2011年02月25日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




メキシコ湾に漂着し続ける大量のイルカの赤ちゃん



(訳者注) 今回の記事と直接関係があるわけではないですが、最近、メキシコ湾の海底を調査した科学者グループの発表によると、メキシコ湾の海底は、ほぼ「死に尽くした」状態のようで、海底には様々な動植物の死体がかなり厚い層となって蓄積しているようです。昨年撮影されたメキシコ湾の海底の写真(下のものなど)もいくつか公開されていますが、いわゆる魚やサンゴなどの「動いたり色のあるものがない」ような感じです。微生物はたくさんいるのでしょうけれど。

GulfOilDeathSicknessFeb2011.jpg

▲ 灰色の堆積物が厚く積もるメキシコ湾の海底。写っているカニは死んでいるようです。


ただ、メキシコ湾は仕方ないとしても(個人的には数百年は生態系は戻らないかと思います)、最近の「世界中で打ち上げられだした大型生物」に関しては、これらのイルカやクジラといった大型の海中哺乳類は、いわゆる海中での食物連鎖のトップにいると位置されてきた生き物たちで、今回の死亡原因はどれもわかってはいないですが、個人的には「いよいよここまで来たのか」というような曖昧な実感はあります。

まあ、クジラが座礁して打ち上げられるのはそれほど珍しいことではなく、このブログでも何度か記事にしています。最近では、特にニュージーランドが多かったです。

昨年夏から続いているニュージーランドでのクジラの大量死 (2011年02月04日)

最近では、クライストチャーチで大きな被害のあった地震の少し前にも、ニュージーランドで 100頭のクジラが座礁して死んでいます。

whale-666.jpg

▲ 波打ち際にほぼ一直線に並んだクジラの死体。発見されたのは 2月21日。デイリーメールによれば、数は 107頭で、 大きさは4メートルから6メートル。


それと、今、アメリカのメキシコ湾の海岸に次々と「イルカの赤ちゃん」が死んで漂着し続けており、現地のテレビなどでも報道されているようです。最新の報道では、昨日までに 43頭のイルカの赤ちゃんの死体が打ち上げられたとのこと。「なぜ赤ちゃんばかりなのか」ということが調べられていますが、死産が多い模様。

この「イルカの子どもの漂着」は、すでに1月から始まっていて、下の赤丸の海岸線一帯で、1月20日に 26頭のイルカが打ち上げられています。今回記事にした場所は、この赤丸の中央あたりの場所です。

dolphin-map.gif


また、デイトナビーチという海岸で、セミクジラが死亡した事件が1月の終わりにありました。これはこのあたりでは大変に珍しいことだそうです。その場所は、フロリダ半島を挟んで大西洋寄りの海岸線となり、原因はともかく、大型生物の死因となっている影響を受けている海域がかなり広いようにも感じます。

right_whale_necropsyfeb32011-575x381.jpg


dmap-2.gif

▲ 上のクジラが打ち上げられたビーチの場所。最初はこの沖合いで発見された。

海岸に漂着していないものも多いと思われ、メキシコ湾(だけではないでしょぅが)の海中はかなり厳しいことになっていることが想像されます。


中国で発見された1トンのクジラ

詳細は不明ですが、これが写真です。
10,000 kg Dead Whale Found Zhoushan, Zhejiang Province Chinaより)

China_whale-3.jpg



ところで、余談ですが、これらは悲劇である一方、地球上には「クジラが死んでこそ生きられる生命」も存在します。2年くらい前のナショナルジオグラフィックに死んだクジラを食べ続ける海の掃除屋という記事があり、そこに、朽ち果てていくクジラの骨を覆うバクテリアを食べることに特化した未知の種が発見されたことが載っています。

090923-new-species-eat-dead-whales_170.jpg

(記事より)海底でクジラの死体にありつくこの虫は、スウェーデンとカリフォルニア州沖で遠隔操作の潜水調査船によって収集された。腐食性の多毛類(ゴカイなどの仲間)の一種で、朽ち果てていくクジラの骨を覆うバクテリアを食べることに特化している。DNA鑑定を行ったところ、未知の種であることが確認された。


2009年にこの「新種の生物」が発見された翌年から海にたくさんのクジラの死体が漂い始めました。この生き物の群れは、一匹の鯨で 20年は生きていけると推測されているそうですから、しばらくは、この新種の生物のパラダイスは続きそうです。

生物界はよく出来ています。

仮に「朽ち果てていく人間の骨を覆うバクテリアを食べて生きる」ような生物が発見されたら、その翌年あたりからはその生物の食べものである人間の朽ちた骨が数多く地球上を覆い尽くす気がしてなりません。

長くなってしまいましたが、ここからが記事です。



今回は、現在進行形の「メキシコ湾に漂着し続けてるイルカの子ども」です。
これは第一報で、その後、数十頭のイルカの赤ちゃんが次々とメキシコ湾沿い各地に漂着しています。
記事によると、どうやら多くが「死産か出産直後に死んだ」のようです。





Fourth baby dolphin found dead on Horn Island
サンヘラルド 2011.02.22

ホーンアイランドで4頭の赤ちゃんイルカが死んでいるのが発見される

米国海洋哺乳類研究所は、ミシシッピ州のホーンアイランドで4頭のイルカの赤ちゃんが海岸に打ち上げられていることを確認した。

dead-dolphin.jpg


3頭が報告された後に、ホーンアイランドで BP 原油清掃作業員によって、もう1頭が発見された。
原因を突き止めるために、海洋哺乳類研究所が現場で組織サンプルを採取している。

この場所での幼いイルカの死の報告はこれが初めてではなく、1月以来、18頭の赤ちゃんイルカがこの周辺で打ち上げられている。また、それまでにも、大人のイルカが打ち上げられた報告が 28頭あったが、赤ちゃんイルカが打ち上げられ出したのは今年に入ってからだ。


海洋哺乳類の専門家たちは、次々と幼いイルカの死体が打ち上げられるこの状態に懸念を表しているが、しかし、原因はわかっていない。

NOAA (米国大気局)の海洋生物の専門家であるブレア・マーセ氏は、赤ちゃんイルカの死亡数が高いことを確認した。これまで見つかったうち 18頭の赤ちゃんイルカは、死産だったか、あるいは出産直後に死んでいたと考えられるという。

イルカの死の報告は、ミシシッピ州がもっとも多く、ついでアラバマ州とルイジアナ州となっている。

マーサ氏ら専門家は、前年までのデータなどを元に、この出産に関する問題がどのようなものかを調べている。

マーサ氏はこう言う。

「この地は BP の原油流出との絡みがあり、問題として難しいものがあります。しかし、私たちはまず、感染症はあったかどうかを考えて、そして、次にこれが人間の災害と関係があるのかどうかも考えます。つまり、原因の中に、 BP の原油流出をも含める用意があるということです」。

この惨状に対してのマーサ氏の意志は強い。

--
関連記事:

メキシコ湾の原油流出現場で通常の100万倍の量のメタンガスが測定される (2010年06月23日)




驚異的なスピードで広がるメキシコ湾の原油流出の範囲 (2010年06月03日)