2010年12月01日



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12月2日の NASA の宇宙生物会見は土星のタイタンでの微生物について?



(訳者注) すでに多くの日本語の報道(地球外生命体? NASA「宇宙生物学上の発見」発表へ (日経)など)にもなっていますが、その会見の推測が多くのブログ等で進んでいます。そんな中で、今回の会見に参加するメンバーの研究や経歴から、木星のタイタンでのヒ素や光合成に関しての細菌の化学的証拠についての発表ではないかと推測しているブログがありましたので、ご紹介します。

まあ・・・個人的には、今重要なことは、「どこそこに生命がいた」とか「いない」ではなく、「生命の発祥そのもの」のような感じはしますが・・・。このあたりは 「生命の起源が宇宙から飛来したことを裏付ける根拠を観測」した日本の国立天文台の今年4月の発表などにおける知見は、とても高いところに位置する科学の見識だと感服します。この国立天文台の観測は私が人生の中でもっとも驚愕した科学的発表でした。これで人生観が変わった面もあります。その報道は記事下に資料として掲載しておきます。

とはいえ、今回の NASA の発表が予想以上に楽しいものとなることに期待しています。




Has NASA discovered extraterrestrial life?
kottke.org 2010.11.30

NASA は地球外生命を発見したのか?

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NASA から興味深いプレスリリースが出されている。


NASA は、地球外生命体の証拠の探索に影響するであろう宇宙生物学上の発見について、12月2日午後2時(日本時間12月3日午前4時)に記者会見することを明らかにした。宇宙生物学とは、起源、進化、分布や生命の未来等についての研究である。


私は記者会見に参加するメンバーについて少し調べた。


1. パメラ・コンラッド(生物学者) 2009年に発表された論文「火星の地質と生命」の主筆。


2. フェリサ・ウォルフ‐シモン(海洋学者) 最近、ヒ素を使った光合成について、かなり詳しく書いた。


3. スティーブン・ベナー(生物学) NASA のジェット推進研究所に所属しており、土星最大の衛星タイタンの研究チームのメンバー。 NASA では、タイタンが初期の地球の環境と似ていると見ている。今回の発表は、カッシーニのミッションとも関連していそうだ。


4. ジェームズ・エルザーは(生態学者) フォロー・エレメンツ( Follow the Elements )と呼ばれる NASA が資金提供している宇宙生物学プログラムに参加している。
その宇宙生物プログラムでは、惑星における水や炭素や酸素だけを考慮するのではなく、環境における化学作用を見ることが重要だと強調している。


以上のような参加者の顔ぶれから NASA が 12月2日に何を発表しようとしているのかを推測してみると、彼らがタイタンでヒ素を発見し、そして、多分、光合成をおこなうバクテリアの化学的証拠を見つけたことを発表しようとしているのではないか。これは、宇宙生物学プログラム Follow the Elements からのものだろう。
あるいは、それに近い何かだと思う。


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In Deep の過去の参考記事: 生命の発祥と由来

核心に近づくパンスペルミア説。死骸の遺伝情報が新しい命を導く (2010年11月12日)

米国ローレンス・リバモア国立研究所で地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表 (2010年09月16日)

フレッド・ホイル博士の霊に捧げる:インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した (2010年09月07日)

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参考資料:

タイタンには 2005年に地球の探査機が着陸している

ホイヘンスの着陸成功、地表の最新画像とタイタンの音を公開(アストロアーツ 2005年1月17日)より。

土星を周回中の探査機カッシーニから昨年12月25日に放出されたヨーロッパ宇宙機関(ESA)の小型探査機ホイヘンスが、日本時間14日夜、土星の衛星タイタンの大気圏に突入し、数時間後に史上初の着陸に成功した。ホイヘンスに搭載されたカメラが撮影した画像や大気の観測データは、軌道を周回するカッシーニを介して地球へ送信されてきている。

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▲ カッシーニに搭載されている惑星探査機ホイヘンスから撮影されたタイタンの地表の映像


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・タイタン

タイタン - Wikipediaより。
タイタンは土星の衛星の一つ。

土星最大の衛星で、その直径は約5150km。惑星である水星よりも大きい。かつては太陽系内にある衛星の中で一番大きい、とされてきたが、最近では木星の衛星であるガニメデに次ぐ大きさであると考えられている。
タイタンの特徴は衛星を包む濃い大気と雲であり、表面気圧は地球の1.5倍、大気の主成分は窒素(97%)とメタン(2%)であることが計測されている。重力が大きく低温のため重力で大気を引きとめておくことができていると考えられる。タイタンの表面重力は、地球より小さいため、表面気圧は地球の1.5倍であるが、単位表面積あたりの大気量は地球の10倍に相当する。

また、タイタンには液体メタンの雨が降り、メタンおよびエタンの川や湖が存在すると考えられていたが、このことは、近年のカッシーニ探査により確認された。



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・地球の生命の起源

国立天文台ら、生命の起源が宇宙から飛来したことを裏付ける根拠を観測
マイコミジャーナル 2010年04月07日

国立天文台は4月6日、地球の生命の源となるアミノ酸が隕石とともに宇宙から地球に持ち込まれた可能性を支持する観測結果を発表した。同発表は、これまで多くの科学者が主張してきた「地球上の生命は宇宙から飛来した隕石に含まれるアミノ酸に由来する」という説を裏付けるものと言える。

アミノ酸は互いに鏡像の関係にあり、L型(左型)とD型(右型)に分類されている。地球上の生命を構成するたんぱく質はアミノ酸から構成されているが、ほとんどが左型になっており、生命の起源と関わりがあるのではないかと考えられてきた。

宇宙空間でアミノ酸の偏りをもたらす原因に、円偏光という特殊な光による化学反応がある。国立天文台のメンバーをはじめとする日英豪米による研究グループは、円偏光をとらえる近赤外線偏光観測装置(SIRPOL円偏光モード)を開発し、オリオン座の星形成領域であるオリオン大星雲の中心部の円偏光撮像の観測を行った。

その結果、円偏光の広がりは太陽系の大きさのおよそ400倍以上に相当することがわかった。

この円偏光の強い領域はオリオン大星雲でも有名な大質量星形成領域に位置している。この領域では複数の大質量星が生まれつつあり、IRc2天体と呼ばれる天体は太陽の20倍程度の質量を持つと考えられている。
なお、オリオン星雲では数百個の太陽系に類似した軽く若い天体が生まれているが、それらからは円偏光は検出されなかったという。

同グループはこうした観測結果から、「オリオン大星雲のような大質量星が生まれる領域に広がる円偏光に、原始太陽系星雲がさらされた結果、地球上の生命の素となるアミノ酸が"左型"になり、後に地球上に隕石と共に持ち込まれたことを示唆している」と推察している。これは、太陽系の近くに大質量星が存在していたとする地球上の隕石の研究に合致するという。

タグ:カッシーニ