2010年08月11日



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発症後の致死率 100%の狂犬病から生還した患者に行われた「ミルウォーキー・プロトコル」という治療法



(訳者注) 昨年の報道です。下の2つの報道を合わせて文章にしました。ちなみに、記事では「16人のうち3人しか治療は成功していない」とありますが、それまでワクチン接種なしで狂犬病の発症後に生き残った例は歴史上でゼロでした。

First Brazilian to be cured from rabies discharged from hospital
Xinhua 2009.09.20

2008年9月に狂犬病を発症しながら回復した16才のブラジルの少年について
厚生労働省検疫所 - 海外感染症情報 2009年09月20日
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ブラジルでは初めての狂犬病から回復して退院した16歳のブラジルの少年

ブラジル人として初めて狂犬病から回復した患者が、2009年9月18日に、ブラジル北東部にあるペルナンブーコ州のレシフェ病院から退院した。

就寝中にコウモリに噛まれたこの16才の少年の患者は、2008年9月に狂犬病を発症し、10月に入院してから100日以上を集中治療室で過ごした。

治療にあたったオスワルド・クルース病院によると、この患者は、狂犬病のために歩行困難や言動障害が見られたという。今後も治療が続けられ、股関節の手術も受けることになっている。

この少年に対しては、いわゆるミルウォーキー・プロトコル ( Milwaukee protocol ) と呼ばれる、2004年にアメリカで開発された実験的な方法に沿った治療法が行われた。これは、患者を薬物により昏睡状態にし、抗ウイルス薬・鎮静薬・麻酔薬を使用する方法だ。

これまでに世界中で16人の患者にミルウォーキー・プロトコルが行われた。治療成功例はこの患者を含め3人だけで、後の2人は米国の10才と16才の少女だ。

狂犬病は非常に致死性が高い。イヌ、ネコ、コウモリ、キツネ、ウシなどの動物の咬傷により感染する。この疾患は神経系を侵し、麻痺、不安、幻覚などの症状を引き起こす。


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参考資料:狂犬病 - Wikipedia - 「予後」より。

発症後の死亡率はほぼ100%で、確立した治療法はない。記録に残っている生存者はわずか6人のみで、そのうち5人は発症する前にワクチン接種を受けていた。

2004年10月、アメリカ合衆国ウィスコンシン州において15歳少女が狂犬病の発症後に回復した症例がある[8]。これは発症後に回復した6番目の症例であり、ワクチン接種無しで回復した最初の生存例でもある[9]。この際に行われた治療はミルウォーキー・プロトコル(Milwaukee protocol)と呼ばれており、治療法として期待されているが、回復に至らず死亡した事例もあり研究途上である。

近年ではこの治療法により10歳のアメリカ人少女、また2008年10 月、ブラジル・ペルナンブーコ州の16歳の少年が歩行困難と発語困難により依然として治療を続けているものの回復に至る。これまでミルウォーキー・プロトコル治療は全世界で16名に対して行われたが、現在の成功症例はこの3人のみである。

「最も致死率が高い病気」として後天性免疫不全症候群(エイズ)とならんでギネス・ワールド・レコーズにも記録されている。




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参考記事:
狂犬病が流行しているバリ島では今年だけで34000人が犬に咬まれている (2010年08月07日)
米国フロリダで狂犬病警報発令 (2010年06月04日)
バリ島で猫に咬まれた女性が狂犬病で死亡 (2010年05月18日)