえば、2012年には、グリーンランドの氷床が4日ですべて溶けてしまったという出来事がありました。

メルトダウンの序章? : 「たった4日間でほぼすべて溶けて消えた」グリーンランドの氷床
 2012年07月26日

グリーンランドの2012年7月8日から7月12日の間の氷床の変化
Greenland-meltdown2.jpg
・NASA


エスペランザ基地の周辺で 3月24日に何か特殊なことがあったのか、あるいは、通常の気温変化として、17度を記録したのかはわからないですが、報道を見ていると、

「南極全体の気温が少しずつ上がっている」というようなイメージを抱かせる

ものが多く、それは違うということを書いておきたかったのだと思います。

現実には南極は今も普通に寒いです。

たとえば、南極高原中央部のドームAと呼ばれる場所の今日( 4月6日)の気温は下のようになっていました。

南極ドームAの気温
dome-a.gif
Weather Underground




南極の海氷面積は過去最大クラス

というより、南極の気温そのものについては、実際にはそんなに大きく変化しているわけではないということも下のグラフを見ると言えそうです。

antarctic-kion.gif
Not A Lot of People Know That


しかし、気温以上に、南極の現在のもうひとつの事実として、

「海氷面積が過去最大レベルで推移し続けている」

ということがあります。

昨年の9月に「南極の海氷面積が記録的なレベルに達し、過去最大面積を更新中」という記事で、南極の海氷面積が記録的なものとなっている報道をご紹介したことがあります。

antarctic-0914.gif

▲ 2014年9月14日のオーストラリア ABC ニュースより。


それは現在も継続中で、3月の南極の海氷量は観測史上2番目で、過去最大に近づきました。

sea-ice-03.gif
Not A Lot of People Know That


そんなわけで、気温や天候に関しての報道の場合、どうにも「誘導的な要素」が含まれているものもあるとは感じますので、いろいろな報道を冷静に見る必要があると感じています。もちろん、気温や天気のことだけではなく、すべてのジャンルの報道に言えることだとも思います。

何をどこに導こうとしているのかはともかく、かつてないほど、多くの報道には「方向性がつけられている」ように感じます。あるいは、「報道されないものはされない」ことも多くなっているのかもしれません。

ところで、「水」と関連して、4月6日の毎日新聞の「水危機:アジア太平洋地域…アフリカ下回る水量 水害顕著」という記事の中に、


アジア太平洋地域では、この40年余りに自然災害で約200万人が亡くなっているが、その93%が豪雨や台風、干ばつなど水関連の災害だった。


という下りがありまして、アジア太平洋地域では、「 40年間で自然災害で 200万人が亡くなっている」という事実を知るのでした。

そして、そのほとんどが水関係の災害だそう。

ということは・・・次の 40年間でも、同じように、あるいはそらに多くの同じような事象が起きるということになるのだなあと改めて思った次第でした。



  

2015年04月05日



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▲ 宮城県白石市で撮影された桜の中に浮かぶ皆既月食。Daily Mail より。






 




月食の悪魔ラーフが怒るから

昨晩( 4月4日)は、

テトラッドの3回目の皆既月食がやってくる中で何だかいろいろとおかしい : トルコとオランダの大停電、CERNの大型ハドロン衝突型加速器の故障、相次ぐ事故や爆弾予告
 2015年04月01日

という記事などで、これまで何度か記してきましたが、4回連続する皆既月食の3回目が観測された日でした。

その昨日の夜、うちの子どもが、

「あ、今日、4日だよね」

と言いました。

わたし 「何かあるの?」
子ども 「今日、8時過ぎから皆既月食が見られるんだよ」
わたし 「ああ今日か。でも、曇ってるから見えないよ」
子ども 「いちおう見に行こうか」
わたし 「そんなもん見なくていいです」
子ども 「なんで?」
奥さん 「なんで?」
わたし 「それはちょっと話すと長いけど、まあ伝統的な話として」


というわけで、いずれにしても、私の住んでいるあたりは悪天候で見られなかったと思いますけれど、過去記事の「月食を司る不滅の魔神 ラーフ」などにありますように、伝説や伝統的には、「日食や月食の前後の空を直接見ることは不吉」だというようなことが比較的広く言われています。

そんなわけで、「伝統を守りましょう」というような話なんですが、月食をめぐっては、2011年にタイで下のような出来事が起きています。


月食う悪神払え 月食で空中に発砲、タイ各地でけが人
newsclip 2011.12.12

月食となった12月10日の夜、月を食べるとされる悪神ラーフーを追い払うためと、タイ各地で住民が空中に発砲し、落下してきた銃弾で数人がけがをした。

タイ字紙マティチョンによると、東部パタヤ市ではピックアップトラックの荷台から月食を眺めていたホテル従業員の男性の足に銃弾が当たった。中部ナコンナーヨク県では落下してきた銃弾が民家の屋根を突き破り、住人の女性の胸をかすった。



拳銃を空に撃つのは勘弁してほしいですが、「タイ各地で」とありますように、月食のたびに同じようなことが繰り返されている地域もあるようです。

ところで、昨日は皆既月食の空は見なかったのですけれど、ただ、皆既月食の時は、曇っていても「空は赤く染まる」ということを、今日のデイリーメールの写真で知りました。

アメリカのニューヨークも昨日は雲っていたようなんですが、下のように、「月が雲を血の色に染めた」というような写真が掲載されていました。夕焼けのようですが、これは皆既月食で赤く染まった 4月4日の夜のニューヨークの空です。

moon-nyc.jpg
Daily Mail


なお、子どもによれば(どこで見聞きしたのかわからないですが)、桜の満開の時期に皆既月食が起きるというのは珍しいことなのだそうで、次に起きるのは、28年後(これはこちらで確認しましたので本当のようです)だそう。

