2010年08月14日



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小麦さび病 Ug99 で世界の小麦生産量の3分の1がダメージを受ける恐れ



IRAQ: Wheat rust infection fears
IRIN 2010.08.10

イラク:小麦さび菌の感染拡大のおそれ

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・バスラでのパン作り。イラクでの小麦消費量は今年、450万トンから500万トンを見込む。


イラク当局によると、イラクでは、2009年から2010年の小麦収穫量のうちの10分の1以上が、殺人真菌の影響を受けたという。

当初は、小麦さび病による損傷は Ug99 の変異体ほど強烈ではなかったが、温暖な天候と高い気温が続いたために、昨年から感染率が急激に上昇したと、イラク農業省の収穫保護局の局長であるハミード・モハメッド・ジャワッド氏は語る。

「昨年、さび菌によって損傷した作物の最終的な率を我々はまだ知りません。しかし、予備の情報から推測すると、イラクの小麦収穫量の少なくとも10分の1に達していたと思われます」と、付け加えた。

小麦さび病、あるいは小麦黒さび病と呼ばれるこの感染菌は、農業地帯にある作物を完全に全滅させることができるほどのものだ。

病原体は、植物の茎に入って、維管束組織を破壊する。

小麦にダメージを与えることのできる小麦さび病には3種類あるが、その中でも、Ug99 の変異体である黒さび病は手がつけられないものだけに、もっとも恐れられている。

Ug99 は、1999年にウガンダで発見され、その後、すぐにケニヤとエチオピアに広まった。そして、紅海を渡り、イエメンに広まった時には Ug99 はさらに致命的な形態の菌となって姿を現した。

2007年にはイランに入り込んだ。

そして、もうひとつの変異体が2009年に南アフリカで発見された。そして、4つ目のさらに違う形態が、2010年7月に科学者によって発見された。

国連の食糧農業機関(FAO)では、現在、26カ国が Ug99 の危険に晒されている国としてリストされている。これによって、世界の小麦生産の約3分の1に脅威を与える可能性がある。

また、最近飛び込んできた関連する悪いニュースとして、ロシアと東ヨーロッパの不作のために、2010年の世界の小麦収穫予測が大きく下方修正された。

イラク農務省のジャワッド氏は、「今のところは、イラクが Ug99 に襲われるのかどうかはよくわかりません」と言う。

「Ug99 は現在、シリア、サウジアラビア、そして、イラクと国境を接しているイランにまで到達しています。しかし、イランからイラクに入ってきたかどうかはまだ確認していないのです」

ジャワッド氏は、イラクの小麦が Ug99 に感染していないかどうかを測定するために、ケニアの FAO の研究所に小麦のサンプルを送ったという。また、イラク農業省では、さび菌感染症の範囲を測定するため、この2年間でイラクのすべての小麦生産地帯に調査隊を送ったという。

その調査は今年5月に終了したが、調査結果が出るのは来年2011年だ。


増加している小麦の生産量

さび菌感染症にも関わらず、イラクの2009年から2010年の小麦収穫量(275万トン)は、2008年から2009年までの収穫量(170万トン)より、61.7パーセント増えたと、当局は言う。

小麦シーズンは、一般的に9月の遅く、または、10月前半に始まって、4月の遅く、あるいは、5月の前半に終わる。

この収穫の増加の背景には、農民たちへの機材の貸し出し、良質の種、肥料が準備できたこと。そして、政府による農民へのローンの発行と、井戸掘りを援助したことだったという。

イラク北部のニーナワー県は、イラク全土の25パーセントの収穫のあった、もっとも生産的な地域だった。

2番目に収穫量の多かったのは、Ta’amim の近くの県で、全体の13パーセントの収穫。3番目が、ワーシト県の11パーセントだったという。

今年始めに発表された農業省の数字によると、イラクの今年の年間小麦消費量は450万トン〜500万トンであると推定される(小麦収穫量は275万トン)。

このギャップを埋めるには小麦の輸入が必要となる。


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