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2015年09月19日



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植物を食べて永久に走る偵察車 … ホログラム的カメラ … 虫のスパイ … :アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)の前衛的な研究も次第に「戦争の雰囲気の時代」と同調し始めて



DARPAの資金提供で開発された史上最強の輸送ロボ「ビッグドッグ」
BigDog_Snow.jpg
BigDog






 

新約聖書「マタイによる福音書」 24章 6-8節

戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。

民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉や地震が起こる。

しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりである。




混乱の雰囲気が漂う中、淡々とプロジェクトを進める DARPA

アメリカ軍が使用する装置やシステムなどの技術開発と研究を行うアメリカ国防総省の機関に「アメリカ国防高等研究計画局( DARPA / ダーパ)」というものがあります。

ダーパは、「インターネットの原型」や「全地球測位システム( GPS )」を開発した部署でもある優秀な機関でもあります。

このダーパの研究は、いつでも興味深いものが多く、In Deep でも過去何度も取りあげたことがあります。


アメリカ国防総省が『時間を止める装置』を開発
 2012年01月06日


という記事では、ダーパが資金提供をしている研究機関が、原理はよくわからないものでしたが、『タイム・クローク』という「時間を隠す装置」の開発を続けていることをご紹介しました。

また、


アメリカが「国家機密扱いの人口衛星」を搭載したロケット「アトラス5」を宇宙に向けて発射
 2014年05月29日


という記事では X-37 という「飛ばす目的が一切発表されないし、軌道上で何をおこなっているかも公表されていないスペースブレーン」のことを取りあげましたが、これを主導しているのもダーパです。

下が X-37 打ち上げ前の写真ですが、搭乗員の格好は、ほとんど宇宙服で、それなりに高所の宇宙空間まで行くものかもしれないことを伺わせます。


x37b-space-plane-endurance-record-2.jpg
space.com


それと、

エドワード・スノーデン氏かく語りき : 「地球の地下マントルには現生人類よりさらに知的な生命が存在している」
 2013年07月10日


という記事では、エドワード・スノーデンさんが、以下のような証言をしたことにふれていて、ここにダーパの名前が出てきます。



snowden-s5.jpg

「弾道ミサイル追跡システムと深海のソナーは国家機密として保持されているために、科学者たちはそのデータにアクセスすることはできません。しかし、 DARPA (アメリカ国防高等研究計画局)の関係者たちのほとんどは、地球のマントルに、ホモ・サピエンス(現生人類)よりもさらに知的な人類種が存在していることを確信しています」


こういう系の話にまで出て来るダーパですが、今回は、最近の記事ではないですが、「アメリカ国防高等研究計画局が取り組んでいる9つの奇妙なプロジェクト」というタイトルの米国ビジネス・インサイダーの記事をご紹介したいと思います。

ブレードランナーに出てきたような「撮影時に写っていないものを、撮影後に見られるカメラ」だとか、「植物を食べて燃料にして走り続ける偵察車両」とか、相変わらず、いろいろなものを研究、あるいは実際に作っています。

この記事を今ご紹介しようと思ったの理由としては、冒頭のマタイによる福音書にある、


> 戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。


という言葉を思い出したこともあります。

最近は、どこもかしこも、かつてないほど戦争や衝突の空気が増しているような感じもありますが、その中で、この記事をご紹介しようと思いました。

軍事や戦略が好きな人には、単純に興味深い記事だとも思います。

いくつかの項目では、専門用語や背景などに対して、かなり個人的な考えに及ぶ「訳者注」が入っていますが、ご了承下さい。

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The 9 weirdest projects DARPA is working on
Business Insider 2015.04.09


アメリカ国防高等研究計画局( DARPA )が取り組んでいる9つの奇妙なプロジェクト


アメリカ国防高等研究計画局( DARPA )は、いくつかの非常に異様なプロジェクトに取り組んでいる。

その定められた任務目標のひとつは、アメリカの敵に対して「技術的サプライズ」を引き起こすことにある。敵の戦闘員たちが、戦場で「自分たちが何と対峙しているのかわからない」ような状態を作り出したいと思っているのだ。

これら9つの DARPA のプロジェクトのうちのいくつかは、現実世界の中でも役に立つ可能性がある。




1. 90トンの貨物を乗せて移動できる飛行船


DARPA-Aircraft-001.jpg


DARPA は、新しいタイプの飛行船を建設するプロジェクトを進めていた。しかし、技術上の問題により 2006年に計画は中止されていたが、2013年にこのプロジェクトが再始動した。

プロジェクトの目標は、200万ポンド(約 90トン)の貨物を搭載した状態で、5日間で世界を半周する性能を持たせることだ。

このことにより、戦場で迅速にユニットを展開、あるいは撤退できるようになる。





2. 車そのものが自身で運転する超高速軽量車両


darpa-car.jpg
TechRepublic


このグランドX車両( Ground X-Vehicle )は、四輪車として作られたクモのように見える形状をしている。

兵士たちがこの車を運転することもできるし、方向と行き先を車のコンピュータに入れるだけでも、その地に到着する。

手動でもオートでも、この車が攻撃を受けた際には、その対処を自身で考え、攻撃を避けたり、必要に応じて衝撃を吸収する。





3. 空中でのドローンの着陸と燃料補給を可能にする作業飛行機


darpa-drones.jpg


攻撃用や偵察用のドローン(無人機)が、地上に降りることなく、燃料の補給をおこなうことのできる「飛行するプラットフォーム」は、アメリカの無人機プログラムが敵の上空をうまく飛び続けることを支持するだろう。

このプロジェクトは、ドローンが「隊列を組む」ことを実現するプロジェクトと組み合わせて進められている。

うまくいけば、これらのドローン作戦は、アメリカ軍が行った最後の空中キャリアでの実践よりも、うまく働く可能性がある。





4. 情報を収集し、植物を食べて燃料とするロボット

(イメージ)
plant-robot.jpg
ROBOTS THAT EAT BUGS AND PLANTS FOR POWER


DARPA の「無人地上車両プログラム」は、燃料補給を必要とせずに、時間無制限で偵察をおこなうことのできる UGV (無人走行機)を求めている。

そのようなものをエネルギー自律型ロボット戦略と呼ぶが、 DARPA では、無人機が自ら植物を食べ、それをエネルギーに変換することによって走行を続けるマシンの開発をおこなっている。

また、このような無人機は、必要に応じて、敵の燃料を盗むことができるようになっているかもしれない。





5. 遠隔コントロールのできるスパイ昆虫(生きた昆虫)


spy-bug.jpg


DARPA は、すでに、生きた昆虫に制御装置を移植することに成功している。これは、昆虫がサナギの時に装置を移植し、その昆虫が成虫になった時には、コントロール可能となっている。

基本的に、遠隔コントロールする昆虫は、その背中に搭載された偵察用センサーに電力を供給する。

DARPA は、昆虫の動きによって発電するシステムを作る技術を持っており、今後は、スパイ用のセンサー、通信方法と昆虫発電機のテクノロジーを融合させることで、「昆虫スパイ」が誕生する。

昆虫たちが収集した情報は、オペレータによって収集され、解析されるだろう。





6. あらゆるアングルから見ることのできるカメラ


DARPAは、このようなカメラを作る方法を確立しているわけではないが、DARPA は、あらゆる角度からエリアを見ることができるセンサーを作成するために、プレノプティック関数を使用する方法を探している。


(訳者注) プレノプティックという初めて聞く単語を調べてみると、「ライトフィールド」という言葉と同義のようなのですが、下のようなもののようです。

不思議なカメラが相次いで登場より

ライトフィールドとは “ある時、ある場所に存在する光の状態をすべて記録した情報” とでも言うべき概念で、専用のライトフィールド・センサーで記録します。

ライトフィールド・センサーの前には無数の小さなレンズが並んでおり、その一つ一つが、その場所に在る光の波長、強さ、方向に関する情報をセンサーに送ります。

というもので、「一種のホログラム的な記録」をするカメラということになりそうで、下のような光の情報を完全に記憶するということのようです。

Light-Field.gif


このようなものは、すでに現実に存在しているようです。もちろん、完全ではないようですが、仮に「完全なもの」ができたとすると、「撮影した後からでも、別のアングルからその光景を見られる」ということになりそうです。

たとえば、普通に写した光景の「建物の裏に敵がいる」ことがわかったりとか。

これは映画ではたまに描かれる光景で、1982年のSF映画『ブレードランナー』には、この概念の写真が出ていて、「昔の写真の物体の裏側にあるもの」を再現する有名なシーンがあります。


映画『ブレードランナー』より写真を別のアングルから見るシーン
Holography.jpg


1998年の『エネミー・オブ・アメリカ』という映画でも、「すべての方向から撮影できるカメラ」が登場しました。「かつて小説や映画に出てきたもの」が、後に現実に開発される例は結構多いような気がします。





7. 原子力発電の GPS 追跡装置


gps-1.jpg


この核物質は、速度を決定するために使われるもので、発電用や爆発用のものではないので、心配無用だ。

アメリカ軍は、たとえば、潜水艦が水中にいる時など、GPS 信号がブロックされるか、あるいは妨害されるような地域で、車両やミサイルからの受信のトラブルを持っている。

この「チップサイズ・コンビナトリアル原子ナビ」( C-SCAN )は、非常に高度な技術的なもので、原子核崩壊から原子を測定することにより、GPS 信号がなくとも正確なナビゲーションを可能にするだろう。





8. 心的外傷後ストレス(PTSD)に打ち勝つ鍵を握る脳インプラント


16wire_electrode_array.jpg


PTSD の厳密な治療を DARPA は確約する。

このアイデアは少し不安に響くかもしれないが、脳内のマッピングされた場所に電流を流すことを可能にし、脳の機能を変化させる SUBNET (神経学テクノロジーをベースにした新規治療法)と呼ばれる DARPA が開発している治療法だ。

これは PTSD および、外傷性脳損傷患者のための大きなブレークスルーである可能性がある。



(訳者注) なぜ、 DARPA が、PTSD (心的外傷後ストレス)の治療法の開発を進めているのかというと、

「米軍に PTSD と、それによる自殺者がとても多い」

ためだと思われます。

これは、2001年の同時多発テロ以降、イラクへと派兵された帰還兵たちの間に、ものすごい数の PTSD 患者が発生したことと関係していることが報道されて明らかになりました。そして、これは実は、ベトナム戦争でも、第二次世界大戦でも、どんな戦争でもそうでした。

2004年に放映された NHKドキュメンタリー『イラク帰還兵 心の闇とたたかう』という番組では、イラクに派兵された兵士のうち、


肉体的な負傷者 2万1000人
精神疾患    3万1000人



ということが語られていましたし、あるいは、過去記事の

ノーベル賞とロボトミー : 「科学の歴史」を振り返って、ちょっと考え込んでしまいました
 2013年12月20日

では、第二次世界大戦において、


・戦闘などでの肉体的な負傷で入院した軍人は 68万人


だったのに対して、


・戦時中に精神的・神経内科的な障害で入院した兵士は 120万人


だったという「肉体よりも精神をやられて入院した人のほうが多かった」ということも書いたことがあります。


戦争は兵士たちの肉体よりも、兵士たちの精神を破壊する部分が大きいことがわかります。


そういう過去と現在の現実の中、「想定される実際の戦争」において、DARPA は、戦場でメンタルヘルスの状態が悪化する兵士たちを「治して、また戦闘員としたい」と考えているはずです。

何十万人もの兵士が精神的障害によって戦闘不能に陥る状態に対抗するための研究となっていると思われます。

しかし、「脳インプラント」というような、こういう「脳への物理的刺激方法」の多くは「症状を治す可能性はほんの少しはあるかもしれないが、人間性も失われてしまう」ことが多いです。

先ほどの記事のロボトミーもそうですし、精神疾患に「電気ショック」を行うような治療法が、かつて……いや、もしかしたら、今でもあるのかもしれないですが、これなどは、電気けいれん療法 -Wikipedia によりますと、


作用機序は不明である。


と明記されています。

つまり、「なぜ効果があるのかいまだにわからない」のに、何十年もおこなわれてきたのです。

人間は、過去の恐怖を恐怖として持てるからこその人間であるわけで、それを克服するのは、機械や物理的刺激では無理だと私は思います。自分で何とかするしかないのだと思います(私も PTSD です)。





9. 敵の生物兵器に対して反撃する病原体

アメリカへの新たな脅威のひとつは、抗生物質への耐性菌を使用した生物兵器だ。

DARPA は、敵がそのような生物兵器を用いてアメリカ軍や民間人が大規模な感染症を引き起こす前に、その芽を摘み取りたいと考えている。そのために、その生物兵器に攻撃されている時に、それらを培養し、展開することができる病原体を調査している。

これらの細菌兵士たちは、敵のバクテリアを顕微鏡レベルで探し出し、壊滅させるだろう。



  

2015年09月18日



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前記事:パンスペルミア2015(1):地球の生命は「地球や太陽系よりも古い歴史を持つ可能性」がアメリカの国立研究所により示される

alien-first-image.jpg
INQUISITR






 

髪の毛の幅のチタンの球に収められた「生命の素材」

前回の記事で少しご紹介した「高層大気圏で捕獲された地球外微生物」についての、英国シェフィールド大学の研究に関しての記事をご紹介します。冒頭の写真がそうです。

今回はご紹介する記事そのものがかなり長いものですので、あまり前置きなしに本題に入らせていただことかと思います。

なお、この「パンスペミア説」というものがどんなものかということに関しては、今回の記事に出て来る英国シェフィールド大学の分子生物学者であるミルトン・ウェインライト教授の 2013年の言葉がそのままパンスペミア説を表していると思います。


私たちの結論は、生命が絶えず宇宙から地球に到達しているということです
 --- 分子生物学者ミルトン・ウェインライト


ミルトン・ウェインライト教授
Professor-Milton-Wainwright.jpg
EXPRESS


それにしても、今回のウェインライト教授たちの発見には、正直いくつも驚く点がりまして、本文を読まれて下さればわかることですが、以下の点は本当に驚きました。


・チタンで作られた直径30ミクロンほどの球の中に生物的な素材が入っている
・採取された塵には、レアアースが含まれていた。



下がその実際の写真ですが、このようなものが、絶えず地球に降り続けていることがわかったというような驚きというのか。


2014年に採取された「生命の球」

titanium-1b.jpg


ここまで来ますと、「自然に作られたもの」なのかどうかもよくわからなくなる部分もありますが、しかし、考えてみれば、この地球の生物の DNA の構造や、私たちを含む生物の体内メカニズムなども、「自然に作られたもの」としては、あまりにも複雑です。

自然とはそういうものなのかもしれないです。

なお、今回の高層大気での微生物の単離(塵から分離して採取)は、2014年のペルセウス座流星群の時に行われたのですが、「流星群の意味」ということも関係してくることかもしれません。

今度、「彗星」と「流星群が存在する本当の意味」について今度書かせてもらうかもしれません(もちろん私自身の思い込みですが)。


なお、記事の中に、

> 未知の文明によって地球に送信されたと述べるような人たちもいる

というような下りがありますが、このあたりは微妙な話だなとは思いますが、この精巧な「球」を見ていると、誰かというのは別としても「人為」というようなキーワードも感じられなくもはないです。

ちなみに、「レア・アース」が含まれていたことが、なぜ重要なのかといいますと、含まれていた中に「ジスプロシウム」というレア・アースがあったのですが、Wikipedia を読むと下のようにあります。

ジスプロシウム - Wikipedia

ジスプロシウム は原子番号66の元素。元素記号は Dy。希土類元素の一つ。きわめて偏在しており、現在99%が中国で産出されている。

> 99%が中国で産出される

というようなレア・アースが「英国の上空 30キロメートルの物質から発見されている」というのは、この物質が「地上から噴き上げたのではない」ことを物語るのと同時に、

「宇宙からは、生命だけではなく、レア・アースも降っている」

ということになりそうです。

では、前置きが長くならないうちに、本題に入ります。

ちなみに、この同じ研究チームによる、同じ研究については、過去記事「パンスペルミア説を証明できる実験が数十年ぶりにおこなわれ、成層圏で宇宙から地球への「侵入者」が捕獲される」で、2013年の研究をご紹介しています。




First Ever Image Of An Alien Or An Extraterrestrial Organism Has Been Captured, Says University Of Buckingham Scientist
INQUISITR 2015.09.06


捕獲されたエイリアン、あるいは地球外生命体の初めて公となる写真だとバッキンガム大学の研究者は語る


英国バッキンガム大学・宇宙生物学研究センター( University of Buckingham Center for Astrobiology )とシェフィールド大学の科学者たちは、彼らが、歴史上初めてとなるエイリアン、あるいは地球外生物の写真を撮影したと述べている。

科学者たちは「牛の形」をした「生物」としており、それを「完全な生命体」と説明する。


alien-001.jpg


英国シェフィールド大学の分子生物学者、ミルトン・ウェインライト( Milton Wainwright )教授が率いる科学者チームによると、 写真(上記)は、エイリアンや地球外生命体が、私たちの地球の大気圏の外宇宙に存在することの証拠だと、サンデイ・エクスプレス紙は報じている。

科学者たちは、この画像は「地球上の生命は宇宙に起源がある」とするパンスペルミア説の理論を支持する新たな証拠を提供するものだと述べた。

科学者たちはまた、今現在も、宇宙から生きた微粒子が地球に常に降り続けているという理論を支持するものであるのとも語っている。

研究者たちは、強力な磁石を使用し、領域の成層圏の境界から収集した塵からこの生物を単離した。

塵は、宇宙空間の境界付近の成層圏で集められた。これは、英国ダービーシャー州で実施された、地上から 30キロ近い高度へ塵を収集する風船を送るプロジェクトの一環だ。

ウェインライト教授によると、画像は、その表面に付着した生命体の「非晶質固体」(訳者注 / 原子や分子が規則正しい空間格子をつくらないで、乱れた配列をしている固体)と、塩の結晶の粒子を示しているという。


