2011年01月07日



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アイスランドのカトラ火山カルデラ付近で突如始まった群発地震



エイヤフィヤットラヨークトルの火山活動も数週間前より再開している可能性

(訳者注) アイスランドのカトラ火山で、昨日 1月6日午後(日本時間では今朝の 1月7日早朝)から、突如として、かなりの数の群発地震が発生しているという記事です。アイスランドでの火山のリアルタイムの活動状況はアイルランドの気象局の地震ページに常に掲載されていますが、現在は落ち着いてきているようです。

 >アイスランド MET(気象) ホームページ / 地震

アイスランドの火山に関しての話題は今まで何度も何度も執拗に取り上げていますが、それは当時としては以下の2つの理由によるものでした。そして、今も同じだと思われます。


・過去、エイヤフィヤットラヨークトルの噴火の後には必ず6ヵ月から1年6ヵ月のスパンを経た後にカトラ火山が噴火している。

・アイスランドの火山の噴火は、ときに、ヨーロッパの文明を脅かしてきた。


の2つです。
現在は前回のエイヤフィヤットラヨークトルの噴火から約10ヵ月経っています。
今まで取り上げたものは、関連記事として記事下にリンクしておきます。

また、これとは関係ないですが、ちょうど新年明けの1月3日に、アイスランドの地方ニュースサイトで「いまだに揺れ続けるエイヤフィヤットラヨークトル」という記事が載せられていました。短い記事ですので、それも全文載せておきます。

それにしても、最近、悪魔とか何とかそういう話題が多かったですが、昨年、私たちがもっとも「悪魔らしい顔」を目にしたのはこのアイスランドのエイヤフィヤットラヨークトルの噴火によってできた3つの火口でした。

これです。

iceland-devil2010.jpg

アイスランド噴火はまるで大地の怒りのよう (地球の記録 2010年4月18日)より)

このとき、「まるで悪魔の顔のようだ」という表現を使っていたいくつかの報道サイトもありました。
まだ、アイスランドの自然写真保存サイトのエイヤフィヤットラヨークトル噴火特集ページにあると思います。2010年04月15日分です。

さて、そんな「アイスランドの悪魔の出現」から9ヵ月。
今回はそのアイスランドの火山の話題です。





Sudden Activity at Katla Volcano
Modern Survival Blog 2011.01.06

カトラ火山で突然の活動

iceland-katla-earthquake-activity-6-jan-2011.jpg


2010年の前半からカトラ火山をモニターしているが、この24時間のあいだに突如としてカトラ火山とその周辺で起き始めた一連の地震は、新しい懸念材料となる可能性がある。

およそ 50の地震が、カトラ火山周辺で突然発生し始めた。

しかし、より警戒したいと思われるのは、そのうちの6つの地震がカトラ火山のカルデラそれ自体、あるいはその下の場所で起きているということだ。これは、2010年5月に観測を開始して以来、カトラのカルデラで発生した地震としては、もっとも回数が多い。

今回の地震は昨年2010年の4月にヨーロッパの航空網を数週間シャットダウンさせたエイヤフィヤットラヨークトルの噴火の周囲を這うように発生している。

エイヤフィヤットラヨークトルはちょうど数週間に、再び活動の徴候を見せ始めており、その徴候と共に新しい地震も発生していた。

とはいえ、エイヤフィヤットラヨークトル自体の火山活動の懸念よりも心配されるのが、カトラ火山の活動だ。カトラ火山は、エイヤフィヤットラヨークトルの 10倍の規模の噴火を起こす可能性を持つ大きな火山だ。カトラ火山の最後の噴火は 1918年で、今から 92年前のことだった。
西暦30年の噴火以来、カトラ火山は平均 52年間隔で噴火を繰り返し、その間、38回噴火している。


katla-eyjafjallajokull-earthquake-activity-6-jan-2011.jpg


2010年 5月以来、約 132の地震が、カトラ火山のカルデラで発生した。

下のイラストで示すように、この地域での地震は、大体3つの地域に集中して発生しているように見える。もっとも地震が集中している場所は、1755年に噴火した場所と近く、また、1918年に噴火した場所とも近い。

katla-volcano-caldera-earthquakes-06-jan-2011.jpg

▲ 2010年5月から 2011年1月6日までのカトラ火山のカルデラでの地震。132回の地震が観測されている。


カトラ火山については「噴火するのか」という問題ではなく、問題は「いつ噴火するのか」というだけだということを多くの人々はすでに知っている。そして、その噴火は私たちが生きている間に見てきた噴火の中で、もっとも大きなもののひとつとして数えられる噴火となる可能性もある。