そして、前回、皆既月食と桜のシーズンが重なったのは 197年前だったと、子どもは言ってましたが、これは確認できないですので、多分、うちの子どもの思い違いか何かだと思います。




いろいろな面で珍しかった4月4日の皆既月食

いずれにしても、桜の満開の時期と皆既月食が重なることは珍しいということで、さらに、今回の皆既月食の少し前には、

スーパームーンと皆既日食が重なった後に続いて「4連続する皆既月食の3回目」の日がユダヤ教の過越祭と共にじきにやって来る
 2015年03月18日

という記事で書きましたように、「1日のうちにスーパームーンと皆既日食が重なる」という比較的珍しいことも起きていますので、

・スーパームーンと皆既日食が重なる
・4回連続する皆既月食
・桜の満開の季節と皆既月食が重なる


というように、いろいろと珍しいことが重なった皆既月食だったようです。

しかも、皆既日食と同じ 4日、太陽では磁気フィラメントからのフレア(爆発)による CME (コロナ質量放出)が発生、という賑やかな天体ショーが続いた日でもありました。

cme-2015-0404.jpg

▲ 2015年4月5日の Spaceweather より。


このフィラメントの爆発は 30万キロメートルに及ぶ巨大なものでしたが、地球方向にはダイレクトではないので、「おそらくは地球への CME の影響は少ないだろうが、今のところはまだよくわからない」とスペースウェザーは記しています。

そういえば、全然関係ないですが、上のほうで、「桜のシーズンと皆既月食が重なる」ことについて書いたのですけど、今年、寒波が続いたアメリカ北東部ですが、それも関係しているのでしょうけれど、首都ワシントンD.C. では、記録がとられて以来、はじめて「3月に桜が開花しなかった」そうです。

cherry-washington-2015.gif
Real Science

皆既月食と桜のシーズンが重なるのは、次は 28年後らしいですが、日本も 28年後に気候が大きく変化して、桜の開花の時期も変わっていたりすることもあるのかもしれません。

まあ、28年後ともなると、桜の存在そのものも含めて、いろいろと激しく変化している可能性の方が大きいような気はしますが。




テトラッドの4回目の皆既月食まであと半年

いずれにしても、2014年4月15日から始まった「4回続く皆既月食」の3回目と、ユダヤ教の過越(すぎこし)祭のシンクロの時期を通過しました。

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▲ 過去記事「赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ」より。


この1年の間に起きた、大量死を伴う事故や、IS やボコ・ハラムなどを含む、多くの犠牲者を出し続けている戦争やテロの数々を思い出しますと、あまり実感はないけれど、「想像以上のものすごい時代の中を生きている」ことに気づきます。

そして、次は、9月13日の部分日食を経て、9月28日に、再び「ユダヤ教と重要祭事と皆既日食がシンクロ」します。

これからの約半年の時期がどんな時期になるかの想像は、やはりできないですが、「何となく事故や、何かに巻き込まれることが起きやすいかも」程度に注意して生活するのも悪くはないのかもしれません。特に海外に行かれる方は。

赤い月・・・といえば、2012年から2014年にかけては、やたらと川や海が赤くなっていたことを思い出します。In Deep の記事を検索してみますと、「赤い海」や「赤い川」関係の記事だけで、10本近くあることがわかります。

オーストラリア・ボンダイビーチ 2012年11月26日
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▲ 2012年11月28日の記事「2012年の「赤」の意味: DNA を持たずに増殖する「赤い雨から採取された細胞」とつながる人間の赤血球」より。


中国 浙江省 温州市 2014年7月25日
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▲ 2014年07月28日の記事「赤い血と赤い月、そして大量の犠牲が続く中で読む…」より。


そして、その後の 2014年から2015年にかけての現在は2年にわたり月が赤くなり続けています。

水…… 夜空…… と来て、次は何が赤くなると考えるといいのでしょうかね。



  

2015年04月03日



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医学は「次の段階」に入ることができるか

昨日の記事、

基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです
 2015年04月02日

の中に書き忘れていましたが、昨日の記事は「西洋医学の否定」ではありません

むしろ、私が感動したのは、

西洋医学の持つ矛盾を、西洋医学の知識により自らでそれを暴き、その矛盾を正せるところにまで辿り着こうとしている西洋医学が存在する。

という点です。

その到着点は東洋医学と似たものかもしれないですが、そこに辿り着いた「過程」が東洋医学とは違うのだと思います。






 



西洋医学は、解剖の歴史などからも、「人間の各部を機械の部品のようにバラバラして探求してきた」という歴史があります。そういう意味では「人間というひとつの生命体として全体的に見ることについての考えは欠落していた」という面はあるかもしれません。

そして、医学や生物学は次第に、細胞だとか、遺伝子だとかさえもバラバラに調べるまでに進んできて、医学も生物学も「極限まで進んだ」というような感覚はあったのかもしれませんが、そこで優秀な医師たちに見えてきたものが、

「壁」

であり、そして、

「途方もないほど緻密で優れている人体の仕組み」

であったような気がします。

人間の体をどこまで細かく調べていっても、そこには「まるで何もない」かのようにゴールは見えない。

西洋医学の起源は、たとえば、手術や対症療法などに見るように「人間の治癒を、機械を修理するようにおこなう」ことにあったような気もします。

つまり、悪い部分は切除したり、痛みがあれば、薬などで痛みを感じるシステムを遮断する。血圧が高いなら降圧剤で下げる、というように、「悪い部分に対抗する」という医学だったように思います。