「この写真は、成層圏で単離した中の最大の地球外微生物であると私たちが確信しているものです。私たちのチームは、これらの微生物は絶えず宇宙から地球に到着していると主張していましたが、そのために、過去4年間ほどにわたって、非常に物議を醸しているのです」

「しかし、私たちを批判する人たちの中には、今のところ、誰ひとりとして、私たちのこの作業と主張に対しての代替えの説明を提供した人はいません」


塩の粒子からは、ジスプロシウム、ルテチウム、ネオジム、および、ニオブなどの希少元素が同時に発見されたと科学者たちは述べている。

(訳者注 / それぞれ、いわゆる「レア・アース」で、ジスプロシウムは、地球では、ほぼ中国でしか産出されないものです)


ウェインライト教授は、「私たちが言える限りのこととして、ここに付着していたものが、地球(地上)由来の粒子とは関係がないということです」と述べる。

このこと、つまり、30キロに近い高さで、希土類元素(レア・アース)を含む粒子を発見したということも、この最新の研究のエキサイティングな部分だ。

英国シェフィールド大学とバッキンガム大学の科学者たちが、地球の成層圏における微細構造体の発見を主張したのは、これが初めてのことではない。

2015年1月18日に当メディアでは、彼らが、上空 27キロメートルの高層大気から収集した粒子から、彼らが「幽霊粒子( ghost particle )」と呼ぶ生物を単離したと主張していることを報告した。

それは人間の髪の毛ほどの幅のものだ。



幽霊粒子( ghost particle )の写真
gohst-particles.jpg


高層圏の粒子を収集する風船は、昨年のペルセウス座流星群の際に、上層大気圏に打ち上げられた。

チームは、上層大気から収集した破片のサンプル中から、彼らが「ドラゴン粒子」と呼ぶ粒子を発見したことを 2014年9月に報告した。

そして、2015年1月30日に、科学者たちは、地球外生命体が「チタンの球」の中に存在して、それは地球に舞い降り続けていることを報告したのだ。

研究者によると、約 30ミクロンの微細なチタン球(下の画像)に、生物学的物質が含まれているという。30ミクロンは人間の髪の毛の幅とほぼ等しい。



生物学的素材が含まれているチタンの球
titanium-sphere.jpg


「この人間の髪の毛ほどの幅のボールの中心からネバネバとした生物的な素材が滲み出るのです。つまり糸状の生命を内包しているのです」

私たち記者は、この球のX線分析を見た時に大きな感銘を受けた。

というのも、この球は、主にチタンでできていて、そこにバナジウムの痕跡があるのだ。

一説として、この球は、数々の惑星たちに「生命の種」を播種し続けるために、何かの未知の文明によって地球に送信されたと述べるような人たちもいる。

研究者たちは、この極めて小さなチタン球を、宇宙から地球の大気に落下する「地球外生命の種( extraterrestrial life-seed )」だと説明する。

その後、この地球外生物は、地球上で広がっていく。

研究者たちによると、これらの粒子は、地上から上層大気に上昇したものではないと述べる。チームはまた、彼らが集めた塵の試料の中に、地球からの粒子による汚染の証拠は認められなかったと述べた。

パンスペルミア説の有名な支持者として名高い、チャンドラ・ウィックラマシンゲ教授の最近の、『地球中心の生物学から、宇宙生命への移行( The Transition from Earth-centered Biology to Cosmic Life )』というタイトルの論文では、ウィックラマシンゲ教授は、「研究者たちは、パンスペルミア説理論を支持するパラダイムシフトが過去 30年間にわたって行われてきた」と主張している。

しかし、今なお、ウィックラマシンゲ教授や、ウェインライト教授たちのようなチームの研究成果は、主流派の科学研究者たちから疑いの目で見られ続けており、また、パンスペルミア説の支持者たちは、彼らの理論を支持する説得力のある科学的証拠を提供していないともいわれている。






ここまでです。なお、

この今回の英国での研究については、実は同じような「高層大気での収集」は、1960年代にはアメリカの NASA がおこなっていて、1970年代には、ソ連でも実験がおこなわれましたが、「理由を示さないまま」どちらの実験も打ち切られました

このことを、フレッド・ホイル博士は著作『生命・DNAは宇宙からやって来た』に書かれていますので、参考までに、抜粋しておきます。




『生命・DNAは宇宙からやってきた』第2章「地球大気へ侵入する彗星の物質たち」より
フレッド・ホイル / チャンドラ・ウィクラマシンゲ共著


1960年代には、アメリカの科学者たちが高度 40キロメートルまで気球を飛ばして、成層圏にバクテリアがいるかどうか調査した。その結果、ごく普通のテクニックで培養できる生きたバクテリアが回収され、実験者を当惑させた。

さらに問題だったのは、バクテリアの密度分布だった。成層圏の中でも高めのところでは、1立方メートルあたり平均 0.1個のバクテリアがいて、低めのところでは 0.01しかいないという結果になったのだ。

高度が高いほど多くのバクテリアがいるという結果は、バクテリアが地上から吹き上げられたと考える人々が期待していたのとは正反対の傾向だった。不思議な結果に、研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。

1970年代後半には、旧ソ連で同じような実験が行われた。彼らは、成層圏より上の中間層にロケットを打ち上げて、高度 50キロメートル以上の高さでパラシュートにくくりつけた検出装置を放出した。パラシュートが落下するにつれて、いろいろな高さで次々にフィルムが露出され、粒子を付着させては密封された。

回収されたフィルムを研究室に持ち帰って微生物を探したところ、 50から 75キロメートルの高度について、バクテリアのコロニーが 30個ほどできた。中間層は空気が薄く、バクテリアはすみやかに落下する。したがって、中間層のバクテリアの密度は成層圏では数ケタ低いはずだ。それにも関わらず、これだけの結果が出たのである。

なお、この実験もたったの3回で打ち切られてしまった。

アメリカと旧ソ連で行われた実験は、はからずしてバクテリアが宇宙からやってきたというわれわれの仮説に見方してしまった。





ここまでです。

> 研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。

から 50年が経ち、実験は盛んになり、今回のような驚異的な発見もなされたのでした。



  

2015年09月17日



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「太陽系が生成される数十億年前から地球の生命は継続し続けている」
 - アレクセイ・シャロフ(アメリカ国立老化研究所)


buckingham-paspermia-top.jpg






 



パンスペルミア説も動き始めた2015年

9月に入って以来、「地球の生命の正体」や「パンスペルミア」に関しての、いくつかの興味深い報道を目にしていました。

しかし、最近は、ユダヤとかシュミータとか長野県とか、そういう記事が多くて、なかなかパンスペルミア関係の記事は書けなかったのですが、ここに来て、ろいろいろと大きく動いている感じがします。

パンスペルミア説とは、平たく書けば、


他の天体で発生した微生物の芽胞( DNA を組成する物質や、あるいはアミノ酸などの生命の素材を含めて)が地球に常に飛来していて、地球の生命はすべてそこから始まっていて、今もなお、生命の飛来は続いている。


という主張で、古代の時代からあったですが、近代の科学史で登場したのは、物理化学の祖ともいえるスヴァンテ・アレニウスが、ノーベル化学賞を受賞した1903年に、

「微生物の芽胞が恒星からの光の圧力で宇宙空間を移動する」

と主張したのが始まりです。

アレニウス(1859-1927年)
Arrhenius-2015.jpg
Wikipedia


その後、いろいろな科学者たちが、この説を主張してきましたが、20世紀の世の中はダーウィンの「進化論」に包まれていて、なかなかパンスペルミア説は陽の目を見ませんでした。

私がこの In Deep を書き始めた大きな動機のひとつが、パンスペルミア説の強力な提案者であった、フレッド・ホイル博士の著書『生命はどこからきたか』と、『生命(DNA)は宇宙を流れる』などを読んで感銘を受けたことによるものでした。

その時初めて、

地球の生命は、自分の起源も含めて、始まりは宇宙のどこかだった

ということを知ったのです。

フレッド・ホイル(1915-2001年)
hoyle-2015.jpg
panspermia.org


ホイル博士の主張は複雑ですが、パンスペルミア - Wikipedia には、一言で、

1978年にはフレッド・ホイルが、生命は彗星で発生しており彗星と地球が衝突することで地球上に生命がもたらされた、とした。

と書かれてあります。

実際には、「遺伝子を変化させるウイルスが生物を(遺伝子ごと変化させることによって)進化させてきた」というようにニュアンスの方が強いと想います。

著作から少し抜粋します。


『生命(DNA) は宇宙を流れる』 第4章「進化のメカニズム」より

生物が進化するには、遺伝子が変化する必要がある。

もともときわめて安定している遺伝子が、コピー・ミスによる突然変異を起こしたおかげで優れた形質を獲得すると考えるのは、かなり無理がある。

けれども、ウイルスなら、宿主がそれまでもっていなかったまったく新しい遺伝子を導入することができ、生物の基本的な構造を一新させることもできるのだ。ウイルス感染による遺伝子の移動は、まさに理想的な進化の原動力となりうるのだ。

ウイルスの本質は、もっぱら他の生物に感染して、これを病気にさせたり、死に至らしめることにあるように考えられている。

けれどもそれは、ウイルスが病気の原因となる微生物の一種として発見され、研究されてきたことに由来する偏見である。

ウイルス感染の影響は、細胞破壊だけではない。細胞を壊すかわりに、細胞の代謝や機能を変えたりする場合もあるのだ。



> ウイルスが生物の基本的な構造を一新させる

これが、地球の生命の進化の根幹だと述べているのです。

そのウイルスたちもまた、すべて宇宙空間を旅してきていると。
人類を含む生命を進化させるために。

ただし、生命の素材もウイルスたちも、一体宇宙のどこで生まれたものなのかはわからない(生まれたという言い方が正しいかどうかもわかりません)。

しかし、それらのメカニズムは私たちが知ることのできることではなく、「宇宙(神)のみぞ知る」ことか、あるいは宇宙も知らない巨大な知性の下に存在する「秩序」というだけの話なのかもしれない、と、まあ、この話をし始めると、ややこしいことになるのですが、いずれにしても、このホイル博士の主張を知ってから、私の「地球観」、「生命観」がすべて変わったといってもいいと思います。

私たちは、何か得体の知れない生物から環境に適応して進化してきたのではなく、

宇宙の明確な意志の下に進化している

と思うに至ったのも、ホイル博士の著作を読んだおかけです。

そんなわけで、少しパンスペルミアと関係した記事を久しぶりに書いてみたいと思いました。

過去のパンスペルミア説に関しての記事は、

カテゴリー:パンスペミア

に一覧があります。

パンスペルミア関係の記事の最も最近のものは、

確証が進むパンスペミア仮説 : 「DNAの大気圏突破の熱と衝撃に耐えられるか」というロケット打ち上げ実験が行われ、DNAは無事に「生還」
 2014年12月09日

でした。


ちなみに、冒頭に載せました「英国バッキンガム大学が発表した宇宙大気圏で採取された生命」は、地球の上空 30キロメートルの高層大気圏で採取された微生物で、バッキンガム大学の科学者たちは、「完全な宇宙生物」と述べています。

このバッキンガム大学の発表も興味深いですが、次の(2)のあたりで、ご紹介したいと思います。

この発表と似た内容のものとしては、

パンスペルミア説を証明できる実験が数十年ぶりにおこなわれ、成層圏で宇宙から地球への「侵入者」が捕獲される
 2013年09月23日

という記事で、英国シェフィールド大学が、上空 25キロメートルで「珪藻」(ケイソウ)という単細胞生の藻類を捕獲したことをご紹介したことがあります。

下がその時に捕獲された珪藻の写真です。

keisou-2013.jpg


その記事でも書きましたけれど、こういうものが高層圏で「地上から上に上がっていく」という可能性はほとんどないのが地球の環境なんです。

下の図のように、高層大気圏は「垂直(上下に推進力が基本的にない」ので、火山の噴火の影響が及ぶ上空 10キロメートルくらいまでなら、それで説明もできますが、それ以上の高層大気圏となると、重力に則って、上のものが下に落ちるという運動しか起こりえないのです。

atomosphere-25.gif


さて、今回ご紹介するのは、いろいろな意味で大変に興味深いデイリーギャラクシーの記事です。






 



地球の生命の歴史は100億年に達する

それは、アメリカのふたつの国立研究所の科学者が、研究によって、

地球の生命の継続時間は、地球や太陽系が作られた時より以前に遡る可能性がある

という発表をしたのです。

まあ、基本的には、この発表は「進化論」に基づいているものですので、実際なのかどうかということを別にしましても、たとえば、

「地球ができるはるか前から、地球の生命は進化し続けていた」

という概念は、まさにパンスペルミア的であり、また、何だか楽しげな感じがしたのですね。

それでご紹介したいと思いました。

なお、地球の年齢の方ですが、一般的なところでは、「 46億年」というように教えられることが多いですが、以前、

「地球の年齢がわからない」: ミシガン工科大学の調査が地質学に与えるショック
 2011年11月26日

という記事で、これまでの調査での結果は、

地球の年齢に関しての主張は「 200億年から 5000年」と多岐にわたる

というようなことを書いたこともありますが、地球の歴史というもの自体もわからないことのひとつです(私は、地球に歴史はないと思っていますが)

なお、ご紹介する記事のタイトルになっている「ムーアの法則」というのは、生物学や宇宙物理学とは関係のないもので、インテルの創業者のゴードン・ムーアという方が提唱した、半導体の性能に関しての法則です。

ムーアの法則

ムーアの法則とは、世界最大の半導体メーカーIntel社の創設者の一人であるGordon Moore博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18〜24ヶ月で倍増する」という法則。

この法則によれば、半導体の性能は指数関数的に向上していくことになる。


コトバンク


今回ご紹介する記事の内容自体は、かなり専門的で、あまりわかりやすくはないのですが、とにかく、「地球の生命の歴史は非常に古い」というひとつの示唆があったということをお知らせできれば幸いだと思います。

では、ここからです。



Life Older Than Earth --"Does Moore's Law Imply Its Existence?"
Daily Galaxy 2015.09.14


生命は地球より古くからある - ムーアの法則はその存在を暗示する?


地球の生命は、その進化と共に、まるで集積回路上のトランジスタの数が2年ごとに約2倍になることを述べたムーアの法則のように、生命としての複雑さを指数関数的に増加させてきた。

それはまるで、集積回路上のトランジスタの数が2年ごとに約2倍になることを述べたムーアの法則のようだ。

ボルチモアのアメリカ国立老化研究所( NIA )の遺伝学者アレクセイ・シャロフ( Alexei Sharov )氏と、フロリダにある湾岸標本海洋研究所( Gulf Specimen Marine Laboratory )のリチャード・ゴードン( Richard Gordon )氏のふたりは、この傾向を既知の事柄から推定することにより、地球の生命が、ムーアの法則に尺度によっていることを見出した。

そして、それに従えば、「地球の生命は地球自身の歴史よりも古い」ということが示されるのだ。

研究チームは、ムーアの法則を、生命のゼロの地点である生命の起源の地点まで戻し適用した。

そして、原核生物から真核生物へと、生命としての複雑さが増加した速度を測定することにより、次に、虫や魚などの、より複雑な生命、そして、両生類や、最終的には哺乳類に至るまでの進化の速度を測定した。

その結果は、生命の構造が複雑化していく進化の倍加時間とムーアの法則の背後にあるものとは同一の指数関数的増加を見せることがわかった。

ところが、この見地から、1塩基対の遺伝的複雑さの線形回帰から推測すると、「生命の起源は 97億年前」という時間軸を示唆するのだ。

つまり、これらの示唆は、生命の進化のための宇宙時間スケールに関して重要な結果をもたらす。

----- それは、地球の生命が、まずは、バクテリアのような複雑な生命に達するためにも「 50億年」かかるという結論だ。

生命の起源と、原核生物への進化の時間的スケールの環境は、この地球で想定されているものとはかなり違っていたのだ。

このことは、もし、生命がホモ・サピエンスと関連するほどの複雑さに進化するのに 100億年かかるとすれば、私たち人類という存在は「まったく最初のこのレベルの複雑さを持つ生命」だと言えるかもしれない。

(※訳者注 「人類という複雑な生命体としての存在は、この宇宙で初めてのもの」というような意味かと思います)

もし、私たちが最初のそのような複雑な生命ではないとすれば、宇宙にどのくらいの高度な地球外生命が分布しているのかを推定する「ドレイクの方程式」を否定することになる。

下のグラフは、ヌクレオチド塩基対(bp)によって、ゲノムごとのの非重複 DNA の長さから、生命の複雑さを示すものだ。時間の経過と共に、生命の複雑さは直線的に進化する。

時間は、現在の時間を「0」として、その前の 100億年までをカウントしている。


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高度な生物の進化は、情報処理システムの進化をも伴う。たとえば、それは、エピジェネティック( DNAの配列変化によらない遺伝子の発現を制御・伝達するシステム)な記憶や、原始的な心、多細胞な脳、言語、書籍、コンピュータ、そして、インターネット。その結果、複雑さの倍加時間は 20年ごとに到達することがわかった。

シャロフ氏とゴードン氏はまた、天文学者たちは、私たちの太陽系が、それ以前の星の残骸から形成されていることを確信していることを指摘する。

これは、パンスペルミア説の概念においては、元々あったガス、塵、氷の雲などの中に生命が保存されていた概念を示唆するものだ。

地球上の生命は、私たちの太陽系が形成されるより数十億年も前から、生命のプロセスを継続している可能性があるのだ。




  