カトラは過去に VEI(火山爆発指数)5で噴火している。

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(訳者注) VEI(火山爆発指数)とは火山の爆発の大きさを示す区分。0から8まであり、8が最大。火山爆発指数より区分の表です。

VEI-2011.gif


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関連ニュース

Iceland’s Eyjafjallajokull Still Rumbles
アイスランド・ビュー 2011.01.03

エイヤフィヤットラヨークトルはいまだに揺れている

アイスランド南部にあるエイヤフィヤットラヨークトル氷河の近くに住む農家の住人がアイルランドの新聞に1月2日、語ったところによると、氷河が地響きを立てながら進む音を聞いたという。そして、その音は 2010年の春にエイヤフィヤットラヨークトル氷河の火山が噴火した時のものと類似していたという。

eyjafj-eruption01_bb.jpg

地元近くの警官グドムンドソン氏は、「その話は本当だろう。風向きがこちらに向いていれば、あなたにも聞こえるはずだ」と言う。

グドムンドソン氏は、他の地域の多くの住民たちも、風向きによって氷河の音を聞いたと報告されていると述べた。

「これが何を意味するかは私にはわからない。予測は難しい」と彼は言う。

そして、「先日また(エイヤフィヤットラヨークトルの活動が)始まったんだ。クレーターはいまだに開いていて、火口の下は煮えたぎっている」と彼は付け加えた。

しかし、アイスランドの気象庁からの情報によると、今のところ、エイヤフィヤットラヨークトルで地震活動が増加したことを示す徴候はない。


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参考資料:過去のアイスランドの火山の噴火の被害

・1783年のラキ山の噴火

火山灰(四国新聞コラム 2010年04月17日)より。

1783年、アイスランドのラキ山が噴火した。溶けた氷河の洪水や溶岩の被害も小さくなかったが、それ以上の悲劇を生んだのは火山灰。牧草を枯らして家畜を餓死させ、日照量を減らして農作物に打撃を与えた。噴火後の最初の冬、9千人以上の命を奪った。

火山灰は国外に及び、フランスでは穀物の不作と高騰をもたらす。パンが値上がるたびに人々は不満を募らせ、暴動を起こした。その果てがあのフランス革命というのである。



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殺人雲が英国を襲った時 (BBC 2007.01.19)より抜粋要約。

200年ほど前、アイスランドの火山の噴火により、莫大な毒性を持つ雲が西ヨーロッパへと運ばれた。これは、現在の英国を襲った最大の災害のひとつであり、多数の死者を出したのにも変わらず、歴史の中で忘れ去られている。

ラキ火山の噴煙が最初にイギリスに到達したのは 1783年6月22日で、その後、何ヶ月にもわたり、イギリスは毒性を持つ噴煙と酸性雨に見舞れ続けた。

その有毒な雲は二酸化硫黄と硫酸を含み、これが人々の肺を攻撃し、窒息させて、最終的には死に至らしめた。結局、アイスランドでは人口の3分の1が死亡、イギリスでも23000人が死亡した。



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関連記事:エイヤフィヤットラヨークトルの噴火の後で

歴史上のエイヤフィヤットラヨークトルの噴火後のカトラ火山の噴火のスパンは最短6ヵ月から最長1年6ヵ月 (2010年09月17日)

カトラ火山の噴火を覚悟しているアイスランド政府 (2010年05月26日)

文明の崩壊の過程のひとつとしてのアイスランドの火山噴火 (2010年04月27日)