ルイジアナ大学の天文物理学者が、オールト雲からやって来る彗星の軌道を変更させている巨大な物体が太陽系の端に存在する可能性を示唆。2700万年周期で発生する地球の大量絶滅に関与している説も。
▲ naturalplaneより。この図では、物体は木星と同サイズで描かれていますが、今回の本文記事では木星より大きいと記述されています。
(参考資料1) 彗星の姿
2010年11月05日の記事「NASAの探査機ディープインパクトがハートレー彗星に接近遭遇し、彗星の中心核の近影に成功」より、ハートレー彗星の写真。
(参考資料2) オールトの雲
Weblio 三省堂大辞林 より。
太陽から半径約一光年(6万天文単位)の球殻状の所にあると考えられる彗星の巣。オールトが1950年代に提唱したもので、特に長周期の彗星がここから供給されて太陽に向かってくるという。
(訳者注) 今回のデイリーメールの記事によって、彗星の正体と役割というものが、なんとなくわかってきたようにも感じます。私が書くとオカルトそのものになるので書きませんが、これだけ推論と計算が進んでいるのなら、次第に明らかになってくるのではないでしょうか。
関連記事として、
・「彗星が地球に生命の素材を持ってきた」米国ローレンス・リバモア国立研究所が地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表
(2010年09月12日)
・かつてホピは「青い星が天界に現れた時に第五番目の世界が出現する」と語った
(2010年09月12日)
などもお読みいただけると幸いです。
それでは、ここからです。
Sponsored Link
Massive dark object 'lurking on edge of solar system hurling comets at Earth'
デイリーメール 2010.312.08
地球に彗星を投げ込んでいる巨大な暗い物体が太陽系の端に潜んでいる
科学者たちは、巨大で暗い物体がこの太陽系の端に潜んでいるという可能性を考え始めている。
太陽系に飛び込んでくる彗星の大部分は、太陽系の誕生の残骸と考えられている氷と塵の地帯であるオールトの雲の外地域から来ていると思われる。
オールトの雲は太陽からおよそ 930億マイル( 1,500億キロメートル)の地点からからおよそ3光年に渡って伸びており、そこは何十億もの彗星を含んでいる。
・オールトの雲がどのように我々の太陽系を囲んでいるかについてを説明している NASA のイラスト。科学者たちは、巨大な物体がオールトの雲から地球の方へ彗星を押し出している可能性を考えている。
最新の計算によると、地球の方向に彗星を送り出していると考えられるこの巨大な物体は木星の4倍の大きさがある。
科学者たちは、オールトの雲の中の彗星を分析し、そのうちの 25パーセントほどの彗星は、その自らの軌道を変えるために、少なくとも木星ほど大きさの物体によって突かれることを必要とするという推論を出した。
この理論をもたらしたルイジアナ大学の天体物理学者であるジョン・マテーセ氏とダニエル・ウィットマイア氏は、「木星より小さな物体では、彗星を押し出す役割としては不十分なのです」と言う。
マテーセ氏とウィットマイア氏は、共に、我々の太陽系にはまだ気づかれていない隠れた「太陽系のメンバー」があると確信している。彼らは NASA の広域赤外線探査衛星 WISE を使って、オールトの雲の研究を続けている。
マテーセ氏はこう言う。
「現在進められている調査によって、この問題は次の 5年から 10年で解決するように思っています。広域赤外線探査衛星 WISE が、私たちの推測を誤っているとするのか、あるいは、私たちの推測を確証してくれるのか。どちらにしても、私たちは調査の結果に期待しています」
長い周期を持つ彗星はおよそ 3,200知られていて、もっとも有名なものとして、ヘール・ボップ彗星がある。この彗星は、1996年から1997年の間には肉眼でさえ見えた。75年周期で現れるハレー彗星は、カイパーベルトと呼ばれる、太陽系の海王星軌道より外側の黄道面付近にある領域からやって来る「短い周期」の彗星だ。
・太陽系の外側の軌道にある巨大な惑星が、地球へ彗星を押し出しているのかもしれない。
研究者たちは、仮にそれが存在するならば、その惑星は非常に低温で、見つけるのが難しいと述べる。見つかるとすれば、それは、太陽から 30,000天文単位のところで見つかる可能性がある。 1天文単位は地球と太陽の間の距離で、 1.5億キロメートルに相当する。
科学者たちは、私たちの太陽から約1光年前後のところにあるこの存在の呼び名を「ネメシス」とすることを提唱している。
彼らは、定期的にオールトの雲で彗星の軌道を押すことで大量の彗星が地球に向かうかもしれないということも示唆した。一部の科学者は、この「彗星の土砂降り」が地球上で定期的に大量絶滅が起きていたこととの理由としても考えられるとしている。
--
参考資料記事
・「周期的な大量絶滅の原因、死の星ネメシス」説を検証(Wired Vision 2010年07月15日)より抜粋。
恐竜たちを絶滅させたような大量絶滅は、きっかり2700万年ごとに地球を襲っている――最新の化石分析によって、このような結論が導き出された。
しかし、プレプリント・サーバー arXiv に発表された論文は、恐竜絶滅の原因として議論されている1つの仮説を否定している。その仮説とは、太陽には未発見な伴星『ネメシス』があり、これが地球に定期的に大量の彗星を衝突させて生物を死滅させてきたというものだ。
「死の星」ネメシス[「ネメシスは元々ギリシア神話で「神の怒り」を表す女神]の存在が初めて示唆されたのは1984年のことだ。古生物学者のデビッド・ラウプ氏とジャック・セプコスキー氏が、海洋生物の化石記録から、生物絶滅が驚くほど定期的に繰り返されていることを発見したことから、これを説明する仮説として提唱された。
少し前の1980年には、恐竜は隕石衝突による壊滅的な打撃を受けて絶滅したとする説が唱えられていたことから、目に見えない宇宙の狙撃手が、内太陽系に向かって彗星を撃ち込んでくるというのは、あり得る話に思われた。
周期的な大量絶滅を説明するために、2つの独立した天文学者のグループがそれぞれ提出した仮説によると、太陽から1〜2光年離れたところに暗い褐色矮星または赤色矮星があり、その星(ネメシス)が2600万年から2700万年ごとにオールトの雲を乱して莫大な氷や岩石を発生させて、地球に衝突の被害をもたらしている可能性があるという。
--
In Deep 内の関連記事:
・核心に近づくパンスペルミア説。死骸の遺伝情報が新しい命を導く (2010年11月12日)
・フレッド・ホイル博士の霊に捧げる:インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した (2010年09月07日)