2015年09月16日



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▲ 2015年09月15日の米国ウォールストリート・ジャーナルより。






 


洪水の悲劇の光景の中の「違和感」

9月14日に、アメリカのユタ州で、豪雨による洪水と鉄砲水が発生したことにより 15人以上の方が亡くなるという出来事がありました。

冒頭の写真は、その報道記事のひとつで、えぐられた地面などから鉄砲水の規模の大きさなど伺い知ることができますが、その光景とは別に、私は、この被害を受けたと思われる女性たちの「格好と髪型」が気になったのです。

mormons-flds-01.jpg


服装、髪型、どちらもどうにも現代のアメリカ人女性のようには見えません。

中世のような服と、そして、やはり中世のような髪型・・・。これが一人だけなら、そういう趣味の人もいるのだろうという程度のことで住むのかもしれないですが、女性全員が同じような格好をしている。

下はニュース報道の映像からで、住民たちが救出されている光景ですが、やはり、女性全員が基本的に同じような格好と髪型をしています。


flds-05.jpg
FOX 13 NOW



「なんだろう、この違和感は・・・」


と思い、どういう状況かを調べてみることにしました。

というのも、この出来事が起きたのが、最近書いていました「シュミータ(ユダヤの安息年)」の最終日の「翌日」だったからということもあります。

[参考記事]シュミータとは何か?:ユダヤ教のラビ、ジョナサン・カーンが語る「市場の崩壊、国家の盛衰、戦争、高い塔、9/11…etc」との関係についての全語録。そして「2015年9月13日の意味」


そのような時に起きた自然災害の光景が「どうも奇妙だ」ということが気になったのでした。
上の女性たちの格好は、日常の感覚から逸脱している感があります。

まず、この洪水が起きた場所を報道から見ますと、下はロイターの記事です。

米ユタ州で鉄砲水、15人死亡 車ごと押し流される
ロイター 2015.09.16

米ユタ州で、大雨による鉄砲水が発生し、アリゾナ州との州境近くで12人が死亡、州境よりやや北に位置するザイオン国立公園でも3人が死亡した。

ユタ州のヒルデールでは数百人のボランティアが行方不明者1人の捜索に加わっているという。鉄砲水によって車ごと押し流されたとみられる。

また、ザイオン国立公園では4人が行方不明になっている。

> ザイオン国立公園

とあります。

これは、英語では

> Zion National Park

となり、 Zion …… つまり「シオン」です。

この「シオン」という言葉は、私たち日本人には非常にイメージが湧きにくく、Wikipedia には、

シオンは、イスラエルのエルサレム地方の歴史的地名。日本語では英語にならった「ザイオン」との表記も見られる。

とありますが、「地名」というニュアンスには、何だか違和感があります。

むしろ、この「シオン」が語源となった「シオニズム」という言葉の語感から、この言葉を考える方が感覚的にはいいのかもしれません。

シオニズム - Wikipedia

シオニズムは、イスラエルの地(パレスチナ)に故郷を再建しよう、あるいはユダヤ教、ユダヤ・イディッシュ・イスラエル文化の復興運動(ルネサンス)を興そうとするユダヤ人の近代的運動。

シオンとは、こういう言葉や概念の源となっているということのようです。

いずれにしても、わかりにくいことはわかりにくいですが、「イスラエルやユダヤ人と深く関係している言葉」と理解でいいように思います。

今回の洪水の発生地となったザイオン国立公園は、「シオン」の名のつくアメリカの場所であったことがわかります。

ザイオン国立公園の場所
zion-map.gif
・Google Map


その「シオンの地」で起きた悲劇。

しかし、それはそれとしても、上の女性たちの服装との関係は?

ザイオン国立公園というところがどのような歴史を持っているのかは Wikipedia に書かれてありました。

ザイオン国立公園 - Wikipedia

1858年にモルモン教徒によって発見され、1860年代初めにはモルモン教徒が定住した。

あー、モルモン教徒が定住している場所。

とはいえ、モルモン教(正式名「末日聖徒イエス・キリスト教会」)の教徒は、日本を含めた各国にたくさんいますし、その人たちが上の女性たちのような特別な格好で生活しているということは聞いたことがありません。


「うーん・・・」


これだけでは、やはりよくわかりませんので、いろいろと、モルモン教関係で検索していましたら、次の写真が見つかりました。

flds-03.jpg
KUAIKE.CO


服装も髪型もこの人たちと似た感じです。

キャプションを読んでみますと、

> Women Of The FLDS Church ( FLDS の教会の女性たち)

とあります。

「 FLDS ・・・」

聞いたこともありません。

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モルモン教原理主義者たちの宗教的思想

今度は FLDS で検索しますと、ナショナルジオグラフィック日本語版に記事があったのでした。
抜粋いたします。


FLDS 一夫多妻制を守るモルモン教分派の原理主義教団
ナショナルジオグラフィック 2010年2月号

ここコロラドシティーと、州境をはさんで隣り合ったユタ州ヒルデールは、教団FLDS(The Fundamentalist Church of Jesus Christ of Latter-Day Saints)の発祥の地だ。FLDSは、モルモン教の分派で、原理主義を掲げて今も一夫多妻の慣習を守っている。

この地域に、信徒が入植したのは1920年代から30年代。米国社会からの孤立を避けようとしたモルモン教会が、一夫多妻の伝統を捨てる方針を固めたため、一部の信徒が教会を離れ、この地に入植した。

教会は1935年、一夫多妻制を廃止しなければ破門すると、彼らに最終通告を突きつけた。だが、ほぼ全員が意志を貫き、独自の教団を発足させた。



ということで、モルモン教の原理主義団体ということのようですが、英語版でも日本語版でも、モルモン教の Wikipedia の項目には、FLDS という単語はひとつも出ていないですので、異端にも近いようなものなのかもしれません。

上の記事の中に FLDS の正式名が英語で記載されていますが、日本語にしますと、大体ですが、

末日聖徒イエス・キリスト教会原理主義

というような感じになるかと思われます。

まあ、異端っぽいとはいえ、モルモン教徒ではある彼ら彼女らですが、しかし、そもそも私は、「モルモン教ってどんなものだっけ?」というような宗教オンチでもあります。

モルモン教のことは全然知りませんので、末日聖徒イエス・キリスト教会 - Wikipedia を見てみますと、モルモン教は、下のような宗教体系となっているようです。

・三位一体説を否認
・キリストおよび死者の復活を信じる
・キリストの再臨を信じる
・千年王国を信じる


千年王国とは、

終末の日が近づき、神が直接地上を支配する千年王国(至福千年期)が間近になったと説く。千年王国に入るための条件である「悔い改め」を強調する。

また、至福の1000年間の終わりには、サタンとの最終戦争を経て最後の審判が待っているとされる。
Wikipedia

というものだそう。

モルモン教の「聖典」は、

・モルモン書
・聖書


などとなっていて、宗教的「戒律」に関しては、

・モーセの十戒
・智恵の言葉


ということになっています。

神の再臨を含め、多くの宗教と共通項があるもののようです。

ふと、

「終末の日を信じているのなら、モルモン教徒にもプレッパーが多そうだな」

と思っていましたら、下のような記事を見つけました。

つい数日前のものです。

mormons-preppers.gif

▲ 2015年09月12日の米国 THP より。


プレッパーというのは、比較的最近の記事、

世界の終わりに向かって本当に必要なもの:プレッパーズの方法だけでは持続的なサバイバルは成し得ないという確信
 2015年08月27日

中東とイスラエルの「赤い朝」の光景も含めて、何となく漂う「終末感」を感じて過ごす安息年の9月11日
 2015年09月11日

などでご紹介したことがありますが、プレッパーとは、「終末の日に向けての物質的な備蓄やサバイバル訓練などを行っている人たち」のことで、特にアメリカには数百万人の武装したプレッパーたちがいると考えられています。

上の記事は、モルモン教徒たちの間にもプレッパーがいる・・・というより、「9月に終末が来ると確信している人ずモルモン教徒たちの間にものすごく多い」こことが書かれています。

そのように「終末」を強く意識するコミュニティの一派が、安息年の最終日の翌日に自然災害で甚大な被害を受けるというのは、単に皮肉的なことなのか、それとも「それを意識している人に終末は訪れる」というものなのか・・・。

実際、「想いと現実化」の話にまで拡大すると、「この世が終わる」ことも想念の世界次第で達成しちゃう部分もあるかもしれないですしね。

最近は、そのことをいろいろと考えることもあるのですが、いずれにしても、テトラッド(4回続く皆既月食)の4回目(9月28日)まで、あと2週間ほどとなり、毎日起きるいろいろなこととの関連を思います。

あんまり考えすて、本当に終わっちゃうのもアレですので、曖昧に、冬くらいまでにどうなっているのかなあと漠然と夢想する程度にしておくのがいいのかもしれません。

では、上の記事をご紹介しておきたいと思います。

ちなみに、記事の中に「ユタ州の人々は」という表現がありますが、ユタ州というのは独特な州のようで、ユタ州とモルモン教についてというサイトによりますと、

ユタ州は人口223万人のうち約70%がモルモン教徒である。2000年の国勢調査では、ユタ州人口の68%がモルモン教徒であると答えていた。

ということで、この比率ですと、議員や政府職員、教師などにも多いはずで、そういう意味では、「州そのものがモルモン教徒によって構成されている」といっても過言ではないような州なのかもしれません。

そういう意味では、ユタ州は「アルマゲドン感が強い州」といえるのかもしれないです。
非常用グッズもユタ州では、爆発的に売り上げを伸ばしているようです。



Why Some Mormons Are Preparing For Doomsday
THP 2015.09.12


一部のモルモン教徒が終末の日に向けての準備をする理由


多数のユタ州の住民たちは、聖書の預言やヘブライ暦、不安定な経済や世界政治、そして、天文学的な出来事などがミックスされた概念の中で … 彼らによれば、それは今月(2015年9月)の終わりころまでに … 終末的な出来事が差し迫っていることを確信している。

彼らは「プレッパーズ( preppers )」と呼ばれ、食糧の備蓄、懐中電灯、毛布、テントなどを用意し、中には、家自体を改造している人たちもいる。

主にフリーズドライにした食品を販売している会社「アメリカン・フォークス・スライヴ・ライフ社」によれば、同社のフリーズドライ食品の売り上げは、過去と比べて 500%以上アップしたと、顧客サービス担当者は言う。

「何かが差し迫っているような切迫感がありますね。多くの人々が、この9月に、たとえば、財政破綻のような、起こる何かについて述べるのです」

緊急時用品を売る「エマージェンシー・エッセンシャル社」の販売担当者は、驚異的な売り上げアップに「壮絶な忙しさです」と語る。

同社が販売する 72時間緊急キットは、「お店の商品棚に並ぶことは考え羅ないですね。どれだけ出荷しても、すぐに売り切れてしまって、棚に並ぶ時間がないほどです」というほどの売れ行きだ。

この販売担当者は、「お客様の多くは、この9月にそれが起きると言いますね。血の月(皆既月食)に伴って、ドルの崩壊などが起きると信じているようです」と述べる。

歴史的に見て、7年ごとに大きな経済破綻のサイクルがあると彼らは信じている。

この7年のサイクルは、ヘブライ語の shmitah (シュミータ)という安息年のサイクルの概念に則っている。確かに、たとえば、2001年や 2008年などには、壊滅的な株式市場の暴落と景気後退が訪れた。

今年は 2008年の景気後退(リーマンショック)から7年目で、この夏は、中国の自国通貨切り下げをきっかけに、株価は激しく変動した。

ユタ州の多くの人たちは、この7年のサイクルを信じ、ユダヤの新年祭となる 9月13日から、アメリカで大きな金融危機が発生し − 聖書に書かれてあるような「邪悪」な「苦難の日」が起ち上がる − と確信している。

さらに、「血の月」の出る 9月28日に、ユタ州の近くで大地震が発生し、そこに国連軍が侵入して混乱が起きると考える人たちもいる。

これらの憶測は、作家ジュリー・ロウ( Julie Rowe )氏の著作『偉大な明日:ベールを超えた私の旅( A Greater Tomorrow: My Journey Beyond the Veil )』と、『時は今( The Time Is Now )』の内容に由来している。


『偉大な明日』
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ロウ氏は3人の子を持つモルモン教徒で、これらの著作は、彼女が 2004年に経験した「臨死体験」の内容を元に、2014年に出版された。

臨死体験の際に、ロウ氏は死後の世界を訪問し、そこで地球の過去と未来を見たとしていて、その内容を本にまとめたのだ。ユタ州の人々の未来の推測はこの本の内容に沿うものが多いようだ。

しかし、ロウ氏は、記す出来事に特定の日をつけてはいない。

彼女は、フォクス・ニュース・ラジオのインタビューで「光の都市」について述べている。それは、人々が山の中の白いテントで、マンナ(聖書で神から与えられたとする食物)を食べて生きている光景だという。

彼女は、「イスラエルから離陸したリビアの飛行機から爆撃を受ける」光景を見た。

そして彼女は、モルモン教の聖典「モルモン書」に出てくるガディアントン・ラバーズ( Gadianton robbers )という、古代アメリカの腐敗した秘密犯罪組織のリーダーが、「すでにここにいる」と言った言葉を聞いた。

ロウ氏がその内容を明らかにしたのは、「人々に目覚めてほしいから」だと、インタビューで答えている。

この数年、ロウ氏は、彼女の話を聴きたがっているアメリカ中のモルモン教徒の前で、彼女が見たヴィジョンを語って回り、その意識を共有させてきた。

彼女の2冊の本は、2万部以上売れている。

その彼女の発言内容について、異例ともいえることだが、モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)の当局者は、教会の教育システムの教師たちにメモを送った。

その内容は、

「シスター・ロウは、モルモン教の熱心な信者ですが、彼女の本の内容は、教会によって承認されたものではありません。生徒たちに教える際に、彼女の本を源として使用するべきではありません。シスター・ロウの経験は、必ずしも教会の教義を反映していないか、あるいは、教義を歪める可能性があります」

というものだった。

モルモン教使徒ボイド・K・パッカー氏は、2011年のモルモン教の総会で「終末の日は近くではない」と語っている。

「若い信者の人々は長く生きることを考えて下さい。結婚して家族を持ち、あなたの子どもや孫、そして、ひ孫と暮らす幸せな未来を考えて下さい。そして、あなたたちは、未来を前向きに見て行動する。それができるのです。終わりの日は近くになどは来ていないのです」




  

2015年09月14日



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昨日(9月13日)で、ユダヤの安息年であるシュミータが終わり、今日から「ヨベルの年」と呼ばれる年に入ります。[参考記事:シュミータとは何か

ヨベルの年というのは「イスラエル人が 50年目に迎える自由と解放の年」(コトバンク)とされています。

7年ごとのシュミータが7回めぐってきた年がヨベルの年ということのようで、前回のヨベルの年(1967年)は、第三次中東戦争(六日戦争)によって、イスラエルが国家としての基盤を確立した年でした。

その前のヨベルの年(1917年)には、イギリス政府が、パレスチナにおけるユダヤ人の居住地の建設を支援することを表明し、実質的な「イスラエルの再建」が始まったバルフォア宣言がなされています。

そのようなヨベルの年が本日(9月14日)から始まります。

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荒れた自然現象が多発する時代に

先ほど(9月14日 午前9月48分頃)、阿蘇山が噴火したようで、一昨日の9月12日には、東京湾を震源とする最大震度5弱の地震、その前は、関東や東北での大洪水と、毎日毎日、自然関係の出来事が続きます。

噴火した阿蘇山

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気象庁


アメリカ海洋大気庁( NOAA )などは、現在、太平洋の赤道付近の海域で起きている海水温の上昇(いわゆるエル・ニーニョ現象)が、史上最強クラスとなっていると発表しています。

これについては、

史上最強のエル・ニーニョ(赤道海域の海水温の異常な上昇)が進行中。アメリカ海洋大気庁は異常気象の頻発を警告
 2015年09月13日

という記事にも書きましたが、この先の気象も地質活動も、どちらも予測はできないとはいえ、それなりに激しい状態で推移する可能性が高そうです。

まあ・・・自然や気象については、起きることにあらがっても仕方のないことですので、起きたら起きたで、それに対処する最善の方法をその局面において実行していくというより他はないようにも思います。

日本はあらゆる自然災害をその歴史の中で受けてきた国で、そして、その中で「生きて」きました。地域的にはともかく、全体としては1度も滅びていません。

世界で一番地震が多く、また、火山も多く、最も台風の直撃を受け続けてきた日本と日本人は何千年何万年と、その中で滅びずにきたのですから、大局的に見れば心配ない話のはずです。

この「大局的に見る」ということは確かに難しいことではあるのですけれど、過度な心配や不安は、むしろ事態を悪くする可能性はあるのかもしれません。

以前、

日本式ファイト・クラブ:この世こそ極楽であることに感謝し、激動でも素晴らしい時代を死ぬまで生きる
 2015年06月29日

という記事で、自称プレアデスの人の言葉が書かれているとされている『プレアデス+地球をひらく鍵』という本から、以下のような記述を抜粋したことがあります。


『プレアデス+地球をひらく鍵』より

恐れる気持ちこそ最大の敵です。あなたに恐れの気持ちが出てきたとき、あなたの力は失われるということを忘れないでください。

あなたが何かを恐れているとすれば、それは頭上に大きな看板をかかげて、「大歓迎! 私はあなたを待っています!」と恐れているものに呼びかけているようなものです。

恐れの気持ちを抱くことの目的は、あなたの生命を助けることです。そしてあなたが行動を起こして、現在という瞬間にあなたを飛び込ませることです。



何だか複雑な表現ですが、「恐れること」は、

> 最大の敵

であると共に、

恐れを抱くという心境は、行動を起こして自分を行動させるためにある

としていて、「人間に恐れという感情がある理由」も書かれています。

たとえば、山道を歩いて熊と出くわせば、多くの人は恐れますが、同時にその恐れが「次の具体的な行動」を考えさせる動機にもなるはずです。熊と出会ってもまったく恐れないで、ニコニコと立っているいられる人はすごいとは思いますが、それで助かるかどうかは微妙な気がします。

