2010年11月25日



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アインシュタインが存在を予言した現象が実現され、まったく新しい光源「スーパーフォトン」が開発される



実現不可能と言われた「ボース=アインシュタイン凝縮体」のフォトンをドイツ人科学者たちが作り出すことに成功し、新しい発生源の光が誕生した。


(訳者注) 元記事は科学記事で、分子やフォトンだとかの私個人の理解では内容把握に苦しい部分が多々あって、訳も間違いが多いと思います。それでも、あえてご紹介させていただいた理由は、大きく2つあります。

ひとつは、それが「光」だからです。ここでいう光というのは、自然科学分野での光(目に見える意味での光)には違いないのですが、しかし、「光」という言葉は宗教や人生哲学でも非常に多く使われる言葉です。それだけ人間の価値観に直結している「光」という存在の「まったく新しいもの」が開発されたという意味に何となく感じ入る部分があったためです。

Wikipediaから引用した、光にまつわる様々はこんなものがあるようです。

・『新約聖書』ではイエスにより「私は、世にいる間、世の光である」(ヨハネ福音書 9:5)と語られる。

・またイエスは弟子と群集に対して「あなたたちは世の光である」(地の塩、世の光)と語る。

・ディオニュシオス・アレオパギテースにおいては、父なる神が光源であり、光がイエスであり、イエスは天上界のイデアを明かし、人々の魂を照らすのであり、光による照明が人に認識を与えるのだとされた。

・プラトンの有名な「洞窟の比喩」では、光の源である太陽と最高原理「善のイデア」とを結びつけている。

・プロティノスは「一者」「叡智(ヌース)」「魂」の3原理から世界を説明し、光の比喩で世界の説明を論理化した。

・グノーシス主義では光と闇の二元的対立によって世界を説明した。

・仏教では、光は、仏や菩薩などの智慧や慈悲を象徴するものとされる。



それほど重要な光の、今までは違ったソースのものを人類が作ることに成功したというのは、なんとなく意味があるニュースなのかもなあと思った次第であります。

なお、この光の開発で重要になる「ボース=アインシュタイン凝縮」という概念は私は今回初めて知りました。従って、何のことだかわかりません。コトバンクより抜粋させていただきます。


ボース‐アインシュタイン凝縮

ボース‐アインシュタイン統計に従う粒子系においては、温度を下げるか、あるいは密度を増大させた場合に、すべての粒子が最低エネルギー状態に収容されてしまうことが示される。この状態のことを、ボース‐アインシュタイン凝縮という。この最低エネルギー状態にある粒子は運動エネルギーがゼロとなるので、気体の圧力には関係しなくなる。



・・・・・・情けないほどわからない(悔しい←苦笑)。
というわけで、ボース‐アインシュタイン凝縮のプロセスを理解しないままの訳だということをご承知おき下さい。

もうひとつの理由は、記事にも出て来ますが、この技術が、フォトボルタイクスという光電変換の技術に応用できるのではないかと書かれてあることです。つまり、「光を使ったエネルギー」のことですが、個人的にはこのあたりの技術が、もっとも「純粋なフリーエネルギー」に近い概念なのではないかという感覚はあります。

なお、オリジナル記事でのフォトン( photon )には、光子という日本語もありますが、むしろ馴染みがない感じがしますので、原文通り、フォトンと表記します。




Physicists Create New Source of Light: Bose-Einstein Condensate 'Super-Photons'
サイエンス・デイリー 2010.11.24

photon-bonn.jpgドイツ・ボン大学の物理学者たちは、いわゆる、ボーズ-アインシュタイン凝縮と呼ばれるフォトン(光子)から、完全に新しい光を作り出すことに成功した。世界中の専門家たちは、最近までこれは不可能だと考えていた。

この方法は、X線の範囲で働くレーザーと似た新しい光源を設計するようなものである可能性がある。これ強力なコンピュータチップを作り出すことを可能とし、他にも様々な用途において役に立つ可能性がある。科学者たちは、学術雑誌ネイチャーの最新刊において、この発見について報告している。


ルビジウム原子を徹底的に冷却して、十分な数を集め、小さな空間に凝縮させると、それらは突如見分けがつかなくなる。そして、これらはまるでひとつの巨大な「スーパー粒子」のように振る舞う。これを物理学者たちは、ボース=アインシュタイン凝縮体と呼ぶ。

しかし、残念なことに、このボース=アインシュタイン凝縮という考えは、基本的な問題に直面する。フォトンは「冷却されていく時に消えてしまう」のだ。数ヶ月前まではその問題に対応することは不可能だと考えられていた。

しかし、ボン大学の物理学者であるクラウス・ジュリアン・シュミット博士とフランク・ヴューインガー博士、そして、ボン大学の教授マーティン・ウィーツ博士は、これに成功した。


光の熱はどのくらいか?