それは、「人体はもともと弱いものなので、外部の力(薬など)で補佐してあげなければならない」という思想とも言えます。

そこには、異常なほど発達した人間の持つ自己免疫システムの存在への概念が欠如していたようにも思います。

そして、最近になって、お医者さんたちの中のいくばくかの方々は「悪い部分に対抗する」という治療法ではなく、

人間自身の自分の力で治すことを補佐する。

という方法論に気づきだしているのだと思います。

最近、これまでの西洋医学の方法に限界を感じている医師の方々も多いと聞きますが、そのような方々は、東洋医学やアーユルヴェーダといった思想、あるいは、音叉療法など、それまでオカルトだとさえ言われていたような方法論を治療に積極的に取り入れている状況をよく見聞きすることがあります。

そして、この今の状況が「医学の分岐点」になるのではないかとも思います。
どちらの方法論が主流になっていくか。




医学も物理学も進めば進むほど「存在」に突き当たる

少し話は逸れますが、医学と物理学の「進み方」には似た部分を感じます。

つまり、「突きつめれば突きつめるほど、そこに巨大な存在(のようなもの)があることがわかってくる」ということです。

たとえば、

聖書 vs 日月神示:「神の怒り」と「地獄」は存在するのかしないのか? 「宇宙の知性」の真意を知りたくて
 2015年03月20日

という記事では、アメリカの物理学者ミチオ・カクさんの『パラレル・ワールド』 の記述を紹介していますが、以下のような下りがあります。


私をはじめ一部の物理学者が考えているように、いずれ現実世界を支配する究極の法則が式一本で表せたとしても、次にはこんな疑問がわく。

「この式はどこから得られたのか?」



あるいは、1981年に宇宙のインフレーション理論、つまりビッグバン理論の礎となる理論を発表したアラン・グースというアメリカの宇宙物理学者は、1997年の『なぜビッグバンは起こったのか―インフレーション理論が解明した宇宙の起源』という本の中で、


宇宙の創造が量子過程で記述できれば、一つの深い謎が残る。何が物理法則を決定したのか。


と述べています。

「この式はどこから得られたのか?」
「何が物理法則を決定したのか?」


このふたつはまったく同じ疑問であって、これが物理学の「壁」です。

優秀な物理学者になればなるほど、突きつめた先の「壁」あるいは「存在」と対峙しなければいけなくなる。

フレッド・ホイル博士は、晩年の著作の中で、これを「宇宙の知性」という表現であらわしていました。そして、フレッド・ホイル博士は同時に、

「人間という存在自体の不思議さ」

を、晩年になって、さらに強く感じているようでした。

これは、医学においても同じでしょうが、人間を考えていくと、そこにも突きつめて研究が進めば進むほど、「壁」とか「存在」が現れます。

「こんな精緻な人体と能力を持つ人間とは一体、なにものなのだ?」

これについては、フレッド・ホイル博士の著作『生命(DNA)は宇宙を流れる』の中に興味深い記述があります。

それは、ダーウィンと同じ頃に、ダーウィンと同じような「自然淘汰による進化論」を唱えた生物学者のアルフレッド・ラッセル・ウォレス(1823 - 1913年)の著作の記述を抜粋している箇所です。

ウォレスが、自分は自然淘汰による進化論の強力な推進者で、「人間は動物からの進化の最終段階で登場した」と確信しているにも関わらず、自身で、「生存競争(自然淘汰)と関係のない数学的能力や、芸術的能力などを人類が持つに至った理由や、その能力には人それぞれ著しく差がある理由は何か?」ということに考えこんでいる記述でした。

フレッド・ホイル博士の記述を抜粋します。


フレッド・ホイル『生命( DNA )は宇宙を流れる』より

ウォレスを悩ませた問題が、読者諸氏にも見えてきただろうか? しつこいほど提出される具体例の背後には、進化の先端にいるとされるヒトが、他の動物とは明らかに異質な「人間らしい」能力を獲得するに至った過程が、自然淘汰では説明できないということに対するウォレスの当惑があるのだ。

動物としての能力は、生存競争に直接かかわってくるため、これを備えていない人間はいない。

これに対して、数学的能力も、絵画的能力、音楽的能力も、ヒトが動物的な意味で生きてゆくうえで何ら本質的な能力ではないから、自然淘汰とは関係ない。

もし、人間の高い能力が、それらを用いたり必要としたりする前に突然変異として現れたのだとしても、自然淘汰の過程で選ばれ、人間という種を特徴づけるような能力になることはありえない。

これらの「非ダーウィン的」な能力が、未来の必要性を見越して生じたのだとすれば、それらは、はるかに高所にある知能が、人類の発展をある一定の方向に、そして特別の目標に向かって導くために直接、作り出したものであるとしか考えられない。

われわれが存在しているということ自体が、コズミック・インテリジェンスの存在を暗示しているのだ。



そして、巻末では、次のように記しています。


人類を他の動物と区別する最も大きな特徴は、自らの起源と究極的な運命を知りたいという切実な願いを持っていることだとも言える。現在までに現れたあらゆる宗教は、われわれがそのために生き、そして死ぬための究極の目標を探そうとする努力、あるいはすべての生き物を作った創造主を知ろうとする努力と見ることができるだろう。

これらの基本的な宗教的な願いは、われわれ科学者が宇宙を理解し、生命の起源を知ろうとする合理的な努力に受け継がれている。(略)

生物にこんな意識を持たせるのは、遺伝子のはたらきである。ひょっとすると、その「存在」が、われわれの部品を創造するにあたって、自らの起源についての真実を本能的に悟るように、遺伝子に細工しておいたのかもしれない。



