2010年10月02日



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太陽のコロナ質量放出 ( CME ) が放出後に進行方向を変えることが NASA の解析により判明



(訳者注) コロナ質量放出 ( CME ) が自由自在に方向を変えるというのは結構ショッキングな発見ですね。CMEに関するこのブログの記事でも、「地球のほうに向いていないからセーフ」というような書き方をしていましたが、磁場の影響によってコースを変えることがあるようです。


Solar Storms can Change Directions, Surprising Forecasters
NASA サイエンスニュース 2010.09.21

太陽嵐が方向を変えるという事実に驚く宇宙天気予報官たち

太陽の嵐は、必ずしも直進するわけではない。
しかし、一旦それが我々の方向に向かってきた場合は、急速に加速して、動きも活発になり、より激しい衝撃を地球の磁場にもたらす可能性がある。

そこで、研究者たちは太陽嵐の 3D構造を解き明かすために NASA の二機の STEREO 宇宙艇からのデータを最新技術で解析した。

image_full.jpeg

・2008年12月12日のコロナ質量放出 ( CME ) 。


「この研究結果は、本当に我々を驚かせました」と、アイルランドにあるダブリン大学トリニティ・カレッジのピーター・ガラッガー氏は言う。

「太陽のコロナ質量放出 ( CME ) は、最初は1つの方向だけに進み始めるのですが、それから方向を変えることがあるのです」。

この結果は研究者たちにとって非常に奇妙だった。
最初は、自分たちの観測が何か間違っているのではないかと考えたという。

その後、研究チームは、何十回もの太陽面での爆発に際し、二重にも三重にも渡るチェックを施しながら爆発の観察と調査を進めた。その中で、彼らは自分たちが「何か」を知りそうなことを感じた。

「我々の 3Dでの可視化モデルから、明らかに太陽嵐は太陽の高緯度から偏向させることができる(途中で方向を逸らすことができる)ことと、そして、そのことによって、最初の段階では被害が与えられる可能性がなかった惑星を直撃してしまう可能性があるのです」と、トリニティ・センター大学院生のジェイソン・バーンは言う。

今回の分析の鍵となったのは、マルチスケール・イメージ・プロセッシング(画像処理)と呼ばれるコンピュータ技術だったという。マルチスケール画像処理は、医学研究で細胞の核を特定したりすることにも使われている技術だ。天文学では天体領域から銀河を見つけるために使われる。

ガラッガー氏と彼の研究チームは、太陽物理学の領域ではこの技術を最初に使った。

「我々は NASA の STEREO からのコロナグラフのデータにマルチスケール技術を適用したのです」。

STEREO-AとSTEREO Bは、遠く離れているので、異なる視点から CME を観測することができる。これによって、研究チームは太陽嵐の雲と軌跡の完全な立体モデルを作ることができるようになった。



・2008年12月に地球に向かった CME の 3Dモデル。(訳者注) CME の進行が大変わかりやすく見られます。CMEファン(?)は必見です。


研究者たちが最初に気づいたことのひとつは、 CME は最初、太陽系の平面から上の方向に向かって惑星から離れようとするが、再び下に戻ってくることだった。

ガラッガー氏は、「これはまた一から勉強をやり直さないといけないかな」と思ったと告白し、そして、しばらくの間はホワイトボードの前に突っ立って、呆然と過ごすしかなかったことを認めた。

しかし結局、この説明は単純なことだった。

「棒磁石と同じような磁場の形を持つ太陽全体の磁場は、気まぐれな CME を太陽の赤道の方へ導くのです。そして、雲が低い緯度に到達した時に CME は太陽風に巻き込まれて、方向を変えていくのです。」

barmagnet_med.jpg

・棒磁石の磁場。


一旦 CME が太陽風に乗ると、空気力学的な結果として大きく加速する。

「宇宙空間での太陽嵐のルートに関しての新しい考察を得たことは、宇宙天気予報の予報官たちにも大きな収穫になったと思います。そして、コロナ質量放出 ( CME ) がいつ到着するかが正確にわかることは、磁気嵐の発生の始まりを予測するために重要です」と、NASA のゴダード宇宙飛行センターの科学者のアレックス・ヤングは語った。

今回の調査結果は、9月21日に発行された学術誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載されている。

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