2010年12月01日



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スペインでマウスの胚と卵子に固体識別バーコードを埋め込むことに成功。人間へのテストも開始



今回ご紹介するものはあくまで胚移植の合理化のためなどの医学的進歩の記事ですが、一応、参考資料を貼っておきます。なお、「胚」とは生物の個体の発生の初期の段階の個体を指します。「胎児になる前段階」のような認識になりますでしょうか。
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(参考資料 1) 聖書 ヨハネの黙示録

ヨハネの黙示録 13章 16-18節

また、小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧しい者にも、自由な身分の者にも奴隷にも、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。

そこで、この刻印のある者でなければ、物を買うことも、売ることもできないようになった。この刻印とはあの獣の名、あるいはその名の数字である。

ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は666である。


新共同訳より。六百六十六は666に表記変更。


(参考資料 2)

Is "www" in Hebrew equal to 666? (www は、ヘブライで 666 を示す?)より。

インターネットを表す www が 666 を示すという説。理由はヘブライ語における W が 6 を指し示すことによる。しかし、聖書における 666 はそれぞれの文字=数字を加算した数であると書かれていることなどから、この説はほぼ否定されている。WWWは単に 666 の羅列であり、加算した場合は 18 になる。また90年代後半には 666 に関しての「バーコード説」も支持された。

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Scientists attach barcodes to mouse embryos – human ones coming soon
gizmag 2010.11.22

科学者がバーコードをマウスの胚に貼り付けることに成功。人間への実用もすぐ

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映画ブレードランナーには、人工的に作られたヘビの体内に、そのひとつひとつの固体を識別するための微細な固体識別番号(シリアルナンバー)がつけられているシーンがある。しかし、現実の科学はどうやら映画の中で予測されていたテクノロジーを凌いだようだ。

そのテクノロジーとは「胚へバーコードをつけること」だ。

スペインのバルセロナ自治大学 ( UAB ) の科学者たちが、 スペイン科学研究高等会議の研究者たちと共に、マウスの胚と卵母細胞(卵子)に、シリコンで作られた微細なバーコードを付着させる固体識別システムを開発した。

研究者たちはもうすぐ、このシステムを人間の胚と卵母細胞で試す。

このシステムの目的は、体外受精と胚移植手順を合理化することだ。卵子と胚が迅速かつ容易に特定されることがでれば、手順の流れもスムーズになり、また、成功率も高くなるはずだ。

バーコードのラベルは、細胞膜と透明帯の間にある「囲卵腔(いらんくう)」に微量注入される。囲卵腔は胚の原形質膜を囲んでいる場所だ。胚は子宮に入る前に透明帯を出るので、バーコードはその場所に放棄され、付着する。

なお、このバーコードのラベルは、生物学的に無害であることが以前に行われた医学的調査でわかっている。


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バルセロナ自治大学の研究では、バーコードのラベルをつけられた胚は、胚盤胞ステージまで通常に成長することが示された。

(訳者注) 「胚盤胞」等の用語がよくわかりませんので、記事下に資料を少し載せておきました。

研究者たちは、バーコードの生産のオートメーション化にも着手している。

カタロニア州の保健局は、人工授精を行うスペインの複数の病院でこのシステムを、人間の胚と卵母細胞でテストすることについて許可した。

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参考資料:

・卵母細胞

卵母細胞の体外発育より。

卵母細胞と書くと、とてもむずかしそうですが,精子と受精してこどもになる卵子のもとになる細胞と考えてください。ヒトも含めて哺乳類では,お母さんのからだの中で受精が起こりますが,卵子はお母さんのからだの中の卵巣とよばれる器官の中で形成されます。

卵巣の中には数多くの卵母細胞がたくわえられており,その数はヒトで30万個,ウシでは10万個ぐらいと言われています。この卵母細胞のすべてが卵子になるわけではありません。ほとんどの卵母細胞は小さくて(直径20〜30ミクロンぐらい;1ミクロンは1/1000ミリ)眠ったようじっとしています。

ほんの少しの卵母細胞だけが大きくなります(私達は,この卵母細胞が大きくなる過程のことを卵母細胞の発育とよんでいます)。卵母細胞は最終的には,動物によってきまった大きさ(ヒトやウシでは120〜125ミクロン)にまで発育しますが,実際に完全な大きさにまで発育する卵母細胞は,数多く存在している未発育な卵母細胞のうちのほんのわずかにしかすぎません。

卵巣の中にはいろいろな発育段階の卵母細胞が存在しています。

卵母細胞は顆粒膜細胞とよばれるたくさんの細胞に取り囲まれ,さらにその外側は卵胞膜細胞という別の種類の細胞によって取り囲まれています。この卵母細胞,顆粒膜細胞そして卵胞膜細胞からなるひとつのユニットは卵胞とよばれています。卵巣表面はデコボコしていて,表面にとび出した大きな卵胞には,発育を終えた大きな卵母細胞が,卵巣内の小さな卵胞の中には小さな卵母細胞が入っています。



・胚盤胞

胚盤胞移植より。

まず、胚盤胞は何者?って思われる方もおられると思いますので、まず簡単に説明します。卵子は受精から2〜3日目で4〜8分割になり、4日目でおよそ16分割になります(写真1)。

16分割になるとそれぞれの割数の細胞同士が密着し、細胞がぎっしりと詰まったような状態になります(写真2)。

この時に、外周の細胞同士も密着するので、胚の内部が外側から遮断されて、そして今度は内部に液体が貯まってきます(写真3)。

そして全体が大きく、胚を包んでいる透明帯は薄くなってきます(写真4)。

この状態を胚盤胞と呼び、自然の場合この胚盤胞の状態まで育った胚が、子宮内に戻ってきて子宮内膜に着床します(受精からはおよそ5〜6日目です)。

ですので、胚盤胞移植というのはより自然に近い状態で、胚を子宮内に戻す事が出来るわけです。


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