ちょっと引用が長くなりましたが、晩年のホイル博士は、「私たち人類は、巨大な知性に創造された」と考えるようになっていたようです。

あるいは、ホイル博士の、

> その「存在」が、遺伝子に細工しておいたのかもしれない。

という記述で思い出すのは、1967年にノーベル生物学・医学賞を受賞したジョージ・ワルドという生物学者の次の言葉です。


宇宙の原子は、物理学者がいなければみじめなものだろう。そして物理学者もまた原子でできている。物理学者は、原子が原子について知るための手段なのである。


この、

> そして物理学者もまた原子でできている。

というのは、インパクトのある表現で、その「原子でできた物理学者」が「原子を調べている」というのが物理学というものだと。

wald.jpg
・ジョージ・ワルド氏(1906年 - 1997年)peoples

物理学の研究も、突きつめて突きつめたところで「存在」が登場して、たとえば、ホイル博士は、むしろ反キリスト的な考えをずっと持っていたわけですが、ついには「創造主の存在」までを確信する。

医学も似たような感じで、人体の仕組を突きつめて突きつめていくと、そこにも「存在」が登場しそうな感じがある。別の言葉でいえば、「人間の中にも創造主の意図を感じる」というような。





分岐点にあるかもしれない現代医療

何だか話がずれてしまいましたが、医学に話を戻しますと、これからの医学が、この「壁」や「存在」を認識するような方向、つまり、

創造主が作った人間の体は宇宙で最高の作品であり、人間は自分自身の中にある力で多くを治癒することができる。

という基本発想を医学が獲得すれば、ずいぶんと違ったものになっていくのではないでしょうか。

検査などに関しては、進化しようがないほど進化はしているのですから。

たとえば、現代医学での医療機器は、中には不要なものもありそうですが、私自身は、内視鏡にしても、 CT や MRI にしても、便利な医療機器だと思います。

今の世の中は、特に体に悪いことをせずとも、普通に暮らして普通に売られているものを食べているだけでも、誰でもいろいろな病気になる可能性の高い時代です。

なので、病気なのかどうなのかビクビクしているより、何か調子が悪いのでしたら、今のように気軽に検査できる時代は便利だと思います。病気そのものはどうしても存在しているのですから、病気になってしまった場合に、西洋医学式の検査をおこなうことは理に適っていると思います。

問題は「病気が見つかった後の対処」です。

それが今までの「ほとんどが投薬オンリーの治療」の路線のままでは、もはやいけないところにまで来ていると思うのです。

これらの面において、この数十年以上おこなわれていたような、投薬と手術が主体の「取り除いたり、対抗しようとしたりする医療」がメインの状態から、人間の自己治癒能力を高める方向の治療へシフトできれば、もちろん、それだけでは治らない病気はたくさんあるでしょうけれど、それでも、少しでもそうなれば、今のような過度な薬漬けの高齢者ばかりのような状態の社会から、ほんの少しでも抜け出せるのではないでしょうか。

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今後、認知症はさらに増加する

私は、「認知症の増加」と「薬漬けの高齢者たち」の関係性は「ある」と、以前から思っていましたが、昨日の記事でご紹介した「なぜ、薬は体に悪いのか?」という中に、


アメリカには、「抗アセチルコリン剤を継続的に服用している高齢者の8割に、軽度の認知障害が認められる」との報告があります。


という記述があり、この抗アセチルコリン剤(抗コリン作用薬)については、医療サイト Med エッジに以下の記事があります。


風邪や花粉症など、身近な薬がアルツハイマー病を増やす、飲むほど影響、米国グループ報告


米国シアトルのワシントン大学を中心とする研究グループが、内科分野の国際誌であるジャマ(JAMA)インターナル・メディシン誌オンライン版で、2015年1月26日に報告した。

問題になるのは、抗コリン作用を持つ薬だ。抗コリン作用を持つ薬剤は多く、総合感冒薬や鼻炎薬、胃腸薬、一部の抗精神病薬、抗うつ薬などが知られている。

研究グループは、抗コリン作用薬を使った蓄積と認知症リスクの関連を明らかにする研究をより大規模に行った。

研究開始時に認知症がなかった65歳以上の参加者3434人を対象に、2年ごとに状況を調査、平均7.3年間の追跡を行った。追跡したところ、参加者のうち2割強が認知症を発症。認知症の8割はアルツハイマー病だった。

認知症およびアルツハイマー病の発症と、抗コリン作用薬の使用状況の関係を調べたところ、抗コリン作用薬を長期間にわたって多く使用するほど認知症のリスクが増していた。



抗アセチルコリン剤には、普通のカゼ薬なんかも含まれますが、「どの程度使用したら危険なのか」ということに関しては、何と、

1年間当たり9日くらい関係した薬を飲むとしたら注意した方がいいだろう。風邪薬のほか、アレルギーで鼻炎の薬を使ったりすると長期に及ぶこともありそうで一般の人でも関係はありそうだ。

とあり、「1年間のうちに9日で注意」というほどの影響なのです。

繰り返しますけど、単なるカゼ薬や、単なる鼻炎薬ですよ。

1年間で9日くらい使う人はものすごくたくさんいそうな気もするのですが。
それだけで、認知症リスクが高まる。

今の時代の認知症の多さの原因のひとつに「薬を安易に処方し過ぎる」という現在の医療の方法が関係していることは否めないのではないでしょうか。

過去記事で記したことがありますが、アメリカでアルツハイマー病が異常に多いのも、日本以上に薬漬けの傾向がありそうな国だからかもと思ったりもします。

世界のアルツハイマー病等の患者数の推移
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アルツハイマー病とは?

