2011年02月24日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




ハイパーインフレーションの2つの資料



00-SS_worst_inflation_hungary_sweeper.jpg

▲ 史上最悪の1京3,600兆パーセントのインフレに見舞われた 1946年のハンガリーで「ゴミより価値がなくなった」紙幣を集めて捨てている。この時の紙幣の額面は、 100,000,000,000,000,000,000 (1万京)だった。
--

(訳者注) 先日、米国CNBCがサイトで、「歴代の最悪のハイパーインフレの状態」という資料特集を突然組み、他にはそういう関係の記事が載せられていたわけではないので、米国の BBS 等で「もしかしてハイパーインフレが近いのか?」みたいな憶測のやりとりが交わされていました。

近いのかどうかはわからないですが、内容的に意外と面白かったので、記事の輪郭をご紹介したいと思います。


あと、ジンバブエでハイパーインフレが発生していた時に、現地に海外青年協力隊員として赴いていた方が、現地の物価の変動(マゾエというジンバブエで一般的なジュースの価格)をブログで綴っていたことがありました。日本円でいえば、100円程度のものが1年くらいで3億円くらいまでに跳ねあがる光景は圧巻です。

その海外青年協力隊員の方の記事はブログ自体が今は存在しませんが、これは国家としての記録とは別の「店頭での物価の実際の例」として貴重なものかとも思いますので、こちらに掲載します。


それにしても、ジンバブエは多少知っていましたが、最終的に「パン一個が 35億円」というのはやはりすごい感じがします。また、1946年のハンガリーの13,600,000,000,000,000パーセントのインフレ率とか(1000兆の上の桁)、 1994年のユーゴスラビアのハイパーインフレの物価の上昇が「5,000兆(5,000,000,000,000)パーセントだった」というのもすごいですね。ユーゴスラビアのハイパーインフレは、ほんの 17年くらい前のことです。





歴史上での最悪のハイパーインフレーション時の状況

The Worst Hyperinflation Situations of All Time
CNBC 2011.02.14

0-SS_worst_inflation_cover.jpg

あなたは「一杯のコーヒーを飲むために山のような紙幣を抱えて持っていかなければならない日常」を考えたことがあるだろうか。

それが現実となるのがハイパーインフレーションだ。一夜にして貨幣価値が大きく変化し、ときに、紙幣に何の価値もなくなってしまう。最近、アメリカ国内でもこのハイパーインフレに関する話題はしばしば目にするようになった。悪化する米国の財政とドルの価値の低下からの懸念だ。

2008年に、ジョンズ・ホプキンス大学 のスティーブ・ハンケ教授と、米国ケイトー財団の上級分析官が、ジンバブエでのハイパーインフレーションと、歴史上の「制御不能」なハイパーインフレとの比較を行う研究を行った。


・1944年10月 ギリシャ

・最高時のインフレ率: 13,800パーセント
・物価は 4.3日ごとに倍に上昇


1-SS_worst_inflation_greece_currency.jpg


このギリシャのハイパーインフレは、歴代で5番目にひどいものだ。1944年のギリシャでは、物価は 4.3日ごとに倍にはね上がった。ギリシャのハイパーインフレが数字上で始まったのは、第二次大戦中、ドイツに国土を占領された1943年10月だった。

ギリシャのハイパーインフレの主要な要因は第二次大戦で、この際の国の負債とマネーサブライの過多によるものだった。



・1923年10月 ドイツ

・最高時のインフレ率: 29,500パーセント
・物価は 3.7日ごとに倍に上昇


2-german.jpg


ドイツのワイマール共和国は、その最後の年に最悪のハイパーインフレーションに悩まされた。1923年10月にはインフレ率が 29,500パーセントに達し、物価は 3.7日ごとに倍になった。

1914年の第一次世界大戦勃発を受けてマルクの金兌換が停止されて以降、ドイツではパピエルマルクという紙幣が使われたが、マルクの価値は低下していき、1922年から1923年のハイパーインフレの間、その価値は暴落した。



・1994年01月 ユーゴスラビア

・最高時のインフレ率: 313,000,000パーセント (3億1300万%)
・物価は 1.4日ごとに倍に上昇


3-SS_worst_inflation_yugoslavia_currency.jpg


1993年から1995年にユーゴスラビアの通貨ディナールで発生したハイパーインフレーションも極端なハイパーインフレのひとつだ。

もっともインフレ率が高かった 1994年01月には、物価は 34時間毎に倍になり、インフレ率は 3億1300万パーセントに達した。インフレの期間中に、物価は 5,000兆パーセント(5,000,000,000,000 %)上昇した。

