2010年08月11日



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食糧援助小麦の95パーセントをロシアから購入していた国連世界食糧計画が陥った小麦不足



Russia wheat ban may slash food aid to millions, says WFP
Dow Jones Newswires 2010.08.10

ロシアの小麦輸出禁止は食糧援助にむち打つものだ - 世界食糧計画

img_4c6157785f566_8080.jpgロシアの小麦輸出禁止措置により、発展途上国に届けられる食糧援助の量が削減されることになり、世界のもっとも貧しい何百万人の人々は飢えていくことになるかもしれないと世界食糧計画( WFP )は警告した。

WFP のスポークスマンがダウ・ジョーンズ・ニュースワイヤーに語ったところによると、ロシアの輸出禁止によって小麦価格が急騰しており、このままでは小麦の入手が滞る恐れがあり、現在、ロシア側に人道支援用に関しての小麦輸出禁止の免除の方策を探しているという。 WFP は国連の機関で、人道的な食糧援助機関としては世界でもっとも大きい。

「この高い小麦価格がさらに多くの人々を飢えさせていくのは明白だ。現在、私たちは、人道援助のための輸出禁止の免除を求めている」と、 WFP のスポークスマン、キャロライン・ハーフォード氏は述べた。

WFP は2009年、人道危機や紛争地帯を含む73の国に食糧を供給した。 WFP が2009年に購入した食糧260万トンのうちの3分の1以上は小麦で、小麦の不足は、非常に多くの人道援助に影響する。

WFP の小麦の約95パーセントは、ロシアの黒海周辺で生産されたもので、この地域は、世界の小麦の約4分の1を生産している。しかし、この地域一帯は今年、猛烈な干ばつによって、多くの収穫を失った。そして、ロシア政府は、8月15日からロシアからのすべての穀物の輸出を禁止すると発表した。

2010年の最初の7ヶ月間に WFP が購入した55万トンの小麦のうちの68パーセントがロシア産で、残りはウクライナとカザフスタンからのものだ。

WFP のハーフォード氏は、ロシアの輸出禁止が WFP には免除されることを期待しているとしながらも、あまりにも WFP がロシアからの食糧供給に傾いていたことに関しては再考しなければならないかもしれないと語った。

「ロシアに過度に依存している現在の状態は警戒を要するのかもしれない」と付け加えた。

現在、小麦価格は急騰している。
生活必需品の安価な小麦の供給が不足するのではないかというおそれで、小麦価格は50パーセント以上急騰し、先週、過去2年間で最高の価格に達した。


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タグ:食糧危機