そして、やはり過去記事で、世界中でうつ病患者が劇的に増えていることをご紹介したことがありますが、抗うつ剤の一部を含めて、メンタル系の薬は多くが抗アセチルコリン剤です。

つまり、メンタル系の薬剤の多くが、昨日の記事でいう「人間の自己免疫能力」を下げ、さきほどのアメリカでの研究のように「認知症に結びつく」タイプの薬です、

私も若い頃かなりの期間、継続的に服用していたので、完全な危険予備軍だと思われます。

そして、抗うつ剤もそうですが、メンタル系の薬の大きな問題が、

・長期間に渡り
・大量に服用する


という傾向が極めて強いということです。

そして、抗うつ剤に関していえば、何よりも「抗うつ剤でうつ病が治ったという話を聞くことがない」ということが問題のように思います。治らないのに、あるいは、治らないから「永遠のように薬を服用し続ける」ことになってしまう。

メンタル系の薬は 10年、20年飲み続けている人はいくらでもいると思います。

うつ病に関しては、すべての患者がそうだというわけではないですが、うつ病は「作られた病気」であるという側面も強く、それは、新しい抗うつ剤が発売されるたびにうつ病患者が増えるという奇妙な現象を見てもわかります。

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抗うつ剤とうつ病患者

どんな病気であっても、効果的な新薬が発売されたのなら、「その病気は減っていく」のが普通なのに、抗うつ剤とうつ病患者の関係は、上のように「共に増えていく」となっています。

ガンにもこのような「相互増加」の関係は見られます。

いずれにしても、現在、薬漬け状態の人が非常に多いことと、アメリカの研究を見た限りでは、今後さらに「認知症とその予備軍」の人たちが次々と出てくることになりそうです。

そういえば、私の両親などは、そろそろ 80歳も近いですが、認知症の気配がまったくありません。それは本当にありがたいことなのですが、考えてみると、ふたり共「常用している薬がない」のでした。

健康食品は結構採っていますが、長期に服用している西洋薬はないです。

それにしても、今後、認知症が増えていくのだとしたら……と思いまして、唐突な感じがしますが、認知症というか、物忘れに関して、

物忘れに実際に効果のあった私の家での体験談

シュタイナーが講演で語った「物忘れを防ぐ方法」

をそれぞれ記しておきたいと思います。

どちらも、ある程度は実際的なものだと思います。
私の体験談は大したものではないながらも、知って良かったと思えるものです。



物忘れがひどくなった時に

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実は、私ではなく、うちの奥さんが昨年あたりから、どうもひどく物忘れをするようになりました。

彼女は私より 10歳ほど年下ですから、まだ 40代前半で、いくら何でも認知症にはちょっと早いとは思うのですが、仕事でも、忘れて結構大きなミスをするようなことがあるほどだったのです。

最近は若年性の認知症の話もよく聞きますし(若年性も薬が関係していそう)、あと、うちの奥さんは鼻関係が良くなかったり、花粉症だったりで、耳鼻科系の薬を飲むことが多く、今思えば、それらの薬は抗アセチルコリン剤ですから、関係あるのかないのかわからないですが、とにかく物忘れが顕著になってきていたのですね。

「あんまりひどいようなら、専門の病院で見てもらう?」とかいう話も出ていたほどだったんですが、昨年の、いつ頃か覚えていないのですが、夕食の時、子どもがテレビをつけましたら、健康番組をやっていました。

昨年のことで、番組名も覚えていないですが、それがちょうど「認知症」に関しての番組でした。

検索しましたら、こちらのブログの記事にあるものが、それと同じ番組かどうかはわからないですが、方法が同じです。

番組では、現場で認知症の治療に当たっている医師の方が出ていて、その方が、

「これが一番効果がありました」

という治療法が紹介されていました。

それは、どんな治療法かというと、

眠る前に、エッセンシャル・オイル(精油)をディフューザーで噴霧させる。

というだけのものだったのです。

ディフューザーというのは噴霧器のようなもので、アロマオイル用に売られています。
つまり、「香りで治す」というものです。

番組では実際の治療効果を数値などでも示していましたが、確かに効果があるようです。

同時に、私はそれを見た時に、7年くらい前に見た記事を思い出したのです。


イスラエルの研究者:特定のにおいは脳に刻まれて消えない
大紀元 2009.11.09

イスラエルのワイツマン科学研究所のYaara Yeshurun氏が、科学誌「カレント・バイオロジー」で発表した論文によると、初めて認知する物体とそのにおいとの関係性は、人間の脳に非常に深い印象を残す。(略)

そのほか、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の実験も行なわれた。提示された物のにおいの変化に対して、人間の脳の海馬(かいば)と扁桃体(へんとうたい)という記憶や感情に関わる器官は、においに直ちに反応を示すが、音の変化に対しては全く反応しないという結果が示された。

においと記憶には密接な関係があり、五感の中で嗅覚だけが海馬や扁桃体と直結しているそうだ。においが記憶力を高める鍵になるということか。



この記事の、

> においと記憶には密接な関係があり、五感の中で嗅覚だけが海馬や扁桃体と直結している

という部分を思い出したのです。

匂いが脳の海馬と直結しているのなら、記憶障害などに効果があるのも納得できます。

「この方法行けるかもしれないね」

と、私は翌日、ディフューザーを買いまして、番組で紹介されていた通りの配合で、眠る前にエッセンシャル・オイルをディフューザーに入れて眠るようにしたのでした。

テレビでは「昼の香」と「夜の香」とわけられていましたが、昼は家にいないので、夜だけです。

配合は、「ラベンダーとオレンジを2:1の割合でブレンド」ですが、まあ適当にやっています。ラベンダーを何滴か、オレンジを何滴か、というような感じです。

そして、もうどのくらいやっているかわからないですが、半年以上は、毎日やっていると思いますが、その結果、

奥さんの物忘れが「ほぼ完全に治った」

のです。

どのくらいの期間で効果が出てきたとかはわからないですが、本人も「物忘れを本当にしなくなって嬉しい」と言っています。

もちろん、今後もずっと続けると思いますが、「匂いは脳を刺激する」という原則が大事なだけで、オイルの種類はそんなに厳密でなくとも、本人が「いい匂い」だと思うものでいいと思います。