「助からなくてもいい」という考え方もあるかもしれないですが、それは、人間の通常生活への全否定ということになりかねないですので(基本的には、生命を保つために生きているのですから)、適度な恐れは素晴らしい感情ではあるとは思います。

なので、恐れには大きな意味はあるのですが、恐れ続けていては、さらなる「恐怖の現実」が実現してしまう可能性があるということでもあるようです。

起きていない恐怖に恐怖ばかりしていると、「恐れていることが実現してしまう」ということについては、中村天風さんなど多くの賢人が述べていますが、マザー・テレサは、


Mother-Teresa-s1.jpg

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。



というような言葉をのこしていて、「思考が運命になる」ことに明らかに言及していますが、これは個人を越えて、周辺や環境をも巻き込んだ大がかりな運命の左右と関係することのようにも最近は思います。

それにしても、最近の一連の報道や情報の中にある「ネガティブな未来感」の雰囲気の強い感情の流れを感じますと、何となく確かに大きな出来事に向かっているのかもしれないことを感じます。





本来は災害に異常に強い日本人

以前も書いたことがありますが、日本人というのは、本来的に災害などに対してとても強いとは言えます。

先ほどリンクしました記事で、著書『逝きし世の面影』に記載されている、幕末の日本の海軍教官だったオランダの軍人カッテンディーケの以下の言葉を載せたことがあります。


Kattendijke-s2.jpg

日本人の死を恐れないことは別格である。むろん日本人とて、その近親の死に対して悲しまないというようなことはないが、現世からあの世に移ることは、ごく平気に考えているようだ。


他にも、1876年に東京の日本橋から京橋にかけて一万戸を焼いた「銀座大火災」の時の日本人の様子を、東京大学医学部で教鞭をとっていたエルヴィン・フォン・ベルツという人が、以下のように記録しています。


baelz-s1.jpg

日本人とは驚嘆すべき国民である! 今日午後、火災があってから 36時間たつかたたぬかに、はや現場では、せいぜい板小屋と称すべき程度のものではあるが、千戸以上の家屋が、まるで地から生えたように立ち並んでいる。

……女や男や子供たちが三々五々小さい火を囲んですわり、タバコをふかせたり、しゃべったりしている。かれらの顔には悲しみの跡形もない。

まるで何事もなかったかのように、冗談を言ったり笑ったりしている幾多の人々を見た。かき口説く女、寝床をほしがる子供、はっきりと災難にうちひしがれている男などは、どこにも見当たらない。



一万戸を消失したという大災害の直後に、

> 冗談を言ったり笑ったりしている幾多の人々

> 災難にうちひしがれている男などは、どこにも見当たらない。


を見て、大変に驚いたようです。

このベルツという人は、29年間も日本に滞在したそうで、奥さんも日本人だったとのことで、相当の日本好きな方ではあったようです。

この江戸の日本人たちの、一種の「異常な楽天的行動」(あるいは、悲しんでいるくらいなら早く自分たちで仮設住宅を作ったほうがいいという意味で現実的な行動)は、たとえば、1707年の富士山の噴火(宝永噴火)の時の江戸っ子の行動にも見てとれます。

神奈川県立歴史博物館主任研究員の古宮雅明さんが書かれた、富士山の宝永大噴火というページには以下のような記述があります。


「富士山の宝永大噴火」より

昼過ぎからネズミ色の灰が降り始め、夕刻からは黒色の砂に変わった。 どこかの山の噴火であろうと推測されたが、富士山噴火と確認されるのは駿河吉原宿(現静岡県富士市)からの急報が届いた25日であった。

降灰や地響きなどの異変はその後も断続的に続いたが、富士山噴火と判明したことで江戸の人心は落ち着き、富士山が望める日には、江戸橋や日本橋に噴火する富士山を見物する群衆があふれた。



> 富士山が望める日には、江戸橋や日本橋に噴火する富士山を見物する群衆があふれた。

物好きが集まったということではなく、「群衆があふれた」とありますから、みんな、「噴火する富士山」を見ながら楽しんでいたということになります。

未曾有の大火災の直後にも冗談を言って笑い、富士山の噴火を娯楽にしてしまう江戸の人たち。

この宝永噴火の後、時間と共に農作物などへの影響が出てきて、飢餓が発生するような状態になっていくようなのですが、しかし、そんなことを起こる前から心配しても確かに仕方ない。

以前から思っていますが、これからの時代に、個人的に見習いたい気質です。

1897年の富士山の写真

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120年前の日本の光景に見る「私の中のパラダイス」


というわけで、今後もおそらくは、いろいろとあるとは思いますが、前向きというか、不安や恐怖ばかりにとらわれないように生きていきたいところです。

ところで、タイトルにしました「オサマ・ビン・ラディン」という響き、今となっては懐かしい感じですが、どうして、この言葉が入っているのかといいますと、2001年の同時多発テロから14年後(7年×2)の今年の 9月11日に、またも、メディアに、その名前が出たのでした。





2015年9月11日のふたつの地

先日の記事、

ニューヨークの世界貿易センタービル跡に「二重の虹」が現れた9月11日の翌日、過去のシュミータに何が起きていたかを「完全調査」してみました
 2015年09月12日

で、今年の 9月11日、ニューヨーク世界貿易センタービル跡地の上空に、「二重の虹が出た」ことを記しました。


2015年9月11日 ニューヨーク世界貿易センタービル跡地

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Facebook


海外メディアでは、これを「追悼の虹」などの表現であらわしていたものもありました。

上記の記事では、イスラエルで古くから伝わる「虹の下は地獄の釜」という伝説のことも記したりしたのですが、この今年の 9月11日に、そのような状態になったのは、ニューヨークではなく、イスラム教徒たちの最大の聖なる場所のひとつであるサウジアラビア・メッカの「聖モスク」でした。

9月11日に、サウジアラビアのメッカで、モスクに巨大クレーンが転倒して 107名が亡くなるという事故が起きたのです。

下のような出来事です。


巡礼地メッカの聖モスクにクレーン転倒、死者107人超
ロイター 2015.09.12

mecca-mosque-01.jpg


サウジアラビアの巡礼地メッカで11日、イスラム教の聖地カーバ神殿がある聖モスクに向かってクレーンが倒れる事故が発生し、サウジアラビア当局によると少なくとも107人が死亡、238人が負傷した。

メッカではイスラム教の大巡礼「ハッジ」を数週間後に控える。大勢の巡礼者が押し寄せるため災害が起きやすく、2006年にも数百人が死亡している。今回の事故は災害防止に向け巡礼施設の拡張工事などが進められるなかで発生した。



この日のメッカは大変な悪天候で、下のように、落雷なども起きていた嵐の天候だったようです。


9月11日 メッカの聖モスクの天候

mecca-2015-911.jpg
INDEPENDENT JOURNAL


ここで先ほどのような悲劇が起きてしまったのですが、この出来事には、続きがありました。

いくつかのメディアが伝えたものですが、実はこの倒壊したクレーンの所有者は誰かといいますと・・・。


Bin-Laden-saudi.gif

▲ 2015年09月12日の rollingout より。


というわけで、メッカで倒れたクレーンは、オサマ・ビン・ラディンの家族が所有する建設会社のクレーンだったのです。

上の記事をご紹介しておきたいと思います。



Crane owned by Bin Laden family kills dozens at Grand Mosque in Saudi Arabia
rollingout.com 2015.09.12


サウジアラビアの聖モスクで、ビン・ラディン家が所有するクレーンが倒れ、数十人が死亡


サウジアラビア・メッカの聖モスクは、すべてのイスラム教徒から聖なる地と呼ばれているが、その場所が、2015年9月11日の悲劇の地となってしまった。

イスラム教徒が生涯に少なくとも1度は行うことが必要とされている大巡礼では、多数の人々がメッカに集まる。そんな中で、落雷と強風を伴う嵐が聖モスクの周辺で吹き荒れ、近くの建設用巨大クレーンが倒壊し、少なくとも 107人が死亡し、238人が負傷した。

モスクは 147万平方メートルの面積を持ち、事故現場は凄惨なものだったという。モスクの内部には、9月20日からの巡礼の焦点でもあるカーバ神殿がある。ここは、イスラム教徒から「神の家」と呼ばれる。

ところで、この倒れたクレーンは、2011年に起ち上げられた巡礼施設の改修プロジェクトで使われていたもので、所有するのは、キングアブドラ・ビン・アブドゥル・アジズという、ビン・ラディン・グループが所有している会社だ。

このグループは、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの首謀者であるオサマ・ビン・ラディンの財産を使い、家族により作られた建設会社だ。

同時多発テロから 14年目の 9/11と、今回の事件の起きた 9月11日との「偶然」は、多くの人々に、当時の記憶を蘇らせるものかもしれない。

サウジアラビア政府は、今回の事故は悪天候によるものとしており、テロの可能性はないとしている。




ここまでです。

アメリカの同時多発テロの首謀者が誰であるかに関しては、さまざまな主張があるため、オサマ・ビン・ラディンが首謀者なのかどうは今となってはよくわからないですが、どういう形にしても、この人物が 2001年の 9/11と関係したイメージでは最大の象徴とはいえそうです。

そのオサマ・ビン・ラディンが、事件から 14年後の 2015年の 9月11日に、今度は、イスラム教徒の最大の「聖地」で起きたこのような事件と共にその名前が出てくるというのは、偶然は偶然にしても、不思議な感覚があります。

最近の中東は、 9月11日という概念を抜きにしても、「象徴的」な感じでした。





赤い中東で

少し前の、

中東とイスラエルの「赤い朝」の光景も含めて、何となく漂う「終末感」を感じて過ごす安息年の9月11日
 2015年09月11日

という記事では、9月8日くらいから、中東のいくつかの地域が「赤くなっている」ことをご紹介しました。


シリアのダマスカス 9月8日

syria-sandstorm-02.jpg
Refugees Welcome


イスラエルも同じように砂嵐に見舞われて、エルサレムなどでも大気汚染が激しいものとなっていることが伝えられていました。

エルサレム 9月8日

jerusalem-0908.jpg
Times of Israel


そんな中、イスラエルのエルサレム在住のお知り合いの方からご連絡をいただきまして、この砂嵐はシリアからやって来たものだとのことです。

また、今のエルサレムは大変に厳しい気象となっているようで、つまり、砂嵐によって空気が汚染されているので、「窓を開けられない」のだそうで、その上に、エルサレムは現在、気温 36℃、湿度 85%(エルサレムは砂漠ですので、この湿度はすごい)だそうで、相当厳しい状態のようです。

窓は開けられないのですが、

「窓を閉めっぱなしにしていても砂が積もるのです」

と書かれていて、そのすさまじい砂嵐ぶりが少し想像できます。

普通だと、イスラエルの砂嵐は、主に春にあるもので、サウジアラビアの方からの砂嵐がイスラエルにやって来るのだそうですが、このような時期に、いつもと違う方向のシリア方面からやってきて、何日も去らない砂嵐は珍しいもののようです。


イスラエルと周辺国の位置関係
israel-syria-map.gif
Google Map


このイスラエルの現象も「地球的な大気の流れの大きな変化」が関係しているのかもしれません。

ちなみに、今回の砂嵐の発祥地となっているらしいシリアは、


内戦のシリア、1060万人が住居失う 全人口の半分
CNN 2015.09.13

国連などは13日までに、内戦下にあるシリアで戦闘などに巻き込まれ、居住先を失った住民が約1060万人に達したと報告した。2011年の内戦開始前の総人口の約半数に当たる。

世界全体で同様の環境にある住民総数のうち、5人に1人がシリア人になる計算だという。シリアから逃れた住民数は国際社会では近年にない規模としている。



という過酷な現状となっていて、その中で、上の捨身にありますような激しい砂嵐が吹き荒れるという、何とも厳しい感じになってしまっているようです。

このシリアという国は、シリアの歴史 -Wikipedia によれば、大変に古い歴史を持っている上に、

> 人類史の縮図

と表しているように、世界の状況を代弁してきた場所のようです。

このシリアの混乱もまた、人類史の縮図となってしまうのでしょうかね。


今日からは「ヨベルの年」です。

イスラエルと中東、あるいは全世界にとって、過去重大な事柄が多く起きていたシュミータの時期を通過して、50年に1度のヨベルの年が始まります。


[追記] 9月13日に、エルサレムにあるアル=アクサー・モスクに、イスラエルの兵士たちが侵入し、動画を見る限りでは、どうやら銃を撃ったり、爆弾で爆発などをおこなったようです。

下はその時の内部のものらしき動画です。


Dozens Of Soldiers Invade Al-Aqsa Mosque


何だか、いきなり始まっているのですかね。



  

2015年09月12日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





平和を買いに行くけど それは高くつく
開発地区は いつでも夕暮れ
夜になれば 風が彼らをふぶく


ゼルダ『開発地区はいつも夕暮れ』(1982年) / YouTube







 

ニューヨークのツインタワー跡に「二重の虹」が現れた2015年の9月11日

昨日 9月11日に、2001年9月11日の同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービルの跡地の空に「二重の虹」がかかりました。

2015年9月11日 ニューヨーク
nyc-rainbow.jpg
Facebook

なんだかすごいタイミングだなあと思いつつ、「虹」は、過去記事、

宇宙にも地球にも「虹の現象」が広がっている。そして、その虹はイスラエルの伝説では「地獄の釜」の象徴でもあり
 2015年06月24日

などで書きましたけれど、イスラエルの伝説では、

「虹が見えればその下は地獄の釜」

ということで、少なくとも、イスラエルにおいては、虹はそれほど縁起のいいものではないというようなことも書いたことがあります。そして、上の記事を書いた今年の6月は、世界中で虹が頻発していました。

最近は、そのイスラエルやユダヤ教の関連のことを書くことが多いですが、一応時事ということで、今回もやや関係があります。





直近5回のシュミータの年に何が起きていたか

最近の記事、

シュミータとは何か?:ユダヤ教のラビ、ジョナサン・カーンが語る「市場の崩壊、国家の盛衰、戦争、高い塔、9/11…etc」との関係についての全語録。そして「2015年9月13日の意味」
 2015年09月03日

あたりから書いています、ユダヤの安息年である「シュミータ」が終了する日(9月13日)が近づいています。

記事を書くまでシュミータのことは知らなかったのですが、確かに7年ごとのシュミータに起きたことを振り返りますと、その年に「世界の経済と金融を大きく動かす」出来事が数多く起きていたことがわかります。



1901年から 1980年までのシュミータの年に起きた代表的な出来事

1901-1902年
・アメリカ株式市場の暴落。時価総額の46%が消滅

1916-1917年
・アメリカ株式市場の暴落。時価総額の40%が消滅
・ドイツ、オーストリア・ハンガリー、ロシア、オスマンの各帝国が崩壊

1930-1931年
・アメリカ史上で最悪の株式市場の暴落が発生。時価総額の86%が消滅
・世界大恐慌

1937-1938年
・アメリカ株式市場の暴落。時価総額の46%が消滅
・世界的な景気後退

1944-1945年
・ドイツ帝国の終焉
・世界の超大国としてのアメリカが確立
(補足)日本への原爆投下、世界貿易センタービルの構想

1965-1966年
・アメリカ株式市場の下落。時価総額の23%が消滅
(補足)世界貿易センタービルの建築が始まる(2001年に完成、2011年に崩壊。共にシュミータ)

1972-1973年
・アメリカ株式市場の暴落。時価総額の48%が消滅
・世界的な景気後退
・アメリカで中絶の合法化が可決




というように、確かに、近代史の中での「混乱」は、7年ごとのシュミータのサイクルに起きていることがわかります。

では、「直近はどうだったのだろう」と思いました。上の1980年以降の7年ごとのシュミータサイクルに何が起きていたのかと思ったのです。

1980年以降、現在までに、5回のシュミータの年がありましたが、土曜日の上に、子どもが祖母のところに遊びに行っていまして時間もありましたので、その年に何が起きていたのかを調べてみようと思いました。

最初はメモ程度にやろうとしたものなんですが、最近の傾向として、調べ出すと、どんどん拡大していく傾向にあります(長野県の記事などがいい例です)。

経済的なことだけではなく、その年に起きた大きな事故や自然などの災害も含めてリストにしていきますと、何だかとんでもなく膨大なリストになってしまいました。

すべて載せるのもどうかと思いもしましたが、取捨選択するラインもないですので、一挙に載せます。

とんでもなく長いですが、お許し下さい。

なお、安息年シュミータは、今年は 2014年9月25日から 2015年9月13日までの1年間ほどとなっていますが、ユダヤ暦でおこなわれますので、毎年違いまして、10月までなどの年もあるのですが、ここでは、9月から9月の範囲で調べました。

印象的な出来事は太字としています。
ここからです。



最近5回のシュミータで何が起きたか

jewish-calendar.gif
・100 Year Shmita Cycle


2014年9月 - 2015年9月のシュミータ(2014年9月25日 - 2015年9月13日)

[2014年]
10月08日 皆既月食
11月03日 911の世界貿易センタービル跡地に新しいビルが完成
12月28日 インドネシア / エアアジア8501便が墜落(死者162人)

