2010年09月16日
(訳者注) ローレンス・リバモア国立研究所「でも」としたのは、今年4月、日本の国立天文台でも同じ内容の観測結果が発表されていたためです。「生命の素材 宇宙から?…国立天文台など、アミノ酸の偏り作る光観測)」(読売新聞 2010年04月07日)などをご参照下さい。
なお今回の発表は、先日書いたチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士などの研究チームの新しい研究発表を受けてという感じが強いです。それを訳した「[特報]インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した」もご覧いただくと幸いでございます。
ただし、今回のリバモア国立研究所の発表では「単純な分子が衝突などの外的要因によりアミノ酸を作り出した」としているのに対して、国立天文台の観測では、太陽系の周辺にもともとアミノ酸が確認されている(つまり、もともと宇宙に有機物は存在しているという観測結果)という点は違います。
また、ウィクラマシンゲ博士も、もともと彗星内部に生命(あるいはアミノ酸)が存在しているとしていると思います。
ちなみに、 今回のローレンス・リバモア国立研究所は、もともとは、1952年にアメリカの核兵器の研究開発を目的として設立された機関です。
It Came from Outer Space: "Comets Brought Building Blocks of Life to Earth"
Daily Galaxy 2010.09.14
それは宇宙から来た:「彗星が地球に生命の素材を持ってきた」
地球の生命が宇宙から来たという考え方をどうお考えになるだろうか。
米国ローレンス・リバモア国立研究所の科学者たちが最近新しい研究を発表した。そこには、原始の地球に衝突した彗星がアミノ酸を生産した可能性があることを示した。
アミノ酸 -- それは生命の素材である。アミノ酸は生命にとって極めて重要で、タンパク質の素材となる。タンパク質はアミノ酸が線形の鎖状に構成されているものだ。
「生物以前の分子が生産されたか、あるいは地球に持ち運ばれた可能性がある。」と研究チームのゴールドマン氏は言う。
「原始地球は彗星や小惑星の衝突が相次ぎ、それらが膨大な有機物を地球に運んだかもしれないということがわかってきている」。
リバモア国立研究所のゴールドマン氏と他の研究者たちは、彗星の中に、水やアンモニアやメチレン、あるいは二酸化炭素などの単純な微粒子を発見した。これらが突然の圧縮と高熱の発生により、アミノ酸(グリシン)と似た複合体を生産することが可能だったかもしれないということがわかった。そして、これが地球の生命の源となったかもしれないという。
これまで、地球の生命の起源の研究では、もともと地球上に存在していた有機材料から生命が形作られたという考えが主流だった。
しかし、数々の実験と計算では、結局、原始地球での環境では、有機分子が発生する可能性がないことが証明された。(つまり、地球の原始スープから生命が生まれる可能性はないということ)
地球の大気を通過してくる、1.6キロメートルから最大で56キロメートルの大きさの彗星は、表面は非常に高温になるが、内部は比較的高温にはならない。
惑星の表面では、突然の圧縮のために衝撃波が発生する。
以前からあった科学界での考え方では、この衝撃波が作り出す激しい圧力などが彗星の中での化学反応に影響を及ぼし、仮に潜在的に生命の源が含まれていたとしても、分子レベルで破壊されてしまうので、彗星や小惑星からアミノ酸が生産されることはないと考えられてきた。
しかし、ゴールドマン氏たちの研究グループは、地球外の氷による打撃などで惑星に非常に低い温度を生み出すことがあることを突き止めた。
「この状況下だと、アミノ酸などの有機成分は、衝撃による圧縮の間でも彗星の内部の中で合成されることが可能だ。高圧と高温から生き残ることができる」と、ゴールドマン氏は述べた。
「そして、一旦圧縮した素材が膨張した時には、安定アミノ酸は惑星の空気、あるいは海の中で生き残ることができた。これらのプロセスは、宇宙から来た有機素材が、地球上でいわぱ『衝撃により総合された』生物以前の有機種の一団を作った可能性がある」。
およそ 38億年前、地球が彗星や小惑星の激しい爆撃に晒されたすぐ後に地球に生命が現れたという事実は、地球に入って来た彗星と小惑星が重要な合成物を地球に届け続けたとう考え方がより合理的だということを示唆する。
カーディフ大学の科学者であり教授であるチャンドラ・ウィクラマシンゲ氏がアストロバイオロジー(宇宙生物学)・センターで発表した論文には、宇宙からやってきた彗星の内部に有機物と粘土小片の混成を発見したことが記述されている。
ウィクラマシンゲ教授は、生命の起源の1つの理論として、この粘土のかけらが促進剤の働きをしたと提唱する。そして、単純な有機分子を、より複雑な構築物に変たという。
カーディフ大学の研究チームが提唱し、かつて論争を巻き起こした理論として、放射性元素によって何百万年もの間、彗星の内部で水がその液体状態ままで保たれていると提案したことがある。これが初期の生命にとって理想的な「培養器」の役割を果たしたとした。
研究者たちは、我々の太陽系、そして銀河や外宇宙に膨大な同じような状態があるとした。
そして、地球上で(独自で)生命が発生した確率は大変に低く、約 1000000000000000000000000 (24の累乗への10)の 1と計算している。
ウィクラマシンゲ教授は以下のように述べた。
「驚くべき発見が続く彗星の役割は、パンスペルミア(地球の生命は宇宙に由来するという考え方)説に対しての議論を補強している。我々は、それがどのようにして起きるのかというメカニズムも解明しつつある。土、有機分子、水 、の生命に必要な要素がすべてそこにある。長い時間と、膨大な量の彗星たちは確かに地球の生命に関与している。生命が地球上で始まったとするよりも圧倒的に」。
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