この「海馬と香りの関係」を突き止めたのも、明らかな西洋医学であり、この場合は、その対応として「人間が自分で改善していく手助けをする治療法」という意味では、上のほうで書きました中の「理想的な治療法」のひとつだと思います。

もちろん、効果があるかないかは人にもよるとは思いますが。

ちなみに、大事なこととして、使うのは「精油」と書かれた、100%純粋ななエッセンシャル・オイルでなければいけません。100円ショップなどにあるようなものは、人工的に香りを作っているもので、精油ではありません。人工的に香りがつけられているようなものは、すべてこのような治癒で使うものではありません。

でも、今ではヤフオクとか、あるいは Amazon などでも、純粋なエッセンシャル・オイルが、かなり安い価格で提供されていますので、そんなに負担になるものでもないと思います。オレンジやラベンダーなら数百円からあります。

ちなみに、エッセンシャル・オイルの中には、フランキンセンスというような、人間の自己治癒能力を高めると言われているものなどもあり、なんだかんだと、私は 10種類ほど常備していますが、まあ、効果はともかく、悪いものではないですよ。

認知に不安のある方は「良い香りは脳を直接刺激する」という原則を思い出して、なるべく自分にとって気持ちのいい匂いの中で生活するということをするというだけで、かなり改善される可能性があると思います。

これはオカルトではなく、西洋医学が「脳の研究」で見出した最先端医学だといっていいと思います。




シュタイナーによる「物忘れをなくす方法」

以前買っていた読んでいなかった本に、ルドルフ・シュタイナーの『人間の四つの気質―日常生活のなかの精神科学』というものがあります。

これは、1900年代初頭におこなわれた、いくつかの講演の内容をまとめたものです。

買おうと思ったのは、目次がちょっと面白かったんです。

シュタイナーというと、難解なイメージがありますが、目次には、

「もの忘れを直す方法」

とか、

「なぜ服を着るか」

とか、

「何を食べるとよいか」

など、日常生活と密接に関係したことが述べられているのです。

その中に「神経質」(今でいう神経症のことだと思います)の治療のためのセクションの部分に、「物忘れを治す方法」が書かれてあるのです。

具体的に書かれている部分だけを一部抜粋します。




もの忘れを直す方法
ルドルフ・シュタイナー
1912年1月11日 ドイツ・ミュンヘンでの講演

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自分がもの忘れをすることに気づいた人が、もの忘れを治すためには、まず「必要なものを、私はいろいろな場所に置くことにしよう」と思うのです。そして、「私はそれをここに置いた。その周囲の様子や形や色をイメージして覚えておくように努めよう」と考えながら、そのものを置くのです。

安全ピンをテーブルの角に置くとします。「私はこのピンを、この角に置く。そして、ピンが置かれたテーブルの角を、イメージとして心に刻印づけよう」と考えながら、ピンを置きます。そうして、落ち着いて立ち去ります。一度行っただけでは、すべてのものをすぐに見つけられるようにはならないでしょう。

しかし、そのように考えながらものを置くことを、習慣のようにしばしば行うなら、もの忘れは次第になくなっていきます。

「私はピンをここに置く」としっかり考えて、自我を自分の行いと結び付け、さらにイメージを付け加えます。思考における明瞭なイメージ。自分の行いのイメージ表象、自分の行為を、自分の精神的 − 心魂的な核、つまり自我と結びつけるのです。そうすると、私たちの記憶力は根本的に強くなります。

ものを置くときに、このように思考する習慣が付くと、それだけで、エーテル体(生命体)の力が呼び出されます。このような習慣をとおして、人間のエーテル体はますます強化されていきます。私たちは人智学をとおして、「エーテル体はある意味で記憶の担い手である」と、学びます。





ここまでです。

この場合は「見えている状態と、それをおこなっている自分を客観的に把握する」というようなことになりますでしょうかね。

つまり、何をおこなう時でも「意識して行動する」ということを言っているかもしれません。確かに、何かするたびに、その行動に注意をしていると、そのことを忘れることはなさそうですが、なかなか大変な日常にもなりそうです。

シュタイナーは「自分自身を客観的に見ることの重要性」をよく語りますから、その関連ともいえるかもしれません。

それにしても、何だかものすごい長い記事になってしまってすみません。
気づいたら、こんなに書き続けておりました。



  

2015年04月02日



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散歩の途中で見かけた冊子

今年2月に長いこと、めまいに見舞われていたのですけれど、これは結構いい機会だったんですね。

それまであまり真剣に調べなかった「めまいというものの本質」を知ることができたり、あるいは、「首」というものの重要性や、「人間本来の生活とはどんなものだったのか」というようなことも考えさせてくれることになりました。

「人間本来の生活」というのは大げさですが、要するに、本来の人間は動く生き物だということで、最近の私は動かなすぎだったということはあります。

東京の西荻窪にいた頃は散歩が好きで、長い時には3時間くらい散歩していました。

西荻窪から吉祥寺のあたりは、「些細なカオス」がいたるところに散らばっていて、毎日散歩しても飽きなかったのですけど、ところが、所沢に越してきてから、どうも散歩をしていなかったのですね。

理由は明白で、「散歩しても見るものがない」のです(苦笑)。

しかし、ちょっとしたキッカケで最近、また散歩を始めています。

それは3月の始め頃、隣の駅にある脳神経外科の先生と話していた時からでした。

めまいの相談に行っているのに、

「毎日、ラジオ体操をして、散歩してみて下さい」

と言われたのです。

それは冗談ではなく、それでめまいが改善した人がいくらでもいると言うのです。それで、ラジオ体操を1日2回始めましたら、数日でめまいが引いていって、それから散歩も少しずつおこなうようになりました。