多くのユーゴスラビアの企業はディナールを拒否し、政府は新紙幣を発行。
通算で5回の通貨切り上げを行った。



・2008年11月 ジンバブエ

・最高時のインフレ率: 79,600,000,000パーセント (790億6000万%)
・物価は 24.7時間ごとに倍に上昇


4-SS_worst_inflation_zimbabwe_currency.jpg


最近の最悪のハイパーインフレの例として、2008年11月に インフレ率が 790億パーセントに達したジンバブエがある。

ジンバブエ政府は、ハイパーインフレに関しての公式報告を最悪の状態の際に停止したが、標準的な経済理論からインフレ率が計算された。

物価はほぼ24時間ごとに倍になり、最終的には 200万ドル(当時で2億円)のパンひとつが、一晩で 3,500万ドル(35億円)にまで上がった。



・1946年 ハンガリー

・最高時のインフレ率: 13,600,000,000,000,000パーセント (1京3,600兆%)
・物価は 15.6時間ごとに倍に上昇


5-SS_worst_inflation_hungary_currency.jpg


歴史上で最悪のハイパーインフレは、 1946年の前半、ハンガリーで発生した。

ハンガリーの旧通貨の単位はペンゲーといったが、その年に半ばに発行された紙幣の額面は、 100,000,000,000,000,000,000 (1万京)ペンゲーだった。ハンガリーのハイパーインフレーション中には、物価は 15.6時間ごとに倍となり、インフレ率は、1京3,600兆パーセントに達した。一日あたりのインフレ率は 195パーセントだった。

最終的にペンゲーは通貨切り上げの後、通貨の交代となったが、この時には「ハンガリーの国すべてにある紙幣の合計の価値の見積もりが 1米ドルの 1000分の1と等しかった」と計算された。




--
参考資料:ジンバブエのインフレーション

徒然なるままにハイパーインフレを語る Vol.2 (ジンバブエの今)
クレアなひととき 2008年12月07日

「青年海外協力隊体験記 ジンバブエ インフレーション」というブログに、マゾエというジンバブエの飲み物(日本のカルピスのような稀釈清涼飲料)の2006年10月4日〜2008年10月21日までの値段の変化があります。

約2年間のひとつの商品の価格の上がり方をこれだけ丁寧に書き続けてくれている日本語の記録は他にないと思いますので、転載しておきます。ジンバブエドルが日本円でどの程度かという計算は、途中、デノミとかいろいろとあってワタシには正確に換算できないので、そのままジンバブエドルで記載します。

mazoe_sample.jpg

△ マゾエ。ジンバブエの人気商品らしい。

-----------------------------------------------------

マゾエの2年間の価格の変化

2006.10.4 1,300 ジンバブエドル
2006.11.1 1,950 ジンバブエドル
2006.11.7 3,300 ジンバブエドル
2006.11.23 4,000 ジンバブエドル
2006.12.2 5,300 ジンバブエドル
2006.12.23 6,900 ジンバブエドル
2006.1.24 6,500 ジンバブエドル
2007.2.5  13,700 ジンバブエドル
2007.3.16 21,000 ジンバブエドル
2007.3.30 34,500 ジンバブエドル
2007.4.10 47,000 ジンバブエドル
2007.5.10 58,000 ジンバブエドル
2007.5.22 72,000 ジンバブエドル
2007.6.11 99,500 ジンバブエドル
2007.6.19 165,000 ジンバブエドル
2007.6.22 399,000 ジンバブエドル


2007.7.5 政府の価格統制令で店頭から食品が消える。

0709041.jpg

(たとえば、マゾエは120,000ジンバブエドルで売らないと罰せられる。損するなら売らない方がいいので店からすべての食品が消えた)マゾエも店頭からは消えて、ブラックマーケットで流通する。以下、ブラックマーケットでの価格。つまり、実質価格。

2007.10.12 900,000 ジンバブエドル
2007.11.20 1,800,000 ジンバブエドル
2007.12.20 5,500,000 ジンバブエドル


この頃からまた店頭にマゾエが登場したらしい。
しかし、価格はすでに常軌を逸しております。

0801091.jpg

2008.1.8  9,000,000 ジンバブエドル
2008.2.23  19,000,000 ジンバブエドル
2008.3.4  35,000,000 ジンバブエドル
2008.3.17 63,000,000 ジンバブエドル
2008.5.2 210,000,000 ジンバブエドル
2008.5.9 420,000,000 ジンバブエドル


すでに価格に制御が効かなくなっている状態がおわかりかと思います。
この後、また、マゾエはスーパーから消えてしまったらしい。

2008.10.21  3米ドル

なんと、10月からはUSドルで売られているらしい。

-----------------------------------------------------

USドルでの価格が3ドル、つまり、大体300円くらいということは、2006年の1300ジンバブエドルと照らし合わせると、大雑把に300円のカルピスが、2年後には1億円になっていたという感じでOKでしょうか。

もちろん、今もインフレは加速しているはずで、こちらの記事によれると、12月にまた新紙幣を発行したそうです。

でも、これが来年の欧米とか日本の姿ではないとは言えないわけで。


(注) 上は2008年の記事で、現状のジンバブエは違います。また、「青年海外協力隊体験記 ジンバブエ インフレーション」のブログも存在しませんので、リンクを外しました。






  
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。