2010年12月15日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




「これまでの太陽に関する知識は役に立たない」: 米国の科学者が「太陽全体爆発フレア」発生について発表



(訳者注) この記事でふれられている「太陽の全体的な活動を示唆するふるまい」は、その時にそれぞれで記事にしていて、記事にある8月には黒点と磁気フィラメントが連動して爆発し、10月には、太陽のフィラメントがすべて繋ぎ合わさり、巨大な「磁気フィラメントの円」を作りながら地球に面していました。
記事はそれぞれ次のものとなります。

黒点と連動していると推測される太陽フィラメントの爆発で発生したコロナ質量放出 (2010年08月02日)
NASA を狼狽させる太陽の上の巨大な磁気リング (2010年10月17日)

この時、ハイダーフレアと呼ばれる複合型の磁気フィラメント爆発が起きていたら、地球におびただしい CME (コロナ質量放出)が向いていたと考えられてこともあり、世界中が固唾を呑んで見守っていた1週間でした。





Global Eruption Rocks the Sun
NASA サイエンスニュース 2010.12.13

球体全体の爆発が太陽を揺さぶる

2010年 8月1日に、太陽の半球面すべてが爆発するという現象が発生した。
磁気フィラメントが弾け、爆発したのだ。

その衝撃波は、太陽の反対面までに及び、何十億トンもの熱いガスの雲を宇宙空間に放出した。

それを観測していた世界中の天文学者たちは「太陽に何かが起きていることの目撃者になっている」ことを感じていた。それは非常に大きな事柄であり、太陽に関して、我々が持っている古い考え方を粉砕した可能性さえあるのだ。



▲ 8月1日に太陽の半球全体で起きた「大噴火」の紫外線映像。異なる色は、異なるプラズマ温度を表す。


「8月1日のできごとには本当に驚いた」と言うのは、米国ロッキード・マーチン太陽天体物理研究所( LMSAL)のカーレル・シュリッヴァー氏だ。

「我々は、太陽嵐が太陽全体で起きている光景を目撃した。これはそれまでには想像もできなかった出来事だ」。

過去3ヵ月間、シュリッヴァー氏は、この「大爆発」では一体、太陽に何が起きたのかを、同僚のロッキード・マーチン研究所の天体物理学者アラン・タイトル氏と共に調査した。彼らは太陽に関する数多くのデータを持っている。

この前例のない太陽の大爆発は、NASA の太陽観測衛星 SDO と STEREO によって記録された。

image_mini.jpeg

▲ NASA の太陽観測衛星STREO 二機が太陽の周囲を回っている。


彼らは本日( 2010年12月13日)、サンフランシスコで行われた米国地球物理学連合(AGU)の記者会見において調査結果を発表した。

彼らは、太陽上での爆発は局所に限定されるものではなく、また、それぞれが孤立した出来事ではないと述べた。
また、太陽活動は磁気によって、考えられないほどの距離で相互に結び合っているとした。

太陽フレア、太陽津波、コロナ質量放出( CME )。
これらは、それぞれが数十万キロの距離でわかれていようが、相互に結びつくことができるのだという。


「太陽表面の爆発を予測するためには、もはや、それぞれの独立した磁場(黒点や磁気フィラメントなど)だけに観測を集中させているだけではだめだということがわかった。我々は今後、太陽面のすべての磁場を把握して仕事に当たらなければならない」と、タイトル氏は言う。これは宇宙天気予報官の作業負担の増加を意味するが、このことにより、予想の正確さを増すことができる。

「観測を太陽面のすべてに広げることで、太陽活動の予測の進展に繋げることができるだろう」と、米国海洋大気圏局 ( NOAA ) の宇宙天気予報センターのロドニー・ヴィーレック氏は述べる。

「これは、我々の宇宙天気予報サービスを利用している人々、すなわち、発電所や民間航空会社などへ改善された予測を提供できることを意味する。これにより、乗客や住民たちの安全をさらに確保することができると思われる」。

シュリッヴァー氏とタイトル氏は、地球物理学リサーチジャーナル ( JGR ) で発表たするために、太陽の大爆発を、さらに衝撃波、フレア、磁気フィラメント爆発、そして、 CME 等に分類した論文を書いた。

global-eruption-2.jpeg

▲ キーとなるフレアなどの出来事の位置は、この太陽の紫外線写真でラベルをつけられる。これは、 8月1日の大爆発の間、太陽観測衛星 SDO によって撮影された写真。白線は、太陽の磁場を辿ったもの。


論文のタイトルは「ユレーカ! その瞬間」だ。そこには、「大きなコロナ活動のすべての出来事においては、セパラトリクスの広範囲なシステムと、準セパラトリクスの層によって繋がっていることを確認した」と記されている。

(注1 / ユレーカは、ギリシャ語で「見つけた」という意味)

(注2 / セパラトリクスは、逆転磁場配位型と呼ばれる方式での磁気面の境界線のこと。こちらなどご参照下さい)

--

研究者たちはこの種の磁気の接続はあり得ると長く考えていた。「太陽フレアが共振しているという考え方は、少なくとも 25年前にもあった」と、彼らは論文で書いている。かつてから太陽観測において、太陽フレアが次から次へと、まるでポップコーンのように爆発していく様子が観測されることはあった。しかし、観測者たちは、それらに相互関係があるのかどうかを証明することができなかった。

「この種の問題を解決するための、SDO と STEREO の登場は意味が大きい」と、NASA のリビング・ウイズ・スタープログラム( Living with a Star Program )の科学者、リカ・グハタカータ氏は言う。

「これら2つの太陽観測衛星は太陽の動きの 97パーセントをモニターしている。以前なら推測するしかなかったことも、今では観測できるのだ」。

8月の大爆発は、地球からの観測でも3分の2は観測できたが、太陽観測衛星からはその活動のほとんどすべてが観測できた。 SDO の測定結果や測定値は、様々な要素で、太陽面での活動の結合を示した。


しかし、それでもなお、まだ多くのことが明らかにはなっていないのだ。

シュリッヴァー氏はこう語った。

「ひとつの大きな爆発が他の爆発を順番に引き起こしているのか、それとも、太陽に何か大きな変化が起きていた、その結果として今回の現象が起きたのか。分析によっては、他のトリガーも現れるかもしれない」。

NASA のグハタカータ氏はこう言った。

「すべての太陽面の爆発が太陽面すべての爆発に繋がるわけではない。しかし、太陽活動のその全体的な性質は、もはや無視できないところに来ている」。

--
関連記事:

In Deep 内での「太陽フレア」関連の過去記事一覧