[2015年]
01月03日 ナイジェリア / 過激派ボコ・ハラムが、1月7日までに2,000人以上の人々を殺害
01月07日 フランス / シャルリー・エブド襲撃事件(12人死亡)
02月04日 台湾 / トランスアジア航空235便墜落(43人死亡)
03月13日 バヌアツ / サイクロン「バム」で44人が死亡
03月18日 チュニジア / バルド国立博物館での銃乱射事件(22人死亡)
03月24日 フランス / ジャーマンウイングス9525便墜落(150人死亡)
04月02日 ケニア / 過激派によるガリッサ大学への襲撃事件(147人死亡)
04月04日 皆既月食
04月25日 ネパール地震(M7.8)発生。 9000人以上が死亡
06月25日 シリア / ISの戦闘員がシリアで220人を殺害
06月25日 チュニジア / 観光地スースで乱射。外国人観光客40人が死亡
06月27日 クウェート / クウェートシティでモスク爆発(27人死亡)
06月30日 インドネシア / インドネシア空軍機がメダンに墜落(143人死亡)
07月01日 ギリシャ債務危機が公となり始める
08月12日 中国 / 天津で倉庫が爆発(死者は中国当局発表で150人)


tenshin-02.jpg

08月17日 タイ / バンコク・エラワン祠で爆発事件(23人死亡)
08月下旬〜 世界同時の株価の暴落。中国経済クラッシュの懸念が台頭
09月10日 日本 / 栃木、茨城、宮城などで未曾有の豪雨と洪水
09月11日 サウジアラビア / メッカでモスクに巨大クレーンが転倒。107人死亡
09月12日 アメリカ / 世界貿易センタービル跡地上空に「二重の虹」
09月13日 インド / マディヤプラデシュ州でガス爆発。85人が死亡




2007年9月 - 2008年9月のシュミータ

[2007年]
09月12日 インドネシア / 2007年スマトラ島沖地震(17人死亡)
09月16日 タイ / ワン・トゥー・ゴー機269便墜落(90人死亡)
09月18日 ミャンマー / 2007年ミャンマー反政府デモ(死者行方不明105人)
10月19日 パキスタン / ブット首相を狙った爆弾テロ(136人死亡)
10月20日 アメリカ / カリフォルニア州の山火事で100万人が避難
11月03日 パキスタン / 全土に戒厳令が敷かれる
11月13日 アフガニスタン / マザリシャリフで自爆テロ(50人死亡)
11月14日 チリ / トコピヤでマグニチュード8.2の大地震
11月18日 ウクライナ / ザシャコ炭鉱で同国史上最悪の炭鉱事故(101人死亡)
11月30日 トルコ / アトラスジェット機4203便が墜落(56人死亡)
12月27日 パキスタン / ブット首相暗殺
12月31日 ケニア / 暴動で200人以上が死亡

[2008年]
01月11日 イラク / バグダッドで観測史上はじめて雪が降る
01月21日 日本を含むアジア各国の株式市場が暴落
01月25日 中国 / 同国史上最悪級の吹雪で 133人が死亡
02月05日 アメリカ / 大規模竜巻で同国史上最悪の被害(55人死亡)
02月05日 アメリカ / ニューヨーク証券取引所で株価が暴落
02月20日 アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、西アジアで皆既月食
02月22日 ベネズエラ / サンタバーバラ航空機518便が墜落(46人死亡)
03月01日 ガザ地区 / 2005年以来最大級の空爆でパレスチナ人52人が死亡
03月14日 チベット自治区 / 中国政府に対しての暴動で18人が死亡
03月15日 アルバニア / 銃の工場で爆発し 30人以上が死亡
04月10日 ダライ・ラマ14世が日本とアメリカを訪問
04月25日 スリランカ / テロと考えられる路線バスの爆発(26人死亡)
04月28日 中国 / 山東省で列車事故(71人死亡)
05月01日 ボリビア / 日本人とイスラエル人観光客が交通事故(13人死亡)
05月02日 ミャンマー / 大型サイクロンにより 13万3000人が死亡
05月12日 中国 / 四川大地震(M 8.0 )発生。約6万9000人が死亡
05月13日 インド / ジャプール州で連続爆弾テロ。63人以上が死亡
05月15日 ナイジェリア / 石油パイプラインの爆発で 100人以上が死亡
06月10日 スーダン / スーダン航空旅客機が着陸に失敗し、100人以上が死亡
06月14日 日本 / 岩手県で地震(M6.9)。12人が死亡
06月22日 フィリピン / 大型客船が沈没し、800人以上が行方不明
07月07日 アフガニスタン / カブールで自動車爆弾によるテロ(58人死亡)
07月11日 原油の先物価格が147ドルを超え史上最高値をつける
07月25日 インド / 複数の州で爆弾テロ。45人が死亡
07月27日 トルコ / 連続爆弾テロで 17人が死亡
07月28日 イラク / 複数の場所で爆弾テロ(48人死亡)
08月01日 カナダ、ロシア、モンゴル、中国北部などで皆既日食
08月03日 インド / ヒンドゥー教の寺院で人が殺到し162人が死亡
08月08日 中国 / 北京オリンピック
08月08日 グルジア / 南オセチア紛争勃発。ロシアとグルジアが戦闘状態に突入(死者数は両軍合わせて397人)
08月20日 スペイン / スパンエア機5022便が墜落(154人死亡)
08月24日 イラン / アーセマーン航空6895便が墜落(68人死亡)
09月06日 エジプト / カイロ近郊で大岩が崩落。90人が死亡し、推定 500人以上が生き埋めに
09月07日 ハリケーン「ハンナ」により、アメリカとハイチで536人の死者
09月12日 アメリカ / ロサンゼルスで地下鉄が貨物列車に衝突(25人死亡)
09月12日 ロシア / アエロフロート機821便が墜落(88人死亡)
09月15日 アメリカ / 投資銀行リーマン・ブラザーズが連邦倒産法第11章の適用を申請し、経営破綻(リーマンショック)


Lehman-shock.jpg
・日本経済新聞


09月20日 パキスタン / イスラマバードでトラック爆弾テロ(60人死亡)
09月29日 アメリカ / 金融安定化法案が否決
09月29日 アメリカ / 株式市場で史上最大の下落。世界は金融危機に




2000年9月 - 2001年9月のシュミータ

[2000年]
09月11日 日本 / 東海豪雨。東海地方を中心に10人が死亡
09月26日 ギリシャ / パロス島近海でフェリー火災により80人が死亡
10月12日 イエメン / 米国軍の戦艦にアルカイダが自爆テロ。米兵17人が死亡
10月20日 日本 / 協栄生命保険が経営破綻。戦後最悪の規模の倒産
10月31日 台湾 / シンガポール航空006便が墜落(83人死亡)
11月11日 オーストラリア / ケーブルカー火災事故(155人死亡)
12月24日 インドネシア / 各所のキリスト教の教会で爆弾テロ(18人死亡)
12月25日 中国 / 河南省洛陽のショッピングセンターで火災。309人が死亡
12月30日 フィリピン / マニラで連続爆弾テロが発生し、22人が死亡

[2001年]
01月26日 インド / グジャラート州で地震。約2万人が死亡
02月13日 エルサルバドルで地震。400人以上が死亡
03月02日 英国 / BBCテレビセンターで爆弾が爆発
05月24日 イスラエル / エルサレムのベルサイユ結婚式場が崩壊(23人死亡)
07月21日 日本 / 明石花火大会の歩道橋で群衆事故(11人死亡)
08月09日 イスラエル / エルサレムのレストランをパレスチナ過激派が攻撃(15人死亡)
09月01日 日本 / 新宿歌舞伎町の雑居ビル火災(44人死亡)
09月11日 アメリカ同時多発テロ(死者3,000人以上)


9-11.jpg


09月21日 フランス / トゥールーズで化学工場が爆発(29人死亡)



1993年9月 - 1994年9月のシュミータ

[1993年]
09月04日 日本 / 台風13号による豪雨で鹿児島で大きな被害(46人死亡)
09月22日 アメリカ / アラバマ州で巨大な橋が崩壊して47人が死亡
09月30日 インド / マハーラーシュトラ州で大地震。数万人が死亡
10月03日 ソマリア / 米軍とソマリア人の戦闘で 1,000人以上の死者。米軍も73人が捕獲される
10月10日 韓国 / 釜山でフェリーが転覆(292人死亡)
10月21日 ブルンジ / 2005年まで続くブルンジ内戦が始まる
11月11日 スリランカ内戦始まる(死者 400人以上)
11月20日 マケドニア / ヤコブレヤク機42便が墜落(115人死亡)
12月14日 日本 / 記録的な米不足により、政府は外国からの米の輸入を決定
12月30日 イスラエルとバチカンが外交関係を確立

[1994年]
01月17日 アメリカ / 西海岸で地震(M6.7)。72人が死亡。
02月24日 セルビア / マルカレの虐殺(市場への砲撃事件)で 68人が死亡
03月01日 アメリカ / ニューヨークで単独犯によるユダヤ人14人の殺害事件
03月27日 アメリカ / アラバマ州の竜巻で22人が死亡。この年はアメリカ史上最大の竜巻の発生数を記録
04月07日 ルワンダの虐殺が始まる(死者は最終的に100万人以上)
04月26日 日本 / 中華航空140便が名古屋空港で墜落(264人死亡)
06月27日 日本 / 松本サリン事件(死者8人、重軽傷者660人)
07月08日 北朝鮮 / 初代主席の金日成が死亡
07月16日 木星に彗星(シューメーカー・レヴィ第9彗星)の分裂した核 21個が相次いで衝突


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FIRST LIGHT


07月18日 アルゼンチン / ブエノスアイレスにあるユダヤ相互扶助協会(AMIA)が襲撃され、ユダヤ人85人が死亡
09月08日 アメリカ / アメリカ航空427便が墜落(132人)
09月28日  エストニア船籍のクルーズ船がバルト海で沈没(852人死亡)




1986年9月-1987年9月のシュミータ

[1986年]
09月06日 トルコ / イスタンブールでテロにより22人死亡。この日は安息日
09月15日 韓国 / 同国史上最大の捜査(動員数167万人)がおこなわれた華城(ファソン)連続殺人事件が始まる(犠牲者は10人)
10月03日 ソ連海軍の原子力潜水艦が、バミューダ沖で原子炉の暴走事故
10月10日 エルサルバドルで大地震。推定死者数 1,500人
11月06日 英国 / サンバラ空港で、民間のヘリコプター事故として史上最悪の45人の死者
11月21日 日本 / 伊豆大島の三原山の噴火で全島民が島外に避難
12月31日 プエルトリコ / デュポンプラザホテルで大火災(97人死亡)

[1987年]
01月17日 日本初の女性エイズ患者が確認される
02月07日 岡 靖洋のユニット、セルフ23の初公演(これはどうでもいいだろ)
02月23日 超新星爆発によるニュートリノが初めて観測
08月16日 アメリカ / ノースウエスト航空255便墜落(156人死亡)
08月31日 タイ / タイ航空365便墜落(83人死亡)
09月23日 皆既日食




1979年9月 - 1980年9月のシュミータ

[1979年]
09月22日 南大西洋で謎の大爆発(ベラ事件 / Vera Incident )。南アフリカとイスラエルの核実験と推定
10月28日 日本 / 長野県の御嶽山が有史以来の噴火
11月04日 イランのアメリカ大使館人質事件
11月20日 サウジアラビア / アル=ハラム・モスク占拠事件(死者125人)
11月28日 ニュージーランド航空901便墜落(257人死亡)
12月12比 コロンビアで大地震(259人死亡)
12月12日 韓国 / 粛正クーデター。全斗煥が軍の実権を掌握
12月24日 ソ連のアフガニスタン侵攻(1989年までに、ソ連兵1万4000人以上が死亡、アフガン側はその数倍の死者)

[1980年]
01月09日 サウジアラビア / メッカで63人のイスラム武装勢力が斬首される
01月21日 コロンビア / 闘牛場が崩壊。200人以上が死亡
01月31日 グアテマラのスペイン大使館が放火され、36人が死亡
02月02日 アメリカ / ニューメキシコ州率刑務所で暴動(33人死亡)
02月16日 北アフリカと西アジアで皆既日食
03月18日 ロシアのプレスツクス宇宙センターでロケットが爆発(50人死亡)
04月25日 英国 / ダン・エア航空機1008便が墜落(146人死亡)
05月18日 アメリカ / セント・ヘレンズ山の大噴火(57人死亡)
05月18日 韓国 / 光州事件(民衆の蜂起)。デモ参加者 20万人以上。死者行方不明 649人


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光州事件から35年 1980年5月、韓国の街は戦場だった


06月23日 アメリカ / 熱波で、9月までに 1700人が死亡
06月26日 パレルモ / イタビア航空870便が墜落(81人死亡)
07月30日 イスラエル / エルサレム法(原稿のイスラエルの法律)制定
08月02日 イタリア / ボローニャ駅で爆弾テロ(85人死亡)
08月14日 日本 / 富士山で大規模な落石(12人死亡)
08月16日 日本 / 静岡駅前の地下街でガス爆発(15人死亡)
08月19日 サウジアラビア航空163便で火災発生(301人死亡)
09月22日 イラン・イラク戦争勃発(推定戦死者は両軍合わせて 112万人〜140万人)
09月26日 ドイツ / ビール祭り会場で爆弾テロ(13人死亡)





以上です。

こう見ると、特に、2008年という年は大激動の年だったことがわかります。

思えば、私がブログを書き始めたのも、2008年でした。

あと、まあ、どうでもいいことですが、私が劇団のようなものの最初の公演をおこなった(1987年2月)のはシュミータの年で、活動停止をしたのは次のシュミータ(1994年)だったことを今にして知ります。





世界は真っ黒? それとも真っ白?

補足として、この 1980年は、11月29日に川崎市で、いわゆる「金属バット殺人」が起きたり、12月08日には、ニューヨークでジョン・レノンが射殺されたりといった衝撃的な事件が相次ぎました。

前回の、

中東とイスラエルの「赤い朝」の光景も含めて、何となく漂う「終末感」を感じて過ごす安息年の9月11日
 2015年09月11日

という記事では、「最近感じている終末感」みたいなことを書いたのですが、上の一覧の出来事を書き記した後におぼえたのは、やはり一抹の終末感だったりするわけでした。

そんな中で、昨日今日と、ふと何十年かぶりに聴いていたのが、1980年代から 90年代に活躍していた ZELDA (以下、ゼルダと表記)という日本の女性ロックバンドの最初のアルバムでした。

冒頭に書いた文章は、その中の歌のひとつ「開発地区はいつも夕暮れ」という曲の歌詞です。

ゼルダは、歌の多くを作詞したサヨコさんという人の作詞力に天才的な部分があるバンドでもありました。

これらの曲の作詞をした頃のサヨコさんは中学生くらいだったと思いますが、私が 10代後半の時にメジャーデビュー前のゼルダのライブを観て以来、その歌詞には感心していました。

下の歌詞も同じアルバムに入っているもので、30年前も大変に感心しましたが、今聴いていると、なお感心します。今の時代を歌っているようでもあります。


ゼルダ『真っ暗闇 - ある日の光景』(1982年)より / YouTube

真っ黒 真っ暗闇 壁に塗り込められた痛み
破壊の時は近づき 床に這いつくばって 窓の外見てる私たち
空から落ちてくる雨 矢のように心を射貫き 体を透かして濡れていく

街は真っ暗
世界が止まらない ぐるぐる回ってる

真っ白 光溢れる天使が舞い降りてくる夜明け
最後の地上は 光と闇の結合 預言の鐘が鳴り響く
そうして 狭まれた空間に頭を押しやって 自らの息の根を止めてしまう

街は真っ白
世界が止まらない ぐるぐる回ってる


サヨコさんのような智恵のある人が描く世界は、過去も未来も関係ないものなのだな、と思ったりいたします。

そして、あと2日ほどで、イスラエルという国家が正式に登場してから「7回目」となるシュミータは終わり、2週間ほどで、4回続いた皆既月食も終わります。

これからの世界は、上の歌詞の1番と2番のどちらに近い世界となるでしょうかね。



  

2015年09月11日



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赤く染まった9月8日のパレスチナ・ガザ地区
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Said Shoaib






 

赤く染まった9月8日のシリアのダマスカス

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Refugees Welcome


シュミータ終了1週間前の「中東の赤い1日」

9月に入ってからくらいでしょうか、個人的な問題なんですけれど、自然災害にしても市場の動きなどにしても、何となく「終末感が漂っているように見えてしまう」というようなことになっていまして、まあ、自分で、テトラッド(4回続く皆既月食)とか、シュミータ(ユダヤの安息年)だの書いているうちに、「心境的に自分が巻き込まれる」という一種の自爆的な部分もあります。

そんな中、数日前、

中東の広範囲で大気が真っ赤になる

という冒頭の写真のような現象が起きました。

国としては、シリア、レバノン、イスラエルなどです。

原因は「砂嵐」なんですが、普通の状態のものではなく、たとえば、イスラエルのエルサレムでは、9月8日の大気汚染レベルが「通常の 173倍」に達し、場所によっては、過去 75年で最悪の空気汚染となったという、かなりの非常事態でもあったようです。

この砂嵐で、9月9日までに、中東各地で少なくとも 12名が亡くなり、数多くの人たちが病院に搬送されているということになっているようです。

まあ・・・赤い大気・・・というのは、感覚的に「黙示録的」というようなニュアンスにも感じられて、それが、最近いくつか記事にしていたイスラエルや中東などで起きたというあたりにも思うところがあります。

