2010年12月09日



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ウィキリークスの文書によって明らかになった「中国で進む量子テレポーテーションの技術開発」



参考資料:量子テレポーテーションとは

ウィキペディアより。

量子テレポーテーションとは、古典的な情報伝達手段と量子もつれの効果を利用して離れた場所に量子状態を転送することである。テレポーテーションという名前であるものの、粒子が空間の別の場所に瞬間移動するわけではない。量子もつれの関係にある2つの量子のうち一方の状態を観測すると瞬時にもう一方の状態が確定することからこのような名前がついた。なお、このテレポーテーションによって物質や情報を光速を超えて移動させることはできない。




(訳者注) 「テレポーテーション」という言葉からはオカルトの印象を受けられるかもしれないですが、日本の東京大学の古澤明教授が、1998年に世界で初めて量子テレポーテーション実験に成功し、その後も研究が続いています。

 ・リンク/古沢研究室 / 研究内容

また、今年の5月には、フォトン(光子)を使って、「16キロメートルの距離」での情報のテレポーテーションに成功しています。

 ・16km間隔での「量子テレポーテーション」に成功 (Wired Japan 2010.05.21)

基本的には非常に実用が近い技術だと思われ、また、個人的にはこれもひとつの「フリーの情報伝達手段」にもっとも近いように思います。ちなみに、記事の最初に出てくる「ヘリウム3」とは核融合発電の燃料としての未来のエネルギー源として考えられている成分のひとつです。

地球にはごく微量しかないようですが、地球より歴史の長い月(45億才)には大量にあると考えられ、米国、欧州宇宙機関(ESA)、ロシア、中国、インドなどが獲得を目指しています。各国の月面基地計画の最大の目標はこのヘリウム3の獲得で、地球外生命だの惑星探査だのは副次的なもののようです。





WikiLeaks: China's Science Secrets -Quantum Teleporation to Soft-Matter Physics
Daily Galaxy 2010.12.08

ウィキリークス: 中国の量子テレポーテーション技術に関しての科学シークレット

Quantum-Teleporation-1.jpg

・北京にある科学技術博物館は、科学に対しての特徴的なテーマと最高水準のテクノロジーでのアプローチを示している。


昨年、デイリーギャラクシーは、中国が月からヘリウム3を抽出するための最終的なゴールに近づいていることを報道した。

下に示したウィキリークスの抜粋を読むと、中国では、先進科学を先に進める努力が印象的に進行しており、それは、核融合から、量子テレポーテーションによる持続可能なエネルギー開発にまで渡っていることがわかる。

スタートレックのようなSFで現されるようなテレポーテーションの実現は遠い道のりだ。それは最近までは完全に不可能だと考えられていた。しかし、量子テレポーテーションの出現によって、「不可能だ」という考え方は少しずつ変わりつつある。


また、中国の月面探査機関の上層部の人物であるオウヤン・ズィユアン(欧阳自远)氏は、中国公認のニュースサイトで、将来の月からのヘリウム3の掘削計画に関して、月面の三次元イメージを発表した。

「地球上には全部で 15トンのヘリウム3がある。しかし、月には 100万トン〜500万トンのヘリウム3があると計算されている。ヘリウム3は、制御可能な核融合を通して、人類にとってもっとも安定したエネルギー発生手段として使え、また安全で安価な物質だ」とズィユアン氏は述べている。

「もし、将来、人類が発電のためにヘリウム3を使うとすると、中国だけで年間 10トンのヘリウム3が必要になる。世界全部だと、1年で 100トンのヘリウム3が必要となる」と、付け加えた。


ヘリウム3による融合エネルギーは、将来の宇宙探査における宇宙空間での推進力の獲得に関しても鍵となる可能性がある。科学者たちは、およそ 100万トンのヘリウム3が月にあると考えている。これは、地球の数千年分のエネルギー源に相当する。ヘリウム3は、一機のスペースシャトルに満載した量、あるいは25トンだけあれば、米国の1年間分のエネルギーを満たすことができる。


(以下、オリジナル記事に抜粋されているウィキリークスの文書からの抜粋ですが、恐ろしく長いので、文書の中の「量子による情報伝達」が記述されている部分を訳し、他は、概要の要点を箇条書きに抜粋します。)



概要

・SUBJECT: PRC: NUCLEAR RESEARCH AT CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
・BEIJING 00000263 001.4 OF 002

サブジェクト:中国の科学アカデミーの核エネルギーリサーチ

・安徽省にあるプラズマ物理学研究所では持続可能なエネルギー発生手段として核融合の研究をしている。

・中国では核融合によるエネルギーの拡大を図り、次の10年で少なくとも70の核融合発電施設を作る。

・中国科学アカデミーでは、他にも、生物測定学、計算物理学、材料科学、ナノサイエンス、ソフトマター物理学、環境分光測定法、ファイバーオプティクス波長分割多重化、量子による情報通信手段、超伝導体、スピントロニクス、そして、認知科学の研究を実施していく。




量子による情報伝達について

2009年12月の中旬、中国科学技術大学 ( USTC ) で、才能ある若者の成長を主な目的とした、数学、物理学、化学、生命科学、核科学、エンジニアリング、コンピューターサイエンス、情報技術管理と、そして人文科学の部門にそれぞれ集中した学術的なプログラムが開催された。

中国科学技術大学には、37,000人のスタッフと 40,000人の大学院生がおり、また、中国科学技術では、国立放射光学研究所と合肥国立研究所微尺度物理化学研究所 ( HFNL ) の2つの国家研究所を管理している。

HFNLは、量子コミュニケーション、ナノサイエンス、超伝導体、スピントロニクスと認知科学を集中して研究している。量子コミュニケーションの分野で HFNL は、量子テレポーテーションの研究をおこなっている。自由空間での量子暗号は完全なセキュリティの通信になることが期待されている。

一方、中国科学技術大学では「プログラム 178」を監視している。しかし、中国科学技術大学はこの「プログラム 178」がどういう性質のプログラムであるのかを説明していない。

彼らの研究室での実験は、一対の量子の間における量子テレポーテーションにはすでに成功しており、現在は二重量子テレポーテーションを行おうとしていることを示している。