2010年10月05日



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ゲノム解析からわかった「パンダが肉食だった頃」



Were Giant Panda Carnivores?
Polar Bear News (ブログ) 2010.10.04


パンダって肉食だったの?

ジャイアントパンダは、かつて肉食動物だったという調査結果がある。

なぜ、彼らは主に竹を食べるようににったのか?

2009年にパンダの全てのゲノム配列が解析された際の研究によると、研究者たちは、パンダが肉の旨みを感じる遺伝子を失ってしまった可能性を発見した。(訳者注/記事下にその際の報道記事)


panda_1726130c.jpg


ジャイアントパンダの体は、竹に含まれている少量の栄養を抽出することに適している。彼らの手の指には、5本の指とは別に持っている「第6の指」(訳者注/手首の根本にある橈側種子骨という骨。記事下に補足資料をリンクしました)があり、これが竹を持つことの助けとなる。

そして、重い頭と強い歯を持っており、硬い竹を噛みやすくなっている。また、パンダは腸に消化を助ける非常に強力な腸微生物を持っている。

他の研究では、ヤギの頭と豚の骨のトラップにつけた肉をパンダたちは嬉しそうに食べたとされる。

もし、今後、竹の不足が深刻化してしまった場合に、彼らジャイアントパンダたちは、生存していくためにふたたび肉食動物に戻っていくのだろうか。






関連資料:

・2009年のゲノム解析

肉のうま味が分からない?=「主食は竹」の一因か (時事通信 2009年12月14日)より抜粋。


北京ゲノム研究所などの国際研究チームは14日、詳しく解析した成果 を英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

解読対象は四川省・成都パンダ繁殖研究センターの3歳の雌。DNAのサイズは約24億塩基対、遺伝子数は約2万1000個と推定され、マウスや犬、人間との比較では、約2500個の遺伝子がパンダだけにあった。

肉の消化酵素の遺伝子がそろっている一方で、植物の繊維の主成分セルロースを消化するのに必要な遺伝子がなく、腸内の微生物群に
依存していると考えられる。 また、5種類の基本的な味覚のうち、うま味を感じる受容体の遺伝子が進化過程で機能を失ったと推定された。



・パンダの身体的特徴

パンダに関する基礎知識 - パンダ館より抜粋。

たべもの

竹や笹の葉、タケノコを好みますが、昆虫や齧歯類などの小動物も食べます。また飼育下ではリンゴやニンジン、サトウキビ、牛乳、パンダ団子(トウモロコシ粉や豆粕の粉などを栄養剤と混ぜて蒸したもの)も与えます。しかし主食が竹であることには変わらず、竹以外の食べ物は全体の1%足らずにしか過ぎません。

 パンダは竹という栄養価の低い植物を主食としています。しかし彼らはもともと肉食獣のため、草食獣のように長い腸によって栄養分を充分吸収できません。そのため大人のパンダで1日12〜16kgもの竹を食べなければなりません。調査によると、100gの竹からたったの17gしか栄養分を摂取できないとのことです。対照的に、シカなどの草食動物は、100gの草から80gもの量を栄養分として吸収するそうです。




身体的特徴

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パンダは竹をしっかりと手で握って食べますが、これは5本の指と、手首の根本にある橈側種子骨(とうそくしゅしこつ)という「偽の親指(第6の指)」によって掴むことができるからだと考えられてきました。ヒトやチンパンジーが持つ、手の親指が他の4指と向かい合ってモノを掴むのに適した特徴(母指対向性)を、パンダは橈側種子骨によって実現するという考えです。

しかし最近の研究によって、第6の指たる橈側種子骨は第一中手骨(だいいちちゅうしゅこつ)という親指の掌の骨にしっかり固定されており、親指のようには自由に動かせないことが判明しました。