中東では、たまに砂嵐は起きますけれど、こんなに赤いのは珍しいです。

ところで、この「」については、今までずいぶんと記事にしてきたように思います。

[参考記事]
2012年の「赤」の意味: DNA を持たずに増殖する「赤い雨から採取された細胞」とつながる人間の赤血球
赤の意味: 再び現れた赤い海と赤い雨



大気が赤くなる原因は、多くは、今回の中東のような砂嵐や黄砂など、砂や土による場合が多いです。

今年4月に内モンゴルで起きた「黒い雨が降り、大気が赤く染まった」なんていう現象も、おそらくは、雨に砂や土が混じって起きたものだと思います。


2015年4月15日の内モンゴル・アルシャン市

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▲ 過去記事「赤くなっていく地球: 世界各地で吹き荒れる砂塵嵐がもたらす小さな終末感覚」より。ニュースソース: news.syd.com.cn





911と「カタストロフ」

今日は「 9月11日」なんですが、

「前に、9月11日に何かが赤くなっていたよなあ」

と思い出しましていたところ、

赤く染まるユーラシア大陸最大の川と、カリフォルニアの周囲 100キロに漂う「 9月11日の腐臭」
 2012年09月12日

という記事を思い出しまして、タイトルのように、9月11日には、何かが赤くなったのではなく、カリフォルニの広範囲で「腐臭」が漂ったという出来事があったのでした。

赤くなったのほうは、その数日前の、中国の長江でした。

原因は「不明」でした。


2012年9月7日に真っ赤に変色した中国の長江

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abc news


ちなみに、「 911のカリフォルニアの腐臭」事件は、以下のようなものでした。


地震の予兆?カリフォルニアの異臭騒ぎ、原因は…
AFP 2012.09.12

米カリフォルニア州で、卵の腐ったような臭いが約240キロメートルに及ぶ広い範囲で確認され、専門家による調査の結果、付近の湖で死んだ魚や藻類が原因であることが判明した。

強烈な刺激臭を当局に通報した人は200人に上り、同州で長く発生が懸念されている巨大地震の予兆となる何らかの地熱現象ではないか、との憶測がインターネット上を駆け巡った。



というもので、ソルトン湖(北緯33度線上)というカリフォルニア州の湖の悪臭が原因だということで落ち着いたようなんですが、AFP の報道にありますように、

> 卵の腐ったような臭いが約240キロメートルに及ぶ広い範囲で

という「 240キロメートル」にわたって匂いが撒き散らされるというのは、あり得るのかなあとおもったのです。

240キロメートルといえば、東京から静岡までの距離を超えるものです。


関東周辺と200キロメートルの範囲
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たとえば、「関東全域に同じ匂いが満ち渡る」というような現象などがあり得るかなあと、やや疑問に思った次第です。

ということで、その頃の、

カリフォルニアの異臭は「アメリカのメッカ」から放たれたものか、あるいは違うのか
 2012年09月13日


という記事に、その腐臭の原因は本当は何だったのかを考えたものを書きました。まあ、わかんないのですけど、ソルトン湖が原因ではないようには思っています。

ちなみに、腐臭とは関係ないですが、ソルトン湖の近くには「メッカ」という町があります。カリフォルニアにもメッカがあるのでした。

「メッカへようこそ」
mecca-welcome.jpg
americantowns.com


・・・と、上の記事を読み直していましたら、すっかり忘れていましたが、3年前の今日とほぼ同じ日に、私の実家のある町が洪水になっていたことが書かれていて、そのことを思い出しました。


岩見沢で観測史上最大の降水 7900人に避難勧告
北海道新聞 2012.09.12

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道内は前線の停滞が続いた影響で、11日夜から12日未明にかけて空知、上川地方を中心に断続的に大雨に見舞われた。札幌管区気象台によると、このうち岩見沢市は午前10時までの24時間降水量が116ミリと9月の観測史上最大を記録した。

考えてみれば、この 2012年頃から今年にかけて、 In Deep では、洪水の記事をどのくらい書いたかわからないほど書いていた気がします。

それほど、「観測史上最大の」というような豪雨が増え始めていたのです。

今回の関東と東北の豪雨と洪水も、何もかも記録を更新していたようですけれど、この何年間を見ていると、もはや、「一過性の異常現象」などではなく、「そういうことが普通の時代のフェーズ」に私たちは完全に入っているようにも思います。

このような「地球の変化」が、何を原因として起きているのか「根本的な部分」の要因はわかっていないと思われますが、デヴィッド・キースという人の著作『西暦535年の大噴火―人類滅亡の危機をどう切り抜けたか』は以下のようにしめられています。


「西暦535年の大噴火」より

太陽黒点活動、流星や彗星の衝突、地球軌道の定期的な小変化、そして地球の回転軸のわずかな変化。こういったことはいずれも、気象と人類史を一変させる力を持っている。

だが、以上のうちのどの要素が今後の人類の運命を決定するかは、実際に起こってみなければわからない。



過去の歴史を書き上げたこの本も、

> 実際に起こってみなければわからない。

と、この著作をしめている分、予測とか予言のようなものに頼るよりも、「起きている現実への対応が大事」だと改めて思います。

ところで、この『西暦535年の大噴火』という著作の英語の原題は Catastrophe (カタストロフ)です。

これは、大惨事、破局、大激変などを示す言葉で・・・タロットカードでいえば、「塔」みたいなニュアンスを持つように思います。

十代の頃、タロットカードをたまに人にしていた時、ふざけてやっていたにしても、「塔」が出た時は緊張したものでした。カードの「塔」の意味は下のようなものです。


塔 (タロット) - Wikipedia

正位置の意味
崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、惨劇 …

逆位置の意味
緊迫、突然のアクシデント、誤解、不幸、天変地異 …

正位置・逆位置のいずれにおいてもネガティブな意味合いを持つ唯一のカードである。



塔とカタストロフは似ています。

タロットそのものは、「占いの結果を自分で導き出せる」ことを理解して以来、完全に興味を失い、また、人を占うということは基本的にいいことではないと翻然と思い、その後は基本的に、さわったこともないですし、私は今でも、いかなる占いにも興味がありません(信じないといっているのではなく、興味がないのです)。

そういえば、今朝、メディアの記事でこの「カタストロフ」という文字が見出しにある記事を見たのでした。

それは最近の、

2015年9月という「終末」の月(1): ユダヤ教のラビは「9月に救世主が再来する」と語り…
 2015年08月30日

というあたりの記事から、なんだか連続してご紹介することになっている、イスラエルの黙示録的報道メディアのブレーキング・イスラエル・ニュースの今日のトップ記事に、下のように、「カタストロフ」という言葉がはいっていたのでした。

israeli-preppers-top.gif

▲ 2015年09月10日の Breaking Israel News より。


わりと最近、

世界の終わりに向かって本当に必要なもの:プレッパーズの方法だけでは持続的なサバイバルは成し得ないという確信
 2015年08月27日

という記事で、「プレッパー」という人たちをご紹介したことがあります。

プレッパー

非常事態に備え、食糧や自衛のための武器・弾薬などを過度に備蓄している人のこと。「備える(prepare)」から生まれた言葉で、2012年現在では米国に最も多く存在し全米で300〜400万人にのぼるとみられている。

状況によっては隣人をも敵とみなす強固に自立したライフスタイルの実践者であり、暴動や経済崩壊、核戦争、世界の終わりなどを想定している。


今日のブレーキング・イスラエル・ニュースの記事は、元イスラエル国防軍人だった人物が、

「イスラエル人は、終末への準備が足りないので、するべきだ」

という主張をしているものです。

最近のプレッパーとかイスラエルとかユダヤとかのつながりもありそうですので、その記事を翻訳してご紹介したいと思います。

なお、このブレーキング・イスラエル・ニュースのすべての記事には、冒頭に、旧約聖書のフレーズが書かれていまして、この記事には、旧約聖書の『箴言』の下のフレーズが記述されていました。


旧約聖書『箴言』 6章 6-8節

怠け者よ、蟻のところに行って見よ。その道を見て、知恵を得よ。
蟻には首領もなく、指揮官も支配者もないが
夏の間にパンを備え、刈り入れ時に食糧を集める。



アリには指揮者も支配者もいるような気もするのですが……。

旧約聖書には、このような「自然摂理から言って、どうも釈然としない部分」が、ときにありまして、

ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの
 2012年04月08日

では、「ヘビ」に関する旧約聖書の記述と、「月と太陽の大きさ」に関しての疑問を書いています。

まあ、それはともかくとして、今回の記事をご紹介します。

物質的プレッパーを目指している方などには、ご参考になる部分もあるかと思います。



Israeli Prepper Movement Looks to Bible to Ready for Catastrophe
Breaking Israel News 2015.09.10


イスラエルのプレッパー運動は、カタストロフに備え、聖書を見つめる


イスラエルでの差し迫った戦争の予言、イランからの脅威、そして、世界的な経済不安、あるいは、シュミータ(ユダヤの安息日)の終わりが数日後に迫り、現在のテトラッド(4回続く皆既月食)の最終的な「血の月」の日までも間近となっており、私たちイスラエル人には、緊急時のために準備することの重要性が増している。

しかし、ユダヤ人のプレッピング(準備すること)の専門家、ジョシュ・ワンダ氏によれば、平均的なイスラエル人たちは、終末的な出来事のための完全な準備ができていないようだという。

ワンダ氏は、イスラエル国防軍で、そして、その後にもテロを経験して以来、あらゆる緊急事態のために準備することの重要性を実感したという。

彼は、「特に、都市に住んでいる場合は、あらゆる不測の事態のために準備することが重要だと考えています」と言う。

ワンダ氏は、ユダヤ人の人々たちが準備するための教えや方法を開発している。

「プレッパーが基本的に理解しなければならないことのひとつは、一人だけで準備することは不可能だということです。すべての人が、人との結びつきや、グループを持つ必要があります」

「そのグループは、所属する人々が持っている様々な技術に応じて構築されます。たとえば、救急医療の技術を持つ人、コミュニケーションの方法を確立できる人、食料と水の貯蔵ができる人、セキュリティに通じている人、のように」

「この考え方は、コミュニティに基づくユダヤ式の生活を理解しているユダヤ人にはよく知られています」

ワンダ氏は、このこれらについて詳しく説明する。

「ユダヤ教とプレッピングとの関係は非常に強いものです。たとえば、マッツォ(ユダヤの酵母の入らないクラッカー状のパン)は、究極的なプレッパーの食品であると私は確信しています」

現在、世界で最もプレッパーが拡大しているのはアメリカで、世界のプレッパー・ムーブメントのほとんどがアメリカに集中している。その数は数百万人ともいわれ、歴史も長い。

しかし、イスラエルでは、プレッパー・ムーブメントはまったくといっていいほどない。ワンダ氏は、イスラエルの人たちが、このように準備不足であることの理由を示唆する。

第一には、住居スペースの問題がある。イスラエルの人々は、一般的なアメリカ人たちに比べて、はるかに狭い場所に住んでいるので、物資を保管することが困難であるという物理的な事情があるという。

第二に、ワンダ氏は、イスラエル人たちが持つ「すべてがうまく行く」(ヘブライ語で yiyeh b’seder )という態度は、準備することと正反対だと言う。

そして第三の理由として、ワンダ氏は、アメリカの人々の特殊な感情に言及する。それは、アメリカの歴史は、市民たちの政府への懐疑の歴史であるという精神性についてのことだ。

ワンダ氏は、「アメリカのプレッパーの多くの人たちは、自分たちの政府や軍隊を信じていないことに対して、イスラエルの人たちは、自分たちの政府と軍隊に非常に依存しています」

ワンダ氏は、「聖書の中にはプレッパーズの例が溢れています」と述べる。

たとえば、社会の完全な崩壊のために方舟を用意したノア(旧約聖書『創世記』6-9章)や、エサウへの戦争のために準備したヤコブ(旧約聖書『創世記』25章〜36章)などだ。

旧約聖書『出エジプト記』16章には、神が作ったとされるマナという食べ物が出てくる。

マナのお陰で、イスラエルの民は 40年間、砂漠で生きのびることができたのだ。

あるいは、私たちユダヤ人は、毎週の安息日(サバス)には、継続的に電気を使用することなく生活するが、これも生きるための練習の準備といえる。

仮庵の祭り(ユダヤの祭)には、私たちユダヤ人は、家の外で1週間過ごすが、これも「準備」といえる。

「そのように、本質的にユダヤ人はプレッパーズであるといえるのですが、イスラエルの人々は、聖書の律法の部分を内在化していないのです」とワンダ氏は言う。

「ユダヤ人は、世界で最も準備をする人々でなければなりません。歴史を考えると、残念ながら、私たちイスラエル人の準備は少ないと言わざるを得ません」

やがて来るかもしれない「何か」のために、より多くの準備をしたい人たちには、まだ、予防策をとる十分な時間がある。

ワンダ氏は以下のように語る。

「現実のプレッパーたちは、将来何が起きるのかについての正確な予見を持つことはできません、私たちは予言者ではありません。ですので、来たるべき何かのために、多くの準備をする必要があるのです」

「より広いジャンルに対応できるように準備していれば、より多くの出来事に対応することができます。その中でも、準備するもので最も重要なのは、食糧、きれいな水、ガスマスク、通信手段、医療用具、などです」

最初に保存するものは、ボトル入り飲料水だ。
水は一日一人あたり4リットルと計算する。

そして、缶詰や、他の長い消費期限を持つ食品、たとえば、瓶詰めのピーナッツバターやハチミツのようなものでもいい。

また、ワンダ氏は、アマチュア無線のライセンスを取得することを勧める。一般的に、携帯電話サービスやインターネット網がクラッシュした場合でも、アマチュア無線がつながらなくなることはないからだ。

糖尿病などの慢性疾患を持つ人々は、備蓄用の薬を持つ必要があるが、持病のあるないに関わらず、誰もが基本的な応急処置のスキルを持っていたほうがいい。

ワンダ氏はまた、資格のある人は、ライセンスされた銃を持つことを勧めている。それは、「絶望的した人々の略奪」に備えるためだ。

「プレッパーにはあらゆる人々がいます。その中には無神論者もいるのです。あるいは、銃の所持に反対のものもいれば、銃のプロもいます」

そして、ワンダは以下のように私たちに言った。

「自分の命を守ることを政府に依存する必要はありません。私たちは自らで自らの命を救うための行動を起こすことができるのです」





(訳者注)ここまでです。

そういえば、アメリカで、人たちから離れて暮らしているといえば、

文明生活を拒絶する自給自足のアーミッシュたちが米国で増え続けている
 2010年09月16日

という記事でご紹介した、電気や自動車を含む近代生活を拒否して生き続けるアメリカの「アーミッシュ」という人たちを思い出します。

アーミッシュの人々

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Donald Reese Photography


この人たちは、アメリカに住むキリスト教一派の人々で、電気、電話などは一切使わず、基本的に自給自足で生きている人たちで、

・唯一の交通手段は馬車
・怒ってはいけない
・喧嘩をしてはいけない
・読書をしてはいけない
・賛美歌以外の音楽はきいてはいけない
・義務教育以上の高等教育を受けてはいけない
・化粧をしてはいけない
・派手な服を着てはいけない
・離婚してはいけない


などの規律の中で生きています。

こういう生活がおもしろいかどうかはわからないですけれど、この生活なら、金融だのテクノロジーなどが破綻しても、それほど影響は受けなそうです。

そして今現在が、「時は来たれり」の時代なのかどうか、まだ判然としませんが、そこはかとなく漂う終末感を払拭したいところではあります。



  

2015年09月10日



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太陽と人間の間にある「原則」を知る

今年の春頃、

すべての「星」が音を作りだしているかもしれない。そして、太陽も常に歌を歌っている。しかしその周波数は 528ヘルツ? それとも?
 2015年03月25日

という記事を書いたことがあります。

「 528Hz の周波数」というのは、たとえば、「 5000年前から「ソルフェジオ周波数」を駆使していたかもしれない古代人…」という記事などで書いたことがありますが、特定の周波数には、人に対して、特定の作用があるというようなことが言われています。解釈は様々ですが、一例として、

・ 396 Hz・・・トラウマ・恐怖からの解放
・ 417 Hz・・・変容の促進
・ 528 Hz・・・DNA の修復
・ 741 Hz・・・表現力の向上
・ 852 Hz・・・直感力の覚醒


というようなものがあり、528Hz の周波数には、DNA の修復、すなわち「人の身体を癒やす」力があるということがいわれています。

このことが、どの程度正しいのかどうかは別として、私はこのことを知って以来、 528Hz の音叉を常用していて、今は2つ持っています。

下は私の持っている音叉のうちのひとつです。

528hz-tuner-01.jpg
・Amazon


それでまあ、最初にリンクした記事では、宇宙の星たちが、それぞれ独自の「音」を放っているということを知ると同時に、太陽も常に「音」、あるいは周波数を出していることを書きました。

太陽の音は、米国スタンフォード大学のソーラーセンターのウェブサイトにあります。

stanford-solar-center2.gif

音そのものは、下のリンク先にあります。

https://soundcloud.com/okaindeep/solar-sound-stanford-solar-center

これは、太陽の音そのものを録音したというわけではなく、NASA の太陽観測衛星 SOHO に取り付けられたマイケルソン・ドップラー・イメージャー( MDI )という装置で太陽の表面の音の圧力​​波を記録し、それをスタンフォード大学の天文学者たちが、振動を再現したものです。

それで、私は、リンクしました記事の中で、


過去記事「…太陽も常に歌を歌っている。しかしその周波数は 528ヘルツ? それとも?」より

上の太陽の音ですが、ミキサーで 528Hz など、いくつかの周波数と太陽の音を重ね合わせてみましたが、太陽の音は 528Hz や 432Hz ではありませんでした。

では、何ヘルツかというと、私は調べる器具を持たないですので、わからないのです。

音楽などされている方で、そういう器具がある方なら調べられるかもしれません。



と書きまして、自分の耳で聴いた分には、太陽の音が人間の DNA を修復するといわれている 528Hz ではないと思ったのですね。

そうしましたら、最近、職業上で「周波数と親しんでいる」と思われる方が、「太陽の周波数は 528Hz 」だと喝破されてらっしゃったのです。

これは、私のお知り合いから「そういうふうに書いているブログがありましたよ」と教えていただき、見てみますと、どうやら、書かれた方は、音叉のプロの方のようなんですが、その Shoko さんという方が書かれた、

528Hz は「太陽の周波数」…?

