2010年11月27日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




NASA の土星探査機カッシーニが衛星レアで酸素を発見(地球外探査では初めての直接発見)



(訳者注) これは酸素が見つかったということも大きなニュースでしょうが、個人的には、そのものより、以前の記事の、

海洋地殻深部より炭素を変換するバクテリアが発見される (2010年11月22日)
古代の地球で光合成の出現以前に酸素供給があった可能性 (2010年04月20日)

などでご紹介させていただいた「大気の存在そのものが微生物の存在の証明なのかもしれない」ということと関係しています。
今回は酸素ですので、いろいろと考えられることもありそうです。

参考資料として、 Wikipedia の酸素 というページよりこの部分を抜粋させていただきます。


大気成分中の酸素形成

地球誕生当初、大気中には遊離酸素ガスはほとんど存在しなかったが、やがて古細菌やバクテリアが生じ、少なくとも30億年前には酸素が作られ始めた。当初は海水中の溶解鉄と化合し縞状鉄鉱床を形成したが、酸素ガスが海洋から溢れ始めたのは大規模な大陸変動によって浅瀬が作られた27億年前頃からであった。17億年前には大気中の酸素含有比率は10%に達し、二酸化炭素と酸素の比率が逆転したのは7-8億年前と考えられる。

24億年前の酸素の大量発生(en)が起こった期間、他の元素と結合していない多くの遊離酸素が海中や大気中に溢れ、当時の嫌気性生物の大量絶滅を引き起こしたと考えられる。しかしながら、酸素を用いる呼吸作用を獲得した好気性生物はより多くのATP (アデノシン三リン酸)を作り出せるようになり、地球に生物圏を形成した。この光合成と酸素呼吸は真核生物への進化をもたらし、これが植物や動物などの複雑な多細胞生物が生まれるに至る第一歩となった。



木星のこの衛星レアも上記のどこかの段階か、あるいはずっと以前にその段階を終えていたかもしれません。

ちなみに、オリジナル記事にては生命と関係したことは書かれていません。下の記事に出てくる研究チームの人は「レアには、生命に必要な水がない(から生命はいないだろう)」と述べていますが、過去記事の「宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される (2010年08月26日)」や、「酸素なしで生きる多細胞生物が発見される (2010年04月14日)」などの記事にあるように、地球上で見つかっている生き物でも、極限環境微生物においては、単に「生命の存在」というだけなら、水も空気も必要としない生き物が数多く見つかっています。




Oxygen found on Saturn's moon Rhea
ガーディアン(英国) 2010.11.25

土星の衛星レアで酸素が見つかる

一機の宇宙船が、氷に覆われた土星の衛星レアを上空を低空飛行した際、その大気の中から酸素を検出した。これは地球外では、初めてのことになる。

Saturns-moon-Rhea-007.jpg

・衛星レアとエピメテウスが、土星と土星の輪を背景にして写っている。レアの大気には立方メートルあたり 500億グラム分子の酸素が含まれている。


NASA の土星探査機カッシーニは今年3月、調査でレアの上空 97キロメートルの高度を通過した際に、惑星の大気からごく薄い酸素をとらえた。

これまで、酸素の断片は、ハッブル宇宙望遠鏡などの主な観測施設によって、間接的に様々な惑星や、その衛星で見つけられたことがあっただけで、直接発見したのはこれが初めてだ。

カッシーニの観測装置は、衛星レアの表面に高エネルギーの粒子を激突させることによって、原子と分子、そしてイオンを巻き上げ、その探査によって、衛星の大気にごく薄い酸素と二酸化炭素が存在することを明らかにした。


天文学者たちは、これまで土星に 62個の衛星をカウントしている。その中でレアは二番目に大きな衛星で、ほとんどが氷でできていると考えられている。

「これは、我々が地球外の世界で初めて、直接酸素を見たことになるのです」と、今回の発見を科学誌「サイエンス」に発表した共同研究者のひとり、英国 UCL ムラード宇宙科学研究所のアンドリュー・コーテス氏は言う。

研究チームのリーダーである米国テキサス州のサウステキサス・リサーチ研究所のベン・テオリス氏は、「複雑な化学構造を含む酸素という存在は、もしかすると、太陽系の中の至る所で一般的なものなのかもしれません」と述べた。

「そして、この化学構造は生命に絶対に必要なものです。ただ、カッシーニから送られるデータが示す証拠は、レアはあまりにも温度が低く、また、生命に必要な液体の水の欠けていることを示します」。

レアの大気は、土星のシステムの中で独自に生成されている。
60以上あることが確認されている土星の衛星の中で、レアとタイタンだけは、自分の重力で空間での配置を維持できるのに十分な大きさがある。

天文学者たちは、以前は、木星の衛星エウロパとガニメデに酸素が存在するかどうかを望遠鏡を使って確かめていた。しかし、レアはガス濃度がとても低く、うまくいかなかったという経緯がある。

カッシーニの装置によると、レアのあらゆる場所での大気には、立方メートルあたり 500億グラム分子の酸素と 200億グラム分子の二酸化炭素を含んでいる。

二酸化炭素はレアに閉じ込められているドライアイスから来ているか、あるいは、高エネルギーの粒子がレアの氷に衝突して作られるのかもしれない。または、炭素が豊富な隕石がレアの表面に衝突した可能性もある。