酸素なしで生きる多細胞の動物を発見
朝日新聞 2010年04月13日
ギリシャ・クレタ島に近い地中海の海底の堆積物から、 酸素なしで生きる動物が見つかった。一部の細菌など単細胞生物が、酸素なしで生きることは 知られているが、多細胞の動物は初めて。イタリアとデンマークの研究チームが英オンライン 生物誌BMCバイオロジーに発表した。
チームが調査した堆積物は、塩分濃度が特に高い水がたまったところの下にあり、普通の海水との接触がなく酸素が全く含まれない。だが、この10年間で3回調査した結果、軟らかい体を硬い殻のようなもので包む1ミリ以下の小動物(胴甲動物)3種類が生きていることがわかった。 これらは、堆積物の中で一生を過ごしており、酸素なしでも生活のためにエネルギーを得る機能を進化させているらしい。
英テレグラフ紙は今回の発見について「(酸素がない)地球以外の惑星に、生命が 存在する可能性を調べるのに役立つかもしれない」との専門家の見方を紹介している。
代謝:起源の古い酸素生成経路
nature asia-pacific 2010年03月
オランダの排水路の淡水性堆積物から分離された微生物で、亜硝酸および硝酸の還元に伴う嫌気的メタン酸化で酸素を生成するという、今まで知られていなかった経路が発見された。この反応を行う細菌の全ゲノムが組み立てられ、好気的メタン酸化の遺伝子が含まれることが明らかになった。
この細菌は、一酸化窒素2分子を窒素と酸素に変換することによって亜硝酸を還元し、脱窒中間体として知られる亜酸化窒素を迂回している。
この発見は、環境中の窒素およびメタン循環に関係するとともに、太古の地球に窒素酸化物が存在していたことから、酸素発生型光合成の出現以前に微生物が利用できる酸素供給があった可能性を提起している。