という記事に以下のように書かれていたのでした。


「528Hz は「太陽の周波数」…?」より

記事を読むと 太陽の周波数は528Hzではないようだ…と
結論づけられていますし
たしかにページ内の音源をチューナーと聴き比べても
528Hzに近くはあったけど 微妙でした

でもリンクされていたソーラーセンターの音源とチューナーを聴きくらべると
ほぼ528Hz!か 528Hzと協和する周波数だったんです

わたしは職業柄 聴いた音をセント値で聴きわけられます

in Deepさんは、太陽の周波数を528Hzと明言されていませんが…
528Hzは「太陽の周波数」…です!



とのことなんです。

セント値というのは、音程の表示法の単位で、音を非常に細かく単位別にしたもので、それを聞き分けられる方から聞くと、太陽の音は 528Hz ということのようなのです。

これが事実であるとするならば、

地球に住む私たち人間は、「太陽の下にいるだけで、常に DNA が癒やされ続けている」


という、「常に身体が修復されている世界」に住んでいるというようなことにもなるのかもしれません。

そういえば、上のブログの方は、

それにしても 先人たちは
どうして528Hzが 太陽の周波数とわかったのかしら?

と書かれていましたが、これは、人間のいる地球の「原則」なのだと思います。

法理といってもいいのかもしれないですが、人間のいるところには、常に 528Hz の周波数に満ちていて、光があり、植物があるという原則。

夏頃に書きました、

植物が「緑色」であり続ける理由がわかった! そして人間の生活システムの完成は「植物との完全な共生」にあるのかもしれないことも
 2015年07月06日

という記事では、いろいろと書きましたけれど、最終的には、「植物が緑である理由は」は、基本的には「人間のいる地球の原則」だということに翻然と気づいたのでした。

多くの植物は、太陽の光で生きているわけで、植物に関しては、太陽の存在が、明確に「命」と直結しているのですが、私たち人間も同じかもしれないと思うようになりました。

私たち人間も、太陽の「光」と「 528Hz の周波数」で支配されて生きていると。

そういう意味では、人間と植物はやはり同じだと。

支配されているというのは、いい表現ではないかもしれなないですが、DNA というのか、命というのか、そんなものを太陽が握っているというような気がします。

そして、古代から、日食はむしろ「不吉なもの」とされていた理由も、たとえば、皆既日食などの場合、「皆既日食が起きた瞬間、地球に届く 528Hz の周波数が途切れる」というようなこともあるのかなあと。

いずれにしても、昼の地球は太陽が牛耳り、夜の地球は月が牛耳る。

太陽と月とどちらが人間に健やかに作用するかを考えますと、なるべく太陽が出ている時に生活することは正しそうで、つまり、早寝早起きは正しいですね。

というわけで、今回の件で、早寝早起きの重要性を再確認した次第でした(そんな結論かよ)。

しかし、本当にずいぶんと太陽を見ていないですね。
いつまで雨の日が続くのでしょう(150日間 )。

いずれにしても、太陽の周波数を 528Hz と確認していただいた Shoko さんに感謝いたします。



  

2015年09月08日



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旧約聖書に記される契約の箱

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・Breaking Israel News











契約の箱(聖櫃) - Wikipedia

契約の箱とは、『旧約聖書』に記されている、十戒が刻まれた石板を収めた箱のことである。

『聖書』ではヨシヤ王(紀元前609年没)の時代に関する『歴代誌下』 35章3節の契約の箱の記述を最後に、比喩的に用いられる以外に直接言及される部分はなく、失われた経緯についても不明である。

このことから、失われた聖櫃(アーク)と呼ばれることもある。





30年前に知った「ジャー・ラスタファリ!」のかけ声の意味


ラスタファリ主義者のボブ・マーリー(1945年-1981年)


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この「ラスタファリ」という聞き慣れない言葉については、後でご説明したいと思いますが、唐突ですが、私には、人生で、何人かの「恩人」がいます。


ひとりは、昨年の、



 2014年01月09日


という記事などにも書きました、田中くんというブルーザ・ブロディ似の年下の人で、その記事にも書きましたけれど、48歳という年齢で一昨年亡くなっちゃったんですね。


この田中くんが私の人生の最大の恩人なんですが、何のお返しもできないまま亡くなってしまいました。まあ、しかし、田中くんは(私もですけれど)「お返し」などという堅苦しいことを一番嫌った人でもありました。


もうひとりの恩人は、学生時代に、私をアンダーグラウンド演劇の道に入れてくれた年上の谷口さんという方でした。


ずいぶんとお会いしていないのですが、彼は今は、谷口マルタ正明という名前での音楽活動を学生時代から続けている一方で、東京の大久保で、ひかりのうまというライブハウスを経営してらっしゃいます。私は東京が遠くなってしまったせいで、いまだに行けていないのですが、写真を見ますと、家庭的で素敵そうなお店です。


それはともかく、30年くらい前の春のことでしたか、学校内でボーッと座っていたところに声をかけて下さったのが谷口さんで、実験劇場という名前の学生劇団で活動されていました。


そして、その公演を見に行った翌日から、演劇の世界に入っていき、今につながるいろいろな「破壊友だち」ができていくことになり、今の私の人間関係があります。


つまり、あの時に谷口さんに声をかけられなければ、私の今の人生はなかった・・・というより、多分、こんなに長くは生きていなかったようにも思います。


そんな谷口さんは、その 30年くらい前、当時の新宿2丁目にあった 69 (ろっきゅー)というレゲエバーで深夜のバイトをしていまして、私もわりとよく飲みに行っていました。不良外人のたまり場的な雰囲気もあり、なかなか刺激のある店でしたが、私も若かったので、楽しい経験でした。


その頃、20歳を少し過ぎた頃だと思いますが、それまでの人生では、「レゲエ」なんてのは聴いたことがなく、その 69 体験から、初めて多少のレゲエを聴くことになりました。


今でも私はレゲエには明るくないですが、レゲエ音楽で、たぶん唯一のアメリカでビルボード1位を獲得したミュージシャンに、ボブ・マーリーという人がいます。


さて、そのボブ・マーリーの説明は、下のようなものです。



ボブ・マーリー - Wikipedia

ボブ・マーリーは、ジャマイカのレゲエミュージシャン。

その音楽はラスタファリ運動の思想を背景としており、彼の音楽と思想は数多くの人々に多大な影響を与えた。

> ラスタファリ


という聞き慣れない言葉がありますが、昨日の記事に書きました、イスラエルの聖書と時事についてのメディア「ブレーキング・イスラエル・ニュース」の見出しに、唐突にこの「ラスタファリ」という言葉が出てきたのです。


「ユダヤ教の新聞にレゲエの合い言葉?」


と、少し興味を持ち、その記事を読み始めたのでした。






ボブ・マーリーとユダヤ民族の関係


先述しましたように、若い頃、少しだけですが、レゲエを聴いたり、その文化の周辺を知りまして、レゲエの人たちの合い言葉に、


「ジャー・ラスタファリ」


というかけ声があることを知っていました。


ボブ・マーリーも、コンサートなどでは必ず唱えていた言葉で、また、今はどうだかわからないですが、当時の日本のレゲエに携わる人々も口にする言葉でした。


当時は、この「ジャー・ラスタファリ」の意味は知りませんでしたが、今回、イスラエルのユダヤ教関係のメディアでこの言葉が出てきたことにふれて、何だかそのアンバランスに興味が出てきて、この言葉を調べました。


すると、


・ジャー(JAH) → 旧約聖書における古代イスラエルの唯一神ヤハウェ

・ラスタファリ → ジャマイカの宗教的思想運動


ということで、ボブ・マーリーは、「ユダヤ教の神を讃えていた」ことになるようです。


わりと意外感があるところです。


ラスタファリ運動に関しては、Wikipedia では、



ラスタファリ運動 - Wikipedia

ラスタファリ運動、またはラスタファリアニズムは、1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心にして発生した宗教的思想運動である。

ラスタファリ運動は聖書を聖典としてはいるが、特定の教祖や開祖は居らず、教義も成文化されていない。それゆえ宗教ではなく、思想運動であるとされる。

基本的にはアフリカ回帰運動の要素を持ち、エチオピア帝国最後の皇帝、ハイレ・セラシエ1世をジャーの化身、もしくはそれ自身だと解釈する。


ここにあるように、このジャマイカのラスタファリ運動には「ジャー(神)の化身」あるいは、救世主の降臨の概念があるようでして、エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエ1世という人を「ユダヤ教の神の生まれ変わり」だとしているというものなのです。


ハイレ・セラシエ1世(1892年-1975年


haile-selassie.jpg




今回ご紹介する冒頭の記事には、



ボブ・マーリーの古典曲といえる「アイアン・ライオン・シオン( Iron Lion Zion )」は、「ユダヤ人としてのルーツを持つ」ことに基づいた皇帝セラシエ自身についてを歌ったものだ。


という下りがあり、ジャマイカで発生したラスタファリ運動と、その主義の中で生まれた、レゲエ界最大のスターであったボブ・マーリーが作り出していた音楽は、「救世主ユダヤ人万歳」的な意味合いを背景に持っていたことを初めて知るのでした・・・。


うーん・・・やっぱり「意外感」がかなり強いです。

下がその曲です。


ボブ・マーリー - アイアン・ライオン・ザイオン(1973年頃)





ここで、とりあえず、そのブレーキング・イスラエル・ニュースの記事を先にご紹介しておきます。


ここに出てくる「契約の箱」というのは、冒頭のほうにも Wikipedia の記述を記しましたが、モーセの十戒が刻まれた石碑が収められているとされる箱で、聖櫃とも呼ばれます。


インディ・ジョーンズ・シリーズの最初の映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年 ← もう34年も前の映画になるんですね)は、この「契約の箱」を巡る冒険を描いたものだったのかあ・・・ということを、今回のイスラエルの記事を読んで初めて知りました。


実は、先月あたりに、子どもと一緒にこの映画を DVD で見たんですが、子どもに、


「この人たちは何を奪い合ってるの?」


と訊かれて、


「あー、なんか、こう大事なもんなんじゃね」


という非常に曖昧な答えをして申し訳なかったと思います。


モーセの十戒が刻まれた石碑が入っていたとされる重大なもののようで、また、記事を読みますと、現在、アークが保存されていると考えられているエチオピア正教会では、映画レイダースばりの守護をおこなっていると考えられているようです。


それでは、ここから記事です。






Breaking Israel News 2015.08.26



「契約の箱」を護り続けるラスタファリアンの救世主



失われた契約の箱(アーク)の探索は、何千年もの間、トレジャーハンターや宗教信者たちにインスピレーションを与え続けてきた。


しかし、実は、この神聖な品物がどこに隠されているかに関して最も関係していると思われる人々がいる。それは、まったく予想外かもしれないが、ジャマイカのラスタファリ主義の人々だ。


ユダヤ教とラスタファリ主義の関係は、1916年から 1974年までエチオピアを支配した皇帝ハイレ・セラシエから始まった。


セラシエ自身は、自らが救世主であることを否定していたが、しかし、彼が救世主だと信じたジャマイカの人々は、ラスタファリ運動に心酔した。


ラスタファリ主義の人々は、永遠の平和と正義、そして、永遠の繁栄が訪れる未来の黄金時代をもたらすであろう人々でもある。


ラスタファリアンたちは、エチオピア帝国最後の皇帝ハイレ・セラシエを、彼自身の「ソロモン王とシバの女王の子孫である」とする主張から、「ユダ族のライオン( Lion of the Tribe of Judah )」と呼んだ。


13世紀以来、エチオピアの指導者たちはダビデ王の血統であることを主張してきたため、セラシエの主張は、宗教信者に対してのリップサービスだと批判を受けることもあった。


しかし、セラシエの「ソロモン王とシバの女王の子孫だ」という主張には、驚異的に感じられるほどの、いくつかの真実がある。


セラシエの王族の血統は、彼の父方の祖母を通して、アムハラ語(エチオピアの公用語)とヘブライ語(イスラエルの公用語)に関係する言葉を話すユダヤ部族の国からのものなのだ。


過去 30年間にイスラエルにやって来た多くのアムハラ語を話すユダヤ人たちは、ソロモン王とシバの女王の子孫とユダヤ人の組合せであると信じられている。


それらのユダヤ人たちは、寺院を建築するための材料を見つけるためにエチオピアを訪れた。


この事実は、他のエチオピア人の多くもソロモン王とシバの女王の子孫であり、すなわち、イスラエル人の子孫である可能性が高いことを示す。


ラスタファリアンたちが、皇帝セラシエとダビデの家を信仰をする理由は、多くのレゲエソングと、レゲエ・カルチャーの中にシオン(エルサレム)の概念が大きく示されていることにも関係する。


ボブ・マーリーの古典曲といえる「アイアン・ライオン・ザイオン ( Iron Lion Zion / 鉄・ライオン・シオン)」は、「ユダヤ人としてのルーツを持つ」ことに基づいた皇帝セラシエ自身についてを歌ったものだ。


ラスタファリアンのユダヤ民族との強い関係は、さらに驚くべきことに、失われた「契約の箱」がどこにあるのかを知る手がかりも、彼らが持っている可能性へとつながる。


皇帝セラシエを支持するエチオピア人たちは、彼らが契約の箱を所有していると主張する。彼らは、箱は、金で覆われたアカシアの木箱だと説明し、もともとがマケバの女王(シバの女王)と、女王とソロモン王の息子であるメネリク一世が持っていたという。


伝えられるところでは、彼らはソロモン王の知識なく、寺院から箱を持ち出した。


その寺院が破壊されて以来、契約の箱の行方は誰にも知られていないが、このラスタファリアン説に選考の余地を残すことは正しいと考えられる。


シバの女王とメネリク一世が箱を持ち出して以来、契約の箱は、エチオピア正教会によって保護されていると考えられている。エチオピア正教会は、4世紀に建てられた教会で、有名な大聖堂があるシオンの聖母マリア教会( Church of Our Lady Mary of Zion )を有している。


ラスタファリアンたちの主張する契約の箱の説は、確認することも反証することも、どちらも不可能だ。


なぜなら、契約の箱を見ることができるのは、教会の守護聖職者だけだからだ。これは、聖書の契約の「聖職者以外が見ることの危険性」に基づいている。


箱を守護する聖職者は、前任者が亡くなる前から任命されている。そして、守護を担当することになる聖職者は、残りの人生を、契約の箱がある礼拝堂に閉じ込められて、祈りとお香を焚き生きる。


ラスタファリアンの契約の箱に関しての主張は、あり得なそうに感じることかもしれないが、世界的に署名な『アーク・レポート』( A.R.K. Report )を記した、契約の箱の専門家、ハリー・モスコフ( Harry Moskoff )氏は、やや異なる以下のような考えを持っている。


「ユダヤ人が口伝で語り継いだ律法として知られる”タルムード”によれば、契約の箱は(単一ではなく)重複して存在していました。このエチオピア正教会には、明らかに契約の箱が存在していますが、それは、その重複していたもののいずれかであると私は考えています」


「エチオピア正教会にある契約の箱には、十戒が刻まれた石板は入っていないでしょうが、それでも、聖書に関係した品物としては非常に貴重なものです」


「しかし、ユダヤ人の伝説にある、ベツァルエルが作った金色の契約の箱は、いまだに隠されていて、それはエルサレムの神殿の丘( Temple Mount )の下に埋められていると考えています」


「歴代誌(旧約聖書におさめられたユダヤの歴史書)にあるように、第一神殿が破壊される 25年前、契約の箱は、ヨシヤ王の命により、準備された地下室に隠されたのです」


「それから 2,700年後の今もそこにあるはずです」






ここまでです。


「神の化身」と関係するものは何でもユダヤ民族というようなことになっているようですが、時期的にも今は、



 2015年08月30日


と、続くこちらの記事などで記しましたように、


・ユダヤ教の救世主メシアが9月以降に到来する

・イスラム教の救世主マハディが9月以降に到来する


というシンクロした噂というのか、そういう類いの話が大いに盛り上がっているわけですが、もともとは「アフリカの黒人回帰主義」としての意味合いも高いジャマイカのラスタファリ主義は、


・黒人の救世主


を待ちわびているのかもしれません。


そして、私たちのような宗教・主義のない人たちは、そのような救世主というようなややこしいものは出来れば来ないで、平穏に進んでほしいと思っているのかもしれないですし、そうではないのかもしれません。


さて、9月に組み込まれた救世主騒動は、どのような形で発動するのか、あるいは、しないのか。






神の言葉の真実は?


