(訳者注) 今回記事に出てくる地球温暖化に関して、温暖化議論に対しての絶望から米国物理学会に辞表を提出したカリフォルニア大学名誉教授ハロルド・ルイス氏の辞表の訳を 10月10日に紹介させていただいたことがありますので、よろしければ合わせてお読みいただければと思います。
・地球温暖化と米国物理学会のありかたを非難して学会を脱退した科学者の辞表の全内容 (2010年10月10日)
なお、今回のは英国の記事ですが、この英国の雪のカオスは深刻になってきていて、輸送網の影響もあり、燃料に続いて食料の配達にも遅延が出ており、スーパーに食べ物が何もない状態の写真などがよく掲載されています。
パニック買いが発生している地域も多いようです。
Author claims we're in the grip of a mini ice age
Subday Sun (英国) 2010.12.05
私たちはミニ氷河期で苦しんでいる
この2週間、イギリスで続いているシベリア並みの氷点下の気温と降雪の中で、ふと昔の「地球温暖化」という悪い冗談を思い出す。世界の気温は上昇し続けて氷河が溶けていくだろうという地球温暖化の予測の果ての結果は、この未曾有の大寒波だった。
これに関しては良いニュースと悪いニュースがある。良いニュースは、少なくとも冬が永遠に続くことはないだろうということだ。
では、悪いニュースは何かというと、どうやら、現在の我々は、次の 30年続くと思われる「ミニ氷河期」の中に突入しているかもしれないということだ。
そう言うのは、著書「凍結する英国( Frozen Britain )」の著者ギャビン・クーク氏だ。
クーク氏は 2008年にこの本を書き始め、本は昨年 2009年10月に出版された。
その頃、イギリスでは予想外に厳しく冷え込む冬を迎えており、気象の専門家たちがその寒波の原因をつかめずに行き詰まっていた頃だった。
気象の専門家たちは、昨年の激しい降雪と寒波に対して、それは2009年一度きりの例外的な出来事だと言っていた。
しかしその翌年。
つまり、現在の 12月の冬の寒さは、氷点下の記録だけ見ても昨年より厳しく見える。
どうやら、気象の専門家たちよりも、凍結する英国を予想したクーク氏が正しかったようだ。
クーク氏は予想が当たり、さぞ喜んでいるかと思いきや、雪で困っている私たちと同じように落胆している。
なぜだろうか。
「私自身、温暖化議論にはうんざりしているんだ」と彼は言う。
クーク氏が本を書き始めた2008年頃は、米国の前副大統領アル・ゴアが地球温暖化について賞賛した様子を描いた「不都合な真実」の記憶がまだ人々の間に根強く残っていた。その概念では、炭素等の排出が地球を温暖化させ、極地の氷冠を溶かしていくということが詳述されていた。
クーク氏も、ゴアのように気候変動に関心があり、そのためにエネルギーと環境の問題をもう一度勉強し直そうと、ニューキャッスルの専門学校に戻り、そこで研究をした。
クーク氏は言う。
「研究すればするほど、私は気象の虜になっていった」。
クーク氏は、気候変動に人生を費やした他の気象学者のような科学的背景を持っていなかったが、その先入観のなさがむしろ彼の理解を早めた。
彼はこの気候変動というテーマに対し、並々ならぬ情熱を持って臨んだ。これまで専門家たちがおこなった議論をことごとく追跡し、そして、大量に存在する情報を整理して理解することに努めた。
彼の理論は単純ではないが、その基礎をひとつ書けば、太陽黒点活動の影響と、その欠如の問題だ。太陽黒点は太陽表面の暗く見えている部分で、これは、サイクルで増減を繰り返している。
17世紀( 1645〜1715年)に太陽黒点の数が著しく減少した期間があり、これは研究者マウンダーの名にちなみ、マウンダー極小期と呼ばれている。太陽活動の強弱と気候の変動には関連があることが過去述べられており、17世紀のマウンダー極小期には、いわゆる小氷河時代と時期が重なる。
1790〜1830年の間にも太陽活動はやや弱くなった(ダルトン極小期)。
その時にも地球は多少寒冷化している。
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参考資料:
・マウンダー極小期
マウンダー極小期を語る。より。
17世紀中期から18世紀初頭にかけて、太陽黒点が顕著に少ない時期があった。
この時期がマウンダー極小期だ。
およそ70年間に黒点数は50個程度が出現したのみだった。
マウンダー極小期の間、地球の気候は寒冷化していた。