(訳者注) 9月23日の翻訳記事「NASA が発表した「2013年 太陽フレアの脅威」の波紋」の中に、
> 最後の巨大なフレアは 1859年に発生し、その際には、地球の空の3分の2が赤いオーロラによって血のように真っ赤に染まった。
という部分がありますが、今回の記事はこのことについて書かれていたものをご紹介します。あくまで、1859年にはこういうことが起きたというわけで、ここまで大きな規模の太陽フレアが現在のサイクル24の中で起きるかどうかは、NASA などのいくつかの宇宙観測機関などが可能性は高いとは言っていますが、どうなるかはわかりません。
記事はここからです。
Solar SuperStorm 1859 – It can happen again
Modern Survival Blog 2010.10.19
1859年の太陽のスーパーストーム: それは再び起こり得る
・米国の送電網。
1859年の太陽のスーパーストーム(巨大な太陽嵐)。それは、 1859年の 9月1日から 2日の間に発生した、記録の上でのもっとも巨大な磁気嵐のことだ。
33歳のイギリスのアマチュア天文家、リチャード・キャリントン氏は、後の歴史的な爆発につながる黒点活動を最初に発見した人物だ。発見したのは、9月1日の木曜日の朝だった。
観測は、カーリントン氏の持つ太陽望遠鏡に11インチ( 27センチメートル)の大きさで太陽表面のイメージが映し出され、彼はそれをスケッチした。
その観測の中で、彼は、急速に成長する黒点群の中に非常に明るい2つの光を発見した。それは太陽自身よりも明るく光った。5分間のうちにフレアは明るさの頂点へと達し、そして消えていった。
次の日の早朝、世界の多くの地域で、非常に明るい巨大なオーロラが目撃された。それは、熱帯地方の緯度の地域でさえ観測された。
同じ頃、ヨーロッパと北アメリカでは、送電線から火花が散り、火災となり、すべての電報システムが使用不可能となった。
・イギリスのアマチュア天文家、リチャード・キャリントン氏と、1859年に彼が書いた黒点のスケッチ。
電報システムはその時代の唯一の先端技術だったが、そのシステムは太陽からの見えざる力でクラッシュした。
しかし、問題は現在のほうが根深い。
当時は送電によって支えられていたものは電報のみだったが、今では文明圏のほぼすべての生活基盤とインフラは、送電網(パワーグリッド)から成り立っている。
米国では、送電網は縦横に 200,000マイル( 32万キロメートル)に渡って伸びており、そして、この国土を縦横無尽に伸びている送電網が巨大なアンテナの役割をしており、太陽の磁気嵐から発生する電流を拾いやすくなっている。
電流が異常に急増することによって、すべてのパワーグリッドの結合に割り当てられている変圧器の銅線を溶かして破壊する。これが壊滅的な問題を引き起こす可能性に繋がる。
これは米国だけではなく、多くの他の国々で同じことがいえる。
最近の注目すべき太陽嵐の例としては 1989年 3月にカナダのケベックで、大規模な地磁気嵐での停電を引き起こし、何百万人もの人が暗闇で生活することを余儀なくされた。
この 1989年のケベックでの被害も確かに甚大だったが、しかし、1859年のスーパー太陽嵐の規模はこの何倍も何十倍も大きなものだった。
・米国の超高電圧(EHV)変圧器のリスク度。
さらに現在の問題として、34万5000ボルト以上の EHV 変圧器(EHVは超高電圧のこと)ネットワークが広がっていることがリスクを大きくしているという点がある。これがもし損傷を受けた場合、その専門の製造のため、文字通り修復に「何年も」かかる。
それがもたらすかもしれない結果の状況はここで説明することではない。 11年の太陽サイクルのピークが近づいている現在、あなた方自身の想像力でそれを考え、計画を立ててみてほしい。
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参考資料: 日本の送電網
電力系統より。
(訳者注) 記事では EHV (超高電圧変圧器)は、34万5000ボルト以上となっていますが、日本では、
・超超高電圧(UHV、500kV)
・超高圧(EHV、220-275kV)
とのことです。
上の図では、太い線と細い線がありますが、太いほうは「超超高電圧」、細い方の一部が、「超高圧」となっているようです。今回記事によりますと、これらが広範囲に破壊されると、修復に大変に長い年月(数年)がかかるということです。記事にもあった、1989年のカナダのケベックでの太陽嵐での送電網の破壊では、復興に数ヵ月かかりました。
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