ちなみに、この脳神経外科の先生から、私は「行動」ということに対して、大変感銘を受けさせていただいた人であり、名医なのかどうかは私にはわからないですが、とても好きな先生のひとりです。

それは、昨年はじめて行った際に、つまり初診の時なんですが、私が診察室に入った時に、その先生は、「よろしくお願いいたします」と言って椅子から立ち上がって、手を前に置いて、深々と私にお辞儀をしたのです。

私は、患者に対して「立ち上がってお辞儀をしたお医者さん」を見たことがありませんでした。多分、初診の患者さんには皆さんにやっているのだと思いますが、これは意識していても、なかなかできるものではないと思います。

その姿を見まして、「お辞儀っていいものだなあ」と再認識しまして、私もお辞儀をする時はきちんとしよう、と、その体験から心がけています。

まあ、そんなわけで、最近は散歩を2日に1度くらいはしているのですが、「何も見るものがない」と思っていた風景も、よく見ればいろいろとあるものです。

今日は、近所に何本かある桜の木を見ようと歩いていました。

もうこのあたりでは、満開を少し過ぎたくらいの感じで、見事な桜の姿があちこちで見られます。

でも、意外と桜の木を眺めている人っていないもので、そんなこともあり、本当はボケーッと突っ立って見続けたいのですが、それもかなわず、「歩いていたら、こんな所に桜が」というような演技をしながら、桜を見て帰ってきたのですが、近所の本屋さんの外の雑誌が並べてあるコーナーがふと目に入りました。

ふだんは、その本屋の棚を見るということはないのですが、何となく目にしたところにあったのは、健康系の冊子でした。『爽快』とか、あっち系の健康雑誌のムックだと思うのですが、『免疫を高めると病気は勝手に治る』というものでした。

別に立ち読みをするでもなく、しかも、そんなに安い本ではないのですが、何となくそのまま買ってしまったのでした。

「なんでオレはこんなもん買ってるんだろ」

と思っていましたが、最近の「健康調べ癖」が影響していたのかもしれません。




「薬をやめなさい」という西洋医学の方向があったのですね

これは、新潟大学名誉教授の安保徹さんという方が監修されていて、日本自律神経免疫治療研究会に所属の医師の方々が執筆されているもので、つまり、完全な「西洋医学の本」なのですが、ちょっと読みますと、この本の主旨は、

「すべての薬をやめること」

の方向で書かれているものだったのです。

いろいろな記事があるのですが、その中に、高木智司さんという神経内科が専門のお医者さんが書かれた、「なぜ、薬は体に悪いのか? マクロファージとアセチルコリンに注目したら、その理由が判明」という記事があり、それを読みまして、はじめて私は、

基本的にすべての薬は人間の自己治癒力を弱めている

ことを知ったのでした。

今回は、その部分を抜粋してご紹介したいと思います。

決してわかりやすい記述ではないのですが、そこには、人間が本来持っている自己免疫力が「薬によって破壊されるシステム」が、書かれています。

これを、簡単に私の言葉で書きますと、

西洋医学の薬の作用は、「症状を出している原因の経路を遮断する」という方向にあり、これは確かに症状に効果はあっても、人間の自己免疫を促すシステムも「遮断」してしまう。

と理解しています。

本当に目からウナギが落ちるような(恐いわ)、いや、目からウサギが落ちるというか(もっと恐いわ)、まあ何が落ちてきてもいいんですが、西洋薬の「原因の遮断」という方向が、「自己免疫能力の遮断」と結びついていたということを知ったことは相当自分の人生に影響を与えそうです。

なお、専門用語がたくさん出てきます。

その中でも、理解しておかないとわかりにくいものを Wikipedia などからの説明で記しておきたいと思います。

アセチルコリン

アセチルコリンは神経伝達物質である。副交感神経や運動神経の末端から放出され、神経刺激を伝える。

抗アセチルコリン薬(抗コリン薬)

アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを阻害する薬物のことである。抗コリン作動薬とも呼ばれる。この抗コリン作用によって副交感神経が抑制される。

この抗アセチルコリン薬が、人間の自己免疫システムの妨害をしているという主旨ですが、抗アセチルコリン薬というのが、どのくらいの薬の範囲にわたっているかといいますと、まず、抗ヒスタミン薬、つまり、

・かぜ薬全般
・花粉症などのアレルギーの諸症状を緩和する薬
・睡眠改善薬
・乗り物酔いの薬


さらに、

・多くの抗うつ剤(三環系抗うつ剤)、
・不安症やパニック障害等に処方される精神安定薬の多く(ベンゾジアゼピン系)
・胃腸鎮痙薬
・抗精神病薬
・パーキンソン病の薬


と、非常に多くの薬が、この抗アセチルコリン薬といえるわけで、これらが「人間の自己免疫能力を低下させる」のだそうです。

簡単にいえば、「かぜを治すためにかぜ薬を飲んでいること自体が、かぜの治りを遅くしている」と言ってもいいのかもしれないのです。

あと、マクロファージも記しておきます。

マクロファージ

マクロファージは白血球の1種。生体内をアメーバ様運動する遊走性の食細胞で、死んだ細胞やその破片、体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を捕食して消化し、清掃屋の役割を果たす。とくに、外傷や炎症の際に活発である。また抗原提示細胞でもある。

免疫系の一部を担い、免疫機能の中心的役割を担っている。

本来は、人間の体はこのマクロファージの働きで、ほとんどの病気は「自己免疫で治癒していく」のが、薬によって妨げられているというのです。

つまり、「薬を飲めば飲むほど、人間の免疫能力は落ち、病気は深刻化していく」ということです。

確かに、現在の日本や主要国の現状、つまり、高齢者で薬を服用していない人はほとんどいないというような現状を見ますと、現在の「不健全な高齢化社会」になってしまった理由がわかる気がします。

