アメリカの国立科学財団が、これまでの歴史で地球を見舞ってきた、太陽のCME(コロナ質量放出)によって引き起こされた惑星間擾乱で地球に災害を生んできた巨大な太陽の嵐を予測するシミュレーションシステムの研究を紹介しました。その記事をご紹介します。アメリカ国立科学財団は、発表に慎重な財団といわれています。
記事に出てきます「キャリントンの嵐」については、 巨大磁気嵐と人間の文明:1859年の太陽嵐が示すもの(Wired Vision 2009年09月09日)に詳しいです。
ここから記事です。
アメリカ国立科学財団 ( National Science Foundation ) 2010年03月17日
太陽嵐の想定外の脅威
1859年9月1日〜2日にかけて、太陽は、記録破りの大規模なCME/コロナ質量放出を起こした。このCMEで、非常に多くのガスと最大10億トンとも推定される巨大なプラズマを噴出した。
そのCMEは地球磁気圏に一時入り、地球に激しい地磁気嵐を引き起こした。
その結果、空には、オーロラが、キューバとエルサルバドルと同じくらいまで南でも観測され、当時で最もハイテクな技術の通信装置であった電報システムを世界中で破壊してしまった。
この「キャリントンの嵐(Carrington Storm)」と呼ばれる1859年の地磁気嵐は、今まで記録された中で最も大きい地磁気嵐であった。
「キャリントンの嵐」は比較的低いテクノロジーの下で起きたので、その破壊は大きな被害を免れたが、もし、現代にキャリントンの嵐のようなものが、今の私たちのITに依存する社会を見舞ったらなら、何が起こるかわからないと言える。
米国科学アカデミー(National Academy of Sciences)のレポートによると、キャリントンのような嵐は現代に滝のような悲劇を起こす引き金となるかもしれない。
変圧器を含む相互接続された送電網の機能を破壊し、停電が最大1億3000万人に影響し、それらによってサポートされている下水システム、電子運輸機構を破壊し、また、システムの崩壊は、飲料水、食物、薬、および燃料の配信を止めてしまう。
しかし、実際には地磁気嵐で重大な被害を引き起こすためには、「キャリントンの嵐」の記録破りの力に達する必要さえない。
近年、より弱い地磁気嵐は、衛星のような技術システムを破損して、宇宙飛行士の放射線被曝を増加させ、コミュニケーションとナビゲーションシステムを混乱させ、多数の都市で停電を起こした。
CMEは、太陽の材料の水面下運動で発生し、太陽の表面磁気に関連がある太陽黒点活動におけるピークに関連している。
黒点活動は11年毎に関してピークに達し、この11年のサイクルは太陽の磁場の反転の22年のサイクルまで順番に関係づけられている。
NSFからの基金でNCARの科学者は現在、CMEの発生を予測するための研究をしている。