2010年11月16日



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拡大するコメの危機: 台湾でいもち病発生。タイでは洪水でコメが全滅した地域も



(訳者注) アジアのコメの危機については何度ふれたことがありますが(記事下の関連記事にリンクしておきます)、さらに深刻になっています。タイでは、11月5日に記事にしたタイの洪水で、多くの地域で稲が壊滅的な被害を受けました。
台湾でも台風での稲作被害と共に、稲作で最大の脅威の病原菌「いもち病」が発生しました。

その2つの報道をそれぞれ概要として書いておきます。





◎ タイ/歴史的な大洪水で稲に壊滅的な被害

Drowned Hopes - Tough times lie ahead for stricken farmers
バンコクポスト 2010.11.12

消えていく希望 - 農家の人々を待ち受ける厳しい日々

201943.jpg

・ナコンラチャシマ県を襲った洪水によって荒れ果てた水田の中に立ち尽くす米作農家のフーン・ナクチャプーさん。2週間前にこの地区を襲った洪水は、過去最悪の規模だった。


この地区の農民たちには、今年二期作の二度目の収穫に対して高い期待があった。
しかし、この地区をかつてない規模の洪水が襲い、この数週間で、彼らの希望は砕かれてしまった。

被害の規模を調べるために、自分の水田を訪問していた58歳の米作農民であるフーン・ナクチャプーさんは言う。

「もう私たちにはできることは何もないのです。洪水があと2週間遅れて来ていたならば何とかなった。2週間以内には収穫が始まる予定だったのです」。

彼女は、洪水による水田の壊滅的な被害を受けて苦しむおよそ 1,000の農家のうちの一つだ。

フーンさんは種と肥料におよそ 30,000バーツ(約 8万円)を使った。1区画の稲田は通常なら、1キロにつき 9バーツで売ることができるコメが 700キロ生産される。洪水がなければ、彼女は自分の水田から 63,000バーツ( 17万円)を得ることができた。

54歳の米作農民のサムチンタナ・ポルチンプリーさんも、洪水で6区画の稲田を失った。彼女は、コメで得られる収入を子供たちの教育費用と借金の支払いに充てる予定だったが、期待される収入が水の泡となった今、どうすればいいのか困り果てている。

「当局の灌漑部が今年後半に水を排出してくれるのかどうかは、私にはわかりません。もしそれがなかった場合、次の収穫のために来年まで待たなければならないのです」と彼女は言う。

洪水による水田の損害への補償は1区画につき600バーツ( 1,600円)とされているが、今年、タイ政府は1区画に 2,098バーツ( 5,600円)支払うと発表した。

当局の調査は、地域の水田の70パーセント以上がひどい被害を受けていることを報告した。





◎ 台湾/コメの台風被害といもち病発生

Farmers call for higher compensation for typhoon damage
フォーカス台湾 2010.11.11

台風被害に対して、より高い賠償を求める農家グループ

2010111100361.jpg国際的な商品市場が上昇している中、台湾の農家グループは、台風関連の被害の補償額と、政府購入価格の価格を引き上げることを台湾農業委員会に呼びかけた。

81歳の農民ヒュアン・クンビンさんは、過去2ヵ月の間に台湾を襲った、台風ファナピ(台風11号)と、メーギー(台風13号)により収穫に壊滅的な被害を受けた。ヒュアンさんは 2006年に高品質の農作によって国家的な賞を獲得したこともある。

また、ヒュアンは、いもち病の発生によっても大変な被害を受けた。台湾の政府当局はいもち病を見つけることができなかったと、ヒュアンさんは言う。

台湾農家は生活するためには政府の助成金には依存していない。しかし、自然災害からの復旧のためには政府は援助するべきだとヒュアンさんは言う。

ヒュアンさんは台湾の補償プログラムも批判する。
台湾の補償プログラムでは、補償を受ける資格のある農民において、1ヘクタールにつき、16,000台湾ドル(約 5万円)の補償があるだけだ。これですべての損失をカバーするのは不可能だという。

安い政府の購入価格も農民を苦しめているという。台湾での政府購入価格は、昨年より20パーセント下がり、1キロ13.6台湾ドル(約 30円)だ。

「農民たちはタバコ1パックを買うために5キロの収穫が必要になるのだ」と、農家の1人は言う。


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参考資料:いもち病

いもち病より。

いもち病(稲熱病)とは、イネに発生する主要な病気の1つ。

そもそも、「いもち」という名前が付けられていることから推察できるように、古来から稲に発生する定型的な病気であり、最も恐れられてきた。

いもちが広範囲に発生した圃場では十分な登熟が期待出来なくなり、大幅な減収と共に食味の低下を招く。文書に初めて登場するのは1637年の明における記録である。その後、日本(1704年)、イタリア(1828年)でも記録された。


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In Deep 内の関連記事:

どこの国にもコメがない! : 明白に近づきつつある世界全域での米不足 (2010年10月23日)

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