その高木智司医師の文章の一部を抜粋します。

実際には非常に長いものですが、


私たちの情報伝達システムは生命の存続を基盤に、いっさいの隙なく設計されています。生命の存続に最も重要な自然治癒力は、マクロファージとアセチルコリンという、動物進化を支えた絶対的な力で守られています。


ということを前提にして、後半部分を抜粋してみたいと思います。

太字の部分は、実際に本の中でも強調されていた部分です。




なぜ、薬は体に悪いのか? マクロファージとアセチルコリンに注目したら、その理由が判明 より
高木智司

西洋薬はアセチルコリンの作用を阻害するから治せない

マクロファージとアセチルコリンに注目してわかったのが、現代医学の根本的な矛盾でした。それも単純明快な話です。西洋薬の大部分が、神経伝達によって最終的にアセチルコリンの作用を阻害するから、病気が治らないのです。

しかも、アセチルコリンの働きは実に多様です。細胞膜の重要な成分として膜の機能を調整しているし、脳では体の日内リズムの形成や記憶、感情などを司る働きもしています。

アメリカには、「抗アセチルコリン剤を継続的に服用している高齢者の8割に、軽度の認知障害が認められる」との報告があります。これは、弊害のひとつに過ぎません。抗アセチルコリン剤の常用は老化を促進し、脂肪肝、腎臓の壊死、動脈硬化、脳出血、うつ病、統合失調症、発達障害などの発症リスクを高める事実を知るべきでしょう

そして、さらなる危険をはらんでいるのが、医学の行き詰まりを打開する新薬として注目される、分子標的治療薬です。それも、分子標的薬の多くがマクロファージの働きを阻害する目的で開発されているからです。

その理由は、マクロファージが血管を新生し、炎症やガンの成長を促進し、病状を重くするからだそうですが、それは大いに疑問です。

マクロファージが免疫細胞として処理しているのは、主に老廃物や、古くなった細胞です。炎症は代謝の亢進反応ですから、老廃物がふえますし、ガン細胞も新陳代謝を繰り返しながら成長します。

ですから、マクロファージが集まってくるのは当然ですし、そのマクロファージが血管を作るのも、老廃物や老化したガン細胞の処理能力を高めるためでしょう。

このように、マクロファージが引き起こす反応にはすべて意味があります。しかも、それらはすべて自分の分身、さらにいえば自分自身を守るための反応だからこそ、間違いはありえなかったのです。その大原則を理解してほしいと思います。





ここまでです。

ところで、これを書かれた高木医師は神経内科が専門ですので、他のページの記事に「抗うつ剤」のことについて書いていまして、そこにはこのようにありました。


抗うつ剤は、まだ使われ始めて 20年ほどの歴史しかないため、未解明な点が多い薬です。最も心配なのは、副作用。例えば、未成年では自殺リスクが2倍に高まり、暴力性は平均 8.4倍高まるとされています。自動車事故の危険性が 70%高まるという報告もあります。

薬をやめようとすると、めまいや知覚障害といった、離脱症状が現れるため、薬漬けになる人が少なくありません。さらに問題なのは、抗うつ剤の危険性が、医師にすら十分に認知されていない点です。

近年では、専門外の医師が、深く考えずに抗うつ剤を処方することもあります。



と書かれていましたが、

> 暴力性は平均 8.4倍高まる

これは驚きましたね。

「ほんまかいな」と思い、調べてみましたら、「抗うつ剤が原因の暴力と自殺についてのアメリカ食品医薬品局( FDA )の報告」というタイトルの記事がありました。

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Violence and Suicide Caused by Antidepressants Report to the FDA

今から、11年前にこんな報告があったのですね。

そして、それ以来、さらに爆発的に伸び続けている抗うつ剤市場。

抗うつ剤市場規模の推移
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シーマ・サイエンスジャーナル ai Report2011 抗うつ剤

2004年からだけでも、抗うつ剤の市場規模は倍にはなっています。
何だかもう・・・ダメだなこりゃ。

しかし、私は上の「薬が自己免疫を低下させる」という文章を読んで、本当に腑に落ちた部分があるのです。

私は若い時にパニック障害で、結構な期間、薬を飲んでいました。

それは上にもあるベンゾジアゼピン系といわれるもので、不安神経症やパニック障害の人たちに最も多く処方される「定番」の薬です(私が服用していたのはレキソタンという薬)。

その一覧は、ベンゾジアゼピンの一覧にありますが、多分、この中のどれかを服用した経験のある方は非常に多いと思います。普通の内科でも処方されることも多いです。

これが「抗アセチルコリン薬」だと、今回初めて知ったのですが、確かに薬を服用していた時には、まずはカゼを引きやすい。

そして、原因不明の体調不良が多い、などをたくさん経験しました。
今の年齢で原因不明の体調不良ならわかりますが、その頃はまだ 20代前半ですからね。

そして、30代の前半には、深刻な原因不明の微熱と体調不良に数ヶ月ほど陥ったこともありますが、今思うと、あれも・・・。

もちろん、すべての薬が抗アセチルコリン薬ではないですので、タイトルの「すべての」という表現は間違っていますが、「ほとんど」とは言えると思います。

そして、この高木医師の書いていることは、この本の監修でもある「日本自律神経免疫治療研究会」に所属している医師たちの共通認識だと思われます。

薬漬けは良くないよなあ・・・と、何となくは誰でも思っているわけですけれど、具体的な論拠を知らなかったですので、「それでも薬は効くこともあるし」というようなとらえ方をしていました。

しかし、どんな薬でも、長期的な服用は「必ず悪い方向に行く」ということがわかった気がします。

もちろん、緊急に服用しなければならないような薬はともかく、「薬を飲む機会を減らしていく」ということは大事なことなんだと始めて理論的に知ることができました。