2011年02月01日



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米兵の最大の敵は自分: 2010年の戦闘死462人 自殺死468人



最前線で戦うアメリカ兵たちの膨大な数の自殺者たちの多くが PTSD や、あるいは道理的な理由なく自殺している


(訳者注) この「米兵の自殺」は以前からいろいろな意味で注視しています。人の死の絡んでいることなので、一口で書いていい問題ではなく、その問題の本質論のようなことは置いておいて、オリジナル記事の中に「 PTSD ( 心的外傷後ストレス障害 ) 」という単語が出てきます。

私がパニック障害に陥ったのも、原因理由はともかく、 PTSD です。

PTSD から分岐されていく症状は様々で、昔の私のようにパニック障害になる人もいるし、鬱状態になる人もいますが、対策を取らないと、どちらも行く先は「成功する自殺(死)」か「失敗する自殺(自殺の考えだけで終わるか自殺未遂)」です。多分、これは方向性としては間違いありません。対策にも発症にもマニュアルはありませんし、治療法も確立したものはありません(あれば、こんなに米兵を自殺させない)。

自殺した米兵の話は何とも気の毒ですが、 PTSD は決して戦争と関係するというものではありません。交通事故でも地震災害でも、性的被害などでも、つまり何でも引き金となり得ます。

「トラウマ」という言葉はそんなに強くないかもしれないですが、「トラウマは人を殺す力を持っている」ということを今回の報道も示しますし、実体験でもわかります。

今後、社会全体に何もショックなことが起きないで続くのであれば、個別の問題ということだけの話なのですが、そのあたりは何ともわからないですので。


もう10年以上連絡を取っていない方ですが、十数年前に初めて日本で PTSD のサイトを作った方とメールなどで当時は親交がありました。米国の Yahoo の立ち上げなどをやっていたと記憶していますが、当時米国に住んでいた日本人の女性です。その方のサイトが残っていましたのでリンクしておきます。更新は数年されていないようですが、かなりキツい体験記が出ています。英語のタイトルですが、内容は全部日本語です。

PTSD.info

もちろん、今回の「兵士の自殺」というのは PTSD という問題を越えた、もっと大きな、人間性の本質の問題のようにも思います。






More U.S. Soldiers Killed Themselves Than Died in Combat in 2010
GOOD 2011.01.27

2010年には、戦闘で死亡するより多くのアメリカ兵が自殺で死亡した

soldier-2010.png


2009年と2010年と2年連続で、イラクとアフガニスタンでの戦争では、戦闘行為で死亡した数より自殺で死亡した兵士のほうが上回った。これは男性、女性、古参兵を含めたすべての合計だ。

事故と病気で死亡した兵士を除き、2010年には 468人の兵士が自殺で死亡した。対して、戦闘で死亡した兵士は 462人だった。6人という数の差は小さいが、自殺者が戦闘での死亡者より多いという象徴的な意味は大きい。

2009年には 381人の兵士が自殺している。この時も、戦闘で死亡した兵士の数を上回っている。


今月(2011年1月)の始め、米軍当局は、現役の兵士の自殺者数が減少していると発表した。しかし、同時に、予備兵の自殺と国家警備隊員の間での自殺者は増加していることも明らかにした。軍当局は、現役兵の自殺者数が減ったのは、兵士の精神衛生に関してのチェックを頻繁に行っていることが機能していると述べる。なので、予備兵と警備兵にも、このメンタルヘルス的なチェック機構を有効にすれば、自殺は減るはずだと訴えた。


現在の米国の兵士の最大の危険は、実は敵兵ではなく自分たちであるということを示した 2010年のこのデータは、「何かが機能しているとしても、そのシステムはすでに壊れている」ということを示しているのかもしれない。

米軍が、兵士たちの自殺防止に対しての取り組みに関して有効な手段を見いだせていない理由のひとつとして、自殺する兵士たちに「自殺する明確な理由や、合理的な意味が見いだせない」からだ。

多くの自殺者は、中東での激しい戦闘に直面した後に、PTSD ( 心的外傷後ストレス障害 ) に陥った中で自殺している。また、昨年自殺した 112人の警備兵にいたっては、アメリカ国内から出国する前に自殺した。

米軍のピーター・キアレッリ陸軍参謀次長は、雑誌アーミー・タイムスの中で、「どうして人が自殺するのか理由を知っている人がいるなら、ぜひ米軍に教えてほしい」と述べた。


「我々にはそれが何だかわからないのだ」。



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関連資料

・2009年

米兵の自殺者数、2年連続で過去最高 (AFP 2009年01月30日)より。

現役米軍兵士の自殺者数が2年連続で過去最高を更新したと、米軍当局が29日、発表した。発表によると、2008年に自殺した米兵の数は、前年の115人から143人に増加した。

米兵の自殺者は、イラクやアフガニスタンでの戦闘が激化する中、過去4年間にわたって上昇を続けている。



・2008年

米軍内の自殺者数、過去最多となる見通し (AFP 2008年09月05日)より。

米軍当局は4日、米軍内での自殺者数が、過去最多となった前年の記録を破る勢いで増加しており、ベトナム戦争時代以来初めて民間人の自殺率を超える見込みであることを明らかにした。

今年の米軍兵士の自殺者数はこれまでのところ93人となっており、米軍史上最多となった前年の115人に迫っている。




タグ:戦争とPTSD



  
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