(参考資料1) ヘリテージ財団 ヘリテージ財団 - Wikipedia より。
ヘリテージ財団 は1973年に設立されたアメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く保守系シンクタンク。企業の自由、小さな政府、個人の自由、伝統的な米国の価値観、国防の強化などを掲げ、米国政府の政策決定に大きな影響力を持つ。ヘリテージ財団の活動はこれまでのシンクタンクの概念を変化させた。(中略)
ヘリテージ財団は、1980年代から1990年代前半にかけてのレーガン・ドクトリンの主要な立案者かつ支援者だった。米国政府はこれによりアフガニスタン、アンゴラ、カンボジア、ニカラグアなどで反共主義を掲げて公然、非公然諸々の介入を行い抵抗運動を支援した。また冷戦の期間中全世界的に反共主義を支援した。
(参考資料2) 高高度核爆発 高高度核爆発 - Wikipedia より。
高高度核爆発は、高層大気圏における核爆発。強力な電磁パルス(EMP)を攻撃手段として利用するものである。爆発高度によって分類されるものであり、核兵器の種類や爆発規模などは問わない。(中略)
大気が希薄であることからガンマ線は遠方まで届き、発生した電磁パルスの影響範囲は水平距離で100kmから1,000km程度にまで達する場合がある。この核爆発の影響は、EMPによる電子機器障害がほとんどのため、大量破壊兵器の使用であると同時に非致死性の性格も持つ。
(訳者注) ヘリテージ財団のレポートの全文は、「EMP Attacks−What the U.S. Must Do Now (電磁パルス EMP での攻撃 - 米国は何をすべきか?)」にあります。報告書ではイランが名指しされたりしていますが。
Report warns Obama about 'new' Dark Ages
WND 2010.11.28
「新しい暗黒時代」をオバマ政権に警告する報告書
飛行機が墜落し、車は壊れ、ネットワークとインフラが消滅する。
米国の国家安全の専門家2人がヘリテージ財団を通して、オバマ政権の当局者たちに電磁パルス(EMP)攻撃への準備を進めるように進言した。「想像も及ばないような未曾有の災害」の被害を最小限に食い止めるために、早急に作業を進めるべきだという。
報告書にはこうある。
「どんなグローバルな人道的努力も、何億人ものアメリカ人を飢餓と放射線の暴露と医療不足による死から救う方法はないだろう。そして、この大災害は、合衆国の国境で止まるものではない。多くの送電網がアメリカと統合されているカナダでも、莫大な被害が出る。また、世界の知識層の半数はアメリカにいるが、それらも失う」。
「地球は新しい暗黒時代へと後退していくだろう」と、国家安全の専門家である、ジェームス・キャラファーノ氏とリチャード・ウィーツ氏は報告書で述べる。
ヘリテージ財団は「EMP (電磁パルス)での攻撃 - 米国は何をすべきか?」の、タイトルがつけられたこの報告書を「非公式見解」としている。
数日前に出されたこの報告書には、「米国の核抑止力をさらに現代化し、広範囲のミサイル防衛を含む積極的な保護対策をとることが重要だ」とある。
特に、米国政府は「コミュニケーション手段を保護すること」に対して動くべきだと説明されている。
「EMP 攻撃は、アメリカ合衆国の日常生活に必要な様々を破壊してしまう能力を持つ。電気網、電話網、輸送網、ATMシステム、食料、上下水道インフラなど、多くが破壊される」と報告書にはある。もし、北アメリカ上空の大気圏で高高度核爆発を起こした場合、結果として生じる電磁放電によって、ほとんどすべての一般社会と軍のインフラは、永遠に破壊されるだろう」と、報告書にある。
さらに報告書にはこうある。
「米国への巨大な EMP 攻撃は、想像も及ばないほどの荒廃をもたらす。通信機能は破壊され、輸送システムは止まる。電力は、そのものが存在しなくなる」。
「過去、米国の近代社会に起きた災害や惨事は、 EMP 攻撃がもたらす破局の前には色褪せてしまう」。
「電磁パルスの影響によって、米国の 1億3000万台の自家用車と 9000万台のトラックが動かなくなる。米国の鉄道網はすべて電力で動いている。航空産業はすべて破壊されるだろう」。
「米国での食料インフラは、輸送セクターに強く依存している(なので、食料供給もストップする)」。
電磁バルス攻撃への対策委員会の委員長であり、レーガン政権の科学アドバイザーだったウィリアム・R・グレアム氏は、「これは、米国を壊滅的な危険にさらす可能性があると考えられている数少ない脅威の中のひとつだ」と言う。
グレアム氏は以下のように語る。
「高高度の核兵器生成による電磁パルス攻撃をアメリカ合衆国に仕掛けることができる能力を持つ敵が、若干ながら存在する。あるいは、他にも、その技術を獲得しようとしている国があるようだ」。
「EMP 攻撃は、それほど高いレベルの技術を持たなくとも可能なものなのだ。たとえば、敵が米国へ EMP 攻撃を実行しようとする場合、その敵は長距離弾道ミサイルを持つ必要はない。 EMP 攻撃は、高高度に核弾頭を高く打ち上げればいいため、たとえば、米国の海岸沖で貨物船を使って、短距離か中距離のミサイルを使えばできてしまうのだ」。
「イランでは、カスピ海船舶からの移動式弾道ミサイルの発射訓練を実施した。また、イランは、EMP攻撃に一致した高高度の爆発の試験も、 Shahab-III でおこなっている。そして、イラン当局は成功したと発表している」。
被害の比較としてはあまりに小さいとはいえ、報告書では、 1977年のニューヨーク大停電のことにふれている。その停電での 被害額は約 2億4600万ドル( 2000億円)だった。そして、停電している 26時間の間、ニューヨークでは社会秩序が崩壊して、およそ 3000人が逮捕された。
実際の EMP 攻撃での被害は、「もっと厳しい」と報告書は語る。
さらに、コンピュータに依存している地域が多い米国では、通信が断絶されることによって、混乱が想定される。
インパクトアメリカ( EMPact America )の代表者、ピーター・ヴィンセント・プライ氏は、太陽からの自然現象である大規模な CME (コロナ質量放出)と、EMP 攻撃は、結果として非常に類似したケースとなると言う。
最後の巨大な CME による磁気嵐は 1859年にあった。
その後に地球上に生まれた現代の文明は、それほど巨大な太陽嵐をまだ経験していない。次の2年間で、太陽活動が最大となり、巨大な磁気嵐の可能性が増加すると考えている科学者たちは多い。
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(訳者注) 太陽嵐と CME についての記事は過去に見何度かご紹介したことがあったので、関連リンクを掲載しておきます。
・1859年の規模の「超」太陽嵐がもし現代の世の中に発生したら (2010年10月20日)
・NASA が発表した「2013年 太陽フレアの脅威」の波紋
(2010年09月23日)
・観測史上もっとも強力な謎のガンマ線バーストにより NASA の探査機が観測不能に (2010年07月17日)