電球のタングステンフィラメントが熱され輝き始める時には、最初は赤く、それから黄色となり、最終的には薄青い感じになる。このように、光の各々の色には「形成温度」(色温度)を割り当てることができる。

青い光は赤い光より暖かい。しかし、たとえば、タングステンは鉄と違う輝き方をする。物理学者たちが、いわゆる黒体と呼ばれるモデルに基づいた色温度調整をするのは、その理由による。

(訳者注) 黒体とは、光や電磁波などを全て吸収する性質を持った理想的な物質のこと。


この黒体が摂氏 5,500度の温度まで加熱されれば、日中の太陽の光とほぽ同じ色となる。言い換えれば、日中の太陽光の明るさは、摂氏 5,500度の熱があるということにもなる。あるいは 5,800ケルビンの少し手前だ。

(訳者注) ケルビンは、温度を表す国際単位。上記に出てきている色温度の単位にも、ケルビンが使われる。


黒体がクールダウンされるときには、いくつかのポイントでは、もはや、目に見える範囲では光を発しない。その代わりに、目に見えない赤外線のフォトンを放つだけになる。そして、同時にその放射線の強さは減少する。

つまり、温度が下がるにつれて、光子の数はより少なくなるのだ。このことにより、ボーズ-アインシュタイン凝結が起こることを要求される冷えたフォトンを大量に得ることはとても難しい。

しかし、ボン大学の研究者たちは、高い反射率を持つ鏡を用い、その鏡の間に光線を反射させ続けることによって、これに成功したのだ。反射面の間には、フォトンが定期的に衝突して崩壊した顔料分子があった。これらの衝突では、分子はフォトンを「飲み込んで」、それから再び「吐き出し」た。


光でできている凝結体

ボン大学の物理学者たちは、それから、レーザーを使って、顔料溶液を励起状態にすることで鏡の間のフォトンの量を増やした。これによって、冷却した光の粒子を強く凝縮することが可能となり、「スーパーフォトン」(超光子)へと凝結させることに成功したのだ。

このフォトンのボーズ-アインシュタイン凝結体はまったく新しい発生源による光だ。レーザーと似た特徴を持つが、しかし、レーザーと比較して、この光には決定的な利点がある。

「現在、とても波長の短い光、すなわち、紫外線やX線を生み出すレーザーを作り出すことはできない。このフォトンのボーズ-アインシュタイン凝結体ではそれが可能となるはずだ」と、クラウス博士は言う。

この見通しはチップの設計者には朗報だろう。
彼らは、論理回路を半導体に描き出すためにレーザーを使う。しかし、これらは光の波長によって大きく制限されるものだ。

精密作業に関しては、長波長レーザーは短波長レーザーより良くはない。これは、手紙を絵を描く筆で書かなければならないようなこと似ている。

X線放射線は、可視光より非常に短い波長を持っている。原理の上では、X線のレーザーでは、同じシリコンの上により複雑な回路を供給することができるはずだ。

これは、新世代の高性能チップを作ることに貢献する。そして、エンドユーザーへのよりパワフルなコンピュータの登場に結びつく。

また、このプロセスは、分光学やフォトボルタイクス(光電変換工学装置)などの他の用途に役立つ可能性もある。

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関連資料:

もう、今回は難しい言葉だらけで、「訳したもののほうがよくわからない」という事態に陥っていますが(苦笑)、できるだけ参考資料を載せておきます。青文字はすべてリンク先です。

分光学

分光器等を用い高温の試料自身から出た光や試料を透過した光をスペクトルに分け、それを分析(分光分析)して試料の原子、分子、溶液等の性質を研究する光学の一部門。量子力学・原子構造論の発展の実験的基礎を与えた。



フォトボルタイクス(光電変換工学装置) 画像が電気信号に変換されるまでより。

半導体中に光(フォトン)が入ると、光電変換と呼ばれる現象が起こります。半導体の電気現象を記述するエネルギー・バンド図を使って説明すると、フォトンのエネルギーを受けて電子が価電子帯 Ev から伝導帯 Ec に励起され、電子と正孔が発生し、光電流になります。

photo-hikari.gif


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