ところで、上の記事にあります「契約の箱」に入っているのは、モーセの十戒ということなんですが、下のようなものです。



モーセの十戒

1. 主が唯一の神であること
2. 偶像を作ってはならないこと
3. 神の名をみだりに唱えてはならないこと
4. 安息日を守ること
5. 父母を敬うこと
6. 殺人をしてはいけないこと(汝、殺す無かれ)
7. 姦淫をしてはいけないこと
8. 盗んではいけないこと
9. 偽証してはいけないこと
10.隣人の家をむさぼってはいけないこと


うーん・・・現状を見ますと、いろいろと教えから曲がってきているようです。


特に、「偶像を作ってはならない」とか「神の名をみだりに唱えてはならない」などについては、信仰の厚い人ほど、家にも「偶像」を置いたり、熱心になればなるほど、「神の名」をとなえる傾向にありますので、むしろ、無宗教の人たちが最もこの戒律を守っているのかもしれません


他の、盗みや姦淫や偽証などもそうですが、現代社会は、十戒がほとんど守られていないことにも気づきます。

そもそも、「戦争」なんかも、「汝、殺すなかれ」に背いています。


十戒は、


> 神の意思が記された


とありますが、私たちはかなり背いているようです。



うーん。



十戒・・・神の言葉・・・。


どれが正しいのかよくわからないですが、 30年前に知ったレゲエの合い言葉、


「ジャー・ラスタファリ!」


がユダヤ教の神を称えていたものだと初めて知り、なかなか微妙な感覚になったりしています。


それでも、レゲエの人たちのラスタファリ主義の厳密な実践者は、「聖書の教えをかなり真摯に実践している」ということはいえそうです。


たとえば、上のほうにボブ・マーリーの写真を載せましたが、レゲエの人の中には、あのような長い髪型をしている人が多く、これはドレッド・ヘア(正式には、ドレッドロックス)と呼ばれますが、旧約聖書の下の記述から、このような髪型が守られているそうです。


旧約聖書 レビ記 21章 05節
頭髪の一部をそり上げたり、ひげの両端をそり落としたり、身を傷つけたりしてはならない

旧約聖書 士師記 13章 05節
その子の頭に剃刀をあててはならない。彼は、ペリシテ人の手からイスラエルを解き放つ救いの先駆者となろう

なるほど、聖書にはこういうことも書かれているのですね。


しかし、生きている間ずっと髪を伸ばし続けなければならず、現代生活ではちょっと厳しいですかね。


また、


旧約聖書 箴言 15章17節
肥えた牛を食べて憎み合うよりは 青菜の食事で愛し合うがよい。

というような聖書の言葉などから、ラスタファリ主義者の人たちにはベジタリアンが多いです。


そして、シュミータが終わる 9月13日まで、あと5日です。




  

2015年09月07日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





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▲ 2015年4月3日のライブサイエンスより。






 

最近は、この9月に関係する噂の数々や、シュミータと呼ばれるユダヤの安息日のことなどを書くことが多いのですが、場合によっては、実生活とも関係する話であるかもしれない部分もありますので、そのことを考えることが多かったりします。

最近は、イスラエルの英字メディア「イスラエル・ブレーキング・ニュース」というのを見ることが多いのですが、このメディアは「聖書の視点から時事報道を見る」というようなスタンスなので、ラビの言葉やら予言めいた事柄やらが満載なんですが、8月下旬以降は、下のような、何とも禍々しい記事が連日のように掲載されています。

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▲ 2015年09月02日の Breaking Israel News より。


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▲ 2015年08月26日の Breaking Israel News より。


それぞれの内容は、ほとんど見出し通りで、最初のものは、シュミータに関係する「数字」などが、今年のイスラエルに関しての「何か大きなできごと」を示唆しているかもしれないというものです。

下のほうは、「未来から啓示を受けている」というイスラエルのラビが、戦争がすぐ近くに迫っていると警告したり、といった「オカルトもの」ですが、状況を考えると、それなりに何となく理解できないでもないような、そうでもないような。

そして、ユダヤとイスラエルも今はいろいろとアレですが、「実生活に関係する」といえば、何だか気候が妙ですよね。

これは関東の話ですが、「とにかく晴れない」のです。

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1888年前の日本で起きていた「ノアの方舟」級の大洪水

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RANDOM


春頃から、朝早く目覚めた時は、なるべく外を歩くようにしているのですが、この2週間くらいの私の住むあたりは、朝からほぼずーっと雨で、小雨とか霧雨とか、そんな朝ばかりとなっていて、さすがにこんなに晴れの日の少ない8月中旬から9月というのは記憶にないです。

しかも、天気予報を見る限りは、まだ1週間くらいはこんな天候が続くというような予報になっていて、週末にかろうじて「天気マーク」がついていましたが、そこに、台風17号と18号が発生しまして、週末の日本を直撃する可能性が高くなっています。

これで、週末の何日かぶりの晴れも見込みが薄くなってきそうで、「いつになったら晴れるんだ?」と思いますが、梅雨時でも珍しいほどの晴天なしの日々はまだ続きそうです。

気温もとても低くて、結局冷夏となりりつつある今年の夏ですが、ここまで太陽の出る日が少ないと、そろそろ関東の農業とかには影響がありそうです。

この台風ですけれど、先日、太平洋で、観測史上で初めてとなる「同時に4つのハリケーンが発生」ということが起きていまして、これは、

史上初:4つの大規模ハリケーンが「同時」に発生という異例の現象
 2015年09月05日

という記事に書きましたが、このうちの「キロ」と名づけられたハリケーンが、台風17号となったようです。


太平洋上に同時に発生した4つのハリケーン

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Mark Tarello


何だかもういろいろな現象が「発生し放題」の感がありますが、気候といえば、先日、子どもがテレビのチャンネルを回していて、 NHKスペシャル「巨大災害 第1集 極端化する気象〜海と大気の大変動〜」という番組を見始めたので、私も一緒に見たのですが、その中に「木の年輪」を解析することにより、過去「数千年間」の日本の気候変動の状態を明らかにする研究プロジェクトが紹介されていて、その解析の結果、

西暦127年の日本で、とんでもない大洪水が起きていた

可能性に言及していました。

日本に文献のない時代ですから、正確な状況はわかりようもないですが、年輪の解析から得られたデータでは、その年に、とにかく「ずーっと雨が降り続けていた」ということが示されて、解析からの雨量では、何もかも流し去るような大洪水が起き続けていた可能性が示されていました。

その番組の再現映像などを見ていて、私は「ノアの方舟」に関してのシュメールの洪水神話などを思い出していました。


シュメールの洪水神話

大洪水が聖地を洗い流すだろう。人類の種をたやすために。これが神々の集会の決定であり、宣言である。

あらゆる嵐、しかもはなはだ強大なのが、ひとたばになって襲ってきた。同時に、大洪水が聖域を洗い流した。七日と七夜、大洪水が国中を洗い流し、大舟は嵐のために大波の上でもてあそばれた。

そののち、太陽神ウトゥがあらわれ、天と地を照らした。



ノアの方舟のこの描写では、8日目には太陽が出るのですが、西暦 127年の日本の洪水は、そんな生ぬるいものではなかったようで、どちらかというと、旧約聖書の『創世記』にあるノアの方舟伝説の、


洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかった。


というほうに近かったのかもしれません。

沖縄以外の日本には「洪水伝説はない」とされていたと記憶していますが、伝説どころか、明確に、今から 1900年ほど前に大洪水があったということが今になってわかったということのようです。

以前、カルデラ破局噴火の記事を書いた時に、

地球には同じ系統の文明を継続させないメカニズムがある

として、常に「リセット」が繰り返されることを書いたことがありますが、洪水にも同じような意味合いがあるのかもしれません。

昨年の、

水は浄化なのか、それとも単なる害悪なのか…
 2014年05月27日

という記事に、ルーマニアの宗教学者、ミルチャ・エリアーデという人が、『世界宗教史』に書いた記述を掲載しています。


ミルチャ・エリアーデ『世界宗教史』より

洪水の原因は人間の罪であると同時に世界の老朽化であることが確認される。
宇宙は、生存し、生産するという単なる事実によって、しだいに退化し、ついに衰亡するのである。これゆえに、宇宙は再創造されなければならないのである。
言いかえれば、洪水は新しい創造を可能にするために「世界の終末」と罪に汚れた人間の終末を大宇宙の規模で実現するのである。



> 洪水は新しい創造を可能にするために「世界の終末」と罪に汚れた人間の終末を大宇宙の規模で実現する

という、この人の主張が正しいのであれば、今後もなお「洪水の時代」が続くことも不思議ではないです。

過去の洪水に関しては、エベレストの山頂部からアンモナイトの化石が見つかったりもしていて、これが洪水によるものなのか、地層の隆起によるものなのかはわからなくとも、地球の動きがダイナミックであることはわかります。

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▲ 1960年代に、エベレストの山頂に近い地層で発見されたアンモナイトの化石。過去記事より。


なお、ノアの方舟の伝説のほうに関しては、

ノアの大洪水は紀元前 5000年に実際に起きていた: 黒海の放射性炭素測定によるひとつの実証
 2012年12月13日

という記事でご紹介したことがありましたが、黒海周辺に限っていえば、 5000年ほど前に起きていた可能性が高いという主張があります。

その時の状況の予想は、海洋探検者ロバート・バラード氏の描写では、

「あっという間に水が激しくこの場所を突破し、土地を浸水しました。そして、150,000平方キロメートルの土地が一瞬にして沈んだと考えられます」

というようなものでしたが、NHK で再現していた日本の 1900年前の洪水も何となく似た風情を漂わせるものでした。

そして、その NHK の番組では、タイトルが「極端化する気象」というだけあって、今後そういうようなことも増えるかもしれないということを述べているものでもありました。

まあ、もう気象は荒れていますから、そんなに意外感はないですが、「大洪水」ということに関しては、ずいぶんと以前から気にかかる現象ではありまして、In Deep でも、洪水の記事はかなり多く書いています。

そして、それは、さきほどのルーマニアの宗教学者の言葉などからも、「終末」という状況に対応できる概念であるからこそ、たとえば、最近の「2015年9月という「終末」の月」という記事とも関連する部分もなくもないのだという気もしないでもないです。

というわけで、「終末」つながりということで、今回もユダヤ教とかイスラエルとかと少し関係した報道をご紹介します。

冒頭に貼りましたアメリカの科学メディア、ライブサイエンスの記事です。





聖地エルサレムで起きていること

ご紹介するのは最近の記事ではなく、今年の4月の記事で、わりと興味深いものではあったのですが、当時、ご紹介する機会がありませんでした。

そして、最近書いていました一連のユダヤとかイスラエルの記事を書いている中で、この記事のことを思い出したのでした。

記事の内容は、

エルサレムに巡礼に訪れる外国人に、精神に異常をきたす人たちがたくさんいる

ことを説明したものでした。

その数は、1980年から 1993年の間で「巡礼に来た外国人 1200人が精神病院に入院している」という、かなりのものです。

入院ということは、それなりに重い状態だと思いますので、もう少し軽い状態の人たちはさらにいるのではないかとも思いますが、調査は、入院した人たちだけを対象に行われています。

そして、最初のほうに載せました「イスラエル・ブレーキング・ニュース」などの記事のように、今年あたりは、ユダヤ教とイスラエルの過去の歴史に詳しい人であればあるほど、信仰への「畏怖」や「熱狂」は増大しているような感じもありますので、メンタルへの影響も通常より大きくなりそうな気がします。

その記事をご紹介します。

なお、記事中に「トゥルーマン・ショー」という言葉が出てきますが、これは、1998年のハリウッド映画のタイトルで、下のようなストーリーです。

トゥルーマン・ショー - Wikipedia

彼(主人公)は生まれたときから人生の全てを24時間撮影されていた。彼は「アメリカ合衆国公民」ですらなく、人生がそのまま「リアリティ番組」として世界220ヶ国に放送されていた。彼の住む街は万里の長城に匹敵する巨大ドームのセットであり、周囲の人物は全て俳優なのであった。

それでは、ここから記事です。




Bizarre Syndrome Makes Visitors to Jerusalem Go Crazy
livescience 2015.04.03


奇妙な症候群がエルサレムへ巡礼する人々を狂気に駆り立てる


Jerusalem-1.jpg
insightguides


世界中のキリスト教徒とユダヤ人たちは、イースターの休日と過越(すぎこし)の祭を祝うために準備し、多くの人々がエルサレムの街に集まる。

古代から、ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教 にとって、エルサレムは世界最大のいくつかの宗教の巡礼者たちを惹きつけ続けてきた。

しかし、これらの訪問者のうちの中には、数が多いわけではないが、エルサレムへの畏敬の念が、病理となっていく場合がある。

言葉を換えると、エルサレムへの訪問が、人々に強迫観念を植えつけたり、妄想にとりつかれたり、他のさまざまな精神疾患の引き金となることがあるのだ。

何人かの精神科医たちは、この現象を「エルサレム症候群」と名づけており、この状態が、それまで精神疾患にかかったことのない人たちに起きると言う。

しかし、一方では、エルサレム症候群という診断に異議をとなえる精神科医たちもおり、彼らは、これは広範囲な部分の精神疾患の一部である可能性があり、エルサレムに原因があるのではないと述べる。

ニューヨークのアルベルト・アインシュタイン医学校の心理学訓練の監督官であるサイモン・レゴ( Simon Rego )氏は、「私は、エルサレム症候群のような症状については、それ以前に聞いたことがありません」と、エルサレム症候群に否定的な見方をする。

「このようなことは、文献の中に定期的に出現します。そこでは、医者たちが、それまでにない症状を発見したと思っているのです」

しかし、このエルサレム症候群は、本来的に持っている根本的な精神疾患の結果である可能性もあるとレゴ氏は述べる。

エルサレム症候群は、西暦 2000年に初めて確認された。

イスラエルの精神科医たちが、1980年から 1993年の間に、エルサレムを訪れた人たちが「エルサレムで深刻な精神的な問題に陥る」ことにより、エルサレム市内にあるクファルシャウル精神保健センターに入院した 1200人の観光客たちを調査した結果を、英国の医学誌ブリテン・ジャーナル・オブ・サカイアトゥリー( British Journal of Psychiatry / 英国の精神医学)誌で報告したのが最初だ。

研究者たちは、3種類のエルサレム症候群を同定した。

エルサレム症候群の第1のタイプは、もともと精神疾患に苦しんでいた人たちが含まれるが、その多くの人々が、それ以前から、「自分は聖書に出てくる人物」だと信じている人たちだった。

たとえば、妄想型統合失調症の持病を持っていた一人のアメリカ人観光客は、自分は聖書に登場するサムソン(旧約聖書 士師記13〜16章に登場)だと信じていた。

そして、彼は「嘆きの壁」で石のブロックのいずれかを移動させなけれはならないという強迫に駆られて、イスラエルを訪問していた。 このアメリカ人は、いくつかの騒ぎを起こした後、警察から病院に移送された。

症候群の第2のタイプの患者たちは、本格的な精神疾患を有してはいないが、いくつかの精神疾患の兆候を示す。

この第2のカテゴリには、たとえば、イエス・キリストの再臨を待つためにエルサレムに定住する非主流派のキリスト教団体の一部の人々などが含まれる。

このタイプとして、研究者たちは、「真の」宗教を見つけることに取り付かれた健全なドイツ人の例も挙げている。このドイツ人は、ユダヤ教を研究するためにエルサレムを訪れたが、聖墳墓教会(エルサレム旧市街にある、イエス・キリストが十字架にかけられ、埋葬されたとされる場所に建つ教会)で、精神病的な状態に陥ってしまう。

第3のタイプは、エルサレムに来る前には、いかなる精神疾患歴もない人々だ。彼らは、エルサレムを訪れて滞在している間だけ、精神疾患の様相を呈したが、イスラエルを出国した後には、全員が自然に回復した。

この第3のタイプのエルサレム症候群の数は、調査した 1200人のうちのたった 42人だけだった。

しかし、このようなエルサレム症候群の分類については、これまで多くの精神科医たちから非難を受けてきた。

同じ医学誌に論文を発表した他の研究者は、このエルサレム症候群の症状の状態の記述に、医学的条件を満たす疫学的データが含まれていないことが「残念」だと述べている。

このような状態を発症する個人のリスクを増加させることができる因子、または過去の有病率などからの要因のデータが不足しているという。

ニューヨークのレノックス・ヒル病院の臨床精神科医、アラン・マネヴィッツ博士( Dr. Alan Manevitz )は、エルサレム症候群は、精神病のリスクを持っている人たちが、他の国に行ってストレスを受けたり、宗教的意味に没頭することにより生じているに過ぎないと考えている。

「精神的に脆弱な人々が、周囲の状況に触発されて、それらの症状が起きているのだと思っています」と、ライブサイエンスに語った。

また、サイモン・レゴ氏は、このような精神病の症候群は、エルサレムに特有のものではないことに同意している。都市に影響を受ける可能性はあるにしても、それが原因ではないと彼は言う。

「エルサレムを訪れることが純粋な原因だった場合、エルサレムを訪れた人が誰でもそうならなければならないはずです」とレゴ氏は語った。

心理学の領域では、伝えられる多くの独特の精神病症候群の例があったと、レゴ氏は述べる。

「文化や環境などからの歴史的要因が、妄想の出現に影響を与える可能性があります」と彼は言う。

例えば、ハリウッド映画『トゥルーマンショー』(1998年)では、その主人公は、彼のすべての生活が実はテレビ番組のショーであることを知らずに生きているという話だったが、映画の公開後、モントリオールの精神科医たちは「トゥルーマンショー的な妄想を持つ患者たち」の症例を報告している。

彼らは、自分の生活は実際の生活ではなく、テレビのリアリティ・ショーで作られたセットの中に自分は住んでいると思い込んでいた。

1940年代には、アメリカの多くの人々が、自分はラジオ電波を通じて、何らかの方法で自分がコントロールされているという妄想に苦しんだ。




  
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