地質学者たちがアイスランドで2番目に大きな火山「バールダンブンガ」の噴火の可能性を発表。
(訳者注) アイスランドはさすがに火山国で、私などは昨年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火で、はじめて「アイスランドに火山があるんだねえ」などと言っていたのですが、それからすぐに「歴史上の記録に見るカトラ火山、ラキ火山の噴火のヤバさ」などを知ることになり、そればかり気にしていたのですが、今回、アイスランドの地質学者と、アイスランド気象庁から共に警告が出されたのは全然違う火山でした。
その名はバールダンブンガ(Bárdarbunga)火山。カタカナの当て字は適当ですので、便宜上だとお考え下さい。
さて、その警告が出されているバールダンブンガ火山の位置ですが、このような感じになります。

このあたりは、バトナ氷河という名前の広大な氷河地帯のようです。
実は昨年の4月頃にも、このバールダンブンガ火山では群発地震が急に増加し、「噴火するのでは?」というようなことが言われていました。英語ですが、 Iceland’s Bárdarbunga May Be Erupting (feww 2010.04.20) などに記事があります。
ところで、上の記事の中に面白い図があり、それを改めて見ていて、興味深いことに気付きました。
この図です。日本語はこちらで入れたものです。

上のアイスランドの火山の図と合わせて見ていただきたいのですが、今回、噴火するかもしれないというバールダンブンガ火山から、昨年噴火したエイヤフィヤトラヨークトルまでの間には「噴火が懸念されている」たくさんの火山が並んでいます。
ラキ火山、カトラ火山など。
上の図を見ますと、それらはすべて「大西洋中央海嶺」という海嶺に沿って位置しているようです。この大西洋中央海嶺はも北米プレートとユーラシアプレートを隔てているもので、つまり、「地球の表面がバラバラになる時は、ここも離れていく」と思うのですが、その離れていくボイントにこれらのすべての火山があるというのは興味深いです。
また、この大西洋中央海嶺は一昨年、「深さ10キロメートル地震」が相次いだ海嶺でもあるのですが、これに関しては、話がそれますので、ふれないことにします。
火山の噴火そのものにも懸念はありますが、地球表面全体の先行きとも絡んで、経緯を見ていたいと思うところです。
ちなみに、今回の記事によりますと、このバールダンブンガ火山というのはアイスランドで二番目の規模の火山で、1447年の噴火では、「地球の過去1万年の歴史の中で最大の溶岩流を発生させた」のだそうで、規模も大きいようです。
それでは、記事はここからです。
Icelandic volcano 'set to erupt'
テレグラフ(英国) 2011.02.09
アイスランドの火山が噴火の段階に入った
アイスランドの科学者たちはアイスランドの「もうひとつ」の火山の噴火を警告している。もし、それが噴火して噴煙を上げた場合、昨年のイベント(エイヤフィヤトラヨークトルの噴火)が小さな出来事に見えるだろうと言う。

・溶岩と火山灰を噴き出すアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山。
地質学者たちは、アイスランドで2番目に大きな火山の周辺で群発地震が増加していることを確認し、新たな噴火への大きな懸念を表明した。
アイスランド大学の地球物理学者、ポール・エイナルソン教授によると、現在、バールダンブンガ(Bárdarbunga)火山の周辺の地域で、火山活動が増加しており、そして、これは「懸念するに十分にな理由に当たる」と教授は言う。
教授はアイスランドの国立テレビ番組で、この地域には地震計測装置の設置数が少なく、そのために、地質変化の正確な状況を把握することが難しいという。
しかし、教授は、火山地帯の北東部で記録された震動の記録を見る限り、「懸念する多くの理由がある」と述べ、また、この記録は近年でもっとも強いもので、「間違いなく、溶岩が上昇している」と語った。
また、教授は、計測でカバーできる範囲が狭く、地質の動きの正確な位置と深さを把握することができないと不満も述べた。
「アイスランド全土を見てみても、この(バールダンブンガ火山)の地帯が、国でもっとも活発な活動地域といえる」と、教授はテレビ局に言った。
「溶岩の規模がゆっくりと成長していることは間違いない。この数日での地震活動はそれを示唆している」。
「我々は、より正確な観測数値を知りたいと思っている。しかし、この地域はアイスランド中央部にあり、周辺は広く氷河で覆われているために地震の深さを正確に計測することが難しいのだ」と、火山観測者のジョン・フリマン氏は自身のブログに書いている。
アイスランド気象庁は、2月6日に、バトナ氷河(Vatnajökul)の北東部での火山噴火の危険性が増大していることを警告した。
「噴火するかしないかは時間の経過を見るしかないのだろうが・・・」と、フリマン氏は言う
記録に残るバールダンブンガ火山の最後の噴火は 1910年だったが、火山学者たちが、この火山が近年の最大の噴火を起こしたのは、1477年だと確信している。その時には、周辺に大量の火山灰と岩石を振りまいたとされている。
そして、その 1477年の噴火の際には、過去 10,000年間の間の地球上で最大規模の溶岩流を発生させたとしている。
この火山は、アイスランドで二番目に大きな火山で、昨年、アイスランドで噴火し、空の便を混乱させたエイヤフィヤトラヨークトルなどは、このバールダンブンガ火山に比べると、はるかに規模が小さい。
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